JP5803272B2 - 回転体構造 - Google Patents

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Description

本発明は、回転体構造に関し、特に、動力を伝達する第1の回転部材と第2の回転部材とがインボリュートスプライン歯を介して連結された回転体構造に関する。
第1の回転部材および第2の回転部材に形成されているスプラインが互いに嵌合されることにより、一体的に構成される回転体構造を有する動力伝達装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
スプライン歯の形状としては、インボリュートスプライン歯が広く用いられており、このインボリュートスプライン歯は、半径方向にガタを有してスプライン結合されるため、調芯力が発生して第1の回転部材と第2の回転部材の回転中心を合致させることができ、動力の伝達効率を向上させることができることが知られている。
回転体構造をベルト式無段変速機のトランスアクスルケースに回転自在に支持したものとしては、例えば、特許文献2に示すものが知られており、スプライン歯をインボリュートスプラインとした場合には、図18のように示される。
図18において、回転体構造は、外周部にインボリュートスプライン歯51aが形成された出力軸51と、内周部にインボリュートスプライン歯51aに噛合するインボリュートスプライン歯52aが形成されたドライブギヤ52とを備えており、インボリュートスプライン歯51a、52aは、半径方向にガタを有する。
ドライブギヤ52の外周部には外周歯52bが形成されている。このドライブギヤ52の外周歯52bは、例えば、ドリブンギヤ53の外周歯53aに噛合されており、出力軸51の駆動力が、ドライブギヤ52からドリブンギヤ53に伝達される。
また、ドライブギヤ52は、ニードルベアリング54によってトランスアクスルケース55に回転自在に支持されている。
このような構成を有する回転体構造にあっては、出力軸51とドライブギヤ52とが半径方向にガタを有するインボリュートスプライン歯51a、52aによって連結されているため、インボリュートスプライン歯51a、52aの噛み合い伝達誤差によってインボリュートスプライン歯51a、52aの噛み合い点に強制力が発生する。
噛み合い点に強制力が発生すると、回転体構造が振動し、この振動がトランスアクスルケース55に伝達され、トランスアクスルケース55の振動が周囲に放射されることにより、ギヤノイズが発生してしまうおそれがある。このギヤノイズは、例えば、振動や騒音(異音)として搭乗者に不快感を与える場合がある。
なお、噛み合い伝達誤差とは、出力軸51の回転中心とドライブギヤ52の回転中心がインボリュートスプライン歯51a、52aのガタの範囲内で偏芯し、出力軸51とドライブギヤ52との理想的な回転運動に対する回転角度誤差(駆動スプラインに対する被駆動スプラインの進みまたは遅れ)のことである。
図19において、インボリュートスプラインを用いて強制力の発生メカニズムを説明する。
図19において、一対のインボリュートスプライン歯51a、52aの各噛み合い点A1、A2におけるインボリュートスプライン歯51a、52aの変位をそれぞれX1、X2とすると、噛み合い伝達誤差TEは次式(1)で表される。
そして、この噛み合い伝達誤差TEによって噛み合い点A1、A2に強制力(噛み合い点の強制力F1=−F2)が発生し、回転体構造が振動すると、この振動がトランスアクスルケース55に伝達される。
TE=X1−X2(=一定) ・・・(1)
次に、インボリュートスプライン歯51a、52aの各噛み合い点A1、A2におけるコンプライアンスをそれぞれφ1、φ2とすると、インボリュートスプライン歯51a、52aの変位X1、X2は次式(2)、(3)で表される。
上記式(1)および式(2)、(3)と、作用・反作用の関係からF1=−F2となることとを考慮すれば、強制力F1は次式(4)で表される。
この式(4)中の(1/(φ1+φ2))は、(F=k×x)で示されるバネ定数kに相当するものであり、噛み合い点動剛性Kdと称するものである。
この式(4)より、噛み合い点動剛性Kdに噛み合い伝達誤差TEを掛け合わせたものが強制力Fとなる。
従来の回転体構造は、図20に示すように、ドライブギヤ52からドリブンギヤ53にギヤ荷重F3が伝達されると、ギヤ荷重F3の反力であるスプライン荷重F4がインボリュートスプライン歯52a、53aの噛み合い点に加わる。
このインボリュートスプライン歯51a、52aは、ドライブギヤ52およびドリブンギヤ53の円周方向に亘って形成されているため、スプライン荷重F4は、ドライブギヤ52およびドリブンギヤ53の円周方向に均一に分布されてしまい、ドライブギヤ52とニードルベアリング54との間で円周方向に荷重を受ける部位が一定となる。
