JP5805190B2 - 療法用モノクローナル抗体に結合する抗体の測定のためのアッセイ - Google Patents

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Description

本発明は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者由来の試料において、in vitroで抗<療法用モノクローナル抗体>抗体(nti−<herapeutic monoclonal ntibody> antiody)(抗<TmAB>AB)を測定するためのイムノアッセイ法に関する。該方法は、(a)固相に結合した前記TmABのF(ab)断片を提供し、(b)試料と、(a)で提供された固相をインキュベーションし、それによって、F(ab)断片を通じて固相に抗<TmAB>ABが結合し、(c)(b)で得られた固相と、抗<TmAB>ABに結合するモノクローナル抗体をインキュベーションし、(d)(c)で結合したモノクローナル抗体を検出し、そしてそれによって、試料中の抗<TmAB>ABを測定する工程を含む。本発明はまた、TmABで治療された患者から提供される試料における前記TmABに対する抗<TmAB>ABの検出がin vitroで測定されるアレイ形式のイムノアッセイによって、特定の免疫グロブリンクラスの抗原特異的抗体を測定するための方法にも関する。やはり開示するのは、抗<TmAB>抗体を検出するための、そしてTmABでの治療中に薬物有害反応(ADR)を生じるリスクがある患者の同定における、こうした方法の使用である。
1974年のKoehlerおよびMilsteinによる最初のモノクローナル抗体の開発以来、ヒトにおける療法に適した抗体の開発に多くの努力が捧げられてきた。最初に利用可能になったモノクローナル抗体は、マウスおよびラットで開発されてきた。過去10年間、ますます多数のキメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体またはヒトモノクローナル抗体が市場に出回ってきている。
療法用モノクローナル抗体(=TmAB)の周知の例は、アブシキシマブ(ReoPro(登録商標))、アダリムマブ(Humira(登録商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、バシリキシマブ(Simulect(登録商標))、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、セルトリズマブ・ペゴール(Cimzia(登録商標))、ダクリズマブ(Zenapax(登録商標))、エクリズマブ(Soliris(登録商標))、エファリズマブ(Raptiva(登録商標))、ゲムツズマブ(Mylotarg(登録商標))、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ムロモナブ−CD3(Orthoclone OKT3(登録商標))、ナタリズマブ(Tysabri(登録商標))、オマリズマブ(Xolair(登録商標))、パリビズマブ(Synagis(登録商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ラニビズマブ(Lucentis(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan(登録商標)、MabThera(登録商標))、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標))およびトシツモマブ(Bexxar(登録商標))である。
利用可能な異なる種類のTmABがあり、このうちいくつかは、患者治療中に、薬物有害反応(ADR)または二次治療失敗を誘導しうる。
現在入手可能な、多様な種類のTmABは、キメラ抗体、例えばインフリキシマブ(抗<TNFα>AB)、ヒト化抗体、例えばセルトリズマブ(抗<TNFα>AB)およびヒト抗体、例えばアダリムマブ(やはり抗<TNFα>AB)またはパニツムマブ(抗<上皮増殖因子受容体>AB)を含む。
非常に多数のキメラ、ヒト化またはヒトTmABが市場にあるかまたは現在開発中であり、そしてさらに研究される必要がある。こうした研究の重要な基準は、いくつかのみに言及すると、治療中の自己抗体の誘導、薬物有害反応(ADR)、生物学的利用能および抗体クリアランスである。
TmAbでの患者治療に関するEMEA認可もまた、将来的に、抗<TmAB>ABの形成に関連するデータに依存するであろう。
抗<TmAB>ABを検出するため、多くの異なる方法が、先行技術で使用されてきており、そして非常に異なるかまたはさらに矛盾する結果および暗示を導いてきた。
Mire−Sluis, A.R.らは、J. Immunol. Methods 289(2004)1−16において、バイオテクノロジーで産生した療法用抗体に対する宿主の抗薬剤抗体(抗<TmAB>AB)の検出において用いられるイムノアッセイの設計および最適化に関する推奨を要約する。Mire−Sluisらによれば、周知の抗薬剤抗体アッセイ形式は、かなりの不都合な点を示す。抗薬剤抗体アッセイは、例えば、WO 2005/045058およびWO 90/006515に言及される。抗イディオタイプ抗体アッセイは、例えばUS 5,219,730; WO 87/002778; EP 0 139 389;およびEP 0 170 302に言及される。Wadhwa, M.らは、J. Immunol. Methods 278(2003)1−17において、療法生物学によって誘導される望ましくない抗体の検出、測定および性質決定のための戦略を報告する。
Ardenら, Current Opinion in Immunology 20(2008)431−435は、抗<腫瘍壊死因子>抗体の免疫原性および抗<抗体>測定の改善法を概説する。
免疫系、例えば哺乳動物生物の免疫系は、外来(foreign)(非自己)物質または感染性病原体に対する反応として、免疫グロブリンとも呼ばれる抗体を産生する。こうした非自己物質はまた、抗原とも呼ばれる。哺乳動物生物は、外来物質または感染性病原体に対して自己を防御するために抗体を用いる。
免疫グロブリン(Ig)は、5つの異なるクラスに分けられうる。免疫グロブリンは、M、G、A、E、およびDクラスに区別される。これらの5つの免疫グロブリンクラスは、各々、重鎖の組成に関して異なり、重鎖は、μ、γ、α、ε、またはδ鎖と呼ばれる。
各免疫グロブリンクラスは、生物において異なる機能を有する。Mクラスの免疫グロブリンは、抗原と最初の接触が行われる、いわゆる一次免疫時に生じる。しかし、これらの免疫グロブリンの濃度は、こうした最初の感染後に減少する。Gクラスの免疫グロブリンは一次免疫中にゆっくりと形成され、そして同じ抗原での二次感染があると、多量に生じる。Aクラスの免疫グロブリンは、哺乳動物組織のいくつかの粘膜表面上で見られ、そしてそこで生じる防御プロセスに関与する。Eクラスの免疫グロブリンは、主に、アレルギー反応に関与する。Dクラスの免疫グロブリンの正確な機能は、現在まで知られていない。
個々の免疫グロブリンクラスは、非常に異なる濃度で血中に存在する。Gクラスの免疫グロブリン(IgG)は、ヒト血清中で最高の出現率を持つクラスであり、約75%の比率で存在し、これはおよそ8〜18mg/mlの血清含量に対応する。次に最も頻繁な免疫グロブリンクラスはクラスA(IgA)であり、その平均血清濃度は、通常、0.9〜4.5mg/mlである。Mクラスの免疫グロブリン(IgM)は、0.6〜2.8mg/mlの濃度で存在し、そしてクラスDの免疫グロブリン(IgD)は、通常、0.003〜0.4mg/mlの濃度で存在する。IgE抗体は最低の比率で存在し、そして血清中に約0.02〜0.05μg/mlの濃度でしか存在しない。
多くの疾患の鑑別診断のため、免疫グロブリンの1またはそれより多い特定のクラスの抗体を検出することが重要である。ウイルス、細菌および寄生虫感染の場合、満足がいく診断は、クラス特異的抗体検出によって、そして/または特定の他の免疫グロブリンクラスの妨害性測定を排除する(例えばIgGおよびIgA抗体を検出するが、IgM抗体を検出しない)ことによってのみ、確実になりうる。これは、新鮮なまたは急性の感染およびより古い感染の間を区別するために、また、感染経過を臨床的に監視するためにも、特に重要である。抗体のクラス特異的検出は、HIV、A型肝炎、B型肝炎、トキソプラズマ症、風疹およびクラミジア感染のために特に重要である。特定の抗原に特異的な抗体のクラス特異的検出はまた、例えば免疫が成功したかどうかをチェックするために、防御抗体の力価を測定する際にも必要である。
特定のクラスの抗原特異的抗体はしばしば、試料中に含まれる抗原特異的抗体が、特異的抗原でコーティングされた固相に結合することによって、検出される。コーティングされた抗原を通じて固相に特異的に結合した免疫グロブリン(Ig)を、次いで、ヒトIgの特定のクラスに対して特異的に向けられた検出抗体によって検出する。しかし、こうした試験法は、ヒトIgに対して向けられたクラス特異的標識抗体との反応前に、すべての非特異的非抗原結合性Igが洗浄によって除去されている場合にのみ可能である。したがって、例えば、試料中の特異的IgG分子を検出する際、固相に非特異的に結合可能な非特異的IgGが比較的多量(4〜20mg/ml血清)に存在している。IgGに対する検出抗体を用いると、これらの非特異的に結合する免疫グロブリンもまた、検出抗体によって認識され、そして結合されるであろう。これは、バックグラウンドシグナルの上昇、およびシグナル対ノイズ比の減少、そして最後に挙げるが重要な、感度減少を生じる。
US2006/0115907A1において、イムノアッセイアレイ試験において感度を増加させるための免疫複合体特異的抗体が記載されている。免疫複合体特異的抗体は、好ましくは凝集またはオリゴマー化免疫グロブリンに結合するが、単一の免疫グロブリンに結合しない、リウマチ因子様抗体である。EP 1098198(Bertiら)は、酵素イムノアッセイにおいて、ヒトIgG抗体の定性的および定量的測定のための方法に関する。このアッセイにおいて、抗体のその抗原への結合に際して形成されるネオエピトープを通じて、ヒトIgG抗体に特異的に結合するモノクローナル抗体を用いる。固相に非特異的に結合した抗体によるバックグラウンドシグナルの減少は、この方法においては記載されない。
バックグラウンドシグナルを減少させる1つの方法は、免疫グロブリンの非特異的結合を回避するために、固相を修飾し、そして固相への免疫グロブリンの非特異的結合を減少させるかまたは防止すると推定される特別な緩衝剤添加物を使用することである(例:HydroGel固相(Perkin Elmer)、FASTスライド(Schleicher & Schull)、界面活性剤、カオトロピック塩)。固相の修飾は、困難であり、そして高価である。さらに、緩衝剤添加物は、いくつかの抗体の反応性を減少させる可能性もあり、そしてしたがって、望ましい陽性シグナルを減少させる可能性もあることがわかってきた。
言及するように、非特異的に結合した免疫グロブリンによって誘導されたバックグラウンドシグナルは、ブランク値を増加させ、これによって、特異的に結合した抗体の検出はより困難になる。これは、アレイ形式でのイムノアッセイなどの小型化された試験系に特によく当てはまる。こうしたアレイは、複数の特異的試験を含む可能性もあり、いくつかの場合、異なる試験形式でさえあり、そして単一の反応容器中で試験法が行われる。したがって、例えば、特定の界面活性剤を添加すると、こうしたアレイにおいて、第一の分析物に対する抗体の非特異的結合は抑制されうるが、同じ界面活性剤は、同じアレイ系上の第二の分析物の検出のための別の試験においては、効果がないか、または反対の影響さえ有しうる。
イムノアッセイにおいてバックグラウンドシグナルを減少させるさらなる可能性としての、第一補体構成要素のサブユニットである凝集因子C1qの使用が、EP 0222146 B1に開示される。米国特許第5,698,449 A1号において、血液から免疫複合体を選択的に除去し、そして免疫複合体を検出し、そして定量化するための、C1q断片が開示される。米国特許第4,062,935 A1号は、試料へのリウマチ因子またはC1qの添加、ならびに結合および生じる免疫複合体の定量化を記載する。しかし、先行技術は、アレイ形式でのイムノアッセイのためのC1qのいかなる適用も示していない。
アレイ形式でのイムノアッセイの特徴的な特徴は、固相である。こうしたアレイに基づくイムノアッセイにおいて、固相は、好ましくは、局在化された、限定された、別個の試験領域からなる。固相上のこれらの試験領域は、好ましくは、不活性領域によって互いに空間的に分離される。これらの局在化された別個の試験領域は、ほとんどの場合、スポットであり、そして好ましくは、10μm〜1mmの直径を有し、そして特に好ましくは100〜200μmの直径を有する。アレイ系は、例えば、Ekins, R.P.およびChu, F.W.(Clin. Chem. 37(1995)1955−1967)、ならびに米国特許第5,432,099号、第5,516,635号および第5,126,276号に記載される。
アレイ系は、1つの試料から、いくつかの分析物測定を同時に実行可能であるという利点を有する。これらのアレイ系の固相は、好ましくは、EP 0939319(Hornauerら)に開示されるようなストレプトアビジンまたはアビジンのような普遍的結合剤でコーティングされてもよい。固相(固体支持体)上の個々の試験領域またはスポットに抗原特異的抗体などの複数の結合パートナーを適用することが可能である。例えばストレプトアビジンを普遍的結合マトリックスとして用いる場合、各結合パートナーをビオチン化して、こうした固相上に容易にスポットする/結合させることも可能である。試料構成要素および特にIgGは、これらの結合パートナーの1またはそれより多くに、あるいは固相に、非特異的に結合しうる。この場合、各個々の結合パートナーは、非常に特別な緩衝剤添加物を必要とする可能性もあるため、バックグラウンドシグナルを減少させる普遍的緩衝剤添加物を同定することはほぼ不可能である。1つの結合パートナーの場合には正の効果を有する緩衝剤添加物は、他の結合パートナーにはさらに不都合な影響を有する可能性もある。また、多くの異なる結合パートナーのために固相を修飾することもまた非常に困難である。
WO 2005/045058 WO 90/006515 US 5,219,730 WO 87/002778 EP 0 139 389 EP 0 170 302 US2006/0115907A1 EP 1098198(Bertiら) EP 0222146 B1 米国特許第5,698,449 A1号 米国特許第4,062,935 A1号 米国特許第5,432,099号 米国特許第5,516,635号 米国特許第5,126,276号 EP 0939319(Hornauerら)
Mire−Sluis, A.R.ら, J. Immunol. Methods 289(2004)1−16 Wadhwa, M.ら, J. Immunol. Methods 278(2003)1−17 Ardenら, Current Opinion in Immunology 20(2008)431−435 Ekins, R.P.およびChu, F.W.(Clin. Chem. 37(1995)1955−1967)
