JP5815304B2 - 光学薄膜形成用塗料および光学薄膜 - Google Patents

光学薄膜形成用塗料および光学薄膜 Download PDF

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Description

本発明は、光学薄膜形成用塗料および光学薄膜に関する。
さらに詳しくは、屈折率が高く、透明性、ヘーズ、硬度に優れるとともに集光性に優れた光学薄膜の形成性に優れた光学薄膜形成用塗料および光学薄膜に関する。
従来、液晶表示装置ではバックライトの集光性、光透過性を高めて表示画像の輝度向上、高明度化、高精細化のために高屈折率のプリズム層が設けられている。(図1参照)
また、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)において、半導体素子を保護するために、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの透明な封止材によって半導体素子を封止している。
しかしながら、LEDの短波長化や高輝度化に伴ってLEDから放出されるエネルギーが増加し、場合によっては蓄熱して封止樹脂が黄変してLEDの輝度が低下する問題があった。
また、封止材の屈折率が低いためにLEDから放出される光が、封止材によって反射して光透過率が低下する問題、エネルギー効率の低下する問題があった。
このため、熱的安定性に優れ、屈折率を向上させて光透過率を向上させた封止材として、粒子径が1〜20nmの表面修飾したジルコニア粒子をシリコーン樹脂に配合した組成物が提案されている。(特許文献1:特開2009−173757号公報)
しかしながら、ジルコニア粒子のシリコーン樹脂への分散性を改良するために、一次表面修飾、二次表面修飾をし、さらに残存OH基を無くするためにアルキルシラザン系表面処理剤により三次表面修飾をする必要があることから、生産性が低いことに加え、表面修飾剤の必要量が多く、これら表面処理剤は屈折率が1.4近辺であることから得られる粒子の屈折率が1.6以下であり、これを用いた樹脂硬化物(封止材)の屈折率は必ずしも高くなく、このため光透過率の向上には限界があった。
なお、粒子の分散性を向上させて凝集を防止し、塗布液の安定性を向上させるために粒子をシランカップリング剤で表面処理して用いることが公知であり、さらに、粒子にメカノケミカル法、グラフト重合法等で樹脂を被覆してマトリックス成分または分散媒との親和性を高めることが行われている。(特開平3−163172号公報(特許文献2)、特開平6−336558号公報(特許文献3)、特開平6−49251号公報(特許文献4)、特開2000−143230号公報(特許文献5))
また、特開平7−118123号公報(特許文献6)および特開2003−63932号公報(特許文献7)には樹脂で被覆した化粧料用粉体が開示されている。
本願出願人は、予め加熱処理した金属酸化物粒子のエーテル類、エステル類、ケトン類を分散媒とする有機溶媒分散液に、アクリル系樹脂を添加し、ついで、メカノケミカル処理すると個々の金属酸化物粒子に均一に樹脂を被覆することができ、有機溶媒を分散媒とする固形分濃度50重量%程度までの高濃度の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液が得られることを開示している。特開2010−077409号公報(特許文献8)
さらに、特開2007−238759号公報(特許文献9)には、少なくともアルミナ等の無機微粒子、第1の熱可塑性樹脂および、第1の有機溶媒を含む第1の混合物を製造する第1の工程、これに力学的負荷を加え、無機微粒子の解膠を生ぜしめる第2の工程、ついで、溶媒のみを留去させる第3の工程とからなる樹脂組成物の製造方法が開示されている。 この樹脂組成物は、自動車等のウインドウシールドをはじめとするガラス部材の樹脂化を目的とし、このとき、透明性を有し、熱に対する膨張を小さくし、曲げ剛性の高い樹脂組成物を得ることが目的であり、このため、小粒子径でアスペクト比の高い針状アルミナ粒子が推奨されている。
特開2009−173757号公報 特開平3−163172号公報 特開平6−336558号公報 特開平6−49251号公報 特開2000−143230号公報 特開平7−118123号公報 特開2003−63932号公報 特開2010−077409号公報 特開2007−238759号公報
このような状況のもと、さらに光透過率が高く、熱的安定性にも優れた封止材や光学薄膜が求められている。また、光学薄膜には膜厚が一定の透明被膜以外にプリズム状、上部表面が凸構造(凸レンズ状)あるいは凹凸構造(波状構造)、さらには上部表面に多数の凸構造を有する膜を形成することで集光性を高める機能を有するものの望まれている。
本発明者等は、以上のような背景をもとに、光透過率の高い、集光性に優れ、熱的安定性にも優れた封止材、プリズムシート等の光学薄膜について鋭意検討した結果、分子量が小さくフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂とフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂と樹脂被覆ジルコニア微粒子とからなる塗料を用いると成形性に優れるとともに、屈折率が高く、透明性、光透過率、集光性等に優れた光学薄膜を形成できることを見出して本発明を完成するに至った。
本発明の構成は以下の通りである。
[1]重量平均分子量が86〜3,000の範囲にあるフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)と、
フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)と、
平均粒子径が5〜50nmの範囲にある樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)とを含んでなる光学薄膜形成用塗料。
[2]フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)が、芳香環および/またはエポキシ環を有するものである[1]の光学薄膜形成用塗料。
[3]樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)が、(メタ)アクリレート系樹脂で被覆されたものであり、該(メタ)アクリレート系樹脂が、芳香族環を有するものである[1]の光学薄膜形成用塗料。
[4]前記フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の濃度(CR)が固形分として20〜60重量%の範囲にあり、前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)の濃度(CF)が固形分として10〜60重量%の範囲にあり、前記樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の濃度が固形分として20〜70重量%の範囲にあり、有機溶媒の濃度が1000ppm以下である[1]〜[3]の光学薄膜形成用塗料。
[5]前記フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の濃度(CR)と前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)の濃度(CF)の濃度比(CF)/(CR)が0.2〜3.0の範囲にある[1]〜[4]の光学薄膜形成用塗料
[6]前記樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の屈折率が1.7〜2.1の範囲にある[1]〜[5]の光学薄膜形成用塗料。
[7]前記無機酸化物微粒子がジルコニア系微粒子である[1]〜[6]の光学薄膜形成用塗料。
[8]粘度(η)が10〜8,000Pa・sの範囲にある[1]〜[7]の光学薄膜形成用塗料。
[9]屈折率が1.5〜1.8の範囲にある[1]〜[8]の光学薄膜形成用塗料。
[10]前記[1]〜[9]の光学薄膜形成用塗料を用いて形成された光学薄膜。
[11]光透過率が80%以上である[10]の光学薄膜。
[12]屈折率が1.6〜1.8の範囲にある[10]または[11]の光学薄膜。
[13]波型形状、プリズム状、鋸歯状、凸レンズ、凹レンズ状の形状が付与されてなる[9]〜[12]の光学薄膜。
本発明によれば、屈折率が高く、透明性、光透過率に優れた光学薄膜を形成できる。また、光学薄膜をプリズム構造としたり、凹凸形状(波状液状)を付与することで、集光性等に優れた光学薄膜を形成できる。
本発明の光学薄膜の一適用例の概略図を示す。 本発明の光学薄膜の別の一適用例の概略図を示す。 本発明の光学薄膜の別の一適用例の概略図を示す。
以下、まず、本発明に係る光学薄膜形成用塗料について説明する。
[光学薄膜形成用塗料]
本発明に係る光学薄膜形成用塗料は、重量平均分子量が100〜3,000の範囲にあるフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)と、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂(B)と、平均粒子径が5〜50nmの範囲にある樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)とを含んでなることを特徴としている。
なお、本発明での(メタ)アクリレート樹脂とは、アクリレートないしメタアクリレートの単量体(モノマー)やオリゴマーを含む意味である。
フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)
本発明に用いるフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としては、アクリレート構造(アクリル酸エステル)ないしメタクリレート構造(メタクリル酸エステル)を有するものであり、通常モノマーのような単量体が使用されるが、ある程度重合が進んだオリゴマーであってもよい。
このようなフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、n-ステアルルメタクリレート、n-ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メトキシトリエチレエングリコールジメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングルコールジグリシジルエーテルアクリレート、ポリエチレングルコールジグリシジルエーテルアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルアクリレート、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAメタクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレート、O-フタル酸ジグリシジルエーテルアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルアクリレート、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテルアクリレート、、O-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、フェノールノボラック型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。なかでも、芳香族環を少なくとも1個するものが、屈折率や透明性などの点で好ましい。また、硬化性や耐久性の点で、エポキシ環を有するものも好適である。したがって、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としては、芳香族環および/またはエポキシ環を有するものがより好適である。
このようなフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の重量平均分子量は特に制限はなく、通常、86〜3,000、さらには200〜2,000の範囲にあることが望ましい。
フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の重量平均分子量が低いものは、得られる薄膜の屈折率が低く、硬度も低いため高屈折率膜としての機能が不充分となる場合がある。
フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の重量平均分子量が大きすぎると、該樹脂の配合量にもよるが、光学薄膜形成用塗料の粘度が高くなり過ぎて光学薄膜の形成性が不充分となる場合がある。
光学薄膜形成用塗料中のフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の固形分としての濃度(CR)は10〜60重量%、さらには12〜50重量%の範囲にあることが好ましい。CRが少なすぎると、光学薄膜形成用塗料の粘度が高くなり過ぎて光学薄膜の形成性、形成した塗膜の外観が不充分となる場合がある。CRが多すぎると、一方でフルオレン骨格を有するアクリレート樹脂(B)が少なくなり、光学薄膜形成用塗料で形成した塗膜の屈折率が低く、高屈折率膜としての機能が不充分となる場合がある。
フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)
フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としては、フルオレン骨格を有する
Figure 0005815304
(メタ)アクリレート系樹脂(B)であれば特に制限はなく、アクリレート構造(アクリル酸エステル)ないしメタクリレート構造(メタクリル酸エステル)を有するものであり、通常モノマーのような単量体が使用されるが、ある程度重合が進んだオリゴマーであってもよい。
このようなフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂としては、ビスフェノールフルオレン(メタ)アクリレート、ビスクレゾールフルオレン(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレン(メタ)アクリレート、ビスアミノフェルニフルオレン(メタ)アクリレート、ビスアミノプロピルフルオレン(メタ)アクリレート、ビスアミノメチルフルオレン(メタ)アクリレート、ビスヒドロキシメチルプロピルフルオレン、ビスヒドロキシフェニルフルオレン、ビスヒドルキシエトキシフルオレン、ジオクチルフルオレン、ジメチルフルオレン、ビスアクリロイルオキシエトキシフェニルフレオレン、フルオレンアクリレート、フルオレンメタクリレート、フルオレンジアクリレート、フルオレンジメタクリレート等が挙げられる。
このようなフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)を含んでいると、低粘度で成形性に優れた高屈折率な塗料を得ることができ、得られる光学薄膜は高屈折率で、透明性、集光性に優れている。
このようなフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)を前記(メタ)アクリレート系樹脂(A)と組み合わせると、単にフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)だけでは、粘度が高く成形性が低くなってしまうが、(メタ)アクリレート系樹脂(A)と組み合わせることで、透明性が高くなる。また芳香環を含む(メタ)アクリレート系樹脂(A)と組み合わせれば、屈折率が低下することもなく、凹凸を形成したときの集光性にも優れている。
光学薄膜形成用塗料中の前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)の固形分としての濃度(CF)は10〜60重量%、さらには20〜50重量%の範囲にあることが好ましい。CFが低いと、後述する樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の含有量にもよるが、所望の屈折率を有する光学薄膜形成用塗料、光学薄膜を得ることが困難となる場合がある。CFが高すぎても、塗料および光学薄膜の屈折率は高くなるものの、光学薄膜形成用塗料の粘度が高くなりすぎて、光学薄膜の形成性、形成した光学薄膜の外観が不充分となる場合がある。
前記フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の固形分としての濃度(CR)とフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂(B)の固形分としての濃度(CF)との比CF/CRは0.2〜3、さらには0.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。この比率であれば屈折率が高く、成形性を高く保つことができる。(CF)/(CR)が低いと、屈折率が低くなり、所望の屈折率を有する光学薄膜形成用塗料、光学薄膜を得ることが困難となる場合があり、得られる光学薄膜の硬度、屈折率が不充分となり、充分な集光性が得られない場合がある。(CF)/(CR)が高すぎると塗料および光学薄膜の屈折率は高くなるものの、光学薄膜形成用塗料の粘度が高くなりすぎて、光学薄膜の形成性、形成した塗膜の外観が不充分となる場合がある。
樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)
本発明に用いる樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)は、無機酸化物微粒子が樹脂で被覆されている。このような微粒子(C)を含むことで、分散性、安定性、成形性に優れた光学薄膜形成用塗料が得られる。また、膜の強度、硬度に優れるとともに、透明性に優れ、屈折率が高く、集光性にも優れた光学薄膜が得られる。
(i)被覆用樹脂
被覆用樹脂としては、(メタ)アクリレート系樹脂が好ましく、特に芳香族環を有する(メタ)アクリレート系樹脂が好ましい。
このような被覆用樹脂は前記フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂(B)と同一であっても、異なっていてもよい。
芳香族環を有する(メタ)アクリレート系樹脂を用いると、個々の粒子に均一に被覆することができ、また樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)の混合物との親和性が高いため、均一に分散させることができる。したがって、樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)が高分散した、安定性に優れた光学薄膜形成用塗料が得られ、この塗料に硬化剤を添加し、塗布し、乾燥することなく硬化させると、溶媒の飛散がないので塗布時の膜厚がそのまま、あるいは鋳型形状そのままの形状で、高屈折率で緻密な透明性、ヘーズ、硬度、耐擦傷性、集光性に優れた光学薄膜を形成することができる。
前記無機酸化物微粒子被覆用の(メタ)アクリレート系樹脂は、さらに、水酸基、アミノ基、カルボニル基、カルボキシル基、スルホ基から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する(メタ)アクリレート系樹脂が好ましい。
このような官能基を有するものは、無機酸化物微粒子と親和性が高く、粒子表面に強く吸着し、場合によっては結合し、調製時に、緻密で均一な樹脂被覆層を形成することができる。
