JP5800463B2 - 表面保護フィルム - Google Patents
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Description
この表面保護フィルムの構成としては、少なくとも基材層と粘着層からなっており、基材層に関しては、その素材は特に限定されないが、強度等の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が好ましく使用されている。
一方、粘着層に関しては、被貼着体の表面への貼着性と使用後の剥脱性の面から、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、スチレン系樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂(EMMA)、オレフィン系樹脂等の種々のものが検討されている。
ゴルフカートの前面に設けられる樹脂板に使用されるポリカーボネート系樹脂は、耐衝撃性は極めて強いものの、それ自体が耐候性に劣り、黄変劣化が生じることが知られている。
すなわち、ポリカーボネート系樹脂は紫外線によりポリカーボネート結合部分での転移反応が起こり、その結果、紫外線から可視光までの広い領域における吸収域を有する茶褐色の物質が生成する。一旦この生成物が樹脂表面に形成されると、それ以上の樹脂の劣化は抑制されるものの、この茶褐色の生成物のために透明性が失われ、樹脂が黄色に変色する現象がみられ、これを表面の「黄変劣化」と呼んでいる。
しかしながら、表面保護フィルムをゴルフカート等の野外で使用した場合には、経時変化により保護フィルム自体の黄変や白化が生じ、フィルムの外観を阻害してしまうという問題があった。また、一般に知られている表面保護フィルムを用いても、ポリカーボネート系樹脂板の黄変抑制効果が不十分であるという問題もあった。
本発明により提供される表面保護フィルムは、これまでの表面保護フィルムに観察される野外での使用による黄変、白化がなく、したがって透明性に優れ、且つ耐候性にも優れたものである。
さらに、表面保護フィルムとして、金属板、塗装板、自動車用保護フィルム、樹脂板、化粧鋼板、ガラス、各種液晶部材、液晶パネル等の運搬、加工などの工程において、これらの部材の表面を保護し、その表面保護機能を終えた段階では容易に剥脱できる剥離性を有しているものであり、その応用性は極めて広いものである利点を有している。
特に、本発明が提供する表面保護フィルムは、野外で使用されるゴルフカートの前面樹脂板であるポリカーボネート系樹脂板の表面保護フィルムとして優れたものであり、このポリカーボネート系樹脂の黄変劣化をも防止し得る点で特異的なものである。
本発明で使用するヒンダートアミン系光安定剤としては、分子量が700以上であり、かつ、末端アミンの窒素原子がアルキル基置換により変性されているものであることを特徴とする。
末端アミノの窒素原子をアルキル基で置換する場合のアルキル基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、オクチル基等の低級アルキル基であり、これらの基で変性されていることを特徴とする。
アデカスタブLA−52(分子量:847)
アデカスタブLA−63P(分子量:2000)
添加量が0.03重量部未満であると、耐候性が充分に発揮されず、また3.0重量部を超えて添加するとフィルムの透明性が低下する。
その場合における層厚みとしては、使用用途により適宜選択され、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂である基材層としての厚みは20〜300μm程度であり、また粘着層の厚みを2〜30μm程度の範囲とするのが好ましく、より好ましくは、表面保護フィルムの厚みとして50〜350μmであって、基材層:粘着層の層厚比が4:1〜10:1程度であるのが好ましい。
層厚比において4:1よりも粘着層の割合が多くなると、経時後における被貼着体からの剥離性が悪化し、また10:1より基材層の割合が多くなると、初期の被貼着体への貼り合わせが悪化する傾向にある。
なお、保護フィルム厚としてのフィルムの厚さが薄すぎると、フィルムの物性が低下して破れやすくなる傾向になり、厚すぎると柔軟性が低下して使用し難いものとなる傾向になる。
下記表1に記載の処方(重量部)により、Tダイで2種2層の200μm厚の表面保護フィルムを作成した。
得られた表面保護フィルムについて、ブリード性、耐候性、剥離性、透明性[ヘイズ(HAZE)値:初期、経時]、粘着力[初期、経時]、黄変度について評価を行い、それらの結果を併せて表中に示した。
*1 PE:ペトロセン180(東ソー社製)
*2 PP:WINTEC WFX4(日本ポリプロ社製)
*3 スチレン系エラストマー:タフテックH1052(旭化成ケミカルズ社製)
*4 EVAFLEX EV250(三井デュポンポリケミカル社製)
*6 HALS:アデカスタブLA−63P(分子量:2,000)/末端アミノの窒素原子はメチル基置換