したがって、本発明の1つの目的は、抗<療法用モノクローナル抗体>抗体(抗<TmAB>AB)を、前記TmABで治療された患者から得られる試料において検出するための高感度法を開発することであった。
驚くべきことに、本発明にしたがったイムノアッセイ法を使用すると、抗<TmAB>ABの非常に早期の検出が可能になり、そしてそれによってまた、TmABでの治療中に薬物有害反応(ADR)を生じるリスクがある患者の大部分を同定することが可能になるであろうことがわかった。
本発明は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者由来の試料において、in vitroで抗<療法用モノクローナル抗体>抗体(抗<TmAB>AB)を測定するためのイムノアッセイ法であって:a)固相に結合した前記TmABのF(ab)断片を提供し、b)試料と、(a)で提供された固相をインキュベーションし、それによって、F(ab)断片を通じて固相に抗<TmAB>ABが結合し、c)(b)で得られた固相と、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>をインキュベーションし、それによって前記モノクローナル抗体が、抗<TmAB>ABに結合し、そしてd)(c)で結合したモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>を検出し、そしてそれによって、試料中の抗<TmAB>ABを測定する工程を含む、前記方法に関する。
1つの態様において、本発明は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者由来の試料において、in vitroで抗<TmAB>ABを測定することによって、薬物有害反応(ADR)を生じるリスクがある患者を同定するためのイムノアッセイ法の使用に関する。この方法は:a)固相に結合した前記TmABのF(ab)断片を提供し、b)試料と、(a)で提供された固相をインキュベーションし、それによって、F(ab)断片を通じて固相に抗<TmAB>ABが結合し、c)(b)で得られた固相と、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>をインキュベーションし、それによって前記モノクローナル抗体が、抗<TmAB>ABに結合し、そしてd)(c)で結合したモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>を検出し、そしてそれによって、TmABでの治療中の試料における抗<TmAB>ABを測定する工程を含み、ここで、抗<TmAB>ABに関して検査結果が陽性であった患者は、ADRを生じるリスクがある。
さらなる態様において、本発明は、第一のTmABでの治療下にある患者のため、代替療法用抗体を選択するための方法であって、少なくとも第一のTmABおよび1またはそれより多い代替TmABが利用可能であり:a)前記の第一のTmABで治療された患者由来の試料において、第一のTmABに対する抗<TmAB>ABをin vitroで測定し、そしてb)前記の第一のTmABに対する抗<TmAB>ABが存在する場合、将来の療法のための代替TmABを選択する工程を含む、前記方法に関する。
図1は、実施例3に記載するような間接的イムノアッセイ試験形式を示す。抗<TmAB>AB=調べようとする試料中で検出しようとする抗<療法用モノクローナル抗体>抗体;MAb<h−Agg.−IgG>Dig=Dig標識モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>;F(ab’)−BiおよびFab−Bi=抗<TmAB>ABに特異的に結合する、固相上に固定されたビオチン化抗原。 図2は、<=50週のADRのため研究から離脱した、インフリキシマブで治療された患者に関するカプラン・マイヤー生存曲線を示す。X軸=研究から離脱するまでの日数(離脱日);Y軸=生存分布関数;下部の線=第6週で抗薬剤抗体が検出された患者(抗<TmAB>AB+):総数=31、失敗=15;上部の線=第6週で抗薬剤抗体が検出されなかった患者(抗<TmAB>AB−):総数=94、失敗=12;p値 ログランク検定=<0.0001;ハザード比=5.06、95%CIハザード比=[2.36、10.84]。データを表4に示す。 図3は、<=50週のADRのため研究から離脱した、インフリキシマブで治療された患者に関するカプラン・マイヤー生存曲線を示す。X軸=研究から離脱するまでの日数(離脱日);Y軸=生存分布関数;下部の線=第14週で抗薬剤抗体が検出された患者(抗<TmAB>AB+):総数=43、失敗=16;上部の線=第14週で抗薬剤抗体が検出されなかった患者(ADA−):総数=88、失敗=12;p値 ログランク検定=<0.0009;ハザード比=3.30、95%CIハザード比=[1.56、6.99]。データを表4に示す。 図4は、説明に言及するようなサンドイッチイムノアッセイ形式を示す。抗<TmAB>AB=調べようとする試料中で検出しようとする抗<療法用モノクローナル抗体>抗体;F(ab’)−Dig=Dig標識F(ab’)断片;F(ab’)−BiまたはFab−Bi=抗<TmAB>ABに特異的に結合する固相上に固定されたビオチン化抗原。 図5aは、捕捉抗体としてのF(ab’)−Biインフリキシマブ断片の結果を示す。TN=見かけ上健康なヒト血液ドナーから採取した血清試料(真の陰性)。TP=インフリキシマブで治療されたRA患者から採取した血清試料(真の陽性)。50、500、および150000は、高さが切り捨てられている。 図5bは、捕捉抗体としてのFab−Biインフリキシマブ断片の結果を示す。TN=見かけ上健康なヒト血液ドナーから採取した血清試料(真の陰性)。TP=インフリキシマブで治療されたRA患者から採取した血清試料(真の陽性)。50、75000、100000および150000は、高さが切り捨てられている。
本発明の実施は、別に示さない限り、当該技術分野の技術範囲内である、分子生物学(組換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の慣用的な技術を使用するであろう。こうした技術は、文献、例えば“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”, 第2版(Sambrookら, 1989); “Oligonucleotide Synthesis”(M. J. Gait監修, 1984); “Animal Cell Culture”(R. I. Freshney監修, 1987); “Methods in Enzymology”(Academic Press, Inc.); “Current Protocols in Molecular Biology”(F. M. Ausubelら監修, 1987、および定期的な改訂版); “PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullisら監修, 1994)に完全に説明される。
別に定義しない限り、本明細書で用いる技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の一般の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。Singleton, P.およびSainsburg, D.ら, Dictionary of Microbiology and Molecular Biology 第2版, J. Wiley & Sons, ニューヨーク州ニューヨーク(1994); March, Advanced Organic Chemistry Reactions, Mechanisms and Structure 第4版, John Wiley & Sons(ニューヨーク州ニューヨーク 1992); Lewin, B., Genes V, Oxford University Press刊行(1994), ISBN 0−19−854287 9); Kendrew, J.ら(監修), The Encyclopedia of Molecular Biology, Blackwell Science Ltd.刊行(1994), ISBN 0−632−02182−9);およびMeyers, R.A.(監修), Molecular Biology and Biotechnology: a Comprehensive Desk Reference, VCH Publishers, Inc.刊行(1995), ISBN 1−56081−569 8)は、当業者に、本出願で用いる多くの用語に対する一般的な指針を提供する。
本明細書に引用するすべての参考文献は、特許出願および刊行物を含めて、本明細書にその全体が援用される。
定義
本明細書において、以下の用語は各々、本セクションにおいて、これに関連づけられる意味を有する。
冠詞「a」および「an」は、本明細書において、冠詞の文法的対象(grammatical object)の1または1より多く(すなわち少なくとも1つ)を指す。例えば、「抗体(an antibody)」は、1つの抗体または1より多い抗体を意味する。用語「少なくとも」は、場合によって1またはそれより多いさらなる対象が存在してもよいことを示す。例えば、少なくとも2つの別個の領域を含むアレイは、場合によって、2またはそれより多い別個の試験領域を含んでもよい。
表現「1またはそれより多く」は、1〜50、好ましくは1〜20、また好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、または15を示す。
表現「関心対象の」は、分析または測定すべき、適切でありうる分析物または物質を示す。
「検出」には、直接および間接的検出を含む、検出の任意の手段が含まれる。用語「検出」は、最も広い意味で用いられ、分析物の定性的および定量的測定の両方、本明細書では、抗<療法用抗体>抗体などの分析物の測定を含む。1つの側面において、本明細書に記載するような検出法を用いて、試料中の関心対象の分析物の単なる存在を同定する。別の側面において、該方法を用いて、試料中の分析物の量を定量化してもよい。
「相関させる」または「相関させること」は、任意の方式で、第一の分析またはプロトコルの性能および/または結果と、第二の分析またはプロトコルの性能および/または結果を比較することを意味する。例えば、第二のプロトコルの実行に際して、第一の分析またはプロトコルの結果を用いてもよいし、そして/または、第二の分析またはプロトコルを実行すべきかどうかを決定するため、第一の分析またはプロトコルの結果を用いてもよい。
「減少させる」または「阻害する」は、参照に比較した際、活性、機能、および/または量を減らすかまたは減少させることである。「減少させる」または「阻害する」によって、好ましくは20%またはそれより多く、より好ましくは50%またはそれより多く、そして最も好ましくは75%、85%、90%、95%、またはそれより多い全体の減少を引き起こす能力を意味する。減少または阻害は、治療中の障害の症状を指してもよい。
用語「試料」または「試験試料」は、本明細書において、患者から得られる、in vitroでの評価の目的のために得られる生物学的試料を指す。試料は、患者を治療している抗体または薬剤に結合する抗体を含み、例えばヒト抗<キメラ抗体>(HACA)またはヒト抗<ヒト抗体>(HAHA)であり、どちらも抗<TmAB>ABである。用語、試料または試験試料には、これらの調達の後に任意の方式で操作されている、例えば試薬での処理、可溶化、あるいは特定の構成要素、例えばタンパク質またはポリヌクレオチドの濃縮によって操作されている、生物学的試料が含まれる。典型的には、試料は液体試料である。
生物学的試料は、例えば、全血、血清、患者から回収された抗体または血漿であってもよい。試料は、好ましくは、全血、血清または血漿である。生物学的試料は、患者から回収された抗体を含んでもよい。1つの態様において、試料は臨床試料である。別の態様において、試料は診断アッセイにおいて用いられる。
1つの態様において、試料は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)療法の前に、被験体または患者から得られる。1つの態様において、試料は、TmAB療法下で、被験体または患者から得られる。1つの態様において、試料は、TmABでの少なくとも1回の治療の後に、被験体または患者から得られる。
本明細書において、試料が第2週に採取されたと言及される場合、試料は、前記TmABでの療法開始後の9日目〜21日目に採取されてもよい。本明細書において、試料が第6週に採取されたと言及される場合、試料は、療法開始後の28日目〜64日目に採取されてもよい。本明細書において、試料が第14週に採取されたと言及される場合、試料は、療法開始後の第13週〜第16週に採取されてもよい。
本明細書において、「参照試料」は、比較目的のために用いられる任意の試料、標準、またはレベルを指す。1つの態様において、参照試料は、未治療被験体または患者から得られる。別の態様において、参照試料は、被験体または患者ではない、健康なおよび/または病気でない個体から得られる。別の態様において、参照試料は、被験体または患者でない未治療個体から得られる。特定の態様において、参照試料は、試験試料が得られたのとは異なる1またはそれより多い時点で得られる、同じ被験体または患者由来の単数の試料または組み合わされた複数の試料である。例えば、参照試料は、試験試料が得られる時点より早い時点で、同じ被験体または患者から得られる。特定の態様において、参照試料には、被験体または患者ではない1またはそれより多い個体から得られる、用語「試料」の下で上に定義されるようなすべてのタイプの生物学的試料が含まれる。特定の態様において、参照試料は、被験体または患者ではない、1またはそれより多い健康な個体由来の組み合わされた複数の試料である。特定の態様において、参照試料は、被験体または患者ではない、疾患または障害(例えば関節リウマチ)を伴う1またはそれより多い個体由来の組み合わされた複数の試料である。特定の態様において、参照試料は、被験体または患者ではない1またはそれより多い個体由来のプールされた血漿または血清試料である。特定の態様において、参照試料は、被験体または患者ではない、疾患または障害を伴う1またはそれより多い個体由来のプールされた血漿または血清試料である。
当業者に認識されるであろうように、本発明記載のイムノアッセイ法をin vitroで行う。患者試料をその後、廃棄する。患者試料は、本発明のin vitro診断法にのみ用いられ、そして患者試料の成分は、患者体内に戻されない。
用語「抗体」は、最も広い意味で用いられ、そしてモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および抗体断片を特に含む。
多くの脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」には、カッパおよびラムダと呼ばれる、2つの明らかに別個のタイプの1つが割り当て可能である。この分類および命名法は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づく。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンには異なるクラスが割り当て可能である。免疫グロブリンの5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMがあり、そしてこれらのうちいくつかは、さらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に分割されうる。