本発明で使用される(メタ)アクリレート系樹脂としては、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリレート、O-フタル酸ジグリシジルエーテルアクリレート、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテルアクリレート、9.9-ビス4−2−アクリロイルオキシエトキシフェニルフレオレン、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、O-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、フェノールノボラック型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、カルボン酸無水物変成エポキシアクリレートなどの(メタ)アクリレート樹脂等およびこれらの混合物が挙げられる。
(ii)無機酸化物微粒子
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化アンチモン、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化錫等およびこれらを主成分とする複合酸化物、これらの混合物を挙げることができる。
なかでも、酸化ジルコニウム微粒子、酸化ジルコニウムを主成分とする複合酸化物微粒子は、屈折率が高く、光活性を有することもなく化学的に、熱的に安定であるので好適に用いることができる。
無機酸化物微粒子の平均粒子径(一次粒子径)は概ね5〜50nm、さらには8〜40nmの範囲にあることが好ましい。この範囲にあるものは光学用途に好適である。
平均粒子径が小さいと、結晶性が低く、屈折率も低いことに加えて、樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)を調製する際に凝集することがあり、このため樹脂被覆が不均一になり、分散性が不充分になる場合がある。平均粒子径が大きければ、最終的な樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)も大きく、最終的に得られる光学薄膜の透明性、光透過率、ヘーズや耐擦傷性が不充分となる場合がある。
前記樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の屈折率は1.70〜2.10、好ましくは1.70〜2.00の範囲にあるものが好ましい。
本発明で用いる粒子の屈折率の測定方法は、標準屈折液としてCARGILL製のSeriesA、AAを用い、以下の方法で測定した。
(1)無機酸化物微粒子あるいは、樹脂被覆無機酸化物微粒子分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを80℃で12時間乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を無機酸化物微粒子あるいは、樹脂被覆無機酸化物微粒子の屈折率とする。
樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)における無機酸化物微粒子と被覆樹脂との重量比(粒子/樹脂)は97/3〜20/80、さらには85/15〜50/50、特に70/30〜50/50の範囲にあることが好ましい。
無機酸化物微粒子の割合が多すぎると、粒子径にもよるが無機酸化物微粒子を完全に、均一に被覆できない場合があり、分散性、安定性、成形性に優れた光学薄膜形成用塗料が得られない場合がある。一方被覆樹脂が多すぎてしまうと、光学薄膜形成用塗料および光学薄膜の屈折率が不充分となり、集光性が不充分となる場合がある。
光学薄膜形成用塗料中の樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の濃度は固形分として10〜80重量%、さらには20〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
光学薄膜形成用塗料中の樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の濃度が少ないと、光学薄膜形成用塗料および光学薄膜の屈折率が不充分となり、集光性が不充分となる場合がある。
光学薄膜形成用塗料中の樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の濃度が多すぎると、光学薄膜形成用塗料および光学薄膜の屈折率は高くなるものの、光学薄膜の透明性、光透過率が不充分となる場合がある。
樹脂被覆無機酸化物微粒子の平均粒子径は、5〜50nm、さらには8〜40nmの範囲にあることが好ましい。この範囲にあるものは光学用途に好適である。
樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の製造方法
前記した樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)は、例えば以下のような方法によって製造することができるが、以下の方法に限定するものではない。
本発明に用いる樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の好適な製造方法は、平均粒子径が5nm〜100μmの範囲にある予め加熱処理した無機酸化物粒子、有機溶媒、被覆用樹脂として前記した(メタ)アクリレート系樹脂の混合物をメカノケミカル処理する。
(i)無機酸化物粒子
無機酸化物粒子としては、前記した種類の粒子を用いる。
本発明では酸化ジルコニウム粒子、酸化ジルコニウムを主成分とする複合酸化物粒子が好ましい。なかでも、酸化ジルコニウム粒子は屈折率が高く、予め加熱処理した結晶性の高い粒子をメカノケミカル処理する際に、粒子表面に樹脂を均一に被覆することができ、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)への分散性、分散安定性に優れた樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)を得ることができる。
無機酸化物粒子の平均粒子径は概ね5nm〜100μm、さらには概ね300nmから50μmの範囲にあることが好ましい。
無機酸化物粒子の平均粒子径が小さいと、メカノケミカル処理による粒子の開裂が実質的に生じないためか樹脂被覆が不充分となり、樹脂被覆できたとしても凝集していたり、分散性、安定性が不充分となる場合がある。無機酸化物粒子の平均粒子径が大きいと、無機酸化物粒子の塊砕あるいは粉砕効率が低下したり、粉砕が困難となり、得られる樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の平均粒子径が大きくなり、これを用いた光学薄膜形成用塗料の安定性が不充分となることがある。そして、光学薄膜形成用塗料を用いた光学薄膜の透明性、ヘーズ、光透過率、硬度、耐擦傷性、集光性等が不充分となることがある。
なお、使用する無機酸化物粒子の平均粒子径が大きい場合、必要に応じて、粉砕・塊砕によって、所定の平均粒子径にしてもよい。
本発明で用いる無機酸化物粒子の平均粒子径は上記範囲にあれば特に制限はなく、一次粒子であっても、一次粒子の集合体である二次粒子であってもよい。
用いる無機酸化物粒子は、噴霧乾燥して得られ、平均粒子径が1〜100μm、さらには2〜50μmの範囲にあることが好ましい。
このような無機酸化物粒子は、平均粒子径が5nm〜概ね10μmの範囲にある無機酸化物粒子(一次粒子、二次粒子を含む)の水分散液を常法によって噴霧乾燥することによって得られる。
このような噴霧乾燥した無機酸化物粒子を用いると、後述する有機分散媒に容易に分散し、この時増粘することもなく、ついで被覆用樹脂を添加した際にも増粘することなく均一に分散し、ついで、メカノケミカル処理する際に容易にほぐれ、無機酸化物粒子に均一に樹脂を被覆することができる。
本発明では、平均一次粒子径は粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM)を撮影し、100個の粒子について粒子径を測定し、その平均値として求める。
また、原料に使用する無機酸化物粒子が凝集粒子(二次粒子)である場合は、動的光散乱法「マイクロトラック粒度分布測定装置」によって求めることができる。
前記無機酸化物粒子は、予め100〜800℃、さらには105〜500℃で加熱処理されていることが好ましい。
なお、無機酸化物粒子を調製する際に、すでに、前記温度範囲の加熱履歴のある場合は、別途、加熱処理を行う必要はない。また、前記温度範囲の加熱履歴があってもその後に水分散履歴のある場合は加熱処理することが好ましい。
かかる加熱処理によって、樹脂被覆量を多く、かつ均一に被覆でき、その結果、得られる樹脂被覆無機酸化物粒子、これを用いた光学薄膜形成用塗料の安定性を高めることが可能となる。その理由は明確ではないものの、加熱処理によって、付着水が除去され、無機酸化物粒子表面の活性が高くなるためか、被覆用樹脂の吸着量が増加し、無機酸化物粒子と樹脂との結合を促進することが考えられる。
加熱処理温度が低すぎると、付着水が残存する等のために無機酸化物粒子の表面が不活性なためか、樹脂の吸着、粒子と樹脂との結合が不充分となり、樹脂被覆量が不充分となる場合があり、得られる光学薄膜形成用塗料の安定性、成形性が不充分となることがある。
また加熱処理温度が高すぎても無機酸化物粒子が過度に凝集したり、無機酸化物粒子の種類によっては焼結したり、被覆用樹脂との親和性、吸着性、結合性が大きく低下し、得られる光学薄膜形成用塗料の安定性、成形性が不充分となることがある。
その結果、得られる光学薄膜の透明性、ヘーズ、集光性、硬度、耐擦傷性等が不充分となることがある。
(ii)有機溶媒
有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒を用いることができる。
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル等のケトン類;トルエン、キシレン等が挙げられる。
