以下、図面を参照して本発明の実施の形態(以下、実施形態という)について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る丁合システム10の模式的な全体構成図である。丁合システム10は、丁合装置18、中綴じ折り装置20および管理装置28を備える。
丁合装置18は、複数(第1の実施形態では10個)の給紙トレイ50を有する。給紙トレイ50は、それぞれ上下方向に並設されている。給紙トレイ50の各々には、オフセット印刷、孔版印刷、インクジェット、電子写真等、様々な画像形成方法によって画像が形成された用紙が積載される。給紙トレイ50の各々には、画像が形成された用紙が複数重なり合った状態の用紙群が、製本作業者の手によってセットされる。
分離給送機構52は、給紙トレイ50の各々に対応して設けられる。分離給送機構52は、給紙方向に間隔をおいて設けられた2本の軸55,56に吸着ベルト57が幅方向に複数かけられ、その内側には吸引チャンバ58が設けられている。吸引チャンバ58には図示しないファンがチャンバ内部のエアを吸引するように設けられ、チャンバ内部に負圧が形成されている。吸引チャンバ58の下面には開口が形成され、複数のベルトとベルトとの間からエアを吸引する。この構成によって、給紙トレイ50に積載された用紙群のうち最上位の用紙を吸着ベルト53にエアで吸着させる。所定のタイミングで吸着ベルト53を駆動すると、最上位の用紙は移動を始め、送り出される。
2本の軸55,56のいずれかに、モータMから駆動が付与される。各々の給紙トレイ50に対応して個別にモータMが設けられ、各々のモータMはその給紙トレイ50から用紙を送り出すべきタイミングで回転開始する。送り出された用紙は用紙搬送路59を通って、縦長の用紙搬送路54へ送り出される。用紙搬送路59は、各々の給紙トレイ50からのびて、それぞれその高さに応じた位置で用紙搬送路54に合流する。給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路59に引き渡すとモータMは停止するが、用紙は、常時駆動されている用紙搬送路54,59により搬送が継続される。なお、給紙トレイ50の各々に個別にモータMを設けるのではなく、常時回転している共通モータから、電磁クラッチを介して駆動を軸55,56に付与し、この電磁クラッチのオン、オフを制御するようにしてもよい。
なおサクションベルト方式の分離給送機構に代えて、吸着パッドで用紙を吸着する方式や、ローラと分離パッドを圧接して用紙面との摩擦力差を利用したフリクション式の分離給送機構が設けられてもよいことは勿論であり、いずれも各々の分離給送機構にモータMまたは電磁クラッチが設けられ、所定のタイミングで用紙を送り出す。
丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で一枚ずつ搬送して中綴じ折り装置20に送り出すとともに、必要に応じて、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で互いに重ね合わせて用紙束として搬送し、中綴じ折り装置20に送り出す。なお本実施形態では後処理機(中綴じ折り装置20)が丁合装置18の図示左側に連結されているが、この丁合装置18には用紙搬送路54の下端付近から図示右側に向かって用紙搬送路53が分岐しており、丁合装置18の右側に設けた後処理機にも用紙が搬送できるようになっている。この分岐部には図示しない切替えゲートが設けられているが、本実施形態では左側にのみ後処理機が連結されているので、用紙搬送路54を搬送される用紙は常に丁合装置18の左側に排出されるように切替えゲートは位置している。
中綴じ折り装置20は、丁合装置18から送り込まれた用紙に中綴じ折り処理を施す。中綴じ折り装置20に送り込まれた用紙は、搬送路60に沿って搬送される。中綴じ折り装置20は、綴じ機構62、折り機構72、折り無しスタッカ73を有する。綴じ機構62および折り機構72は、搬送路60の周辺に配置される。
綴じ機構62は、サイドジョガー66、ステッチャ70、綴じストッパ64、およびバックジョガー68を有する。綴じ機構62は、綴じ処理に先だって、丁合装置18から送り込まれた用紙を送り込まれた順に積載し、一冊分の用紙セットを作成する蓄積部として機能する。
サイドジョガー66は一対設けられ、各々が綴じ機構62において用紙束の側端部に当接し、用紙搬送方向と垂直な方向である用紙幅方向における用紙束の位置を位置決めする。綴じストッパ64およびバックジョガー68は、用紙が積載されて作成された用紙束の前端部および後端部にそれぞれ当接し、用紙束の用紙搬送方向における位置を位置決めする。ステッチャ70は、綴じストッパ64、サイドジョガー66、およびバックジョガー68によって位置決めされた用紙束に綴じ処理を施す。
折り機構72は綴じ機構62の下流側に設けられている。折り機構72は、綴じ機構62によって綴じ処理が実施された用紙束に、綴じた箇所で用紙束を折りたたむ折り処理を実施する。折り機構72は、一対の折りローラ78、折りナイフ76、折りストッパ74を有する。
綴じ機構62にて綴じ処理が実施されると、綴じストッパ64が下方に退避し、綴じられた用紙束が折り機構72に送り込まれる。折り機構72に送り込まれた用紙束は、前端部が折りストッパ74に当接したところで用紙搬送方向の位置決めがされる。搬送路60の上方には一対の折りローラ78が、軸方向が用紙搬送方向と垂直な方向に向くよう、用紙搬送方向に並設されている。
折りナイフ76は、モータ(図示せず)が作動することにより一対の折りローラ78の間と搬送路60の下方とを上昇および下降することが可能となっている。折りストッパ74により用紙束が用紙搬送方向の位置決めがされた状態で折りナイフ76を上昇させることにより、用紙束が一対の折りローラ78の間に巻き込まれる。一対の折りローラ78は、強い力で用紙束を挟持しながら用紙束を上方に搬送するよう回転することにより、用紙束に折り目を付ける。一対の折りローラ78によって折り目が付けられた冊子は、一対の折りローラ78のニップ部から上方に向かう綴じ折り冊子搬送路82を通ってベルト搬送機構80に送り込まれる。ベルト搬送機構80は、作成された冊子を綴じ折りスタッカ26上に送り出す。
なお、折りストッパ74は、ソレノイドをオン・オフすることにより搬送路60に進退可能となっている。ユーザによって中綴じ折り処理による製本が選択されず綴じ処理による製本が選択された場合、綴じストッパ64および折りストッパ74は搬送路60から退避した状態となる。この場合、綴じ機構62によって綴じ処理が施された用紙は折りストッパ74の下流に設けられた折り無しスタッカ73に積載される。
管理装置28は、管理PC(Personal Computer)94、ディスプレイ96、マウス98、キーボード97によって構成される。管理PC94は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有し、管理装置28、丁合装置18、中綴じ折り装置20とデータの送受信可能に接続されている。ディスプレイ96、キーボード97、およびマウス98は管理PC94に接続されている。
管理PC94は、ディスプレイ96に設定画面を表示することにより、ユーザによって各種の設定入力が可能な状態とする。ユーザは、この設定画面においてキーボード97やマウス98を使って各種の設定入力を行うことができる。ディスプレイ96に表示されたスタートボタンがクリックされると、管理PC94は、設定内容を示す情報を丁合装置18、中綴じ折り装置20の各々に送信すると共に、製本処理を開始する旨を示すスタート信号を送信する。丁合装置18、中綴じ折り装置20は、CPU、ROM、RAMを有し内部機構の動作を制御する制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた製本処理を実施する。これらの制御部および管理PC94を総じて、電子制御部100として以下説明する。
以上にように構成された丁合システム10は、合計10個の給紙トレイ50の一部又は全部に積載された用紙を1枚ずつ取り出して、用紙搬送路54を通じて綴じ機構62(蓄積部)で重ねて用紙セットを形成する。このとき、電子制御部100は、各給紙トレイ50から取り出した用紙同士を、用紙搬送路54に合流する際に重ねて綴じ機構62へ送り込むか、あるいは用紙搬送路54においては個別に搬送し、綴じ機構62に蓄積する際に重ねるか、いずれかを行って用紙セットを形成する。
電子制御部100は、用紙セットを構成する用紙を1枚又は複数枚で構成する複数の構成部分に分け、異なる構成部分に属する用紙同士は綴じ機構62において積み重ねるとともに、同一の構成部分に属する用紙は用紙搬送路54において搬送しながら互いに重ねるように、各給紙部の駆動タイミングを制御する。
