JP5812053B2 - ショートアーク型放電ランプ - Google Patents
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Description
その典型的な一例が図1に示されている。放電ランプ100は発光部40とその両端の封止部50、50とからなる発光管60を有し、前記発光部40内には、陰極10と陽極20とが対向配置されていて、直流点灯される。
このように、放電ランプを直流点灯することで、アークの輝点を陰極先端に固定し、点光源とすることで光学系と組み合わされた時に高い光の利用効率を実現するものとされている。
このような直流点灯方式の放電ランプに用いられる陰極は、定常点灯時に常時電子を放出する役割を担うため、電子放射を容易にすべく、高融点金属に電子放射性物質を混入して構成されたものが多用されている。
このような観点から、陰極先端にのみトリウムを含有したチップを設けるようにした陰極構造が、上記した昨今の要請にマッチしたものとして使用されるようになってきている。
特許文献1に示された陰極構造では、高融点金属の電極基材に形成された凹部に、電子放射性物質を含有した焼結体(チップ)を圧入する方法では、焼結体の密度が低く耐久も低いので、圧入時にチップあるいは電極基材が破損することがあり、歩留まりが悪くなるという問題がある。
そして、その製造工程では、接合させる部材同士を当接した状態で圧力を加え、所定の焼結温度まで昇温させた後、この状態を一定時間保持しなければならない。このため、製造に多大な熱量と時間を要することになる。このように、異種の材料を結合して陰極材を製造することには様々な困難がつきまとっていた。
該第1のテーパ面部のテーパ面を延長して形成される仮想テーパ面と、該第2のテーパ面部のテーパ面とが一致することを特徴とする。
前記電極本体部は、前記環状平坦面部の後端側にテーパ面部と、その後端側に向かって直線状に伸びる円柱状側面部を備えており、
前記電子放射部の前記円柱状側面部の直径aと、前記環状平坦面部の幅bと、前記電極本体部の円柱状側面部の直径cの比率は、0.16 ≦ b/a ≦ 0.24 、且つ、a/c≧0.39 の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
また上記条件に加えて、前記電子放射部の前記円柱状側面部の直径aと電極本体部の円柱状側面部の直径cの比率(a/c)が39%以上とすることで、電極本体部に対する電子放射部の大きさが担保され、陽電子放射性物質の供給が不足することがない。
本発明に係るショートアーク型放電ランプは、主に陰極の構造に係るものであり、それ以外の構成については一般的なショートアーク型放電ランプと同様であるから、その説明には図1を用いる。
放電ランプ100は発光部40とその両端の封止部50、50とからなる発光管60(両端の封止部50、50を含む)を有し、前記発光部40内には、陰極10と陽極20とが対向配置されていて、直流電流にて点灯されるものである。
発光管60内には、発光ガスとして希ガス、または希ガスおよび水銀が封入される。希ガスは具体的には例えばキセノンガスである。
この図において、陰極10は、電極本体部1の先端側に形成された有底円筒状の凹部2の内部に、電子放射部3の後端側の部分が嵌め合わされて収容されており、先端側の部分がこの凹部2より突出している。
電子放射部3は、円錐台形状をしており、最先端に位置する平面状の先端面部31と、この先端面31より後端側に連続するテーパ面状のテーパ面部32(第1のテーパ面部32)と、このテーパ面部32より後端側に連続する円柱状側面部33(第1の円柱状側面部33)を備えている。
電子放射部3は、このような易電子放射性物質が含有されていることにより、先端面31の仕事関数を低下させ、点灯始動が容易になるという機能を担っている。
テーパ面部12の後端側は、後端側に向かって直線状に伸びる円柱状側面部13(第2の円柱状側面部13)である。
このように、電極本体部1は、電子放射部3を保持する機能を有しており、環状保持部5によって電子放射部3を強固に保持することができる。
なお、放射性を有する易電子放射性物質であるトリウムを除く易電子放射性物質、例えばランタンやセリウム等の希土類金属の酸化物であれば、放射性物質に対する規制を受けないため電極本体部1に含有されていてもよい。
また、電子放射部、電極本体部ともに密度が高いことにより、電子放射部3を電極本体部1の環状保持部により保持しても、電子放射部3が破損することがない。
したがって、ランプの点灯中における1,000℃以上という温度状況では、電子放射部3と電極本体部1との間に熱応力が発生する。
本発明の陰極は、電子放射部3が先端側において開放されているため、熱応力は、軸方向ではなく周方向に発生し、特に環状保持部5の凹部2と、円柱状側面部33の間に発生する。