抗体の表記は、抗体に特異的に結合される抗原を「<・・・>」で示すように記載され、例えば抗原「X」に対する抗体は、「抗<X>抗体」と示される。
「抗体断片」は、好ましくは抗原結合領域または可変領域を含む、損なわれていない(intact)抗体の部分を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)およびFv断片;ディアボディ;直鎖抗体;一本鎖抗体分子;および抗体断片から形成される多重特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化は、各々、単一の抗原結合部位を持つ、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片、および容易に結晶化する能力を反映する名称を持つ、残った「Fc」断片を産生する。ペプシン処理は、2つの抗原組み合わせ部位を有し、そしてなお抗原を架橋させることが可能である、F(ab’)断片を生じる。
「Fab」断片は、それぞれ、抗体軽鎖および重鎖の可変ドメインを含有するが、また、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の最初の定常ドメイン(CH1)も含有する。
「Fab’」断片は、抗体ヒンジ領域由来の1またはそれより多いシステインを含む重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端にいくつかのアミノ酸残基の付加を有する点でFab断片と異なる。Fab’抗体断片は、元来、その間にヒンジシステイン架橋を有するFab’断片の対(F(ab’))として産生されている。Fab’単量体は、システイン架橋の還元によって、F(ab’)から得られる。
「一本鎖Fv」または「scFv」抗体断片は、抗体のVHおよびVLドメインを含み、ここでこれらのドメインは、単一のポリペプチド鎖中に存在する。好ましくは、Fvポリペプチドは、さらに、VHおよびVLドメイン間にポリペプチドリンカーを含み、これによって、scFvが抗原結合のために望ましい構造を形成することが可能になる。scFvの概説に関しては、Plueckthun, The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, vol. 113, RosenburgおよびMoore監修, Springer−Verlag, ニューヨーク中, pp. 269−315(1994)を参照されたい。
用語「ディアボディ」は、2つの抗原結合部位を持つ小さい抗体断片を指し、こうした断片は、同じポリペプチド鎖中に軽鎖重鎖可変ドメイン(VL)に連結された重鎖可変ドメイン(VH)を含む(VH−VL)。同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成が可能になるには短すぎるリンカーを用いることによって、ドメインは別の鎖の相補ドメインと対形成することを強いられ、そして2つの抗原結合部位を生成する。ディアボディは、例えば、EP 404 097; WO 93/11161;およびHolliger, P.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90(1993)6444−6448により詳細に記載される。
本発明記載の「F(ab)断片」には、Fab、Fab’、scFvおよびディアボディが含まれる。TmABのFabまたはFab’断片は、前記TmABのプロセシングによって、例えばTmABをそれぞれ、FabまたはF(ab’)断片およびFc部分に消化することによって、産生される。療法用抗体がscFvまたはディアボディである場合、これらの分子は、さらに消化されないが、本発明記載のイムノアッセイ法において、こうしたものとして使用可能である。
用語「モノクローナル抗体」(MAb)は、本明細書において、実質的に相同な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体は、微量に存在しうる、ありうる天然存在突然変異を除いて同一である。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原性部位に対して向けられる。さらに、典型的には異なる決定基(エピトープ)に対して向けられた異なる抗体を含む慣用的な(ポリクローナル)抗体集団とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して向けられる。修飾語句「モノクローナル」は、抗体の実質的に相同な集団から得られるような抗体の性質を示し、そして任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするようには見なされない。例えば、本発明にしたがって用いようとするモノクローナル抗体は、Koehler, G.ら, Nature 256(1975)495−497に最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製可能であるし、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい)によって作製可能である。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson, T.ら, Nature 352(1991)624−628およびMarks, J.D.ら, J. Mol. Biol. 222(1991)581−597に記載される技術を用いて、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
本明細書のモノクローナル抗体には、特に、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種由来の抗体中の対応する配列と同一であるかまたは相同であるか、あるいは特定の抗体クラスまたはサブクラスに属する一方、鎖(単数または複数)の残りが、別の種由来の抗体中の対応する配列と同一であるかまたは相同であるか、あるいは別の抗体クラスまたはサブクラスに属する、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、ならびに所望の生物学的活性を示す限り、こうした抗体の断片が含まれる(米国特許第4,816,567号;およびMorrison, S.L.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81(1984)6851−6855)。
非ヒト(例えばネズミ)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小限の配列を含有するキメラ抗体である。大部分の場合、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域由来の残基が、所望の特異性、アフィニティ、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域由来の残基によって置換されている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、対応する非ヒト残基によって置換される。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体またはドナー抗体に見られない残基を含んでもよい。これらの修飾は、抗体性能をさらに精錬するために行われる。一般的に、ヒト化抗体は、すべてのまたは実質的にすべての超可変ループが非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、そしてすべてのまたは実質的にすべてのFR領域がヒト免疫グロブリン配列のものである、少なくとも1つ、そして典型的には2つの可変ドメインの実質的にすべてを含むであろう。ヒト化抗体はまた、場合によって、典型的にはヒト免疫グロブリンのものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部を含むであろう。さらなる詳細に関しては、Jones, P.T.ら, Nature 321(1986)522−525; Riechmann, L.ら, Nature 332(1988)323−327;およびPresta, L.G., Curr. Op. Struct. Biol. 2(1992)593−596を参照されたい。
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生される抗体のものに対応するアミノ酸配列を所持し、そして/または本明細書に開示するようなヒト抗体を作製するための技術いずれかを用いて作製されているものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特異的に排除する。ヒト抗体は、当該技術分野に知られる多様な技術を用いて産生可能である。1つの態様において、ヒト抗体は、ヒト抗体を発現するファージライブラリーより選択される(Vaughan, T.J.ら, Nature Biotechnology 14(1996)309−314; Sheets, M.D.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. 95(1998)6157−6162; Hoogenboom, H.R.およびWinter, G., J. Mol. Biol. 227(1992)381−388; Marks, J.D.ら, J. Mol. Biol., 222(1991)581)。ヒト抗体はまた、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的にまたは完全に不活性化されているトランスジェニック動物、例えばマウス内に、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作製可能である。曝露に際して、ヒト抗体産生が観察され、これは遺伝子再編成、組立て、および抗体レパートリーを含む、すべての観点で、ヒトで見られるものと非常に似ている。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号に、そして以下の科学的刊行物: Marks, J.D.ら, Bio/Technology 10(1992)779−783; Lonberg, N.ら, Nature 368(1994)856−859; Morrison, S.L., Nature 368(1994)812−813; Fishwild, D.M.ら, Nature Biotechnology 14(1996)845−851; Neuberger, M., Nature Biotechnology 14(1996)826; Lonberg, N.およびHuszar, D., Intern. Rev. Immunol. 13(1995)65−93に記載される。あるいは、ヒト抗体は、ターゲット抗原に対して向けられる抗体を産生するヒトBリンパ球の不死化を通じて調製可能である(こうしたBリンパ球は、個体から回収されうるし、またはin vitroで免疫されてもよい)。例えば、Coleら, Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p.77(1985); Boerner, P.ら, J. Immunol. 147(1991)86−95;および米国特許第5,750,373号を参照されたい。
用語「療法用抗体」は、ヒト療法剤としての認可のため、臨床研究において試験されており、そして疾患の治療のため、個体に投与可能である、抗体を示す。1つの態様において、療法用抗体はモノクローナル抗体である。さらなる態様において、療法用抗体は、ヒト抗体遺伝子座またはヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体で形質転換された類人猿または動物から得られる。1つの態様において、療法用抗体はヒトモノクローナル抗体である。さらなる態様において、療法用抗体はヒト化モノクローナル抗体である。療法用抗体は、癌性疾患、免疫学的疾患、中枢神経疾患、血管疾患、慢性炎症性疾患、または感染性疾患などの多様な疾患の治療のため、広く用いられている。こうした抗体は、例えば、CD20、CD22、HLA−DR、CD33、CD52、EGFR、G250、GD3、HER2、PSMA、CD56、VEGF、VEGF2、CEA、Levis Y抗原、IL−6受容体(IL6R)、TNFα、またはIGF−1受容体(IGF1R)に対する抗体である。療法用抗体はまた、Groner, B.ら, Curr. Mol. Meth. 4(2004)539−547;およびHarris, M., Lancet Oncol. 5(2004)292−302にも記載される。
本明細書において、「抗<療法用抗体>抗体」は、療法用抗体に結合する抗体である。「抗<療法用モノクローナル抗体>抗体」(抗<TmAB>AB)は、療法用モノクローナル抗体に結合する抗体である。例えば、抗<インフリキシマブ>抗体は、TNFαをターゲットとする療法用モノクローナル抗体、インフリキシマブに結合する抗体である。
特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープ「に特異的に結合する」または「に対して特異的である」抗体は、いかなる他のポリペプチドまたはポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチドまたは特定のポリペプチド上のエピトープに結合するものである。
「単離された」ポリペプチドまたは「単離された」抗体は、天然環境の構成要素から同定され、そして分離され、そして/または回収されているものである。天然環境の混入構成要素は、ポリペプチドまたは抗体に関する診断または療法的使用に干渉するであろう物質であり、そして酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性溶質を含む可能性もある。好ましい態様において、ポリペプチドまたは抗体は、ローリー法によって測定した際、ポリペプチドまたは抗体の重量95%より高く、そして最も好ましくは重量99%より高く、(2)スピニング・カップ配列測定装置の使用によって、N末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を得るのに十分である度合いまで、あるいは(3)クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いた還元または非還元条件下で、SDS−PAGEによって均質であるように、精製されるであろう。単離ポリペプチドまたは抗体には、ポリペプチドの天然環境の少なくとも1つの構成要素は存在しないであろうため、組換え細胞内のin situのポリペプチドまたは抗体が含まれる。しかし、通常、単離ポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製されるであろう。
