JP5788731B2 - 高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープ - Google Patents

高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープ Download PDF

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Description

本発明は高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープに関し、さらに詳しくは粘着層を介する場合でも高い熱伝導性能を有する高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープに関する。
近年、デバイスの発熱量の増加に伴い、その放熱技術が大きな課題となってきている。こうした放熱技術としては、例えば、CPU、MPU、パワートランジスタ、LED、レーザーダイオード等の発熱量の大きな電気素子、デバイス類(以下、これらを纏めて、デバイスと記す)から生じる熱を熱伝導性シートなどと称される接着性のシートを介してヒートシンクや金属カバーなどの放熱部品に逃がす設計が検討されており、種々の熱伝導性シートが提案されている。
例えば、熱伝導性シートには放熱部材との間にリーク電流などが発生しないよう、高熱伝導性とともに電気絶縁性が求められている。これらの課題を解決する高熱伝導性接着シートとして、例えば特許文献1において薄肉のセラミック基板が提案され、熱可塑性樹脂層を介して放熱部品と接着させることが提案されている。
また、特許文献2には高熱伝導性材料としてグラファイトフィルムを用い、柔らかいグラファイトフィルムの表面を保護するために保護層を設け、さらに粘着層を積層した複合フィルムが提案されている。
一方、セラミックシートやグラファイトシートを高熱伝導性材料として用いる場合、熱伝導性は高まるものの柔軟性に乏しい、あるいは基材を薄肉化しにくいなどの問題があった。
また特許文献3において、樹脂中に熱伝導性のフィラーを多量に含有する接合材料の検討がなされており、熱伝導率をあげるために金属フィラー量を増加すると熱伝導率は向上するものの接着性が低下すること、また接合材料の形態をペースト状とすると金属フィラー量が増加するほどペーストの粘度を高くする必要があり作業性が低下することを鑑み、熱硬化性樹脂中にフィラー多量に含有させることで、高い接着力と高熱伝導性をバランスよく備えることができることが提案されている。一方、かかる方法を用いるためには熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として用いることになり、硬化させる工程が必要となる。
そこで、汎用されているポリエステルフィルムなどのような熱可塑性で柔軟性に富むフィルムを熱伝導性シートの基材として用いながら、高い接着性と高熱伝導性を備える高熱伝導性粘着テープを生産性高く提供することが求められている。
特開2007−173338号公報 特開2008−80672号公報 特開2003−221573号公報
本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解消し、粘着テープとして使用する際に粘着層を介して高い接着性と高熱伝導性を発現できる高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、繊維径が小さくアスペクト比の高い繊維状炭素材料を熱可塑性樹脂フィルムに含有させることにより、延伸後もボイドを形成することなくフィルム中に含有させることが可能となり、その結果、フィラーの含有量を多くしなくても高熱伝導性が発現し、同時に一定の電気絶縁性も備えること、しかもフィラーを含む熱伝導性フィルムでありながら従来よりもフィルム表面が平滑なため、均一な粘着力を有する粘着層を形成する際にその厚みを薄くでき、高い接着性と高熱伝導性を備える高熱伝導性粘着テープを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、繊維状炭素材料を含む二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムにおいて、フィルムを構成する熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの少なくとも1種であり、該繊維状炭素材料の平均繊維径が0.05〜0.2μm、平均アスペクト比が15以上であり、該繊維状炭素材料の含有量が1重量%を超えて20重量%以下であり、フィルムの中心線平均粗さRaが4nm以上100nm以下であって、フィルム厚み方向の熱伝導率が0.28W/(m・K)以上である高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムによって達成される。
また、本発明の高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムにはフィルム厚みが5μm以上100μm以下であることを具備する態様も好ましく包含される。
また、本発明には本発明の高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着層を有する高熱伝導性粘着テープも包含され、その好ましい態様として、該粘着層の層厚みが1μm以上100μm以下であること、該粘着層がアクリルもしくはエポキシ系の粘着剤を含むことも包含される。
