JP5814163B2 - 冷却器 - Google Patents
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Description
本明細書では、すでに冷却効率が高い冷却器の冷却効率をさらに向上させる技術を開示する。
外壁は、通過方向と屈曲方向を含む面に沿って伸びているとともに発熱体に接する第1面と、第1面から積層方向に距離をおいて伸びている第2面を備えている。内壁は、第1面と平行な板状部材の複数枚が積層方向に積層された状態で流路内に収容されている。各々の板状部材は、第1面側に膨出している山筋と第2面側に膨出している谷筋が屈曲方向に交互に繰り返された形状となっている。各山筋と各谷筋は、通過方向に伸びている。ただしストレートに伸びているのではなく、所定波長で変位方向を反転しながら屈曲方向に変位している。積層方向に隣接する一方の板状部材に形成されている山筋と他方の板状部材に形成されている谷筋の位相がずれており、その山筋と谷筋が交差するとともに第1面に接する範囲内の板状部材に第2面に向かって突出する第1突出部が形成されている。
また、第1面に接する第1板状部材と、中間板状部材と、第2面に接する第2板状部材を順に積層して内壁を構成することが好ましい。この場合、第1板状部材の山筋と中間板状部材の谷筋が交差するとともに第1面に接する範囲内の第1板状部材に第2面に向かって突出する第1突出部を形成し、第2板状部材の谷筋と中間板状部材の山筋が交差するとともに第2面に接する範囲内の第2板状部材に第1面に向かって突出する第2突出部を形成する。
(特徴1) 各々の板状部材に形成されている山筋の高さ(山筋の高さは谷筋の深さに等しい)が等しい。第1突出部と第2突出部の各々の突出長が、山筋の高さよりも短い。第1突出部と第2突出部は、山筋と谷筋が向かい合うために、微細流路の高さが山筋の高さの2倍となっている部分に形成される。ここに、山筋の高さよりも短い突出長を持つ第1突出部または第2突出部が形成されるために、突出部でさえぎられない流路高さが、山筋の高さ以上となる。突出部を形成しても、残存流路の高さが維持される。突出部を設けることで、流動抵抗が顕著に増大することはない。
(特徴2) 第1面に接する第1板状部材と、中間板状部材と、第2面に接する第2板状部材が順に積層されている。第1板状部材に第1突出部が形成されており、第2板状部材に第2突出部が形成されており、中間板状部材には突出部が形成されていない。
(特徴3) 板状部材にコの字状の切れ目を入れ、それを曲げ起こすことで突出部が形成されている。
(特徴4) 山筋と谷筋が向かいあって微細流路の高さが山筋の高さの2倍となるすべての範囲で、突出部が形成されている。
(特徴5) 山筋と谷筋が向かいあって微細流路の高さが山筋の高さの2倍となる範囲のうちの一部で、突出部が形成されている。
(特徴6) 一枚の金属シートを折り曲げることで、複数枚の板状部材を積層した内壁が形成されている。
(特徴7) 内壁に形成されている山筋と谷筋は、通過方向に伸びているともに、所定波長で変位方向を反転させながら屈曲方向に変位している。冷却液の通過経路が、いわゆるウエーブ形状となっている。内壁は、冷却液との接触面積を増加させるフィンとして機能する。実施例の冷却器は、ウエーブフィンを内蔵する冷却器である。
(特徴8) 実施例の冷却器は、2個の発熱体の間に挟んで用いることで両側の発熱体を冷却する。ただし図1に例示する冷却器4a,4lのように、1個の発熱体のみを冷却する用い方もできる。この場合は、発熱体に接する面にのみ突出部を設ければよい。1個の発熱体のみを冷却する冷却器の場合は、発熱体に接する側の面を第1面としたときに、第1面側にのみ突出部を設ければよい。
流入管8から流入した冷却液の一部は、第12冷却器4l内に分流するとともに連通管8kに分流する。連通管8kに分流した冷却液の一部は、第11冷却器4kに分流するとともに連通管8jに分流する。以下も同様である。第1冷却器4a〜第12冷却器4lを通過した冷却液は、合流して流出管10から流れ出る。矢印12は流入する冷却液を示しており、矢印14は流出する冷却液を示しており、冷却液の循環を示している。
山筋30と谷筋32が形成されている第1板状部材18aと中間板状部材18bと第2板状部材18cを積層方向(z方向)に積層することで、冷却液流路17は、複数の微細流路20に分割される。冷却液と、冷却器4を構成する壁の接触面積が増大する。内壁18は、冷却液との接触面積を増やすフィンであり、ウエーブ形状の微細流路に分割するウエーブフィンを提供している。
図7の(4)は、第2板状部材18cの上方に位置している中間板状部材18bに形成されている山筋30と谷筋32のyz断面を示している。図7の(3)のドットが付された領域は、山筋30が下側に開いている範囲((4)の破線で示す範囲))が伸びている範囲を示す。山筋30は、所定の波長Lで、±y方向に変位しながらx方向に伸びている。谷筋32についても同様である。
図7では図示されていないが、第1板状部材18aに形成されている山筋30と谷筋32についても同様である。
図3に示すように、第2板状部材の谷筋32の下面を画定する壁は、第2面16bに接している。合流流路26が形成されている範囲内にある第2板状部材の谷筋32の下面を画定する壁には、突出部28が形成されている。図5と図6は、第2板状部材の谷筋32の下面を画定する壁に突出部28が形成されている部分を示している。谷筋32の下面を画定する壁にコの字状の切れ目29を入れ、それを曲げ起こすことで、突出部28が形成されている。