そのため、環状平坦面部11の厚みが無いような形状であると耐久性が低く、応力によってかかる負荷に耐え切れず、環状保持部5が破損してしまう場合がある。
したがって、環状保持部5は、先端側の環状平坦面部11に一定の幅があって肉厚が確保されていることが好ましい。
図3に本発明に係る陰極のテーパ角度を示す。第1のテーパ面部32のテーパ角度αは、輝点Pより放射される光を遮蔽しないこと、一定の体積を有することで熱容量を確保し先端温度が過度に上昇しないこと、および電極本体部1が熱応力によって破損しないことを考慮して定められる。
まず、第2のテーパ面部12が第1のテーパ面部32の延長線上より外側に位置することとなると、輝点から放射された光を遮蔽することとなってしまう。
そのため、まず電極本体部1、例えばこの図においては第2のテーパ面部12は、第1のテーパ面部32のなすテーパ面の延長上にある仮想テーパ面VTFよりも内側に位置することが好ましい。
これにより、第1のテーパ面部32の外側を通過してきた光を遮蔽せずに通過させることができる。
そこで、第1のテーパ面部32のテーパ角度αと、第2のテーパ面部12のテーパ角度αとを等しくし、かつ、第1のテーパ面部32のなすテーパ面の延長上にある仮想テーパ面VTFと、第2のテーパ面部12のなすテーパ面を一致させることがより好ましい。これにより、光の遮蔽を防止することに加えて、先端温度の過度な上昇を防止し、かつ熱応力による破損を防止することができる。
また、凹部2に収容されている円柱状側面部332の表面には 炭化タングステン部34は形成されていない。
この炭化タングステン部34は、酸化物の形態で電子放射部3に含有されている易電子放射性物質の還元を促進するとともに、先端面31に気相を介して炭素を供給するという機能を有している。
なお、この炭化タングステン部34は、過度な炭素の供給を防止するために少なくとも先端面31より後端側に所定の距離L後退した領域には設けられていない。ここで所定の距離Lは、例えば2〜6mmである。
しかし、この炭化タングステン部34は、上式のとおり、酸化物が存在しない領域に形成しても、効果はあまり望めない。したがって、環状平坦面部11より先端側であって、酸化物が含有されている電子放射部3の後端側の領域に形成することが好ましい。
ここで、凹部2に収容されている円柱状側面部332に炭化タングステン部を形成してしまうと、これに接触する電極本体部1の凹部の内壁の炭化が進行してしまい、強度が低下するために破損の要因となる。そのため、凹部2に収容されている円柱状側面部332の表面には 炭化タングステン部34は形成されていないことが好ましい。
図5(A)において、電極本体部1となる円柱状の電極基材1´は、高融点金属、好適にはタングステンよりなり、特に添加物が添加されていない純度が高い純タングステンが好ましく、さらに好ましくは純度が99.99%以上の純タングステンである。
該基材1´の先端面1´Aの中心には軸方向に断面円形の有底穴からなる凹部2が形成されている。前記基材1´は、例えば、その直径がφ12mmで、長さが25mmである。凹部2は、直径がφ6mmよりも4〜12μm程度小さく形成されており、その深さは4mmである。
図5(B)に示すように、この基材1´を、凹部2の開口が上を向くように電気炉の内部に載置し、ヒータHによって約600℃程度の温度に加熱する。
前記チップ3´は、電子放射性物質が添加された高融点金属であり、具体的にはタングステンに対して酸化トリウム(ThO2)が2重量%添加された、理論密度が90%以上であるトリエーテッドタングステンである。
前記チップ3´の直径は、φ6mmであり、長さは14mmであるが、その直径は、常温において前記凹部2の直径に対して4〜12μmの範囲で大きいことが望ましい。また、その長さは、前記凹部2を構成する有底穴の深さ(4mm)と比較して、その全長が長く、挿入されたとき先端が基材1´より突出する。
前記チップ3´を基材1´に挿入する段階では、基材1´は加熱されて熱膨張している状態であるので、X部拡大図に示すように、チップ3´と凹部2との間には若干の間隙Sが形成されていて、チップ3´の挿入は、圧入による必要がなく容易に挿入される。
図5(D)に示すように、この冷却により、基材1´は収縮して、そのX部拡大図に示すように、基材1´の凹部2とチップ3´とは密着し、その間には隙間はなくなり、基材1´とチップ3´とは嵌合される。
電子放射部3の先端には先端面31が残るように切削される。そして、基材1´もその環状平坦面部11が残るように切削加工されるのがよく、これにより、チップ3´を挿入する凹部2の開口周縁部分が薄肉になりすぎず、一定量の肉厚が確保できて、安定的な電子放射部3の保持ができる。
