JP5798010B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、樹脂組成物に関し、例えば、フレキシブルプリント配線板の絶縁材料として用いられる樹脂組成物に関する。
半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、プリント配線板用保護絶縁膜の材料として、耐熱性、絶縁信頼性に優れるポリイミド系の樹脂組成物が用いられるようになっている。ポリイミド系の樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板の絶縁材料として用いる場合、絶縁信頼性に加えて硬化後の反りが少ないことが求められる。硬化後の反りを低減できる低弾性のポリイミド系の樹脂組成物として、ポリエーテル構造を有するポリイミドを含む樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、耐熱性、柔軟性に優れた樹脂組成物として、エステル構造及びスルホニル基を有するポリイミド(例えば、特許文献2参照)や、エステル構造を有するポリイミドと酸化防止剤とを組み合わせた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開2011−153325号公報 特開2006−22302号公報 特開2010−77382号公報
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板の絶縁材料に用いた場合、溶剤留去工程やラミネート工程などといった高温で処理する工程において、ポリイミドのポリエーテル構造が熱酸化を受け絶縁性信頼性が低下してしまう場合がある。
また、特許文献2や特許文献3に記載の樹脂組成物においては、ポリイミドが分子内にエステル構造を有するので、エステル構造部分が加水分解を受けやすく、絶縁性信頼性が低下する場合があった。また、特許文献2に記載の樹脂組成物においては、スルホニル基を有するポリイミドを用いるので、樹脂組成物中にスルホン酸などの不純物が存在し、その不純物により絶縁信頼性が悪化する場合がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、硬化時における反りを低減でき、絶縁信頼性に優れ、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、プリント配線板用保護絶縁膜、層間絶縁膜などの材料として好適に使用できる樹脂組成物、樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及びそれらを用いた配線板を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、(1)分子内にエステル構造やスルホニル基を含有しないことで、絶縁信頼性に優れた高分子化合物を得られること、(2)ジアミン成分として、ポリエーテル構造を有するジアミンを使用することにより柔軟性に優れた高分子化合物が得られること、及び(3)更に酸化防止剤を含有させることにより、熱酸化が抑制され、絶縁信頼性に優れた高分子化合物が得られること、を見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下に示すものである。
本発明の樹脂組成物は、(A)テトラカルボン酸二無水物成分とポリエーテル構造及び少なくとも2つの末端アミン構造を有するジアミン成分とを重合させて得られた高分子化合物と、(B)酸化防止剤と、(C)水酸基及び/又はカルボキシル基と反応して架橋結合を形成する2以上の架橋性官能基を有する多官能架橋性化合物と、を含有し、前記高分子化合物は、分子内にエステル構造及びスルホニル基を有さず、水酸基及び/又はカルボキシル基を有し、前記多官能架橋性化合物として、2以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物、又は2以上のオキサゾリン基を有する多官能オキサゾリン化合物を含むことを特徴とする。
本発明の樹脂組成物においては、前記高分子化合物及び/又は前記多官能架橋性化合物が3官能以上であり、前記高分子化合物と前記多官能架橋性化合物との間で3次元架橋を形成し得ることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、(D)2以上の水酸基を有する多官能水酸基含有化合物を含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記多官能架橋性化合物及び/又は前記多官能水酸基含有化合物が3官能以上であり、前記多官能水酸基含有化合物と前記多官能架橋性化合物との間で3次元架橋を形成し得ることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記多官能水酸基含有化合物が、ポリカーボネートポリオールであることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記高分子化合物が、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を有することが好ましい。
Figure 0005798010
(式(1)中、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表す。R、R、R、R12、及びR14は、それぞれ独立して炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pは、それぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。R16は、4価の有機基を表す。)
本発明の樹脂組成物においては、前記高分子化合物の重量平均分子量が、0,000〜200,000であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記高分子化合物100質量部に対して、前記酸化防止剤0.1質量部〜10質量部を含有することが好ましい。
本発明の樹脂組成物においては、前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤であることが好ましい。
本発明の樹脂フィルムは、基材と、前記基材上に設けられた上記樹脂組成物と、を具備することを特徴とする。
本発明の樹脂フィルムにおいては、前記基材が、キャリアフィルムであることが好ましい。
本発明の樹脂フィルムにおいては、前記樹脂組成物上に設けられたカバーフィルムを具備することが好ましい。
本発明の樹脂フィルムにおいては、前記基材が、銅箔であることが好ましい。
本発明の配線板は、配線を有する基材と、前記配線を覆うように設けられた上記樹脂組成物と、を具備することを特徴とする。
本発明によれば、硬化時における反りを低減でき、絶縁信頼性に優れ、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、プリント配線板用保護絶縁膜、層間絶縁膜などの材料として好適に使用できる樹脂組成物、樹脂組成物を用いた樹脂フィルム及びそれらを用いた配線板を提供することができる。
本実施の形態に係る多層フレキシブル配線板の製造工程の概略を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と略記する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態に係る樹脂組成物は、(A)テトラカルボン酸二無水物成分とポリエーテル構造及び少なくとも2つの末端アミン構造を有するジアミン成分とを重合させて得られた高分子化合物と、(B)酸化防止剤と、を含有し、高分子化合物は、分子内にエステル構造及びスルホニル基を有しないものである。
この樹脂組成物によれば、高分子化合物が分子内にエステル構造を有しないことから、エステル構造に基づく高分子化合物の加水分解を抑制できるので、樹脂組成物の絶縁信頼性が向上する。また、高分子化合物が分子内にスルホニル基を有しないことから、樹脂組成物中へのスルホン酸などの不純物の混入を抑制できるので、絶縁信頼性が向上する。さらに、高分子化合物がジアミン成分に基づくポリエーテル構造及び少なくとも2つの末端アミン構造を有するので、高分子化合物に適度な柔軟性が付与され、樹脂組成物の硬化時における反りを低減することが可能となる。さらに、酸化防止剤を含有するので、ポリイミドのポリエーテル構造の酸化に基づく絶縁性信頼性の低下を抑制できる。したがって、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、プリント配線板用保護絶縁膜、層間絶縁膜などの材料として好適に使用できる樹脂組成物を実現できる。
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、(C)水酸基及び/又はカルボキシル基と反応して架橋結合を形成する2以上の架橋性官能基を有する多官能架橋性化合物を含有し、高分子化合物が、水酸基及び/又はカルボキシル基を有することが好ましい。この構成により、詳細については後述するように、多官能架橋性化合物の架橋性官能基と高分子化合物の水酸基及び/又はカルボキシル基との間に架橋結合が形成されるので、樹脂組成物の硬化時における高分子化合物の収縮を抑制することが可能となり、樹脂組成物の硬化時における反りを更に低減することが可能となる。
また、本実施の形態に係る樹脂組成物においては、(C)水酸基及び/又はカルボキシル基と反応して架橋結合を形成する2以上の架橋性官能基を有する多官能架橋性化合物と、(D)2以上の水酸基を有する多官能水酸基含有化合物と、を含有することが好ましい。この構成により、詳細については後述するように、多官能架橋性化合物の架橋性官能基と多官能水酸基含有化合物の水酸基との間に架橋結合が形成されるので、樹脂組成物の硬化時における高分子化合物の収縮を抑制することが可能となり、樹脂組成物の硬化時における反りを更に低減することが可能となる。
