<実施の形態1>
<構成>
図1を参照し、本実施の形態1にかかる地図表示装置の概念的な全体構成を説明する。なお、地図表示装置についてはその用途を特に限定しないが、以下の本実施の形態1では移動体としての車両に搭載されたカーナビゲーション装置を想定し、説明する。
図1に示すように地図表示装置は、ユーザの意図に沿う入力情報を受け取り、情報を表示する入力兼表示部1と、入力兼表示部1において受け取った入力情報に基づいて、入力兼表示部1における地図描画画面の表示動作を制御する制御部4と、制御部4における動作制御の際に、参照される地図情報に関する描画オブジェクト等が格納された、第1情報格納部2および第2情報格納部3とを備える。
描画オブジェクトは、描画画面内に表示される、道路線、文字、地形、建物、アイコン、背景色(透明、または半透明であってもよい)、付属する情報等のオブジェクトである。描画オブジェクトに含まれる背景色(背景オブジェクト)としては、一様に色が塗られたものに限らず、グラデーションが施されたものや、描画画面内を部分的に塗るものであってもよい。
入力兼表示部1は、例えばタッチパネル(タッチパネル付き表示装置)によって実現され、ユーザの表示面への接触(タッチ)を受け、表示面上におけるタッチ位置および動作等からユーザの意図を解析する。ユーザの意図として想定されるものには、表示されている地図に対する操作や、経路探索指示、内蔵されるオーディオ機器等に対する操作等がある。地図に対する操作とは、例えば縮尺の変更や、表示する地図上の位置の変更(スクロール)、現在位置周辺の情報検索、当該情報の比較等である。
第1情報格納部2および第2情報格納部3は、地図情報に関する描画オブジェクト等を格納する。具体的には、地形等を示す地図データ、当該地図上の位置に対応付けられた道路データ、建物データ(図形、形状)、背景色データ等を格納している。ここで建物データとは、建物自体の立体形状や、種別、名称等を示すデータである。なお、第1情報格納部および第2情報格納部3に格納される情報は描画オブジェクトに限られるものではなく、入力兼表示部1に表示するための様々な情報を格納することができる。
第1情報格納部2および第2情報格納部3は、具体的には、ハードディスクドライブやメモリーカード、DVDやブルーレイディスク等で実現される。
制御部4は、地図表示装置に備えられる各機能部を制御し、入力兼表示部1に地図描画画面を表示させる。図1に示すように制御部4は、ユーザからの入力情報を解析することによって、地図描画画面の作成に必要となる、描画オブジェクトに関する抽出条件を形成する。例えば、制御部4が入力情報を解析して、ユーザの意図が「周辺の高速道路の情報の検索」であった場合に、現在位置周辺の一般道路の描画オブジェクトと、現在位置周辺の高速道路の描画オブジェクトとを抽出する条件を形成することができる。
さらに制御部4は、当該抽出条件に基づいて第1情報格納部2および第2情報格納部3から描画オブジェクトをそれぞれ抽出し、入力兼表示部1に所望の態様で表示させる。制御部4は、具体的にはコンピュータ(CPU)とそのプログラムで実現されるものである。
図2は、図1に示す地図表示装置の構成において、特に制御部4の概念的構成を詳細に示したものである。
入力兼表示部1から入力された入力情報を解析する入力解析部401と、入力解析部401における解析結果に基づいて、第1情報描画部403および第2情報描画部405、合成描画部407を制御し、入力兼表示部1に地図描画画面を表示させる全体制御部402と、第1情報格納部2において格納された描画オブジェクトである第1描画オブジェクトを抽出し、第1描画画面保持部404に、当該第1描画オブジェクトによる地図描画画面である第1描画画面を描画する第1情報描画部403と、第2情報格納部3において格納された描画オブジェクトである第2描画オブジェクトを抽出し、第2描画画面保持部406に、当該第2描画オブジェクトによる地図描画画面である第2描画画面を描画する第2情報描画部405と、第1描画画面を保持する第1描画画面保持部404と、第2描画画面を保持する第2描画画面保持部406と、第1描画画面と第2描画画面とを合成した合成描画画面を、合成描画画面保持部408に描画する合成描画部407と、合成描画部407で作成した合成描画画面を保持する合成描画画面保持部408とを備える。合成描画画面保持部408に保持された合成描画画面は、入力兼表示部1において表示される。
入力解析部401は、ユーザの意図による入力情報を解析する。すなわち、描画画面表示内容とユーザが表示面にタッチした位置や動作等の条件を解析し、ユーザの意図に沿う操作(機器操作等)を識別する。ここで、ユーザのタッチパネル操作には、従来からある単なるアイコンをタッチする単純タッチ操作(通常タッチ操作)と、動きのある「ジェスチャー操作」すなわち、後述の「引きずり操作」や「飛ばし操作」等がある。
全体制御部402では、当該解析結果に基づいて必要となる描画オブジェクトを特定し、第1情報描画部403に、第1情報格納部2から第1描画オブジェクトを抽出させ、第2情報描画部405に、第2情報格納部3から第2描画オブジェクトを抽出させる。
第1情報描画部403は、抽出した第1描画オブジェクトから第1描画画面を形成し、第1描画画面保持部404(メモリ部)に描画する。当該描画は、抽出された第1描画オブジェクトにおける、地図情報としての、地図データや道路データ、建物データ等を組み合わせて実現される。
第2情報描画部405は、抽出した第2描画オブジェクトから第2描画画面を形成し、第2描画画面保持部406(メモリ部)に描画する。当該描画は、抽出された第2描画オブジェクトにおける、地図情報としての、地図データや道路データ、建物データ等を組み合わせて実現される。
第1情報描画部403および第2情報描画部405では、例えば、車両の現在位置データ、経路探索動作によって得られた車両の目的地までの経路データ等の、装置内で生成された情報についても、それぞれで形成した地図描画画面(第1描画画面、第2描画画面)に付加して、対応する描画画面保持部に描画することができる。
さらに全体制御部402では、第1描画画面保持部404に保持された第1描画画面と第2描画画面保持部406に保持された第2描画画面とを合成描画部407に合成させ、合成描画画面保持部408(メモリ部)に描画させる。合成描画画面は、合成描画画面保持部408(メモリ部)において保持された後、入力兼表示部1において表示される。
合成描画部407は、第1描画画面と第2描画画面とが、それぞれの描画内容を保持したまま、全部あるいは部分的に重なって表示されるように合成し、合成描画画面とする。第1描画画面と第2描画画面とが重なって表示されることで、そのうち下の描画画面の描画オブジェクトが、上の描画画面の描画オブジェクトにマスクされる(上の描画画面の描画オブジェクトの表示によって、下の描画画面の描画オブジェクトが非表示となる)ことになる。