「被験体」または「患者」によって、限定されるわけではないが、ヒトあるいは非ヒト哺乳動物、例えばウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、またはネコを含む、哺乳動物を意味する。好ましくは、被験体または患者はヒトである。
本明細書において、「治療」は、治療中の個体または細胞の自然の経過を改変させることを試みる臨床介入を指し、そして予防のため、または臨床病理の経過中のいずれで実行されてもよい。治療の望ましい効果には、疾患の発生または再発、症状の軽減、疾患の任意の直接または間接的病的結果の減少、疾患進行速度の減少、疾患状態の寛解または緩和、および緩解または予後改善が含まれる。いくつかの態様において、本発明の方法は、疾患または障害の発症、特に薬剤有害反応の発症を遅延させる試みにおいて、有用である。
「有効量」は、所望の療法的または予防的結果を達成するために必要な投薬量で、そして期間で、有効な量を指す。療法剤の「療法的有効量」は、個体の疾患状態、年齢、性別、および体重、ならびに該個体において抗体が所望の反応を引き出す能力などの要因に応じて多様でありうる。療法的有効量はまた、療法剤の任意の毒性のまたは有害な影響よりも、療法的に有益な効果が勝るものである。「予防的有効量」は、所望の予防的結果を達成するのに必要な投薬量で、そして期間で、有効な量を指す。必ずしもではないが、典型的には、予防的用量は、疾患の前に、またはより初期の段階で被験体において用いられるため、予防的有効量は、療法的有効量より少ないであろう。
用語「診断」は、本明細書において、分子状態または病的状態、疾患または状態の同定を指すか、あるいは特定の治療措置から利益を受ける可能性がある患者の同定を指すよう用いられる。用語「予後」は、本明細書において、療法からの臨床的利益の可能性の予測を指すよう用いられる。用語「予測」は、本明細書において、患者が特定の療法に対して好ましくまたは好ましくなくのいずれかで反応する可能性を指す。1つの態様において、予測は、こうした反応の度合いに関する。1つの態様において、予測は、患者が治療後、例えば特定の療法剤での治療後、そして疾患の再発なしに特定の期間、生存するかまたは改善するかどうか、そして/またはその可能性に関する。任意の特定の患者に関して、本発明の予測法を臨床的に用いて、最も適切な治療様式を選択することによって、治療決定を行ってもよい。本発明の予測法は、患者が、治療措置、例えば所定の療法剤または組み合わせの投与、外科的介入、ステロイド治療等を含む所定の療法措置に対して好ましく反応するかどうか、あるいは療法措置後、患者の長期生存の可能性があるかどうかを予測する際の価値あるツールである。用語「選択する」および「選択」は、本明細書において、いくつかの代替物からの選択を指す。例えば、「選択」は、疾患の治療に利用可能な2またはそれより多い利用可能なTmABから、1つのTmABを選択するプロセスである。
「患者反応」は、限定なしに、(1)減速および完全抑止を含む、疾患進行のある度合いまでの阻害;(2)病変サイズの減少;(3)隣接する末梢臓器および/または組織内への疾患細胞浸潤の阻害(すなわち、減少、減速または完全な停止);(4)疾患伝播の阻害(すなわち、減少、減速または完全な停止);(5)障害に関連する1またはそれより多い症状のある度合いまでの軽減;(6)治療後、無病提示(disease−free presentation)の長さの増加;および/または(7)治療後、所定の時点での死亡率減少を含む、患者に対する利益を示す任意の終点を用いて評価可能である。
「薬物有害反応」(ADR)は、通常用量で、所定の投薬の使用に関連した害を記載する。ADRは、局所、すなわち特定の位置に限定される可能性もあるし、または投薬が生物全体でADRを引き起こしており、そして例えば循環から測定可能である場合、全身性である可能性もある。ADRは、原因(A型:増大した薬理学的効果−用量依存性および予測可能(不耐性、副作用)、B型:奇異な効果(またはイディオシンクラティック)−用量依存性および予測不能、C型:慢性効果、D型:遅延された効果、E型:治療終了時効果またはF型:療法失敗)によって、または重症度によって分類可能である。米国FDAは、深刻な「薬物有害反応」(ADR)を、患者転帰が以下の1つである場合と定義する:死亡、致死的、入院(最初のまたは長期の)、身体障害(患者の体の機能/構造、身体活動または生活の質の有意な、持続的な、または永続的な変化、損傷、損害または破壊)、永続的な損傷または損害を防止するために介入が必要な先天異常。全体の薬剤リスクを伝達する公的な基準は存在しないが、iGuard薬剤リスク評価系(www.iguard.org)は5色の評価基準である:赤(高リスク)、橙(上昇したリスク)、黄色(保護されたリスク)、青(一般的なリスク)、緑(低リスク)。ADRはまた、注入反応も含む。これらの注入反応には、例えば蕁麻疹、低血圧、胸部絞扼感、紅潮または血圧低下が含まれる。
「有効性の欠如」(LOE)は、例えば療法剤の通常は有効である量を用いて、そうでなければ適切であると見なされる条件下での治療に反した、高い疾患活性と定義される。
「治療効率」は、介入が、適用の平均的な条件において所望の有益な臨床効果を生じる能力の測定値であり、通常は、ランダム化されていない転帰研究において測定される。治療効率は、LOEおよび/または患者コンプライアンスによって影響を受けうる。
用語「利益」は、最も広い意味で用いられ、そして任意の所望の効果を指し、そして特に本明細書に定義されるような臨床的な利点を含む。臨床的利益は、多様な終点、例えば減速および完全抑止を含む、疾患進行のある度合いまでの阻害;いくつかの疾患エピソードおよび/または症状の減少;病変サイズの減少;隣接する末梢臓器および/または組織内への疾患細胞浸潤の阻害(すなわち、減少、減速または完全な停止);疾患伝播の阻害(すなわち、減少、減速または完全な停止);そうである必要はないが、疾患病変の退縮または消失を生じる可能性もある、自己免疫反応の減少;障害に関連する1またはそれより多い症状のある度合いまでの軽減;治療後、無病提示、例えば無進行生存の長さの増加;全体生存の増加;より高い反応速度;および/または治療後、所定の時点での死亡率減少を評価することによって測定可能である。
本明細書において、用語「イムノアッセイ」(IA)は、特異的結合パートナーまたは剤として少なくとも1つの抗体を使用することによって分析物が検出される、特異的結合アッセイを意味する。イムノアッセイには、限定されるわけではないが、ラジオイムノアッセイ(RIA)、蛍光発光アッセイ(FLA)、化学発光アッセイ(CLA)、電気化学発光アッセイ(ECLA)、および酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)が含まれる。ELISA法は、例えば、WO 2001/36972号に記載される。
用語「検出剤」は、分析物に結合する剤を指し、そして検出可能に標識されている。検出剤の例には、限定されるわけではないが、抗体、抗体断片、可溶性受容体、受容体断片等が含まれる。検出剤の検出は、直接、すなわち剤に直接連結された標識を通じてであるか、あるいは間接的に、第二の結合パートナー、例えば検出剤に特異的に結合するさらなる抗体または受容体を通じてのいずれかである。
用語「標識」は、本明細書において、明白であるかまたは適切な計測手段を用いることによるかいずれかで、検出可能シグナルを生じることが可能な任意の物質を指す。本発明で使用するのに適した多様な標識には、限定されるわけではないが、色素原、蛍光、化学発光または電気化学発光化合物、触媒、酵素、酵素物質、色素、コロイド性金属および非金属粒子、ならびに有機ポリマーラテックス粒子が含まれる。
「直接検出可能標識」は、例えば、色素原(蛍光または発光基および色素)、NMR活性基または金属粒子である。電気化学発光によって検出可能な金属キレートは、好ましいシグナル放出基であり、特に好ましいのは、ルテニウムキレート、例えばルテニウム(ビスピリジル) 2+キレートである。適切なルテニウム標識基は、例えば、EP 0 580 979、WO 90/05301、WO 90/11511およびWO 92/14138に記載される。
用語「発光」は、エネルギー供給源(例えば電磁放射、化学反応、機械的エネルギーの供給源)の温度からエネルギーを引き出さない、任意の光放出を指す。一般的に、供給源は、原子の電子を、より低いエネルギー状態から、「励起された」より高いエネルギー状態に移動させ;次いで、電子は、電子がより低いエネルギー状態に再び低下する際に放出される光の形でそのエネルギーを放出する。光のこうした放出は、通常、電磁スペクトルの可視または近可視範囲で生じる。用語「発光」には、限定されるわけではないが、リン光、蛍光、生物発光、放射線発光、電気発光、電気化学発光および熱発光などの光放出現象が含まれる。
用語「発光標識」は、発光シグナル、例えば放出源の温度からエネルギーを引き出さない光放出を生じる標識を指す。発光標識は、例えば、蛍光分子、リン光分子、放射線発光分子、発光キレート、リンまたはリン含有化合物、あるいは量子ドットであってもよい。
「電気化学発光アッセイ」または「ECLA」は、結合した分析物分子が、検出剤(ターゲット分子)に連結された標識によって検出される、電気化学アッセイである。電極は、電気化学的に、検出剤に連結された化学標識の発光を開始する。標識によって放出された光は、光検出装置によって測定され、そして結合した分析物分子/ターゲット分子複合体の存在または量を示す。ECLA法は、例えば、米国特許第5,543,112号;第5,935,779号;および第6,316,607号に記載される。シグナル調節は、正確でそして高感度な測定のため、異なる分析物分子濃度に関して最大化可能である。
ECLA法において、微粒子を試料中に懸濁して、効率的に分析物に結合させてもよい。例えば、粒子は、0.05μm〜200μm、0.1μm〜100μm、または0.5μm〜10μmの直径、および分析物分子に結合可能な表面構成要素を有してもよい。1つの頻繁に用いられるECLA系(Elecsys、Roche Dagnsotics、ドイツ)において、微粒子は、約3μmの直径を有する。微粒子は、架橋デンプン、デキストラン、セルロース、タンパク質、有機ポリマー、スチレンコポリマー、例えばスチレン/ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレンコポリマー、アクリル酸ビニルアセチルコポリマー、塩化ビニル/アクリル酸ビニルコポリマー、不活性無機粒子、二酸化クロム、鉄酸化物、シリカ、シリカ混合物、タンパク質性物質、あるいは限定されるわけではないがセファロースビーズ、ラテックスビーズ、シェル中子粒子等を含む、その混合物で形成されてもよい。微粒子は、好ましくは単分散であり、そして磁気ビーズ、例えば常磁性ビーズであってもよい。例えば、米国特許第4,628,037号;第4,965,392号;第4,695,393号;第4,698,302号;および第4,554,088号を参照されたい。微粒子は、約1〜10,000μg/ml、好ましくは5〜1,000μg/mlの範囲の量で使用可能である。
特定のアッセイにおける分析物分子に関する「検出限界」は、そのアッセイに関して、バックグラウンドレベルより高く検出されうる分析物分子の最少濃度である。例えば、IAおよびECLAにおいて、ターゲット分子に特異的に結合する分析物分子に関する検出限界は、ターゲット抗原に結合しないかまたは非特異的に結合する対照抗体によって生じるよりも高いIAシグナルまたはECLAシグナルを生じる濃度であってもよい。IA検出限界よりも低いIA反応を有する分子はIAである。IA検出限界と等しいかまたはそれより高いIA反応を有する分子はIAである。ECLA検出限界よりも低いECLA反応を有する分子はECLAである。ECLA検出限界と等しいかまたはそれより高いECLA反応を有する分子はECLAである。検出限界は、所望のアッセイ結果を達成するために上昇させてもまたは低下させてもよい。
「固体支持体」としてもまた知られる「固相」は、不溶性の官能化されたポリマー物質であって、これにライブラリーメンバーまたは試薬を付着させるかまたは共有結合させて(しばしばリンカーを介する)固定するか、あるいは過剰な試薬、可溶性反応副産物、または溶媒から、これらメンバーを容易に分離する(ろ過、遠心分離、洗浄等による)ことを可能にしうる。本発明記載のイムノアッセイのための固相は、当該技術分野に広く記載される(例えば、Butler, J.E., Methods 22(2000)4−23を参照されたい)。用語「固相」は、非液体物質を意味し、そしてポリマー、金属(常磁性、強磁性粒子)、ガラス、およびセラミックなどの物質で作製された粒子(微粒子、ビーズ、磁気ビーズ、金属または非金属粒子を含む);ゲル物質、例えばシリカ、アルミナ、およびポリマーゲル;ポリマー、金属、ガラス、および/またはセラミックで作製可能なキャピラリー;ゼオライトおよび他の多孔性物質;膜;電極;マイクロタイタープレート;固形ストリップ;ならびにキュベット、チューブ、チップまたは他の分光計試料容器が含まれる。アッセイの固相構成要素は、「固相」がその表面上に、捕捉抗体または捕捉分子と相互作用するように意図された、少なくとも1つの部分を含有する点で、アッセイが接触しうる不活性固体表面とは区別される。固相は、定常(stationary)構成要素、例えばチューブ、ストリップ、キュベット、チップまたはマイクロタイターであってもよいし、あるいは非定常構成要素、例えばビーズおよび微粒子であってもよい。微粒子はまた、均質アッセイ形式のための固相としても使用可能である。タンパク質および他の物質の非共有または共有付着のいずれかを可能にする、多様な微粒子が使用可能である。こうした粒子には、ポリマー粒子、例えばポリスチレンおよびポリ(メチルメタクリレート);金粒子、例えば金ナノ粒子および金コロイド;ならびにセラミック粒子、例えばシリカ、ガラス、および酸化金属粒子が含まれる。例えば、本明細書に援用される、Martin, C.R.ら, Analytical Chemistry−News & Features 70(1998)322A−327Aを参照されたい。
用語「チップ」、「バイオチップ」、「ポリマーチップ」または「タンパク質チップ」は、交換可能に用いられ、そしてシリコン・ウェーハ、ナイロンストリップ、プラスチックストリップまたはガラススライドの一部であってもよい、共有される支持体(例えば固相)上に配置された、非常に多数のプローブ、マーカー、または生化学マーカーのコレクションを指す。
本発明にしたがった用語「別個の試験領域」は、単一のタイプの捕捉分子を含有するよう用いられる。定常構成要素固相、例えばアレイまたはチップ上の隣接した別個の試験領域は、互いに重ならない。固相が、例えばアレイまたはチップである場合、別個の試験領域は互いに隣接する可能性もある。また、定常構成要素上では、少なくとも2つの「別個の試験領域」間のスペーシングが可能である。定常構成要素固相上の、例えばアレイまたはチップ上の、別個の試験領域は、幾何学的パターンに配置されてもよい。固相が非定常構成要素、例えばビーズおよび微粒子である場合、用語「別個の試験領域」は、各非定常構成要素上に、捕捉分子の1つのタイプが固定されていることを意味する。
「アレイ」、「マクロアレイ」または「マイクロアレイ」は、支持体または固形表面、例えばガラス、プラスチック、シリコンチップ、またはアレイを形成する他の材料の上に付着したかまたは製作された、分子、マーカー、開口部、マイクロコイル、検出装置および/またはセンサーなどの物質の意図的に生成されたコレクションである。アレイを用いて、多数の、例えば数十、数千または数百万の反応または組み合わせのレベルを同時に測定することも可能である。アレイはまた、少数の物質、例えば1、数個または数ダースを含有してもよい。
