JP5786694B2 - 紙幣処理装置 - Google Patents

Description

本発明は、紙幣処理装置に関する。

昨今、金融機関の営業店カウンタに設置される窓口用現金処理機に代表される現金処理装置は、紙幣や硬貨の入金／出金取引、および整理計数等に利用される。職員は、この現金処理装置の操作部または、現金処理装置に接続された受付端末（情報処理装置）から各種操作を行なうことにより、入金／出金などの取引を行うことができる。

このような現金処理装置は、２人のテラー（操作者）間に配設されて、紙幣、硬貨の入出金が可能であった。下記特許文献１では、２人のテラー間に配置して使用する場合に、左右どちらのテラーからでも操作し易いよう紙幣入金口等の配置を変更した構造の循環式貨幣処理装置が開示されている。

また、下記特許文献１にも示されているように、従来、現金処理装置において、紙幣取扱口は２つ設けられていた。

特開２００１−９３０２２号公報

しかしながら、従来設けられていた２つの紙幣取扱口のうち、一方は紙幣入金口であって、他方は紙幣出金口であったので、紙幣が排出される際、紙幣の金種や状態（質）に関わらず全て同じ紙幣出金口から排出されてしまうという問題があった。

具体的には、例えば整理計数のように紙幣を金種別に選別して排出する場合、紙幣出金口が複数であれば金種別に紙幣を排出できるので、利便性が向上する。

また、入金取引を行った場合に、紙幣認識部により異常と鑑別（リジェクト判定）された紙幣がリジェクト要因に関わらず一つの紙幣出金口から排出されるので、損券や走行異常等によりリジェクトされたのか、偽券であるためにリジェクトされたのかが分からなかった。

さらに、紙幣出金口の容量が例えば２００枚以上であっても、職員は顧客に手渡す際に数え易い１００枚単位で出金する傾向があるので、運用上、容量の多い紙幣出金口はオーバースペックになってしまうという問題もあった。

そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の排出口から選択的に紙幣を排出することが可能な、新規かつ改良された紙幣処理装置を提供することにある。

上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、紙幣が排出される複数の排出口と、紙幣の集積および繰出しを行う一時保留部と、紙幣を認識する紙幣認識部と、前記紙幣認識部により認識された紙幣の搬送先を、前記複数の排出口および前記一時保留部から選択し、選択した排出口または一時保留部へ前記紙幣を搬送し、前記複数の排出口のいずれかの排出口から紙幣が抜き取られると、前記一時保留部に搬送していた紙幣を前記紙幣が抜き取られた排出口へ搬送するよう制御する制御部と、を備える、紙幣処理装置が提供される。

また、前記制御部は、前記複数の排出口へ所定の枚数毎紙幣を搬送してもよい。

また、前記紙幣認識部は、前記紙幣の正損を認識し、前記制御部は、整理計数動作時に、排出する紙幣の正損に応じて前記複数の排出口および前記一時保留部から前記紙幣の搬送先を選択してもよい。また、前記紙幣認識部は、さらに前記紙幣の真偽を認識し、前記制御部は、前記整理計数動作時に、認識された正券、損券、または偽券の搬送先を前記複数の排出口および前記一時保留部から選択してもよい。

また、前記紙幣認識部は、前記紙幣の真偽を認識し、前記制御部は、整理計数動作時に、排出する紙幣の真偽に応じて前記複数の排出口および前記一時保留部から前記紙幣の搬送先を選択してもよい。

また、前記紙幣認識部は、前記紙幣のリジェクト要因を認識し、前記制御部は、整理計数動作時に、排出する紙幣のリジェクト要因に応じて前記複数の排出口および前記一時保留部から前記紙幣の搬送先を選択してもよい。

以上説明したように本発明によれば、複数の排出口から選択的に紙幣を排出することが可能である。

本発明の一実施形態による紙幣処理システムの構成を示した説明図である。 本発明の一実施形態による紙幣処理装置の内部構造を示す図である。 本発明の一実施形態による紙幣処理装置の機能構成を示すブロック図である。 第１の実施形態による紙幣を枚数毎に排出する処理を示すフローチャートである。 第１の実施形態による出金／出金口回収における紙幣の搬送経路を示す図である。 第１の実施形態による整理計数動作における紙幣の搬送経路を示す図である。 第２の実施形態による紙幣を金種別に排出する処理を示すフローチャートである。 第２の実施形態の変形例による紙幣を枚数ごと、かつ金種別に排出する処理を示すフローチャートである。 第３の実施形態による正損に応じて紙幣を搬送する処理を示すフローチャートである。 第３の実施形態による正損に応じて紙幣を搬送する際の搬送経路を示す図である。 第４の実施形態による真偽に応じて紙幣を排出する処理を示すフローチャートである。 第５の実施形態による入金取引における紙幣の搬送処理を示すフローチャートである。 第６の実施形態による整理計数動作のＲＪ要因別モードにおける紙幣の搬送処理を示すフローチャートである。 第７の実施形態による紙幣処理装置１０が共有される場合について説明するための図である。 第７の実施形態による受付端末に応じて紙幣を排出する処理を示すフローチャートである。

以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。

＜１．紙幣処理システムの概要＞
まず、図１を参照し、本発明の一実施形態による紙幣処理システムの概要を説明する。

図１は、本発明の一実施形態による紙幣処理システムの構成を示した説明図である。図１に示したように、紙幣処理システムは、紙幣処理装置１０−１、紙幣処理装置１０−２、紙幣処理装置１０−１に接続される受付端末３０−１、紙幣処理装置１０−２に接続される受付端末３０−２、専用網３２、および金融機関ホスト３５を含む。図１に示す紙幣処理装置１０−１および紙幣処理装置１０−２は実質的に同一であるので、以下個々を区別する必要がない場合は紙幣処理装置１０と称す。また、図１に示す受付端末３０−１および受付端末３０−２は実質的に同一であるので、以下個々を区別する必要がない場合は受付端末３０と称す。また、図１に示す例では、紙幣処理装置１０に単数の受付端末３０が接続されているが、本実施形態による紙幣処理システムはこれに限定されず、紙幣処理装置１０に複数の受付端末３０が接続されていてもよい。また、各受付端末３０は、専用網３２を介して金融機関ホスト３５に接続する。

紙幣処理装置１０は、金融機関の受付窓口員などの職員による操作に基づいて金銭の取引を実行する職員操作型端末である。この紙幣処理装置１０は、金融機関の営業店などに設置される。

