以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、建物としてユニット式建物について具体化しており、そのユニット式建物は、梁及び柱よりなる複数の建物ユニットを互いに連結することで構成されている。なお、図1は屋根部の骨組み構造を示す斜視図である。
図1に示すように、建物10は、建物本体11と、その上方に設けられた屋根部12とを備える。建物本体11は、複数の建物ユニット15が互いに連結されることにより構成されたユニット構造部となっている。建物ユニット15は、柱16、天井大梁17及び床大梁(図示略)からなる直方体状の枠体を有している。柱16は角形鋼よりなり、天井大梁17及び床大梁はいずれも溝形鋼よりなる。建物ユニット15は、かかる枠体に対して壁材や床材、天井材等が組み付けられることにより形成されている。この場合、建物本体11を構成する各建物ユニット15の枠体により建物構造体が構築されている。
屋根部12は、切妻式の屋根として構成されており、複数(図1では4つ)のトラスフレーム20を屋根フレームとして備える。各トラスフレーム20はそれぞれ建物本体11上において建物妻方向Y(換言すると屋根部12の棟に対して直交する方向)に延びるように設けられ、建物桁方向X(換言すると屋根部12の棟の延びる方向)に沿って所定の間隔で配置されている。また、建物本体11上において建物桁方向Xの両端部には妻壁19が設けられている(図2参照)。妻壁19は、トラスフレーム20と同じ三角形状をなしている。各トラスフレーム20と各妻壁19との上には野地板(図示略)が取り付けられ、さらに野地板上に瓦等の葺き材(図示略)が設置されることで屋根部12が構成されている。
トラスフレーム20は、屋根部12の屋根傾斜方向に沿って異なる方向に延びる一対の斜材21と、それら各斜材21の長手方向中間部からそれぞれ鉛直下向きに延びる一対の縦材22とを備え、これら各斜材21と各縦材22とが互いに連結されることにより構成されている。なおここで、斜材21と縦材22とがそれぞれフレーム材に相当する。斜材21と縦材22とは、いずれも横断面が矩形状をなす長尺状の木材からなり、縦材22については短手方向に分割された2つの長尺木材からなるものとなっている。
なお、縦材22については必ずしも分割した2つの長尺木材より構成する必要はなく、1つの長尺木材より構成してもよい。また、各斜材21についてはそれぞれ縦材22との連結部27を境に上側と下側とで分割された2つの長尺木材により構成してもよい。
斜材21と縦材22とが連結される連結部27(図4参照)には、一対の連結プレート23が設けられている。連結プレート23は、例えばパーティクルボードよりなる。一対の連結プレート23は、上記連結部27において斜材21と縦材22とを上下に配置した状態でそれら両者21,22を挟み込んで設けられており、これら各連結プレート23がそれぞれ釘やビス等により斜材21及び縦材22に固定されることにより斜材21と縦材22とが連結されている。なおここで、連結プレート23が板材に相当し、一対の連結プレート23により連結部材が構成されている。
また、一対の斜材21同士が互いに連結される連結部にも、上記連結部27と同様、パーティクルボードよりなる一対の連結プレート25が設けられている。これら一対の連結プレート25は、上記連結部において各斜材21を屋根部12の頂部を挟んだ両側に配置した状態でそれらを挟み込んで設けられており、これら各連結プレート25がそれぞれ釘やビス等により各斜材21に固定されることにより斜材21同士が連結されている。なおここで、連結プレート25が板材に相当し、一対の連結プレート25により連結部材が構成されている。
各斜材21は、その傾斜方向における軒先側の部分が建物ユニット15の天井大梁17上に固定されており、各縦材22は、その下端部が建物ユニット15の天井大梁17上に固定されている。これにより、トラスフレーム20が建物本体11上に固定されている。なお、斜材21及び縦材22を天井大梁17に固定するための構成は任意であるが、例えば天井大梁17(詳しくはその上フランジ部17a)の上面にコ字状のブラケットをその溝開口を上側に向けた状態で固定するとともに、そのブラケットの溝内に斜材21又は縦材22を配設して同ブラケットにビス等で固定することが考えられる。
次に、屋根部12に構築された屋根の補強構造について説明する。この補強構造は、既設された建物10に対して屋根部12の補強を行うべく事後的に構築されたものである。以下、かかる補強構造について図2及び図3に基づいて説明する。なお、図2は屋根部12の補強構造を示す斜視図であり、図3は屋根部12の補強構造を示す正面図である。