アレイ中の物質は、互いに同一であってもまたは異なってもよい。アレイは、多様な形式、例えば可溶性分子ライブラリー、固定分子ライブラリー、固定抗体ライブラリー、樹脂ビーズ、シリカチップ、または他の固相に係留された化合物のライブラリーの形であってもよい。アレイは、アレイ上のパッドのサイズに応じて、マクロアレイまたはマイクロアレイのいずれであってもよい。マクロアレイは、一般的に、約300ミクロンまたはそれより大きいパッドサイズを含有し、そしてゲルおよびブロットスキャナによって容易に画像化可能である。マイクロアレイは、一般的に、300ミクロン未満のパッドサイズを含有するであろう。
方法:
療法用モノクローナル抗体(TmAB)は、非常に多様な疾患と闘うために、ますます用いられている。それぞれ、腫瘍壊死因子(<TNFα>)またはCD20(<CD20>)に対するTmABの適用は、関節リウマチ(RA)などの慢性炎症性疾患の診断を有する多くの患者には、非常に重要である。これらのTmABはまた、しばしば、クローン病(CD)、強直性脊椎炎(AS)、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎(PsA)、ベヒテレフ病(Morbus bechterew)または慢性尋常性乾癬(Ps)、ならびに他の疾患の治療に用いられる。慢性炎症性疾患の療法において用いられるいくつかのTmABは、抗<TNFα>抗体群に属する。
上記の詳細に論じるように、TmABは、マウス−ヒト・キメラTmAB(例えばインフリキシマブ)またはヒトTmAB(例えばアダリムマブ)のいずれかである。TmABは、患者の免疫系に対して「外来(foreign)」である可能性もある要素を含有する。こうした抗<TmAB>ABは、前記TmABを用いた治療中、患者の免疫防御反応として生じうる(Pan, Y.ら, FASEB J. 9(1995)43−49)。
免疫系が、TmABの要素を異質として処理する場合、このタンパク質の投与は免疫反応を誘発すると予期されるべきである。抗<TmAB>ABは、TmABの可変領域、定常領域または糖構造のように、TmABの領域いずれに対して向けられることも可能である。稀な配列要素を含む可変ドメイン領域は、TmABで治療される患者の免疫系による免疫反応をよく引き起こしうるドメインである。
本発明者らは、療法用モノクローナル抗体(TmAB)に対する抗<療法用モノクローナル抗体>抗体(nti−<herapeutic monoclonal ntibody> antiody)(抗<TmAB>AB)の検出のためのイムノアッセイ法を開発した。
1つの態様において、本発明は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者由来の試料において、in vitroで抗<療法用モノクローナル抗体>抗体(抗<TmAB>AB)を測定するためのイムノアッセイ法であって:a)固相に結合した前記TmABのF(ab)断片を提供し、b)試料と、(a)で提供された固相をインキュベーションし、それによって、F(ab)断片を通じて固相に抗<TmAB>ABが結合し、c)(b)で得られた固相と、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>をインキュベーションし、それによって前記モノクローナル抗体が、抗<TmAB>ABに結合し、そしてd)(c)で結合したモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>を検出し、そしてそれによって、試料中の抗<TmAB>ABを測定する工程を含む、前記方法に関する。
被験体または患者は、任意の哺乳動物種であってもよい。好ましい態様において、被験体または患者はヒトである。1つの態様において、ヒト抗<TmAB>ABは、イムノアッセイ法において測定される。
1つの態様において、試料は、患者から回収された抗体のような液体試料、全血、血漿または血清からなる群より選択されるであろう。さらなる態様において、試料は、全血、血漿または血清からなる群より選択され、血清が最も好ましい。1つの態様において、試料はヒト由来である。
TmABに対する抗<TmAB>ABの測定のための固相に結合する抗原は、TmABのFab’断片、TmABのFab断片、TmABに相当するscFvおよびTmABに相当するディアボディからなる群より選択される。1つの好ましい態様において、前記TmABのF(ab)断片は、前記TmABのFab’断片および前記TmABのFab断片からなる群より選択される。1つの好ましい態様において、抗<TmAB>ABの測定のための固相に結合する抗原は、関心対象のTmABのFab断片である。1つの好ましい態様において、抗<TmAB>ABの測定のための固相に結合する抗原は、関心対象のTmABのFab’断片である。
驚くべきことに、本発明者らは、固相に結合した関心対象のTmABのF(ab)断片の使用に基づくイムノアッセイ法が、前記TmABで治療された患者由来の試料における抗<TmAB>ABの検出の特異性および感度に関する現在の限界の少なくともいくつかを克服可能であることを見出した。
イムノアッセイ法において提供される抗原(例えばF(ab)断片)は、1つの態様において、共有結合、直接付着およびアフィニティ相互作用からなる群より選択される結合系によって、固相に結合する。イムノアッセイ法において提供される抗原(例えばF(ab)断片)の共有結合は、例えば固相のエポキシ、NHS、カルボキシメチル活性化、および抗原の適切な官能基との続く反応によって、実行可能である。イムノアッセイ法において提供される抗原(例えばF(ab)断片)の直接付着は、例えば、疎水性または親水性相互作用、キレート結合または吸着性相互作用に基づいてもよい。抗原(例えばF(ab)断片)のアフィニティ相互作用は、例えばビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/アビジン、タグ/抗タグ、レクチン/抗体、またはビオチン−抗<ビオチン>抗体相互作用に基づいてもよい。
1つの態様において、イムノアッセイ法において提供される抗原は、ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/アビジン、およびビオチン−抗<ビオチン>抗体からなる群より選択される結合系によって、固相に結合する。こうした結合を可能にするため、抗原をビオチン化する(例えばF(ab)−Bi断片)。好ましい態様において、本発明の方法において提供されるF(ab)断片は、ビオチン/ストレプトアビジンおよびビオチン/アビジンからなる群より選択される結合系によって固相に結合する。さらなる好ましい態様において、本方法において提供されるFab断片は、ビオチン/ストレプトアビジンおよびビオチン/アビジンからなる群より選択される結合系によって固相に結合する。さらなる好ましい態様において、方法において提供されるFab’断片は、ビオチン/ストレプトアビジンおよびビオチン/アビジンからなる群より選択される結合系によって固相に結合する。
ビオチン化のための方法は、当業者に知られる。反応変異体、ならびに抗体断片とともに他のタンパク質および生体分子をコンジュゲート化するための反応条件の詳細な説明は、G. T. Hermanson: Bioconjugate Techniques, Elsevier/AP, (2008); 第2版(ISBN: 978−0−12−370501−3)に提供される。本発明記載のTmABのビオチンコンジュゲート化Fab断片(Fab−Bi)の産生のための方法を、実施例1に記載する。
固相への抗原(例えばF(ab)断片)の付着は、抗原結合ドメインが、固相表面の外に向かって提示されるような、面制御条件下で達成可能であり、これによって、(i)部位特異的コンジュゲート化(例えばF(ab)断片のヒンジ領域におけるコンジュゲート化、またはタグ補助コンジュゲート化)、または(ii)固相との部位特異的相互作用(例えばレクチンでコーティングされた固相と抗原の特異的立体配向相互作用)を用いた抗原の最高のアクセス可能性を提供する。
1つの態様において、F(ab)断片のヒンジ領域が固相にコンジュゲート化される。1つの態様において、Fab断片のヒンジ領域が固相にコンジュゲート化される。1つの態様において、Fab’断片のヒンジ領域が固相にコンジュゲート化される。
1つの態様において、F(ab)断片は、レクチンでコーティングされた固相と前記F(ab)断片の立体配向相互作用によって、固相上にコンジュゲート化される。1つの態様において、Fab断片は、レクチンでコーティングされた固相と前記Fab断片の立体配向相互作用によって、固相上にコンジュゲート化される。1つの態様において、F(ab)断片は、レクチンでコーティングされた固相と前記Fab’断片の立体配向相互作用によって、固相上にコンジュゲート化される。
固相へのF(ab)断片の確率論的立体的無向カップリングは、立体的有向カップリングと同等の結果を提供する。しかし、この理論に束縛されることは望ましくなく、有向カップリングは、何らかの状況下で好適でありうる。
1つの態様において、本発明記載の方法は、キメラ抗体(CA)およびヒト化抗体(HA)からなる群より選択される、関心対象のTmABで実施される。
1つの態様において、本発明記載の方法は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブ・ペゴール、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブおよびトラスツズマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のビオチン化F(ab)(F(ab)−Bi)断片で実施される。好ましい態様において、本発明記載の方法は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のF(ab)−Bi断片で実施される。別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、インフリキシマブおよびアダリムマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のF(ab)−Bi断片で実施される。別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)インフリキシマブのF(ab)−Bi断片で実施される。
1つの態様において、本発明記載の方法は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブ・ペゴール、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブおよびトラスツズマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のビオチン化Fab(Fab−Bi)断片で実施される。好ましい態様において、本発明記載の方法は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のFab−Bi断片で実施される。別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、インフリキシマブおよびアダリムマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のFab−Bi断片で実施される。別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)インフリキシマブのFab−Bi断片で実施される。
1つの態様において、本発明記載の方法は、アブシキシマブ、アダリムマブ、アレムツズマブ、バシリキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、セルトリズマブ・ペゴール、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、ゲムツズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、インフリキシマブ、ムロモナブ−CD3、ナタリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシツモマブおよびトラスツズマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のビオチン化Fab’(Fab’−Bi)断片で実施される。好ましい態様において、本発明記載の方法は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のFab’−Bi断片で実施される。別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、インフリキシマブおよびアダリムマブからなる群より選択される、療法用モノクローナル抗体(TmAB)のFab’−Bi断片で実施される。別の好ましい態様において、本発明記載の方法は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)インフリキシマブのFab’−Bi断片で実施される。
当業者には、抗<TmAB>AB−F(ab)断片複合体を形成するF(ab)断片を通じた固相への抗<TmAB>ABの結合後、非特異的に緩く結合した化合物は、例えば洗浄工程によって除去可能であることが知られる。
測定しようとする抗<TmAB>ABは、関心対象のTmABのF(ab)断片に特異的に結合する。好ましい態様において、関心対象の抗体は、抗<TNFα>TmABである。他の好ましい態様において、関心対象の抗体は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される。他の好ましい態様において、関心対象の抗体は、インフリキシマブおよびアダリムマブからなる群より選択される。他の好ましい態様において、関心対象の抗体はインフリキシマブである。「抗<TmAB>AB−F(ab)断片複合体」は、TmABで治療された患者から採取した試料中に、抗<TmAB>ABが存在しており、そして固相に結合した前記TmABのF(ab)断片に結合する場合に形成される。当業者には明らかであるように、TmABのF(ab)断片および抗<TmAB>ABは、抗<TmAB>AB−F(ab)断片複合体の形成を可能にする条件下でインキュベーションされる。
酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)技術は、TmABへの患者の免疫原性回答を調べる一般的なアッセイタイプである。当業者に知られるいくつかの異なるELISA形式、例えば「間接的アッセイ」、「サンドイッチアッセイ」、「競合アッセイ」、「二重抗原結合アッセイ(DAGS)」または「逆アッセイ」がある。Mire−Sluis, A. R.ら, J. Immunol. Methods 289(2004)1−16は、宿主抗体、例えばバイオテクノロジー製品(例えばTmAB)に対する抗<TmAB>ABの検出を用いたイムノアッセイの設計および最適化のための推奨を要約する。