また、紙幣処理装置１０は、図１に示すように、紙幣を投入する入金口１、紙幣を排出する出金口２ａ、２ｂ、表示部１７、および操作部１９を備える。表示部１７は、メニュー画面や処理結果画面を表示する。表示部１７は、例えば、ＣＲＴ（Ｃａｔｈｏｄｅ Ｒａｙ Ｔｕｂｅ）ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ（ＬＣＤ）装置、ＯＬＥＤ（Ｏｒｇａｎｉｃ Ｌｉｇｈｔ Ｅｍｉｔｔｉｎｇ Ｄｉｏｄｅ）装置により実現される。操作部１９は、職員の操作を検出する。操作部１９は、例えば、ボタン、スイッチ、タッチパネル等により実現される。なお、図１においては、表示機能および操作機能が分離して設けられているが、本実施形態により紙幣処理装置１０はこれに限定されず、表示機能および操作機能を一体的に設けてもよい。また、紙幣処理装置１０は、操作検出機能を含む表示部において、職員の操作を誘導する誘導画面を表示させてもよい。

入金口１は、職員が紙幣を投入する投入口である。入金口１には、開口部を開閉するシャッター（不図示）を設けるようにしてもよい。また、入金口１は、束で投入された紙幣を一枚ずつ分離して繰り出す分離機能を有する。

出金口２ａ、２ｂは、職員が受け取る紙幣が排出される排出口である。出金口２ａ、２ｂには、開口部を開閉するシャッター（不図示）を設けるようにしてもよい。また、出金口２ａ、２ｂは、排出する紙幣を集積する集積機能を有する。本実施形態による出金口２ａ、２ｂは、一例として、紙幣を１００枚集積できる容量を有する。なお、図１に示す例では、出金口が２つ設けられているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば３つ以上であってもよい。本実施形態では、このような複数の出金口から選択的に紙幣を排出することで、利便性を向上することができる。複数の出金口から選択的に紙幣を排出する制御については、後述する＜３．各実施形態＞において詳細に説明する。

受付端末３０は、受付業務を実行する情報処理装置である。受付端末３０は、紙幣処理装置１０と有線または無線により接続し、職員により選択された処理モード（入金／出金取引、出金口回収、整理計数等）を紙幣処理装置１０で実行するよう指示を送る。このように、本実施形態による紙幣処理装置１０の操作は、上記紙幣処理装置１０に設けられた操作部１９の他、紙幣処理装置１０に接続された情報処理装置から行うことも可能である。

専用網３２は、受付端末３０が配置されている営業店、または複数の営業店を含む金融機関におけるネットワークであり、例えばＩＰ−ＶＰＮ（Ｉｎｔｅｒｎｅｔ Ｐｒｏｔｏｃｏｌ−Ｖｉｒｔｕａｌ Ｐｒｉｖａｔｅ Ｎｅｔｗｏｒｋ）により構成される。金融機関ホスト３５は、この専用網３２を介して複数の受付端末３０と通信することができる。

金融機関ホスト３５は、専用網３２を介して受付端末３０と、または、受付端末３０を介して紙幣処理装置１０と通信することにより、各種取引を制御する。例えば、金融機関ホスト３５は、顧客の認証を行ったり、職員により指示された入金や振込などの金銭取引（勘定の取引処理）を実行したりする。また、金融機関ホスト３５は、口座番号、暗証番号、氏名、住所、年齢、生年月日、電話番号、職業、家族構成、年収、預金残高などの顧客情報（口座の元帳）を管理する。

本発明の一実施形態は、上述した紙幣処理システムに含まれる紙幣処理装置１０に関し、特に、紙幣処理装置１０において複数の出金口から選択的に紙幣を排出する制御に関する。以下、紙幣処理装置１０の構成および基本動作を説明した後に、本発明の一実施形態による紙幣の排出制御ついて詳細に説明する。

＜２．紙幣処理装置１０の構成および基本動作＞
［２−１．内部構造］
図２は、紙幣処理装置１０の内部構造を示す図である。図２に示したように、紙幣処理装置１０は、入金口１、出金口２ａ、２ｂ、一時保留部３、紙幣認識部４、搬送部５、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄ、およびリジェクト庫付き紙幣カセット７を有する。リジェクト庫付き紙幣カセット７は、紙幣収納庫８およびリジェクト庫９を有する。

入金口１は、上述した通り、投入された紙幣を１枚ずつ繰り出す分離機能を有する。また、出金口２ａ、２ｂは、上述した通り、排出する紙幣を集積する集積機能を有する。なお、入金口１、および出金口２ａ、２ｂは、搬送路側に傾くことや、職員による取り出し口側に傾くことが可能な可動式であってもよい。

一時保留部３は、紙幣の分離と集積の両方の機能を有する。例えば、一時保留部３は、入金取引時に入金口１から分離されて紙幣認識部４により正常と鑑別された紙幣を一時的に集積する。一時保留部３に集積された紙幣は、入金した紙幣の口座計上などが確定したなど、取引が成立した場合に繰り出され、紙幣認識部４を経て紙幣カセット６Ａ〜６Ｄなどに搬送される。なお、一時保留部３は、紙幣を順次重ねて集積する集積式であってもよいし、紙幣を順次巻いて収納するドラム式であってもよい。

紙幣認識部４は、１枚ずつ通過していく紙幣の鑑別を行う。紙幣の進行方向は双方向に対応しており、紙幣認識部４は、入金口１方向から搬送される紙幣、およびその逆方向から搬送される紙幣の鑑別を行うことができる。具体的には、紙幣認識部４は、搬送路を通って搬送された紙幣の金種、真偽（真券／偽券）、正損（正券／損券）および走行状態（正常／異常）などを鑑別し、通過する紙幣に対して、正常判定またはリジェクト判定を行う。

ここで、本明細書において真券とは紙幣と鑑別されたものをいい、偽券とは紙幣と鑑別されなかったものをいう。また、正券とは真券と鑑別された紙幣のうち入金／出金に適すると鑑別されたものをいい、損券とは真券と鑑別された紙幣のうち入金／出金に適さないと鑑別されたものをいう。また、リジェクト判定は、偽券、損券（汚損、損壊、外形異常等）、走行異常（スキュー紙幣、重走等）といった要因に基づいて行われる。また、リジェクト紙幣には、出金紙幣として取り扱えない二千円札および五千円札を含んでもよいし、外国紙幣を含んでもよい。

搬送部５は、紙幣を搬送する各搬送路、各搬送ローラ、および各搬送路を駆動する駆動機構を含む。駆動機構は、例えばＤＣサーボモータまたはパルスモータなどが回転することにより、搬送路を駆動する。搬送部５は、後述する制御部（図３の制御部１１参照）により制御され、紙幣を目的の搬送先に搬送する。

紙幣カセット６Ａ〜６Ｄは、紙幣を金種毎に収納可能な紙幣収納部であって、紙幣の集積および分離の両方の機能を有する。また、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄは、同一金種のための複数の紙幣カセットを含んでもよい。例えば、紙幣カセット６Ａおよび６Ｃが一万円札用の紙幣カセットであり、紙幣カセット６Ｂおよび６Ｄが千円札用の紙幣カセットであってもよい。また、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄは、紙幣処理装置１０に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに紙幣を装填することも可能である。なお、本実施形態による紙幣収納部は、紙幣処理装置１０に対して着脱可能なカセットに限定されず、紙幣処理装置１０に対して着脱不可能なスタッカー（紙幣スタッカーＡ〜Ｄ）であってもよい。