さらに、本発明に係る樹脂組成物においては、高分子化合物及び/又は多官能水酸基含有化合物が3官能以上であり、高分子化合物と多官能架橋性化合物との間で3次元架橋を形成し得ることが好ましい。この場合には、高分子化合物及び/又は多官能水酸基含有化合物が3官能以上であることから、高分子化合物及び/又は多官能水酸基含有化合物と多官能架橋性化合物との間で複数の架橋結合が形成され、3次元的なネットワーク(3次元架橋)を形成できる。これにより、樹脂組成物の硬化時における高分子化合物の収縮を更に抑制することができるので、樹脂組成物の硬化時における反りを特に低減することができる。
また、本発明に係る樹脂組成物においては、多官能架橋性化合物及び/又は多官能水酸基含有化合物が3官能以上であり、前記多官能水酸基含有化合物と前記多官能架橋性化合物との間で3次元架橋を形成し得ることが好ましい。この場合には、多官能架橋性化合物及び/又は多官能水酸基含有化合物が3官能以上であることから、多官能架橋性化合物と多官能架橋性化合物との間で複数の架橋結合が形成され、3次元的なネットワークを形成できる。これにより、樹脂組成物の硬化時における高分子化合物の収縮を更に抑制することができるので、樹脂組成物の硬化時における反りを特に低減することができる。
さらに、本発明に係る樹脂組成物においては、多官能架橋性化合物として、2以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物を含むことが好ましい。この構成により、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と多官能水酸基含有化合物の水酸基との間でウレタン結合が形成され、3次元的なネットワークが形成されるので、樹脂組成物の硬化時における高分子化合物の収縮を抑制でき、樹脂組成物の硬化時における反りを更に低減することが可能となる。特に、高分子化合物が水素結合性官能基(例えば、水酸基、アミド基、イミド基、カルボキシル基など)を有する場合においては、上記ウレタン結合と上記水素結合性官能基との間で水素結合による相互作用が生じる。これにより、樹脂組成物の低反発性を向上できると共に、高分子化合物の塑性と樹脂組成物の弾性との複合化により、樹脂組成物に適度な流動性が付与される。この結果、樹脂組成物をフレキシブルプリント配線板の層間絶縁膜などとして用いる場合に必要とされる、相反する2つの物性(流動性及び粘性)を両立できる。
また、本発明に係る樹脂組成物においては、多官能架橋性化合物として、2以上のオキサゾリンを有する多官能オキサゾリン化合物を含むことが好ましい。この構成により、多官能オキサゾリン化合物のオキサゾリン基が、高分子化合物の水酸基やカルボキシル基及び多官能水酸基化合物の水酸基との間で反応して、アミド結合及び/又はアミドエステル構造を含む架橋結合が形成され、3次元的なネットワークを形成できる。特に、高分子化合物が水素結合性官能基を有する場合においては、上記架橋結合と上記水素結合性官能基との間で水素結合による相互作用や化学結合が形成される。これにより、樹脂組成物の硬化時における反りを更に低減できる。以下、本実施の形態に係る樹脂組成物の各構成要件について詳細に説明する。
(A)高分子化合物
まず、本実施の形態に係る樹脂組成物における高分子化合物について説明する。高分子化合物としては、分子内にエステル構造及びスルホニル基を有さず、テトラカルボン酸二無水物成分と、少なくとも1つのポリエーテル構造及び少なくとも2つの末端アミン構造を有するジアミン成分と、を重合させて得られるものであれば、本発明の効果を奏する範囲で各種高分子化合物を用いることが可能である。
高分子化合物として、分子内にエステル構造を有しないものを用いることにより、高分子化合物の加水分解を抑制することが可能となり、樹脂組成物に用いた際の絶縁信頼性の低下を抑制できる。また、高分子化合物として、スルホニル基を有しないものを用いることにより、樹脂組成物に用いた際の絶縁信頼性の低下を抑制できる。これは、一般的に、スルホニル基を有する高分子化合物の原料の製造においては、原料のスルホニル化に伴いスルホン酸基を有する副生物や、スルホン酸自体などのスルホン酸成分が生成する場合がある。このスルホン酸成分が樹脂組成物に混入すると絶縁信頼性を悪化させる要因となると考えられる。分子内にスルホニル基を有しない高分子化合物を用いる場合には、このようなスルホン酸成分の混入を抑制できるため、樹脂組成物の絶縁信頼性の悪化を抑制できると考えられる。
高分子化合物としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、ポリアミド酸がイミド化されたポリイミドなどが挙げられる。なお、本実施の形態において、ポリイミドとは、ポリアミド酸の一部が全てのポリアミド酸がイミド化されたポリイミド前駆体及びポリアミド酸の全てがイミド化されたポリイミドの双方を含むものとする。
ポリイミドは、例えば、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを重合させることにより得られる。高分子化合物としてポリイミドを用いる場合には、例えば、ポリイミド構造を主に繰り返し構成単位として有するポリイミドを用いてもよく、ポリイミド構造とポリアミド酸構造とを繰り返し構成単位として有するポリイミドを用いてもよい。
また、高分子化合物としては、樹脂組成物の硬化時の反りを低減する観点から、下記一般式(1)で表されるポリイミド構造を繰り返し構成単位として有するものを用いることが好ましい。高分子化合物の分子内にポリエーテル構造を持つことで、硬化時のそりを低減することができる。
Figure 0005798010
(式(1)中、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表す。R、R、R、R12、及びR14は、それぞれ独立して炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pは、それぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。R16は、4価の有機基を表す。)
テトラカルボン酸二無水物成分としては、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(以下、「BPDA」と略称する)、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(以下、「BTDA」と略称する)、オキシジフタル酸二無水物(以下、「ODPA」と略称する)、無水ピロメリット酸、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、4,4’−(2,2−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物、メタ−ターフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−カルボキシメチル−2,3,5−シクロペンタトリカルボン酸−2,6:3,5−二無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、5,5’−[1−メチル−1,1−エタンジイルビス(1,4−フェニレン)ビスオキシ]ビス(イソベンゾフラン−1,3−ジオン)(以下、「BISDA」と略称する)などのテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物成分としては、上述したテトラカルボン酸二無水物を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。なお、絶縁信頼性の観点から、BPDA、ODPA、BTDA,BISDAを用いることが好ましい。
ジアミン成分としては、ポリエーテル構造及び少なくとも2つの末端アミン構造を有する化合物であれば特に制限はなく、本発明の効果を奏する範囲で各種ジアミンを用いることができる。なお、ポリエーテル構造は、分子鎖中に少なくとも一つ存在すればよい。また、ポリエーテル構造としては、ポリアルキレンエーテルなどの脂肪族ポリエーテル構造でもよく、ポリフェニレンエーテルなどの芳香族ポリエーテル構造でもよい。
ジアミン成分としては、下記一般式(2)で表されるジアミンを含むことが好ましい。
Figure 0005798010
(式(2)中、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表す。R、R、R、R12、及びR14は、それぞれ独立して炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pは、それぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。)
上記一般式(2)で表されるジアミンとしては、1,8−ジアミノ−3,6−ジオキシオクタンなどのポリオキシエチレンジアミン化合物、ハンツマン社製ジェファーミンEDR−148、EDR−176などのポリオキシアルキレンジアミン化合物、ジェファーミンD−230、D−400、D−2000、D−4000、BASF社製のポリエーテルアミンD−230、D−400、D−2000などのポリオキシプロピレンジアミン化合物、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、XTJ−542などの異なるオキシアルキレン基を有する化合物などが挙げられる。これらのオキシアルキレン基を有する化合物を用いることにより反りを低減させることができる。