好ましい態様において、本発明記載の方法は、間接的アッセイ系式で行われる。驚くべきことに、間接的アッセイ形式において、Fab断片は、実施例4および5に示すように、陰性および真の陽性結果間で、はるかにより優れた区別を生じる。こうした間接的アッセイ形式において、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、モノクローナル抗体を検出するとして用いられる。
本発明記載のイムノアッセイ法は、1つの態様において、抗原特異的抗体(抗<TmAB>AB)に低いアフィニティで結合する検出抗体<h−Agg.−IgG>を用いて実施される。エピトープに対する抗体のアフィニティは、抗体上の個々の抗原結合部位および個々のエピトープ間のすべての非共有相互作用の強度として定義される。低いアフィニティを持つ抗体は、弱く結合し、そして迅速に解離する一方、高アフィニティ抗体は、より強く結合し、そしてより長い期間、結合したままである。結合部位でのアフィニティは、抗原−抗体相互作用の真の強度を常には反映しない。例えば、多くの反復抗原決定基を含む複雑な抗原、およびいくつかの低アフィニティ結合部位を有する相補的抗体の場合、それにもかかわらず、協同結合現象のため、かなり強い結合が観察される。第一の部位での抗原および抗体の抗原結合部位の相互作用は、同じ抗体の第二の抗原結合部位での反応の可能性を増加させる。多価抗体および抗原の間のこうした多数の相互作用の強度は、アビディティと称される。高いアビディティは、例えば五量体イムノグロブリンIgMの場合のように、低アフィニティを補償する。本発明記載の方法において、抗原特異的抗体に対して低いアフィニティを持つ抗体は、好ましくは、いくつかの、すなわち少なくとも2つの、好ましくは少なくとも4つの、そしてまた好ましくは10およびそれより多いパラトープを有する、抗原特異的抗体に対して低いアフィニティを持つ抗体、例えば互いに架橋されたIgMまたはIgG免疫グロブリンが用いられる。この例は、通常、IgM分子で構成され、そしてより稀には、IgG、IgAおよびIgE分子でもまた構成される、リウマチ因子である。
当業者は、結合パートナー、好ましくは抗体のアフィニティに関する値が、ラングミュアのモデルによって定義されるアフィニティ係数によって決定されることを知っている。高い解離速度定数(K解離)を持つ分子は、より低いアフィニティを有するようであり、これは平衡解離定数、K=K解離/K会合であるためである。非常に高い結合アフィニティのためのアフィニティ係数は、約10−9〜10−11であり、中程度の結合アフィニティの場合は約10−8であり、低い結合アフィニティの場合は約10−7であり、そして非常に低い結合アフィニティの場合は約10−6であると予測される。本発明の検出モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、低い結合アフィニティを所持する。1つの態様において、本発明のイムノアッセイにおいて用いられる検出モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、約10−6mol/l〜10−8mol/lのK値を有する抗体である。好ましい態様において、検出モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、約10−7mol/l〜10−8mol/lのK値を有する抗体である。
先に論じたように、本発明に開示するイムノアッセイ法の工程(c)において、結合した試料中の抗<TmAB>ABの測定は、検出モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>によって実行される。1つの態様において、この検出モノクローナル抗体は、IgM免疫グロブリンクラスである。好ましくはモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、特異的方式で抗原に結合している免疫グロブリンクラスIgGの抗体に結合する。このモノクローナル抗体は、密にパッキングされ、そして特異的に結合した抗<TmAB>AB、すなわち固相上にスポットされた、関心対象のTmABのF(ab)断片に結合した抗<TmAB>ABしか認識しない。この検出抗体は、非特異的に結合したかまたは吸着されたIgGとは反応しない。
1つの態様において、本発明記載の方法は、標識モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>を用いて実施される。好ましい態様において、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、Digで標識される(<h−Agg.−IgG>−Dig)。このDig標識モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>−Digは、検出可能標識にコンジュゲート化された抗<Dig>抗体を通じて容易に検出される。こうした検出可能標識は、例えば、発光標識、化学発光標識、電気化学発光標識、蛍光標識または放射性標識より選択されうる。
本発明記載の方法において用いられるモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、1つの態様において、測定しようとする、選択されたIgクラスに特異的である。好ましい態様において、本発明記載の方法において用いられるモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、IgGクラスに特異的である。1つの態様において、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、すべてのIgGサブクラスを検出可能である。
驚くべきことに、本発明者らは、本発明に開示するイムノアッセイ法において、検出モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>の使用は、試料中の抗<TmAB>ABの改善された検出を導き、そして抗<TmAB>ABの早期検出における現在の限界の少なくともいくつかを克服することを示すことが可能であった。驚くべきことに、間接的イムノアッセイ形式において、固相上にスポットされた関心対象のTmABのF(ab)断片と、検出抗体<h−Agg.−IgG>を組み合わせると、本発明者らが、前記TmABのIgGクラスの抗<TmAB>ABの非常に早期の検出を行うことが可能になる。TmABで治療された患者由来の試料において、前記TmABの最初の投与の2週間後から、IgGクラスの抗<TmAB>ABをin vitroで検出することが可能である。好ましい態様において、間接的イムノアッセイ形式において、固相上にスポットされた関心対象のTmABのFab断片と検出抗体<h−Agg.−IgG>を組み合わせることによって、前記TmABの最初の投与の2週間後から、前記TmABのIgGクラスの抗<TmAB>ABの検出が可能になる。やはり好ましい態様において、間接的イムノアッセイ形式において、固相上にスポットされた関心対象のTmABのFab’断片と検出抗体<h−Agg.−IgG>を組み合わせることによって、前記TmABの最初の投与の2週間後から、前記TmABのIgGクラスの抗<TmAB>ABの検出が可能になる。
1つの態様において、本発明記載の方法において用いられるモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、Mab<h−Agg.−IgG>M−3.022.5−IgM(DSM ACC2873)、MAb<h−Agg.−IgG>M−1.010.2−IgMおよびMAb<h−Agg.−IgG>M−1.1.7−IgM(表1に示す)からなる群より選択される。好ましい態様において、検出モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>は、MAb<h−Agg.−IgG>M3.022.5−IgM−Dig(DSM ACC2873)である。MAb<h−Agg.−IgG>M3.022.5−IgM−Digの特徴的な特徴は、固相に非特異的に結合した免疫グロブリン、すなわち抗原に特異的に結合しないものが、認識されないか、または無視できる度合いまでしか認識されないことである。この理論に束縛されることは望ましくないが、MAb<h−Agg.−IgG>M3.022.5−IgM−Digを使用すると、イムノアッセイ中のバックグラウンドシグナルが実質的に減少して、そしてそれによって分析しようとする試料中に含まれる、干渉しうるIgGとは独立に、一定の低レベルで維持される可能性もある。
本発明記載のイムノアッセイ法は、1つの態様において、アレイ形式で、例えばチップまたはバイオチップ上で行われる。こうしたアレイ形式において、1またはそれより多いTmABのF(ab)断片(単数または複数)は、固相の別個の領域上に固定され、この領域は、互いに空間的に分離される試験領域と定義される。捕捉結合パートナー(例えばF(ab)断片(単数または複数))を固定するための方法は、当業者によく知られ、そして例えば、EP 0 929 319(Hornauerら)に開示される。
同じ捕捉結合パートナーを含有する1またはそれより多いスポットを含む試験領域が、固相上に存在してもよい。1つの態様において、いくつかの同一スポットからなるパターンを形成してもよい。
アレイ形式(例えばチップまたはバイオチップ上)のこうしたイムノアッセイの利点は、異なる分析物を同時に測定可能であることである。1つの態様において、アレイ形式の多様な別個の領域またはスポットは各々、関心対象の異なるTmABの1つのF(ab)断片を含有し、これらは測定しようとする抗<TmAB>ABと特異的に結合することが可能である。1つの態様において、こうしたアレイは少なくとも2つの別個の領域を含み、ここで、各領域において、関心対象のTmABの異なるF(ab)断片(捕捉分子)が存在する。1つのアレイ上に、関心対象の異なるTmAB由来のF(ab)断片およびそれぞれこれらの異なるTmABの1つのF(ab)断片を各々含有するいくつかのスポットの組み合わせを有することもまた可能である。1つの態様において、各々、2またはそれより多い個々のスポットを有する、関心対象のTmAB由来の少なくとも2つの異なるF(ab)断片がこうしたアレイ上に存在する。1つの態様において、方法において用いられるアレイは、好ましくは、金属、ガラス、プラスチック、またはポリスチレン製の支持体からなる。ポリスチレン支持体は、好ましくは、本発明記載の方法で用いられ、これは、当業者に知られ、そして例えばEP 0939319(Hornauerら)に記載される。アレイ形式で実行される前記方法において、<h−Agg.−IgG>M3.022.5−IgM−Dig抗体を使用すると、関心対象の抗<TmAB>ABに関するいくつかから多数の異なる試験を1つのアレイ上で組み合わせることが可能になる。アレイアッセイ形式の主要な利点は、各取り扱い工程において、1つの緩衝剤組成しか必要でないことである。
1つの態様において、本発明記載の方法は、TmABの最初の投与から14週間後までに、患者から提供される試料を用いて実行される。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の2週間後から実行される。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の2週間後〜6週間後に行われる。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の6週間後に行われる。
本発明記載の方法はまた、適切なTmAB療法の選択のためにも価値がある。
TmAB療法の有効性の欠如(LOE)は、TmABでの治療下にある患者において、例えば抗<TNFα>抗体での治療下にある患者に関して、稀ではあるが、知られる現象である。TmABでの治療下にある患者において、抗<TmAB>ABの測定は、TmAB療法のLOEを予測する試みにおいて用いられてきている。先行技術において、抗<TmAB>ABは、前記TmABでの治療下にある患者の循環において、利用可能なTmABの有効量を減少させうることが示されてきている。現在、前記TmABで治療された患者における抗<TmAB>ABの反応の度合いを何が決定するかは不明である(Aarden, L.ら, Current Opinion in Immunology 20(2008)431−435)。いくつかの療法的アプローチにおいて、患者の循環における利用可能なTmABの量を補償するため、LOE診断後に、前記TmABの投薬量が上昇されていることから、科学的および臨床的に関連する新たな疑問が生じる。TmABの血清レベルの測定は、現在、TmAB療法の治療有効性を監視する究極の判断基準である。Aardenらによって、患者はしばしば、血清TmABレベルに関して監視されるべきであり、そして抗体レベルは、用量を増加させるかまたは別のTmAB/薬剤にスイッチするかどうかを決定する際に、指針となりうると提唱されている。
先行技術からやはり知られるのは、TmAB療法中、例えば抗<TNFα>療法中の副作用(不都合な影響、ADR)である。当業者には、TmAB療法下にある患者が、ADRを生じるリスクがあることが知られる。しかし、TmABに基づく療法の開始後、早期に、例えば重度のADRが始まる前に、こうしたリスクを評価するのに利用可能な方法はないようである。
驚くべきことに、関心対象のTmABに対する抗体を、前記TmABでの治療下にある患者由来の試料においてin vitroで測定することによって、本発明者らは、ADRが起こる前に、TmABで治療中、どの患者が、ADRを生じる増加したリスクを有するかを予測することが可能になった。
さらなる態様において、TmABに対する抗体の、前記TmABでの治療下にある患者由来の試料におけるin vitroでの測定を用いて、TmABでの治療中、ADRを生じるリスクがある患者を同定し、ここで、抗<TmAB>ABに関して検査結果が陽性であった患者は、ADRを生じるリスクがある。この理論に束縛されることは望ましくないが、特定のTmABに対する抗<TmAB>ABに関する検査結果が陽性であった患者を、前記TmABのより高い投薬量で治療する場合、後にADRを生じるリスクははるかにより高いことは当然でありうる。したがって、投与した第一のTmABに対する抗<TmAB>ABが測定された後、後のADRのリスクを減少させるため、別の(第二の)TmABに療法を変更することを真剣に考慮すべきである。
1つの態様において、本発明の方法を用いて、患者がTmABでの治療中にADRを生じるリスクがあるかどうかを測定する。この態様において、抗<TmAB>ABに関して検査結果が陽性である患者は、ADRを生じるリスクがある。本明細書に開示する方法において、抗<TmAB>ABに関して検査結果が陽性である患者は、ADRを生じるリスクが増加している。こうしたリスクは、当業者に知られる数学的方法を用いて、相対リスクとして測定可能である。実施例に示すように、抗<TmAB>ABの早期発症は、後の、ADRの発症および/または研究からの患者の脱落に先行する。1つの態様において、ADRを生じるリスクは、少なくとも40%の相対リスクであり、好ましい態様において、リスクは少なくとも45%の相対リスクである。
