===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
即ち、設定されたモードに応じてノズルからインクを吐出し、媒体に画像を印刷する印刷装置であって、主画像の印刷モードを設定する第1の設定部であって、前記媒体上に背景画像を印刷した後に、前記背景画像上に前記主画像を印刷する表刷りモードと、前記媒体上に前記主画像を印刷した後に、前記主画像上に前記背景画像を印刷する裏刷りモードのうちの、何れか一方を設定する第1の設定部と、前記主画像の印刷に関連して印刷させる付加画像の印刷モードを設定する第2の設定部であって、前記媒体上に前記付加画像用の背景画像を印刷した後に、前記付加画像用の背景画像上に前記付加画像を印刷する表刷りモードと、前記媒体上に前記付加画像を印刷した後に、前記付加画像上に前記付加画像用の背景画像を印刷する裏刷りモードのうちの、何れか一方を設定する第2の設定部と、を有することを特徴とする印刷装置である。
このような印刷装置によれば、付加画像の内容を確認できる印刷物を印刷できる。
かかる印刷装置であって、前記付加画像がセンサーで読み取る画像である場合、前記第2の設定部は、前記付加画像の印刷モードを、前記センサーと前記付加画像の間に前記付加画像用の背景画像が介在しない画像を印刷する印刷モードに設定すること。
このような印刷装置によれば、センサーに付加画像を読取らせることができる。
かかる印刷装置であって、印刷後の前記媒体はロール状に巻き取られ、前記媒体の印刷面が外側に位置して巻き取られる場合、前記第2の設定部は、前記付加画像の印刷モードを前記表刷りモードに設定し、前記媒体の印刷面が内側に位置して巻き取られる場合、前記第2の設定部は、前記付加画像の印刷モードを前記裏刷りモードに設定すること。
このような印刷装置によれば、ロール状に巻き取られた媒体の外側から付加画像の内容を確認することができる。
かかる印刷装置であって、前記主画像の印刷モードと前記付加画像の印刷モードをそれぞれユーザーに選択させるユーザー選択部を有すること。
このような印刷装置によれば、ユーザーの用途に合わせて付加画像の内容を確認することができる。
かかる印刷装置であって、前記媒体と前記ノズルの相対位置を所定方向の一方向へ相対移動させて、前記ノズルからインクを吐出して、前記媒体に画像を印刷し、前記表刷りモードと前記裏刷りモードのうち、前記主画像の印刷モードと前記付加画像の印刷モードが異なる場合、前記付加画像又は前記付加画像用の背景画像を印刷する前に、前記媒体と前記ノズルの相対位置を前記所定方向の他方向へ相対移動させること。
このような印刷装置によれば、各印刷モードに応じて画像を印刷することができ、主画像および付加画像を印刷するノズルを同じにすることができ、主画像用の背景画像および付加画像用の背景画像を印刷するノズルを同じにすることができる。
かかる印刷装置であって、前記付加画像に対する前記付加画像用の背景画像の余白量を、前記主画像に対する前記背景画像の余白量よりも大きくすること。
このような印刷装置によれば、付加画像と付加画像用の背景画像を重ねて印刷することができる。
かかる印刷装置であって、前記媒体と前記ノズルの相対位置を所定方向の一方向へ相対移動させて、前記ノズルからインクを吐出して、前記媒体に画像を印刷し、前記表刷りモードと前記裏刷りモードのうち、前記主画像の印刷モードと前記付加画像の印刷モードが異なる場合、前記主画像および前記付加画像を印刷するノズルよりも前記所定方向の前記一方向側及び他方向側に位置するノズルのうち、1のノズルを、前記背景画像を印刷するノズルとして、他のノズルを、前記付加画像用の背景画像を印刷するノズルとすること。
このような印刷装置によれば、ノズルと媒体とを逆方向に相対移動させることなく各印刷モードに応じて画像を印刷することができ、主画像および付加画像を印刷するノズルを同じにすることができる。
かかる印刷装置であって、第1のインクによって、前記主画像を印刷し、前記第1のインク及び第2のインクによって、前記背景画像を印刷すること。
このような印刷装置によれば、所望の色の背景画像を印刷することができる。