また、ジアミン成分としては、分子内にエステル構造及びスルホン酸基を有していないものであれば、上記一般式(2)で表されるジアミンと他のジアミンとを併用して用いてもよい。他のジアミンとしては、例えば、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)アルカン、1,4−ジアミノベンゼン(以下、「PPD」と略称する)、1,3−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、4,4’−ジアミノベンズアニリド、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,2−ビス[2−(4−アミノフェノキシ)エトキシ]エタン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、5−アミノ−1−(4−アミノメチル)−1,3,3−トリメチルインダン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(以下、「APB」と略称する)、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4、4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン(以下、「BAPP」と略称する)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3’−ジカルボキシ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシベンゼン)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、(以下「6FAP」と略称する)などが挙げられる。
また、高分子化合物としては、重量平均分子量Mwが、30,000〜200,000であるものが好ましく、30,000〜100,000であるものがより好ましい。ここで、重量平均分子量とは、後述する実施例記載の方法によって測定される重量平均分子量をいう。半田耐性に優れ、樹脂の流れ性をより抑制する観点から、Mwが30,000以上であることが好ましい。良好な埋め込み性の観点から、Mwが200,000以下であることが好ましい。
次に、高分子化合物の製造方法の一例として、ポリイミドの製造方法について述べる。本実施の形態に係るポリイミドの製造方法においては、公知方法を含め、ポリイミドを製造可能な全ての方法を適用できる。中でも、有機溶媒中で反応を行う方法を用いることが好ましい。このような反応において用いられる溶媒として、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、フェノール、クレゾール、安息香酸エチル、安息香酸ブチルなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種以上混合して用いられる。なお、この反応における反応原料の濃度は、通常、2質量%〜80質量%、好ましくは30質量%〜70質量%である。
反応させるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとのモル比は、0.8〜1.2の範囲内である。この範囲内の場合、分子量を上げることができ、伸度などにも優れる。好ましくは0.9〜1.1、より好ましくは0.95〜1.05である。
ポリイミドは、以下のような方法で得られる。まず反応原料を室温で重縮合反応することにより、ポリアミド酸構造からなるポリイミドが製造される。次に、このポリイミドを好ましくは100℃〜400℃に加熱してイミド化するか、又は無水酢酸などのイミド化剤を用いて化学イミド化することにより、ポリアミド酸に対応する繰り返し単位構造を有するポリイミド構造を含むポリイミドが得られる。加熱してイミド化する場合、副生する水を除去するために、共沸剤(好ましくは、トルエンやキシレン)を共存させて、ディーンシュターク型脱水装置を用いて、還流下、脱水を行うことも好ましい。
また、80℃〜220℃で反応を行うことにより、ポリアミド酸構造を含むポリイミドの生成と熱イミド化反応を共に進行させて、ポリイミド構造とポリアミド酸構造とを共に含むポリイミドを得ることも好ましい。すなわち、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物成分とを有機溶媒中に懸濁又は溶解させ、80℃〜220℃の加熱下において反応させて、ポリイミドの生成と脱水イミド化とを共に行わせることにより、ポリイミドを得ることも好ましい。
また、ポリイミドのポリマー主鎖の末端は、モノアミン誘導体又はカルボン酸誘導体からなる末端封止剤で末端封止することも可能である。ポリイミドのポリマー主鎖の末端が封止されることで、末端官能基に由来する貯蔵安定性に優れる。
モノアミン誘導体からなる末端封止剤としては、例えば、アニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、2,3−キシリジン、2,6−キシリジン、3,4−キシリジン、3,5−キシリジン、o−クロロアニリン、m−クロロアニリン、p−クロロアニリン、o−ブロモアニリン、m−ブロモアニリン、p−ブロモアニリン、o−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、m−ニトロアニリン、o−アミノフェノール、p−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−アニシジン、m−アニシジン、p−アニシジン、o−フェネチジン、m−フェネチジン、p−フェネチジン、o−アミノベンズアルデヒド、p−アミノベンズアルデヒド、m−アミノベンズアルデヒド、o−アミノベンズニトリル、p−アミノベンズニトリル、m−アミノベンズニトリル、2−アミノビフェニル、3−アミノビフェニル、4−アミノビフェニル、2−アミノフェニルフェニルエーテル、3−アミノフェニルフェニルエーテル、4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−アミノベンゾフェノン、3−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、2−アミノフェニルフェニルスルフィド、3−アミノフェニルフェニルスルフィド、4−アミノフェニルフェニルスルフィド、2−アミノフェニルフェニルスルホン、3−アミノフェニルフェニルスルホン、4−アミノフェニルフェニルスルホン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1−アミノ−2−ナフトール、5−アミノ−1−ナフトール、2−アミノ−1−ナフトール、4−アミノ−1−ナフトール、5−アミノ−2−ナフトール、7−アミノ−2−ナフトール、8−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、1−アミノアントラセン、2−アミノアントラセン、9−アミノアントラセンなどの芳香族モノアミンを挙げることができる。中でも、アニリンの誘導体が好ましく使用される。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。
カルボン酸誘導体からなる末端封止剤としては、主に無水カルボン酸誘導体が挙げられる。無水カルボン酸誘導体としては、例えば、無水フタル酸、2,3−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、3,4−ベンゾフェノンジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルエーテル無水物、2,3−ビフェニルジカルボン酸無水物、3,4−ビフェニルジカルボン酸無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルホン無水物、2,3−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、3,4−ジカルボキシフェニルフェニルスルフィド無水物、1,2−ナフタレンジカルボン酸無水物、2,3−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,2−アントラセンジカルボン酸無水物、2,3−アントラセンジカルボン酸無水物、1,9−アントラセンジカルボン酸無水物などの芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸無水物の中で、好ましくは無水フタル酸が使用される。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いることもできる。
上述した方法で得られるポリイミドは、脱溶剤することなく、そのまま、又はさらに必要な溶剤、添加剤などを配合して本実施の形態に係る樹脂組成物に用いることができる。
(B)酸化防止剤
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、高分子化合物に対して、酸化防止剤を配合することにより、熱酸化を抑制することができ、絶縁性信頼性に優れ、反りを低減された樹脂組成物を得ることができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール構造を有する酸化防止剤、ヒドロキシルアミン有する酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。これらの中でも、フェノール構造を有する酸化防止剤が好ましく、フェノール構造を有する酸化防止剤の中でも、ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤がより好ましい。多官能架橋化合物の架橋性官能基などが存在しても、高分子化合物の分解を防ぐことができず、その結果、絶縁信頼性やはんだ耐性が低下する場合があるが、酸化防止剤が存在することで、高分子化合物の分解を抑制することができ、はんだ耐性や絶縁信頼性に優れた樹脂組成物を実現することができる。
フェノール構造を有する酸化防止剤としては、分子内にフェノール構造を有するものであれば特に限定されないが、例えば、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、4−t−ブチルカテコールなどが挙げられる。
ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤としては、水酸基のオルト位に電子供与性基及び/又は炭素数4以上の置換基を持つ化合物であれば特に限定はされないが、例えば、1,3,5−トリス[[4−(1,1−ジメチルエチル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)4,4’−イソプロピリデンビスフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(以下、「IRGANOX1010」と略称する)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,4−ジベンゾイルレゾルシノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシベンゾフェノン、α−トコフェロール、ビス[2−(2−ヒドロキシ−5−メチル−3−t−ブチルベンジル)−4−メチル−6−t−ブチルフェニル]テレフタレート、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、「IRGANOX245」と略称する)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](以下、「IRGANOX259」と略称する)などが挙げられる。
ヒドロキシルアミン系酸化防止剤としては、例えば、ジオクタデシルヒドロキシルアミンなどのジアルキルアミン、N,O−ジアルキルヒドロキシルアミン、1−ナフトヒドロキサム酸、4,5−ジブロモ−N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、4−(ヒドロキシアミノ)キノリンN−オキシド、アセトヒドロキサム酸、ベンゼンスルホヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸、ヒドロキシ尿素、L−カナバニン硫酸塩水和物、N,N’−ジメトキシ−N,N’−ジメチルオキサミド、N,N,O−トリアセチルヒドロキシルアミン、N,N,O−トリス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリフルオロアセチル)ヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、N−(ジエチルカルバモイル)−N−メトキシホルムアミド、N−(tert−ブチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、N−ベンゾイル−N−フェニルヒドロキシルアミン、N−カルボベンゾキシヒドロキシルアミン、N−シンナモイル−N−(2,3−キシリル)ヒドロキシルアミン、N−ヒドロキシウレタン、N−メトキシ−N,O−ビス(トリメチルシリル)カルバマート、N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、N−メトキシジアセトアミド、N−メチル−2−ジメチルアミノアセトヒドロキサム酸、N−メチル−N,O−ビス(トリメチルシリル)ビドロキシルアミン、N−メチルフロヒドロキサム酸、N−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩、オクタノヒドロキサム酸、サリチルヒドロキサム酸、ベンゾヒドロキサム酸ナトリウム水和物、オクタノヒドロキサム酸ナトリウム水和物、N−(ベンジルオキシ)カルバミン酸tert−ブチル、N−ヒドロキシカルバミン酸tert−ブチル、[ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィニルオキシ]カルバミン酸tert−ブチル、4,5−ジブロモ−N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、カルボキシメトキシルアミンヘミ塩酸塩、ヒドロキシルアミン−O−スルホン酸、L−カナバニン硫酸塩水和物、N,N’−ジメトキシ−N,N’−ジメチルオキサミド、N,N,O−トリアセチルヒドロキシルアミン、N,N,O−トリス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリフルオロアセチル)ヒドロキシルアミン、N,O−ビス(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩、N−(ジエチルカルバモイル)−N−メトキシホルムアミド、N−メトキシ−N,O−ビス(トリメチルシリル)カルバマート、N−メトキシ−N−メチル−2−フランカルボキサミド、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、N−メトキシジアセトアミド、N−メチル−N,O−ビス(トリメチルシリル)ビドロキシルアミン、O−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、O−(2−トリメチルシリルエチル)ヒドロキシルアミン塩酸塩、O−(トリメチルシリル)ヒドロキシルアミン、O−4−ニトロベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−アリルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−イソブチルヒドロキシルアミン塩酸塩、O−メチルヒドロキシルアミン塩酸塩、N−(ベンジルオキシ)カルバミン酸tert−ブチル、[ビス(4−メトキシフェニル)ホスフィニルオキシ]カルバミン酸tert−ブチルなどが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウジリルチオジチオネート、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、テトラキス−メチレン−3−ラウリルチオプロピオネートメタン、ジステアリル−3,3’−メチル−3,3’−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィド、β−ラウリルチオプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−5−メチルベンゾイミダゾールなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(イソデシル)フォスファイト、トリス(トリデシル)フォスファイト、フェニルジイソオクチルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、フェニルジ(トリデシル)フォスファイト、ジフェニルイソオクチルフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、ジフェニルトリデシルフォスファイト、フォスフォン酸[1,1−ジフェニル−4,4’−ジイルビステトラキス−2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニル]エステル、トリフェニルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ビフェニル)フォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、ジ(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト(以下、「PEP−36」と略称する)、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジフォスファイト、ヘキサ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタントリフォスファイト、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフェートジエチルエステル、ソディウム−ビス(4−t−ブチルフェニル)フォスフェート、ソディウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、1,3−ビス(ジフェノキシフォスフォニルオキシ)ベンゼンなどのリン系二次酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の添加量としては、高分子化合物100質量部に対して0.1質量部〜10質量部であることが好ましく、0.1質量部〜5質量部であることが更に好ましい。酸化防止剤の添加量が0.1質量部以上であれば、熱酸化の抑制に優れ、10質量部以下であれば半田耐性に優れる。
また、酸化防止剤としては、1種又は2種以上を混合して用いてもよい。特に、フェノール構造を有する酸化防止剤とリン系酸化防止剤とを併用して用いることで、高分子化合物に含まれるポリエーテル構造の酸化をより防ぐことができる。
(C)多官能架橋性化合物
多官能架橋性化合物とは、2以上の架橋性官能基を有する化合物である。ここで、架橋性官能基とは、高分子化合物の水酸基又はカルボキシル基、及び多官能水酸基含有化合物の水酸基との間で架橋結合を形成し得る官能基をいう。架橋性官能基としては、例えば、イソシアネート基、オキサゾリン基などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。多官能架橋性化合物としては、2つの架橋性官能基を有する2官能架橋性化合物を用いてもよく、3以上の架橋性官能基を有する架橋性化合物を用いてもよい。多官能架橋性化合物としては、例えば、2以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物又は2以上のオキサゾリン基を有する多官能オキサゾリン化合物などが挙げられる。