管理装置28からは、綴じ機構62に蓄積される用紙セットを構成する各々の用紙と、その用紙の送り出し元となる給紙トレイ50との対応関係を入力する入力手段を有する。入力手段の入力情報は管理PC94に送られ、管理PC94では、この入力情報を参照して、用紙セットを複数の構成部分に分ける。この手順について、以下詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施形態における、モード選択画面101を示す図である。丁合システム10は電源を投入すると、このモード選択画面101がディスプレイ96に表示される。モード選択画面101は、通常丁合モードボタン102と任意丁合モードボタン103を有する。通常丁合モードボタン102をマウス98でクリックすると、通常丁合モードとなる。通常丁合モードにおいては、各々の給紙トレイ50に積載された用紙束から1枚ずつ取り出した用紙の全てを、用紙搬送路59,54を搬送しながら互いに重ねて用紙セットを作成するモードである。作成した用紙セットは中綴じ折り装置20で所定の綴じ、折り等の処理が施される。このモードにおける動作は公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
モード選択画面101で任意丁合モードボタン103がクリックされた場合は、任意丁合モードとなる。任意丁合モードを選択すると、次に条件入力画面200が表示される。この条件入力画面200は、枚数入力部201と、排出方向選択ボタン202を有する。
枚数入力部201には、作成したい用紙セットの枚数、すなわち中綴じ折り装置20で作成する冊子を構成する用紙の枚数を入力する。入力は、枚数入力部の入力窓をクリックし、キーボードで97で枚数を入力する。本実施形態では15枚の用紙セットを作成すべく、15と入力する。
排出方向選択ボタン202は、用紙搬送路54を搬送される用紙を丁合装置18の左側に排出するか、用紙搬送路53をも経由して右側に排出するかを切り替える。本実施形態では、左側にしか後処理機が連結されていないので、「左」をクリックして選択する。または、後処理機が左右どちらに連結されているかを通信手段等によって管理PCが認識することにより、「右」をグレーアウトさせて選択不能にしたり、「左」のみ表示させたりして、選択操作を不要にしてもよい。枚数と排出方向の設定が終わり、設定画面ボタン204をクリックすると、設定画面が表示される。図4は設定画面300を示す図である。設定画面300は、丁合機表示部301、用紙セット設定部302、確定ボタン303より成る。
丁合機表示部301は、丁合装置18の外観が模式的に表示され、各々の給紙トレイには上から順に1,2、3の順に10まで番号がふられている。さらに、丁合装置18から用紙が排出される方向を示す矢印304が表示されており、その矢印304が示す方向に、用紙セット設定部302が配置されている。本実施形態では、条件入力画面200において排出方向が左と設定されているので、矢印304は左側を向いており、用紙セット設定部302は丁合機表示部301の左側に隣接して表示されている。
用紙セット設定部302は、用紙欄305と、給紙トレイ番号欄306を有する。用紙欄305には、上下に並んだセルに上から順に1から15までの数字が表示されている。この15は条件入力画面200の枚数入力部201に入力した枚数であり、綴じ機構62に蓄積されるべき用紙セットの枚数である。仮に枚数入力部に12と入力したとすると、用紙欄305には1から12までの数字が表示され、セルの数も12個となる。この用紙欄305の数字は、用紙が綴じ機構62に用紙セットを構成する15枚の用紙がすべて蓄積されたときに、その蓄積部において上から何枚目の用紙であるかを示す。
給紙トレイ番号欄306には、用紙欄305の各々の数字に対応して、空白セルが設けられている。この空白セルには、各々の用紙の送り出し元となる給紙トレイの番号が入力される。番号の入力は、マウス98でセルをクリックして選択してから、キーボード97から数字を入力してもよいし、丁合機表示部301の給紙トレイの部分をクリックし、セルまでドラッグして入力できるようにしてもよい。
図5は用紙セット設定部302のすべての入力セルの入力が完了した状態を示す図である。この画面は、綴じ機構62(蓄積部)に蓄積されて形成される用紙セットを、上から順に、給トレイ番号欄301に入力された給紙トレイから供給された用紙によって構成すべく入力した画面である。すなわち例えば、最上位の用紙(用紙欄305の「1」)は、最上位の給紙トレイ(丁合機表示部301の「1」)から供給する。上から2枚目の用紙は(用紙欄305の「2」)は、上からの3段目の給紙トレイ(丁合機表示部301の「3」)から供給する。上から4枚目、5枚目、6枚目、7枚目の用紙は、いずれも5段目の給紙トレイ(丁合機表示部301の「5」)から供給する。上から10,11枚目の用紙は、いずれも上から8段目の給紙トレイから、上から13枚目は上から10段目、上から14枚目は上から2段目、上から15枚目は上から1段目の給紙トレイから供給する。
このように、綴じ機構62に蓄積される用紙セットを構成する用紙の各々の送り出し元となる給紙トレイを自由に設定することができる。例えば、同じ表紙用の用紙を表表紙と裏表紙に使いたい場合、用紙セットの最上位と最下位の送り出し元を同じ給紙トレイに設定することによって、表紙用用紙を1つの給紙トレイに積載しておけばよいことになるので、給紙トレイを有効活用することができる。また、同じ用紙が連続した部分を作成したい場合、その連続した部分の送り出し元を同じ給紙トレイに設定することもできる。設定を修正したい場合は、修正したい給紙トレイ番号欄306のセルをクリックして入力をやり直す。入力が確定したら、確定ボタン303をクリックする。
図6は確定ボタン303をクリックした後に表示される画面を示す図である。確定ボタン303をクリックすると、電子制御部100は、用紙セットを構成する複数枚の用紙のうち、互いに隣り合う2枚の用紙について、該2枚の用紙の前記用紙セットの中での位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙トレイ50の位置関係とを比較し、この比較結果に基づき、該2枚の用紙を同一の構成部分に含めるか否かを、判定手段で判定する。
具体的には、用紙セット中での互いに隣合う2枚の用紙の上下方向の位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙部の上下方向の位置関係とが一致している場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める判定を行う。この判定を、用紙セット内で隣り合う2枚の用紙の組合せ全てについて行なうことにより、構成部分を決定する。
以下この判定手段の判定方法を、図5のように入力されて確定ボタン303が押された場合を例にとり説明する。まず用紙セットの上から1枚目の用紙と、2枚目の用紙の上下方向の位置関係は、前者が上、後者が下となる。そして前者は最上位の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも下に存在する上から3段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係も前者が上、後者が下となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致する。この結果、用紙セットの上から1枚目の用紙と2枚目の用紙は、同一の構成部分に含めると判定する。
次に用紙セットの上から2枚目の用紙と、3枚目の用紙の上下方向の位置関係は、前者が上、後者が下となる。そして前者は上から3段目の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも下に存在する上から4段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係も前者が上、後者が下となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致する。この結果、用紙セットの上から2枚目の用紙と3枚目の用紙も、同一の構成部分に含めると判定する。用紙セットの上から3枚目の用紙と4枚目の用紙についても同様に判定を行い、同一の構成部分に含めると判定する。
続いて用紙セットの上から4枚目の用紙と5枚目の用紙について判定する。両者の上下方向の位置関係は前者が上、後者が下となる。そして前者、後者ともに上から5段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係は「同一」となる。よって用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致しないことになる。この結果、用紙セットの上から4枚目の用紙と5枚目の用紙は、異なる構成部分に含めることとする。
用紙セットの上から5枚目と6枚目、6枚目と7枚目の用紙も、いずれも上から5段目の給紙トレイから供給するように設定されているので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致しないから、異なる構成部分に含めると判定する。以下、同様に、用紙セットの上から7枚目と8枚目、8枚目と9枚目、9枚目と10枚目の用紙についても判定を行う。各々用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致するので、同一の構成部分に含めると判定する。用紙セットの上から10枚目と11枚目の用紙は、どちらも上から8段目の給紙トレイから供給される。
したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係は「同一」となる。よって用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致しないので、異なる構成部分に含めると判定する。用紙セットの上から11枚目と12枚目、12枚目と13枚目の用紙は、各々用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致するので、同一の構成部分に含めると判定する。
次に用紙セットの上から13枚目の用紙と、14枚目の用紙について判定を行う。前者は上から10段目の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも上に存在する上から2段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係は前者が下、後者が上となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とは逆向きとなり、一致しない。この結果、用紙セットの上から13枚目の用紙と14枚目の用紙は、異なる構成部分に含めることとする。
最後に用紙セットの上から14枚目と15枚目の用紙について判定を行う。前者は上から2段目の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも上に存在する最上位の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係は前者が下、後者が上となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とは逆向きとなり、一致しない。この結果、用紙セットの上から14枚目の用紙と15枚目の用紙も、異なる構成部分に含めることとする。このように、用紙セット内で隣り合う2枚の用紙の組合せ全てについて判定を行なうことにより、構成部分を決定する。
図5の確定ボタン303をクリックすると、管理PC97でこの一連の判定が行われるとともに、図6の確定画面が表示され、判定の結果は用紙セット設定部302に送出順序欄307として表示される。この送出順序欄307は、構成部分が異なる用紙同士の境界のみに境界線が入り、構成部分が同じ用紙同士の境界には境界線が入らない。図6では、用紙セット設定部302の設定に従った判定の結果、7個の構成部分に分けられたことが表示されている。さらに各々の構成部分について、丁合機18から送り出される順序を示す順序値1〜7を表示する。この順序値は、最下位の構成部分を1として、下から順に1ずつ増加していくように付与される。
次にこの丁合システム10をスタートさせると、設定したとおりの構成の用紙セットが綴じ機構62(蓄積部)において形成されるようなタイミングで、各々の給紙部のモータMが駆動される。電子制御部100は、同一の構成部分に属する用紙は、用紙搬送路59,54(図1参照)で搬送しながら互いに重ねるように、異なる構成部分に属する用紙同士は用紙搬送路59,54では重ならず、綴じ機構62において積み重なるように、モータMの駆動タイミングを制御する。
図7は第1の実施形態における、各給紙トレイ50のモータMの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。タイミングチャートの左側に記載されている1乃至10の番号は、各々給紙トレイの番号を示し、図4乃至図6に示した給紙トレイ番号と対応している。モータMが駆動していることを示す部分に付与している丸数字は順序値を示し、そのモータMの駆動がどの順序値の設定に基づいているかを表している。
図中の記号「T1」及び「T2」は時間を示す。時間T1は、給紙トレイ50のモータMが駆動開始されてから、供給された用紙が、その用紙の搬送方向の長さ分だけ移動するのに必要な時間に、所定の余裕時間を加えた時間である。すなわち、ある給紙トレイ50のモータMを駆動して用紙を供給したあと、時間T1経過後に、さらに同じモータMを駆動して同じ給紙トレイから用紙を供給すると、後にモータMが駆動されるタイミングでは、先に供給された用紙は既に用紙の搬送方向の長さ分以上移動した後であるので、先に供給した用紙と、あとから供給した用紙とが、用紙搬送路59,54で重なることがない。なお本実施形態では、すべての給紙トレイに同一サイズの用紙が積載されているので、時間T1は一定値であるが、積載されている用紙の搬送方向の長さに応じて、給紙トレイごとに異なる値が設定されるようにしても良い。
時間T2は、用紙が用紙搬送路54を下方向へ移動する際に、縦方向に所定間隔で複数設けられた分離給送機構52の配置ピッチ分を移動するのに要する時間である。すなわち、ある給紙トレイ50のモータMを駆動して用紙を供給したあと、時間T2経過後に、先に供給した給紙トレイ50の1段下にある給紙トレイ50のモータMを駆動して用紙を供給すると、先に供給した用紙に、その1段下から供給した用紙が用紙搬送路54において先端が揃った状態で重なることになる。
モータMは、図6における順序値の順に、各構成部分が形成されるようなタイミングで動作する。順序値が異なることはすなわち構成部分が異なることになるので、順序値が異なる用紙同士は用紙搬送路54で重なることなく、綴じ機構62で重なるように制御される。具体的には、先の順序値において最後に駆動されたモータMの駆動タイミングから、時間T1+n1×T2だけ経過したときに、次の順序値における最初のモータMの駆動を行う。n1は、次の順序値において最初に駆動されるモータMが、先の順序値において最後に駆動されるモータMに対してn1段下に存在することを示す。n1段上である場合はn1の値は負の数となる。同じ段である場合はn1の値はゼロになる。
順序値が同一である場合は同じ構成部分に属することになるので、順序値が同一の用紙同士は用紙搬送路54でその先端が揃って合流するように制御される。具体的には、先に駆動されたモータMの駆動タイミングから、n2×T2だけ経過したときに、次のモータMを駆動する。n2は、同じ順序値内で先に駆動されるモータMよりも、次に駆動されるモータMがn2段下に存在することを示す。n2段上に存在する場合や、同じ段である場合は、同一構成部分とされることはないので、そのような場合は無い。
各順序値における動作を説明する。まず順序値が1である構成部分は、用紙セットの上から15枚目の用紙1枚のみであり、その用紙は最上段の給紙トレイから供給されることになっている。したがって、まず最上段の給紙トレイに設けられたモータMが駆動され、最上段の給紙トレイから用紙が1枚供給されて、綴じ機構62に供給されることになる。
次に順序値が2である構成部分は、用紙セットの上から14枚目の用紙1枚のみであり、その用紙は上から2段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって次に上から2段目の給紙トレイに設けられたモータMが駆動される。2段目のモータMはその直前に駆動された最上段のモータMの1段下に存在するから、n1=1である。したがって2段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値1における最上段のモータMの駆動開始タイミングから、時間T1+1×T2=T1+T2経過後のタイミングである。このT1+T2は、最上段から供給された用紙が、自らの長さ分に加えて、分離給送機構52の1ピッチ分だけ搬送するのに少なくとも要する時間であるので、上から2段目から供給された用紙の先端が用紙搬送路54への合流点に達した時点で、既に最上段の用紙の後端が合流点を通過している。したがって構成部分の異なる両者が用紙搬送路54で重なることは無く、綴じ機構62に最上段から供給された用紙が先に収容され、その上に、上から2段目から供給された用紙が重なって収容されることになる。