リジェクト庫付き紙幣カセット７（以下、紙幣カセット７とも称す）は、上側に紙幣収納庫８、下側（底部）にリジェクト庫９を備える。また、紙幣カセット７は、紙幣処理装置１０に対して着脱可能な構造になっており、個別に交換することで、紙幣の回収および補充が可能である。

紙幣収納庫８は、紙幣を集積する集積機能および１枚ずつ繰り出す分離機能を有する。また、紙幣収納庫８は、カセット計数回収時に各紙幣カセット６Ａ〜６Ｄから分離された紙幣を集積し、紙幣を回収することができる。また、紙幣収納庫８は、カセット計数補充に、紙幣収納庫８内に集積している紙幣を繰り出し、紙幣カセット６に紙幣を補充することができる。

リジェクト庫９は、紙幣を集積する集積機能のみ有する。リジェクト庫９は、紙幣認識部４によって異常と鑑別（リジェクト判定）された紙幣（リジェクト紙幣）を集積するための紙幣収納部である。

以上、本実施形態による紙幣処理システムに含まれる紙幣処理装置１０の内部構造について詳細に説明した。続いて、本実施形態による紙幣処理装置１０の機能構成について説明する。

［２−２．機能構成］
図３は、本実施形態による紙幣処理装置１０の機能構成を示すブロック図である。図３に示すように、紙幣処理装置１０は、制御部１１、記憶部１２、表示部１７、および操作部１９を備える。以下、各構成について説明するが、表示部１７および操作部１９は図１を参照して上述したので、ここでの説明は省略する。

制御部１１は、紙幣処理装置１０の動作全般を制御する。具体的には、制御部１１は、入金、出金、回収、および整理計数などの基本動作を制御する。各基本動作の詳細については、次の［２−３．基本動作］において説明する。また、制御部１１は、操作部１９から職員に指示された基本動作、または受付端末３０から職員に指示された基本動作を実行するよう紙幣処理装置１０全体を制御する。

また、本実施形態による制御部１１は、搬送部５を制御することにより、入金、出金、回収、および整理計数などの基本動作において、紙幣の枚数や金種等に応じて複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣の搬送先を選択し、選択した出金口に紙幣を排出するよう搬送を制御する。また、制御部１１は、紙幣認識部４によるリジェクト要因に応じて複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣の搬送先を選択してもよい。

記憶部１２は、紙幣認識部４による鑑別結果や、入金金額および出金金額等から算出される紙幣処理装置１０の有高等を記憶する。

以上、本実施形態による紙幣処理装置１０の機能構成について説明した。なお、上述した制御部１１、および記憶部１２の機能は、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ
Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）、ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、およびＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）等から成るハードウェア構成により実現してもよい。ＣＰＵは、演算機能および制御機能を有し、各種プログラムに従って紙幣処理装置１０の動作全般を制御する。ＲＯＭは、ＣＰＵが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。ＲＡＭは、ＣＰＵの実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。

［２−３．基本動作］
（入金取引）
入金取引においては、まず、入金口１から紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、紙幣認識部４から一時保留部３に集積される。その後、入金金額が確定されると、集積処理に移行する。

一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣（リジェクト紙幣）は、出金口２ａ、または出金口２ｂに集積される。出金口２ａ、２ｂに集積された紙幣は、職員により再度入金口１に投入されることで、再鑑別が可能である。なお、本実施形態による入金取引における紙幣の搬送制御については、後述する［３−５．第５の実施形態］において詳細に説明する。

集積処理においては、まず、一時保留部３から紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣が紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、金種に対応する紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積される。一方、一万円札および千円札の汚損券、折れ紙幣、二千円札、五千円札、スキュー紙幣などの走行異常紙幣のように、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣（リジェクト紙幣）は、リジェクト庫９に集積される。

一方、入金金額が確定する前に、入金紙幣の返却（キャンセル）が指示されると、返却処理に移行する。返却処理においては、まず、一時保留部３から紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣が紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常／異常いずれであっても、全ての紙幣を出金口２ａ、または出金口２ｂへ集積する。

・ダイレクト入金
ここで、入金取引における動作は、入金紙幣を一時保留部３へ退避させた後に、一時保留部３から紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積する上述した通常の入金処理の他、入金紙幣を一時保留部３へ退避させないで直接紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積するダイレクト入金処理も可能である。

ダイレクト入金処理においては、まず、入金口１から紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、金種に対応する紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積される。一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣（リジェクト紙幣）は、出金口２ａ、または出金口２ｂに集積される。出金口２ａ、または出金口２ｂに集積された紙幣は、職員により再度入金口１に投入されることで、再鑑別が可能である。

このように、ダイレクト入金処理では、紙幣を一時保留部３に退避させず、直接紙幣カセット６に集積するので、上記通常の入金処理に比べて入金処理時間を短縮することができる。また、ダイレクト入金処理では、紙幣を一時保留部３に退避させる必要がないので、走行を減らすことができ、これによりジャム発生の確率を下げることができる。また、ダイレクト入金処理によれば、一時保留部３が故障等によって利用できない場合や、一時保留部３を有さない構造においても、入金取引を実現することができる。なお、本実施形態による紙幣処理装置１０は、設定により上述した通常の入金処理またはダイレクト入金処理を選択することができる。

（出金取引）
出金取引においては、まず、指定された金額に応じて紙幣カセット６Ａ〜６Ｄから紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。

そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、出金口２ａ、または出金口２ｂに集積される。具体的には、例えば出金する正常紙幣の金種や枚数に応じて、出金口２ａ、２ｂから選択的に出金される。一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣、すなわち、顧客に支払いできない紙幣は、リジェクト庫９に集積される。

（補充動作）
補充動作は、紙幣処理装置１０に紙幣を補充する基本動作である。本実施形態による紙幣処理装置１０では、具体的な補充方法として、投入口補充、カセット交換補充、およびカセット計数補充が可能である。以下、各補充方法について順次説明する。

・投入口補充
投入口補充は、上述した入金取引および集積処理における動作と同様である。例えば、入金口１（投入口）から集積された紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、一時保留部３に退避された後、金種に対応する紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積される。一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣は、出金口２ａ、または出金口２ｂに集積される。

・カセット交換補充
カセット交換補充においては、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄが着脱可能であることを利用し、予め紙幣を装填した紙幣カセットを、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄのいずれかと交換することで、紙幣を補充する。なお、カセット交換補充では、補充した紙幣の金種と枚数をオペレータがマニュアルで登録する必要がある。

・カセット計数補充
カセット計数補充においては、紙幣カセット７の紙幣収納庫８に予め紙幣を装填し、紙幣処理装置１０にセットする。そして、紙幣収納庫８から１枚ずつ紙幣が繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、金種に対応する紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積される。一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣は、リジェクト庫９に集積される。このように、カセット計数補充では、紙幣認識部４により計数処理が実行されるので、補充した紙幣の金種および枚数をオペレータがマニュアルで登録する必要はない。

