JP5148846B2 - 透明被膜形成用塗料および透明被膜付基材 - Google Patents

透明被膜形成用塗料および透明被膜付基材 Download PDF

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Description

本発明は、1種の塗料を一回塗布することによって少なくとも2種以上の機能、例えばハードコート機能、反射防止性能等を有する透明被膜の形成に用いることのできる透明被膜形成用塗料および該透明被膜形成用塗料を用いて形成された透明被膜付基材に関する。
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート膜を形成することが知られており、このようなハードコート膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに耐擦傷性を向上させることが行われている。
また、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の反射を防止するため、その表面に反射防止膜を形成することが知られており、たとえば、コート法、蒸着法、CVD法等によって、フッ素樹脂、フッ化マグネシウムのような低屈折率の物質の被膜をガラスやプラスチックの基材表面に形成したり、シリカ微粒子等の低屈折率微粒子を含む塗布液を基材表面に塗布して、反射防止被膜を形成する方法が知られている(たとえば、特開平7-133105号公報(特許文献1)など参照)。このとき、反射防止性能
を高めるために反射防止被膜の下層に高屈折率の微粒子等を含む高屈折率膜を形成することも知られている。
さらに、基材に帯電防止性能、電磁波遮蔽性能を付与するために導電性の酸化物微粒子、金属微粒子等を含む導電性被膜を形成することも行われている。例えば、陰極線管、蛍光表示管、液晶表示板などの表示パネルのような透明基材の表面の帯電防止および反射防止を目的として、これらの表面に帯電防止機能および反射防止機能を有する透明被膜を形成することが行われていた。
特に、近年、このような各種機能性の被膜を積層して用いることが行われている。例えば、基材上にハードコート膜を形成し、導電性被膜あるいは高屈折率被膜を形成し、反射防止膜を形成することが行われている。
しかしながら、各膜は、塗料を塗布し、乾燥し、必要に応じて硬化させる工程からなるために、上記多層膜を形成する場合に多くの工程を必要とし、各膜間の密着性が不充分であったり、生産性、経済性等に問題があった。
また、本願発明者等は、特許文献2(特開2003-12965号公報)において、平
均粒子径が異なり、粒子径の小さい導電性微粒子と粒子径の大きい低屈折率微粒子の異なる2種の微粒子を含む塗布液を用いることによって、1回の塗布で反射防止性能に優れた導電性被膜が形成できることを提案している。
特開平7-133105号公報 特開2003-12965号公報
昨今、工程の簡略化や、被膜自体の厚さを薄くするために、塗料を1回で塗布しただけで、2種以上の機能を有する透明被膜が求められている。
前記した特許文献2の塗布液では、2種の微粒子の混合物であるため、1層を形成した
だけでは、必ずしも反射防止性能、帯電防止性能が不充分となることがあり、さらにプラスチック等の基材への密着性が低く、かつ膜の強度が不充分となることがあった。
本発明者らは、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、塗布して形成した被膜内で、上下完全に分離する形で微粒子層を形成すれば、塗料を1回で塗布しただけで、2種以上の機能を有する透明被膜などが形成できることを考えた。
そして、さらに検討した結果、特定の有機珪素化合物で表面を疎水化処理してなり、特定の表面電荷量を有する金属酸化物粒子を、疎水性マトリックス形成成分と組合わせることで、金属酸化物粒子が透明被膜中に均一に分散することなく透明被膜の下部であって基材の上部に層をなしていることを見出し、即ち、一回の被膜形成で2種以上、即ち、一回の被膜形成で2種以上の機能を有する被膜形成が可能であることを見出して、本発明を完成するに至った。
[1](A)表面が下記式(1)で表される有機珪素化合物および/または疎水性官能基を有する
多官能アクリル酸エステル樹脂で表面処理されてなり、表面電荷量(QA)が25〜10
0μeq/gの範囲にある金属酸化物微粒子と、
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
(B)前記式(1)で表される有機珪素化合物および/またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物から選ばれるシリコーン系マトリックス形成成分、有機樹脂系マトリックス形成成分から選ばれるマトリックス形成成分と、
(C)極性溶媒とからなる透明被膜形成塗料であって、
金属酸化物微粒子(A)の固形分としての濃度(CPA)が0.1〜20重量%の範囲にあ
り、マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CM)が1〜50重量%の範囲にある
ことを特徴とする透明被膜形成用塗料。
[2]前記マトリックス形成成分が親水性マトリックス形成成分と疎水性マトリックス形成
成分とからなり、親水性マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CMA)と疎水性マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CMB)との濃度比(CMB)/(CMA)が0.01〜1の範囲にある[1]の透明被膜形成用塗料。
[3]前記金属酸化物微粒子(A)の平均粒子径が5〜500nmの範囲にある[1]または[2]の透明被膜形成用塗料。
[4]前記親水性マトリックス形成成分が、下記式(2)で表される有機珪素化合物またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物および/または親水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であり、
SiX4 (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素)
前記疎水性マトリックス形成成分が、下記式(3)で表される有機珪素化合物またはこれ
らの加水分解物、加水分解重縮合物および/または疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂である[2]または[3]の透明被膜形成用塗料。
n-SiX4-n (3)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一
であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