次に順序値が3である構成部分は、用紙セットの上から11、12、13枚目の用紙3枚であり、その用紙はそれぞれ上から8,9,10段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって次に上から8,9,10段目の給紙トレイの各々に設けられたモータMが、この順に駆動開始される。順序値3において最初に駆動される上から8段目のモータMは、その直前すなわち順序値2において駆動された上から2段目のモータMよりも6段下に存在しているのでn1=6である。したがって、8段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値2において駆動された2段目のモータMの駆動開始タイミングから、時間T1+6×T2経過後のタイミングである。このT1+6×T2は、上から2段目から供給された用紙が、自らの長さ分に加えて、分離給送機構52の6ピッチ分だけ搬送するのに少なくとも要する時間であるので、上から8段目から供給された用紙の先端が用紙搬送路54への合流点に達した時点で、それよりも6段分上にある上から2段目から供給された用紙の後端が合流点を通過している。したがって構成部分の異なる両者が用紙搬送路54で重なることは無く、綴じ機構62おいて重なることになる。上から9,10段目の給紙トレイに設けられたモータMは、その直前に駆動されたモータMの駆動開始タイミングから各々時間T2経過後のタイミングで駆動開始される。すると、上から8,9,10段目から各々1枚ずつ取り出された用紙は、各々の給紙トレイから続く用紙搬送路59から共通の用紙搬送路54に合流するときに互いに先端が揃うように重ねられる。そして互いに重なった状態で綴じ機構62に送られ、綴じ機構62に既に収容されている用紙の上に重ねられる。
次に順序値が4である構成部分は、用紙セットの上から7,8,9,10枚目の用紙4枚であり、その用紙はそれぞれ上から5,6,7,8段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって次に上から5,6,7,8段目の給紙トレイの各々に設けられたモータMが、この順に駆動開始される。順序値4において最初に駆動される上から5段目のモータMは、その前の順序値3において最後に駆動された上から10段目のモータMよりも、5段上にあるので、n1=−5である。したがって順序4における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値3における上から10段目のモータMの駆動開始タイミングから時間T1−5×T2経過後のタイミングである。本実施形態では、T1−5×T2も負の数となるので、順序値3における上から10段目のモータMよりも早いタイミングで、順序値4における最初のモータM、すなわち上から5段目のモータMが駆動される。しかしこの上から5段目から供給された用紙が用紙搬送路54を下降し、上から10段目からの用紙と合流する合流点に達する時点では、順序値3において最後に上から10段目から供給された用紙の後端は既にこの合流点を通過しているので、構成部分が互いに異なる両者が用紙搬送路54で重なることはなく、綴じ機構62で重なることになる。これに続く上から6,7,8段目の給紙トレイに設けられたモータMの駆動タイミングは、各々その直前に駆動されたモータMの1段下に存在するので、その直前に駆動されたモータMの駆動開始タイミングから各々時間T2経過後である。すると上から5,6,7,8段目から各々1枚ずつ取り出された用紙は、共通の用紙搬送路54に合流するときに互いに先端が揃うように重ねられる。そして互いに重なった状態で綴じ機構62に送られ、綴じ機構62に既に収容されている用紙の上に重ねられる。
次に順序値が5である構成部分は、用紙セットの上から6枚目の用紙1枚のみであり、その用紙は上から5段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって次に上から5段目の給紙トレイに設けられたモータMが駆動される。順序値5において駆動される上から5段目のモータMは、その前の順序値4において最後に駆動されたモータMと同一であるので、n1=0である。したがって順序値5における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値4ける駆動開始タイミングから、時間T1−0×T2=T1経過後である。したがって順序値4において先に供給された用紙が、用紙長さ分以上前進した後に、順序値5における供給がスタートされるので、先に供給された用紙とは川なることなく、その後方から後に供給された用紙が追う形で搬送されることになる。
更に順序値が6である構成部分は、用紙セットの上から5枚目の用紙1枚のみであり、その用紙は順序値5と同様に、上から5段目の給紙トレイから供給されることになっているので、順序値6における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値5における駆動開始タイミングから、時間T1−0×T2=T1経過後である。したがって順序値5の場合と同様に、先に供給された用紙とは重なることなく、その後方から後に供給された用紙が追う形で搬送されることになる。
最後に順序値が7である構成部分は、用紙セットの上から1,2,3,4枚目の用紙4枚であり、その用紙はそれぞれ上から1,3,4,5段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって上から1,3,4,5段目の給紙トレイの各々に設けられたモータMが、この順に駆動開始される。順序値7において最初に駆動される最上位のモータMは、その前の順序値6において最後に駆動された上から5段目のモータMよりも4段上にあるので、n1=−4である。
したがって順序7における最上位のモータMの駆動開始タイミングは、順序値6における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングから時間T1−4×T2経過後のタイミングである。本実施形態では、T1−4×T2も負の数となるので、順序値6における上から5段目のモータMよりも早いタイミングで、順序値7における最上位のモータMが駆動される。これに続いて駆動される上から3段目のモータMは最上位のモータMの2段下に存在するので、n2=2である。したがって、上から3段目のモータMの駆動タイミングは、その直前に駆動された最上位のモータMの駆動タイミングから時間2×T2経過後である。さらに続いて駆動される上から4,5段目のモータMは、各々その直前に駆動されるモータMの1段下に存在するので、n2=1である。したがって、上から4,5段目のモータMの駆動タイミングは、その直前に駆動されたモータMの駆動タイミングから時間T2経過後である。
このようなタイミングで駆動されることによって、同一の順序値すなわち同一構成部分に属する用紙同士は用紙搬送路54において先端が揃うように重ねられて綴じ機構62に送り出され、異なる順序値すなわち異なる構成部分に属する用紙同士は用紙搬送路54では重ならず、綴じ機構62に送り込んでから重なるように制御されている。このように制御されることによって、ユーザが綴じ機構62に蓄積される用紙セットを構成する用紙の各々の送り出し元となる給紙トレイを自由に設定することができるとともに、設定したとおりの用紙セットを、その一部の用紙同士を用紙搬送路54で重ね合わせることによって、迅速に作業を行うことができる。
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態に係る丁合システム410の模式的な全体構成図である。第1の実施形態と同一の部材については同一の番号を付与してその詳細な説明は省略する。丁合システム410は、丁合装置18、紙受け装置420および管理装置28を備える。
丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で一枚ずつ搬送して紙受け装置420に送り出すとともに、必要に応じて、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で互いに重ね合わせて用紙束として搬送し、紙受け装置420に送り出す。第2の実施形態においては、後処理機(本実施形態では紙受け装置420)が丁合装置18の図示右側に連結され、用紙搬送路54の下端付近から図示右側に向かって分岐する用紙搬送路53を経由して用紙が搬送される。丁合装置18は第1の実施形態と同一であるので、分岐部には切替えゲートが設けられているが、第2の実施形態では右側にのみ後処理機が連結されているので、用紙搬送路54を搬送される用紙は常に丁合装置18の右側に排出されるように切替えゲートは位置している。
紙受け装置420は、丁合装置18から送り込まれた用紙を、用紙セットごとに紙受け板421上に順次積載する。積載した用紙の上端高さはセンサで監視し、用紙の積載が進んでも上端高さが変わらないように、紙受け板421を下降させる。紙受け板上にはストッパ422とバックジョガー423が設けられている。紙受け装置420に送り込まれた用紙は、先端がストッパ422に当接して停止する。停止した用紙の後端にバックジョガー423が当接する。用紙が送り込まれるたびにバックジョガー423が当接し、ストッパ422との間で用紙をそろえる。ストッパ422とバックジョガー423との間に順次用紙が送り込まれて蓄積され、用紙セットを形成する。用紙セットが1セット形成されると、ストッパ422及びバックジョガー423が用紙排出方向に沿って移動し、前の用紙セットに対して排出方向に位置をずらして次の用紙セットを蓄積する。以下このストッパ422とバックジョガー423との間の部分を紙受け部424と呼ぶ。なお、この紙受け装置420は用紙セットごとに用紙排出方向と直交する方向にずらすようにしても良いし、特段用紙セットごとにずらすことなく積載してもよい。このように紙受け装置は様々な公知の積載形態が用いられてもよい。