（回収動作）
回収動作は、紙幣処理装置１０内の紙幣を回収する基本動作である。本実施形態による紙幣処理装置１０では、具体的な回収方法として、出金口回収、カセット交換回収、およびカセット計数回収が可能である。以下、各回収方法について順次説明する。

・出金口回収
出金口回収は、上述した出金取引における動作と同様である。例えば、まず、回収対象の紙幣カセット６から１枚ずつ紙幣が分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、出金口２ａ、２ｂに集積される。一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣は、リジェクト庫９に集積される。このような処理を回収対象の紙幣カセット６に集積された全紙幣に対して行い、オペレータは、出金口２ａ、２ｂから、正常判定された紙幣を回収することができる。また、リジェクト庫９から異常判定された紙幣を回収することができる。

・カセット交換回収
カセット交換回収においては、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄが着脱可能であることを利用し、紙幣が集積された所定の紙幣カセット６を、紙幣処理装置１０から取り外すことで、回収業務を行う。なお、カセット交換回収では、オペレータが、取り外した紙幣カセット６から紙幣を抜き取り、回収した紙幣の金種と枚数をマニュアルで数える必要がある。

・カセット計数回収
カセット計数補充においては、まず、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄのうち回収対象の紙幣カセットから１枚ずつ紙幣が繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果が正常であった紙幣は、紙幣カセット７の紙幣収納庫８に集積される。一方、紙幣認識部４による鑑別結果が異常であった紙幣は、リジェクト庫９に集積される。

このような処理が回収対象の紙幣カセット６に集積された全紙幣に対して行われた後、オペレータは、紙幣カセット７のみを紙幣処理装置１０から取り外すことで、正常判定された紙幣および異常判定された紙幣を回収することができる。また、カセット計数回収では、紙幣認識部４により計数処理が実行されるので、回収した紙幣の金種および枚数をオペレータがマニュアルで数える必要はない。

［２−４．整理計数動作］
本実施形態による紙幣処理装置１０は、基本動作として、上述した入金・出金取引、および補充・回収動作の他、整理計数動作を行う。整理計数動作は、具体的には、紙幣の計数、金種別や枚数別に紙幣を分別するモード、および紙幣の正損／真偽等別に紙幣を分別するモード等を有する。

整理計数動作においては、まず、入金口１から紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送され、紙幣認識部４により紙幣の鑑別や計数処理が実行される。そして、紙幣認識部４による鑑別結果に応じて、出金口２ａ、または出金口２ｂに選択的に集積される。なお、本実施形態による整理計数動作における紙幣の搬送制御については、次の＜３．各実施形態＞において詳細に説明する。

＜３．各実施形態＞
次に、本実施形態による複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣の搬送先を選択し、選択した出金口に紙幣を搬送する制御について、以下複数の実施形態を挙げて説明する。本実施形態では、以下に説明するように、複数の出金口２ａ、２ｂから選択的に紙幣を排出することで、紙幣処理装置１０の利便性を向上させることができる。

［３−１．第１の実施形態］
第１の実施形態では、出金取引、出金口回収、または整理計数動作において、同一金種の紙幣を所定の枚数毎に複数の出金口２ａ、２ｂに集積する。上述したように、本実施形態による各出金口２ａ、２ｂは、紙幣を１００枚集積できる集積容量をそれぞれ有する。よって、例えば制御部１１は、各出金口２ａ、２ｂのうちまず一方の出金口を選択して紙幣を１００枚搬送し、続いて他方の出金口を選択して紙幣を１００枚搬送することができる。

以下、本実施形態について図４〜図６を参照して説明する。図４は、第１の実施形態による紙幣を枚数毎に排出する処理を示すフローチャートである。図５は、第１の実施形態による出金／出金口回収における紙幣の搬送経路を示す図である。図６は、第１の実施形態による整理計数動作における紙幣の搬送経路を示す図である。

図４に示すように、まず、ステップＳ１０３において、職員により出金取引、出金口回収、または整理計数動作が指示される。ここでは、例えば千円札を４４０枚出金する出金取引が指示された場合について説明する。

次いで、ステップＳ１０６において、制御部１１は、指示された金種および枚数に応じて所定の紙幣カセット６から紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４へ送るよう搬送を制御する。例えば、制御部１１は、千円札用の紙幣カセット６Ｂおよび６Ｄから、１枚ずつ紙幣を繰り出し（分離し）、紙幣認識部４へ送る。

次いで、ステップＳ１０９において、紙幣認識部４は、搬送された紙幣の金種、紙幣状態等を鑑別する。紙幣認識部４により異常と鑑別（リジェクト判定）された紙幣は、リジェクト庫９に集積される。

一方、紙幣認識部４により紙幣が正常と鑑別された紙幣は、ステップＳ１１２において、所定の枚数ごとに各出金口２ａ、２ｂに搬送される。例えば、上述したように千円札を４４０枚出金する出金指示を受領している場合、制御部１１は、まず、出金口２ａに千円札を１００枚集積し、続いて出金口２ｂに千円札を１００枚集積する。職員は、出金口２ａ、２ｂに集積された１００枚の千円札を順次受け取り、帯封する。

続いて、出金口２ａに集積された千円札１００枚が職員に受け取られると、制御部１１は出金口２ａに未出金分の千円札１００枚を集積する。また、同様に出金口２ｂに集積された千円札１００枚が職員に受け取られると、制御部１１は出金口２ｂに未出金分の千円札１００枚を集積する。職員は、出金口２ａ、２ｂに集積された１００枚の千円札を順次受け取り、帯封する。

次に、出金口２ａに集積された千円札１００枚が職員に受け取られると、制御部１１は出金口２ａに未出金分の千円札４０枚を集積する。そして、職員は、帯封した４つの束（４００枚）と、端数の４０枚の出金紙幣を顧客に渡す。

以上具体例を挙げて説明したように、制御部１１は、４４０枚の千円札を１００枚ごとに出金口２ａ、２ｂに順次排出し、最後に端数４０枚を排出する。このように、職員が数え易く、かつ帯封し易い枚数である１００枚ごとに紙幣が出金されるので、職員は作業をスムーズに進めることができ、出金取引の利便性が向上する。また、職員が出金口２ａに集積された１００枚の紙幣を受け取っている間に、出金口２ｂに１００枚の紙幣を出金するので、大量の出金動作を短時間で行うことができる。

なお、このような出金取引における出金紙幣の搬送経路は、図５の矢印で示す通りである。図５の矢印で示すように、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄから出金指示に応じて所定の金種が所定の枚数分離され、紙幣認識部４に１枚ずつ搬送される。そして、紙幣認識部４により正常と鑑別された紙幣は、所定の枚数毎に出金口２ａ、２ｂに出金される。なお、紙幣認識部４により異常と鑑別された紙幣は、リジェクト庫９に集積される。