本発明によれば、粘着テープとして使用する際に粘着層を介して高い接着性と高熱伝導性を発現できる高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープを生産性高く提供することができる。
<二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムは繊維状炭素材料を含み、高熱伝導性粘着テープの基材に用いられる。該繊維状炭素材料の平均繊維径は0.05〜5μm、平均アスペクト比は15以上であり、該繊維状炭素材料の含有量は1重量%を超えて20重量%以下である。また本発明におけるフィルムの中心線平均粗さRaは4nm以上100nm以下であって、フィルム厚み方向の熱伝導率は0.28W/(m・K)以上である。
以下、本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを構成する各構成成分について説明する。
<繊維状炭素材料>
本発明における繊維状炭素材料としては、繊維状の炭素材料であって、本発明が規定する熱伝導率、表面粗さ特性を満足するものであれば特に限定されないが、好ましくはカーボンナノファイバー、カーボンナノチューブなどが挙げられる。これらの炭素材料は極めて高い熱伝導性を有するのみならず、熱的安定性、寸法安定性、化学的安定性、機械的強度等に優れ、また製膜性の向上効果を高くすることができ、特に好ましく用いられる。
本発明における繊維状の形状には円柱状の形状のみならず、かまぼこ状、板状のものも包含される。
本発明における繊維状炭素材料の平均繊維径は、0.05〜5μmである。繊維状炭素材料の平均繊維径が上記数値範囲にあると、熱伝導性、製膜性に同時に優れる。高熱伝導性特性については、ポリエステルフィルムに繊維状炭素材料を含有させて二軸延伸する際、このような小さな繊維径の繊維状炭素材料を用いることにより、ボイドが発生しにくく、繊維状炭素材料自体の熱伝導性がフィルムの状態でも損なわれずに効率的に発現されるためと考えられる。
繊維状炭素材料の平均繊維径が小さすぎる場合は熱伝導性に劣り、また繊維状炭素材料が分散し難くなるため、製膜性が低下する傾向にある。他方、平均繊維径が大きすぎる場合は、延伸によって繊維とマトリックス樹脂との界面にボイドが形成されやすく熱伝導性が低下する他、延伸時にフィルムが切断し易く製膜性および表面平滑性が低下する傾向にある。このような観点から、繊維状炭素材料の平均繊維径は、より好ましくは0.05〜3μm、さらに好ましくは0.05〜1μm、特に好ましくは0.05〜0.2μmである。
本発明における繊維状炭素材料の平均アスペクト比は、15以上、好ましくは20以上、さらに好ましくは40以上、特に好ましくは100以上である。繊維状炭素材料の平均アスペクト比が上記数値範囲にあると熱伝導性および製膜性に同時に優れる。平均アスペクト比が小さすぎると熱伝導性が低下する傾向にある。
また、繊維状炭素材料の平均アスペクト比の上限は特に制限はないが、好ましくは10000以下、より好ましくは1000以下、さらに好ましくは500以下、特に好ましくは200以下である。
ここで、繊維状炭素材料の平均アスペクト比は、平均繊維長/平均繊維径で表わされ、板状である場合の平均アスペクト比は平均長径/平均厚みで表わされる。また、かまぼこ状である場合は半円状断面の外縁のうち直線状部分を測定して平均繊維径を求めることができる。
これら平均繊維径、平均繊維長は、走査型電子顕微鏡を用いて50本測定した平均値より求めることができる。
本発明における繊維状炭素材料の真密度は、2.0〜2.5g/ccであることが好ましい。真密度が上記数値範囲にあると熱伝導性の向上効果を高くすることができる。
本発明における繊維状炭素材料の平均繊維長は、上述のアスペクト比を満たす範囲であれば特に制限されないが、好ましくは0.75〜4000μm、より好ましくは3〜2000μm、さらに好ましくは5〜500μm、特に好ましくは5〜100μmである。
なお、繊維状炭素材料には必要に応じて表面処理が施されていても良い。かかる表面処理としては、フィルム中での分散性を高めるための表面活性化処理が挙げられる。
本発明において、かかる繊維状炭素材料のフィルム中の含有量は、フィルムの重量を基準として1重量%を超えて20重量%以下である。本発明においては、平均繊維径が小さくアスペクト比の高い繊維状炭素材料をフィルムに含有させることにより、二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム中のボイド発生が抑制され、従来ほど熱伝導性材料の含有量を多くしなくても高熱伝導性が発現し、同時に一定の電気絶縁性も備えることができ、製膜性、フィルム表面性にも優れる。
一方、繊維状炭素材料の含有量が多くなると、熱伝導性は向上する傾向にあるが、製膜性、フィルム表面性、電気絶縁性に乏しくなる傾向にある。このような観点から、繊維状炭素材料の上限は、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは12重量%以下である。また繊維状炭素材料の下限は、好ましくは2重量%以上、より好ましくは3重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上である。
また、繊維状炭素材料とともに、後述する繊維状炭素材料以外の熱伝導性フィラーを併用する場合には、かかる範囲内で繊維状炭素材料の量を少なくしてもよい。
(カーボンナノファイバー・カーボンナノチューブ)
カーボンナノチューブとは炭素の同素体であり、複数の炭素原子が結合して筒状に並んでおり、平均繊維径は好ましくは0.1μm以下である。