[5]前記親水性官能基が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、グリシジル基か
ら選ばれる1種または2種以上であり、前記疎水性官能基が、(メタ)アクリロイル基、アルキル基、フェニル基、ウレタン基、CF2基から選ばれる1種以上である[2]〜[4]の
透明被膜形成用塗料。
[6]基材上に透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、
透明被膜が、(A)表面が下記式(1)で表される有機珪素化合物および/または疎水性官能基を有する多官能アクリル酸エステル樹脂で表面処理されてなり、表面電荷量(QA)が
25〜100μeq/gの範囲にある金属酸化物微粒子(A)と、
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
(B)前記式(1)で表される有機珪素化合物および/またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物から選ばれるシリコーン系マトリックス成分、有機樹脂系マトリックス成分から選ばれるマトリックス成分とからなり、
金属酸化物粒子(A)が透明被膜中であって基材の表面に層をなして偏在し、透明被膜中
の金属酸化物微粒子(A)の含有量(WPA)が0.2〜90重量%の範囲にあり、マトリッ
クス成分の含有量(WM)が10〜99.8重量%の範囲にあることを特徴とする透明被
膜付基材。
[7]前記マトリックス成分が親水性マトリックス成分と疎水性マトリックス成分とからな
り、親水性マトリックス成分の固形分としての含有量(WMA)と疎水性マトリックス成分の固形分としての含有量(WMB)との含有量の比(WMB)/(WMA)が0.01〜1の範囲にある[6]の透明被膜付基材。
[8]前記親水性マトリックス成分が下記式(2)で表される有機珪素化合物の加水分解重縮合物および/または親水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であり、
SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素)
前記疎水性マトリックス成分が下記式(3)で表される有機珪素化合物の加水分解重縮合
物および/または疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂である[6]
または[7]の透明被膜形成用塗料。
n-SiX4-n (3)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
[9]前記親水性官能基が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、から選ばれる1
種以上であり、前記疎水性官能基が、(メタ)アクリロイル基、アルキル基、フェニル基、ウレタン基、CF2基から選ばれる1種または2種以上である[8]の透明被膜付基材。
本発明によれば、一回の塗布により、上下に分離した機能の異なる層を少なくとも2層形成することのできる透明被膜形成用塗料および透明被膜付基材を提供することができる
また、一回の塗工で透明被膜が得られるため工程が大幅に短縮できるとともに歩留まりが向上し、得られる透明被膜は密着性にも優れている。
以下、先ず、本発明に係る透明被膜形成用塗料について具体的に説明する。
透明被膜形成用塗料
本発明に係る透明被膜形成塗料は、特定の表面電荷量(QA)を有する金属酸化物微粒
子(A)とマトリックス形成成分と極性溶媒とからなる。
金属酸化物微粒子(A)
本発明に用いる金属酸化物微粒子(A)としては、疎水性を有していれば特に制限はなく
従来公知の金属酸化物微粒子を用いることができ、被膜の形成目的によって適宜選択して用いることができるが、表面電荷量(QA)が25〜100μeq/g、さらには30〜
100μeq/gの範囲にあることが好ましい。
Aが小さい場合はマトリックス形成成分の種類によっては膜を形成した際に金属酸化
物微粒子が膜中に均一に分散したり、膜の上部に分散し、膜の下部に偏在して配列しない場合がある。また微粒子のQAが大きすぎても、塗料中で金属酸化物微粒子が凝集し、得
られる膜が白化したり、基材との密着性や膜の強度が不充分となることがある。
金属酸化物粒子としては用途によって適宜選択して用いることができ、例えば、ハードコート膜に用いる金属酸化物微粒子としては、ZrO2、TiO2、Sb25、ZnO2、Al2
3、SnO2、あるいはこれら粒子が鎖状に連結した鎖状粒子、あるいは前記した屈折率
が1.45以下のシリカ系微粒子等が挙げられる。
高屈折率膜に用いる金属酸化物微粒子としては、通常屈折率が1.60以上、さらには1.80以上の微粒子が用いられ、具体的にはZrO2、TiO2、Sb25、ZnO2、Al2
3、SnO2、アンチモンドープ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、酸化錫ドープリン(
PTO)等が挙げられる。
導電性膜に用いる金属酸化物微粒子としては、通常Sb25、SnO2、アンチモンドー
プ酸化錫、錫ドープ酸化インジウム、酸化錫ドープリン(PTO)、あるいはこれら導電性材料で表面を被覆したシリカ系微粒子あるいは内部に空洞を有するシリカ系微粒子等が挙げられる。
金属酸化物微粒子(A)は、表面が下記式(1)で表される有機珪素化合物および/または疎水性官能基を有する多官能アクリル酸エステル樹脂で表面処理されている。
n-SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
このような式(1)で表される有機珪素化合物としてはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフルオロプ
ロピルジメトキシシラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエ
トキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピル
メチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン等が挙げられる。
疎水性を有する多官能アクリル酸エステル樹脂としてはペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n-ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、ウレタンアクリレート等が挙げられる。
上記有機珪素化合物を用いる場合、金属酸化物微粒子との量比(有機珪素化合物の固形分としての重量/金属酸化物微粒子の重量)は金属酸化物微粒子の平均粒子径によっても異なるが0.03〜0.1の範囲にある。