重なって表示される部分は、通常は上に重なっている地図描画画面の描画オブジェクトが見える状態となっているが、重なり具合を制御することにより、下に表示されている地図描画画面の描画オブジェクトを見ることができる。なお、ここでいう「上下」とは、表示面の法線方向における上下であり、より手前側を「上」とするものであるが、実際には描画画面のデータを概念的に重ねているものである。
合成される第1描画画面および第2描画画面はそれぞれ、あらかじめ設定された第1注目点、第2注目点を有することができる。
ここで第1注目点および第2注目点とは、ユーザが描画画面上で特に注目する点を指し、ユーザが第1描画画面と第2描画画面の双方を参照する際に比較対象とする点として主観的に定義される。例えば、車両の周辺地図における車両の現在位置や、目的地周辺地図における目的地の位置など、描画画面の作成目的となる点が該当し得る。
合成される地図描画画面のそれぞれに表示される描画オブジェクト間には、所定の関連性を有することができる。所定の関連性としては、例えば、車両の地図上の位置が一致または近傍であることによる関連、車両の現在位置と目的地との間等の移動経路上の関連、同車両の現在の走行路と過去の走行履歴といった時間的関連等がある。
地図描画画面を重ねる順序は、ユーザの意図に沿うように、例えば、描画オブジェクトの組み合わせごとに決定することができる。また、重ねる順序の変更も随時可能である。このとき、実際の空間配置に対応した上下関係(高架道路地図と一般道路地図との関係や、地上地図と地中地図との関係)で表示することで、把握をより容易にすることもできる。特定の組み合わせには、特定の上下関係を定義してもよい。
<動作>
次に、本実施の形態1にかかる地図表示装置の動作の概要について説明する。
本発明にかかる地図表示装置は、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトを所定の操作で更新(具体的には、所定の操作によって上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトの透明度を変更)して下の地図描画画面の描画オブジェクトを視認可能とすることで、複数の地図描画画面における描画オブジェクトの関係性を容易に把握させるものである。動作に際しては、制御部4の特に全体制御部402において各機能部の制御が行われる。
また、本実施の形態1では、上に重ねられる地図描画画面の表示位置を更新する具体的方法として、スライド方法を用いる。スライド方法とは、以下に示す、上に重ねられる地図描画全体が連続的に移動する、すなわち、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトがスライドに連動してスライド方向に移動する第1の方法、または、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトの表示を部分的に切り替え、上に重ねられる地図描画画面の表示領域を連続的に変動(増やすまたは減らす)させていく、すなわち、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトの表示位置は変化させずに、下の地図描画画面の描画オブジェクトと重なる領域だけを変化させる第2の方法である。なお、上に重ねられる地図描画画面の表示位置がどのように更新されるかは、ユーザの表示面に対する操作態様や、地図の組み合わせに対してあらかじめなされた設定等によって変更することができる。
具体的な動作について、図3を参照しつつ、説明する。
まずステップST10において、地図表示装置の電源を入れ、入力兼表示部1において初期画面を表示させる。初期画面は通常表示モード、すなわち、通常タッチ操作を受け付けるモードとすることができる。
次にステップST11において、入力兼表示部1において初期画面に所定の操作を行い、スライド表示モードに遷移させる。ここでスライド表示モードとは、上記のスライド方法を用いて、上に重ねられる地図描画画面の表示位置を更新できるモードのことである。
当該遷移(スライド表示モードへの遷移)は、初期画面における、例えばタッチ操作、ボタン操作、アイコン操作、ジェスチャー操作、音声認識等によって行うことができる。
スライド表示モードに遷移しているか否かを確認する場合には、全体制御部402に格納された、モードの種類を記憶するパラメータを参照することにより行うことができる。例えば、パラメータの値が所定の閾値より大きいまたは小さいことをもって、スライド表示モードであるか否かを判断できる。パラメータの値は、ユーザからの入力に応じて変更されるものであってもよいし、あらかじめ設定した条件(車両状態や表示面における表示状態を含む)で自動的に変更されるものであってもよい。また入力兼表示部1において、スライド表示モードであるか否かを示すアイコン等が表示されるように設定しておくと、容易にモードの確認ができ便利である。
スライド表示モードに遷移したら、ステップST12において、スライド距離X0を0に設定する。
次にステップST13において、第1描画画面および第2描画画面を作成する。当該作成は、上記のようにユーザの入力情報に従って、第1情報描画部403および第2情報描画部405において行う。作成した第1描画画面は第1描画画面保持部404に、第2描画画面は第2描画画面保持部406に、それぞれ描画され保持される。
次にステップST14において、上に重ねられる地図描画画面の表示位置を更新する所定の操作(スライド操作)が行われたか否かを検出する。当該検出は、入力兼表示部1におけるジェスチャー操作等を、入力解析部401において解析することで行う。スライド操作を検出した場合にはステップST15へ、スライド操作を検出しない場合にはステップST16へそれぞれ進む。
次にステップST15において、スライド操作に基づいてスライド距離X0を更新する。
次にステップST16において、第1描画画面および第2描画画面において表示された描画オブジェクトを更新する。当該更新は、車両の移動等によって時々刻々変化する、描画画面内に表示される車両周辺の範囲や、描画オブジェクトとして表示される地図情報等(道路データ、建物データ、走行履歴を示すデータ等を含む)を更新するものである。
次にステップST17において、スライド距離X0に従って、上に重ねられる地図描画画面の表示位置を決定し、第1描画画面と第2描画画面とから合成描画画面を作成する。そして、作成した合成描画画面を入力兼表示部1に描画、すなわち表示する。詳細については後述する。
次にステップST18において、スライド表示モードを終了する所定の操作を検出する。当該操作が検出された場合にはステップST19へ進み、当該操作が検出されない場合にはステップST14へ戻る。スライド表示モードの終了は、例えばタッチ操作、ボタン操作、アイコン操作、ジェスチャー操作、音声認識等によって行うことができる。
次にステップST19において、通常表示モードに遷移し、ステップST11に戻る。