カーボンナノチューブとしては、任意のカーボンナノチューブを用いることができる。カーボンナノチューブの例として、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブ、およびこれらがコイル状になったものが挙げられる。
単層カーボンナノチューブはグラファイト状炭素原子が一重で並んでいるものであり、多層カーボンナノチューブはグラファイト状炭素原子が2層以上同心円状に重なったものであり、いずれのカーボンナノチューブを用いてもよい。また、カーボンナノチューブの片側が閉じた形をしたカーボンナノホーン、その頭部に穴があいたコップ型のナノカーボン物質、両側に穴があいたカーボンナノチューブなども用いることができる。
カーボンナノファイバーの平均繊維径は好ましくは0.1μm以上0.9μm以下であり、気相成長炭素繊維が例示される。
カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブは、洗浄、遠心分離、ろ過、酸化、クロマトグラフィーなどによって精製されたものであっても未精製のものであってもよい。また、カーボンナノファイバーおよびカーボンナノチューブはフィルム中で1本ずつ分離した状態で分散していてもよく、または複数本が束になった状態で分散していてもよい。
<繊維状炭素材料以外の熱伝導性フィラー>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムは、上記繊維状炭素材料とは異なる熱伝導性フィラーをさらに含有してもよい。上述した繊維状炭素材料と、該炭素材料以外の熱伝導性フィラーとを同時に含有することによって、相乗効果によってフィルムの熱伝導性をさらに高めることができ、熱伝導性の向上効果をより高くすることができる。
更に熱伝導性フィラーを含有する場合、熱伝導性フィラーの含有量はフィルムの重量を基準として1〜40重量%であることが好ましい。熱伝導性フィラーの含有量が上記数値範囲にあると、製膜性を維持しながら熱伝導性の向上効果をより高くすることができる。熱伝導性フィラーの含有量は、より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜20重量%である。複数種の熱伝導性フィラーを同時に用いる場合は、これらの合計の含有量が上記数値範囲となるようにすればよい。
このような熱伝導性フィラーとしては、黒鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、窒化硼素、窒化アルミニウム、その他セラミクス材料等が挙げられ、さらに粒子形状のものが好ましい。
<熱可塑性樹脂>
本発明のフィルムを構成する熱可塑性樹脂としては特に限定はなく、各種のものを用いることが可能であるが、その中でも特に、溶融押出等によるシート成形性や熱延伸による面内方向への伸張性に優れた熱可塑性樹脂が好ましい。また本発明において、熱可塑性樹脂には熱可塑性エラストマー樹脂も包含される。
これら熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン系樹脂及びその共重合体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体等のエチレン−α−オレフィン共重合体など)、ポリ乳酸系樹脂、ポリエステル系樹脂及びその共重合体(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレート、液晶性ポリマーなど)、脂肪族ポリアミド類及びその共重合体、芳香族ポリアミド類及びその共重合体等を挙げることができる。
さらに、ポリイミド類及びその共重合体、ポリアミドイミド類及びその共重合体、ポリメタクリル酸類及びその共重合体(ポリメタクリル酸メチル等のポリメタクリル酸エステルなど)、ポリアクリル酸類及びその共重合体、ポリアセタール類及びその共重合体、フッ素樹脂類及びその共重合体(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等)、ポリスチレン類及びその共重合体(スチレン−アクリロニトリル共重合体、ABS樹脂など)、ポリアクリロニトリル類及びその共重合体、ポリフェニレンエーテル(PPE)類及びその共重合体(変性PPE樹脂なども含む)、ポリカーボネート類及びその共重合体、ポリフェニレンスルフィド類及びその共重合体、ポリサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルサルホン類及びその共重合体、ポリエーテルニトリル類及びその共重合体、ポリエーテルケトン類及びその共重合体、ポリエーテルエーテルケトン類及びその共重合体、ポリケトン類及びその共重合体等が挙げられる。
これらの中でも好ましい熱可塑性樹脂として、ポリエステル系樹脂及びその共重合体を挙げることができ、中でもポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの少なくとも1種が好ましい。これらのポリエステルを用いることにより、製膜性により優れ、製膜性と熱伝導性のバランスをより良好なものとすることができる。
(ポリエステル)
熱可塑性樹脂としてポリエステルを用いる場合、具体的にはジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体との重縮合によって得られるポリマーである。