前記重量比が小さすぎると、極性溶媒中での分散性、安定性が低く、塗料の安定性が不充分となり、膜を形成した際に膜が白化する場合がある。前記重量比が大きすぎても、金属酸化物微粒子(A)の表面電荷量が20μq/g以下となり、疎水性が高過ぎるためか塗
料中で金属酸化物微粒子(A)が凝集することがあり、また、膜の上部に位置するようにな
り、膜の下部に偏在した層を形成しない場合がある。
上記疎水性を有する多官能アクリル酸エステル樹脂を用いる場合、金属酸化物微粒子との量比(疎水性を有する多官能アクリル酸エステル樹脂の固形分としての重量/金属酸化物微粒子の重量)は有機珪素化合物を用いる場合と同様、金属酸化物微粒子の平均粒子径によっても異なるが、0.03〜0.1の範囲にある。
ここで、金属酸化物微粒子(A)が膜の下部に偏在して配列するとは、透明被膜中で、基
材の表面あるいはその近傍に粒子が存在することをいい、金属酸化物微粒子が膜の下部に配列するとは、基材表面とその近傍にのみ金属微粒子が存在することをいう。
本発明の透明被膜では、金属酸化物微粒子(A)が透明被膜の下部に偏在して分布してい
るが、このとき、金属酸化物微粒子(A)が複数の層(すなわち多層)をなしていてもよく
、単層をなしていてもよく、あるいは一部が上部に点在していてもよい。
前記した金属酸化物微粒子(A)の表面電荷量の測定方法は、表面電位滴定装置(Mutek(
株) pcd-03)を用いて、微粒子の分散液を0.001Nのpoly-塩化ジアリルジメチルア
ンモニウムを用いて滴定し、粒子単位グラム当たりの表面電荷量(μeq/g)求めることができる。
金属酸化物微粒子(A)の平均粒子径は、5〜500nm、さらには10〜100nmの
範囲にあることが好ましい。
平均粒子径が小さいものは得ることが困難であり、平均粒子径が500nmを超えると塗布膜時のヘーズ値が、高く光学膜として使用できない場合がある。
本発明に好適に用いることのできる金属酸化物微粒子(A)は、例えば、前記した金属酸
化物微粒子のアルコール分散液に前記した有機珪素化合物を所定量加え、これに水を加え、必要に応じて有機珪素化合物の加水分解用触媒として酸またはアルカリを加えて有機珪素化合物を加水分解する。あるいは、前記した疎水性を有する多官能アクリル酸エステル樹脂を熱的にあるいは重合開始材により重合させて金属酸化物微粒子(A)の粒子表面を被
覆する。
ついで、有機溶媒に置換することによって金属酸化物微粒子(A)の有機溶媒分散液を得
ることができる。有機溶媒としては、後述する極性溶媒を用いることが好ましい。
このような金属酸化物微粒子(A)の透明被膜形成用塗料中の固形分としての濃度(CPA
)が0.1〜20重量%、さらには0.2〜15重量%の範囲にあることが好ましい。CPAが小さい場合は、膜の下部に偏在しても粒子の量が少ないため粒子の有する特性(基材との密着性、ハードコート機能、高屈折率、導電性等)によるハードコート性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合がある。CPAが大きすぎると、得られる膜中の粒子の割合が多すぎて実質的に膜中に金属酸化物微粒子が全域に亘って均一に分散した膜となり、本発明の2種以上の機能を有する膜が得られない場合がある。
金属酸化物微粒子(B)
本発明の透明被膜形成塗料には、さらに金属酸化物微粒子(B)を含んでいてもよい。
金属酸化物微粒子(B)としては、同時に含まれる金属酸化物微粒子(A)より疎水性で、金属酸化物微粒子(A)の表面電荷量より20〜95μeq/gの範囲で小さい表面電荷量の
粒子を用いる。好適には、低屈折率のものが望ましい。
金属酸化物微粒子(B)は、前記金属酸化物微粒子(A)と同様に金属酸化物微粒子が表面処理されているが、通常、金属酸化物微粒子としては前記した金属酸化物微粒子(A)に用い
る金属酸化物微粒子と異なる金属酸化物微粒子を、目的に応じて選択して用いる。具体的には、前記金属酸化物微粒子(A)で例示したものがあげられる。また、表面処理は、表面
電荷量が所定の差(すなわち金属酸化物微粒子(A)の表面電荷量が高くなる)となるよう
に選択される。たとえば、金属酸化物微粒子(A)に用いたものよりも、親水性の高いもの
や、処理量を少なくするなどの処理法が選択される。
具体的に金属酸化物微粒子(B)としては、通常屈折率が1.45以下、さらには1.4
0以下の微粒子が用いられ、例えばSiO2、内部に空洞を有するSiO2、あるいはこれらに導電性を有する金属酸化物を被覆した微粒子等が挙げられる。
金属酸化物微粒子(B)の表面電荷量(QB)は5〜80μeq/g、さらには7〜50μeq/gの範囲にあることが好ましい。
金属酸化物微粒子(B)の表面電荷量(QB)が小さい場合は疎水性が高過ぎるためか塗料中で金属酸化物微粒子(B)が凝集することがあり、前記下部金属酸化物微粒子(A)層の上部に均一に分散したり、膜の上部に偏在して層を形成しない場合がある。
金属酸化物微粒子(B)の表面電荷量(QB)が80μeq/gを超えると膜を形成した際に金属酸化物微粒子(B)が上層に偏在せず、膜中に分散する傾向がある。
また、金属酸化物微粒子(A)の表面電荷量(QA)と金属酸化物微粒子(B)の表面電荷量
(QB)との差(QA)−(QB)が20〜95μeq/g、さらには25〜85μeq/
gの範囲にあることが好ましい。
(QA)−(QB)が小さい場合は、金属酸化物微粒子(A)と金属酸化物微粒子(B)の表面電荷量の差が小さく、これら微粒子の分離が不充分となり本発明の2種以上の機能を有する膜が得られない場合がある。(QA)−(QB)が大きすぎても、金属酸化物微粒子(A)が凝集するとともに金属酸化物微粒子(B)も凝集し、得られる膜が白化したり、基材との密着性や強度が不充分となることがある。
このような金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径は5〜500nm、さらには10〜10
0nmの範囲にあることが好ましい。金属酸化物微粒子(B)の平均粒子径が小さいものは
得ることが困難であり、大きすぎると塗料の安定性が不充分となることがあり、また、得られる膜の透明性が低下したり、さらには膜が白化することがある。
金属酸化物微粒子(B)の透明被膜形成用塗料中の固形分としての濃度(CPB)が0.1
〜20重量%、さらには0.2〜15重量%の範囲にあることが好ましい。CPBが小さい場合は、金属酸化物微粒子(B)が膜の上部に偏在しても粒子の量が少ないため粒子の有す
る特性(低高屈折率等)による反射防止性能向上効果が不充分となる場合がある。また、CPAが大きすぎると、得られる膜中の粒子の割合が多すぎて金属酸化物微粒子(A)と混合
したり、膜中に金属酸化物微粒子(B)が全域に亘って分散した膜となり、本発明の2種以
上の機能を有する膜が得られない場合がある。
マトリックス形成成分