したがって、ニードルベアリング54とトランスアクスルケース55の接触位置が一定となり、出力軸51からトランスアクスルケース55までの振動の伝達経路が同一となる。
伝達系は、出力軸51およびドライブギヤ52の形状、ニードルベアリング54の半径方向のガタ、出力軸51からトランスアクスルケース55までの振動の伝達経路等を含んで成立するものである。
本出願人の発明者は、ギヤノイズの発生要因が噛み合い点動剛性と噛み合い伝達誤差に加えて、振動の伝達系によって決定されることに着目し、伝達系の伝達経路にギヤノイズの発生要因が大きく影響されることを見出した。
具体的には、図21に示すように、振動の伝達経路が一定の場合の伝達経路特性は、共振周波数のピークを有しており、図22に示すようにノイズ特性である音圧のピークは、伝達経路特性の影響を大きく受けている。
したがって、伝達系の共振周波数のピークは、伝達経路の共振周波数のピークによって決定されることになり、インボリュートスプライン歯51a、52aの噛み合い点に発生した強制力が共振周波数を有する伝達系に同一の伝達経路で入力し続けると、共振が成長してしまい、ギヤノイズが発生してしまうのである。
ここで、特許文献1では、回転体構造を構成する第1回転部材(出力軸51に相当)および第2回転部材(ドライブギヤ52に相当)に形成されたスプライン歯が互いに圧入されることにより一体的に構成される回転部材を有する車両用動力伝達装置であって、回転部材のいずれか一方向側への回転時に互いに反力を受ける第1回転部材および第2回転部材のスプライン歯の歯面圧入部の一部において、間隙を形成するようにしている。
このように構成することにより、車両の減速および加速に応じて第1の回転部材および第2の回転部材の結合剛性を異ならすことができ、車両の減速および加速に応じて共振周波数を異ならすことができるものとなっている。
したがって、共振周波数を好適に設定することで、減速および加速のいずれにおいてもギヤノイズ波形のピーク点から共振周波数をずらすことで、ギヤノイズを低減することができるものとなっている。
特開2010−169213号公報
しかしながら、特許文献1に記載される回転体構造は、上述したように伝達系の振動の伝達経路に依存するギヤノイズの発生のメカニズムに着目しておらず、ギヤノイズを充分に抑制することができないという問題があった。
本発明は、上述のような従来の問題を解決するためになされたもので、簡素な構成でギヤノイズを低減することができる回転体構造を提供することを目的とする。
本発明に係る回転体構造は、上記目的を達成するため、(1)外周部に第1のインボリュートスプライン歯が形成された第1の回転部材と、内周部に第2のインボリュートスプライン歯が形成された第2の回転部材とを有し、前記第1のインボリュートスプライン歯と前記第2のインボリュートスプライン歯とが半径方向にガタを有して噛み合わされるとともに、前記第2の回転部材が半径方向にガタを有する支持部材を介して本体に回転自在に支持される回転体構造であって、前記第1のインボリュートスプライン歯および前記第2のインボリュートスプライン歯の少なくとも一方が、前記第1の回転部材または前記第2の回転部材の円周方向に対して半分以下の領域に形成され、残りの領域が欠歯されており、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材の噛み合い位置の位相は、円周方向でずれるものから構成されている。
この回転体構造は、第1のインボリュートスプライン歯および第2のインボリュートスプライン歯の少なくとも一方が、第1の回転部材または第2の回転部材の円周方向に対して半分以下の領域に形成され、残りの領域が欠歯しているので、例えば、第2の回転部材に欠歯が形成されている場合には、第1の回転部材と第2の回転部材の回転時に、第1のインボリュートスプライン歯と第2のインボリュートスプライン歯の噛み合い位置の位相が円周方向でずれる。
第1のインボリュートスプライン歯と第2のインボリュートスプライン歯の噛み合い位置の位相が円周方向でずれると、半径方向にガタを有する支持部材に加わる荷重の位相が円周方向でずれ、支持部材と本体の接触位置の位相が円周方向でずれる。
このため、第1、2のインボリュートスプライン歯の噛み合い点に強制力が発生した場合に、振動の伝達経路が時系列で変化し、共振周波数が成長されず、共振周波数のピークが低下する。
この結果、第1インボリュートスプライン歯および第2のインボリュートスプライン歯の少なくとも一方を欠歯するだけの簡素な構成によってギヤノイズを低減することができる。
上記(1)に記載の回転体構造において、(2)前記第1のインボリュートスプライン歯または前記第2のインボリュートスプライン歯が、前記第1の回転部材または前記第2の回転部材の円周方向に対して一部分の領域に連続または非連続で形成されるものから構成されている。