ジカルボン酸成分として、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸およびセバシン酸が挙げられ、またジオール成分として、例えばエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられる。これらのジカルボン酸成分およびジオール成分を重縮合して得られるポリエステルの中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレンジカルボキシレートが好ましく、特に耐熱性の観点から、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートが好ましい。
本発明のポリエステルはホモポリマーであってもよく、また共重合体、2種以上のポリエステルとの混合体のいずれであってもかまわない。共重合体または混合体における従たる成分は、全酸成分を基準として好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下、さらに好ましくは5モル%以下である。
共重合成分としては、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分が挙げられる。
かかるポリエステルは公知の方法を適用して製造することができる。例えば、ジオール成分とジカルボン酸成分および必要に応じて共重合成分をエステル化反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造することができる。また、これらの原料モノマーの誘導体をエステル交換反応させ、次いで得られる反応生成物を重縮合反応させてポリエステルとする方法で製造してもよい。
ポリエステルの固有粘度は、ο−クロロフェノール中、35℃において、0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40dl/g以上0.80dl/g以下であることがさらに好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満ではフィルム製膜時に切断が多発したり、成形加工後の製品強度が不足することがある。一方、固有粘度が0.80dl/gを超える場合は重合時の生産性が低下する傾向にある。
<フィルムの中心線平均粗さRa>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムは、フィルムの中心線平均粗さRaが4nm以上100nm以下である。繊維形状の炭素材料を一定量含んでいながら従来よりも平坦な表面性を有するため、粘着層を設けるに際して均一な粘着力を得るために必要となる厚みを薄くでき、高い接着性と高熱伝導性を備える高熱伝導性粘着テープを提供できる。
フィルムの中心線平均粗さRaは好ましくは5nm以上85nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上20nm以下である。
かかる表面性を得るためには、繊維状炭素材料の平均繊維径およびその含有量を上述の範囲にすることが挙げられ、さらに繊維状炭素材料以外の熱伝導性フィラーを用いる場合はその含有量を上述の範囲内で用いることが挙げられる。
<フィルム厚み方向の熱伝導率>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの厚み方向の熱伝導率は、0.28W/(m・K)以上である。かかる熱伝導率は、好ましくは0.30W/(m・K)以上、より好ましくは0.31W/(m・K)以上である。また、厚み方向の熱伝導率の上限は、0.50W/(m・K)以下であることが好ましく、より好ましくは0.48W/(m・K)以下さらに好ましくは0.45W/(m・K)以下、特に好ましくは0.42W/(m・K)以下である。
フィルムの厚み方向においてかかる熱伝導率を有することにより、熱伝導性に優れるため、粘着テープとして用いた場合に発熱源のデバイス類から生じる熱を放熱部材に十分に放熱することができる。一方、熱伝導率はより高い方が好ましいものの、より高い熱伝導率を得ようとすると繊維状炭素材料の含有量を増やす必要があり、フィルム表面が粗くなりすぎることがある。
また、本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムは、面方向の熱伝導率が0.95W/(m・K)以上20W/(m・K)以下であることが好ましい。面方向の熱伝導率がかかる範囲にあると、製膜性と熱伝導性の向上効果を高くすることができる。面方向の熱伝導率が下限に満たないと、面内方向における熱伝導や熱拡散を効率的に行うことが難しいことがあり、熱伝導性の向上効果が低くなることがある。他方、20W/(m・K)を超える面方向の熱伝導率を得ようとすると製膜性に乏しくなる場合がある。このような観点から、面方向の熱伝導率は、より好ましくは1.0W/(m・K)以上10W/(m・K)以下、さらに好ましくは1.0W/(m・K)以上5W/(m・K)未満である。
このような熱伝導率特性を得るためには、繊維状炭素材料の形状および含有量、製膜条件などを適宜調整すればよい。また、繊維状炭素材料以外の熱伝導性フィラーを併用することにより、熱伝導率はさらに高くなる傾向にある。
ここで本発明における熱伝導率とは、レーザーフラッシュ法により求めた熱拡散率α、JIS K7123に準じて測定した比熱容量Cp、および密度ρより、下記式(1)から熱伝導度λ(W/cm・K)を求め、単位換算を実施した値で表わされる。
熱伝導度λ=α・Cp・ρ ・・・(1)
なお、厚み方向の熱伝導率は、フィルムサンプルを25mmφに切り取り、その厚み方向を測定方向として測定することにより求めることができる。