図2に示すように、屋根部12においてトラスフレーム20と建物本体11の上端部との間には、水平方向に対して斜めに延びる向きで補強部材としてのブレース31が設けられている。ブレース31は、その一端部がトラスフレーム20における斜材21と縦材22との連結部27に屋根側連結具32を介して連結され、他端部が建物ユニット15の天井大梁17に本体側連結具33を介して連結されている。
ブレース31は、金属製の棒材からなり、直線状に延びるように形成されている。ブレース31は、その両端部にそれぞれ取付用の取付プレート31aを有しており、その中間部に張力調整機構としてのターンバックル31bを有している。このターンバックル31bを用いることで、ブレース31の張力調整をすることが可能となっており、またブレース31の長さに関する微調整も可能となっている。
ブレース31は、平面視において天井大梁17に沿って延びるように設けられており、換言するとトラスフレーム20の長手方向に対して直交する向きで設けられている。この場合、トラスフレーム20の縦材22が天井大梁17上に固定されている構成において、ブレース31が当該縦材22の上端部(換言すると連結部27)と当該天井大梁17とを連結しており、そのため、当該縦材22と当該天井大梁17とブレース31との三者によってトラス(三角形状)が形成されている。
ブレース31は、各トラスフレーム20ごとにそれぞれ設けられており、具体的には各トラスフレーム20ごとに複数(図2では2つ)ずつ設けられている。図3に示すように、ブレース31には互いに傾斜の向きが異なる第1ブレース31Aと第2ブレース31Bとがあり、各トラスフレーム20のうち所定の半分のトラスフレーム20に第1ブレース31Aが設けられ、残り半分のトラスフレーム20に第2ブレース31Bが設けられている。この場合、屋根部12全体では、第1ブレース31Aと第2ブレース31Bとがそれぞれ同数ずつ配置された状態となっており、これにより、建物桁方向Xにおけるいずれの向きの水平力に対してもバランスよく処理できるようになっている。
具体的には、各トラスフレーム20にはそれぞれ、同フレーム20の並ぶ並び方向に第1ブレース31Aと第2ブレース31Bとが交互に設けられている。したがって、隣り合う各トラスフレーム20にはそれぞれ傾斜向きが互いに異なるブレース31A,31B同士が設けられ、図3には隣り合う各トラスフレーム20において第1ブレース31Aと第2ブレース31Bとが互いに向き合う(接近する)ように配置された構成が示されている。同図の構成では、第1ブレース31Aと第2ブレース31Bとが交差しない状態で設けられているが、これら各ブレース31A,31Bが互いに交差した状態で設けられるようにしてもよい。
なお、ブレース31の配置構成は必ずしも上記の構成に限定されない。例えば、同一のトラスフレーム20に対して互いに傾斜向きの異なる複数のブレース31A,31Bを設けてもよい。また、必ずしも各トラスフレーム20にそれぞれ複数ずつブレース31を設ける必要はなく、各トラスフレーム20のうち一部のトラスフレーム20又は全部のトラスフレーム20にブレース31をひとつだけ設けるようにしてもよい。さらに、ブレース31は必ずしも各トラスフレーム20にそれぞれ設ける必要はなく、各トラスフレーム20のうち一部のトラスフレーム20にのみ設けてもよい。例えば、屋根部12上にソーラパネルが設置される場合において、パネル設置部分周辺のトラスフレーム20にのみブレース31を設け局所的な補強を行ってもよい。
次に、ブレース31がトラスフレーム20に対して屋根側連結具32を介して連結される連結部分の構成について図2に加え図4を参照しながら説明する。なお、図4は、屋根側連結具32のトラスフレーム20に対する取付構成を示す分解斜視図である。
図2及び図4に示すように、屋根側連結具32は、トラスフレーム20における斜材21と縦材22との連結部27に取り付けられている。屋根側連結具32は、上記連結部27においてトラスフレーム20を挟み込んで設けられる一対の連結板35を備える。
連結板35は、断面L字状の板金部材よりなり、互いに直角をなす2つの板部36、37を有している。連結板35は、その当接板部36が連結プレート23の外側面に当接された状態で、かつ、その取付板部37が縦向きとなるように同プレート23に取り付けられている。連結板35の取付構成に関して具体的には、連結プレート23と斜材21とにはそれぞれ両部材21,23を連続して貫通する第1孔部41が形成されており、連結プレート23と縦材22とにはそれぞれ両部材22,23を連続して貫通する第2孔部42が形成されている。第1孔部41と第2孔部42とは上下に並んで設けられている。