また、この紙受け装置420は、CPU、ROM、RAMを有し内部機構の動作を制御する制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた紙受け処理を実施する。これらの制御部および管理PC94を総じて、電子制御部400として以下説明する。
以上のように構成された丁合システム410は、合計10個の給紙トレイ50の一部又は全部に積載された用紙を1枚ずつ取り出して、用紙搬送路54、53を通じて紙受け部424(蓄積部)で重ねて用紙セットを形成する。このとき、電子制御部400は、第1の実施形態と同様に用紙セットを構成する用紙を複数の構成部分に分け、異なる構成部分に属する用紙同士は紙受け部424において積み重ねるとともに、同一の構成部分に属する用紙は用紙搬送路54において搬送しながら互いに重ねるように、各給紙部の駆動タイミングを制御する。しかしこの第2の実施形態では、給紙トレイ50から用紙搬送路59,54,53を経由して紙受け部424に至る搬送経路がUターンを含んでいるため、第1の実施形態とは構成部分の分け方を変える必要がある。
この丁合システム410は電源を投入すると、第1の実施形態と同様に、図2に示すモード選択画面101がディスプレイ96に表示される。通常丁合モードボタン102をマウス98でクリックすると、通常丁合モードとなる。通常丁合モードにおいては、各々の給紙トレイ50に積載された用紙束から1枚ずつ取り出した用紙の全てを、用紙搬送路59,54を搬送しながら互いに重ねて用紙セットを作成するモードである。作成した用紙セットは用紙搬送路53を経由して紙受け装置420に送られ、紙受け部424に積載される。このモードにおける動作は公知技術であるため、詳細な説明は省略する。
モード選択画面101で任意丁合モードボタン103がクリックされた場合は、任意丁合モードとなり、第1の実施形態と同様に、図3に示す条件入力画面200となる。第2の実施形態では、右側にしか後処理機が連結されていないので、排出方向選択ボタン202は「右」をクリックして選択する。あるいは、「左」をグレーアウトさせて選択不能にしたり、「右」のみ表示させたりして、選択操作を不要にしてもよい。
条件入力画面200において、用紙セットの枚数の入力と、排出方向の選択を行い、設定画面ボタン204をクリックすると、設定画面が表示される。図9は第2の実施形態に係る設定画面500を示す図である。設定画面500は、丁合機表示部501、用紙セット設定部502、確定ボタン503より成る。丁合機表示部501は丁合装置18の外観が模式的に表示され、各々の給紙トレイには上から順に1,2、3の順に10まで番号がふられている。さらに、丁合装置18から用紙が排出される方向を示す矢印504が表示されており、その矢印504が示す方向に、用紙セット設定部502が配置されている。第2の実施形態では、条件入力画面200において排出方向が右と設定されているので、矢印504は右側を向いており、用紙セット設定部502は丁合機表示部501の右側に隣接して表示されている。
用紙セット設定部502は、用紙欄505と、給紙トレイ番号欄506を有する。用紙欄505には第1の実施形態と同様に、条件入力画面200で入力した枚数分の数字と入力セルが表示される。この用紙欄505の数字は、紙受け部424に用紙セットを構成する15枚の用紙がすべて蓄積されたときに、その蓄積部において上から何枚目の用紙であるかを示す。給紙トレイ番号欄506には、これも第1の実施形態と同様に、各々の用紙の送り出し元となる給紙トレイの番号が入力するための空白が並んでいる。
図10は第2の実施形態に係る用紙セット設定部502のすべてのセルの入力が完了した状態を示す図である。この画面は、紙受け部424(蓄積部)に蓄積されて形成される用紙セットを、上から順に、給トレイ番号欄501に入力された給紙トレイから供給された用紙によって構成すべく入力した画面である。すなわち例えば、最上位の用紙(用紙欄505の「1」)は、最上位の給紙トレイ(丁合機表示部501の「1」)から供給する。上から3枚目の用紙は(用紙欄505の「3」)は、上からの10段目の給紙トレイ(丁合機表示部501の「10」)から供給する。最下位の用紙(用紙欄505の「15」)は、最上位の給紙トレイ(丁合機表示部501の「1」)から供給する。
図11は確定ボタン503をクリックした後に表示される画面を示す図である。確定ボタン503をクリックすると、電子制御部100は、用紙セット内で互いに隣り合う2枚の用紙について、同一の構成部分に含めるか否かを判定する。第1の実施形態においては給紙トレイ50に積載されていた用紙の表裏は反転せずそのまま蓄積されるが、第2の実施形態においては用紙搬送路59,54,53で形成されるUターン搬送路を経由することから、給紙トレイ50に積載されていた用紙の表裏が反転して紙受け部242に蓄積されることになる。したがって、第2の実施形態では、用紙セット中での互いに隣合う2枚の用紙の上下方向の位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙部の上下方向の位置関係とが逆である場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める判定を行う。この判定を、用紙セット内で隣り合う2枚の用紙の組合せ全てについて行って構成部分を決定する。
以下この判定手段の判定方法を、図10のように入力されて確定ボタン503が押された場合を例にとり説明する。まず用紙セットの上から1枚目の用紙と、2枚目の用紙の上下方向の位置関係は、前者が上、後者が下となる。そして前者は最上位の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも下に存在する上から2段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係も前者が上、後者が下となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致する。この結果、用紙セットの上から1枚目の用紙と2枚目の用紙は、異なる構成部分に含めると判定する。
次に用紙セットの上から2枚目の用紙と、3枚目の用紙の上下方向の位置関係は、前者が上、後者が下となる。そして前者は上から2段目の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも8段下に存在する上から10段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係も前者が上、後者が下となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は一致する。この結果、用紙セットの上から2枚目の用紙と3枚目の用紙も、異なる構成部分に含めると判定する。
続いて用紙セットの上から3枚目の用紙と4枚目の用紙について判定する。両者の上下方向の位置関係は前者が上、後者が下となる。そして前者は上から10段目の給紙トレイから供給するように設定され、後者はそれよりも1段上に存在する上から9段目の給紙トレイから供給するように設定されている。したがって、給紙トレイ同士の上下方向の位置関係は前者が下、後者が上となるので、用紙セット内での用紙同士の上下方向の位置関係とその送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係は逆となる。この結果、用紙セットの上から2枚目の用紙と3枚目の用紙は、同一の構成部分に含めると判定する。以下上から4枚目と5枚目、5枚目と6枚目の順に14枚目と15枚目まで判定を繰り返して、各々が同一の構成部分に含まれるか否かを決定し、構成部分を決定する。
要するに、用紙セット中での互いに隣合う2枚の用紙の上下方向の位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙部の上下方向の位置関係とを比較して判定する点は第1の実施形態と同様であるが、第1の実施形態では上下方向の位置関係が一致した場合に同一の構成部分に含めるのに対し、第2の実施形態ではその逆で、上下方向の位置関係が一致していた場合は異なる構成部分に含めることとし、上下方向の位置関係が一致しなかった場合に同一の構成部分に含めることとする点が異なる。
図10の確定ボタン503をクリックすると、第1の実施形態と同様に、図11に示す確定画面に送出順序欄507が表示される。図11では7個の構成部分に分けられたことを表示するとともに、各々の構成部分について順序値1〜7を表示する。この順序値は、第1の実施形態と同様に、最下位の構成部分を1として、下から順に1ずつ増加していくように付与される。
次にこの丁合システム410をスタートさせると、設定したとおりの構成の用紙セットが紙受け部424(蓄積部)において形成されるようなタイミングで、各々の給紙部のモータMが駆動される。電子制御部100は、同一の構成部分に属する用紙は、用紙搬送路59,54(図8参照)で搬送しながら互いに重ねるように、異なる構成部分に属する用紙同士は用紙搬送路59,54では重ならず、紙受け部424において積み重なるように、モータMの駆動タイミングを制御する。