次に、ステップST16の詳細について、図4を参照しつつ説明する。ステップST16では、上述の通り、車両の移動等によって時々刻々変化する、描画画面内に表示される車両周辺の範囲や、描画オブジェクトとして表示される地図情報(道路データ、建物データ、走行履歴を示すデータ等を含む)等、第1描画画面および第2描画画面において表示された描画オブジェクトを更新しているが、ユーザによる所定の操作に従って、第2描画画面における第2描画オブジェクトの透明度の変更を行っている。
図4に示すように、ステップST161において、入力解析部401は、第2描画画面におけるユーザが入力兼表示部1を介してジェスチャー動作によって指定(指示)した範囲を特定する。例えば、図22に関連して後述するような、引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作があった場合は、当該操作が行われた画面上の範囲を特定する。
次にステップST162において、ユーザが指定した範囲内の描画オブジェクトを特定する。例えば、図22に関連して後述するような、特定した領域内のオブジェクトを特定する。
次にステップST163において、特定した描画オブジェクトを半透過表示(半透明表示)にする。なお、ここでは半透過表示にしているが、透過表示(透明表示)にしてもよい。すなわち、全体制御部402は、入力兼表示部1で受け付けたユーザの操作入力に応じて、第1、第2描画オブジェクトのマスクの程度を制御しており、マスクの程度を変更するために第2描画画面の第2描画オブジェクトを透明または半透明に制御(すなわち、透明度を制御)する。
次にステップST164において、半透過処理しない描画オブジェクトと、半透過処理した描画オブジェクトとを含む第2描画画面を、第2描画画面保持部406に描画して保持させる。
次に、ステップST17の詳細について、図5〜8を参照しつつ説明する。当該ステップでは合成描画画面の作成が行われるが、上に重ねた地図描画画面のスライド方法として、上に重ねられた地図描画画面全体を連続的に移動する、すなわち、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトがスライドに連動してスライド方向に移動する第1の方法(以下、ボードスライド)を用いて合成描画画面の作成を行う場合を説明する。特に、ボードスライドによるスライドアウト、すなわち、地図描画画面同士が全て重なった状態(全重ね状態)から、上に重ねた地図描画画面が移動し、表示面外へ出ていく方法を用いる場合を説明する。なお以下では、上に重ねる地図描画画面を第2描画画面とするが、逆であってもよい。
まずステップST411において、第1描画画面保持部404に保持された第1描画画面を合成描画画面保持部408に描画する。
次にステップST412において、スライド操作によって更新したスライド距離X0に従って、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。図6および図7に、描画画面に表示される描画オブジェクトの表示位置がそれぞれ異なる場合の、描画画面の合成方法を模式的に示す。
スライド距離X0が0である場合には、第1描画画面と第2描画画面とが完全に重なり、第2描画オブジェクトが第1描画オブジェクトを全てマスクする位置にする。注目点が設定されている場合には、第1描画画面における第1注目点と第2描画画面における第2注目点とが、表示面において重なって一致するような位置にしておくことが望ましい。すなわち、第1描画画面および第2描画画面において車両の周辺地図が示されている場合には、それぞれの描画画面における車両の現在位置が一致するような位置にすることが望ましい(この場合には、第1注目点と第2注目点との地図上の位置も共通している)。
スライド距離X0が0以外に更新された場合には、ユーザが例えばジェスチャー操作において表示面にタッチした位置、動作に基づくスライド距離X0に応じて、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。
例えば、ユーザが表示面にタッチし移動した距離(図6および図7におけるスライド距離X0)をオフセットとして、第2描画画面の画面端が位置する重なり開始位置に設定する。当該操作のように、所定のタッチ操作(例えば、表示面上のある方向へ所定の速度以下で指を動かす)に追随して上に重ねられる描画画面が移動する操作を引きずり操作といい、当該操作を行うモードを引きずりモードと呼ぶ。
また例えば、ユーザが表示面にタッチし移動した距離(図6および図7におけるスライド距離X0)をオフセットとして、第2描画画面の画面端が位置する重なり開始位置に設定し、ユーザが表示面にタッチする操作を終了すると同時に、タッチし移動する前の、元の重なり位置に戻す。当該操作のように、所定のタッチ操作(例えば、表示面上のある方向へ所定の速度以下で指を動かす)に追随して上に重ねられる描画画面を移動させ、タッチ操作の終了と同時に元の重なり位置まで戻す操作をシャッター操作といい、当該操作を行うモードをシャッターモードと呼ぶ。シャッター操作と引きずり操作とは、例えば、表示面にタッチする指の本数で区別することもできる。
また例えば、ユーザが表示面にタッチしトランプを飛ばすような動作(はじくような動作)をした場合には、時間とともに増加する量(図6および図7におけるスライド距離X0が時間とともに増加する)をオフセットとして、第2描画画面の重なり開始位置を設定する。当該操作のように、所定のタッチ操作で指定した方向に上に重ねられる描画画面を移動させ、以降は所定の慣性に従って移動させる操作を飛ばし操作といい、当該操作を行うモードを飛ばしモードと呼ぶ。
飛ばしモードでは、例えば次の条件や組み合わせで飛ばし操作を判断する。(a)タッチパネルにタッチした後、表示面上のある方向へ所定の速度以上で指をすばやく動かした場合、(b)タッチパネルを押した後、表示面上のある方向へ予め定められた所定の速度以上で、押圧を下げて指をすばやく動かす場合、(c)タッチパネルにタッチした後、表示面上のある方向へ予め定められた所定の速度以上で指をすばやく動かし、指をタッチパネルからやや離す場合である(ただし、この場合には、3次元位置を認識するタッチパルが必要である)。
なお、(a)〜(c)における所定の速度として設定される速度は、それぞれの条件ごとに異なる速度であってもよい。
次にステップST413において、重なり位置、具体的には重なり開始位置に従って、第2描画画面を重ねて描画(データを上書き)する。例えば、表示面の右側へスライドアウトする場合には、第2描画画面の左端が重なり開始位置に一致するように重ねて描画する。
第1描画画面に重なりきらない部分(図6および図7におけるP2)は、表示面には表示しない。この状態においては、第2描画画面が重ならないスライド距離X0の幅の第1描画画面の第1描画オブジェクトと、第2描画画面左端から幅D1分の、第2描画画面の第2描画オブジェクト(図6および図7におけるP1)とが、表示面に表示されることになる。ここで図6および図7における幅D1は、合成描画画面において表示される第2描画画面の幅に相当する長さである。