ここで、第1孔部41において斜材21に形成された部分が第1貫通孔に相当し、連結プレート23に形成された部分が孔部に相当する。また、第2孔部42において縦材22に形成された部分が第1貫通孔に相当し、連結プレート23に形成された部分が孔部に相当する。なお、第1孔部41と第2孔部42とはそれぞれ屋根の補強構造を構築する際に事後的に開けられたものである。
一方、連結板35の当接板部36には、第1孔部41と第2孔部42とに対応させて2つの挿通孔部44が設けられている。ここで、これら各挿通孔部44がそれぞれ第2貫通孔に相当する。各当接板部36の挿通孔部44aと連結プレート23及び斜材21の第1孔部41とにはそれぞれ長尺のボルト46が挿通されており、各当接板部36の挿通孔部44bと連結プレート23及び縦材22の第2孔部42とにはそれぞれ長尺のボルト46が挿通されている。そして、これら各ボルト46はそれぞれナット47と締結されており、これにより、各連結板35(各当接板部36)がトラスフレーム20を挟み込むようにして固定されている。
連結板35の取付板部37には、ブレース31を取り付けるための取付孔部45が上下に複数(本実施形態では2つ)形成されている。屋根側連結具32の各連結板35のうち一方の連結板35の取付板部37にはブレース31の取付プレート31aが取り付けられている。この場合、取付プレート31aの孔部(図示略)と取付板部37の取付孔部45(詳しくは下側の取付孔部45)とにはそれぞれボルト49が挿入されており、そのボルト49がナット(図示略)と締結されている。これにより、取付プレート31aが取付板部37ひいては連結板35に取り付けられており、その結果ブレース31の一端部が屋根側連結具32を介してトラスフレーム20に取り付けられている。
次に、ブレース31が建物ユニット15の天井大梁17に本体側連結具33を介して連結される連結部分の構成を図2に加え図5を参照しながら説明する。なお、図5は、本体側連結具33の天井大梁17に対する取付構成を示す分解斜視図である。
図2及び図5に示すように、本体側連結具33は、建物本体11の上端部において建物ユニット15の天井大梁17上に取り付けられている。本体側連結具33は、断面L字状の板金部材よりなり、互いに直角をなす2つの板部52,53を有している。本実施形態では、本体側連結具33が、屋根側連結具32の連結板35と同一部材により構成されており、部材の共通化が図られている。すなわち、本体側連結具33の当接板部52には2つの挿通孔部57が形成され、取付板部53には2つの取付孔部58が形成されている。
本体側連結具33は、その当接板部52を天井大梁17(詳しくは上フランジ部17a)の上面に当接させた状態でかつ取付板部53を上方に向けた状態で、当該大梁17に固定されている。具体的には、天井大梁17の上フランジ部17aには一対の貫通孔55が形成されている。貫通孔55と当接板部52の挿通孔部57とにはボルト61が挿通されており、そのボルト61がナット62と締結されることで、当接板部52ひいては本体側連結具33が天井大梁17に取り付けられている。なお、図5では、ナット62と上フランジ部17aとの間に平板状のプレート63が介在されており、これにより天井大梁17の補強が図られているが、このプレート63を設けることは必須ではない。また、上フランジ部17aの貫通孔55はユニット工場において予め形成されたものとなっている。
本体側連結具33の取付板部53にはブレース31の取付プレート31aが取り付けられている。取付プレート31aの孔部(図示略)と取付板部53の取付孔部58(詳しくは左右方向において屋根側連結具32側の取付孔部58)とにはそれぞれボルト65が挿入されており、そのボルト65がナット66と締結されている。これにより、取付プレート31aが取付板部53ひいては本体側連結具33に取り付けられており、その結果ブレース31の他端部が本体側連結具33を介して天井大梁17に取り付けられている。
次に、既設された建物10に対して上述の屋根補強構造を構築する際の作業手順について説明する。