図12は第2の実施形態における、各給紙トレイ50のモータMの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。タイミングチャートの左側に記載されている1乃至10の番号は、各々給紙トレイの番号を示し、図9乃至図11に示した給紙トレイ番号と対応している。モータMが駆動していることを示す部分に付与している丸数字は順序値を示し、そのモータMの駆動がどの順序値の設定に基づいているかを表している。
図中の記号「T1」及び「T2」は時間を示し、その示す意味は第1の実施形態と同じである。また、モータMが順序値の順に各構成部分を形成するように駆動する点、順序値が異なる場合は、用紙搬送路54では互いに重ならないように、先の順序値において最後に駆動されたモータMの駆動タイミングから、時間T1+n1×T2だけ経過したときに、次の順序値における最初のモータMの駆動を行う点も第1の実施形態と同じである。順序値が同一である場合は、用紙搬送路54でその先端が揃って合流するように、先に駆動されたモータMの駆動タイミングから、n2×T2だけ経過したときに、次のモータMを駆動する点も、第1の実施形態と同一であるが、第1の実施形態が、その順序値における給紙トレイ番号欄506の表示の上から下へ、順次モータMを駆動するのに対し、第2の実施形態では、給紙トレイ番号欄506の表示の下から上へ、順次モータMを駆動する。用紙搬送路54で用紙を重ねるためには、上方に存在するモータMを先に駆動しなければならないからである。
まず順序値が1である構成部分は、用紙セットの上から12,13,14,15枚目の用紙計4枚であり、その用紙は各々上から5,4,3,1段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって上から5,4,3,1段目の給紙トレイの各々に設けられたモータMが、上から下へ向かって(上から1,3,4,5段目の順に)順次駆動開始される。上から3段目のモータMは、その直前に駆動された最上位のモータMよりも2段下にあるので、n2=2となる。すなわち、最上位のモータMの駆動開始から時間2×T2経過後のタイミングで駆動開始される。上から4,5段目のモータMは、その直前に駆動されたモータMの駆動開始タイミングから各々時間T2経過後のタイミングで駆動開始される。すると、上から1,3,4,5段目から各々1枚ずつ取り出された用紙は、各々の給紙トレイから続く用紙搬送路59から共通の用紙搬送路54に合流するときに互いに先端が揃うように重ねられる。そして互いに重なった状態で紙受け部424に送られ、紙受け部424に既に収容されている用紙の上に重ねられる。
次に順序値が2である構成部分は、用紙セットの上から11枚目の用紙1枚のみであり、その用紙は上から5段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって次に上から5段目の給紙トレイに設けられたモータMが駆動される。5段目のモータMはその直前に駆動されたモータMと同一であるから、n1=0である。したがって2段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値1における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングから、時間T1−0×T2=T1経過後である。したがって順序値1において先に供給された用紙が、用紙長さ分以上前進した後に、順序値2における供給がスタートされるので、先に供給された用紙とは重なることなく、その後方から後に供給された用紙が追う形で搬送されることになる。
更に順序値が3である構成部分も、用紙セットの上から5枚目の用紙1枚のみであり、その用紙は順序値2と同様に、上から5段目の給紙トレイから供給されることになっているので、順序値3における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値2における駆動開始タイミングから、時間T1−0×T2=T1経過後である。したがって順序値2の場合と同様に、先に供給された用紙とは重なることなく、その後方から後に供給された用紙が追う形で搬送されることになる。
次に順序値が4である構成部分は、用紙セットの上から6,7,8,9枚目の用紙4枚であり、その用紙はそれぞれ上から8,7,6,5段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがって次に上から8,7,6,5段目の給紙トレイの各々に設けられたモータMが、上から下へ向かって(上から5,6,7,8段目の順に)順次駆動開始される。順序値4において最初に駆動される上から5段目のモータMは、その前の順序値3において駆動された上から5段目のモータMと同一であるので、n1=0である。したがって順序4における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値3における上から5段目のモータMの駆動開始タイミングから時間T1−0×T2=T1経過後のタイミングである。上から6,7,8段目のモータMは、その直前に駆動されたモータMの駆動開始タイミングから各々時間T2経過後のタイミングで駆動開始される。この結果、上から5,6,7,8段目から各々1枚ずつ取り出された用紙は、各々の給紙トレイから続く用紙搬送路59から共通の用紙搬送路54に合流するときに互いに先端が揃うように重ねられ、紙受け部424に送られる。
順序値が5である構成部分は、用紙セットの上から3,4,5枚目の用紙3枚であり、その用紙はそれぞれ上から10,9,8段目の給紙トレイから供給されることになっている。したがってモータMが上から8,9,10段目の順に駆動開始される。最初に駆動される上から8段目のモータMは、前の順序値4において駆動された上から8段目のモータMと同一であるので、n1=0である。したがって順序5における上から8段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値3における上から8段目のモータMの駆動開始タイミングから時間T1−0×T2=T1経過後のタイミングである。上から9,10段目のモータMは、その直前に駆動されたモータMの駆動開始タイミングから各々時間T2経過後に駆動開始される。
次に順序値が6である構成部分は、用紙セットの上から2枚目の用紙1枚であり、その用紙は上から2段目の給紙トレイから供給されることになっているので、2段目のモータMが駆動される。この2段目のモータMは順序値5において最後に駆動された上から10段目のモータMよりも8段上にあるので、n1=−8である。したがって順序値6における上から2段目のモータMの駆動開始タイミングは、順序値5における上から10段目のモータMの駆動開始タイミングから時間T1−8×T2経過後のタイミングである。本実施形態ではこれは負の数となるので、順序値5における上から10段目のモータMよりも早いタイミングで、順序値6における上から2段目のモータMの駆動が行われる。
次に順序値が7である構成部分は、用紙セットの最上位の用紙1枚であり、その用紙は最上位の給紙トレイから供給されることになっているので、最上位のモータMが駆動される。この最上位のモータMは順序値6において最後に駆動された上から2段目のモータMよりも1段上にあるので、n1=−1である。したがって順序値7における最上位のモータMの駆動開始タイミングは、順序値6における上から2段目のモータMの駆動開始タイミングから時間T1−1×T2=T1−T2経過後のタイミングである。
このようなタイミングで駆動されることによって、この第2の実施形態においても、同一の順序値すなわち同一構成部分に属する用紙同士は用紙搬送路54において先端が揃うように重ねられて綴じ機構62に送り出され、異なる順序値すなわち異なる構成部分に属する用紙同士は用紙搬送路54では重ならず、綴じ機構62に送り込んでから重なるように制御されている。また第2の実施形態では、構成部分を決定する際の判定における、同一の構成部分とするか否かの基準が、第1の実施形態に対して逆になっている。したがって用紙搬送路59,54,53がUターンを伴っていても、蓄積部へ積載したときの順でユーザは送り出し元となる給紙トレイの番号を設定することができる。
(第3の実施形態)
図13は、第3の実施形態に係る丁合システム610の模式的な全体構成図である。第1、第2の実施形態と同一の部材については同一の番号を付与してその詳細な説明は省略する。丁合システム610は、丁合装置18、中綴じ折り装置20、紙受け装置420および管理装置28を備える。