<フィルム厚み>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの厚みは5μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは10μm以上90μm以下、さらに好ましくは20μm以上80μm以下である。フィルム厚みが下限に満たないと粘着テープ基材としての取り扱い性や強度が十分でないことがある。一方、上限を超えるフィルム厚みでは、熱伝導性機能が低下することがある。
<電気絶縁層>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムはさらに電気絶縁層を設けなくても十分な電気絶縁性を備えるが、フィルム自身の有する高熱伝導性が損なわれない範囲内であれば3μm以下、より好ましくは2μm以下の範囲内でフィルムの片面、あるいは両面に電気絶縁層を積層してもよい。
電気絶縁層は各種用途で必要とされるレベルの電気絶縁性を有することが好ましく、例えば体積抵抗率として、少なくとも1E13(Ω・cm)以上であることが好ましく、より好ましくは1E14(Ω・cm)以上である。
上限を超える厚みの電気絶縁層をフィルムの両面に有する場合は層の熱抵抗が大きくなり、電気絶縁層の存在により熱の流れが阻害されることがある。
電気絶縁層を構成する樹脂として、本発明の高熱伝導性の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムに用いられるものと同じ材料が挙げられる。
<粘着層>
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムには、その少なくとも片面に粘着層が設けられることが好ましく、両面に設けられることがさらに好ましい。粘着層を有する高熱伝導性粘着テープを介して、デバイス類から生じる熱をヒートシンクや金属カバーなどの放熱部品に逃がすことにより、デバイス類と高熱伝導性粘着テープとの界面または高熱伝導性粘着テープと放熱部品との界面で熱の流れが阻害されることなく伝導されやすくなる。
粘着層の厚みは、1層あたり1μm以上100μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは1μm以上50μm以下である。粘着層の厚みを上記数値範囲とすることによって、粘着テープとしての熱伝導性に優れる。かかる厚みが上限を超えると層の熱抵抗が大きくなり、熱の流れが阻害されやすくなる。
本発明において、二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムが繊維状材料を多量に含んでいながらフィルム表面の平坦性が高いため粘着層を薄く形成することができ、均一な接着面を有していながら粘着層による熱抵抗を小さくすることができる。
粘着層を構成する樹脂として、本発明の高熱伝導性の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムに用いられるものと同じ材料や、その共重合材料および/または変性材料、粘着剤として汎用されているアクリル系粘着材料やエポキシ系粘着材料が例示され、高熱伝導性の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを構成する樹脂よりも融点が低いか、融点を示さない非晶性の材料を用いることが好ましい。
粘着層には層の熱伝導性を高める目的で、上述の繊維状炭素材料や熱伝導性フィラーを添加してもよいが、これらの含有量が多すぎると粘着性能が低下することがある他、二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムとの共押出により形成される場合には製膜性が低下することがある。そのため、粘着層は繊維状炭素材料や熱伝導性フィラーを実質的に含有しない態様(好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.1重量%以下である態様)が好ましい。
<フィルム製造方法>
以下に本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムを得る方法を以下に具体的に述べるが、以下の例に特に限定されるものではない。
本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムは、熱可塑性樹脂と繊維状炭素材料、さらに必要に応じてさらに添加する剤を押出機で溶融混練し、溶融押出した後、固化成形したシートを二軸方向に延伸することで製造することができ、公知の製膜方法を用いて製造することができる。
一例として、熱可塑性樹脂を必要に応じて乾燥させた後、樹脂組成物を樹脂の融点〜(融点+70)℃の温度で押出機内で溶融させる。ここで、熱可塑性樹脂と混合する繊維状炭素材料は、あらかじめ樹脂を製造する工程(例えば重合工程)において添加して混合してもよいし、樹脂(一般的にはポリマーチップとして取り扱われる)を乾燥する前に添加して十分に混合を行ってもよいし、乾燥後に添加、混合を行なってもよい。乾燥後に添加、混合を行なう場合は、押出機に投入する前であってもよいし、押出機内で樹脂に添加し、混合してもよい。
次いで、ダイより押し出されたシート状成形物を表面温度10〜60℃の冷却ドラムで冷却固化し未延伸フィルムを得て、この未延伸フィルムを例えばロール加熱または赤外線加熱によって加熱した後、逐次または同時に二軸延伸を行なう。例えば、逐次二軸延伸の場合は、まず機械軸方向(縦方向、長手方向、MDという場合がある)に延伸して縦延伸フィルムを得る。かかる縦延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸温度は熱可塑性樹脂のガラス転移点温度(Tg)より高い温度、更にはTgより20〜40℃高い温度とするのが好ましい。