マトリックス形成成分としては、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分、有機樹脂系マトリックス形成成分等が用いられる。
シリコーン系マトリックス形成成分としては前記式(5)と同様の有機珪素化合物および
/またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物が好適に用いられる。
また、有機樹脂系マトリックス形成成分としては、塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、電子線硬化樹脂等が挙げられる。
このような樹脂として、たとえば、従来から用いられているポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂、紫外線硬化型アクリル樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであっても
よく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
本発明に用いるマトリックス形成成分は親水性マトリックス形成成分と疎水性マトリックス形成成分とからなることが好ましい。親水性のシリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分としては、下記式(1)で表される有機珪素化合物またはこれらの加水分解物
、加水分解重縮合物が用いられる。
SiX4-n (1)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素)
具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびこれらの加水分解物、加水分解重縮合物等を好適に用いることができる。
疎水性のシリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス形成成分としては、下記式(2)で表
される有機珪素化合物またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物が用いられる。
n-SiX4-n (2)
(但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
なかでも、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル-3,3,3−トリフ
ルオロプロピルジメトキシシランおよびこれらの加水分解物、加水分解重縮合物は好適に用いることができる。
また、親水性の有機樹脂系マトリックス形成成分としては、水酸基(OH基)、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の親水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂が挙げられ、具体的には、水酸基(OH基)、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の親水性官能基を有するペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の他、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレートおよびこれらの混合物が挙げられる。
疎水性の有機樹脂系マトリックス形成成分としては、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基等の疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル
酸エステル樹脂が挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメテクリレート、イソデシルメテクリレート、n-ラウリルアクリレート、n−ステアリルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメテクリレート、ウレタンアクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。
前記親水性マトリックス形成成分を疎水性マトリックス形成成分と混合して用いると金属酸化物微粒子(A)と金属酸化物微粒子(B)が分離しやすくなり、二層に分かれた膜を
得ることが容易となる。
親水性マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CMA)と疎水性マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CMB)との濃度比(CMA)/(CMB)が0.01〜1、さらには0.05〜0.5の範囲にあることが好ましい。濃度比(CMA)/(CMB)が小さい場合は親水性マトリックス形成成分が少なく、実質的に疎水性マトリックス形成成分のみに近くなり、金属酸化物微粒子(A)(下部)と金属酸化物微粒子(B)(上部)とを分離する効果が不充分となる。前記濃度比(CMA)/(CMB)が大きすぎると、親水性マトリックス形成成分が多く表面電荷量の高い金属酸化物微粒子(A)が下層に偏在しない場合がある
極性溶媒
本発明に用いる極性溶媒としては、マトリックス形成成分を溶解あるいは分散するとともに、金属酸化物微粒子(A)を均一に分散することができ、容易に揮発しうる溶媒が好適
に用いられる。
具体的には水;メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。また、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等も用いることができる。
上記した金属酸化物微粒子(A)、必要に応じて用いる金属酸化物微粒子(B)、マトリックス形成成分および極性溶媒とからなる透明被膜形成用塗料をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
透明被膜付基材
本発明に係る透明被膜付基材は、基材上に透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、透明被膜が金属酸化物微粒子(A)とマトリックス成分とからなり、金属酸化物粒子(A)が透明被膜中であって基材の表面に層をなして偏在している。
基材
本発明に用いる基材としては、従来公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。なかでも樹脂系基材を好適に用いることができる。また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。
金属酸化物微粒子(A)
金属酸化物微粒子(A)としては前記した金属酸化物微粒子(A)と同様のものが用いられる
