JP5809487B2 - 柱体の構造及び柱体の補強方法 - Google Patents
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Description
特許文献1に示される電柱の耐震補強構造は、電柱の外径より大きな内径を有する筒状体にて電柱の外周を包囲し、上記筒状体と電柱との隙間に、補強用の充填材を注入し硬化させるものであり、筒状体をその周方向について少なくとも2つの筒構成部材に分割して形成し、ボルト等の締付部材にて筒構成部材同士を固定して1つの筒状体を形成する構成が示されている。
本発明は、下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の構造であって、前記基礎の上方の位置に前記柱体の外周を囲む補強体を設け、この補強体に囲まれた部分の前記柱体に他の部分より強度の小さい部分を設け、前記柱体と補強体との間の空間に第1の充填材を設け、前記柱体の内部空間の下部に第2の充填材が充填され、前記第2の充填材は、第1の充填材より上方の位置まで充填されたことを特徴とする。
すなわち、本発明は、根元近くの柱体の曲げ耐力を積極的に落として、該柱体に加わる地震の力を、補強体の塑性変形により吸収することで、該柱体の基礎を守ることが可能となる。
図1は、本実施形態に係る柱体構造であって、符号1は補強対象となる柱体である。この柱体1は、図2〜図4に示すように鉄道の高架橋2に設けられた基礎Bに支持されている。
この補強線材10は、図5及び図6に示されるように、柱体1の長さ方向に沿う鋼材11と、スパイラル状の鋼材12とが交差かつ連結するように配置される例が示されているが、これに限定されず、様々な形態の構造が使用可能である。
この充填剤15は、曲げによる柱体1のつぶれを防止して耐力を高める機能を有するが、注体1に求められる地震耐力により、これを省略しても良い。また、本実施形態にあっては、柱体1の外側の充填材14より上方の位置(外側の充填材14とは異なる高さ)まで充填材15を注入して、柱体1及びその周囲の補強材13,充填材14を含む断面積の変化を段階的として、特定範囲への応力集中を防止する機能をも有する。
この低強度帯21は、前記柱体1内の鋼材10の一部又は全部を上下に分断することにより形成されるものであって、当該低強度帯21における、柱体1と補強体13と充填材14・15との合成曲げ耐力は、該柱体1の他の部分20の曲げ耐力より小さくなるように設定されている。
そして、低強度帯21にて柱体1の曲げ耐力を低下させることにより、大規模地震が発生した場合には、図7(A)及び(B)に示されるように、該低強度帯21の箇所で、柱体1を確実に傾かせることができる。
すなわち、上記柱体構造では、根元近くの柱体1の曲げ耐力を積極的に落として、該柱体1に加わる地震の力を、補強体13(及び一部の充填材14・15)の塑性変形により吸収することで、該柱体1の基礎Bを守ることができる。
すなわち、下端から所定の長さにわたって基礎Bに埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材10が内部に配設された中空状の柱体1において、強度調整工程、補強体設置工程、充填材注入工程を順次経るようにする。
具体的には、最初の強度調整工程では、基礎B近傍の柱体1に部分的に孔を開けて、補強線材10の一部又は全部をカッタ等の工具で上下に分断することにより、該柱体1に対して、他の部分20より強度が低い低強度帯21を形成する。
そして、以上のような強度調整工程、補強体設置工程、充填材注入工程を順次経ることで、既存の柱体1に対して後で本発明に係る補強構造を施工することが可能となる。
すなわち、本発明は、根元近くの柱体1の曲げ耐力を積極的に落として、該柱体1に加わる地震の力を、補強体13の塑性変形により吸収することで、該柱体1の基礎Bを守ることが可能となる。
また、本実施形態に係る柱体構造では、柱体1の低強度帯21において、当該低強度帯21の部分の柱体1と補強体13と充填材14との合成曲げ耐力が、該柱体1の他の部分20(低強度帯21以外の部分)の曲げ耐力より小さくなるように設定されているので、大規模地震が発生した場合には、当該低強度帯21の箇所を塑性ヒンジとして変形させて柱体1を傾かせて、該柱体1に作用する地震エネルギーを補強体13及び充填材14で受けることができる。