多官能架橋性化合物としては、2以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物を用いることが好ましい。多官能イソシアネートを用いた場合、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と多官能水酸基含有化合物の水酸基及び/又は高分子化合物の水酸基との間でウレタン結合を介して3次元的なネットワークが形成されると共に、高分子化合物が水素結合性官能基(アミド基、イミド基、水酸基及びカルボキシル基など)とウレタン構造に含まれるC=O基及びNH基との間で水素結合による相互作用が生じる。これにより、樹脂組成物の低反発性を向上させることができると共に、高分子化合物の塑性と樹脂組成物の弾性との複合化により、樹脂組成物に適度な流動性が発現する。この結果、例えば、樹脂組成物を多層フレキシブルプリント配線板の層間絶縁膜として用いる場合に必要とされる、相反する2つの物性(流動性及び粘性)を両立することができるので、層間絶縁膜として優れた性能を確保することができる。多官能イソシアネート化合物としては、2以上のイソシアネート基を有する各種のイソシアネート化合物を用いることができる。
また、本実施の形態に係る樹脂組成物を多層フレキシブル配線板などの層間絶縁膜として用いる場合においては、配線板の配線部やスルーホール部への樹脂組成物の流れ込みが求められる一方で、樹脂組成物が配線板の端部から流れ出さずにある程度保持されることが求められる。これは、高圧力下のプレス工程で、スルーホールへの流れ込みを十分に行おうと試みると、一般的に、配線板の端部から樹脂組成物が流れ出し、配線板の端部の絶縁層の厚みが薄くなり絶縁性が低下するおそれがあるためである。ここで、例えば、上述した樹脂組成物のうち、多官能架橋性化合物として、多官能イソシアネート化合物を用いた場合には、多官能イソシアネート化合物のイソシアネート基と多官能水酸基含有化合物の水酸基及び/又は高分子化合物の水酸基との間で形成されるウレタン結合により、多官能水酸基化合物及び/又は高分子化合物と多官能イソシアネート化合物とが結合されると共に、ウレタン構造と高分子化合物との間の水素結合による相互作用が生じる。これにより、高分子化合物の塑性と樹脂組成物の弾性との複合化により、相反する配線部への樹脂組成物の流れ込みに必要な流動性と、配線部の端部の絶縁膜の厚みを確保するために樹脂組成物の流出防止に必要な適度な粘度とを両立できる。この結果、配線板の端部からの樹脂組成物の流出が防止され樹脂組成物が配線板の端部から流出されずにある程度保持されるので、特に良好な埋め込み性を達成することができる。
また、多官能架橋性化合物としては、ブロックイソシアネート化合物を用いてもよい。ここで、ブロックイソシアネート化合物とは、2以上のイソシアネート基を含有する多官能イソシアネ−トにブロック剤を反応させることにより得られるブロックイソシアネート基を含有する化合物である。ブロックイソシアネート化合物としては、多官能水酸基含有化合物の水酸基との反応による高分子化、架橋形成による耐熱性向上及び耐薬品性の観点から、2以上のブロックイソシアネート基を含有するものが好ましい。また、多官能水酸基含有化合物及び/又は高分子化合物の水酸基とイソシアネート化合物との間に複数の架橋結合を形成する観点から、多官能架橋性化合物としては、3以上のイソシアネートを含有する多官能イソシアネート化合物又はブロックイソシアネートを用いることが好ましい。
本実施の形態に係る樹脂組成物に用いられる分子内に2以上のイソシアネ−ト基を有するイソシアネ−ト化合物としては、例えば、1,6−ヘキサンジイソシアネ−ト、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4−トリレンジイソシアネ−ト、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、4,4’−水酸化ジイソシアネ−ト、イソホロンジイソシアネ−ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、4,4−ジフェニルジイソシアネ−ト、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、フェニレン1,4−ジイソシアネ−ト、フェニレン2,6−ジイソシアネ−ト、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネ−ト、又はヘキサメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、ブロックイソシアネート化合物としては、上記イソシアネ−ト化合物にブロック剤を反応させることにより得られる化合物を用いることができる。ブロック剤としては、アルコ−ル類、フェノ−ル類、ε−カプロラクタム、オキシム類、活性メチレン類、メルカプタン類、アミン類、イミド類、酸アミド類、イミダゾ−ル類、尿素類、カルバミン酸塩類、イミン類、又は亜硫酸塩類などが挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物としては、例えば、旭化成ケミカルズ社製の商品名デュラネートSBN−70D、TPA−B80E、TPA−B80X、17B−60PX、MF−B60X、E402−B80T、ME20−B80S、MF−K60X、K6000などのヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」とも言う。)系ブロックイソシアネートが挙げられる。また、三井化学ポリウレタン社製品としては、商品名タケネートB−882Nや、トリレンジイソシアネート系ブロックイソシアネートである商品名タケネートB−830や、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト系ブロックイソシアネートである商品名タケネートB−815N、1,3―ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン系ブロックイソシアネートであるタケネートB−846Nが挙げられる。また、日本ポリウレタン工業社製の商品名コロネートAP−M2503、2515、2507、2513、又はミリオネートMS−50などや、イソホロンジイソシアネート系ブロックイソシアネートであるBaxenden社製の品番7950、7951、7990などが挙げられる。これらのブロックイソシアネート化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能架橋性化合物としては、分子内に2以上のオキサゾリン基(オキサゾリン環)を有する多官能オキサゾリン化合物を用いることも好ましい。この場合、多官能オキサゾリン化合物のオキサゾリン基が、多官能水酸基含有化合物の水酸基との間で反応してアミド結合が形成される。また、高分子化合物が水酸基やカルボキシル基を有する場合には、多官能オキサゾリン化合物のオキサゾリン基が、水酸基やカルボキシル基との間で反応してアミド結合及び/又はアミドエステルを含む架橋構造(3次元架橋)が形成される。これにより、高分子化合物、多官能水酸基含有化合物及び多官能架橋性化合物間にアミド結合及び/又はアミドエステルを含む3次元架橋による3次元的なネットワークが形成されるので、架橋構造と高分子化合物との間の水素結合などの相互作用及び化学結合により、多官能水酸基含有化合物の柔軟性を高分子化合物に有効に反映でき、十分な反りの低減及び優れた耐熱性を実現できる。
多官能オキサゾリン化合物としては、2以上のオキサゾリン基を有する各種の多官能オキサゾリン化合物を用いることができる。また、多官能オキサゾリン化合物としては、高分子化合物及び/又は多官能水酸基含有化合物との間で架橋を形成した際に、当該架橋にC=O基及び/又はNH基が少なくとも2つ有するものが好ましい。
多官能オキサゾリン化合物の具体例としては、1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン、日本触媒社製のK−2010E、K−2020E、K−2030E、2,6−ビス(4−イソプロピル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,6−ビス(4−フェニル−2−オキサゾリン−2−イル)ピリジン、2,2’−イソプロピリデンビス(4−フェニル−2−オキサゾリン)、2,2’−イソプロピリデンビス(4−ターシャルブチル−2−オキサゾリン)などが挙げられる。これらの多官能オキサゾリン化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、高分子化合物100質量部に対して、多官能架橋性化合物の含有量が5質量部〜60質量部であることが好ましい。多官能架橋性化合物の含有量が5質量部以上であれば、多官能水酸基含有化合物との間で十分な架橋が形成できるので、硬化時の反りを低減できる。また、多官能架橋性化合物の含有量が60質量部以下であれば、高分子化合物が加熱加圧時に良流動性となるので、スルーホール埋め込み性が向上できる。さらに、多官能架橋性化合物の含有量としては、高分子化合物100質量部に対して、5質量部〜30質量部であることが好ましい。
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、多官能水酸基含有化合物に含まれる水酸基と、多官能架橋性化合物に含まれる架橋性官能基とのモル比が、水酸基/架橋性官能基=0.5〜1であることが好ましい。これにより、多官能水酸基含有化合物に含まれる水酸基が、多官能架橋性化合物の架橋性官能基に対して過剰となるので、多官能水酸基含有化合物と多官能架橋性化合物との間の架橋結合が適度に形成される。このため、樹脂組成物の硬化に伴うポリイミドの収縮を抑制でき、硬化時における十分な反りの低減及び優れた耐熱性を実現できる。
(D)多官能水酸基含有化合物