まず、トラスフレーム20における斜材21と縦材22との連結部27に第1孔部41と第2孔部42とを開ける孔開け作業を行う。この作業では、ドリル等の孔開け用工具を用いて各連結プレート23と斜材21とを連続して貫通するように第1孔部41を開けるとともに、各連結プレート23と縦材22とを連続して貫通するように第2孔部42を開ける。この場合、斜材21と縦材22と連結プレート23とがいずれも木質系材料からなるため、容易に孔開けを行うことができる。
次に、屋根側連結具32をトラスフレーム20において上記連結部27に対して取り付ける作業を行う。この場合、まず屋根側連結具32の各連結板35をそれぞれ各連結プレート23の外側面に配置する。そして、かかる配置状態で、各連結板35の挿通孔部44aとトラスフレーム20の第1孔部41とにボルト46を挿通するとともに各連結板35の挿通孔部44bとトラスフレーム20の第2孔部42とにボルト46を挿通し、その挿通状態で各ボルト46にそれぞれナット47を締結する。これにより、各連結板35ひいては屋根側連結具32がトラスフレーム20の連結部27に取り付けられる。
次に、本体側連結具33を天井大梁17に対して取り付ける作業を行う。この場合、本体側連結具33の当接板部52をボルト61及びナット62を用いて天井大梁17の上フランジ部17aに固定する。
次に、ブレース31の両端部をそれぞれ屋根側連結具32と本体側連結具33とに取り付ける作業を行う。この場合、ブレース31における一方の取付プレート31aをボルト49及びナットにより屋根側連結具32の取付板部37に取り付け、他方の取付プレート31aをボルト65及びナット66により本体側連結具33の取付板部53に取り付ける。これにより、ブレース31の取り付け(設置)が完了する。
このようにして、順次各ブレース31を設置していき、設置した各ブレース31について適宜ターンバックル31bを用いて張力調整を行う。これをもって、一連の屋根補強作業が終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
トラスフレーム20と建物本体11との間にブレース31を水平方向に対して傾斜する向きで設け、ブレース31の一端部をトラスフレーム20に対して屋根側連結具32を介して取り付けるとともに、ブレース31の他端部を建物本体11に対して本体側連結具33を介して取り付けた。これにより、ブレース31の設置に際しては、まず各連結具32,33をそれぞれトラスフレーム20と建物本体11とに取り付け、その後各連結具32,33にブレース31の両端部をそれぞれ取り付けることで、ブレース31を設置することができる。そのため、既設された建物10に対して事後的に屋根の補強を行うことが可能である。
屋根側連結具32を、トラスフレーム20を挟み込んで設けられる一対の連結板35を有して構成し、それら各連結板35にはそれぞれ挿通孔部44を形成した。そして、各連結板35の挿通孔部44とトラスフレーム20に形成した孔部41,42とにボルト46を挿通しそのボルト46をナット47と締結することで屋根側連結具32をトラスフレーム20に固定した。このようにトラスフレーム20を両側から挟み込むように固定する構成では、ブレース31に引張力が生じた場合でも屋根側連結具32がトラスフレーム20から容易に外れることがない。したがって、建物本体11側(詳細には建物ユニット15)の柱16や天井大梁17等の構造材と比べると強度的に劣るトラスフレーム20(フレーム材21,22)に対しても屋根側連結具32ひいてはブレース31の一端部を強固に固定することができる。
また、屋根側連結具32を取り付けるにあたっては、現場でトラスフレーム20に孔部41,42を開け、その孔部41,42と連結板35の挿通孔部44とにボルト46を挿通しナット47と締結することで取り付けができるため、作業性がよく、既設された建物10に後付けする際には好都合である。特に、トラスフレーム20は木質系材料からなるため孔部41,42の孔開け作業が容易であり、その作業性がより良好なものとなる。
屋根側連結具32を、トラスフレーム20において斜材21と縦材22とが連結する連結部27に取り付けた。かかる連結部27はフレーム材21,22が集結する部位であるため比較的剛性が高くなっていると考えられ、そのような部位に屋根側連結具32を取り付けたため、屋根側連結具32を安定した状態で固定することができる。これにより、屋根の補強効果を高めることができる。また、かかる構成では、斜材21と縦材22との連結部27にブレース31の一端部が取り付けられるため、屋根に生じた水平力が斜材21から縦材22へ伝達するのを好適に抑制することができる。そのため、水平方向の荷重に対する抵抗力の小さい縦材22が破損するのを抑制することもできる。