上記実施形態では、鋼材をカッタによって切断したが、他の手段、例えばワイヤソーを用いて切断しても良い。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
1A 中空部
10 鋼材
13 補強体
14 充填材(第1の充填材)
15 充填材(第2の充填材)
20 他の部分
21 低強度帯
B 基礎
Claims (11)
- 下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の構造であって、
前記基礎の上方の位置に前記柱体の外周を囲む補強体を設け、この補強体に囲まれた部分の前記柱体に他の部分より強度の小さい部分を設け、
前記柱体と補強体との間の空間に第1の充填材を設け、
前記柱体の内部空間の下部に第2の充填材が充填され、
前記第2の充填材は、第1の充填材より上方の位置まで充填されたことを特徴とする柱体の構造。 - 下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の構造であって、
前記基礎の上方の位置に前記柱体の外周を囲む補強体を設け、この補強体に囲まれた部分の前記柱体に他の部分より強度の小さい部分を設け、
前記強度の小さい部分における、当該部分の柱体と補強体と充填材との合成曲げ耐力は、前記柱体の他の部分の曲げ耐力より小さく設定されていることを特徴とする柱体の構造。 - 下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の構造であって、
前記基礎の上方の位置に前記柱体の外周を囲む補強体を設け、この補強体に囲まれた部分の前記柱体に他の部分より強度の小さい部分を設け、
前記強度の小さい部分は、前記補強線材の一部又は全部を上下に分断することにより形成されることを特徴とする柱体の構造。 - 前記柱体と補強体との間の空間に第1の充填材を設けたことを特徴とする請求項2または3に記載の柱体の構造。
- 前記補強体は鋼板であり、前記第1の充填材はモルタルであることを特徴とする請求項1または4に記載の柱体の構造。
- 前記補強体は、多数集積された繊維状材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の柱体の構造。
- 下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の補強方法であって、
前記柱体の基礎近傍に他の部分より強度の小さい部分を形成する強度調整工程と、
前記柱体の外周を囲むように補強体を設ける補強体設置工程と、
前記柱体と補強体との間の空間に第1の充填材を充填する充填材注入工程と、を有し、
前記強度の小さい部分は、前記補強線材の一部又は全部を上下に分断することにより形成されることを特徴とする柱体の補強方法。 - 下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の補強方法であって、
前記柱体の基礎近傍に他の部分より強度の小さい部分を形成する強度調整工程と、
前記柱体の外周を囲むように補強体を設ける補強体設置工程と、
前記柱体と補強体との間の空間に第1の充填材を充填する充填材注入工程と、を有し、
前記強度の小さい部分における、当該部分の柱体と補強体と充填材との合成曲げ耐力は、前記柱体の他の部分の曲げ耐力より小さく設定されていることを特徴とする柱体の補強方法。 - 下端から所定の長さにわたって基礎に埋設され、長さ方向へ連続する複数本の補強線材が内部に配設された中空状の柱体の補強方法であって、
前記柱体の基礎近傍に他の部分より強度の小さい部分を形成する強度調整工程と、
前記柱体の外周を囲むように補強体を設ける補強体設置工程と、
前記柱体と補強体との間の空間に第1の充填材を充填する充填材注入工程と、
を有し、
前記柱体の内部空間の下部に第2の充填材を充填し、
前記第2の充填材は、第1の充填材より上方の位置まで充填されることを特徴とする柱体の補強方法。 - 前記補強体は鋼板であり、前記第1の充填材はモルタルであることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の柱体の補強方法。
- 前記補強体は、多数集積された繊維状材料であることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の柱体の補強方法。
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