丁合装置18は、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で一枚ずつ搬送して中綴じ折り装置20、あるいは紙受け装置420に送り出すとともに、必要に応じて、給紙トレイ50から送り出された用紙を用紙搬送路54で互いに重ね合わせて用紙束として搬送し、中綴じ折り装置20、あるいは紙受け装置420に送り出す。第3の実施形態においては、後処理機として中綴じ折り装置20と紙受け装置420を備える。中綴じ折り装置20は丁合装置の図示左側に設けられ、紙受け装置420は丁合装置の図示右側に、各々連結されも受けられる。用紙搬送路54の下端付近から搬送路が左右に分岐し、それぞれ中綴じ折り装置20と紙受け装置420に向かっている。すなわち第3の実施形態は、丁合装置18の左側に第1の実施形態と同一の中綴じ折り装置20を設け、丁合装置18の右側に第2の実施形態と同一の紙受け装置420が設けられている形態であり、用紙搬送路54の下端の分岐部に設けられている切替えゲートは、用紙搬送路54を下降してきた用紙を、左右どちらかに送り込むように切り替えられるようになっている。
また、丁合装置18、中綴じ折り装置20、紙受け装置420は各々CPU、ROM、RAMを有し内部機構の動作を制御する制御部を有しており、スタート信号を受信すると、受信した設定内容に基づいた紙受け処理を実施する。これらの制御部および管理PC94を総じて、電子制御部700として以下説明する。この丁合システム610は電源を投入すると、第1の実施形態と同様に、図2に示すモード選択画面101がディスプレイ96に表示される。通常丁合モードボタン102をマウス98でクリックすると、通常丁合モードとなる。通常丁合モードの動作は第1、第2の実施形態と同様に、公知の丁合システムの動作である。
モード選択画面101で任意丁合モードボタン103がクリックされた場合は、任意丁合モードとなり、第1、第2の実施形態と同様に、図3に示す条件入力画面200となる。第3の実施形態では、左側と右側の両方に後処理機が連結されているので、排出方向選択ボタン202は「右」「左」のどちらかをクリックして選択し、使用する後処理機を決定する。「左」を選択した場合、以後の動作は第1の実施形態と同一であり、「右」を選択した場合、以後の動作は第2の実施形態と同一である。すなわち左右の排出方向を選択することにより、各々の排出方向に適した方法で、各々の蓄積部に蓄積される用紙セットにおける互いに隣り合う2枚について、構成部分が同一か異なるかの判定を行うことができる。したがって、ユーザは「左」「右」どちらを選択しても、蓄積部である中綴じ折り装置20の綴じ機構62、あるいは紙受け装置420の紙受け部424で形成される用紙セットの積載順に、送り出し元となる給紙トレイの番号を設定すればよいので、使い勝手の良いシステムとなる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る丁合システム810を説明する。第4の実施形態の丁合システム810は、丁合装置18、中綴じ折り装置20、管理装置28を有する。すなわち図1に示す第1の実施形態と同一のシステムである。
そして図4に示す設定画面で、綴じ機構62に蓄積される用紙セットの各用紙について、その送り出し元となる給紙トレイをユーザが入力することができるとともに、この用紙セット中における、互いに隣合う2枚の用紙の上下方向の位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙部の上下方向の位置関係とが一致している場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める第1の判定を行って構成部分を決定する。この第1の判定は、第1の実施形態における判定と同一である。
本実施形態ではさらに、この第1の判定に加えて、用紙セット中における、互いに隣合う2枚の用紙の前記用紙セットの中での上下方向の位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙部の上下方向の位置関係とが逆である場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める第2の判定をも行う。この第2の判定は、第2の実施形態における判定と同一である。そして第1の判定で決定される構成部分の数よりも、第2の判定で決定される構成部分の数の方が少ない場合、積載方向を変更するようにユーザに促すための報知を行なう。
具体的には例えば図14のように入力されて確定ボタン303がクリックされると、第1の実施形態と同様の第1の判定が行わる。すなわち、用紙セット中で隣り合う2枚の用紙について、その用紙の用紙セット中での上下方向の位置関係と、その送り出し元となる給紙トレイの上下方向の位置関係が一致している場合に同じ構成部分と判定する。すなわち、図14の場合では、給紙トレイ番号欄に表示されているとなりあう2つの数字が、上の方が小さい場合に同一の構成部分となり、上の方が大きい場合には異なる構成部分となるから、この第1の判定では11個の構成部分に分けられる。図15は図14における確定ボタン303をクリックした後に表示される画面を示す図であり、第1の判定結果が送出順序欄307に表示される。
続いて第2の判定が行われる。第2の判定は、図14においては、給紙トレイ番号欄に表示されているとなりあう2つの数字が、上の方が大きい場合に同一の構成部分となり、上の方が小さい場合には異なる構成部分となる。すなわち、現時点で丁合装置18の各棚に積載されている用紙を、各棚への積載順を上下逆にした場合に、この第2の判定で決定した構成部分をもとにして、用紙同士を用紙搬送路54で重ねることができるのか否かを判断することができることになる。
そして図14のように入力された場合、第2の判定では、構成部分は、用紙セットの上から数えて「1枚目」「2枚目」「3枚目」「4枚目」「5〜8枚目」「9〜15枚目」の6個となる。この第2の判定の結果はこの時点では表示は行わない。すると、第1の判定による構成部分は11個、第2の判定による構成部分は6個となり、第2の判定の方が構成部分が少なくなる。これはすなわち、丁合装置18に積載されている用紙の各棚への積載順序を、上下逆順にすれば、処理が早く終了することを意味する。構成部分が同じ用紙同士は用紙搬送路54で重ねて供給できることから、構成部分が少ないほど、1セットあたりの処理時間は短くてすむからである。第2の判定による構成部分が第1の判定による構成部分の数よりも少ない場合に表示される図15の画面は、ユーザに載せ替えを促すメッセージ801と、実行ボタン802と、逆順取得ボタン803を有する。メッセージ801によって、上下逆順にした方が処理が早くなることをユーザに知らせる。実行ボタン802をクリックすると、載せ替えが行われなかったと判断してそのまま丁合作業が開始され、第1の判定で決定した構成部分をもとに、各モータMの駆動タイミングを決定する。
図16は図15において逆順取得ボタン803をクリックすると表示される画面である。図15において逆順取得ボタン803をクリックすると、給紙トレイ番号欄306が丁合装置18に積載されている用紙の各棚への積載順を上下逆にした場合の番号が表示され、送出順序欄は第2の判定をもとに決定した構成部分が表示される。実行ボタン804をクリックすると、この図17に表示されている構成部分と送出順序のとおりに、モータMが駆動されて丁合作業が開始される。戻るボタン805をクリックすると、図15に戻る。
この第4の実施形態によれば、用紙の各棚への積載順を上下逆にした方が処理が早くなるか否かを自動的に判断し、早くなる場合はユーザにこれを促す表示を行うことができる。ユーザはこの表示に従って逆順に載せ替えることにより、処理を早く終えることができる。また、処理速度が遅くはなっても、載せ替えの煩雑さを避けたい場合は、実行ボタン802によってそのまま実行することもできる。したがって積載順序が複雑になっても、適切な処理形態をユーザが選択することができるというメリットがある。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る丁合システム1010を説明する。第5の実施形態の丁合システム1010は、丁合装置18、紙受け装置420、管理装置28を有する。すなわち図8に示す第2の実施形態と同一のシステムである。すなわち第4の実施形態と異なり、蓄積部に至る搬送経路が、用紙搬送路59,54,53によってUターンを形成している。
そして図9に示す設定画面で、紙受け部424に蓄積される用紙セットの各用紙について、その送り出し元となる給紙トレイをユーザが入力することができるとともに、第4の実施形態と同様に、第1の判定と第2の判定を行う。具体的には例えば図17のように入力されて確定ボタン503がクリックされると、第2の実施形態と同様の第2の判定が行わる。すると、図17の場合では、給紙トレイ番号欄に表示されているとなりあう2つの数字が、上の方が大きい場合に同一の構成部分となり、上の方が小さい場合には異なる構成部分となるから、この第2の判定では11個の構成部分に分けられる。図18は図17における確定ボタン503をクリックした後に表示される画面を示す図であり、第2の判定結果が送出順序欄507に表示される。