この回転体構造は、第1のインボリュートスプライン歯または第2のインボリュートスプライン歯が、第1の回転部材または第2の回転部材の円周方向に対して連続または非連続で形成されるので、第1のインボリュートスプライン歯と第2のインボリュートスプライン歯の噛み合い位置の位相を円周方向で確実にずらすことができ、振動の伝達経路を時系列で確実に変化させることができる。
上記(1)または(2)に記載の回転体構造において、(3)前記第1のインボリュートスプライン歯または前記第2のインボリュートスプライン歯が、前記第1の回転部材または前記第2の回転部材の円周方向に対して前記半分以下の領域で離隔して形成されており、前記形成領域は、第1の回転部材または前記第2の回転部材の中心軸に対して非対称となっているものから構成されている。
この回転体構造は、第1のインボリュートスプライン歯または第2のインボリュートスプライン歯が形成される領域が、第1の回転部材または第2の回転部材の中心軸に対して非対称となっているので、第1のインボリュートスプライン歯と第2のインボリュートスプライン歯の噛み合い位置の位相を円周方向で確実にずらすことができ、振動の伝達経路を時系列で確実に変化させることができる。
上記(1)ないし(3)に記載の回転体構造において、(4)前記支持部材が転がり軸受またはすべり軸受からなるものから構成されている。
この回転体構造は、支持部材が半径方向にガタを有する転がり軸受またはすべり軸受から構成されるので、第2の回転部材が転がり軸受またはすべり軸受を介して半径方向にガタを有して本体に回転自在に支持される。
このため、第1のインボリュートスプライン歯と第2のインボリュートスプライン歯の噛み合い位置の位相が円周方向でずれたときに、半径方向にガタを有する転がり軸受またはすべり軸受に加わる荷重の位相を円周方向でずらすことができる。このため、支持部材と本体の接触位置の位相を円周方向でずらすことができ、振動の伝達経路を時系列で円周方向に変化させることができる。
上記(1)ないし(4)に記載の回転体構造において、(5)前記第1の回転部材が外周部に前記第1インボリュートスプライン歯が形成された変速機の出力軸から構成され、前記第2の回転部材が、内周部に前記第2のインボリュートスプライン歯が形成されるとともに外周歯を有し、前記外周歯が駆動輪側に設けられたドリブンギヤに噛合するドライブギヤから構成されている。
この回転体構造は、変速機から発生するギヤノイズを低減することができる。
本発明によれば、簡素な構成でギヤノイズを低減することができる回転体構造を提供することができる。
本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、回転体構造を備えるベルト式無段変速機の概略構成図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、回転体構造を示すベルト式無段変速機の要部構成図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、図2の矢印A−A方向矢視断面図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、インボリュートスプラインの位相が0°のときの回転体構造に作用する荷重の関係を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、インボリュートスプラインの位相が180°のときの回転体構造に作用する荷重の関係を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、インボリュートスプラインの位相が0°のときの伝達経路特性を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、インボリュートスプラインの位相が90°のときの伝達経路特性を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、インボリュートスプラインの位相が180°のときの伝達経路特性を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、インボリュートスプラインの位相が270°のときの伝達経路特性を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、周波数と音圧の関係を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、4点音圧和をベンチ試験によって求めた従来品と本実施の形態の回転体構造の周波数と音圧の関係を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