屋根側連結具32を、斜材21及び縦材22のみならず、それら両者21,22を連結する連結プレート23にも取り付けたため、屋根側連結具32をトラスフレーム20に対してより一層強固に固定することができる。
具体的には、斜材21及び縦材22を挟み込むように一対の連結プレート23を設け、それら各連結プレート23とフレーム材21,22とを連続して貫通するように孔部41,42を設けた。そして、各連結プレート23の外側面に各連結板35を配置した状態でボルト46を孔部41,42と各連結板35の挿通孔部44とに挿通しナット47と締結することで屋根側連結具32を取り付けた。この場合、連結板35が連結プレート23の外側面に配置されているため、斜材21と縦材22との間に仮に段差が生じていても、各連結板35を安定した状態で取り付けることができる。
トラスフレーム20を所定の間隔で横並びに複数設けた構成において、ブレース31を平面視において各トラスフレーム20が並ぶ並び方向に延びる向きで配置するとともに、同ブレース31によりトラスフレーム20と建物本体11の天井大梁17とを連結するようにした。ここで、かかるトラスフレーム20は上記並び方向への荷重(水平力)に対する抵抗力が小さいと考えられるが、上記の構成とすればかかる並び方向への荷重に対して抵抗力を高めることができる。そのため、例えばトラスフレーム20の倒れ込みを抑制することが可能となる。
縦材22の下端部を天井大梁17に固定し、当該縦材22の上端部(換言すると縦材22と斜材21との連結部27)に屋根側連結具32を取り付けるとともに当該天井大梁17に本体側連結具33を取り付けることで、ブレース31を平面視において当該天井大梁17に沿って延びる向きで配置した。これにより、当該縦材22と当該天井大梁17とブレース31との三者によってトラス(三角形状)を形成することができるため、屋根の補強効果を高めることができる。
ブレース31の他端部については、建物本体11側の天井大梁17に本体側連結具33を介して固定した。天井大梁17は屋根側のフレーム材21,22と比べて高強度であるため、ブレース31の他端部を安定した状態で固定することができる。また、ブレース31の他端部を束等に固定する場合(特許文献1参照)とは異なり、屋根に生じた水平力を束等を介さず直接建物本体11に伝達することができるため、束等が破損するといった問題が生じるのを回避することもできる。
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記実施形態では、屋根側連結具32をトラスフレーム20における斜材21と縦材22との連結部27に取り付けたが、斜材21同士の連結部に取り付けてもよい。この場合、屋根側連結具32の各連結板35をそれぞれ各連結プレート25の外側面に配置して、それら各連結板35により両斜材21(さらには両連結プレート25)を挟み込むように取り付けることとなる。トラスフレーム20において斜材21同士の連結部は複数のフレーム材が集まる部位であるため、他の部位と比べ剛性が高くなっている。そのため、この場合においても屋根側連結具32を安定した状態で固定することができる。
また、屋根側連結具32を、トラスフレーム20においてフレーム材21,22同士の連結部以外の部位に取り付けてもよい。例えば、斜材21の長さ方向の中間部に屋根側連結具32を取り付けることが考えられる。この場合においても、一対の連結板35により斜材21を挟み込むことで屋根側連結具32が取り付けられるため、屋根側連結具32を強固に固定することができる。なお、屋根側連結具32を縦材22の中間部に取り付けてもよい。
(2)図6に示すトラスフレーム70は、2つの斜材71と縦材72とを備え、それら3つのフレーム材71,72が連結プレート73を介して互いに連結されている。かかる構成において、屋根側連結具32はトラスフレーム70において2つの斜材71及び縦材72が連結される連結部に取り付けられている。この場合、かかる連結部では、3つのフレーム材71,72が集結しているため、剛性がより高まっており、屋根側連結具32をより一層安定した状態で固定することができる。
(3)上記実施形態では、屋根側連結具32の各連結板35のうち一方の連結板35にのみブレース31を取り付けたが、図7に示すように、両方の連結板35にそれぞれブレース31を取り付けてもよい。この場合、ブレース31の設置個数を増やすことができるため、屋根の補強効果を高めることができる。