*7 HALS:TINUVIN 144(分子量:685)/末端アミノの窒素原子はメチル基置換
*8 HALS:CHIMASSORB 2020 FDL(分子量:3,000)/末端アミノの窒素原子は無置換
*10 紫外線吸収剤:アデカスタブ1413(ADEKA社製)
ブリード性は、以下の方法により評価した。
ポリカーボネート樹脂板(厚み3mm×幅30mm×長さ200mm)に、本発明の保護フィルムあるいは比較例の保護フィルム(厚み200μm×幅25mm×長さ200mm)を貼付して、サンシャインウェザー(S.W.O.M.)に800時間投入した。
800時間投入後、保護フィルムをポリカーボネート樹脂板から剥がした後のポリカーボネート樹脂板を目視で観察した。
評価は以下のとおりである。
○:ポリカーボネート樹脂板を汚染していない。
×:ポリカーボネート樹脂板に付着物が確認される。
耐候性は、以下の方法により評価した。
ポリカーボネート樹脂板(厚み3mm×幅30mm×長さ200mm)に、本発明の保護フィルムあるいは比較例の保護フィルム(厚み200μm×幅25mm×長さ200mm)を貼付して、サンシャインウェザーに800時間投入した。
800時間投入後のポリカーボネート樹脂板の黄変の有無と、保護フィルムの引張伸びをサンシャインウェザーに投入前の引張伸びとの保持率で評価した。
評価は以下のとおりである。
○:ポリカーボネート樹脂板に黄変がなく、保護フィルムに明らかな劣化が確認されない。
×:ポリカーボネート樹脂板に黄変が認められ、保護フィルムに明らかな劣化が確認される。
剥離性は、以下の方法により評価した。
ポリカーボネート樹脂板(厚み3mm×幅30mm×長さ200mm)に、本発明の保護フィルムあるいは比較例の保護フィルム(厚み200μm×幅25mm×長さ200mm)を貼付して、サンシャインウェザーに800時間投入した。
800時間投入後のポリカーボネート樹脂板から保護フィルムを手で剥がす際の剥離性を評価した。
評価は以下のとおりである。
○:ポリカーボネート樹脂板から保護フィルムを剥離できる。
△:ポリカーボネート樹脂板から保護フィルムを剥離しにくい。
×:ポリカーボネート樹脂板から保護フィルムを剥離できない。
ポリカーボネート樹脂板に本発明の保護フィルムを貼り付け、サンシャインウェザーに800時間投入した。
サンシャインウェザーに800時間投入前後のHAZE値を測定し、10以上を合格、10未満を不合格とした。
粘着力についてはポリカーボネート樹脂板を用いて試験を行った。試験板は、表面の汚れ(油、ホコリ、粉等)を除去するため、乾布で十分に清掃した後使用した。保護フィルムの試験片は、フィルムの幅方向に、幅25mm、長さ100mmの試験片として調製した。
試験板への試験片の貼付は、手動式圧着ロールを用いて行った。圧着ローラーは、その表面をJIS K6301(加硫ゴム物性試験法)に規定するスプリング硬さ80±5Hs、厚さ約6mmのゴム層で被覆された、幅約45mm、直径約83mm、質量2000±50gのものを用いた。
試験片であるフィルムを貼付した樹脂板を30分放置後、試験片と水平方向(180度剥離)に、300mm/分の速度で剥離した時の剥離力を6回測定し、その平均値を粘着力とした。
フィルムを貼り付けたカーボネート樹脂板をサンシャインウェザー(S.W.O.M.)に投入し、ゼロ時間及び800時間後に、それぞれの粘着力を測定した。
ゼロ時間の初期粘着力は、0.01N/25mm以上をクリアとし、800時間後の経時粘着力は、6.5N/25mm以下をクリアとする。
なお、比較例1および比較例2の経時粘着力については、粘着力が強すぎたため測定ができなかった。
最初に黄変度の算出を行う。黄変度は、色差計を用いて測定されたX、Y、Zをもとに算出した。
黄変度の算出法は以下のとおりである。
Y1(黄変度)=100(1.28X−1.06Z)/Y
次に、黄色度の算出を下記に示す。
ΔY1=YI−YI0
ここで、YIは試験後の黄色度、YI0は試験片の初期の黄色度である。この黄色度が1以内をクリアとする。
本発明が提供する表面保護フィルムは、特に耐候性に優れているため、野外での使用に適したものであり、特にマーキングフィルム、ゴルフカートに使用される前面ポリカーボネート樹脂板の保護フィルム、ステッカーなど、野外用途の保護フィルムとして好適なものであり、その応用性は極めて広いものである。
Claims (2)
- オレフィン系樹脂からなる基材層及び粘着層を積層してなるポリカーボネート系樹脂板用の表面保護フィルムであって、上記基材層と粘着層の両層に、分子量が700以上であり末端アミノの窒素原子がアルキル基置換により変性されているヒンダートアミン系光安定剤を、樹脂100重量部に対して0.03〜3.0重量部添加してなることを特徴とする前記表面保護フィルム。
- 基材層と粘着層の層厚比が、4:1〜10:1であることを特徴とする請求項1に記載の表面保護フィルム。
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