、従来品のギヤ加振応答と周波数の関係を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、本実施の形態の回転体構造のギヤ加振応答と周波数の関係を示す図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、他の構造の回転体構造の断面図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、他の構造の回転体構造の断面図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、他の構造の回転体構造の断面図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、他の構造の回転体構造の断面図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、従来の回転体構造の断面図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、強制力が発生するメカニズムを説明するためのインボリュートスプラインの模式図である。 本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、図18のB−B方向矢視断面図である。 従来の伝達経路特性を示す図である。 従来の周波数と音圧の関係を示す図である。
以下、本発明に係る回転体構造の実施の形態について、図面を用いて説明する。
図1〜図17は、本発明に係る回転体構造の一実施の形態を示す図であり、回転体構造をベルト式無段変速機に適用した例を示している。
まず、構成を説明する。
図1において、トランスアクスル1は、内燃機関2のクランクシャフト3に連結されたトルクコンバータ4と、トルクコンバータ4に入力軸5を介して連結された前後進切換機構6と、前後進切換機構6に連結されたベルト式無段変速装置(CVT:Continuously Variable Transmission)7とを有している。
また、図1、図2に示すように、トランスアクスル1は、変速機としてのベルト式無段変速機7のセカンダリシャフト8の外周部に形成された雌インボリュートスプライン歯8aにスプライン嵌合する雄インボリュートスプライン歯9aを内周部に有するドライブギヤ9と、ドライブギヤ9の外周歯9bに噛合する外周歯10aを有するドリブンギヤ10と、ドリブンギヤ10を支持するインターメディエートシャフト11とを有している。
また、トランスアクスル1は、インターメディエートシャフト11に支持されたファイナルドライブギヤ12と、ファイナルドライブギヤ12と噛み合うリングギヤ13と、リングギヤ13に連結され、図示しない駆動軸を介して図示しない左右の駆動輪に連結されるディファレンシャル14と、これらの各構成要素を収納する本体としてのトランスアクスルケース15を含んで構成されている。
なお、本実施の形態では、ドライブギヤ9が第1の回転部材を構成し、ドリブンギヤ10が第2の回転部材を構成している。また、雌インボリュートスプライン歯8aが第1のインボリュートスプライン歯を構成し、雄インボリュートスプライン歯9aが第2のインボリュートスプライン歯を構成している。
ベルト式無段変速機7は、V溝状のプーリ溝を備えた駆動側のプライマリプーリ18と従動側のセカンダリプーリ19とにベルト20を巻き掛け、一方のプーリのプーリ溝の溝幅を拡大すると同時に他方のプーリのプーリ溝の溝幅を狭くすることにより、それぞれのプーリに対するベルト20の巻き掛け半径(有効径)を連続的に変化させて変速比を無段階に設定するように構成されている。
また、ベルト式無段変速機7は、入力軸5と略同軸に延在し、プライマリプーリ18と一体回転するプライマリシャフト21と、プライマリシャフト21と平行に延在し、セカンダリプーリ19と一体回転する出力軸としてのセカンダリシャフト8とを有している。
そして、これらプライマリシャフト21およびセカンダリシャフト8は、それぞれトランスアクスルケース15に軸受24a、24b、25a、25bを介して回転自在に支持されている。
一方、図3に示すように、雄インボリュートスプライン歯9aは、ドライブギヤ9の円周方向の半分以下の領域に形成されており、残りの領域が欠歯している。また、雌インボリュートスプライン歯8aは、セカンダリシャフト8の円周方向の全周に形成されており、雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aは、半径方向および円周方向にガタを有して噛合している。
雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aは、公知のようにインボリュート曲面で形成された歯形を有するものである。
この雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aは、半径方向にガタを有して噛合しているため、調芯力によりセカンダリシャフト8の回転中心とドライブギヤ9の回転中心を合致させることができ、動力の伝達効率を向上させることができる。
また、ドライブギヤ9は、一対のニードルベアリング26、27によってトランスアクスルケース15に回転自在に支持されている。
ニードルベアリング26、27は、トランスアクスルケース15に取付けられたアウタレース26a、27aと、円周方向に離隔するようにして複数のニードル26b、27bを回転自在に保持する保持器26c、27cとを備えており、ニードル26b、27bは、内周部がドライブギヤ9に接触しているとともに、外周部がアウタレース26a、27aに接触している。本実施の形態のニードルベアリング26、27がインナレースを兼ねている。
ニードルベアリング26、27は、アウタレース26a、27aとニードル26b、27bとの間に半径方向のガタを有している。
したがって、ニードルベアリング26、27は、アウタレース26a、27aとトランスアクスルケース15との間およびニードル26b、27bとドライブギヤ9との間には半径方向に若干の隙間が形成されるようにしてトランスアクスルケース15に取付けられている。
次に、作用を説明する。
本実施の形態では、セカンダリシャフト8およびドライブギヤ9からなる回転体構造から発生するノイズギヤに着目して説明を行う。
ギヤノイズは、雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aの噛み合い点における噛み合い伝達誤差および噛み合い点動剛性による強制力と、セカンダリシャフト8からトランスアクスルケース15までの振動の伝達系によって決定される。
本実施の形態では、雄インボリュートスプライン歯9aは、ドライブギヤ9の円周方向の半分以下の領域に形成されており、残りの領域が欠歯している。このため、ドライブギヤ9の円周方向の一部分に連続して形成された雄インボリュートスプライン歯9aがセカンダリシャフト8の雌インボリュートスプライン歯8aに噛合している。
このため、セカンダリシャフト8の回転トルクが雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aを介してドライブギヤ9に伝達されるときに、雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aの噛み合い位置の位相がドライブギヤ9の円周方向で変化する。
図4に示すように、反時計回転方向である矢印R方向に回転中のドライブギヤ9の雄インボリュートスプライン歯9aの位置が鉛直方向下方に位置しているときに、雄インボリュートスプライン歯9aの位相を0°とすると、雄インボリュートスプライン歯9aにギヤ荷重F5の反力であるスプライン荷重F6が左向きに加わる。
スプライン荷重F6が発生すると、ニードルベアリング26、27の左端面(0°からの回転角度で270°の位置)にスプライン荷重F6の反力として右向きの支持荷重F7が発生する(図4では、ニードルベアリング27を図示していないがニードルベアリング26と同様の機能を有している)。
ニードルベアリング26、27は、半径方向にガタを有しているため、アウタレース26a、27aとトランスアクスルケース15との間に若干の隙間が形成されている。したがって、支持荷重F7によってニードルベアリング26、27のアウタレース26a、27aの左端側の外周部とトランスアクスルケース15とが接触する。
次いで、図5に示すように、雄インボリュートスプライン歯9aの位置が鉛直方向上方に位置しているときに、雄インボリュートスプライン歯9aの位相を180°とすると、雄インボリュートスプライン歯9aにギヤ荷重F5の反力であるスプライン荷重F8が右向きに加わるため、ニードルベアリング26、27の右端面(0°からの回転角度で90°の位置)にスプライン荷重F8の反力として左向きの支持荷重F9が発生する。
このとき、支持荷重F9によってニードルベアリング26、27のアウタレース26a、27aの右端側の外周面とトランスアクスルケース15とが接触する。
また、図示しないが、雄インボリュートスプライン歯9aが右側に位置する90°の位相や左側に位置する270°の位相等にずらすと、支持荷重がニードルベアリング26、27の上端面や下端面に発生するため、ニードルベアリング26、27のアウタレース26a、27aの上端側や下端側の外周面とトランスアクスルケース15とが接触する。
このように強制力が発生したときに雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aの噛み合い点における噛み合い伝達誤差および噛み合い点動剛性による強制力が発生してセカンダリシャフト8およびドライブギヤ9が振動すると、この振動のトランスアクスルケース15への伝達経路が時系列で変化する。