上記のような合成描画画面の作成を順次行うことで、図8に示す動作(ボードスライドによるスライドアウト)が可能となる。図8では、描画オブジェクトA、描画オブジェクトB、描画オブジェクトC、第1背景描画オブジェクトを描画した第1描画画面上に、描画オブジェクトa、描画オブジェクトb、描画オブジェクトc、第2背景描画オブジェクトを描画した第2描画画面を重ねている。仮に、第1描画画面における第1注目点を描画オブジェクトA、第2描画画面における第2注目点を描画オブジェクトaとする。第1背景描画オブジェクトおよび第2背景描画オブジェクトのそれぞれは、例えば、第1描画画面および第2描画画面と同一の大きさでクリーム色に塗られた長方形オブジェクトである。第2描画画面には第2背景描画オブジェクトの上に、描画オブジェクトa、描画オブジェクトb、描画オブジェクトcが描画されている。
図8において、(1a)(2a)(3a)は、下側の第1描画画面と上側の第2描画画面とを、側面方向から見た模式図であり、(1b)(2b)(3b)は、第1描画画面と第2描画画面とを上面方向から見た模式図である。
ユーザの指で入力兼表示部1にタッチし、図における右方向に移動させていく(引きずり操作)。そうすると、上側の第2描画画面の重なり開始位置が順次更新され(1a→2a→3a、もしくは、1b→2b→3b)、第2描画画面全体がボードに乗ってスライドしたように表示される(ボードスライド)。
すなわち上記のスライド動作をさせた場合、図8における描画オブジェクトa、描画オブジェクトb、描画オブジェクトcが、第2背景描画オブジェクトとともにボードに乗っているように右側へ移動していく。
(1a)および(1b)の状態では、第1描画画面と第2描画画面とが完全に重なり、描画オブジェクトA、描画オブジェクトB、描画オブジェクトCが第2背景描画オブジェクトにマスクされている。例えば、第1描画画面および第2描画画面において車両の周辺地図が示されている場合には、それぞれの描画画面における車両の現在位置が一致している(すなわち、第1注目点と第2注目点との地図上の位置が一致している)。なお、第2描画画面が第1描画画面に対して小さい画面であるときは、第2描画画面の大きさ分の第1描画画面上の領域に、第2描画画面が重なっていればよい。
(2a)および(2b)の状態では、描画オブジェクトaおよび描画オブジェクトbは表示面に表示されているが、一番右側の描画オブジェクトcが入力兼表示部1の表示面から外れ、表示されなくなる。一方で描画オブジェクトAは表示されているが、描画オブジェクトBは第2背景描画オブジェクトにマスクされ非表示となり、描画オブジェクトCは第2背景描画オブジェクトにマスクされ非表示となる。またこのとき、上側の第2描画画面と下側の第1描画画面との相対位置関係が随時変化している。
(3a)および(3b)の状態では、上側の第2描画画面がさらに右へ移動し、描画オブジェクトbも入力兼表示部1の表示面から外れ、表示されなくなる。一方で描画オブジェクトAおよび描画オブジェクトBは表示されているが、描画オブジェクトCは第2背景描画オブジェクトにマスクされ非表示となる。またこのとき、上側の第2描画画面と下側の第1描画画面との相対位置関係が随時変化している。
次に図9〜11を参照して、ボードスライドによるスライドイン、すなわち、地図描画画面が重なっていない状態(全ずれ状態)から、上に重なる地図描画画面が表示面外から移動してきて重なり、地図描画画面同士が重なった状態(全重ね状態)となっていく方法を用いて合成描画画面の作成を行う場合を説明する。
まずステップST431において、第1描画画面保持部404に保持された第1描画画面を合成描画画面保持部408に描画する。
次にステップST432において、スライド操作によって更新したスライド距離X0に従って、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。図10および図11に、描画画面に表示される描画オブジェクトの表示位置がそれぞれ異なる場合の、描画画面の合成方法を模式的に示す。
スライド距離X0が0である場合には、例えば、第2描画画面が完全に表示面外となるような位置にしておく。
スライド距離X0が0以外に更新された場合には、ユーザが例えばジェスチャー操作において表示面にタッチした位置、動作に基づくスライド距離X0に応じて、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。
注目点が設定されている場合には、スライド距離X0の更新によって、第1描画画面における第1注目点と第2描画画面における第2注目点とが近づいていくように、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定されることが望ましい。
次にステップST433において、重なり位置、具体的には重なり開始位置に従って、第2描画画面を重ねて描画する。例えば、表示面の左側からスライドインする場合には、第2描画画面の右端が重なり開始位置に一致するように重ねて描画する。
第1描画画面に重なりきらない部分(図10および図11におけるP1)は、表示面に表示しない。この状態においては、第2描画画面が重ならない幅D1の第1描画画面の第1描画オブジェクトと、第2描画画面右端からスライド距離X0分の、第2描画画面の第2描画オブジェクト(図10および図11におけるP2)とが、表示面に表示されることになる。
次に図12〜14を参照して、図9〜11における場合とは逆側からの、ボードスライドによるスライドインについて説明する。
まずステップST441において、第1描画画面保持部404に保持された第1描画画面を合成描画画面保持部408に描画する。
次にステップST442において、スライド操作によって更新したスライド距離X0に従って、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。図13および図14に、描画画面に表示される描画オブジェクトの表示位置がそれぞれ異なる場合の、描画画面の合成方法を模式的に示す。
スライド距離X0が0である場合には、例えば、第2描画画面が完全に表示面外となるような位置にしておく。ただし、図10および図11における場合とは逆側(右側)の表示面外となっている。
スライド距離X0が0以外に更新された場合には、ユーザが例えばジェスチャー操作において表示面にタッチした位置、動作に基づくスライド距離X0に応じて、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。
次にステップST443において、重なり位置、具体的には重なり開始位置に従って、第2描画画面を重ねて描画する。例えば、表示面の右側からスライドインする場合には、第2描画画面の左端が重なり開始位置に一致するように重ねて描画する。