また、冷却による収縮で接合するので、チップは全周方向から圧力を受けるため、電子放射部と電極本体部との間に応力が生じたとしても、機械的に破損することが回避することができる。
例えば、前記電子放射部の前記円柱状側面部の直径aと環状平坦面部の幅bの比率(b/a)が16%以上に規定することにより、環状平坦面部の幅bが十分に確保されて強度が高くなり、電極本体部と電子放射部の熱膨張差に伴う応力負荷によるクラックや割れの発生を防ぐことができる。また、b/aを24%以下に抑えることで、電子放射部が相対的に小さくなりすぎず、ランプ寿命に悪影響を及ぼすことがない。加えて、電子放射部の円柱状側面部の直径aと電極本体部の円柱状側面部の直径cの比率(a/c)が39%以上に調整されることにより、電極本体部に対する電子放射部の大きさが担保され、陽電子放射性物質の供給を不足させず、ランプ寿命を悪化させることがない。
上記の環状の空隙7は、例えば、予め電子放射部3の後端の外郭を切り欠く、又は、電極本体部1の凹部内面に予め溝を設けておき、当該電子放射部3を電極本体部1に嵌め合わせることで、電極内部に形成することができる。
11 環状平坦面部
12 第2のテーパ面部
13 円柱状部
2 凹部
3 電子放射部
31 先端面部
32 第1のテーパ面部
33 円柱状部
34 炭化タングステン部
5 環状保持部
1´ 電極部材
3´ チップ
H ヒータ
L 距離
P 輝点
S 間隙
VTF 仮想テーパ面
α テーパ角度
100 放電ランプ
20 陽極
40 発光部
50 封止部
60 発光管
7 環状の空隙
Claims (7)
- 発光管内に陰極および陽極が対向配置され
前記陰極は、易電子放射性物質としてトリウムが添加されたタングステンからなる電子放射部と、
タングステンからなる電極本体部と、を具備するショートアーク型放電ランプにおいて、
前記電極本体部の先端側に凹部と、該凹部の周囲に環状平坦面部とが形成され、
前記電子放射部は、先端が円錐台形状であり、その後端側が該凹部に収容されるとともに先端側が該凹部より突出していることを特徴とするショートアーク型放電ランプ。 - 前記電子放射部は、先端面とその後端側に連続する第1のテーパ面部を備え、
前記電極本体部は、該第1のテーパ面部のテーパ面を延長して形成される仮想テーパ面よりも内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記電極本体部は、環状平坦部面の後端側に連続する第2のテーパ面部を備え、
該第1のテーパ面部のテーパ面を延長して形成される仮想テーパ面と、該第2のテーパ面部のテーパ面とが一致することを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記電子放射部の、前記電極本体部の前記凹部より突出した一部の表面には、前記環状平坦面部から先端に向かって炭化タングステン部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のショートアーク型放電ランプ。
- 前記電子放射部の先端面と、その後端側に連続する第1のテーパ面部と、その後端側に連続し前記凹部より突出している円柱状側面部と、前記電極本体部の環状平坦面部と、その後端側に連続する第2のテーパ面部の各々の表面の総面積からなるテーパ部面積S1と、前記炭化タングステン部が形成された領域の総面積からなる炭化面積S2が、
0.1 ≦ S2/S1 ≦ 0.35
の関係を満たすことを特徴とする請求項4に記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記電子放射部は、先端が円錐台形状をしており、最先端に位置する平面状の先端面部と、この先端面より後端側に連続するテーパ面状のテーパ面部と、このテーパ面部より後端側に連続する円柱状側面部を備えており、
前記電極本体部は、前記環状平坦面部の後端側にテーパ面部と、その後端側に向かって直線状に伸びる円柱状側面部を備えており、
前記電子放射部の前記円柱状側面部の直径aと、前記環状平坦面部の幅bと、前記電極本体部の円柱状側面部の直径cの比率は、0.16 ≦ b/a ≦ 0.24 、且つ、a/c≧0.39 の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。 - 前記電子放射部の後端は前記電極本体部の凹部の底面と当接されるよう該凹部に収容されており、
前記電子放射部の後端と前記電極本体部の間には、環状の空隙が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のショートアーク型放電ランプ。
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