縦延伸倍率は、好ましくは1.1倍以上3.0倍以下の範囲、より好ましくは1.3倍以上2.8倍以下の範囲、さらに好ましくは1.5倍以上2.8倍以下の範囲である。縦延伸倍率が低すぎる場合は、熱伝導性フィルムとしての強度が十分でないことがある他、フィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られないことがある。また、熱可塑性樹脂の配向が低くなる傾向にあり、それにより熱伝導性の向上効果が低くなる傾向にある。他方、縦延伸倍率が高すぎる場合は、繊維状炭素材料によって結晶化および配向が促進され、縦方向に裂けやすくなる傾向にある。また、製膜中に破断が発生しやすくなる傾向にあり、製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。
得られた縦延伸フィルムは、続いて機械軸方向と垂直な方向(横方向、幅方向、TDと呼称する場合がある)に延伸を行い、その後、熱固定、熱弛緩の処理を順次施して二軸配向フィルムとするが、かかる処理はフィルムを走行させながら行う。
横延伸処理は熱可塑性樹脂のガラス転移点温度(Tg)より20℃高い温度から始め、熱可塑性樹脂の融点(Tm)より(120〜30)℃低い温度まで昇温しながら行う。かかる横延伸開始温度は、好ましくは(Tg+40)℃以下である。また横延伸最高温度は、好ましくはTmより(100〜40)℃低い温度である。横延伸開始温度が低すぎるとフィルムに破れが生じやすい。また横延伸最高温度が(Tm−120)℃より低いと、得られたフィルムの熱収縮率が大きくなり、また幅方向の物性の均一性が低下しやすい。一方、横延伸最高温度が(Tm−30)℃より高いとフィルムが柔らかくなりすぎ、製膜中にフィルムの破れが起こり易くなる傾向にあり、生産性の向上効果が低くなる。
横延伸過程の昇温は連続的でも段階的(逐次的)でもよいが、通常は段階的に昇温する。例えば、ステンターの横延伸ゾーンをフィルム走行方向に沿って複数に分け、ゾーンごとに所定温度の加熱媒体を流すことで昇温する。
横延伸倍率は、好ましくは2.1倍以上4.0倍以下の範囲、より好ましくは2.5倍以上3.8倍以下の範囲、さらに好ましくは2.8倍以上3.5倍以下の範囲である。横延伸倍率が低すぎる場合は、生産性の向上効果が低くなる傾向にあり、また熱伝導性の向上効果が低くなる傾向にある。また、フィルムの強度が低くなる傾向にある他、フィルムの厚み斑が悪くなり良好なフィルムが得られないことがある。他方、横延伸倍率が高すぎる場合は、延伸中にフィルムが破断しやすくなる傾向にある。また、製膜中に破断が発生しやすくなる傾向にあり、製膜性の向上効果が低くなる傾向にある。
本発明において、上記のような特定の縦延伸倍率および横延伸倍率の範囲を同時に採用することは、特に好ましい製造方法である。このような延伸条件を採用することによって、フィルムや繊維状炭素材料を適度に配向させ、熱伝導性の向上効果をより高くすることができる。また、横延伸倍率に対して縦延伸倍率を低めに設定することによって、横延伸時のフィルム破断を抑制し、製膜性の向上効果をより高くすることができる。
二軸延伸されたフィルムは、その後熱固定処理が施される。熱固定処理を施すことにより、得られたフィルムの高温条件下での寸法安定性を高めることができる。熱固定処理は、好ましくは(Tm−100℃)以上、さらに好ましくは(Tm−70)℃〜(Tm−40)℃の範囲で行うことができる。
例えば熱可塑性樹脂としてポリエチレンナフタレンジカルボキシレートを用いる場合は220℃〜250℃の範囲で行うことが好ましい。また、熱固定処理後、150℃〜250℃の温度条件で1〜3%の熱弛緩処理、オフライン工程にて150〜250℃で5分以上熱処理(アニール処理)、50〜80℃で除冷するアニール処理等を施しても良い。アニール処理時間の上限は特に制限されないが、長時間すぎるとフィルム物性が低下する可能性があるため、高々1時間であることが好ましい。
このようにして得られた二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、さらに塗布層を形成する際は、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施すか、あるいは組成物と共にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用してもよい。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組み合わせて用いることができる。
<高熱伝導性粘着テープ>
本発明において、本発明の二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面、好ましくは両面に粘着層を形成し、高熱伝導性粘着テープとして用いることが好ましい。本発明の高熱伝導性粘着テープは従来の高熱伝導性フィルムよりもフィルム表面が平滑なフィルムを用いて形成されるため、粘着層厚みを薄くしても均一な接着力を得ることができ、また高熱伝導性に優れるものである。
以下、実施例および比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各特性値は以下の方法で測定した。また、実施例中の部および%は、特に断らない限り、それぞれ重量部および重量%を意味する。
1.繊維状炭素材料の平均繊維径、平均アスペクト比
電界放出型走査電子顕微鏡(日立S−4700)を用いて10000倍にて繊維状炭素材料50本の繊維径および繊維長を測定し、それぞれの平均値から平均繊維径、ならびに平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)を求めた。