図6〜図9は、雄インボリュートスプライン歯9aの噛み合い位置がそれぞれ0°〜270°の4つの位相のときの振動の伝達経路特性を示す図である。図6〜図9に示すように、セカンダリシャフト8およびドライブギヤ9の回転中に伝達経路が変化すると、噛み合い位置の位相に応じて伝達経路特性、すなわち、共振周波数が異なることが分かる。
ギヤノイズは、振動の伝達経路特性に大きく影響を受けることから、セカンダリシャフト8およびドライブギヤ9の回転中に伝達経路を変化させることにより、図10に示すように、共振を成長させないようにして従来のギヤノイズに対してピークを低下させることができ、音圧を低減することができる。
また、図11に示すように、雄インボリュートスプライン歯9aの位相が0°、90°、180°、270°のそれぞれの位置にあるときの4点音圧和をベンチ試験によって求めた場合に、ドライブギヤの円周方向の全周に雄インボリュートスプライン歯が形成された従来品に比べてギヤノイズを低減することができることが確認された。
一方、図12は、内周面の円周方向の全周に雄インボリュートスプライン歯が形成されたドライブギヤを用い、雄インボリュートスプライン歯の特定の部位の位相が0°と180°とずれたときの加振試験結果を示す図である。
従来の回転体構造は、振動の伝達経路が一定であるため、図12に示すように、実線で示す位相が0°のときと、破線で示す位相が180°のときの両方において振動特性が変化せずに、振動の共振周波数のピークが成長してしまうことが分かる。
これに対して、本実施の形態では、図13に示す加振試験結果から明らかなように、雄インボリュートスプライン歯9aの位相が0°(破線)と180°(実線)とにずれたときの振動特性を異ならせることができ、共振周波数のピークを成長させないようにすることができる。
このように本実施の形態は、外周部に雌インボリュートスプライン歯8aが形成されたセカンダリシャフト8と、内周部に雄インボリュートスプライン歯9aが形成されたドライブギヤ9とを有し、雌インボリュートスプライン歯8aと雄インボリュートスプライン歯9aとが半径方向にガタを有して噛合されるとともに、ドライブギヤ9が半径方向にガタを有するニードルベアリング26、27を介してトランスアクスルケース15に回転自在に支持される回転体構造において、雄インボリュートスプライン歯9aが、ドライブギヤ9の円周方向に対して半分以下の領域に形成され、残りの領域が欠歯しているものから構成した。
このため、雌インボリュートスプライン歯8aおよび雄インボリュートスプライン歯9aの噛み合い点に強制力が発生した場合に、振動の伝達経路を時系列で変化させて共振周波数が成長しないようにすることができ、振動および音圧の共振周波数のピークが低下させることができる。
この結果、雄インボリュートスプライン歯9aを欠歯するだけの簡素な構成によってギヤノイズを低減することができる。
また、本実施の形態では、ドライブギヤ9を半径方向にガタを有するニードルベアリング26、27を介してトランスアクスルケース15に回転自在に支持しているので、雌インボリュートスプライン歯8aと雄インボリュートスプライン歯9aとの噛み合い位置の位相が円周方向でずれたときに、ニードルベアリング26、27に加わる荷重の位相を円周方向でずらすことができる。このため、ニードルベアリング26、27とトランスアクスルケース15の接触位置の位相を円周方向でずらすことができ、振動の伝達経路を時系列で円周方向に変化させることができる。
なお、本実施の形態では、雄インボリュートスプライン歯9aをドライブギヤ9の内周部の円周方向に対して半分以下の領域に連続して形成し、残りの領域を連続して欠歯させているが、雄インボリュートスプライン歯9aの構成は、これに限定されるものではない。
例えば、図14〜図16に示すように第2のインボリュートスプライン歯としての雄インボリュートスプライン歯9c、9d、9eをドライブギヤ9の内周部の円周方向に対して半分以下の領域に非連続で形成してもよい。
図14では、連続する2歯の雄インボリュートスプライン歯9cと1歯の雄インボリュートスプライン歯9cとの間に1歯だけ欠歯された状態で雄インボリュートスプライン歯9cが非連続に形成されている。
図15では、連続する2歯の雄インボリュートスプライン歯9dと連続する2歯の雄インボリュートスプライン歯9dとの間に1歯だけ欠歯された状態で雄インボリュートスプライン歯9dが非連続に形成されている。
図16では、それぞれ連続する2歯の雄インボリュートスプライン歯9eが1歯だけ欠歯された状態で非連続に形成されている。
図14〜図16では、雄インボリュートスプライン歯9c〜9eは、ドライブギヤ9の中心軸に対して非対称となっている。