なかでも、前記エーテル類、エステル類、ケトン類は樹脂の被覆効率がよく、得られる樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)に凝集粒子が少なく、分散性に優れ、沈降も起きず安定であるので好ましい。
特にエーテル類はメカノケミカル処理において無機酸化物粒子が凝集しにくく、均一に樹脂被覆できるので好適に用いることができる。
(iii)被覆用樹脂
被覆樹脂としては前記した(メタ)アクリレート系樹脂が好適に用いられる。
芳香族環を有する(メタ)アクリレート系の樹脂を用いると、より分散性が良好で、低粘度で、安定性、成形性に優れた光学薄膜形成用塗料を得ることができる。
(iv)メカノケミカル処理
無機酸化物粒子と被覆樹脂とを最終的に得られる前記範囲となるように混合する。
メカノケミカル処理時の無機酸化物粒子と被覆樹脂との全固形分濃度が1〜50重量%、さらには2〜45重量%の範囲にあることが好ましい。全固形分濃度が低すぎると、全部の粒子を均一に処理することが困難であったり長時間を要し、樹脂被覆が不均一になる場合があり、得られる光学薄膜形成用塗料の分散性、安定性が不充分となり、さらに得られる光学薄膜も透明性が低く、ヘーズが高く、集光性が不充分となる場合がある。
全固形分濃度が高すぎると、無機酸化物粒子の種類、有機溶媒、被覆樹脂の種類によっては処理の進行に伴い急激に粘度が上昇したり、粒子が凝集することがあり、得られる光学薄膜形成用塗料での分散性、安定性、成形性が不充分となり、さらに得られる光学薄膜も透明性が低く、ヘーズが高く、集光性が不充分となる場合がある。
本発明のメカノケミカル処理方法は、前記した無機酸化物粒子、被覆用樹脂、有機溶媒、混合比率および濃度を採用する以外は従来公知の方法を採用することができる。
例えば、ヘンシェルミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、ビーズミル等に有機溶媒、無機酸化物粒子および樹脂被覆材を所定量計量し、高速で撹拌する。
撹拌速度は使用する装置、方式等によって異なるが、あまりに低速であると、無機酸化物粒子の粒子径が大きい場合には塊砕あるいは粉砕が不充分となり、得られる樹脂被覆無機酸化物粒子の粒子径が大きすぎたり、樹脂被覆量が不足したり、粒子と樹脂との結合が不充分となるためか光学薄膜形成用塗料の安定性、成形性が不充分となることがあり、最終的に得られる光学薄膜の透明性、ヘーズ、集光性、硬度、耐擦傷性等が不充分となることがある。
なお、従来、上記のような方法で樹脂を被覆する際に重合開始剤を添加したり、紫外線照射、プラズマ照射することが行われるが、重合開始剤を添加したり、紫外線照射すると被覆用樹脂が粒子表面を被覆しない場合や、被覆しても樹脂の重合、硬化が進みすぎるためにフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)との親和性、結合性が低下し、光学薄膜の透明性、光透過率、硬度、耐擦傷性等が低下する傾向がある。
こうして得られた樹脂被覆無機酸化物粒子(C)の平均粒子径は5〜50nm、さらには8〜40nmの範囲にあることが好ましい。
樹脂被覆量は前記範囲にあるが、実質的に樹脂被覆前と後の無機酸化物粒子の平均粒子径は同じであってもよく、当然樹脂被覆後の平均粒子径は大きくなっていても良い。得られた粒子の平均粒子径が、上記範囲であれば、透明性やヘーズ、光透過率、硬度、耐擦傷性に優れ、集光性に優れた透明被膜が得られる。
本発明では、樹脂被覆無機酸化物粒子(C)の平均粒子径は透過型電子顕微鏡写真(TEM)観察法によった。
メカノケミカル処理の終点は、上記樹脂被覆無機酸化物粒子(C)が得られればよく、一部未反応(被覆に関与しない)樹脂が残存していてもよい。
光学薄膜形成用塗料の製造方法
つぎに、本発明に係る光学薄膜形成用塗料は、上記製造方法で得られた樹脂被覆無機酸化物粒子(C)に、(メタ) アクリレート系樹脂を混合する。具体的には、前記樹脂被覆無機酸化物粒子(C)を調製する際に、メカニカル処理後、所定の割合となるように、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)とフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)と、有機溶媒とを混合した後、含まれている有機溶媒を除去する。
フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)とフルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート樹脂(B)とを混合した後は、各成分が均一に分散するように撹拌すればよいが、必要に応じてメカノケミカル処理を継続することもできる。
有機溶媒の除去方法は、有機溶媒の種類、沸点、配合量等によっても異なるが、加熱下、好ましくは加熱・減圧下で行う。加熱温度は樹脂によっても異なるが樹脂の重合が開始する温度未満とし、通常50℃以下が好ましい。装置としては、ロータリーエバポレーター、減圧蒸留装置等が採用される。
有機溶媒の除去は、得られる光学薄膜形成用塗料中の有機溶媒の残存量が1000ppm以下、さらには500ppm以下となるまで除去することが好ましい。
光学薄膜形成用塗料中に有機溶媒が多く残存していると、光学薄膜形成用塗料の粘度は低くなるものの、光学薄膜形成時に乾燥工程を設けて有機溶媒を除去する必要があり、残存量によっては膜の緻密性、硬度、耐擦傷性等を向上させる効果が充分得られない場合がある。また、残存有機溶媒によって、硬化時に膜の収縮が大きく、成型性を大きく低下させることがある。
以上のようにして調製された光学薄膜形成用塗料の粘度は10〜8,000mPa・s、好ましくは50〜5,000mPa・s、さらに好ましくは100〜3,000mPa・sの範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば塗工性、ハンドリング性、光学薄膜形成性等に優れている。
さらに、光学薄膜形成用塗料には必要に応じて、重合開始剤または硬化剤を混合することもできる。具体的には、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−メチル−2−メチル−フェニル−プロパン−1−ケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等が挙げられる。これらの含有量は樹脂の重量の2〜20重量%、好ましくは4〜16重量%の範囲にあることが望ましい。
つぎに、本発明に係る光学薄膜について説明する。
光学薄膜
本発明に係る光学薄膜は、前記した光学薄膜形成用塗料を用いて形成されたことを特徴としている。
具体的には、上記した光学薄膜形成用塗料をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材、あるいは鋳型剤に塗布し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって光学薄膜を形成することができる。
光学薄膜の形状、大きさは、発光ダイオードの封止材、液晶表示装置のプリズムシート、ハードコート膜等の用途によって異なる。
例えば、膜厚が一定の透明被膜、屈折率が異なる膜厚が一定の透明被膜を複数積層した透明被膜、その他三角柱が並列に連結したプリズムシート状薄膜、上部表面が凸構造(凸レンズ状)あるいは凹凸構造(波状構造)を有する膜、さらには上部表面に多数の凸構造を有する膜等が挙げられる。
かかる光学薄膜の使用例を、図1〜3に示す。図1はLEDのプリズムシートに本発明の光学薄膜を適用した一例である。また、図2は、LEDの封止材として屈折率の高い順に本発明の光学薄膜を適用した一例である。図3は、LEDの封止材として本発明の厚膜の光学薄膜を適用した一例である。
光学薄膜の厚さは特に制限されず、形状に応じて適宜選択される。通常0.01〜10mm、さらには0.02〜8mmの範囲にある。また、波状、プリズムやレンズ状の薄膜を形成する場合、最大厚みが前記範囲にあればよい。この範囲の厚さであれば、膜硬度、耐擦傷性が高く、薄膜にクラックを生じたり、カーリング(湾曲あるいは反り)を生じることもない。
光学薄膜の光透過率が80%以上、さらには85%以上であることが好ましい。
なお、本発明で、光学薄膜の光透過率は、厚さが70μmの薄膜を形成したときの光透過率である。光学薄膜の光透過率が低ければ、例えば、LEDの封止材に使用した場合、LEDから放出されるエネルギーが熱エネルギーとして蓄熱し、高温となるため封止樹脂が黄変してLEDの輝度が低下する場合がある。
また、光学薄膜の屈折率が1.6〜1.8、さらには1.7〜1.8の範囲にあることが好ましい。
この範囲の屈折率の光学薄膜は、集光性が不充分となり、例えば、LEDの封止材に使用した場合、上記のような蓄熱による封止樹脂の黄変も抑制されるので、LEDなどの輝度が高く保てる。所定の屈折率を有するので封止材による反射も抑えられる。
また、光学薄膜は、一態様として、上部面が1つの凸面である薄膜や、上部面が多数の凸面である薄膜、上部面が凹凸(波状)である薄膜、三角柱が並列に連結したプリズムシート状薄膜であってもよい。
本発明の光学薄膜形成用塗料は溶媒を含まず、このため溶媒を除去する乾燥工程が不要で、しかも、溶媒除去による収縮が起きないので、プリズムシート等を鋳型と同じ形状、大きさで形成することができる。したがって、LEDの封止材や光学材料のプリズムシートやプリズム、凸レンズに本発明の光学薄膜形成用塗料を用いることができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
[実施例1]
無機酸化物粒子(1)の調製
純水1,300gにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(ZrOCl2・8H2O(太陽鉱業(株)製:ZrO2濃度37.2重量%)35gを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液123gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2濃度1重量%)を調製した。ついで、限外濾過膜法で電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
