JP5787559B2 - 圧縮機 - Google Patents
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Description
スクロール圧縮機構は、固定スクロールと旋回スクロールとを渦巻き状の壁体同士を組み合わせて配置し、固定スクロールに対し旋回スクロールを公転旋回運動させることで壁体間に形成される圧縮室の容積を漸次減少させて該圧縮室内の流体の圧縮を行うものである。スクロール圧縮機構の周縁部から圧縮室に導入され、圧縮された流体は、高温・高圧とされ、固定スクロールの中心部に設けられた吐出孔から外部空間に吐出される。
したがって、スクロール圧縮機構の中心部分および固定スクロールの外側部分である背側に流体の高温・高圧が作用する。一方、旋回スクロールの外側部分である背側には、低温・低圧の流体が存在している。
固定スクロールおよび旋回スクロールの歯先と歯底とが接触すると、壁体が損傷する恐れがあるので、信頼性が低下する。
また、高圧部分の体積を減少させ、作用する圧力の大きさを減少させることも考えられる。しかし、高圧部分の体積を減少させると、吐出脈動が大きくなったり、吐出圧損が大きくなったりして効率が低下する恐れがある。
すなわち、本発明の一態様は、外周側に位置する固定側支持位置で固定して取り付けられた固定側端板の一側面に立設された渦巻き状の固定側壁体を有する固定スクロールと、一側面に該固定側壁体とかみ合う渦巻き状の旋回側壁体が立設され、前記固定側支持位置よりも中心側に位置する旋回側支持位置に公転旋回運動可能に支持される旋回側端板を有する旋回スクロールと、を有するスクロール圧縮機構を備えている圧縮機であって、前記固定側壁体の先端部と前記旋回側端板との間隔および前記旋回側壁体の先端部と前記固定側端板との間隔の少なくともいずれか一方は、前記旋回側支持位置よりも外側で前記固定側支持位置よりも中心側の前記間隔が、前記旋回側支持位置よりも中心側の前記間隔よりも大きくされており、前記間隔の変化は、前記固定側端板または前記旋回側端板の厚さの0.25〜2.0×10 −3 倍とされている圧縮機である。
この状態で旋回スクロールが公転旋回運動すると、かみ合った固定側壁体および旋回側壁体間に形成される圧縮室の容積が中央部に移動するに連れて漸次減少させられるので、スクロール圧縮機構の周縁部から圧縮室へ導入される媒体は、徐々に圧縮され、高温・高圧の状態とされ、固定スクロールの固定側端板の中心部分に設けられた吐出孔から外部空間に吐出される。
固定スクロールの固定側端板は、この圧縮された高温・高圧の媒体によって押圧されるので、熱膨張および圧力変形することになる。固定側端板は、外周側に位置する固定側支持位置で固定して取り付けられているので、中心部が旋回スクロール側に位置するように反ることになる。
このとき、旋回側端板は、固定側支持位置よりも中心側に位置する旋回側支持位置において支持されており、この位置では旋回側端板は移動しないので、旋回側端板の旋回側支持位置よりも外周側部分は、固定スクロール側に接近するように変形することとなる。
したがって、旋回スクロールの旋回側支持位置よりも外周側部分では、旋回スクロールと固定スクロールとは互いに接近する方向へ変形することになる。
また、中心部分における固定側壁体の先端部と旋回側端板との間隔および旋回側壁体と固定側端板との間隔は、大きくされることがないので、漏れ隙間が大きくなることはなく、効率の低下を防止することができる。衝突防止のために全体の隙間を大きくすることに比べて効率を向上させることができる。
なお、固定側壁体の先端部と旋回側端板との間隔および旋回側壁体と固定側端板との間隔は、より小さい方の間隔を拡げるようにするのが望ましいし、両方の間隔を拡げるようにしてもよい。
固定側壁体または旋回側壁体の高さは、固定側端板または旋回側端板の面を削るよりも容易に加工することができるので、容易に製造することができる。
この場合、間隔の変化は、前記固定側端板または前記旋回側端板の厚さの0.25〜2.0×10−3倍とされるのが好適である。
図1は、本発明の一実施形態にかかる圧縮機の縦断面図である。図2は、図1のスクロール圧縮機構を示す断面相当図である。図3は、図1のスクロール圧縮機構の部分を示す部分断面図である。
密閉ハウジング3は、筒部11の上下に底部13および蓋部15が溶接されて閉塞された中空円筒形状とされている。
電動モータ9には、密閉ハウジング3の軸線方向に延在するように配置された駆動軸17と、駆動軸17の周囲に固定された回転子19と、回転子19の周囲を覆うように密閉ハウジング3に固定された固定子21と、が備えられている。
ロータリ圧縮機構5は、この構成に限定されず、公知の構造のものが用いられてよい。
固定スクロール41には、固定端板(固定側端板)45とその下面に立設された渦巻き状をした固定渦巻体(固定側壁体)47とが備えられている。
固定端板45は、筒部11の内側に円環状に設けられた台座に載置され、複数箇所をボルトによって接合されることによって密閉ハウジング3に固定して取り付けられている。すなわち、固定端板45は、ボルトが位置する外周側の固定側支持位置F(図2参照)で固定して取り付けられている。
固定端板45の略中央部には、圧縮された冷媒ガスの吐出ポート49が貫通するように形成されている。
旋回スクロール43は、旋回渦巻体53が固定渦巻体47と噛合うように設置されている。固定スクロール41と旋回スクロール43とは、互いに所定の距離だけ偏心した状態で、かつ、180度の位相差をもって噛み合わされることにより、固定渦巻体47と旋回渦巻体53の中心に対して点対称の位置関係となる複数個所に密閉空間となる圧縮室Pが形成される。