図2および図3の抗<TmAB>ABの時系列プロットは、ADRによって研究から離脱していない患者および離脱した患者の間の相違を示す。実施例5の研究データを図2に示し、これは、第6週での抗<TmAB>AB状態に関するカプラン−メイヤー(KM)曲線として、インフリキシマブで治療された患者に関する結果を示す。図3において、第14週での抗<TmAB>AB状態に関するKM曲線として、インフリキシマブで治療された患者に関する結果を示す。どちらの図においても、ADRのために離脱した患者では(または治療効果がないために離脱した患者では)、抗<TmAB>AB陽性(抗<TmAB>AB+)患者のKM曲線は、抗<TmAB>AB陰性(抗<TmAB>AB−)患者のKM曲線よりも低い。この相違は、第14週におけるよりも、第6週でより明らかである。
1つの態様において、本発明は、第一のTmABでの治療下にある患者のため、代替療法用抗体を選択するための方法であって、少なくとも第一のTmABおよび1またはそれより多い代替TmABが利用可能であり:a)第一のTmABに対する抗<TmAB>ABを、前記の第一のTmABで治療された患者由来の試料においてin vitroで測定し、そしてb)前記の第一のTmABに対する抗<TmAB>ABが存在する場合、将来の療法のための代替TmABを選択する工程を含む、前記方法に関する。
1つの態様において、慢性炎症性疾患の診断を有する患者から得られる試料を用いて、代替療法用抗体を選択するための方法を実施する。1つの態様において、慢性炎症性疾患は、関節リウマチ(RA)、クローン病(CD)、強直性脊椎炎(AS)、多関節型若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎(PsA)、ベヒテレフ病およびまたは慢性尋常性乾癬(Ps)からなる群より選択される。好ましい態様において、患者は、関節リウマチ(RA)の診断を有する。
1つの態様において、ヒト患者から得られる試料を用いて、代替療法用抗体を選択するための方法を実施する。1つの態様において、測定する抗<TmAB>ABは、抗<TNFαAB>ABである。
1つの態様において、本発明は、第一のTmAbでの治療下にある患者のため、代替TmABを選択するための方法であって、少なくとも第一のTmABおよび1またはそれより多い代替TmABが利用可能であり:a)第一のTmABに対するIgGクラスの抗<TmAB>ABを、前記の第一のTmABで治療された患者由来の試料においてin vitroで測定し、そしてb)前記の第一のTmABに対する抗<TmAB>ABが存在する場合、将来の療法のための代替TmABを選択する工程を含む、前記方法に関する。
1つの態様において、代替療法用抗体を選択するための方法は、TmABの最初の投与から14週間後までに、患者から提供される試料を用いて実行される。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の2週間後から実行される。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の2週間後〜6週間後に行われる。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の6週間後に行われる。
当業者には、前記の第一のTmABに対する抗<TmAB>ABが、前記の第一のTmABの治療下にある患者から得られる試料中に存在していた場合、将来の療法のための代替TmABをどのように選択するかが知られる。1つの態様において、代替TmABは、抗<TNFα>モノクローナル抗体およびリツキシマブからなる群より選択される。1つの態様において、代替TmABは、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される。1つの態様において、代替TmABは、抗<TNFα>モノクローナル抗体である。1つの態様において、代替TmABは抗<CD20>抗体である。1つの態様において、代替TmABはリツキシマブである。1つの態様において、第一のTmABは抗<TNFα>モノクローナル抗体であり、そして代替TmABは抗<CD20>抗体である。1つの態様において、第一のTmABは抗<TNFα>モノクローナル抗体であり、そして代替TmABはリツキシマブである。
使用:
本発明記載の方法は、一般的に、臨床試験において、ならびに臨床的ルーチンにおいての両方で、抗<TmAB>ABの検出に使用可能である。1つの態様において、本発明は、抗<TmAB>ABの検出のための本発明のイムノアッセイ法の使用に関する。
1つの態様において、本発明は、療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者由来の試料において、in vitroで抗<TmAB>ABを測定することによって、薬物有害反応(ADR)を生じるリスクがある患者を同定するためのイムノアッセイ法の使用に関する。
1つの態様において、本発明は、in vitroでの抗<TmAB>ABの測定のためのイムノアッセイ法の使用であって、TmABの最初の投与から14週間後までに、患者から提供される試料を用いて、抗<TmAB>ABを検出する、前記使用に関する。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の2週間後から実行される。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の2週間後〜6週間後に行われる。1つの態様において、抗<TmAB>ABの検出は、TmABの最初の投与の6週間後までに行われる。
本発明記載の方法を用いて、療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者であって、ADRを生じるリスクがある前記患者を監視することも可能である。該方法は、1つの態様において、TmABでの治療中、患者における抗<TmAB>ABの発症頻度を調べ、そしてこうした抗<TmAB>ABの発症が早期ADRおよび/または治療失敗と関連するかどうかを決定するために用いられる。
以下の実施例および図は、本発明の理解を助けるために提供され、本発明の真の範囲は、付随する請求項に示される。本発明の精神から逸脱することなく、示す方法において、修飾を行うことも可能であることが理解される。
実施例1
特異的療法用モノクローナル抗体のビオチンコンジュゲート化FabおよびF(ab’)断片の調製
Fab断片:100mMリン酸、2mM EDTA緩衝液、pH7.0中の免疫グロブリンクラスG(IgG)の全長療法用モノクローナル抗体を、10〜20mMシステインの存在下で、パパインとインキュベーションした(1mg IgGあたり5〜20mUパパイン)。分析用ゲル浸透クロマトグラフィーによって断片化を分析し、そしてヨードアセトアミド溶液(10mM添加(ad))の添加によって60〜120分後に停止した。
F(ab’)断片:100mMクエン酸ナトリウム緩衝液、pH3.7中の免疫グロブリンクラスG(IgG)の全長療法用抗体を、ペプシンとインキュベーションした(1mg IgGあたり1〜15μgペプシン)。分析用ゲル浸透クロマトグラフィーによって断片化を分析し、そしてリン酸カリウムの添加によりpH値を6.5に調整することによって90分後に停止した。
精製:両方の断片化混合物を、各々、10mM塩化ナトリウムを含む10mMリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.5に対して透析し、溶液をSP−セファロース・クロマトグラフィーカラムに適用し、塩勾配中で溶出された単離分画を、分析用ゲルろ過によって個々に分析した。抗体FabまたはF(ab)’断片を含有するプールを、ヒトFcgに対するポリクローナル抗体が固定されたアフィニティマトリックスに適用して、微量のFcg断片を除去し、フロースルーをプールして、そして残渣Fcg含量に関して分析した。アフィニティ精製法を、残渣Fcg濃度が0.5ppmに低下するまで、少なくとも3回、反復した。産物を約10mg/mlまで濃縮し、そして最終的に、ゲルろ過カラム(Superdex200)に適用した。
コンジュゲート化:NHS活性化ビオチン標識を用いて、8.2〜8.4のpH値で、精製Fcg不含断片をコンジュゲート化した。反応化学量論は1:5(IgG:標識)であり、1時間後、1Mリジン溶液の添加によって反応を停止し、そして未精製(raw)コンジュゲートをゲルろ過カラム(Superdex200)上で精製した。
特異的療法用抗体のビオチンコンジュゲート化Fab断片の調製
精製F(ab)’断片を5mMシステアミンと1時間インキュベーションし、分析用ゲル浸透クロマトグラフィーによって、Fab断片の還元を監視した。未精製産物をゲルろ過カラム(Superdex200)に適用し、そしてプールしたFab分画を直ちにMEA活性化ビオチン標識とコンジュゲート化した(化学量論1:10、1時間)。それぞれコンジュゲート化部位および収量を確かめるため、ESI−MSによって、最終分析性質測定を行った。
実施例2
リウマチ因子様特異性を持つモノクローナルマウスIgM抗体の産生
免疫原:H−IgGポリマー:
10mgヒトIgG1(Sigma社)を0.6mlの25mM重炭酸緩衝剤pH9.5に溶解する。3.5μlの12.5%グルタルジアルデヒド溶液を添加した後、室温で2時間インキュベーションする。続いて、氷槽中で冷却し、50mMトリエタノールアミン溶液pH8.0でpH8.3に調整し、そして0.15mlの新鮮に調製された水素化ホウ素ナトリウム溶液(8mg水素化ホウ素/ml水)を添加する。0℃に2.5時間置いた後、調製物を、10mMリン酸カリウム緩衝液/0.2M NaCl、pH7.5に対して4℃で16時間透析する。IgGポリマーを含有する透析物をアリコットにして−80℃で保存するか、または免疫のため、そしてハイブリドーマ細胞の培養上清中での特異性試験のために用いる。
H−IgG3ポリマーは、ヒトIgG3(Sigma社)から出発して、類似の方式で産生される。
マウスの免疫:
12週齢の雌Balb/cマウスを、まず、アジュバントCFA(完全フロイントアジュバント)と一緒に100μg H−IgG1またはIgG3ポリマーで腹腔内免疫する。8日後、CFA中、100μgのそれぞれのIgGポリマーで、さらなる免疫を行う。最初の免疫の13日後、200μgのそれぞれのポリマーをアジュバントなしに腹腔内投与し、最初の免疫の14および15日後、各場合に、100μgを腹腔内および静脈内投与する。16日後、融合を行う。
ハイブリドーマ・クローンの調製:
融合およびクローニング:
免疫マウスの脾臓細胞を、Galfre, G., Methods in Enzymology 73(1981)3−46の方法にしたがって、骨髄腫細胞と融合させる。免疫マウスのおよそ1x108の脾臓細胞を2x107の骨髄腫細胞(P3X63−Ag8−653、ATCC CRL 1580)と混合し、そして遠心分離する(300gおよび4℃で10分)。次いで、ウシ胎児血清(FCS)を含まないRPMI−1640培地で細胞を一度洗浄し、そして50mlコニカルチューブ中、再び、400gで遠心分離する。1ml PEG(ポリエチレングリコール)(分子量4000、Merck、ダルムシュタット)を添加し、そしてピペッティングによって混合する。水槽中、37℃に1分間置いた後、FCSを含まない5mlのRPMI1640を一滴ずつ添加し、混合し、培地(RPMI1640+10%FCS)を50mlまで満たし、そして続いて遠心分離する。沈降した細胞を、10%FCSを含有するRPMI1640培地中に取り、そしてヒポキサンチン−アザセリン選択培地(RPMI1640+10%FCS中、100mmol/lヒポキサンチン、1μg/mlアザセリン)中に植え付ける。インターロイキン6(100U/ml)を増殖因子として培地に添加する。約10日後、初代培養を特異的抗体合成に関して試験した。凝集したヒトIgG1との陽性反応を示すが、単量体IgGとは交差反応しない初代培養を、96ウェル細胞培養プレートにおいて、蛍光活性化細胞ソーターによって、クローニングする。増殖添加剤として、インターロイキン6(100U/ml)を培地に添加する。
以下のハイブリドーマクローンをこの方式で得た。
表1:
Figure 0005805190
凝集したヒトIgGに対して特異性を有するモノクローナル抗体に関するスクリーニング試験
ストレプトアビジンでコーティングしたMTPを、ビオチン化ヒトIgG1またはIgG3でコーティングする。その後、これらを細胞培養上清中、モノクローナル抗体とインキュベーションする。続いて、抗<マウス−IgM>−PODを用いて、POD基質との反応によって、結合した抗体を通常の方式で検出する。
固相に結合したヒトIgGを用いた、サブクラス特異性の測定:
ハイブリドーマ細胞の培養上清において、抗体の特異性を測定するため、組換えストレプトアビジンでコーティングしたMTP(MicroCoat社、注文番号12−K 96 N)を、インキュベーション緩衝液中、サブクラス1または2または3または4の1μg/mlビオチン化h−IgG(=hIgG−Bi)でコーティングする。ビオチンを通じて固相に結合したIgGは、凝集したポリマー性IgGと同様に振る舞うため、この実験アプローチを用いて、サブクラス特異性を測定することも可能である。このため、ウェルあたり100μl h−IgG−Bi溶液を室温で60分間、振盪しながらインキュベーションし、そして続いて、0.9%NaCl/0.05%Tween(登録商標)20で3回洗浄する。
次の工程において、調べようとする抗体溶液(培養上清)100μlを、コーティングしたウェルに添加し、そして振盪しながら室温で1時間インキュベーションする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween(登録商標)20で3回洗浄した後、ヤギ抗マウスIgM(Dianova社、注文番号115−036−075、0.16μg/mlインキュベーション緩衝液の濃度を用いる)由来のポリクローナル抗体のPOD標識Fab断片100μlを各場合に添加して、試料由来の結合した抗体を検出し、室温で振盪しながら1時間インキュベーションし、そして続いて、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween(登録商標)20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS(登録商標)基質(Roche Diagnoatics GmbH、注文番号1684 302)を添加し、そして室温で30分後、405/492nmの吸光度を、Dynatech社のMR700マイクロプレート読み取り装置中で測定する。
インキュベーション緩衝液:
40mMリン酸ナトリウム、pH7.4、200mM酒石酸ナトリウム、0.1%Tween(登録商標)20、0.2%ウシ血清アルブミン。
反応性/単量体ヒトIgG1との交差反応の測定:
反応性/単量体性非凝集H−IgG1との交差反応を測定するため、調べようとするモノクローナル抗体を、上記試験において、増加する濃度のまたは過剰な単量体性非凝集IgG1とプレインキュベーションする。測定されたシグナルが高レベルで不変であれば、交差反応はない。測定されたシグナルが減少すれば、交差反応が生じている。
組換えストレプトアビジンでコーティングしたこのマイクロタイタープレート(MTP)(MicroCoat社、注文番号12−K 96 N)を、インキュベーション緩衝液中、1μg/mlビオチン化H−IgG1(=H−IgG1−Bi)でコーティングする。ウェルあたり100μlのH−IgG1−Bi溶液を用い、そして室温で振盪しながら60分間インキュベーションし、そして続いて0.9%NaCl/0.05%Tween(登録商標)20で洗浄する。