多官能水酸基含有化合物としては、分子内に2以上の水酸基を有する各種の水酸基含有化合物を用いることができる。例えば、2つの水酸基を含有する2官能性水酸基含有化合物としての各種ジオールを用いてもよく、3以上水酸基を含有する各種ポリオールを用いてもよい。これらの中でも、多官能水酸基含有化合物と多官能架橋性化合物(例えば、多官能イソシアネートや、多官能オキサゾリン化合物)との間で複数の架橋結合を形成する観点から、多官能水酸基含有化合物としては、3以上の水酸基を含有する多官能水酸基含有化合物を用いることが好ましい。
多官能水酸基含有化合物としては、絶縁性を高める観点から、両末端フェノール変性シリコーン、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、及びポリカーボネートポリオールから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、多官能水酸基含有化合物としては、脂肪族構造を有するものが好ましい。これにより、耐水性が向上すると共に低弾性となるので、反りと絶縁信頼性を向上することができる。以上のような観点から、多官能水酸基含有化合物としては、上記で挙げた具体例のうち、水添ポリブタジエンポリオール、ポリカーボネートポリオールが好ましく、特に樹脂組成物の硬化時における反りを低減できる観点から、ポリカーボネートポリオールを用いることが好ましい。
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、高分子化合物100質量部に対して、多官能水酸基化合物の含有量が5質量部〜60質量部であることが好ましい。多官能水酸基含有化合物が5質量部以上であることにより、多官能架橋性化合物との間で十分な架橋を形成できるので、硬化時の反りの低減が可能となる。また、多官能水酸基化合物が60質量部以下であることにより、樹脂組成物中の過剰な水酸基が減少するので、樹脂組成物の硬化後の絶縁信頼性が向上する。さらに、高分子化合物100質量部に対して、多官能水酸基含有化合物の含有量が5質量部〜30質量部であることが好ましい。
多官能水酸基含有化合物としては、数平均分子量が500〜3000であるものを用いることが好ましい。ここで、数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したスチレン換算分子量の数平均分子量をいう。多官能水酸基含有化合物の数平均分子量が500以上であれば、樹脂組成物が低弾性となるので、反りを低減できる。また、多官能水酸基含有化合物の数平均分子量が3000以下であれば、樹脂組成物の粘度を低減できるので、配線板の配線部やスルーホール部への埋め込み性が良好となる。さらに、多官能水酸基含有化合物の数平均分子量としては、樹脂組成物の低弾性及び粘度の低減の観点から、500〜2000であることが好ましい。
(E)難燃剤
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、難燃剤を含有することが好ましい。これにより、樹脂組成物の難燃性が向上する。難燃剤の種類としては、特に限定されないが含ハロゲン化合物、含窒素化合物、リン化合物及び無機難燃剤などが挙げられる。また、リン化合物としては、分子内にリン原子を含む化合物であれば特に限定されない。リン化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物などが挙げられる。これらの難燃剤を一種用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。難燃剤の添加量は特に限定されることなく、用いる難燃剤の種類に応じて適宜変更できる。
また、本実施の形態に係る樹脂組成物においては、リン化合物として、リン酸エステル化合物及び/又はホスファゼン化合物を含むことが好ましい。これにより、特に樹脂組成物の難燃性が向上する。
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、所定温度で加熱又は乾燥することにより硬化物(硬化膜)を得ることができる。この硬化物は、例えば、本実施の形態に係る樹脂組成物を基材上に塗布して乾燥することにより、樹脂フィルムとして用いることができる。樹脂フィルムは、例えば、フレキシブルプリント基板の層間絶縁膜・配線保護膜として好適に用いることができる。
本実施の形態に係る樹脂フィルムは、基材と、この基材上に設けられた樹脂組成物とを具備する。この場合においては、基材として、銅箔やキャリアフィルムなどを用いることができる。また、本実施の形態に係る樹脂フィルムにおいては、キャリアフィルムと、このキャリアフィルム上に設けられた樹脂組成物と、この樹脂組成物上に設けられたカバーフィルムを具備することが好ましい。これにより、樹脂フィルムの表面を保護することができる。
本実施の形態に係る樹脂フィルムにおいては、基材として銅箔を用い、この銅箔上に上記樹脂組成物を設けることができる。このように、銅箔上に樹脂組成物を設けて乾燥することにより、多層フレキシブル配線板などの層間絶縁膜として好適に用いることができる。
本実施の形態に係る配線板は、配線を有する基材と、この配線を覆うように設けられた上記樹脂組成物と、を具備する。このように、配線を覆うように樹脂組成物を設けることにより、フレキシブルプリント配線板などの各種配線板の配線パターンの保護膜として好適に用いることができる。
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、高分子化合物と良好に相溶する低分子量の多官能水酸基含有化合物及び多官能架橋性化合物を含む場合には、樹脂組成物の粘度が低減されて流動性が向上する。これにより、フレキシブルプリント配線板の製造工程において、配線板の絶縁基板に設けたスルーホールや、配線パターンへの埋込性が向上するので、多層フレキシブル配線板用層間絶縁膜、配線保護膜として好適に用いることができる。
ここで、図1を参照して本実施の形態に係る配線板の製造工程の概略について説明する。図1Aに示すように、多層フレキシブル配線板の製造には、両面フレキシブル基板10を用いる。この両面フレキシブル基板10は、絶縁基板11と、この絶縁基板11の両主面上に設けられた銅箔12a,12bと、を備える。まず、銅箔12,12bにドライフィルムをラミネートした後、ドライフィルムの露光・現像、及び銅箔12a,12bのエッチングにより、銅箔12a,12bの一部を除去した後、絶縁基板11にスルーホール13を形成する。次に、スルーホール13の表面に銅めっき14を形成して両面の銅箔12a,12bを電気的に接続する(図1B参照)。
次に、図1Cに示すように、フレキシブル部16となる領域の銅箔12bをエッチングによって除去する。次に、本実施の形態に係る樹脂組成物をスルーホール13内に充填して絶縁処理する。ここで、上述したように、本実施の形態に係る樹脂組成物において、多官能架橋性化合物として多官能イソシアネート化合物及び/又は多官能オキサゾリン化合物を用い、高分子化合物として水酸基及び/又はカルボキシル基を有する高分子化合物を用いた場合には、樹脂組成物に適度な流動性及び粘性が発現される。これにより、微小なスルーホール13を設けた場合であっても、スルーホール13内に樹脂組成物を充填することが可能となる。
次に、図1Dに示すように、銅箔15aと、この銅箔15a上に本実施の形態に係る樹脂組成物を塗布した得られた保護層15bと、を備えた積層体15を銅箔12a,12b上にそれぞれ積層する。ここで、本実施の形態に係る樹脂組成物おいて、高分子化合物としてポリイミドを用いた場合には、塗布後のイミド化が不要となる。これにより、積層後の後硬化処理を必要とせず、クイックプレスによる積層が可能となる。
次に、図1Eに示すように、エッチングなどによって銅箔15a及び保護層15bを除去した後、銅めっき14を施して外部導電層としての銅箔15aと内部導電層としての銅箔12a,12bとを電気的に接続する。次に、サブトラクティブ法などによって、銅箔15aをパターニングして配線パターンを形成する。最後に、図1Fに示すように、配線パターン加工された銅箔15a上に本実施の形態に係る樹脂組成物を塗布して保護膜17を形成する。ここで、上述したように、本実施の形態に係る樹脂組成物において、多官能架橋性化合物として多官能イソシアネート化合物及び/又は多官能オキサゾリン化合物を用い、高分子化合物として水酸基及び/又はカルボキシル基を有する高分子化合物を用いた場合には、樹脂組成物に適度な流動性及び粘性が発現される。これにより、微細な配線パターンを形成した場合においても、配線パターン間に樹脂組成物が充填され、絶縁保護することができる。
(F)その他化合物
本実施の形態に係る樹脂組成物においては、その性能に悪影響を及ぼさない範囲で、その他化合物を含むことができる。その他化合物としては、例えば、焼成後のフィルムの靭性や耐溶剤性、耐熱性(熱安定性)を向上させるために用いられる熱硬化性樹脂、及びポリイミドと反応性を有する化合物などが挙げられる。また、密着性向上のために用いられる複素環化合物、及びフィルムの着色のために用いられる顔料や染料などが挙げられる。
複素環化合物とはヘテロ原子を含む環式化合物であれば限定されない。ヘテロ原子としては、酸素、硫黄、窒素、リンが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾールのようなイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールのようなN−アルキル基置換イミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾールなどの芳香族基含有イミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどのシアノ基含有イミダゾール、イミダゾールシランなどのケイ素含有イミダゾールなどのイミダゾール化合物、5−メチルベンゾトリアゾール、1−(1’、2’−ジカルボキシエチルベンゾトリアゾール)、1−(2−エチルヘキシアミノメチルベンゾトリアゾール)などのトリアゾール化合物、2−メチル−5−フェニルベンゾオキサゾールなどオキサゾール化合物などが挙げられる。