また、上記具体例では出金取引を例に説明したが、上記ステップＳ１０３に示したように、本実施形態は、出金取引の他、出金口回収、または整理計数動作においても、複数の出金口から所定の枚数ずつ排出することで、同様に利便性を向上させることができる。

なお、出金口回収における回収紙幣の搬送経路は、図５を参照して上述した出金取引における出金紙幣の搬送経路と同様である。制御部１１は、紙幣カセット６Ａ〜６Ｄのうち回収指示に応じた所定の紙幣カセット６から紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４に搬送する。そして、制御部１１は、紙幣認識部４により正常と鑑別された紙幣を、例えば１００枚毎に出金口２ａ、２ｂに集積する。なお、紙幣認識部４により異常と鑑別された紙幣は、リジェクト庫９に集積される。

また、整理計数動作における紙幣の搬送経路は、図６の矢印で示す通りである。図６の矢印で示すように、入金口１から紙幣が１枚ずつ分離され、分離された紙幣は紙幣認識部４に搬送される。そして、紙幣認識部４により正常と鑑別された紙幣は、所定の枚数毎に出金口２ａ、２ｂに出金される。なお、紙幣認識部４により異常と鑑別された紙幣は、一時保留部３に退避され、入金口１に集積された全ての紙幣が分離された後、出金口２ａまたは出金口２ｂに排出されてもよい。

［３−２．第２の実施形態］
第２の実施形態では、出金取引、出金口回収、または整理計数動作において、紙幣を金種別に複数の出金口２ａ、２ｂに集積する。紙幣を金種別に複数の出金口２ａ、２ｂに排出することで、職員は金種を判別し易くなり、紙幣処理装置１０の利便性が向上する。以下、本実施形態について図７を参照して説明する。図７は、第２の実施形態による紙幣を金種別に排出する処理を示すフローチャートである。

図７に示すステップＳ１０３〜Ｓ１０９は、上記図４を参照して説明した同ステップの処理と同様である。なお、本実施形態では、ステップＳ１０３において、例えば千円札４０枚、および五千円札５０枚を出金する出金取引が指示される。

次いで、ステップＳ１１５において、紙幣認識部４により紙幣が正常と鑑別された紙幣は、金種別に各出金口２ａ、２ｂに搬送される。例えば、上述したように千円札を４０枚、および五千円札を５０枚出金する出金指示を受領している場合、制御部１１は、まず、出金口２ａを搬送先に選択し、選択した出金口２ａに千円札を４０枚集積する。続いて制御部１１は、出金口２ｂを搬送先に選択し、選択した出金口２ｂに五千円札を５０枚集積する。職員は、出金口２ａ、２ｂから受け取った紙幣を金種毎に重ねて、顧客に渡す。

なお、紙幣認識部４により異常と鑑別（リジェクト判定）された紙幣は、リジェクト庫９に集積される。

以上具体例を挙げて説明したように、制御部１１は、千円札および五千円札を出金口２ａ、２ｂに別々に出金する。このように、第２の実施形態では、職員が出金された紙幣の金種を判別し易いよう紙幣を金種別に出金するので、職員は作業をスムーズに進めることができ、出金取引の利便性が向上する。

また、上記具体例では出金取引を例に説明したが、図７のステップＳ１０３にも示したように、本実施形態は、出金取引の他、出金口回収、または整理計数動作においても、複数の出金口から金種別に紙幣を排出することで、同様に利便性を向上させることができる。

また、上記具体例では２種類の紙幣を２つの出金口から出金する場合を例に説明したが、本実施形態はこれに限定されず、例えば３種類の紙幣を２つの出金口から金種別に出金することもできる。具体的には、制御部１１は、まず出金口２ａ、２ｂに、１種類目、２種類目の金種の紙幣をそれぞれ出金する。次いで、制御部１１は、職員により紙幣が受け取られ空いた方の出金口に、３種類目の紙幣を出金する。

（変形例）
続いて、第２の実施形態の変形例として、紙幣を、金種別かつ所定の枚数ごとに複数の出金口２ａ、２ｂから搬送先を選択し、選択した出金口に紙幣を搬送する紙幣搬送制御について説明する。紙幣を金種別かつ所定の枚数ごとに複数の出金口２ａ、２ｂに排出することで、職員は金種と枚数を判別し易くなり、紙幣処理装置１０の利便性が向上する。以下、第２の実施形態の変形例について図８を参照して説明する。図８は、第２の実施形態の変形例による紙幣を金種別かつ所定の枚数ごとに排出する処理を示すフローチャートである。

図８に示すステップＳ１０３〜Ｓ１０９は、上記図４を参照して説明した同ステップの処理と同様である。なお、本変形例では、ステップＳ１０３において、例えば千円札１５０枚、および五千円札１５０枚を出金する出金取引が指示される。また、本変形例による出金口２ａ、２ｂは、一例としてそれぞれ１００枚の集積容量を有する。

次いで、ステップＳ１１５において、紙幣認識部４により紙幣が正常と鑑別された紙幣は、金種別かつ所定の枚数ごとに各出金口２ａ、２ｂに搬送される。例えば、上述したように千円札を１５０枚、および五千円札を１５０枚出金する出金指示を受領している場合、制御部１１は、まず、出金口２ａを搬送先に選択し、選択した出金口２ａに千円札を１００枚集積する。続いて制御部１１は、出金口２ｂを搬送先に選択し、選択した出金口２ｂに五千円札を１００枚集積する。職員は、出金口２ａ、２ｂに集積された１００枚の各種紙幣を順次受け取り、それぞれ帯封する。

続いて、出金口２ａに集積された千円札１００枚が職員に受け取られると、制御部１１は出金口２ａに未出金分の千円札５０枚を集積する。また、同様に出金口２ｂに集積された五千円札１００枚が職員に受け取られると、制御部１１は出金口２ｂに未出金分の五千円札５０枚を集積する。そして、職員は、帯封した２つの束（千円札１００枚、五千円札１０枚）と、端数の千円札５０枚および五千円札５０枚を金種毎に重ねて、顧客に渡す。

以上説明したように、本変形例では、複数の出金口から金種別かつ所定の枚数毎に紙幣を出金することで、職員は金種および枚数を判別し易く、作業をスムーズに進めることができ、出金取引の利便性が向上する。

また、上述した例では出金取引について説明したが、図８のステップＳ１０３にも示したように、本変形例は、出金取引の他、出金口回収、または整理計数動作においても、複数の出金口から金種別かつ所定の枚数毎に紙幣を排出することで、同様に利便性を向上させることができる。

［３−３．第３の実施形態］
第３の実施形態では、整理計数動作の正損分けモードにおいて、紙幣が正券であるか、損券であるかに応じて、各出金口２ａ、２ｂから搬送先を選択し、選択した出金口に紙幣を搬送する。これにより、職員は紙幣を正券・損券に分けて整理することができ、紙幣処理装置１０の利便性が向上する。