また、第1の設定部が、媒体上に背景画像を印刷した後に、前記背景画像上に主画像を印刷する表刷りモードと、前記媒体上に前記主画像を印刷した後に、前記主画像上に前記背景画像を印刷する裏刷りモードのうちの何れか一方を、前記主画像の印刷モードに設定することと、前記第1の設定部が設定したモードに応じて前記主画像及び前記背景画像を印刷することと、第2の設定部が、前記媒体上に前記主画像の印刷に関連して印刷させる付加画像用の背景画像を印刷した後に、前記付加画像用の背景画像上に前記付加画像を印刷する表刷りモードと、前記媒体上に前記付加画像を印刷した後に、前記付加画像上に前記付加画像用の背景画像を印刷する裏刷りモードのうちの何れか一方を、前記付加画像の印刷モードに設定することと、前記第2の設定部が設定したモードに応じて前記付加画像及び前記付加画像用の背景画像を印刷することと、を有することを特徴とする印刷方法。
このような印刷方法によれば、付加画像の内容を確認できる印刷物を印刷できる。
===第1実施形態===
<<印刷システムについて>>
印刷装置の一例としてインクジェットプリンター(以下、プリンター1と呼ぶ)を例に挙げ、プリンター1とコンピューター60が接続された印刷システムにて実施形態を説明する。
図1は、印刷システムの全体構成ブロック図であり、図2Aは、プリンター1の概略断面図であり、図2Bは、ヘッド31における短尺ヘッド311の配置を示す図である。コンピューター60は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるため、印刷させる画像に応じた印刷データをプリンター1に出力する。コンピューター60には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。このプリンタードライバーは、フレキシブルディスクFDやCD−ROMなどの記録媒体(コンピューター読み取り可能な記録媒体)に記録されている。または、インターネットを介してプリンタードライバーをコンピューター60にダウンロードしてもよい。
コンピューター60から印刷指令および印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー10により、各ユニットを制御し、連続媒体Sに画像を形成する。また、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター60とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。
搬送ユニット20は、連続媒体Sを搬送するためのものである。搬送ローラー21A,21Bと、搬送ベルト22を有し、印刷時には搬送方向に所定の搬送速度で連続媒体Sを搬送させる。なお、印刷中の媒体の位置ズレを防止するため、媒体Sを下側から吸引し、媒体Sを搬送ベルト22にバキューム吸着させるとよい。
ヘッドユニット30は、媒体にインクを吐出するための複数のヘッド31を有する。図2Aに示すように、媒体搬送方向に沿って複数のヘッド31が並んでいる。搬送方向の上流側から順に、白インクを吐出する第1ホワイトヘッド31(W1)と、イエローインクを吐出するイエローヘッド31(Y)と、マゼンタインクを吐出するマゼンタヘッド31(M)と、シアンインクを吐出するシアンヘッド31(C)と、ブラックインクを吐出するブラックヘッド31(K)と、白インクを吐出する第2ホワイトヘッド31(W2)と、が並んでいる。
図2Bに示すように、各ヘッド31の下面にて、紙幅方向に複数の短尺ヘッド311が並んでおり、短尺ヘッド311の下面にはインク吐出部である複数のノズルが設けられている。また、短尺ヘッド311の下面では複数のノズルが紙幅方向に所定間隔Dに並んでおり、隣り合う短尺ヘッド311のノズル間隔も所定間隔Dとなるように各短尺ヘッド311が配置されている。ゆえに、ヘッド31の下面において、複数のノズルが紙幅方向に所定間隔Dおきに並んでいることになる。そして、各ノズルには、インクが入った圧力室(不図示)と、圧力室の容量を変化させてインクを吐出させるための駆動素子(例えばピエゾ素子)が設けられている。駆動素子に駆動信号が印加されることにより、駆動素子は変形し、その変形に伴って圧力室が膨張・収縮することによりインクが吐出される。