続いて第1の判定が行われる。第1の判定は、図17において、給紙トレイ番号欄に表示されているとなりあう2つの数字が、上の方が小さい場合に同一の構成部分となり、上の方が大きい場合には異なる構成部分となる。すなわち、現時点で丁合装置18の各棚に積載されている用紙を、各棚への積載順を上下逆にした場合に、この第1の判定で決定した構成部分をもとにして、用紙同士を用紙搬送路54で重ねることができるのか否かを判断することができることになる。
そして図18のように入力された場合、第1の判定では、構成部分は、用紙セットの上から数えて「1〜7枚目」「8〜11枚目」「12枚目」「13枚目」「14枚目」「15枚目」の6個となる。この第1の判定の結果はこの時点では表示は行わない。すると、第2の判定による構成部分は11個、第1の判定による構成部分は6個となり、第1の判定の方が構成部分が少なくなる。これはすなわち、丁合装置18に積載されている用紙の各棚への積載順序を、上下逆順にすれば、処理が早く終了することを意味する。第2の判定による構成部分が第1の判定による構成部分の数よりも少ない場合に表示される図18の画面では、ユーザに載せ替えを促すメッセージ801と、実行ボタン802と、逆順取得ボタン803を表示する。メッセージ801によって、上下逆順にした方が処理が早くなることをユーザに知らせる。実行ボタン802をクリックすると、載せ替えが行われなかったと判断してそのまま丁合作業が開始され、第2の判定で決定した構成部分をもとに、各モータMの駆動タイミングを決定する。
図19は図18において逆順取得ボタン803をクリックすると表示される画面である。図18において逆順取得ボタン803をクリックすると、給紙トレイ番号欄506が丁合装置18に積載されている用紙の各棚への積載順を上下逆にした場合の番号が表示され、送出順序欄は第1の判定をもとに決定した構成部分が表示される。実行ボタン804をクリックすると、この図19に表示されている構成部分と送出順序のとおりに、モータMが駆動されて丁合作業が開始される。戻るボタン805をクリックすると、図18に戻る。
この第5の実施形態によれば、用紙の各棚への積載順を上下逆にした方が処理が早くなるか否かを自動的に判断し、早くなる場合はユーザにこれを促す表示を行う機能を、後処理機が丁合装置18の右側に連結されている場合についても実現した形態である。この場合、後処理機に至る搬送経路はUターン搬送を伴うから、第4の実施形態に対し、第1、第2の判定が入れ替わることになる。このように、後処理機が丁合装置18の左右どちらに連結されていても、ユーザが処理を早く終えられるように積み方の変更を促すなど、適切な処理形態を選択できる。
(第6の実施形態)
本発明における第6の実施形態に係る丁合システム1110を説明する。図20は第6の実施形態における丁合システム1110を示す模式的な全体構成図である。丁合システム1110は丁合装置18a、18bの2台を有し、この2台は搬送ブリッジ19によって連結されている。丁合装置18aの各給紙トレイ50から送り出された用紙は、用紙搬送路54aを通って後処理装置20の綴じ機構62に送り込まれる。丁合装置18bの各給紙トレイ50から送り出された用紙は、用紙搬送路54bから搬送ブリッジ19を経由して丁合装置18aの用紙搬送路53aに入り、そのまま左方に送られて後処理装置20の綴じ機構62に送り込まれる。
この丁合システム1110は電源を投入すると、第1の実施形態と同様のモード選択画面101(図2参照)がディスプレイ96に表示される。モード選択画面101で任意丁合モードボタン103をクリックすると、図21に示す条件設定画面1200が表示される。この条件入力画面1200は、枚数入力部201と、排出方向選択ボタン202に加えて、使用タワー数入力部203を備える。使用タワー数入力部203には、連結されている丁合装置の数を入力する。なお、丁合装置が何台連結されているかを通信手段等によって管理PCが認識することにより、この入力を省略してもよい。
設定画面ボタン204をクリックすると、設定画面1300が表示される。図22は設定画面1300を示す図である。設定画面1300は、2台分の丁合機表示部301a、301bが設けられている他は、第1の実施形態の設定画面300と同じである。丁合機表示部301aの各々の給紙トレイには上から1,2、3の順に10まで番号がふられており、丁合機表示部301bの各々の給紙トレイには上から11,12,13の順に20まで番号がふられている。給紙トレイ番号欄306には、この1から20までの番号を入力する。
図23は第6の実施形態において、設定画面1300で用紙セット設定部302のすべての入力セルの入力が完了した状態を示す図である。ここで確定ボタン303をクリックすると、電子制御部1100は用紙セットの中で互いに隣り合う2枚の用紙の組合せ全てについて、同一の構成部分に含むか否かを判断する。第6の実施形態においては、用紙セットの中で互いに隣り合う2枚の用紙が、同一の丁合装置に設けられている給紙トレイから供給される場合は、第1の実施形態と同様に、用紙セットの中で互いに隣り合う2枚の用紙の上下方向の位置関係と、該2枚の用紙各々の送り出し元の給紙部の上下方向の位置関係とが一致している場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める判定を行う。用紙セットの中で互いに隣り合う2枚の用紙が、異なる丁合装置に設けられている給紙トレイから供給される場合は、用紙セットの中で互いに隣り合う2枚の用紙のうち、上側の用紙の送り出し元である給紙トレイが設けられている丁合装置が、下側の用紙の送り出し元である給紙トレイが設けられている丁合装置よりも、中綴じ折り装置20に近い位置である場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める判定を行う。2台の丁合機にまたがった複数の給紙部から供給された用紙同士を搬送しながら重ねる場合は、後処理機に近い丁合装置から供給された用紙が上になるように重ねられるからである。
例えば図23のように入力されて確定ボタン303が押された場合、用紙セットの上から11枚目の用紙と、12枚目の用紙の上下方向の位置関係は、前者が上、後者が下となる。そして前者は丁合機18aの最下位の給紙トレイから供給され、後者は丁合機18aよりも中綴じ折り機20から見て遠いところにある丁合機18bの最上位の給紙トレイから供給される。したがって、用紙セットの中で上側の用紙である11枚目の用紙は、下側の用紙である12枚目の用紙よりも、送り出し元の丁合装置が中綴じ折り機20に近い側に位置していることになる。この結果、用紙セットの上から11枚目の用紙と12枚目の用紙は、同一の構成部分に含めると判定する。この他の組合せについては、いずれも同一の丁合装置から供給される用紙同士であるので、その判定方法は第1の実施形態と同じである。図24は図23における確定ボタン303をクリックしたときに表示される画面で、この判定を行って決定した構成部分が表示されている。
この後丁合システムをスタートさせると、この構成部分に応じたタイミングで各モータMが駆動される。モータMの駆動タイミングの決定方法は、互いに異なる丁合装置に設けられた給紙トレイから供給された用紙同士である場合は、互いの用紙が合流するまでの搬送経路の長さを考慮して、蓄積部で重ねるか、あるいは蓄積部に至る以前の搬送路において重ねるか、どちらであるのかに応じてタイミングを決定すればよい。同一の丁合装置にも受けられた給紙トレイから供給された用紙同士である場合は、第1の実施形態と同様に決定すればよい。なお、言うまでもなく丁合機の連結台数は2台に限られず、3台以上でも良い。
(変形例)
本発明は上記第1乃至第5の実施形態に限られず、当業者が理解できる範囲で様々な変形・組合せが可能である。
(変形例1)
丁合装置18の左右両側に後処理機を設けた場合でも、左側の後処理機を選択した場合に第4の実施形態と同様の制御を、右側の後処理機を選択した場合に第5の実施形態と同様の制御を行うことによって、いずれの場合でも丁合機への積載順序を入れ替えることによって処理が早くなる場合にこれをユーザに報知してもよい。
(変形例2)
本発明における各実施形態において、管理PC28に代えて、丁合システム内のいずれかの装置に内臓したCPUを設けても良い。また、ユーザの画面操作はディスプレイ96においてマウス98を操作する形態に限らず、丁合システム内のいずれかの装置に設けた操作パネルで行っても良い。例えば丁合システムのいずれかの装置に設けたタッチパネル上で、指でタッチすることにより操作しても良い。
(変形例3)
2台以上連結された丁合装置の右側に紙受け装置420等の後処理機を連結した場合も、第6の実施形態と同様に、用紙セットの中で互いに隣り合う2枚の用紙のうち、上側の用紙の送り出し元である給紙トレイが設けられている丁合装置が、下側の用紙の送り出し元である給紙トレイが設けられている丁合装置よりも、後処理装置に近い位置である場合に、該2枚の用紙を同一の構成部分に含める判定を行えばよい。さらに2台以上連結された丁合装置の左右両側に各々後処理機が連結された場合は、使用中の後処理機に近い丁合装置を、「後処理装置に近い位置にある丁合装置」と判断して判定を行えばよい。