以下、本実施形態について図９および図１０を参照して説明する。図９は、第３の実施形態による正損に応じて紙幣を搬送する処理を示すフローチャートである。図１０は、第３の実施形態による正損に応じて紙幣を搬送する際の搬送経路を示す図である。

図９に示すように、まず、ステップＳ１２１において、職員により整理計数動作の正損分けモードが指示されると、次いで、ステップＳ１２４において、制御部１１は、入金口１に集積された紙幣の束から紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４へ送るよう搬送を制御する。

次いで、ステップＳ１２７において、紙幣認識部４は、搬送された紙幣を認識（鑑別）し、正損判定を行う。

次に、ステップＳ１３０において、紙幣認識部４により正券と判定された紙幣は、ステップＳ１３３において、出金口２ａに搬送される。

一方、ステップＳ１３０において、紙幣認識部４により損券と判定された紙幣は、ステップＳ１３６において、出金口２ｂに搬送される。

なお、本実施形態では、さらにステップＳ１３０において、紙幣認識部４により偽券が発見された場合、ステップ１３９において、偽券を一時保留部３に退避させてもよい。一時保留部３に退避された偽券は、複数の出金口２ａ、２ｂのうち紙幣が受け取られて空いた方の出金口に搬送される。

以上説明したように、第３の実施形態では、入金口１に集積された紙幣が、紙幣の正損（紙幣の質）に応じて複数の出金口２ａ、２ｂに分けて排出されることで、職員は紙幣を正券・損券に分けて整理することができ、紙幣処理装置１０の利便性が向上する。また、本実施形態では、偽券が発見された場合、偽券を正券・損券とは別に排出することで、利便性をさらに向上することができる。

なお、上述した整理計数動作の正損分けモードにおける紙幣の搬送経路は、図１０の矢印で示す通りである。図１０の矢印で示すように、入金口１から分離された紙幣は、紙幣認識部４に１枚ずつ搬送され、紙幣認識部４による正損判定に応じて、出金口２ａ、または出金口２ｂに搬送される。また、紙幣認識部４により偽券と判定された紙幣は、一時保留部３に搬送され、出金口２ａ、２ｂから紙幣が受け取られた後、空いた方の出金口に搬送される。

また、上述した第３の実施形態を第１の実施形態と組み合わせ、紙幣の正損別に、かつ所定の枚数毎に複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出してもよい。具体的には、例えば出金口２ａに正券を１００枚毎排出し、出金口２ｂに損券を１００枚毎排出してもよい。これにより、職員は、紙幣の正損と枚数を判別し易くなり、整理計数動作の正損分けモードの利便性がより向上する。

［３−４．第４の実施形態］
第４の実施形態では、整理計数動作の真偽分けモードにおいて、紙幣が真券であるか、偽券であるかに応じて、各出金口２ａ、２ｂから搬送先を選択し、選択された出金口に紙幣を搬送する。これにより、職員は紙幣を真券・偽券に分けて整理することができ、紙幣処理装置１０の利便性が向上する。

以下、本実施形態について図１１を参照して説明する。図１１は、第４の実施形態による真偽に応じて紙幣を搬送する処理を示すフローチャートである。

図１１に示すように、まず、ステップＳ１４１において、職員により整理計数動作の真偽分けモードが指示されると、次いで、ステップＳ１４４において、制御部１１は、入金口１に集積された紙幣の束から紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４へ送るよう搬送を制御する。

次いで、ステップＳ１４７において、紙幣認識部４は、搬送された紙幣を認識（鑑別）し、真偽判定を行う。

次に、ステップＳ１５０において、紙幣認識部４により真券と鑑別された紙幣のうち出金に適すると鑑別された正券は、ステップＳ１５３において、出金口２ａに搬送される。

一方、ステップＳ１５０において、紙幣認識部４により偽券と判別された紙幣は、ステップＳ１５６において、出金口２ｂに搬送される。

なお、本実施形態では、さらにステップＳ１５０において、紙幣認識部４により真券と鑑別された紙幣のうち出金に適さないと鑑別された損券を、ステップ１５９において一時保留部３に退避させてもよい。一時保留部３に退避された損券は、複数の出金口２ａ、２ｂのうち紙幣が受け取られて空いた方の出金口に搬送される。

以上説明したように、第４の実施形態では、入金口１に集積された紙幣が、紙幣の真偽に応じて複数の出金口２ａ、２ｂに分けて排出されることで、職員は紙幣を真券・偽券に分けて整理することができ、紙幣処理装置１０の利便性が向上する。また、本実施形態では、真券をさらに正券と損券に分け、正券、損券、偽券を別々に排出することで、整理計数動作の利便性をさらに向上することができる。

なお、上述した第４の実施形態を第１の実施形態と組み合わせ、紙幣の真偽別に、かつ所定の枚数毎に複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出してもよい。具体的には、例えば出金口２ａに真券を１００枚毎排出し、出金口２ｂに偽券を１００枚毎排出してもよい。これにより、職員は、紙幣の真偽と枚数を判別し易くなり、整理計数動作の真偽分けモードの利便性がより向上する。

［３−５．第５の実施形態］
第５の実施形態では、入金取引においてリジェクトされた紙幣をリジェクト要因別、具体的には、偽券であるか、その他のリジェクト紙幣であるかに応じて、各出金口２ａ、２ｂから搬送先を選択し、選択した出金口に紙幣を搬送する。

通常、入金取引においては、紙幣認識部４により正常と鑑別された紙幣は一時保留部３に退避され、集積処理に移行後、金種に対応する紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積される。一方、紙幣認識部４により異常と鑑別（リジェクト判定）された紙幣は出金口に排出され、職員により再度入金口１に投入されることで、再鑑別が可能である。ここで、リジェクト判定は、偽券、損券（汚損、損壊、外形異常等）、走行異常（スキュー紙幣、重走等）といった様々な要因に基づいて行われるので、再鑑別が有効な紙幣もあれば、偽券のように再鑑別が無駄な紙幣もある。そこで、第５の実施形態では、リジェクト紙幣を偽券とその他のリジェクト紙幣とに分けて各出金口２ａ、２ｂからそれぞれ排出する。これにより、職員が偽券を再度投入してしまう手間が省け、作業時間が短縮できるという効果が奏する。

以下、本実施形態について図１２を参照して説明する。図１２は、第５の実施形態による真偽に応じて紙幣を搬送する処理を示すフローチャートである。

図１２に示すように、まず、ステップＳ１６１において、職員により入金取引の真偽判定モードが指示されると、次いで、ステップＳ１６４において、制御部１１は、入金口１に集積された紙幣の束から紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４へ送るよう搬送を制御する。