2.フィルム各層の厚み
サンプルを長手方向1cm、幅方向3cmに切り出し、かみそり刃を用いて幅方向に垂直に切断した。サンプル断面を光学顕微鏡を用いて観察撮影し、写真から各層の厚みを測定した。
3.製膜性
連続製膜機にて1万m製膜した時のフィルムが切断した回数に応じて下記の通り評価した。
○:破断なし(0回)
△:1〜2回
×:3回以上
4.熱伝導率
キセノンフラッシュアナライザ(NETZSCH社製;LFA447)により、厚み方向の熱拡散率α(cm/sec)を測定し、別に測定した比熱容量Cp(J/g・K)と密度ρ(g/cc)から、厚み方向の熱伝導率λ(W/cm・K)をλ=α・Cp・ρで求め、単位換算を実施した値を用いて評価を行った。
なお、厚み方向の熱拡散率αはフィルムサンプルを25mmφに切り取り測定した。また、面方向はフィルムサンプルを3mm幅にスリットし、直径が10mmφになるよう直径2mmの円柱状木材へ巻きつけ、測定した。
密度ρは硝酸カルシウム水溶液を用いて密度勾配管法にて測定して得ることができる。
また、比熱容量Cpは、JIS K 7123に準じて測定された値である。
5.中心線平均粗さ(Ra)
JIS−B0601、B0651に従い、3次元表面粗さ計((株)小坂研究所製、商品名:SURF CORDER SE−3CK)を使用して、触針先端R2μm、走査ピッチ2μm、走査長1mm、走査本数100本、カットオフ0.25mmの条件にて、中心線平均粗さRaを測定した。
6.体積抵抗率(電気絶縁性評価)
JIS C2151に従い、アドバンテスト社製のデジタル超高抵抗/微少電流計を用いて100Vの電圧での体積抵抗(Rv)を測定し、次式にて体積抵抗率(ρv)を計算した。
ρv=18.84×Rv
7.基板温度
下記実施例および比較例で得られた二軸配向フィルム(5cm角)上に市販のアクリル系粘着材を両面にそれぞれ15μmとなるよう塗布し、片面を3WのLEDチップ4個が載せられた5cm角のCEM-3基板と貼り合せ、もう一方の面を5cm角の1.5mm厚のアルミ板と貼り合せた。
LEDを点灯させてから2時間経過した後、CEM-3基板の中央部分の温度を測定した。
<実施例1>
ポリエステルとしてポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂を用い、アスペクト比167の繊維状炭素材料(多層カーボンナノチューブ 保土谷化学工業株式会社製 MWNT7(平均繊維径0.06μm、平均繊維長10μm))をフィルム重量を基準として2重量%の含有量となるよう添加し、かかる樹脂組成物を押出機に供給し、290℃で溶融混練した。
溶融混練した樹脂をダイスリットより押出した後、表面温度60℃に設定したキャスティングドラム上で冷却固化させて未延伸フィルムを作成した。
この未延伸フィルムを140℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向)に1.5倍で延伸し、60℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフィルムの両端をクリップで保持しながらテンターに導き150℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向(横方向)に3.0倍で延伸した。その後テンタ−内で235℃の熱固定を行い、均一に除冷して、室温まで冷やして25μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
また、二軸延伸ポリエステルフィルム表面が平滑であるため、基板温度用のサンプル作成と同様の方法でフィルム上に15μm厚みの粘着層を形成してその表面を観察したところ、粘着層表面もフィルム表面と同様に平滑であり、繊維状炭素材料に起因する荒れはみられなかった。
<実施例2>
実施例1と同じ繊維状炭素材料を用いて炭素繊維の含有量を5重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例3>
実施例1と同じ繊維状炭素材料を用いて炭素繊維の含有量を10重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例4>
熱伝導層用に実施例1と同じ繊維状炭素材料を用いて炭素繊維の含有量を5重量%に変更し、さらに電気絶縁層用にポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂を別の押出機に供給して290℃で溶融混練した。
それぞれの溶融混練した樹脂を2層に積層し(高熱伝導性層厚み:電気絶縁層厚み=96:4)、かかる積層状態を維持したままスリットダイから押出した以外は実施例1と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例5>
フィルム延伸倍率について、長手方向(縦方向)に2.8倍、長手方向に垂直な方向(横方向)に3.0倍で延伸した以外は実施例2と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例6>
二軸延伸ポリエステルフィルムの厚みを75μmとした以外は実施例2と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例7>
繊維状炭素材料の種類を昭和電工株式会社製のVGCF−H(カーボンナノファイバー(気相成長炭素繊維) 平均繊維径0.15μm、平均繊維長6μm、アスペクト比40)に変更した以外は実施例2と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例8>
ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート樹脂を用い、溶融温度を280℃、縦延伸のロール温度を80℃、その後の冷却ロール温度を20℃に変更し、また横延伸の加熱温度を120℃、熱固定温度を220℃に変更した以外は実施例2と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<実施例9>
繊維状炭素材料に加えてさらに人造黒鉛(昭和電工株式会社製 SCMG−AF)をフィルム重量を基準として15重量%の含有量となるよう添加した以外は実施例2と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
実施例1に較べるとフィルム平滑性が多少低下するものの、基板温度用のサンプル作成と同様の方法でフィルム上に15μm厚みの粘着層を形成してその表面を観察したところ、粘着層表面は平滑であり、繊維状炭素材料に起因する荒れはみられなかった。
<実施例10>
繊維状炭素材料に加えてさらに平均粒径5μmの窒化硼素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製 BNパウダー PT−180)をフィルム重量を基準として15重量%の含有量となるよう添加したした以外は実施例2と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<比較例1>
繊維状炭素材料の含有量を1重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<比較例2>
繊維状炭素材料の含有量を30重量%に変更した以外は実施例1と同様の方法によって未延伸フィルムを得たが、延伸できず二軸延伸ポリエステルフィルムを得ることができなかった。
<比較例3>
繊維状炭素材料の種類を帝人株式会社製 Raheama R−A301(炭素繊維 平均繊維径8μm、平均繊維長200μm、アスペクト比25)に変更した以外は実施例3と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
フィルム表面は繊維状炭素材料に起因する表面荒れがみられ、基板温度用のサンプル作成と同様の方法でフィルム上に15μm厚みの粘着層を形成してその表面を観察したところ、粘着層表面も繊維状炭素材料に起因する表面荒れがみられた。
<比較例4>
繊維状炭素材料に代えて平均粒径5μmのアルミナ球状粒子(昭和電工株式会社製 アルミナビーズ CB−A05S)をフィルム重量を基準として30重量%の含有量となるよう添加した以外は実施例1と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
<比較例5>
繊維状炭素材料に代えて平均粒径5μmの窒化硼素(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製 BNパウダー PT−180)をフィルム重量を基準として15重量%の含有量となるよう添加した以外は実施例1と同様の方法によって二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルム特性を表1に示す。
Figure 0005788731
PEN: ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
PET: ポリエチレンテレフタレート
CNT: 多層カーボンナノチューブ
CNF: カーボンナノファイバー(気相成長炭素繊維)
BN: 窒化硼素
CF: 炭素繊維
Al: アルミナ球状粒子
本発明によれば、粘着テープとして使用する際に粘着層を介して高い接着性と高熱伝導性を発現できる高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムおよびそれからなる高熱伝導性粘着テープを生産性高く提供することができる。

Claims (5)

  1. 繊維状炭素材料を含む二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムにおいて、フィルムを構成する熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートもしくはポリエチレンナフタレンジカルボキシレートの少なくとも1種であり、該繊維状炭素材料の平均繊維径が0.05〜0.2μm、平均アスペクト比が15以上であり、該繊維状炭素材料の含有量が1重量%を超えて20重量%以下であり、フィルムの中心線平均粗さRaが4nm以上100nm以下であって、フィルム厚み方向の熱伝導率が0.28W/(m・K)以上であることを特徴とする高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム。
  2. フィルム厚みが5μm以上100μm以下である請求項1に記載の高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の高熱伝導性粘着テープ基材用二軸延伸熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に粘着層を有する高熱伝導性粘着テープ。
  4. 該粘着層の層厚みが1μm以上100μm以下である請求項に記載の高熱伝導性粘着テープ。
  5. 該粘着層がアクリルもしくはエポキシ系の粘着剤を含む請求項またはに記載の高熱伝導性粘着テープ。
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