得られたZrO2として濃度1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル2,000gに濃度10重量%のKOH水溶液400gを加えて十分攪拌した後、濃度35重量%の過酸化水素水溶液200g、酒石酸35gを加えた。このとき、激しく発泡して溶液は透明になり、pHは11.5であった。
この溶液をオートクレーブに充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、取り出し、限外濾過膜を用いて10%まで濃縮した後、純水で電導度が0.2mS/cm以下になるまで洗浄した。ついで、固形分濃度20重量%の分散液とし、入口温度400℃の熱風中に噴霧して噴霧乾燥無機酸化物粒子(1)を調製した。この時、出口温度は150℃であった。
ついで、乾燥機で105℃、20時間加熱処理してジルコニアからなる無機酸化物粒子(1)粉末を調製した。
無機酸化物粒子(1)の平均一次粒子径は15nm、平均二次粒子径は10μm、結晶形はX線回折の測定で単斜晶であった。また、屈折率は2.20であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液の調製
ついで、無機酸化物粒子(1)粉末125.45g、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)232.99g、被覆用樹脂としてフェノールノボラック型エポキシアクリレート(新中村化学(株)製:NKオリゴEA−6320/PGMAC、固形分濃度80%)105.06gと、ジルコニアビーズ(直径0.05mm)1713.6gを、ビーズミル(カンペ(株)製:BATCH SAND)に充填し、分散させ、PGME溶剤で濃度調製を行って、無機酸化物粒子(1)の固形分濃度20重量%、全固形分濃度(無機酸化物粒子(1)+樹脂)33.4重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液を調製した。無機酸化物微粒子(1)と被覆用樹脂との重量比は60/40であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(1)の平均粒子径、屈折率を測定し、結果を表1に示した。平均粒子径はレーザー粒径解析システム(大塚電子製:FPAR-1000)で測定した。
光学薄膜形成用塗料(1)の調製
樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)12gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)22.5gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(1)を調製した。
この時、樹脂被覆無機酸化物粒子(1)(ZrO2+被覆樹脂)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)、(メタ)アクリレート系樹脂(B)との重量比((1)/(A)/(B))は49.2/17.7/33.1であった。また、(CF)/(CR)は1.87であった。
得られた光学薄膜形成用塗料(1)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。なお、安定性、粘度、屈折率は下記の方法、評価基準により評価した。
安定性評価
光学薄膜形成用塗料(1)を透明性容器に充填して静置し、容器の下部に沈降粒子の状況を観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示した。
1週間以上粒子の沈降層が認められなかった。:◎
3〜6日で粒子の沈降層が認められた。 :○
1〜2日で粒子の沈降層が認められた。 :△
1日以内に粒子の沈降層が認められた。 :×
粘度
光学薄膜形成用塗料(1)の液温を25℃に調整し、E型粘度計(東京計器(株)製:EHD型)で測定した。
屈折率
光学薄膜形成用塗料(1)の液温を25℃にしてアッベ屈折率計(アタゴ(株)製:NAR-3T型)で測定した。
光学薄膜(1)の製造
光学薄膜形成用塗料(1)66.8gに、光開始剤として1-ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(BASF(株)製:イルガキュア184)2.7gを混合して光開始剤を添加した光学薄膜形成用塗料(1)を調製した。
光開始剤を添加した光学薄膜形成用塗料(1)を易接着PETフィルム(東洋紡(株)製:コスモシャインA−4300、厚さ:188μm、屈折率:1.65、全光線透過率91.0%、ヘーズ0.8%)にバーコーター法(バー#40)で塗布し、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製:UV照射装置CS30L21−3)で1200mJ/cm2の条件で照射して硬化させ、光学薄膜(1)付基材を調製した。このときの光学薄膜(1)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(1)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。全光線透過率およびヘーズをヘーズメーター(日本電色工業(株)製NDH−2000)により測定し、結果を表1に示す。さらに、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示す。
鉛筆硬度の測定
JIS−K−5600に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
耐擦傷性の測定
#0000スチールウールを用い、荷重250g/cm2で50回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示す。
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
塗膜の屈折率
上記PETフィルム基板に代えてシリコンウエハー上に光開始剤を添加した光学薄膜形成用塗料(1)を同様にして塗布、硬化させて厚さ50μmの塗膜を形成し、エリプソメーター(SOPRA社製:ESVG)により屈折率を測定、結果を表1に示す。
[実施例2]
光学薄膜形成用塗料(2)の調製
実施例1と同様にして調製した樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:206)9.3gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)47.1gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(2)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は31.6/23.8/44.6であった。また、(CF)/(CR)は1.87であった。
得られた光学薄膜形成用塗料(2)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(2)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(2)を用いた以外は同様にして光学薄膜(2)付基材を調製した。このときの光学薄膜(2)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(2)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例3]
光学薄膜形成用塗料(3)の調製
実施例1と同様にして調製した樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)9.3gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)17.5gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(3)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は55.5/15.5/29である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(3)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(3)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(3)を用いた以外は同様にして光学薄膜(3)付基材を調製した。このときの光学薄膜(3)の厚さは90μmであった。得られた光学薄膜(3)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例4]
光学薄膜形成用塗料(4)の調製
実施例1と同様にして調製した樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)11.1gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)23.4gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(4)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/16.4/34.4である。また、(CF)/(CR)は2.1である。