次いで、ステップＳ１６７において、紙幣認識部４は、搬送された紙幣を認識（鑑別）し、真偽判定を行う。

次に、ステップＳ１７０において、紙幣認識部４により真券と鑑別された紙幣のうち入金対象とする紙幣は、ステップ１７９において一時保留部３に退避させ、入金完了後（入金金額確定後）、集積処理において金種に対応する紙幣カセット６Ａ〜６Ｄに集積する。

また、ステップＳ１７０において、紙幣認識部４により偽券と判別された紙幣は、ステップＳ１７６において、出金口２ｂに搬送される。

また、ステップＳ１７０において、紙幣認識部４により真券と鑑別された紙幣のうち入金対象に適さない紙幣（損券などその他リジェクト紙幣）は、ステップＳ１７３において、出金口２ａに搬送される。そして、職員は、出金口２ａから排出されたリジェクト紙幣を再度入金口１に投入することで、再鑑別を行う。

以上説明したように、第５の実施形態では、入金取引においてリジェクトされた紙幣が、リジェクト要因に応じて、すなわち偽券とその他リジェクト紙幣（損券など）に分かれて各出金口２ａ、２ｂからそれぞれ排出される。これにより、職員は偽券を判別し易く、また、偽券以外のリジェクト紙幣のみを再鑑別させることで、作業時間や入金取引に要する処理時間を結果的に短縮することができる。

［３−５．第６の実施形態］
第６の実施形態では、整理計数動作において、リジェクト（ＲＪ）要因に応じて各出金口２ａ、２ｂから搬送先を選択し、選択した出金口にリジェクト紙幣を搬送する。

上述したように、リジェクト判定は、偽券、損券（汚損、損壊、外形異常等）、走行異常（スキュー紙幣、重走等）といった様々な要因に基づいて行われる。しかしながら、上記第３および第４の実施形態は、いずれも正券、損券、および偽券の３種別に紙幣を分けるモードであった。

そこで、第６の実施形態では、整理計数動作のＲＪ要因別モードとして、リジェクト紙幣をＲＪ要因別に各出金口２ａ、２ｂからそれぞれ排出させることで、職員はＲＪ要因別に紙幣を整理することができる。これにより、本実施形態では、例えば損券をさらに汚損券、損壊券、外形異常券等に分けたり、リジェクト紙幣のうち走行異常券を抽出したりすることができる。

以下、本実施形態について図１３を参照して説明する。図１３は、第６の実施形態による整理計数動作のＲＪ要因別モードにおける紙幣の搬送処理を示すフローチャートである。

図１３に示すように、まず、ステップＳ１８１において、職員により整理計数動作のＲＪ要因別モードが指示される。ＲＪ要因別モードでは、職員が判別したい所定のＲＪ要因を指示してもよい。また、職員は、入金取引や整理計数動作で一度リジェクト判定されたリジェクト紙幣を入金口１に投入してもよい。これにより、リジェクト紙幣をさらに細かくＲＪ要因別に分けることができる。

次いで、ステップＳ１８４において、制御部１１は、入金口１に集積された紙幣の束から紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４へ送るよう搬送を制御する。

次に、ステップＳ１８７において、紙幣認識部４は、搬送された紙幣を認識（鑑別）し、所定のＲＪ要因を判定する。所定のＲＪ要因とは、例えば職員により指示されたＲＪ要因であって、ここでは、ＲＪ要因１として損壊、ＲＪ要因２として走行異常、ＲＪ要因３としてその他ＲＪ要因としてもよい。

次いで、ステップＳ１９０において、制御部１１は、紙幣認識部４により異常と鑑別された紙幣のうち、所定の要因別に、各出金口２ａ、２ｂからそれぞれ排出するよう搬送を制御する。例えば、紙幣認識部４により損壊（ＲＪ要因１）が要因でリジェクト判定された紙幣は、ステップＳ１９３において、出金口２ａに搬送される。

また、ステップＳ１７０において、紙幣認識部４により走行異常（ＲＪ要因２）が要因でリジェクト判定された紙幣は、ステップＳ１９６において、出金口２ｂに搬送される。

また、ステップＳ１７０において、紙幣認識部４によりその他ＲＪ要因（ＲＪ要因３）が要因でリジェクト判定された紙幣は、ステップＳ１９９において、一時保留部３に搬送された後、複数の出金口２ａ、２ｂのうち紙幣が受け取られて空いた方の出金口に搬送される。

以上説明したように、第６の実施形態では、整理計数動作のＲＪ要因別モードにおいて、リジェクト紙幣を、リジェクト要因別に複数の出金口２ａ、２ｂからそれぞれ排出させることができる。これにより、職員は、リジェクト紙幣をＲＪ要因別に判別することができる。

［３−７．第７の実施形態］
第７の実施形態では、指示元の受付端末３０に応じて、各出金口２ａ、２ｂから搬送先を選択し、選択した出金口に紙幣を搬送する。これにより、複数の職員が各受付端末３０で１台の紙幣処理装置１０を共有する場合でも、各受付端末３０から指示した処理に応じた紙幣が別々の出金口から排出されるので、排出された紙幣を職員が互いに取り違うことを防止することができる。

本実施形態による紙幣処理装置１０が共有される場合について図１４を参照して説明する。図１４に示すように、本実施形態では、紙幣処理装置１０に複数の受付端末３０ａ、３０ｂが接続され、紙幣処理装置１０は、受付端末３０ａと受付端末３０ｂの間に配置されている。受付端末３０ａを操作する職員Ｓ１と、受付端末３０ｂを操作する職員Ｓ２は、それぞれが操作する受付端末３０から入金／出金取引、および整理計数動作等の指示を紙幣処理装置１０に送り、紙幣処理装置１０の入金口１から紙幣を投入したり、出金口２ａ、２ｂから紙幣を受け取ったりして紙幣処理装置１０を共有する。

次に、本実施形態の動作処理について図１５を参照して説明する。図１５は、第７の実施形態による受付端末に応じて紙幣を排出する処理を示すフローチャートである。

図１５に示すように、まず、ステップＳ２０１において、職員により受付端末３０が操作され、紙幣処理装置１０は、受付端末３０から入金／出金取引、出金口回収、または整理計数動作の指示を受信する。

次いで、ステップＳ２０４において、制御部１１は、指示内容に応じて、入金口１、または紙幣カセット６Ａ〜６Ｄのいずれかから紙幣を１枚ずつ分離し、分離した紙幣を紙幣認識部４へ送るよう搬送を制御する。

次に、ステップＳ２０７において、紙幣認識部４は、搬送された紙幣を認識（鑑別）する。そして、制御部１１は、紙幣認識部４による鑑別結果に基づいて、現在実行している処理内容（入金／出金取引、出金口回収、または整理計数動作）に応じて所定の紙幣を所定の搬送先へ搬送する制御を行う。なお、続いて説明するステップＳ２１０以降では、特に、紙幣を排出する場合の搬送制御について示す。