。透明被膜中の金属酸化物微粒子(A)の含有量(WPA)が0.2〜90重量%、さらには
0.5〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
金属酸化物微粒子(A)の含有量(WPA)が少ない場合は、膜の下部に偏在しても粒子の
量が少ないために高屈折率、ハードコート性、基材との密着性、導電性等の粒子の有する特性に基づくハードコート性、帯電防止性能等の機能が充分発現できない場合がある。金属酸化物微粒子(A)の含有量(WPA)が多すぎても、実質的に金属酸化物微粒子(A)が全域にわたって存在し、本発明の2種以上の機能を有する透明被膜にならず、また基材との密着性が不充分となることがある。
本発明の透明被膜では、金属酸化物微粒子(A)は透明被膜中で下部に層をなして偏在し
ている。このような状態を図1に模式的に示した。
金属酸化物微粒子(B)
本発明の透明被膜付基材の透明被膜には、さらに金属酸化物微粒子(B)を含んでいても
よい。金属酸化物微粒子(B)は前記金属酸化物微粒子(A)からなる層の上部に分散している。
金属酸化物微粒子(B)としては前記した金属酸化物微粒子(B)と同様のものが用いられる。金属酸化物微粒子(B)を用いることで、かかる粒子(B)の低屈折率、導電性等に基づく効果、すなわち、反射防止性能、帯電防止性能等を、透明被膜に付与できる。
透明被膜中の金属酸化物微粒子(B)の含有量(WPB)は0.1〜40重量%、さらには
0.2〜30重量%の範囲にあることが好ましい。金属酸化物微粒子(B)の含有量(WPB
)が少ないと、膜の上部に偏在しても粒子の量が少ないため粒子の有する特性に基づく効果が充分に発現できない場合がある。金属酸化物微粒子(B)の含有量(WPB)が多すぎる
と、下部に配列している金属酸化物微粒子(A)と混合した状態となり、本発明の2種以上
の機能を有する透明被膜が得られない場合がある。
マトリックス成分
マトリックス成分としては、シリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス成分、有機樹脂系マトリックス成分等が用いられる。
シリコーン系マトリックス成分としては前記式(5)の有機珪素化合物の加水分解・重縮
合物が用いられる。
また、有機樹脂系マトリックス成分としては、前記した有機系マトリックス形成成分があげられる。
本発明に用いるマトリックス成分は親水性マトリックス成分と疎水性マトリックス成分とからなることが好ましい。
親水性のシリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス成分としては、前記式(3)で表され
る有機珪素化合物の加水分解重縮合物があげられ、疎水性のシリコーン系(ゾルゲル系)マトリックス成分としては、前記式(4)で表される有機珪素化合物の加水分解重縮合物が
あげられる。
また、親水性の有機樹脂系マトリックス成分としては、水酸基(OH基)、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の親水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂が挙げられ、
疎水性の有機樹脂系マトリックス成分としては、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基等の疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エス
テル樹脂が挙げられる。
親水性マトリックス成分の固形分としての含有量(WMA)と疎水性マトリックス成分の固形分としての含有量(WMB)との含有量の比(WMA)/(WMB)が0.01〜1、さらには0.05〜0.5の範囲にあることが好ましい。
前記(WMA)/(WMB)が小さい場合は、親水性マトリックス形成成分が少なく、実質的に疎水性マトリックス成分のみに近くなり、金属酸化物微粒子(A)(下部)と金属酸化
物微粒子(B)(上部)とを分離する効果が不充分となる。前記(WMA)/(WMB)が大き
すぎても、親水性マトリックス成分が多く表面電荷量の高い金属酸化物微粒子(A)が下層
に偏在しない場合がある。
透明被膜中のマトリックス成分の含有量(WMA)は、10〜99.8重量%、さらには20〜99.5重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス成分の含有量(WMA)が少ないと、膜中の粒子の割合が多すぎて実質的に膜中に金属酸化物微粒子が全域に亘って均一に分散した膜となり、本発明の2種以上の機能を有する膜が得られない場合がある。透明被膜中のマトリックス成分の含有量(WMA)が大きすぎると、逆に粒子の量が少ないため、粒子を添加した効果が不充分となる場合がある。
本発明に係る透明被膜の膜厚は、用途によっても異なるが概ね30nm〜12μm、さらには、70nm〜10μm、の範囲にあることが好ましい。透明被膜の膜厚が薄い場合には、実質的に2層に分離した透明被膜を形成することが困難であり、膜厚が厚すぎても、透明被膜にクラックを生じたり、プラスチック等の基材ではカーリング(湾曲あるいは反り)を生じる場合がある。
本発明に係る透明被膜付基材は、前記した透明被膜形成用塗料を基材上に塗布し、乾燥し、硬化させることによって製造することができる。
塗布方法としては、記塗料をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布乾燥し、熱硬化性樹脂の場合は硬化させた後、加熱処理を行い、紫外線硬化樹脂の場合は、紫外線400mJ/cm2程度で照射して硬化することによって形成することができる。
さらに、本発明の透明被膜付基材には、基材と前記透明被膜との間および/または透明被膜上に前記透明被膜と異なる他の被膜を設けることができる。他の被膜としては、従来公知のハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜、低屈折率膜、アンチグレア膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜であってもよく、本発明に係るハードコート機能を有する透明被膜、高屈折率の透明被膜、導電性を有する透明被膜等であってもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
透明被膜形成用塗料(A-1)の調製
導電成分として、五酸化アンチモン微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:ELCOM V-4560、平均粒子径20nm、濃度30.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.60)を用いた。このゾル100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン0.94g(信越シリコ−ン株製 KBM-503 SiO2成分81.2%)を混合し超純水を10g