第1描画画面に重なりきらない部分(図13および図14におけるP2)は、表示面に表示しない。この状態においては、第2描画画面が重ならない幅D1の第1描画画面の第1描画オブジェクトと、第2描画画面左端からスライド距離X0分の、第2描画画面の第2描画オブジェクト(図13および図14におけるP1)とが、表示面に表示されることになる。図10および図11の場合とは、左右の並び関係が入れ替わって表示されている。
以上に示したスライド方法は、上に重ねる描画画面が移動し、その移動に合わせて下の描画画面が見える範囲が変化するものである。スライドの方法は上記の場合に限られず、スライドの方向、スライドする際の上の描画画面の動き等、様々なバリエーションが考えられる。
さらに、他のスライド方法の場合におけるステップST17の詳細について、図15〜17を参照しつつ説明する。当該ステップでは合成描画画面の作成が行われるが、上に重ねた地図描画画面のスライド方法として、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトの表示を部分的に切り替え、上に重ねられる地図描画画面の表示領域を連続的に変動(増やすまたは減らす)させていく、すなわち、上に重ねられる地図描画画面の描画オブジェクトの表示位置は変化させずに、下の地図描画画面の描画オブジェクトと重なる領域だけを変化させる第2の方法(以下、カーテンスライド)を用いて、合成描画画面の作成を行う場合を説明する。特に、カーテンスライドによるスライドアウト、すなわち、地図描画画面同士が重なった状態(全重ね状態)から、上に重ねた地図描画画面がその位置を維持しながら連続的に除去され、下にある地図描画画面が表示される表示領域となっていく方法を用いる場合を説明する。なお以下では、上に重ねる地図描画画面を第2描画画面とするが、逆であってもよい。
まずステップST421において、第1描画画面保持部404に保持された第1描画画面を合成描画画面保持部408に描画する。
次にステップST422において、スライド操作によって更新したスライド距離X0に従って、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。
スライド距離X0が0である場合には、第1描画画面と第2描画画面とが完全に重なり、第2描画オブジェクトが第1描画オブジェクトを全てマスクする位置にする。注目点が設定されている場合には、第1描画画面における第1注目点と第2描画画面における第2注目点とが、表示面において重なって一致するような位置にしておくことが望ましい。すなわち、第1描画画面および第2描画画面において車両の周辺地図が示されている場合には、それぞれの描画画面における車両の現在位置が一致するような位置にすることが望ましい。
スライド距離X0が0以外に更新された場合には、ユーザが例えばジェスチャー操作において表示面にタッチした位置、動作に基づくスライド距離X0に応じて、第2描画画面の第1描画画面への重なり位置を決定する。
例えば、ユーザが表示面にタッチし移動した距離(図16におけるスライド距離X0)をオフセットとして、第2描画画面の除去されていく画面端が位置する重なり開始位置に設定する。当該操作のように、所定のタッチ操作(例えば、表示面上のある方向へ所定の速度以下で指を動かす)に追随して上に重ねられる描画画面が移動する操作を引きずり操作といい、当該操作を行うモードを引きずりモードと呼ぶ。
また例えば、ユーザが表示面にタッチし移動した距離(図16におけるスライド距離X0)をオフセットとして、第2描画画面の画面端が位置する重なり開始位置に設定し、ユーザが表示面にタッチする操作を終了すると同時に、タッチし移動する前の、元の重なり位置に戻す。当該操作のように、所定のタッチ操作(例えば、表示面上のある方向へ所定の速度以下で指を動かす)に追随して上に重ねられる描画画面を移動させ、タッチ操作の終了と同時に元の重なり位置まで戻す操作をシャッター操作といい、当該操作を行うモードをシャッターモードと呼ぶ。シャッター操作と引きずり操作とは、例えば、表示面にタッチする指の本数で区別することもできる。
また例えば、ユーザが表示面にタッチしトランプを飛ばすような動作(はじくような動作)をした場合には、時間とともに増加する量(図16におけるスライド距離X0が時間とともに増加する)をオフセットとして、第2描画画面の重なり開始位置を設定する。当該操作のように、所定のタッチ操作で指定した方向に上に重ねられる描画画面を移動させ、以降は所定の慣性に従って移動させる操作を飛ばし操作といい、当該操作を行うモードを飛ばしモードと呼ぶ。
次にステップST423において、重なり位置、具体的には重なり開始位置に従って、第2描画画面を重ねて描画する。例えば、表示面の右側へスライドアウトする場合には、第2描画画面の除去されていく左端が重なり開始位置に一致するように重ねて描画する。すなわち、重なり開始位置に一致させる第2描画画面の位置は、第2描画画面において画面左端からスライド距離X0だけオフセットされた位置である。
第1描画画面上から除去された部分(図16におけるP1)は、表示面に表示しない。この状態においては、第2描画画面が重ならないスライド距離X0の幅の第1描画画面の第1描画オブジェクトと、第2描画画面右端から幅D1分の、第2描画画面の第2描画オブジェクト(図16におけるP2)とが、表示面に表示されることになる。
上記のような合成描画画面の作成を順次行うことで、図17に示す動作(カーテンスライドによるスライドアウト)が可能となる。図17では、描画オブジェクトA、描画オブジェクトB、描画オブジェクトCを描画した第1描画画面上に、描画オブジェクトa、描画オブジェクトb、描画オブジェクトcを描画した第2描画画面を重ねている。仮に、第1描画画面における第1注目点を描画オブジェクトB、第2描画画面における第2注目点を描画オブジェクトbとする。
図17において、(1a)(2a)(3a)は、下側の第1描画画面と上側の第2描画画面とを、側面方向から見た模式図であり、(1b)(2b)(3b)は、第1描画画面と第2描画画面とを上面方向から見た模式図である。
ユーザの指で入力兼表示部1にタッチし、図における右方向に移動させていく(引きずり操作)。そうすると、上側の第2描画画面の重なり開始位置が順次更新され(1a→2a→3a、もしくは、1b→2b→3b)、第2描画画面が表示位置を維持しながら連続的に、カーテンを引くようにスライドされて表示される(カーテンスライド)。
(1a)および(1b)の状態では、第1描画画面と第2描画画面とが完全に重なり、描画オブジェクトA、描画オブジェクトB、描画オブジェクトCが第2背景描画オブジェクトにマスクされている。例えば、第1描画画面および第2描画画面において車両の周辺地図が示されている場合には、それぞれの描画画面における車両の現在位置が一致している(すなわち、第1注目点と第2注目点との地図上の位置が一致している)。なお、第2描画画面が第1描画画面に対して小さい画面であるときは、第2描画画面の大きさ分の第1描画画面上の領域に、第2描画画面が重なっていればよい。