以下、本発明の効果を明確にするために行った実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<試薬>
実施例及び比較例において、用いた試薬を以下に示す。
(A)高分子化合物
テトラカルボン酸二無水物成分:BPDA(三井化学社製)、エチレングリコールビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)(以下、単に「TMEG」と表記する)、新日本理化社製)、APB(商品名:APB−N、三井化学社製)、BAPP(和歌山精化工業社製)、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(新日本理化社製、以下、単に「DSDA」と表記する。)
ジアミン成分:ジェファーミン(商品名:ジェファーミンXTJ−542(以下、単に「XJT−542」と表記する)、ハンツマン社製、上記一般式(2)中、R、R、R、R、R11、R13=H、R、R、R10、R15=CH、R、R、R12、R14=C、R=C、m+n+p=15)、ポリエーテルアミン(商品名:ポリエーテルアミンD−400(以下、単に「D−400」と表記する)、BASF社製、上記一般式(2)中、R、R、R、R10、R13=H、R、R、R、R11、R15=CH、R、R、R、R12、R14=C、m+n+p=6.1)
(B)酸化防止剤
フェノール構造を有する酸化防止剤:IRGANOX245(BASF社製)、IRGANOX1010(BASF社製)
リン系酸化防止剤:アデカスタブPEP−36(ADEKA社製)
(C)多官能架橋性化合物
多官能イソシアネート化合物:ブロックイソシアネート(商品名:デュラネートSBN−70D(以下、単に「SBN−70D」と表記する)、旭化成ケミカルズ社製)、イソシアネート(商品名:デュラネートTPA−100(以下、単に「TPA−100」と表記する)、旭化成ケミカルズ社製)
多官能オキサゾリン化合物:1,3−ビス(4,5−ジヒドロ−2−オキサゾリル)ベンゼン(商品名:1,3−PBO(以下、単に「1,3−PBO」と表記する)三國製薬工業社製)
(D)多官能水酸基含有化合物
2官能水酸基含油化合物:ポリカーボネートジオール(商品名:デュラノールT5651(数平均分子量Mn:1000、以下、単に「T5651」と表記する)、旭化成ケミカルズ社製)、(商品名:デュラノールT5650E(数平均分子量Mn:500、以下、単に「T5650E」と表記する)、旭化成ケミカルズ社製)
(E)難燃剤:
ホスファゼン化合物(商品名:FP−300、伏見製薬所社製)
その他:トルエン(和光純薬工業社製、有機合成用)、γ―ブチロラクトン(和光純薬工業社製)
<重量平均分子量測定>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記の条件により測定した。溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を用い、測定前に24.8mmol/Lの臭化リチウム一水和物(和光純薬工業社製、純度99.5%)及び63.2mmol/Lのリン酸(和光純薬工業社製、高速液体クロマトグラフ用)を加えたものを使用した。
カラム:Shodex KD−806M(昭和電工社製)
流速:1.0mL/分
カラム温度:40℃
ポンプ:PU−2080Plus(JASCO社製)
検出器:RI−2031Plus(RI:示差屈折計、JASCO社製)
UV―2075Plus(UV−VIS:紫外可視吸光計、JASCO社製)
また、重量平均分子量を算出するための検量線は、スタンダードポリスチレン(東ソー社製)を用いて作成した。
<硬化膜の作製>
樹脂組成物をバーコーターで基板に塗工し、室温で5分間〜10分間レベリングを行い、熱風オーブンにて140℃、12分間、次いで250℃、5分間加熱して乾燥硬化し、試料を作製した。基板としては、銅箔(F2−WS、古河電工社製)を用いた。また、樹脂組成物は基板の片面に塗工した。膜厚は30μmに調整した。
<ラミネート条件>
ラミネートは、真空プレス機(北川精機製)を用いて行った。プレス温度180℃、プレス圧0.5MPa、プレス時間120秒間にて行った。
<絶縁信頼性(IM耐性)評価>
絶縁信頼性評価は、以下のように実施した。ラインアンドスペースが20μm/20μmのくし型基板上に、上記硬化膜を上記ラミネート条件でラミネートした後、硬化膜の銅箔部分をエッチング液(塩化第二鉄)にて取り除き、フィルムにマイグレーションテスタのケーブルをはんだ付けし、下記条件にて絶縁信頼性試験を行った。
絶縁劣化評価システム:SIR−12(楠本化成社製)
IMチャンバー:EHS−211M(エスペック社製)
温度:85℃
湿度:85%
印加電圧:20V
印加時間:1000時間
絶縁信頼性評価の基準を以下に示す。
絶縁抵抗値:1.0×10Ω未満を×とし、1.0×10Ω〜1.0×10Ω未満を△とし、1.0×10Ω以上を○とした。
外観(膨れ及び変色):絶縁信頼性試験後のくし型基板を光学顕微鏡(ECLIPS LV100 ニコン社製)、明視野100倍の条件でくし型基板全体を観察した。絶縁皮膜の膨れ及び変色が見られるものを×とし、絶縁皮膜の膨れのみ発生が見られるものを△とし、膨れ及び変色が見られないものを○とした。
<反りの評価>
反りの評価は、試料四隅における試料中央部からの持ち上がりによって評価した。上記硬化膜を、ポリイミドフィルム(カプトン(登録商標)25μm)に上記ラミネート条件にてラミネートした後に、5cm×5cmに切断し、23℃、湿度50%の環境下にて、試料中央部に対する試料四隅の浮き上がった距離を反りとして測定した。反りが10mm以下であるものは良好として○とし、5mm以下であるものは更に良好として◎とし、15mm以下であるものは△とし、15mmを超えるものは不良として×とした。
<スルーホール埋め込み性の評価>
スルーホール埋め込み性は、上記硬化膜を上記ラミネート条件にて作製した4層の配線板をエポキシ樹脂で包埋し、切断・研磨した後、光学顕微鏡にて評価した。スルーホールとしては、直径100μmのものを用いた。スルーホールに隙間無く樹脂組成物が埋め込まれている場合を○とし、スルーホール内に隙間が観察された場合を×とした。
<流出防止性の評価>
流出防止性は、上記硬化膜を上記ラミネート条件にて銅箔F2−WS(12μm)に積層した後に試料端部の樹脂組成物のはみ出しを目視にて評価した。樹脂組成物のはみ出しが1mm以下の場合を○とし、1mm以上2mm未満の場合を△とし、2mm以上の場合を×とした。
<半田耐性の評価>
半田耐性は、上記硬化膜を上記ラミネート条件にて銅箔F2−WS(12μm)に積層した後に、3cm×3cmに切断し、試料をハンダ浴に260℃で60秒間浸漬して評価した。外観を目視にて検査して、変形・溶解跡などの変化の有無を確認し、浸漬してから外観に変化が現れるまでの時間が、60秒以上の場合を○とし、20秒以上60秒未満の場合を△とし、20秒未満の場合を×とした。
<高分子化合物(1)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(161.0g)、トルエン(45.0g)、XTJ−542(23.5g)、BPDA(24.0g)、BAPP(21.5g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(1)の溶液を得た。得られた高分子化合物(1)の重量平均分子量を下記表1に示す。
<高分子化合物(2)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(200.0g)、トルエン(45.0g)、XTJ−542(24.5g)、BPDA(24.1g)、BAPP(23.5g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(2)の溶液を得た。得られた高分子化合物(2)の重量平均分子量を下記表1に示す。
<高分子化合物(3)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(106.0g)、トルエン(45.0g)、D−400(20.2g)、BPDA(24.0g)、BAPP(12.8g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(3)の溶液を得た。得られた高分子化合物(3)の重量平均分子量を下記表1に示す。
<高分子化合物(4)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(170.0g)、トルエン(45.0g)、XTJ−542(23.5g)、BPDA(24.0g)、6FAP(20.0g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(4)の溶液を得た。得られた高分子化合物(4)の重量平均分子量を下記表1に示す。
<高分子化合物(5)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(170.0g)、トルエン(45.0g)、D−400(17.0g)、BPDA(24.0g)、6FAP(14.0g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(5)の溶液を得た。得られた高分子化合物(5)の重量平均分子量を下記表1に示す。
<高分子化合物(6)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(170.0g)、トルエン(45.0g)、XTJ−542(20.0g)、TMEG(30.0g)、APB(14.0g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(6)の溶液を得た。得られた高分子化合物(6)の重量平均分子量を下記表1に示す。
<高分子化合物(7)>