また、本実施の形態では、ドライブギヤ9の内周部のみに欠歯を形成しているが、図17に示すように、セカンダリシャフト8の外周部に形成された第1のインボリュートスプラインとしての雌インボリュートスプライン歯8bをセカンダリシャフト8の円周方向に対して半分以下の領域に形成し、残りの領域を欠歯させるように構成し、雌インボリュートスプライン歯8bおよび雄インボリュートスプライン歯9aを噛合させるようにしてもよい。
また、ドライブギヤ9の内周部に円周方向の全周に雄インボリュートスプライン歯を形成し、セカンダリシャフト8の外周部に形成された雌インボリュートスプライン歯8aをセカンダリシャフト8の円周方向に対して半分以下の領域に形成し、残りの領域を欠歯させるようにしてもよい。
また、セカンダリシャフト8の外周部に雄インボリュートスプライン歯を形成し、ドライブギヤ9の内周部に雌インボリュートスプライン歯を形成し、雄インボリュートスプライン歯および雌インボリュートスプライン歯の少なくとも一方に欠歯を形成するようにしてもよい。
また、本実施の形態は、回転体構造をベルト式無段変速機に適用しているが、これに限定されるものではない。
要は、外周部に第1のインボリュートスプライン歯が形成された第1の回転部材と、内周部に第2のインボリュートスプライン歯が形成された第2の回転部材とを有し、前記第1のインボリュートスプライン歯と第2のインボリュートスプライン歯とが半径方向にガタを有して噛合されるとともに、第2の回転部材が半径方向にガタを有する軸受等の支持部材を介して本体に回転自在に支持される回転体構造を有するものであれば、どのような装置にも適用できる。
また、本実施の形態では、支持部材をニードルベアリング26、27から構成しているが、半径方向にガタを有するすべり軸受から構成してもよい。
以上のように、本発明に係る回転体構造は、簡素な構成でギヤノイズを低減することができるという効果を有し、動力を伝達する第1の回転部材と第2の回転部材とがインボリュートスプライン歯を介して連結された回転体構造等として有用である。
7 ベルト式無段変速機(変速機)
8 セカンダリシャフト(第1の回転部材)
8a、8b 雌インボリュートスプライン歯(第1インボリュートスプライン歯)
9 ドライブギヤ(第2の回転部材)
9a、9c、9d、9e 雄インボリュートスプライン歯(第2のインボリュートスプライン歯)
9b 外周歯
15 トランスアクスルケース(本体)
26、27 ニードルベアリング(支持部材)

Claims (5)

  1. 外周部に第1のインボリュートスプライン歯が形成された第1の回転部材と、内周部に第2のインボリュートスプライン歯が形成された第2の回転部材とを有し、前記第1のインボリュートスプライン歯と前記第2のインボリュートスプライン歯とが半径方向にガタを有して噛み合わされるとともに、前記第2の回転部材が半径方向にガタを有する支持部材を介して本体に回転自在に支持される回転体構造であって、
    前記第1のインボリュートスプライン歯および前記第2のインボリュートスプライン歯の少なくとも一方が、前記第1の回転部材または前記第2の回転部材の円周方向に対して半分以下の領域に形成され、残りの領域が欠歯されており、
    前記第1の回転部材と前記第2の回転部材の噛み合い位置の位相は、前記第1の回転部材と前記第2の回転部材の回転時に、円周方向でずれることを特徴とする回転体構造。
  2. 前記第1のインボリュートスプライン歯または前記第2のインボリュートスプライン歯が、前記第1の回転部材または前記第2の回転部材の円周方向に対して一部分の領域に連続または非連続で形成されること特徴とする請求項1に記載の回転体構造。
  3. 前記第1のインボリュートスプライン歯または前記第2のインボリュートスプライン歯が、前記第1の回転部材または前記第2の回転部材の円周方向に対して離隔して形成され、前記形成領域は、第1の回転部材または前記第2の回転部材の中心軸に対して非対称となっていること特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転体構造。
  4. 前記支持部材が転がり軸受またはすべり軸受からなることを特徴とする請求項1に記載の回転体構造。
  5. 前記第1の回転部材が外周部に前記第1インボリュートスプライン歯が形成された変速機の出力軸から構成され、前記第2の回転部材が、内周部に前記第2のインボリュートスプライン歯が形成されるとともに外周歯を有し、前記外周歯が駆動輪側に設けられたドリブンギヤに噛合するドライブギヤから構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1の請求項に記載の回転体構造。
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