ステップＳ２１０において、制御部１１は、現在実行している処理がいずれの受付端末から指示された処理であるかに応じて、排出する出金口を選択する。

例えば、現在実行している処理が受付端末３０ａから指示された処理である場合、ステップＳ２１３において、制御部１１は、紙幣を出金口２ａから排出するよう搬送を制御する。

一方、現在実行している処理が、受付端末３０ｂから指示された処理である場合、ステップＳ２１６において、制御部１１は、紙幣を出金口２ｂから排出するよう搬送を制御する。

よって、受付端末３０ａを操作する職員Ｓ１は出金口２ａから排出される紙幣を受け取り、受付端末３０ｂを操作する職員Ｓ２は出金口２ｂから排出される紙幣を受け取るようにすることで、互いに紙幣を取り違えることが防止される。

以上説明したように、第６の実施形態では、指示元の受付端末に応じて、各出金口２ａ、２ｂから選択的に紙幣を排出することで、職員の紙幣取り違いを防止することができる。

また、上述した第６の実施形態を第１の実施形態と組み合わせ、指示元の受付端末別に、かつ所定の枚数毎に複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出してもよい。具体的には、例えば出金口２ａに受付端末３０ａから指示された処理に応じた紙幣を１００枚毎排出し、出金口２ｂに受付端末３０ｂから指示された処理に応じた紙幣を１００枚毎排出してもよい。これにより、職員の紙幣取り違いが防止され、かつ紙幣の枚数が判別し易くなり、紙幣処理装置１０の利便性がより向上する。

［３−８．第８の実施形態出金口の増減］
第８の実施形態では、紙幣の搬送先に選択可能な出金口の数を必要に応じて物理的／論理的に増減させることで、紙幣処理装置１０の利便性をより向上させる。以下、出金口の増減について複数の実施例を挙げて具体的に説明する。

（縮退モード）
上述した各実施形態では、複数の出金口２ａ、２ｂが全て正常に動作することが前提になっている。しかしながら、いずれかの出金口が故障する場合も想定される。そこで、制御部１１は、出金口の故障が検知された場合、故障が検知された出金口以外の、すなわち正常に動作する出金口を優先的に選択する縮退モードを採用することで、紙幣処理装置１０の可用性を向上させることができる。

（出金口の取り外し）
また、複数の出金口を着脱可能に設けることで、必要に応じて出金口を物理的に増減させることができる。例えば、紙幣処理装置１０を販売する場合に、個々の顧客の要望に合わせて予め出金口を増減させることができる。

＜４．まとめ＞
以上説明したように、本発明の一実施形態によれば、複数の出金口２ａ、２ｂから選択的に紙幣を排出することで、紙幣処理装置１０の利便性を向上させることができる。

具体的には、例えば所定の枚数毎に複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出することで、職員は紙幣の枚数を判別し易くなる。

また、金種別に複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出することで、職員は金種を判別し易くなる。

また、紙幣認識部４による認識結果に応じて複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出することで、職員は紙幣を整理し易くなる。

また、紙幣認識部４によるＲＪ要因に応じて複数の出金口２ａ、２ｂから紙幣を排出することで、職員は紙幣を整理し易くなる。

また、複数の受付端末３０で紙幣処理装置１０を共有する場合に、指示元の受付端末に応じて複数の出金口２ａ、２ｂから選択的に紙幣を排出することで、職員の紙幣取り違えを防止することができる。

また、複数の出金口のうち、正常な出金口を優先的に選択して紙幣を排出することで、紙幣処理装置１０の可用性を向上させることができる。

また、複数の出金口を着脱可能に設けることで、必要に応じて出金口を物理的に増減させることができる。

なお、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。

例えば、紙幣処理装置１０に内蔵されるＣＰＵ、ＲＯＭおよびＲＡＭなどのハードウェアを、上述した紙幣処理装置１０の制御部１１と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムを記憶させた記憶媒体も提供される。

また、上述した実施形態は、本実施形態による紙幣処理装置１０を、職員操作型端末に適用して説明したが、本実施形態による紙幣処理装置１０は、これに限定されない。例えば、顧客操作型端末であって、紙幣を還流させる（リサイクルさせる）タイプのＡＴＭ（Ａｕｔｏｍａｔｅｄ ｔｅｌｌｅｒ ｍａｃｈｉｎｅ）に代表される自動取引装置の現金処理部に適用してもよい。自動取引装置は、銀行、駅構内およびコンビニエンスストアなど、多様な場所に設置されている。顧客は、この自動取引装置に表示される表示画面において各種操作を行うことにより、入金、出金および残高照会などの取引を行うことができる。

１ 入金口
２、２ａ、２ｂ 出金口
３ 一時保留部
４ 紙幣認識部
５ 搬送部
６、６Ａ〜６Ｄ 紙幣カセット
７ リジェクト庫付き紙幣カセット
８ 紙幣収納庫
９ リジェクト庫
１０、１０−１、１０−２ 紙幣処理装置
１１ 制御部
１２ 記憶部
１７ 表示部
１９ 操作部
３０、３０ａ、３０ｂ、３０−１、３０−２ 受付端末
３２ 専用網
３５ 金融機関ホスト

Claims (6)

1. 紙幣が排出される複数の排出口と、
   紙幣の集積および繰出しを行う一時保留部と、
   紙幣を認識する紙幣認識部と、
   前記紙幣認識部により認識された紙幣の搬送先を、前記複数の排出口および前記一時保留部から選択し、選択した排出口または一時保留部へ前記紙幣を搬送し、前記複数の排出口のいずれかの排出口から紙幣が抜き取られると、前記一時保留部に搬送していた紙幣を前記紙幣が抜き取られた排出口へ搬送するよう制御する制御部と、
   を備える、紙幣処理装置。
2. 前記制御部は、前記複数の排出口へ所定の枚数毎紙幣を搬送する、請求項１に記載の紙幣処理装置。
3. 前記紙幣認識部は、前記紙幣の正損を認識し、
   前記制御部は、整理計数動作時に、排出する紙幣の正損に応じて前記複数の排出口および前記一時保留部から前記紙幣の搬送先を選択する、請求項１または２に記載の紙幣処理装置。
4. 前記紙幣認識部は、さらに前記紙幣の真偽を認識し、
   前記制御部は、前記整理計数動作時に、認識された正券、損券、または偽券の搬送先を前記複数の排出口および前記一時保留部から選択する、請求項３に記載の紙幣処理装置。
5. 前記紙幣認識部は、前記紙幣の真偽を認識し、
   前記制御部は、整理計数動作時に、排出する紙幣の真偽に応じて前記複数の排出口および前記一時保留部から前記紙幣の搬送先を選択する、請求項１または２に記載の紙幣処理装置。
6. 前記紙幣認識部は、前記紙幣のリジェクト要因を認識し、
   前記制御部は、整理計数動作時に、排出する紙幣のリジェクト要因に応じて前記複数の排出口および前記一時保留部から前記紙幣の搬送先を選択する、請求項１または２に記載の紙幣処理装置。

Images