添加し40℃で5時間攪拌し表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散ゾルを得た(固形分28.2%)。この表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散ゾルの表面電荷量を測定したところ78.5μeq/gであった。この表面処理した五酸化アンチモン微粒子ゾル3.55gとパーフルオロエチルアクリレート(共栄社化学(株):FA-108)2gに光開始剤(
チバスペシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.40gおよびイソプロパノ−ルとメチルイソブチルケトンの1/1(重量比)混合溶媒94.05gとを充分に混合して透明被膜形成用塗料(A-1)を調製した。
透明被膜付基材(A-1)の調製
透明被膜形成用塗料(A-1)をハードコート付きアクリル板(三菱レイヨン製 MR-200)にバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照
射して硬化させて透明被膜付基材(A-1)を調製した。このときの膜厚は220nmであった。透明被膜の一部を縦方向に垂直に切断し、断面を透過型電子顕微鏡によって観察したところ、下部に五酸化アンチモン微粒子が厚さ120nmの層をなしており、上部はマトリックスのみで粒子の存在は認められなかった。
得られた透明被膜付基材(1)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nmの
光線の反射率を測定し、結果を表1に示す。
表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し、全光線透過率およびヘーズはヘーズメーター(日本電色(株)製:NDH2000)により、反射率は分光光度計(日本分
光社製:Ubest-55)により夫々測定した。
また、防眩性、密着性、鉛筆硬度を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表に示した。
防眩性
ハードコート機能付き反透明被膜付基材(1)の防眩性を基材の裏面を黒スプレーで均
一に塗り、30Wの蛍光灯から2mはなれ蛍光灯の映り込みを目視に確認し防眩性を評価した。結果を表に示す。
蛍光灯が全く見えない :◎
蛍光灯がわずかに見える :○
蛍光灯は見えるが輪郭がぼける :△
蛍光灯がはっきり見える :×
密着性
ハードコート機能付き反射防止膜付基材(1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で1
1本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテ−プを接着し、ついで、セロハンテ−プを剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することにより密着性を評価した。結果を表1に示す。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数90〜99個 :○
残存升目の数85〜89個 :△
残存升目の数84個以下 :×
鉛筆硬度
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した
[実施例2]
透明被膜形成用塗料(A-2)の調製
高屈折率粒子としてチタニア微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:OPTLAK 1137Z平均粒子径20nm、濃度30.5重量%、分散媒:メタノ−ル 粒子屈折率2.10)を用いた。このゾル100gにγ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン0.93g(信越シリコ−ン株製 KBM-5103 SiO2成分81.9%)を混合し超純水を10g添加し40℃で5時間攪拌し表面処理したチタニア微粒子分散ゾルを得た(固形分28.2%)。この表面処理したチタニア微粒子分散ゾルの表面電荷量を測定したところ65.5μeq/gであった。
この表面処理したチタニア微粒子ゾル3.55gとパーフルオロエチルアクリレート(共栄社化学(株):FA-108)1.8gにジエチルアミノエチルメタクリレート(共栄社化学(株):ライトエステルDE)0.2g光開始剤(チバスペシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.40gおよびイソプロパノ−ルとメチルイソブチルケトンの1/1(重量比)混合溶媒94.05gとを充分に混合して透明被膜形成用塗料(A-2)を調製した。
透明被膜付基材(A-2)の調製
透明被膜形成用塗料(A-2)をハードコート付きアクリル板(三菱レイヨン製 MR-200)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照
射して硬化させて透明被膜付基材(5)を調製した。このときの膜厚は230nmであった。透明被膜の一部を縦方向に垂直に切断し、断面を透過型電子顕微鏡によって観察したところ、下部にチタニア微粒子が厚さ110nmの層をなしており、上部はマトリックスのみで粒子の存在は認められなかった。
得られた透明被膜付基材(A-2)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550nm
の光線の反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度を測定し結果を表1に示した。
[比較例1]
透明被膜形成用塗料(R-1)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル100gにビニルシラン32.69g(信越化学製 KB
E−1003 SiO2成分62.7%)を混合し超純水を10g添加し40℃で5時間攪拌し表面
処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分28.4%)。この表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルの表面電荷量を測定したところ3.3μeq/gであった。この表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾル10.54gとペンタエリスリトールトリアセテート(共栄社化学(株):PE-3A)27gに光開始剤(チバスペシャリティ(株)製イルガキ
ュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.42gおよびイソプロパノ−ルとメチルイソブチルケトンの1/1(重量比)混合溶媒62.04gとを充分に混合して透明被膜形成用塗料(R-1)を調製した。
透明被膜付基材(R-1)の調製
透明被膜形成用塗料(R-1)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材
透過率88.0% Haze1.0% 反射率5.1%)にバ−コ−タ−で塗布し、70℃
で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させて透明被膜付基
材(R-1)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。透明被膜の一部を縦方向に垂直
に切断し、断面を透過型電子顕微鏡によって観察したところ、シリカ系中空微粒子が膜中に均一に単分散した形で存在していた。
得られた透明被膜付基材(R-1)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nmの
光線の反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度を測定し結果を表1に示した。
[比較例2]
透明被膜形成用塗料(R-2)の調製
電成分として、五酸化アンチモン微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:ELCOM V-4560、平均粒子径20nm、濃度30.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.60)を用いた。このゾル100gにγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン37.57g(信越シリコ−ン株製 KBM-503 SiO2成分81.2%)を混合し超純水を10g
添加し40℃で5時間攪拌し表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散ゾルを得た(固形分42.1%)。この表面処理した五酸化アンチモン微粒子分散ゾルの表面電荷量を測定したところ5.5μeq/gであった。この表面処理した五酸化アンチモン微粒子ゾル11.88
gとペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株):DPE-6A)22.5g、と水酸基を有するアクリレート(共栄社化学(株):MMH−40 プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル分散 固形分40%)6.25gに光開始剤(チバスプシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.42gおよびイソプロパノ−ルとメチルイソブチルケトンの1/1(重量比)混合溶媒58.95gとを充分に混合して透明被膜形成用塗料(R-2)を調製した。
透明被膜付基材(R-2)の調製
透明被膜形成用塗料(R-2)をPETフィルム(厚さ100μm、屈折率1.65、基材
透過率88.0% Haze1.0% 反射率5.1%)にバーコーターで塗布し、70℃
で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照射して硬化させて透明被膜付基
材(R-2-1)を調製した。このときの膜厚は5μmであった。透明被膜の一部を縦方向に垂
直に切断し、断面を透過型電子顕微鏡によって観察したところ、五酸化アンチモン微粒子が膜中に均一に単分散した形で存在していた。
得られた透明被膜付基材(R-2-1)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘーズ、波長550n
mの光線の反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度を測定し結果を表1に示した。
[実施例5]
透明被膜形成用塗料(A-5)の調製
低屈折率成分として、シリカ系中空微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製:スルーリア1420、平均粒子径60nm、濃度20.5重量%、分散媒:イソプロパノ−ル 粒子屈折率1.30)を用いた。このゾル100gにパーフルオロオクチルエチルトリエトキシ
シラン1g(東レダウコーニング製 AY43-158E 100%)を混合し超純水を10g添加し40℃で5時間攪拌し表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルを得た(固形分18.8%)。この表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾルの表面電荷量を測定したところ25.8μeq/gであった。帯電防止高屈折率成分としてATO微粒子分散ゾル(触媒化成工業(株)製
:ELCOM V-3501、平均粒子径8nm、濃度20.5重量%、分散媒:エタノール 粒子屈
折率1.75)を用いた。このゾル100gにγ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン2.52g(信越シリコ−ン株製 KBM-5103 SiO2成分81.2%)を混合し超純水を10g添加し40℃で5時間攪拌し表面処理したATO微粒子分散ゾルを得た(固形分20.0%)
。この表面処理したATO微粒子分散ゾルの表面電荷量を測定したところ38.8μeq/
gであった。この表面処理したシリカ系中空微粒子分散ゾル2.66gと表面処理したATO微
粒子分散ゾル5.0gヘキサエリスリトールトリペンタアクリレート(日本化薬(株):KAYARAD DPHA)1.5gに光開始剤(チバスペシャリティ(株)製イルガキュア184、IPAで溶解、固形分濃度10%)0.4gおよびイソプロパノ−ルとメチルイソブチルケトンの1/1(重量比)混合溶媒90.44gとを充分に混合して透明被膜形成用塗料(A-5)を調製した。
透明被膜付基材(A-5)の調製
透明被膜形成用塗料(A-5)をハードコート付きアクリル板(三菱レイヨン製 MR-200)にバーコーターで塗布し、70℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(80W/cm)を1分間照
射して硬化させて透明被膜付基材(A-5)を調製した。このときの膜厚は220nmであった。透明被膜の一部を縦方向に垂直に切断し、断面を透過型電子顕微鏡によって観察したところ、ATO微粒子とシリカ系中空微粒子が膜中に均一に単分散した形で存在していた。
得られた透明被膜付基材(A-5)の表面抵抗値、全光線透過率、ヘ−ズ、波長550nm
の光線の反射率、防眩性、密着性、鉛筆硬度を測定し結果を表1に示した。
Figure 0005148846