得られた光学薄膜形成用塗料(4)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(4)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(4)を用いた以外は同様にして光学薄膜(4)付基材を調製した。このときの光学薄膜(4)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(4)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例5]
光学薄膜形成用塗料(4)の調製
実施例1と同様にして調製した樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)17.2gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)17.2gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(4)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は、49.2/25.4/25.4である。また、(CF)/(CR)は1.0である。
得られた光学薄膜形成用塗料(5)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(5)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(5)を用いた以外は同様にして光学薄膜(5)付基材を調製した。このときの光学薄膜(5)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(5)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例6]
光学薄膜形成用塗料(6)の調製
実施例1において、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシエチルメタクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル PHE−1G、分子量:206)12gを加えた以外は同様にして光学薄膜形成用塗料(6)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は、49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
光学薄膜(6)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(6)を用いた以外は同様にして光学薄膜(6)付基材を調製した。このときの光学薄膜(6)の厚さは70μmであった。得られた光学薄膜(6)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例7]
光学薄膜形成用塗料(7)の調製
実施例1において、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)として2-メタクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート(共栄社化学(株)製:ライトエステル HO−MPP、分子量:336)12gを加えた以外は同様にして光学薄膜形成用塗料(7)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
光学薄膜(7)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(7)を用いた以外は同様にして光学薄膜(7)付基材を調製した。このときの光学薄膜(7)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(7)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率、を測定し、結果を表1に示す。
[実施例8]
無機酸化物粒子(2)の調製
実施例1において、オートクレーブに充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、取り出し、限外濾過膜を用いて10%まで濃縮した後、純水で電導度が0.2mS/cm以下になるまで洗浄した。その後、乾燥機で105℃、20時間乾燥した後、乳鉢で粉砕し、ついで44μmの金網で篩って、ジルコニアからなる無機酸化物粒子(2)粉末を調製した。
無機酸化物粒子(2)の平均一次粒子径は15nm、平均二次粒子径は35μm、結晶形はX線回折の測定で単斜晶であった。また、屈折率は2.20であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(2)有機溶媒分散液の調製
実施例1において、無機酸化物粒子(2)粉末125.45gを用いた以外は同様にして無機酸化物粒子(2)の固形分濃度20重量%、全固形分濃度(無機酸化物粒子(1)+樹脂)33.4重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(2)有機溶媒分散液を調製した。
樹脂被覆無機酸化物粒子(1)の平均粒子径、屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜形成用塗料(8)の調製
実施例1において、樹脂被覆無機酸化物粒子(2)を用いた以外は同様にして光学薄膜形成用塗料(8)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(2)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は、49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(8)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(8)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(8)を用いた以外は同様にして光学薄膜(8)付基材を調製した。このときの光学薄膜(8)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(8)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例9]
樹脂被覆無機酸化物粒子(3)有機溶媒分散液の調製
実施例1において、無機酸化物粒子(1)粉末125.45g、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)232.99g、被覆用樹脂としてフェノールノボラック型エポキシアクリレート(新中村化学(株)製:NKオリゴEA−6320/PGMAC、固形分濃度80%)67.2gと、ジルコニアビーズ(直径0.05mm)1713.6gを、ビーズミル(カンペ(株)製:BATCH SAND)に充填し、分散させ、PGME溶剤で濃度調製を行って、無機酸化物粒子(1)の固形分濃度20重量%、全固形分濃度(無機酸化物粒子(1)+樹脂)28.6重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(3)有機溶媒分散液を調製した。無機酸化物微粒子(1)と被覆樹脂との重量比は70/30であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(3)の平均粒子径、屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜形成用塗料(9)の調製
樹脂被覆無機酸化物粒子(3)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)10.3gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクルレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)19.2gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(9)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(3)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(9)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(9)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(9)を用いた以外は同様にして光学薄膜(9)付基材を調製した。このときの光学薄膜(9)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(9)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例10]
樹脂被覆無機酸化物粒子(4)有機溶媒分散液の調製
実施例1において、無機酸化物粒子(1)粉末125.45g、有機溶媒としてアセトン232.99g、被覆用樹脂としてフェノールノボラック型エポキシアクリレート(新中村化学(株)製:NKオリゴEA−6320/PGMAC、固形分濃度80%)156.8gと、ジルコニアビーズ(直径0.05mm)1713.6gを、ビーズミル(カンペ(株)製:BATCH SAND)に充填し、分散させ、PGME溶剤で濃度調製を行って、無機酸化物粒子(1)の固形分濃度20重量%、全固形分濃度(無機酸化物粒子(1)+樹脂)40重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(4)有機溶媒分散液を調製した。無機酸化物微粒子(1)と被覆樹脂との重量比は50/50であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(4)の平均粒子径、屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜形成用塗料(10)の調製