窒素雰囲気下、ディーンシュタルク装置及び還流器を備えたセパラブルフラスコに、γ−ブチロラクトン(170.0g)、トルエン(45.0g)、XTJ−542(18.0g)、DSDA(26.4g)、APB(12.0g)を入れ、180℃まで昇温し、180℃で1時間加熱撹拌した。共沸溶媒であるトルエンを除去し、高分子化合物(7)の溶液を得た。得られた高分子化合物(7)の重量平均分子量を下記表1に示す。
[実施例1]
高分子化合物(1)100質量部に対して、IRGANOX245(1質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例2]
高分子化合物(2)100質量部に対して、IRGANOX245(9質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例3]
高分子化合物(3)100質量部に対して、IRGANOX1010(3質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例4]
高分子化合物(4)100質量部に対して、IRGANOX245(4質量部)、SBN−70D(10質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例5]
高分子化合物(5)100質量部に対して、IRGANOX245(2質量部)、1,3−PBO(10質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例6]
高分子化合物(1)100質量部に対して、IRGANOX245(5質量部)、SBN−70D(8質量部)、T5651(8質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例7]
高分子化合物(1)100質量部に対して、IRGANOX245(13質量部)、SBN−70D(8質量部)、T5651(8質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例8]
高分子化合物(1)100質量部に対して、PEP−36(10質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例9]
高分子化合物(1)100質量部に対して、IRGANOX245(5質量部)、TPA−100(4質量部)、T5651(8質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にてドライフィルム化し、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例10]
高分子化合物(1)100質量部に対して、IRGANOX245(5質量部)、TPA−100(4質量部)、T5650E(5質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にて、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[実施例11]
高分子化合物(1)100質量部に対して、IRGANOX245(5質量部)、TPA−100(4質量部)、T5650E(5質量部)、FP−300(35質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にて、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[比較例1]
高分子化合物(1)を上述の方法にて、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[比較例2]
高分子化合物(6)100質量部に対して、IRGANOX245(2質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にて、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
[比較例3]
高分子化合物(7)100質量部に対して、IRGANOX1010(2質量部)を混合し、樹脂組成物を調製した。得られた樹脂組成物を上述の方法にて、硬化膜を得た。この硬化膜を上述の方法にて、絶縁信頼性(IM耐性)、反り、スルーホール埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。反り、絶縁信頼性(IM耐性)、埋め込み性、流出防止性、半田耐性について評価した。結果を下記表2、下記表3に示す。
Figure 0005798010
Figure 0005798010
Figure 0005798010
表3に示す結果から、分子内にエステル構造及びスルホン酸基を有しない高分子化合物と、酸化防止剤と、を含有する実施例1から実施例11に係る樹脂組成物においては、比較例1から比較例3に係る樹脂組成物と比較して、硬化時における反りを低減でき、かつ、絶縁信頼性が良好であることが分かる。
これに対して、酸化防止剤を含有しない樹脂組成物においては絶縁抵抗値も低く、外観異常も発生した(比較例1参照)。これは硬化膜作成時及びラミネート時に高温で処理するためポリマーが熱酸化を受け、分子量が低下し、絶縁抵抗値の低下及び外観の悪化が起こったものと考えられる。また、エステル基を含有する樹脂組成物においても、絶縁抵抗値の低下及び外観異常が発生した(比較例2)。これはエステル基が加水分解を受けたために起こったと考えられる。さらにスルホニル基を含有する樹脂組成物においても絶縁抵抗値の低下及び外観異常が発生した(比較例3)。この結果は、高分子化合物(7)の原料であるDSDAにスルホン酸成分(スルホン酸やスルホン酸基を含む副生物)が含まれており、そのスルホン酸成分が樹脂組成物に混入したため、絶縁抵抗値の悪化をもたらしたと考えられる。
本発明は、特に、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜、ボンディングシート、半導体パッケージ基板、回路基板の保護層、プリント配線板用保護絶縁膜、フレキシブルプリント基板用保護絶縁膜として好適に利用することができる。
10…両面フレキシブル基板
11…絶縁基板
12a,12b…銅箔
13…スルーホール
14…銅めっき
15…積層体
15a…銅箔
15b…保護層
16…フレキシブル部
17…保護膜

Claims (14)

  1. (A)テトラカルボン酸二無水物成分とポリエーテル構造及び少なくとも2つの末端アミン構造を有するジアミン成分とを重合させて得られた高分子化合物と、(B)酸化防止剤と、(C)水酸基及び/又はカルボキシル基と反応して架橋結合を形成する2以上の架橋性官能基を有する多官能架橋性化合物と、を含有し、
    前記高分子化合物は、分子内にエステル構造及びスルホニル基を有さず、水酸基及び/又はカルボキシル基を有し、
    前記多官能架橋性化合物として、2以上のイソシアネート基を有する多官能イソシアネート化合物、又は2以上のオキサゾリン基を有する多官能オキサゾリン化合物を含むことを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記高分子化合物及び/又は前記多官能架橋性化合物が3官能以上であり、前記高分子化合物と前記多官能架橋性化合物との間で3次元架橋を形成し得ることを特徴とする請求項記載の樹脂組成物。
  3. D)2以上の水酸基を有する多官能水酸基含有化合物を含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
  4. 前記多官能架橋性化合物及び/又は前記多官能水酸基含有化合物が3官能以上であり、前記多官能水酸基含有化合物と前記多官能架橋性化合物との間で3次元架橋を形成し得ることを特徴とする請求項記載の樹脂組成物。
  5. 前記多官能水酸基含有化合物が、ポリカーボネートポリオールであることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の樹脂組成物。
  6. 前記高分子化合物が、下記一般式(1)で表される繰り返し構造を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 0005798010
    (式(1)中、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R13、及びR15は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜炭素数20の1価の有機基を表す。R、R、R、R12、及びR14は、それぞれ独立して炭素数1〜炭素数20の4価の有機基を表し、m、n、pは、それぞれ独立して0以上100以下の整数を表す。R16は、4価の有機基を表す。)
  7. 前記高分子化合物の重量平均分子量が、0,000〜200,000であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記高分子化合物100質量部に対して、前記酸化防止剤0.1質量部〜10質量部を含有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノール構造を有する酸化防止剤であることを特徴とする請求項1から請求項のいずれかに記載の樹脂組成物。
  10. 基材と、前記基材上に設けられた請求項1から請求項のいずれかに記載の樹脂組成物と、を具備することを特徴とする樹脂フィルム。
  11. 前記基材が、キャリアフィルムであることを特徴とする請求項10記載の樹脂フィルム。
  12. 前記樹脂組成物上に設けられたカバーフィルムを具備することを特徴とする請求項10又は請求項11記載の樹脂フィルム。
  13. 前記基材が、銅箔であることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれかに記載の樹脂フィルム。
  14. 配線を有する基材と、前記配線を覆うように設けられた請求項1から請求項のいずれかに記載の樹脂組成物と、を具備することを特徴とする配線板。
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