(2a)および(2b)の状態では、描画オブジェクトbおよび描画オブジェクトcは表示面に表示されているが、一番左側の描画オブジェクトaが入力兼表示部1の表示面から除去され、表示されなくなる。一方で描画オブジェクトAは表示されているが、描画オブジェクトBは第2背景描画オブジェクトにマスクされ非表示となり、描画オブジェクトCは第2背景描画オブジェクトにマスクされ非表示となる。またこのとき、上側の第2描画画面と下側の第1描画画面との相対位置関係は維持されている。すなわち、第1注目点と第2注目点とが、表示面上において常に一致している。
(3a)および(3b)の状態では、上側の第2描画画面がさらに右まで除去され、描画オブジェクトbも入力兼表示部1の表示面から除去され、表示されなくなる。一方で描画オブジェクトAおよび描画オブジェクトBは表示されているが、描画オブジェクトCは第2背景描画オブジェクトにマスクされ非表示となる。またこのとき、上側の第2描画画面と下側の第1描画画面との相対位置関係は維持されている。
また、第2背景描画オブジェクトは単色のクリーム色として説明したが、例えば、図17において、描画オブジェクトa付近はクリーム色で、描画オブジェクトc付近はピンク色になるようにグラデーションがかかっている場合は、(1a),(2a),(3a)の描画オブジェクトc付近の描画背景色は、同一のピンクに近い色である。
なお、上記では、カーテンスライドによるスライドアウトについて説明したが、カーテンスライドによるスライドイン、すなわち、地図描画画面が重なっていない状態(全ずれ状態)から、上に重ねた地図描画画面がその位置を維持しながら連続的に現れ、上にある地図描画画面が表示される表示領域となっていく場合の動作は、図17の逆方向(図17の(3a,3b)→(2a,2b)→(1a,1b))となる。
また、以上に示したスライド方法は、上に重ねられる地図描画画面の表示位置を維持しながら連続的に表示を切り替え、その表示領域を変動させることで下の地図描画画面が見える範囲を変化させるものである。スライドの方法は上記の場合に限らず、変動が進む方向(タッチ位置を中心に広がる等)、表示切り替え時の上の地図描画画面の表示方法(点滅やフェード)等、様々なバリエーションが考えられる。
また、以上に示したスライド方法は、ユーザが第2描画画面が表示されているエリアのどこをタッチ等して操作してもスライド操作できたが、スライド操作を受け付ける第2描画画面が表示されている範囲を限定しても良い。例えば、第2描画画面が表示されている境界近傍でスライドを示すジェスチャーをした場合に第2描画画面のスライドを受けるように構成しても良い。
また、スライド操作を受け付ける、第2描画画面上のエリアをアイコン等で表示しても良い。この場合、引きずり操作、飛ばし操作、単なるタッチ操作による通常の操作遷移を並存して受けつけることが可能となり、使い勝手の良い装置を提供することができる。
また、上記では、第2背景描画オブジェクトを描画画面と同一の大きさのクリーム色の矩形オブジェクトと下が、矩形に拘るものではなく、台形、楕円形、穴あきオブジェクトであってもよく、また色彩も単色ではなくグラデーションや模様があってもよく、ユーザにとってデザインの良い表示を提供できる。
また、上記では、第1描画オブジェクトおよび第2描画オブジェクトはそれぞれ第1情報格納部2、第2情報格納部3に格納されているとして説明したが、全体制御部402がソフトウェア処理により両方または一方の描画オブジェクトを生成してもよい。例えば、自車位置マークなどは全体制御部402がプログラムで作成してもよい。また、両方あるいは一方の背景描画オブジェクトを全体制御部402がソフトウェア処理で生成してもよい。
また、上記では、矩形の描画オブジェクトである背景描画オブジェクトを描画画面にレンダリングする方法を説明したが、背景描画オブジェクトの生成方法はこの方法に拘るものではなく、例えば、描画画面そのものが背景描画オブジェクトに相当する背景色を生成する機能を有する場合は、全体制御部402がソフトウェア処理によって第1描画画面保持部404および第2描画画面保持部406の背景色を設定してよい。
また、ハードウェア構造あるいはソフトウェア処理上、第1描画画面および第2描画画面の背景色の設定を合成描画部407が入力して生成する場合は、全体制御部402がソフトウェア処理によってそれぞれの背景色を設定してもよい。
本発明でいう描画オブジェクトは、上記のようなソフトウェア処理によって最終的に入力兼表示部1に表示される表示物も含む概念である。
次に、上記のスライド方法を用いた動作の具体例について説明する。
図18〜22は、本実施の形態1による地図表示装置の動作の具体例を示す図である。図18〜22では、第2描画画面を全ずれ状態からカーテンスライドによって第1描画画面にスライドインさせた後に、第2描画画面の第2描画オブジェクトの透明度を変更する動作について示している。
動作の前提として、第1情報描画部403は、図18(a)に示す第1描画画面を形成し、第1描画画面保持部404に描画している。第1描画画面には、第1描画オブジェクトとしてカーナビゲーションの案内経路と自車位置とを含む地図が表示されている。また、第2情報描画部406は、図18(b)に示す第2描画画面を形成し、第2描画画面保持部406に描画している。第2描画画面には、第2描画オブジェクトとして第1描画オブジェクトの地図上の位置に対応付けられた立体形状の建物データを含む描画オブジェクトが表示されている。また、第2背景描画オブジェクトは透明である。または、存在しなくてもよい。
図19(a)に示すように、入力兼表示部1の表示面には、第1描画画面のみが表示されている。また、第1描画画面の左上には「3D」と記されたアイコンが表示されている。当該アイコンは、選択されることによって立体形状の建物を第2描画オブジェクトとした第2描画画面を表示するためのものである。なお、アイコンは、第1描画画面の任意の箇所に表示させることができる。
図19(a)の状態において、ユーザがアイコンを選択する(例えば、アイコン表示部分を指で押す)と、図19(b)に示すように、スライド操作エリアが第1描画画面の左端に表示される。
図19(b)の状態において、ユーザがスライド操作エリアを第1描画画面の右方向に引きずり操作する(例えば、ユーザが指でスライド操作エリアをタッチして引きずり操作する)と、図19(c),(d)に示すように、第2描画画面が第1描画画面の左端から徐々にスライドインして表示される。このとき、第2描画画面の背景は、第1描画画面と区別可能なように半透明で表示されている。なお、第2描画画面は、背景が半透明でなくてもよく、第1描画画面と区別可能なように表示されればよい。すなわち、スライド可能な画面(ここでは第2描画画面)が区別可能なように表示されればよい。