実施例1において、樹脂被覆無機酸化物粒子(4)を用いた以外は同様にして光学薄膜形成用塗料(10)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(4)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は50/18/32である。また、(CF)/(CR)は1.8である。得られた光学薄膜形成用塗料(10)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(10)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(10)を用いた以外は同様にして光学薄膜(10)付基材を調製した。このときの光学薄膜(10)の厚さは70μmであった。得られた光学薄膜(10)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例11]
光学薄膜形成用塗料(11)の調製
実施例1において、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を55℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(12)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。得られた光学薄膜形成用塗料(11)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(11)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(11)を用いた以外は同様にして光学薄膜(11)付基材を調製した。このときの光学薄膜(11)の厚さは30μmであった。得られた光学薄膜(12)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[比較例1]
光学薄膜形成用塗料(R1)の調製
樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)34.5gを加え、十分に攪拌した。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(R1)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/50.8/0である。また、(CF)/(CR)は0である。
得られた光学薄膜形成用塗料(R1)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(R1)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(R1)を用いた以外は同様にして光学薄膜(R1)付基材を調製した。このときの光学薄膜(R1)の厚さは70μmであった。得られた光学薄膜(R1)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[比較例2]
光学薄膜形成用塗料(R2)の調製
樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)34.5gを加え、十分に攪拌した。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(R2)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/0/50.8である。
得られた光学薄膜形成用塗料(R2)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(R2)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(R2)を用いた以外は同様にして光学薄膜(R2)付基材を調製した。このときの光学薄膜(R2)の厚さは150μmであった。
得られた光学薄膜(R2)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率測定し、結果を表1に示す。
[比較例3]
無機酸化物粒子(R1)の調製
純水1,300gにオキシ塩化ジルコニウム8水和物(ZrOCl2・8H2O(太陽鉱業(株)製:ZrO2濃度37.2重量%)35gを溶解し、これに濃度10重量%のKOH水溶液123gを添加してジルコニウム水酸化物ヒドロゲル(ZrO2濃度1重量%)を調製した。ついで、限外濾過膜法で電導度が0.5mS/cm以下になるまで洗浄した。
得られたZrO2として濃度1重量%のジルコニウム水酸化物ヒドロゲル2,000gに濃度10重量%のKOH水溶液400gを加えて十分攪拌した後、濃度35重量%の過酸化水素水溶液200g、酒石酸10gを加えた。このとき、激しく発泡して溶液は透明になり、pHは11.5であった。
この溶液をオートクレーブに充填し、150℃で11時間水熱処理を行った後、取り出し、限外濾過膜を用いて10%まで濃縮した後、純水で電導度が0.2mS/cm以下になるまで洗浄した。ついで、固形分濃度20重量%の分散液とし、入口温度400℃の熱風中に噴霧して噴霧乾燥無機酸化物粒子(R1)を調製した。この時、出口温度は150℃であった。
ついで、乾燥機で105℃、20時間加熱処理してジルコニアからなる無機酸化物粒子(R1)粉末を調製した。
無機酸化物粒子(R1)の平均一次粒子径は60nm、平均二次粒子径は15μm、結晶形はX線回折の測定で単斜晶であった。また、屈折率は2.20であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(R1)有機溶媒分散液の調製
ついで、無機酸化物粒子(R1)粉末125.45g、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)232.99g、被覆用樹脂としてフェノールノボラック型エポキシアクリレート(新中村化学(株)製:NKオリゴEA−6320/PGMAC、固形分濃度80%)105.06gと、ジルコニアビーズ(直径0.05mm)1713.6gを、ビーズミル(カンペ(株)製:BATCH SAND)に充填し、分散させ、PGME溶剤で濃度調製を行って、無機酸化物粒子(R2)の固形分濃度20重量%、全固形分濃度(無機酸化物粒子(R1)+樹脂)33.4重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(R1)有機溶媒分散液を調製した。無機酸化物微粒子(R1)と被覆用樹脂との重量比は60/40であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(R1)の平均粒子径を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜形成用塗料(R3)の調製
実施例1において、全固形分濃度33.4重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(R1)有機溶媒分散液を用いた以外は同様にして光学薄膜形成用塗料(R3)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(R1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(R3)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(R3)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(R4)を用いた以外は同様にして光学薄膜(R4)付基材を調製した。このときの光学薄膜(R4)の厚さは120μmであった。
得られた光学薄膜(R3)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例12]
光学薄膜形成用塗料(12)の調製
実施例1と同様にして調製した樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてアクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製:分子量:86)12gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)22.5gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(12)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(12)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(12)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(12)を用いた以外は同様にして光学薄膜(12)付基材を調製した。このときの光学薄膜(12)の厚さは70μmであった。
得られた光学薄膜(12)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[比較例4]
光学薄膜形成用塗料(R5)の調製
実施例1と同様にして調製した樹脂被覆無機酸化物粒子(1)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてポリグリセリンポリエチレングリコールポリアクリレート(新中村化学(株)製:NK ECONOMER A-PG5054E、分子量:3400)12gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)22.5gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(R5)を調製した。