なお、本実施形態では、インクとして、紫外線が照射されることによって硬化する「紫外線硬化型インク」を用いる。紫外線硬化型インク(以下、インク)は、ビヒクル、光重合開始剤及び顔料の混合物に、消泡剤、重合禁止剤等の補助剤を添加して調合される。なお、ビヒクルは、光重合硬化性を有するオリゴマー、モノマー等を、反応性希釈剤により粘度調整して調合される。また、インクとしては、水性インクと油性インクの両方を含むものとする。
紫外線照射ユニット40は、ヘッド31から媒体上に吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射して硬化するための照射器(仮照射器41・本照射器42)を有する。各照射器41,42は、紫外線硬化型インクに紫外線を照射して硬化するランプ(例えばメタルハライドランプやLEDなど)を有する。照射器41,42による紫外線の照射量(照射強度(mJ/cm2)や照射回数など)を調整することによって、紫外線硬化型インクを完全に硬化させたり完全には硬化させなかったりすることができる。なお、異なる色インクを吐出するヘッド31の間には仮照射器41を設けている。そして、搬送方向の最も下流側に本照射器42を設けている。仮照射器41は本照射器42に比べて照射強度の弱い紫外線を照射する。そのため、ヘッド31から媒体Sに吐出された紫外線硬化型インクは、仮照射器41によって完全には硬化しない状態(半硬化状態)となるように紫外線が照射され、本照射器42によって完全に硬化した状態(完全硬化状態)となるように紫外線が照射される。なお、本照射器42よりも更に下流側に読取センサー51が設けられている。読取センサー51(センサー)は、連続媒体Sに対してヘッド31側(上方)に設けられているため、連続媒体Sの印刷面と読取センサー51が対向する。
このようなプリンター1において、コントローラー10は、印刷データを受信すると、連続媒体Sを搬送ベルト22上にて一定の速度で停まることなく搬送する。その際に、各ヘッド31及び照射器41,42が連続媒体Sと対向し、各ヘッド31から媒体に紫外線硬化型インクが吐出され、その紫外線硬化型インクは照射器41,42によって硬化される。その結果、媒体上に画像が印刷される。そして、印刷後の連続媒体Sは、図2Aに示すように、巻取りユニット70によってロール状に巻き取られる。本実施形態の巻取りユニット70は、巻取り方向を変更することによって、図2Aの上図に示すように印刷面が外側に位置する巻取り方(外巻き)と図2Aの下図に示すように印刷面が内側に位置する巻取り方(内巻き)の2種類の巻取り型を実施可能とする。
<<印刷画像について>>
図3は、本実施形態で例に挙げる印刷物を説明する図である。4色のカラーインク(Kも含む)で印刷する「主画像」と白インクで印刷する「背景画像」とを重ねた「主印刷物」と、4色のカラーインクで印刷する「付加画像」と、白インクで印刷する「背景画像」とを重ねた「付加印刷物」の2種類の印刷物を印刷するとした。本実施形態で用いる連続媒体Sを透明性の有る媒体(例:透明性の樹脂フィルムなど)とする。そのため、4色のカラーインクで印刷する画像(主画像・付加画像)に白の背景画像を重ねて印刷することで、カラー画像の発色性を向上し、印刷物の反対側が透けてしまうことを防止できる。なお、図3では、主印刷物に対して付加印刷物を搬送方向上流側の位置に印刷している。ただし、これに限らず、付加印刷物を主印刷物よりも搬送方向下流側の位置に印刷してもよい。また、図3では、連続媒体Sに主印刷物が1個だけ形成された様子を示しているため、1個の主印刷物に対して1個の付加印刷物を形成しているが、これに限らない。例えば、連続媒体Sに多数の主印刷物を連続して印刷する場合には、所定数の主印刷物ごとに1つの付加印刷物を印刷してもよい。