透明被膜中での疎水性金属酸化物微粒子(A)の偏在を示す模式図である。

Claims (9)

  1. (A)表面が下記式(1)で表される有機珪素化合物および/または疎水性官能基を有する多官能アクリル酸エステル樹脂で表面処理されてなり、表面電荷量(QA)が25〜100μeq/gの範囲にあり、表面処理量が、金属酸化物微粒子との量比(有機珪素化合物ないし多官能アクリル酸エステル樹脂の固形分としての重量/金属酸化物微粒子の重量)で0.03〜0.1の範囲にある金属酸化物微粒子と、
    n-SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
    (B)前記式(1)で表される有機珪素化合物および/またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物から選ばれるシリコーン系マトリックス形成成分、有機樹脂系マトリックス形成成分から選ばれるマトリックス形成成分と、
    (C)極性溶媒とからなる透明被膜形成塗料であって、金属酸化物微粒子(A)の固形分としての濃度(CPA)が0.1〜20重量%の範囲にあり、マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CM)が1〜50重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜形成用塗料。
  2. 前記マトリックス形成成分が親水性マトリックス形成成分と疎水性マトリックス形成成分とからなり、親水性マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CMA)と疎水性マトリックス形成成分の固形分としての濃度(CMB)との濃度比(CMB)/(CMA)が0.01〜1の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜形成用塗料。
  3. 前記金属酸化物微粒子(A)の平均粒子径が5〜500nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明被膜形成用塗料。
  4. 前記親水性マトリックス形成成分が、下記式(2)で表される有機珪素化合物またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物および/または親水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であり、
    SiX4 (2)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素)
    前記疎水性マトリックス形成成分が、下記式(3)で表される有機珪素化合物またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物および/または疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の透明被膜形成用塗料。
    n-SiX4-n (3)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
  5. 前記親水性官能基が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、グリシジル基から選ばれる1種または2種以上であり、前記疎水性官能基が、(メタ)アクリロイル基、アルキル基、フェニル基、ウレタン基、CF2基から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の透明被膜形成用塗料。
  6. 基材上に透明被膜が形成された透明被膜付基材であって、
    透明被膜が、(A)表面が下記式(1)で表される有機珪素化合物および/または疎水性官能基を有する多官能アクリル酸エステル樹脂で表面処理されてなり、表面電荷量(QA)が25〜100μeq/gの範囲にあり、表面処理量が、金属酸化物微粒子との量比(有機珪素化合物ないし多官能アクリル酸エステル樹脂の固形分としての重量/金属酸化物微粒子の重量)で0.03〜0.1の範囲にある金属酸化物微粒子と、
    n-SiX4-n (1)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3の整数)
    (B)前記式(1)で表される有機珪素化合物および/またはこれらの加水分解物、加水分解重縮合物から選ばれるシリコーン系マトリックス成分、有機樹脂系マトリックス成分から選ばれるマトリックス成分とからなり、
    金属酸化物粒子(A)が透明被膜中であって基材の表面に層をなして偏在し、透明被膜中の金属酸化物微粒子(A)の含有量(WPA)が0.2〜90重量%の範囲にあり、マトリックス成分の含有量(WM)が10〜99.8重量%の範囲にあることを特徴とする透明被膜付基材。
  7. 前記マトリックス成分が親水性マトリックス成分と疎水性マトリックス成分とからなり、親水性マトリックス成分の固形分としての含有量(WMA)と疎水性マトリックス成分の固形分としての含有量(WMB)との含有量の比(WMB)/(WMA)が0.01〜1の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の透明被膜付基材。
  8. 前記親水性マトリックス成分が下記式(2)で表される有機珪素化合物の加水分解重縮合物および/または親水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であり、
    SiX4-n (2)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素)
    前記疎水性マトリックス成分が下記式(3)で表される有機珪素化合物の加水分解重縮合物および/または疎水性官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂であることを特徴とする請求項6または7に記載の透明被膜付基材。
    n-SiX4-n (3)
    (但し、式中、Rは炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:1〜3の整数)
  9. 前記親水性官能基が水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基、から選ばれる1種または2種以上であり、前記疎水性官能基が、(メタ)アクリロイル基、アルキル基、フェニル基、ウレタン基、CF2基から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする請求項8に記載の透明被膜付基材。
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