塗料中の樹脂被覆無機酸化物粒子(1)と(メタ)アクリレート系樹脂(A)および(B)との重量比は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(R5)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(R5)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(R5)を用いた以外は同様にして光学薄膜(R5)付基材を調製した。このときの光学薄膜(R5)の厚さは130μmであった。
得られた光学薄膜(R5)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[実施例13]
無機酸化物粒子(13)の調製
純水8060gに硝酸アンモニウム13gと15%アンモニア水20gを入れ攪拌し、50℃に昇温した。この中に純水4290gに錫酸カリウム1519gを溶解した液を10時間かけてローラーポンプで添加した。このときpHコントローラーでpHを8.8に保つよう濃度10重量%の硝酸を添加して調整した。添加終了後1時間50℃をキープした後、濃度10重量%の硝酸を添加しpHを3.0まで下げた。次に限外濾過膜で濾水電導度が10μS/cmになるまで純水で洗浄した後、限外濾過膜で濃縮し取り出した。このとき取り出した液量は6000gで固形分(SnO2)濃度は12重量%であった。このスラリーの中に濃度16重量%のリン酸水溶液264gを添加し、0.5時間攪拌した。
これを105℃で2時間乾燥し、ついで700℃で2時間焼成して、Pドープ酸化錫(PTO)からなる無機酸化物粒子(13)粉末を調製した。無機酸化物粒子(13)粉末の平均一次粒子径は15nm、平均二次粒子径は0.45μm、体積抵抗値は5000Ω・cmであった。また、屈折率は1.90であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(13)有機溶媒分散液の調製
ついで、無機酸化物粒子(13)粉末125.45g、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)232.99g、被覆用樹脂としてフェノールノボラック型エポキシアクリレート(新中村化学(株)製:NKオリゴEA−6320/PGMAC、固形分濃度80%)67.2gと、ジルコニアビーズ(直径0.05mm)1713.6gを、ビーズミル(カンペ(株)製:BATCH SAND)に充填し、分散させ、PGME溶剤で濃度調製を行って、無機酸化物粒子(13)の固形分濃度20重量%、全固形分濃度(無機酸化物粒子(13)+樹脂)28.6重量%の樹脂被覆無機酸化物粒子(13)有機溶媒分散液を調製した。無機酸化物微粒子(13)と被覆用樹脂との重量比は70/30であった。
樹脂被覆無機酸化物粒子(13)の平均粒子径、屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜形成用塗料(13)の調製
樹脂被覆無機酸化物粒子(13)有機溶媒分散液100gに、フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)としてフェノキシポリエチレングリコールアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステル AMP−20GY、分子量:236)10.3gを加え、十分に攪拌した後、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)としてフルオレンアクリレート(大阪ガスケミカル(株)製:オグソールEA-0200)19.2gを加えた。
ついで、ロータリーエバポレーター(柴田化学(株)製)で、温浴の温度を60℃にし、減圧度を徐々に上げ2時間で溶剤を除去して光学薄膜形成用塗料(13)を調製した。
この時、樹脂被覆無機酸化物粒子(13)(PTO+被覆樹脂)とフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)との重量比((13)/(A)/(B))は49.2/17.7/33.1である。また、(CF)/(CR)は1.87である。
得られた光学薄膜形成用塗料(13)の有機溶媒の残量および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(13)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(13)を用いた以外は同様にして光学薄膜(13)付基材を調製した。このときの光学薄膜(13)の厚さは70μmであった。得られた光学薄膜(13)の全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
[参考実施例14]
光学薄膜形成用塗料(14)の調製
実施例1と同様にして光学薄膜形成用塗料(1)を調製し、これに有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)を塗料中の濃度が5重量%となるように添加して光学薄膜形成用塗料(14)を調製した。
得られた光学薄膜形成用塗料(14)の有機溶媒の濃度および安定性、粘度および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
光学薄膜(14)の製造
実施例1において、光学薄膜形成用塗料(14)を用い、塗布したのち80℃、5分間乾燥した以外は同様にして光学薄膜(14)付基材を調製した。このときの光学薄膜(14)の厚さは8μmであった。
得られた光学薄膜(12)の全光線透過率、ヘーズ、耐擦傷性、屈折率を測定し、結果を表1に示す。
Figure 0005815304
Figure 0005815304
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Claims (11)

  1. 重量平均分子量が86〜3,000の範囲にあるフルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)と、
    フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)と、
    無機酸化物微粒子が、フェノールノボラック型エポキシアクリレート、クレゾールノボラック型エポキシアクリレートから選ばれる芳香族環を有する(メタ)アクリレート系樹脂で、(粒子/樹脂)の重量比で97/3〜20/80で被覆された平均粒子径が5〜50nmの範囲にある樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)とを含み、
    前記フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の濃度(CR)が固形分として10〜60重量%の範囲にあり、前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)の濃度(CF)が固形分として10〜60重量%の範囲にあり、前記樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の濃度が固形分として20〜70重量%の範囲にあり、有機溶媒の濃度が800ppm以下であることを特徴とする光学薄膜形成用塗料。
  2. フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)が、芳香環および/またはエポキシ環を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の光学薄膜形成用塗料。
  3. 前記フルオレン骨格を有さない(メタ)アクリレート系樹脂(A)の濃度(CR)と前記フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレート系樹脂(B)の濃度(CF)の濃度比(CF)/(CR)が0.2〜3.0の範囲にあることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の光学薄膜形成用塗料
  4. 前記樹脂被覆無機酸化物微粒子(C)の屈折率が1.7〜2.1の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学薄膜形成用塗料。
  5. 前記無機酸化物微粒子がジルコニア系微粒子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光学薄膜形成用塗料。
  6. 粘度(η)が10〜8,000Pa・sの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学薄膜形成用塗料。
  7. 屈折率が1.5〜1.8の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光学薄膜形成用塗料。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の光学薄膜形成用塗料を用いて形成されたことを特徴とする光学薄膜。
  9. 光透過率が80%以上であることを特徴とする請求項8に記載の光学薄膜。
  10. 屈折率が1.6〜1.8の範囲にあることを特徴とする請求項8または9に記載の光学薄膜。
  11. 波型形状、プリズム状、鋸歯状、凸レンズ、凹レンズ状の形状が付与されてなることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の光学薄膜。
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