交差反応性に関して試験しようとするモノクローナル抗体を、最大1μg/ml単量体性非凝集IgG1の一連の濃度とプレインキュベーションする。プレインキュベーションは、振盪しながら室温で1時間、コーティングされていない96ウェルMTP中で行う。
次の工程において、100μlのこの溶液(抗体+過剰量の非凝集性単量体IgG1)を、コーティングしたウェルに添加し、そして振盪しながら室温で1時間インキュベーションする。0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween(登録商標)20で3回洗浄した後、ヤギ抗マウスIgM(Dianova社、注文番号115−036−075、0.16μg/mlインキュベーション緩衝液の濃度を用いる)由来のポリクローナル抗体のPOD標識Fab断片100μlを各場合に添加して、試料由来の結合した抗体を検出し、室温で振盪しながら1時間インキュベーションし、そして続いて、0.9%塩化ナトリウム/0.05%Tween(登録商標)20で3回洗浄する。
最後に、100μl/ウェルのABTS(登録商標)基質(Roche Diagnoatics GmbH、注文番号1684 302)を添加し、そして室温で30分後、405/492nmの吸光度を、Dynatech社のMR700マイクロプレート読み取り装置中で測定する。
本発明の意味で適切なモノクローナルリウマチ因子様結合抗体は、すべてのヒトIgGサブクラスを認識し、そして競合試験において、単量体h−IgGと10%未満の交差反応を示す。H−IgG1ポリマーを用いて反応性を測定する場合、測定されるシグナルは、非常に減少する。表1は、見出されたモノクローナル抗体の主な特性を示す。
モノクローナル抗体を単離するためのハイブリドーマクローンの発酵:
得られたハイブリドーマ細胞を、10%FCSを含有するRPMI1640培地中、1mlあたり1x105細胞の密度で植え付け、そして発酵槽(Thermodux社、ヴェルトハイム、マイン、モデルMCS−104XL、注文番号144−050)中で7日間増殖させる。培養上清中、1mlあたり100μgのモノクローナル抗体の平均濃度に到達する。
モノクローナルMAb<h−Agg.−IgG>M−3.022.5−IgMの単離:
5mg MAb<h−Agg.−IgG>M−3.022.5−IgM(DSM ACC2873)を、0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液、pH8.6で、総体積2mlに調整する。ジメチルスルホキシド中、ジゴキシゲニン−3−O−メチル−カルボニル−e−アミノカプロン酸−N−ヒドロキシスクシンイミドエステルの1.11mM溶液50μlをこの溶液に添加し、そして続いて、25℃で60分間攪拌する。IgM対活性化ジゴキシゲニンの比は1:10である。形成されるIgM−ジゴキシゲニンを、20mMリン酸カリウム緩衝液/0.1M NaCl/3%スクロース、pH7.5に対して透析する。透析したIgM−Digをアリコットにして−80℃で保存する。
実施例3
多数パラメータ・バイオチップ・プラットホーム上の完全自動化ELISAアッセイ
多数パラメータ・バイオチップ・プラットホームは、Hornauer, H.ら., BIOspectrum, Special Proteomics 10(2004)564−565およびHornauer, H.ら, Laborwelt 4(2004)38−39に記載される。
ストレプトアビジン・コーティングを、黒色染色ポリスチレン支持体(固相)上、約2.5x6mmの試験領域の全領域上に適用する。療法用抗体のビオチン化断片からなるラインあたりおよそ10〜20の同一スポットのラインを、インクジェット法で、試験領域に適用し;スポットあたりの直径は約150μmである。
以下の試験特異的試薬を用いた:
試料希釈緩衝液:
50mM Tris、pH7.6;150mM NaCl;0.1%界面活性剤(ポリドカノール(polydocanol));0.6%BSA;0.2%保存剤(オキシピリオン(oxypyrion)およびメチルイソチアゾロン塩酸塩(MIT))
洗浄緩衝液:
10mM Tris、0.01%ポリドカノール、0.001%オキシピリオン、0.001%MIT。
試料:
ヒト血清、それぞれの療法用抗体で治療された研究集団をスクリーニングすることによって、陽性試料を得た;陰性試料は、それぞれの療法用抗体で治療されていない健康な血液ドナーである。
インフリキシマブFab断片をビオチン化抗原として用いた。これらの抗原に対する自己抗体(抗<TmAB>AB)を間接的試験形式で検出した。50μg/mlのそれぞれのビオチン化抗原を各スポット溶液中で用いた。
試験法の説明:
測定のため、試料を試験希釈緩衝液で1:50に希釈した。希釈した試料を37℃で12分間インキュベーションした。試料を吸引し、そして試験野を洗浄緩衝液で洗浄した後、これらを、ジゴキシゲニンで標識した抗体(Dig標識モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>)、MAb<h−Agg.−IgG>M−3.022.5−IgM(DSM ACC2873)と、37℃で6分間インキュベーションし、続いて洗浄工程を行った。蛍光標識<Dig>抗体と37℃で3分間インキュベーションし、そして続いて洗浄し、そして試験野を吸引乾燥した後、CCDカメラによってシグナルを検出した。
実施例4
間接的アッセイ形式でのF(ab’)およびFab断片の比較
断片F(ab’)−BiまたはFab−Biとしてのビオチン化インフリキシマブを、各々、チップ表面(固相)上の別個の領域上にスポットする。ジゴキシゲニン化抗<ヒトIgG>を検出試薬として用いる。インフリキシマブはヒト化IgG1であるため、検出抗体は、スポット化抗体に直接結合するであろう。したがって、アッセイ形式では、インフリキシマブ断片(より一般的には、抗<TNFα抗体断片>)F(ab’)−BiまたはFab−Biの使用のみが可能である。
見かけ上健康な血液ドナー由来の総数100の血清試料(TN)、およびインフリキシマブで治療された関節リウマチ(RA)患者由来の155の血清試料(TP)を採取して、捕捉抗体として、インフリキシマブ断片Fab−BiまたはF(ab’)−Biを用いて、2つの異なるアッセイの特異性を比較した。F(ab’)−Biとしてのビオチン化インフリキシマブの使用は、何人かの見かけ上健康な血液ドナー(TN)から採取した試料において、誤って上昇したシグナルを生じ、これはインフリキシマブで治療された真の陽性(TP)である関節リウマチ患者から採取された試料のシグナルとほぼ同程度に強かった(結果を表2に示し、そして結果のグラフ提示を図5aに示す)。
表2
Figure 0005805190
捕捉抗体として、インフリキシマブのビオチン化Fab−Bi断片を使用すると、真の陽性(TP)および真の陰性(TN)試料間のはるかにより優れた区別が可能になった。結果を表3に示し、そして結果のグラフ提示を図5bに示す。
表3:
Figure 0005805190
実施例5
抗<TNFα抗体>抗体(nti−<TNFα antibody>antiody)(抗<TNFαAB>AB)の検出のためのスクリーニングアッセイ
研究データは、コペンハーゲン・コホート由来の試料に基づく。血液試料を、インフリキシマブで治療された総数218の関節リウマチ(RA)患者から採取した。この血液試料を、インフリキシマブに対する抗<TmAB>AB(nti−<TmAB>AB)(抗<TNFαAB>AB)の存在に関して分析した。ベースライン試料(参照試料)をTmABの最初の投与前、第0週に採取する。試料をTmABの最初の投与の2週間後に採取するよう本明細書に言及している場合、第9日〜第21日に試料を採取してもよい。試料をTmABの最初の投与の6週間後に採取するよう本明細書に言及している場合、第28日〜第64日に試料を採取してもよい。試料をTmABの最初の投与の14週間後に採取するよう本明細書に言及している場合、第13週〜第16週に試料を採取してもよい。
間接的アッセイ形式を用いて、インフリキシマブに対する抗<TmAB>ABを測定する。稀な試薬、緩衝剤、標準物質および対照の完全な概要を実施例3に示す。
間接的アッセイ形式:
Fab−Biのようなビオチン化インフリキシマブをチップ表面上にスポットする。ジゴキシゲニン化抗<ヒトIgG>を検出試薬として用いる。インフリキシマブは、ヒト化IgG1であるため、検出抗体は、スポット化された抗体に直接結合するであろう。したがって、このアッセイ形式では、インフリキシマブ断片(より一般的には抗<TNFα抗体断片>)F(ab’)−BiまたはFab−Biの使用のみが可能である。
実施例4の結果に示されるように、Fab断片の使用が好ましい。間接的アッセイ形式において、Fab断片は、陰性および真の陽性結果間で、はるかにより優れた区別を生じる。
表4:抗<TmAB>AB間接的アッセイ(感度に関して最適化)
Figure 0005805190
図1に示す抗<TmAB>AB間接的アッセイ形式は、優れた感度で、インフリキシマブの最初の療法的投与の早くも2週間後に、患者から採取された試料において、抗<TmAB>ABを検出する。
ADRによる後の研究からの離脱は、抗<TmAB>AB測定によって予測可能である:
第2週または第6週の抗<TmAB>ABの早期発症は、それぞれ、75%および48%の可能性で、後のADRおよび研究からの患者の脱落を予測させる(データを表4に示す)。
TmAB、例えばインフリキシマブでの治療は、少数であるが、なお有意な数の患者において、前記TmABに対する抗<TmAB>AB形成を導く。最も重要なことに、これらの患者の多数が、後の時点で、ADRのために研究を離れた。これらの知見は、本発明記載の方法において評価する抗薬剤抗体が、ADRが始まる前にこれを予測可能であり、そしてしたがって、抗<TmAB>抗体に対する陽性の検査結果を用いて、療法をよりよく方向付ける、例えば第一のTmABから第二の代替TmABにスイッチすることも可能であることを示しうる。

Claims (20)

  1. 療法用モノクローナル抗体(TmAB)で治療された患者由来の試料において、in vitroで抗<療法用モノクローナル抗体>抗体(anti−<therapeutic monoclonal antibody> antibody)(抗<TmAB>AB)を測定するためのイムノアッセイ法であって:
    a)固相に結合した前記TmABのF(ab)断片を提供し、
    b)試料と、(a)で提供された固相をインキュベーションし、それによって、F(ab)断片を通じて固相に抗<TmAB>ABが結合し、
    c)(b)で得られた固相と、モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>をインキュベーションし、それによって前記モノクローナル抗体が、抗<TmAB>ABに結合し、IgMモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>が10 −6 mol/l〜10−8mol/lの解離定数(=K)値を有するIgM抗体であり、そして
    d)(c)で結合したモノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>を検出し、そしてそれによって、試料中の抗<TmAB>ABを測定する
    工程を含む、前記方法。
  2. 試料が全血、血清または血漿である、請求項1の方法。
  3. TmABが、キメラ抗体(CA)およびヒト化抗体(HA)からなる群より選択される、請求項1〜2のいずれか記載の方法。
  4. TmABが、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
  5. ビオチン/ストレプトアビジン、ビオチン/アビジン、およびビオチン抗<ビオチン>抗体からなる群より選択される結合系によって、F(ab)断片を固相に結合させる、請求項1〜4のいずれか記載の方法。
  6. モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>が10 −7 mol/l〜10−8mol/lの解離定数(=K)値を有する抗体である、請求項1〜5のいずれか記載の方法。
  7. モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>が標識されている、請求項1〜6のいずれか記載の方法。
  8. モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>がDigで標識されている、請求項1〜7のいずれか記載の方法。
  9. Dig標識モノクローナル抗体<h−Agg.−IgG>が、検出可能標識にコンジュゲート化された抗<Dig>抗体とインキュベーションすることによって検出される、請求項8記載の方法。
  10. 検出可能標識が、発光標識、化学発光標識、電気化学発光標識、蛍光標識、および放射性標識からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
  11. 抗<TmAB>抗体の検出のための請求項1〜10のいずれか記載のイムノアッセイ法の使用。
  12. TmABでの治療中に薬物有害反応(ADR)を生じるリスクがある患者の同定のための請求項1〜10のいずれか記載の方法の使用であって、該方法において、抗<TmAB>ABに関して検査結果が陽性であった患者は、ADRを生じるリスクがある、前記使用。
  13. 前記のTmABの最初の投与から14週間後までに、患者から採取された試料において、抗<TmAB>ABを検出する、請求項12記載の使用。
  14. 第一のTmABでの治療下にある患者のため、代替療法用抗体を選択するべきかについての情報を提供するための方法であって、少なくとも第一のTmABおよび1またはそれより多い代替TmABが利用可能であり:
    a)請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法により、前記の第一のTmABで治療された患者由来の試料において、第一のTmABに対する抗<TmAB>ABをin vitroで測定し、そして
    b)前記の第一のTmABに対する抗<TmAB>AB存在又は不存在に基づいて、将来の療法のための代替TmABを選択するべきかについての情報を提供する
    工程を含む、前記方法。
  15. 抗<TmAB>ABが、前記の第一のTmABの最初の投与から14週間後までに、患者から提供される試料内で、in vitroで測定可能である、請求項14記載の方法。
  16. 代替TmABが、抗<TNFα>モノクローナル抗体およびリツキシマブからなる群より選択される、請求項14〜15のいずれか記載の方法。
  17. 代替TmABが、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブおよびリツキシマブからなる群より選択される、請求項14〜16のいずれか記載の方法。
  18. 代替TmABが、抗<TNFα>モノクローナル抗体である、請求項14〜17のいずれか記載の方法。
  19. 代替TmABが、インフリキシマブ、アダリムマブ、およびセルトリズマブからなる群より選択される、請求項14〜18のいずれか記載の方法。
  20. 第一のTmABが抗<TNFα>モノクローナル抗体であり、そして代替TmABがリツキシマブである、請求項14〜19のいずれか記載の方法。
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