(4)上記実施形態では、屋根側連結具32を木質系材料のフレーム材21,22よりなるトラスフレーム20に取り付けたが、鉄鋼材料からなるフレーム材より構成されるトラスフレームに取り付けてもよい。
(5)図8に示すように、隣り合うトラスフレーム20の頂部同士を連結する横つなぎ材75(フレーム材に相当)を設け、その横つなぎ材75に対して屋根側連結具32を取り付けてもよい。横つなぎ材75は、木質系材料よりなる角材からなり、その両側面に対して屋根側連結具32の各連結板35が配されている。そして、各連結板35の挿通孔部44と横つなぎ材75に形成された挿通孔(図示略)とにボルト76が挿通されて、同ボルト76がナット(図示略)と締結されている。これにより、屋根側連結具32が横つなぎ材75に取り付けられている。また、ブレース31は、平面視においてトラスフレーム20と平行に延びる向きで設けられており、その他端部が短辺側の天井大梁17に本体側連結具33を介して取り付けられている。かかるブレース31の設置構成では、建物妻方向Yへの水平力に対して抵抗力を発揮することができる。
(6)一の本体側連結具33に対して2つのブレース31を取り付けてもよい。すなわち、本体側連結具33の取付板部53の各取付孔部58を利用して第1ブレース31Aと第2ブレース31Bとを取り付けてもよい。この場合、本体側連結具33の設置個数を少なくすることができるため、コストの低減が図れる。
また、本体側連結具33についても、屋根側連結具32と同様に一対の連結板により構成してもよい。この場合、本体側連結具33の各連結板を天井大梁17の上フランジ部17aの表裏にそれぞれ配置するとともに、各連結板の挿通孔部と上フランジ部17aの貫通孔55とにボルト61を挿通し同ボルト61をナット62と締結する。これにより、上フランジ部17aを表裏両側から各連結板により挟み込んだ状態で本体側連結具33を固定できるため、本体側連結具33の天井大梁17に対する固定をより一層強固なものとすることができる。
(7)上記実施形態では、本体側連結具33を天井大梁17の上フランジ部17aに取り付けたが、ウェブ部等その他の部位に取り付けてもよい。また、本体側連結具33は必ずしも天井大梁17に取り付ける必要はなく、柱16等他の構造材に取り付けてもよい。要するに、本体側連結具33は建物構造体に取り付けられていればよい。
(8)屋根側連結具32の構成、すなわち連結板35の構成は必ずしも上記実施形態の構成に限定されない。例えば、各連結板35のうちブレース31が取り付けられない側の連結板35について取付板部37をなくし平板状とすることが考えられる。要するに、ブレース31の一端部をトラスフレーム20に取り付けることができれば、その構成は任意である。また、これと同様に、本体側連結具33についてもブレース31の他端部を天井大梁17に取り付けることができれば、その構成は任意である。
(9)上記実施形態では、ブレース31に張力調整機構としてのターンバックル31bを設けたが、必ずしもブレース31に張力調整機構を設ける必要はない。また、補強部材として、ブレース31以外に、角形鋼や溝形鋼等の形鋼や、木質系の角材等を用いてもよい。
(10)本発明の屋根補強構造を建物施工時に構築してもよい。例えば、施工時において屋根の一部をスポット的に補強したい場合等に、本発明の屋根補強構造を用いれば、施工途中の屋根に対して好適に補強を行うことができる。
(11)上記実施形態では、屋根フレームとして複数のトラスフレーム20を有する屋根に本発明を適用したが、その他の構成からなる屋根フレームを有する屋根に適用してもよい。例えば、建物本体上に立設した複数の束上に母屋や棟木などの横架材を組み付けるとともに、棟木から軒桁にかけて下方傾斜するように垂木を架け渡して小屋組を構築し、その小屋組上に野地板を設置して構成される屋根に適用してもよい。その場合、垂木や棟木、母屋(いずれもフレーム材に相当)に対して屋根側連結具を取り付けることができる。また、束(フレーム材に相当)に対して屋根側連結具を取り付けてもよい。なおこの場合、小屋組が屋根フレームに相当する。
(12)上記実施形態では、切妻式の屋根に対して本発明を適用したが、切妻屋根や片流れ屋根などその他の形状の屋根に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態では、ユニット式建物への適用例を説明したが、鉄骨軸組工法により構築される建物や、在来木造工法により構築される建物等、他の構造の建物に適用してもよい。