図19(c),(d)に示すように、引きずり操作を途中で止めて、ユーザが指を表示面から離すと、図20(a)に示すように、引きずり操作を止めた箇所でスライド操作エリアが固定される。すなわち、カーテンスライドによってスライドインした第2描画画面の表示領域が決まる(第1描画画面の第1描画オブジェクトに対して第2描画画面の第2描画オブジェクトがマスクする領域が決まる)。このとき、第2描画画面の背景は半透明のままである。図20(a)の状態において、ユーザが再度スライド操作エリアを引きずり操作すると、引きずり操作に従って、第2描画画面をカーテンスライドによるスライドインあるいはスライドアウトさせることができる。
なお、図20(a)では、引きずり操作を止めると、止めた箇所でスライド操作エリアが固定して表示されるが、図20(b)に示すように、スライド操作エリアに代えてアイコンを表示させてもよい。またこのとき、第2描画画面の背景を透明にしてもよい。また、図20(b)の状態でアイコンを選択すると、図20(a)に示すような表示に戻り、ユーザは引きずり操作を再開することができる。
引きずり操作によって第2描画画面を第1描画画面の右端までスライドさせると、図21(a)に示すように、第2描画画面の全体が第1描画画面の全体に重なって表示される(全重ね状態)。すなわち、第2描画画面の第2描画オブジェクトのすべてが第1描画画面の第1描画オブジェクトをマスクした状態となる。このとき、表示画面の右端にスライド操作エリアを表示させる。
なお、図21(a)では、表示画面の右端にスライド操作エリアを表示させているが、図21(b)に示すように、表示画面の所定の箇所(図21(b)では表示画面の右下)にアイコンを表示させるようにしてもよい。すなわち、図21(a),(b)の状態において、スライド可能な第2描画画面が存在することをユーザが認識することができるようにすればよい。また、図21(b)の状態でユーザがアイコンを選択すると、図21(a)に示すようなスライド操作エリアを表示するようにしてもよい。
また、図21(a)の状態において、ユーザがスライド操作エリアを表示画面の左方向に引きずり操作すると、引きずり操作に従って、第2描画画面をカーテンスライドによるスライドアウトさせることができる。具体的には、図21(a)→図20(a)→図19(d)→図19(c)→図19(b)の順に第2描画画面をスライドアウトさせることができる。
また、図21(a)の状態において、ユーザがスライド操作エリアを表示画面の左方向に飛ばし操作すると、図21(a)の状態(全重ね状態)から図19(b)の状態(全ずれ状態)に一気に表示を変更させるようにしてもよい。
図21(a)に示すように、ユーザが引きずり操作を止めて指を表示面から離すと、図22(a),(b)に示すように、ユーザは第2描画画面の第2描画オブジェクトの透明度を変更することができるようになる。
図22(a)に示すように、案内経路の行き先が手前の建物9,10で遮られて見えない場合において、ユーザは、例えば上述の引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作(ジェスチャー動作)を建物9,10に対して行う(図22(a)では右方向)と、図22(b)に示すように、建物9,10が半透明表示される。なお、建物9,10を透明表示にしてもよい。また、例えばユーザが建物9,10に対して上記とは逆の方向(図22(b)の状態で左方向)に上述の引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作を行うと、建物9,10の半透明表示を解除するようにしてもよい。
上記より、ユーザは、図22(a)では認識できなかった建物9,10で隠れていた案内経路を容易に認識することができ、例えば交差点で右折した後の経路状況を知ることができる。
なお、第2描画画面の第2描画オブジェクト(上記では建物)の透明度の変更は、図20(a),(b)に示すように、引きずり操作を途中で止めた状態であっても行うことができる。
また、図22(a)あるいは(b)の状態において、ユーザがスライド操作エリアを表示画面の左方向に引きずり操作すると、引きずり操作に従って、第2描画画面をカーテンスライドによるスライドアウトさせることができる。具体的には、図22(a)あるいは(b)→図20(a)→図19(d)→図19(c)→図19(b)の順に第2描画画面をスライドアウトさせることができる。
また、図22(a)あるいは(b)の状態において、ユーザがスライド操作エリアを表示画面の左方向に飛ばし操作すると、図20(a)あるいは(b)の状態から図19(b)の状態となるように一気に第2描画画面をスライドアウトさせるようにしてもよい。
また、図18では、第2描画画面をカーテンスライドによってスライドインすることについて説明したが、第2描画画面をボードスライドによってスライドインするようにしてもよい。この場合、第2描画画面を図19(b)の状態(全ずれ状態)から図21(a)の状態(全重ね状態)までスライドインした後に、図22(a),(b)に示すような第2描画画面の第2描画オブジェクト(上記では建物)の透明度の変更を行う。なお、第2描画画面の第2描画オブジェクト(上記では建物)の透明度の変更は、スライドインの途中で止めた状態(図20(a)に示すような状態)で行うようにしてもよい。この場合、スライドインの途中において、第2描画画面の第2描画オブジェクトによって隠れた第1描画画面の第1描画オブジェクトを視認することができる。
また、上記では、第2描画画面をスライドインさせて第1描画画面に重ねることについて説明したが、例えば、1つの描画画面(第1描画画面)上に平面地図(第3描画オブジェクト)と立体形状の建物(第4描画オブジェクト)とを表示し、立体形状の建物を指定して透明度を変更するようにしてもよい。
図23,24は、本実施の形態1による地図表示装置の動作の他の具体例を示す図である。図23,24では、ユーザが指定した描画オブジェクトの色相を変化させることを特徴としている。すなわち、図4のステップST163において描画オブジェクトの色相を変化させている。なお、第2描画画面に対する処理は、図3のステップST16で行うものとする。
図23(a)では、第1描画画面に第2描画画面が重ねて表示されている。第1描画画面には、第1描画オブジェクトとしてカーナビゲーションの経路(案内経路)と自車位置などの地図が表示されている。また、第2描画画面には、第2描画オブジェクトとして第1描画オブジェクトの地図上の位置に対応付けられた地物の情報に関する描画オブジェクトであるPOI(Point Of Interest)データを含む描画オブジェクトが表示されている。なお、第2描画オブジェクトは、POIが表示される箇所以外は透明であるものとする。すなわち、第2背景描画オブジェクトは透明である。または、存在しなくてもよい。また、第2描画画面を第1描画画面に重ねて表示させる方法については、上記の図18〜22にて説明した各方法を用いることができる。