発熱体近傍では冷却液の温度が上昇して周囲の冷却液よりも高温となり、温度境界層が形成されることがある。温度境界層が形成されると、冷却液と発熱体の熱交換が十分に行われず、冷却器による冷却効率が低下するおそれがある。突出部28が設けられていないと、冷却液が板状部材に沿って層流となって流れ、温度境界層が維持されてしまうおそれがある。突出部28を設けると乱流が発達するために温度境界層が形成されることを抑制する。突出部28を設けると冷却効率が低下するおそれが減少する。
本実施例では、発熱体に接する第1面に接する範囲内の内壁に突出部が形成されていることから、温度境界層が形成されやすい箇所(発熱体に沿った箇所)で乱流を起こすことができ、温度境界層の発生をより効果的に妨げることができる。突出部28が形成されていることから、冷却器4の冷却効率がさらに改善される。
また、第1板状部材18aの山筋30と谷筋32と中間板状部材18bの山筋30と谷筋32と第2板状部材18cの山筋30と谷筋32の幅は全部等しく、異物が詰まらない大きさの微細流路が確保される幅とされている。
図6に示すように、突出部28の突出高さH2は、谷筋32の深さH1よりも短い。また突出部28は、山筋30と谷筋32が向かい合ってその高さが2×H1となっている合流流路26に形成される。そのために突出部28の上方にH1以上の流路が確保される。
突出部28を形成しても、異物が詰まらないだけの大きさを持つ流路が確保される。
合流流路22が形成されている範囲内にある第1板状部材18aの山筋30の上面を画定する壁には、突出部24が形成されている。突出部24もまた、冷却器4の冷却効率をさらに改善する。
本実施例では、第1突出部24と第2突出部28を形成する。第1面16a側にのみ発熱体が存在する場合には、第2突出部28を形成しなくてもよい。あるいは、第2面16b側にのみ発熱体が存在する場合には、第1突出部24を形成しなくてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
4:冷却器(4a:第1冷却器〜4l:第12冷却器)
6:発熱体(6a:第1発熱体〜6k:第11発熱体)
添え字Aは左側の発熱体を示し、添え字Bは右側の発熱体を示す。
8:流入管
8a〜8k:連通管
10:流出管
10a〜10k:連通管
12:流入する冷却液
14:流出する冷却液
16:外壁
16a:第1面
16b:第2面
17:冷却液流路
18:内壁
添え字Aは左側の内壁を示し、添え字Bは右側の内壁を示す
18a:第1板状部材
18b:中間板状部材
18c;第2板状部材
20:微細流路
22:合流流路
24:突出部
26:合流流路
28:突出部
29:コの字状切れ目
30:山筋
32:谷筋
Claims (4)
- 少なくとも一つの発熱体に接した状態で冷却液を通過させて用いる冷却器であり、
冷却液が通過する流路を画定する外壁と、流路内に収容されている内壁を備えており、
冷却液が通過する方向を通過方向とし、通過方向に直交する方向を積層方向とし、通過方向と積層方向に直交する方向を屈曲方向としたときに、
外壁は、通過方向と屈曲方向を含む面に沿って伸びているとともに発熱体に接する第1面と、第1面から積層方向に距離をおいて伸びている第2面を備えており、
内壁は、第1面と平行な板状部材の複数枚が積層方向に積層された状態で流路内に収容されており、
各々の板状部材は、第1面側に膨出している山筋と第2面側に膨出している谷筋が屈曲方向に交互に繰り返される形状であり、
各山筋と各谷筋は、通過方向に伸びているともに、所定波長で変位方向を反転しながら屈曲方向に変位しており、
積層方向に隣接する一方の板状部材に形成されている山筋と他方の板状部材に形成されている谷筋の位相がずれており、その山筋と谷筋が交差するとともに第1面に接する範囲内の板状部材に第2面に向かって突出する第1突出部が形成されていることを特徴とする冷却器。 - 各々の板状部材に形成されている山筋の高さが等しく、
第1突出部の突出長が、山筋の高さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の冷却器。 - 複数個の発熱体の間に配置した状態で用いる冷却器であり、
第1面と第2面は平行であり、
山筋と谷筋が交差するとともに第2面に接する範囲内の板状部材に第1面に向かって突出する第2突出部が形成されていることを特徴とする請求項1または2の冷却器。 - 第1面に接する第1板状部材と、中間板状部材と、第2面に接する第2板状部材が順に積層されて内壁が構成されており、
第1板状部材の山筋と中間板状部材の谷筋が交差するとともに第1面に接する範囲内の第1板状部材に第2面に向かって突出する第1突出部が形成されており、
第2板状部材の谷筋と中間板状部材の山筋が交差するとともに第2面に接する範囲内の第2板状部材に第1面に向かって突出する第2突出部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の冷却器。
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