駆動軸17を支持する軸受部57を備えた軸受部材59が、密閉ハウジング3に固定設置されている。旋回スクロール43は、軸受部材59によって旋回ボス55の外周側の旋回側支持位置C(図2参照)で支持されている。旋回側支持位置Cは、旋回端板51の外周端よりも軸線中心に近い内側位置とされている。したがって、旋回側支持位置Cは、固定端板45の外周側に位置する固定側支持位置Fよりも軸線中心に近い位置とされている。
高さH2と高さH1との差、言い換えれば、間隔S2と間隔S1との差は、種々の条件によって決定されるが、たとえば、旋回側端板51の厚さの0.25〜2.0×10−3倍とされるのが好ましい。
たとえば、旋回渦巻体53の先端と固定端板45との間隔が、固定渦巻体47の先端と旋回端板51との間隔よりも小さくされている場合には、旋回渦巻体53の高さを調節してもよい。また、固定渦巻体47の高さおよび旋回渦巻体53の高さの両方を調節するようにしてもよい。
さらに、固定渦巻体47の高さおよび旋回渦巻体53の高さを調節するのではなく、固定端板45および/または旋回端板51の表面を削ることによって間隔を調節してもよい。
旋回ボス55の中空部内に位置する駆動軸17の先端部には、軸線中心が偏心した偏心ピン63が設けられている。偏心ピン63の外周には、旋回ボス55と係合する旋回軸受65が設けられている。駆動軸17の回転が、偏心ピン63および旋回軸受65を介して旋回ボス55に伝えられることによって、旋回スクロール43は公転旋回駆動される。
吐出カバー71には、密閉ハウジング3の蓋部15を貫通して外部、すなわち冷凍サイクルと接続されている吐出管73の端部が貫通して取り付けられている。
電動モータ9を作動させると、駆動軸17が回転されて圧縮機1の作動が開始される。
吸入管37を介して低段側のロータリ圧縮機構5のシリンダ室27に吸入された低温低圧の冷媒ガスは、ロータ25の回動により中間圧まで圧縮された後、吐出チャンバ39に吐き出される。この中間圧冷媒ガスは、吐出チャンバ39から電動モータ9の下部空間内に吐き出された後、電動モータ9の回転子19に設けられているガス通路等を流通して電動モータ9の上部空間側に流動される。
電動モータ9の上部空間側に流動された中間圧冷媒ガスは、高段側のスクロール圧縮機構7を構成する軸受部材31と密閉ハウジング3との間の隙間等を通り固定スクロール41に設けられているスクロール圧縮機構7の吸入口に導かれ、圧縮室P内に吸入される。
圧縮室Pは、中心側に移動するに連れて容積が漸次減少させられるので、吸入された中間圧冷媒ガスは、徐々に圧縮され、高温・高圧の状態とされる。
このようにスクロール圧縮機構7により高温高圧状態に2段圧縮された冷媒ガスは、吐出ポート49を通って吐出弁67を押し上げて吐出チャンバ69内に吐き出される。吐出チャンバ69の高温高圧の冷媒ガスは、吐出管73を介して圧縮機1の外部、すなわち冷凍サイクル側に送出される。
固定スクロール41の固定端板45は、この冷媒ガス81によって押圧されるので、熱膨張および圧力変形することになる。固定側端板45は、外周側に位置する固定側支持位置Fで固定して取り付けられているので、図3に示されるように中心部が旋回スクロール43側に位置するように反ることになる。
旋回端板51は、旋回側支持位置Cにおいて支持されており、この位置では旋回端板は上下方向に移動しないので、旋回端板51の旋回側支持位置Cよりも外周側部分は、固定スクロール41側に接近するように変形することとなる。
したがって、旋回側支持位置Fよりも外周側部分では、旋回スクロール41と固定スクロール43とは互いに接近する方向へ変形することになる。
このように、固定スクロール41と旋回スクロール43とが接触することを抑制できるので、接触により固定渦巻体47あるいは旋回渦巻体53が損傷することを抑制でき、信頼性を確保することができる。
たとえば、上記実施形態では、低段側圧縮機構をロータリ圧縮機構5、高段側の圧縮機構をスクロール圧縮機構7とした密閉型2段圧縮機の例について説明したが、圧縮機は、2段圧縮機に限らず、スクロール圧縮機構のみを備えた単段の圧縮機(スクロール圧縮機)であってもよいことはもちろんである。
7 スクロール圧縮機構
41 固定スクロール
43 旋回スクロール
45 固定端板
47 固定渦巻体
51 旋回端板
53 旋回渦巻体
C 旋回側支持位置
F 固定側支持位置
S1,S2 間隔
Claims (2)
- 外周側に位置する固定側支持位置で固定して取り付けられた固定側端板の一側面に立設された渦巻き状の固定側壁体を有する固定スクロールと、
一側面に該固定側壁体とかみ合う渦巻き状の旋回側壁体が立設され、前記固定側支持位置よりも中心側に位置する旋回側支持位置に公転旋回運動可能に支持される旋回側端板を有する旋回スクロールと、を有するスクロール圧縮機構を備えている圧縮機であって、
前記固定側壁体の先端部と前記旋回側端板との間隔および前記旋回側壁体の先端部と前記固定側端板との間隔の少なくともいずれか一方は、前記旋回側支持位置よりも外側で前記固定側支持位置よりも中心側の前記間隔が、前記旋回側支持位置よりも中心側の前記間隔よりも大きくされており、
前記間隔の変化は、前記固定側端板または前記旋回側端板の厚さの0.25〜2.0×10 −3 倍とされていることを特徴とする圧縮機。 - 前記間隔の変化は、前記固定側壁体または前記旋回側壁体の高さを調節して行われることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機。
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