図23(a)の状態において、ユーザが、例えば上述の引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作(ジェスチャー動作)を第2描画画面に対して右方向へ一回行うと、第2描画画面の描画オブジェクト(図19ではPOI)が特定され、図23(b)に示すように当該POIの色相が暗くなる。
また、図23(b)の状態において、ユーザが、例えば上述の引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作を第2描画画面に対して右方向へ一回行うと、図23(c)に示すようにPOIの色相がさらに暗くなる。
また、図24(c)(図23(c)に対応)の状態において、ユーザが、例えば上述の引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作を第2描画画面に対して左方向へ一回行うと、図24(b)(図23(b)に対応)に示すようにPOIの色相が明るくなる。
また、図24(b)(図23(b)に対応)の状態において、ユーザが、例えば上述の引きずり操作あるいは飛ばし操作と同様の操作を第2描画画面に対して左方向へ一回行うと、図24(a)(図23(a)に対応)に示すようにPOIの色相がさらに明るくなる。
上記より、ユーザは、第2描画画面内の描画オブジェクト(図23,24ではPOI)の色相を任意に変化させることができ、目的に応じた見やすい表示とすることができる。
以上のことから、本実施の形態1によれば、複数の地図描画画面を表示面に表示する場合において、各地図描画画面における描画オブジェクト間の関係性の把握を容易にでき、かつユーザの操作性を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態1では、図4のステップST163にて行われる第2描画画面の第2描画オブジェクトに対する透過率(透明度)は予め定められた値であるが、ユーザが自身の好みに応じて任意の透過率を設定することができる手段を設けてもよい。
また、本実施の形態1では、第2描画画面に表示される特定の描画オブジェクトを透明あるいは半透明にしているが、第2描画画面全体を一様に透明あるいは半透明にするようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、第2描画画面に表示される特定の描画オブジェクトに対して一回のジェスチャー動作を行うことによって所定の透過率(透明度)に変更するようにしたが、ユーザがジェスチャー動作を繰り返すごとに透過率を変更するようにしてもよい。このとき、ジェスチャー動作の方向に従って透過率の濃淡を変更するようにしてもよい。
また、ジェスチャー動作による透過率の変更の一例として、1点タッチ(例えば、描画画面に表示される描画オブジェクトの1点をタッチしたままスライドさせる動作)によって段階的な透過率の変更を行い、2点タッチ(例えば、描画画面に表示される描画オブジェクト上の2点をタッチしたままスライドさせる動作)によって最小の透過率とし、当該2点タッチのジェスチャー動作の方向とは反対方向に2点タッチでジェスチャー動作することによって元の透過率(透過なし)に変更してもよい。
また、ジェスチャー動作による透過率の変更の他の例としてジェスチャー動作の向きや早さによって透過率を変更してもよい。例えば、ジェスチャー動作が速い場合は上記の2点タッチによるジェスチャー動作に相当させてもよく、また、上下方向のジェスチャー動作と左右方向のジェスチャー動作とで透過率を変更するようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、第1描画画面に第2描画画面を重ねて表示させているが、第1描画画面に重ねる描画画面は複数あってもよい。例えば、第2描画画面とは別に第3の描画画面を準備し、第2描画画面の第2描画オブジェクトは立体形状の建物であり、第3描画画面の第3描画オブジェクトをPOIとすることができる。この場合、第2描画画面と第3描画画面とを区別するために、各描画画面が存在することを示すアイコンをそれぞれ表示面に表示させるようにしてもよい。
また、本実施の形態1では、第1描画オブジェクトは道路情報であり、第2描画オブジェクトは立体形状の建物の情報(3次元立体画像)を例に説明したが、第2描画オブジェクトを図19,20に示すようなPOI情報、高架道路情報、高速道路情報、任意の登録地点情報に関する描画オブジェクトとしてもよい。
また、本実施の形態1では、第2描画画面の第2描画オブジェクトとして立体形状の建物(3次元立体画像)を例に説明したが、人口建造物だけでなく山など自然立体地物(地物)を描画オブジェクトとしてもよい。
また、本実施の形態1では、第1描画画面の第1描画オブジェクトとして2次元地図を例に説明したが、バードビュー(登録商標)地図など他の表現方法による描画オブジェクトであってもよい。
また、入力兼表示部1は表示面を有し、第1描画画面の大きさは表示面の全体に対応し、第2画面の大きさは表示面の一部に対応するようにしてもよい。
また、本実施の形態1による入力兼表示部1は、ユーザの入力情報を受け取る入力部と、受け取った入力情報や制御部4による動作制御に基づく地図描画画面を表示する表示部とが一体となった構成であるが、これらの機能を実現する構成が別々に備えられるものであってもよい。
また、本実施の形態1のようにタッチパネルを用い、ジェスチャー操作によって描画画面の重なりを変動させれば、操作が容易である。すなわち、従来の地図表示装置の制御は、タッチパネルに表示された操作アイコンをタッチすることや、機械的なスイッチやダイアル操作によって行われており、必ずしも使い勝手の良いユーザインタフェースではなかったが、本発明のように、いわゆるスマートフォン等と呼ばれる、タッチパネルを有する携帯端末に代表されているようなジェスチャー操作を用いることによって、使い勝手の良いユーザインタフェースを実現できる。
よって、例えば車両に搭載された地図表示装置の操作を行う場合のような、操作時間に限りがある場合等に有効である。さらに、重なりの変動の自由度(移動方向や導入除去の際の効果等)が高く、ユーザの娯楽的な要素も含めた要求に応えることができる。
また、タッチパネル等の操作に慣れたユーザが親しみやすい入力モードを提供できる。
また、入力兼表示部1は、通常のタッチパネルに限らず、静電容量検出型のタッチパネルを用いて、指の近接および接触を検知可能な3次元タッチパネルであってもよい。
また、本実施の形態におけるスライド方法は例示であり、上記のスライド表示モードにおいて、スライド方法以外の方法による地図描画画面の更新が可能であってもよい。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。