主画像は、ユーザーにより印刷するように指示させた画像である。一方、付加画像は、主画像の印刷に関する情報を示す画像である。図3では、「付加画像」として、4色のカラーノズル(YMCK)に関する不吐出検査パターンを形成している。不吐出検査パターンは、主画像を印刷するために用いた4色(YMCK)の各ノズルによって形成されるドット列から構成される。各ノズルによってドット列が正常に形成されたか否かによって、ノズルからの吐出の有無を判断する。このように、主画像と共に、主画像を印刷するために使用したノズルの不吐出検査パターンを印刷することで、ユーザーは主画像が不吐出ノズルの無い状態で印刷されたか否かを確認することができる。また、不吐出検査パターンは、主画像が不吐出ノズルの無い正常な状態で印刷されたことを示す品質保証の役割も担う。そして、図3では不吐出検査パターンの他に、付加画像として主画像のロット番号を印刷している。なお、付加画像の種類はこれに限らず、主画像の印刷に関する情報として、例えば、印刷を行ったプリンター1の製造番号や、媒体や主画像の種類を表す情報を印刷してもよい。また、本実施形態では連続媒体Sに主印刷物を印刷するため、後の工程にて連続媒体Sから主印刷物を切り抜く場合がある。その時の切り抜き位置を示すマーク(付加画像)として、主画像の四隅や対角線上の二角の位置に、L字や十字などのマーク(所謂トンボマーク)を印刷してもよい。
また、付加画像は、ユーザーによる目視によって読み取るようにしても良いし、図2に示す読取センサー51や外部装置(例:主印刷物の切りぬき装置)のセンサーで読み取るようにしても良い。そのため、図3では、ロット番号を数字で印刷しているがこれに限らず、付加画像はバーコード等のパターンであってもよい。
なお、付加画像は、主画像の印刷に関連して印刷するものであっても良い。例えば、印刷に関連する情報を印刷するものでもよいし、印刷の動作に関連して印刷するものであってもよい。例えば、印刷内容や印刷状態を確認するために印刷させるものがあげられる。また、付加画像が印刷される時期は、主画像の印刷前や印刷後や、複数の主画像の印刷途中に随時行うものであってもよい。また、ユーザーの指示によって印刷されるようにしてもよく、ユーザーが主画像の印刷内容や印刷状態を確認するために指示して行わせるものであっても良い。
<<印刷モードについて>>
図4は、主印刷物および付加印刷物の印刷モードを説明する図である。本実施形態のプリンター1では、透明性の有る媒体(透明フィルムなど)に、カラー画像(主画像・付加画像)と白の背景画像を重ねて印刷する場合に、「表刷りモード」と「裏刷りモード」の2種類の印刷モードを選択して印刷することができるとする。表刷りモードは、図4の上図に示すように、媒体上の所定領域に対して、先に背景画像を印刷し、その背景画像上にカラー画像(主画像又は付加画像)を印刷する。そのため、表刷りモードで印刷された印刷物は、印刷面からカラー画像を見ることになる。一方、裏刷りモードは、図4の下図に示すように、媒体上の所定領域に対して、先にカラー画像(主画像又は付加画像)を印刷し、そのカラー画像上に背景画像を印刷する。そのため、裏刷りモードで印刷された印刷物は、媒体を介してカラー画像を見ることになる。
ところで、本実施形態のプリンター1では、表刷りモードと裏刷りモードを実施するため、図2に示すように搬送方向の最上流側および最下流側に白インクを吐出するヘッド31(W1,W2)を2個設ける。即ち、4色インク(YMCK)を吐出するヘッド31の搬送方向上流側と下流側にそれぞれホワイトヘッド31(W1,W2)を設ける。そうすることで、表刷りモードでは、上流側の第1ホワイトヘッド31(W1)によって媒体上の所定領域に先に背景画像を印刷し、中央の4色ヘッド31(YMCK)によって背景画像上にカラー画像を印刷することができる。一方、裏刷りモードでは、中央の4色ヘッド31(YMCK)によって媒体上の所定領域に先にカラー画像を印刷し、下流側の第2ホワイトヘッド31(W2)によってカラー画像上に背景画像を印刷することができる。
<<印刷モードの設定について>>
図5は、主画像設定部141が主印刷物の印刷モードを設定するフローである。図1に示すように、本実施形態のプリンター1では、コントローラー10内に「主画像設定部141(第1の設定部)」が設けられている。主印刷物では、ユーザーの設定によって印刷モードを決定する。なお、本実施形態の印刷システムでは、プリンター1に接続されたコンピューター60内のプリンタードライバーにて印刷データが作成される。そのため、プリンタードライバーは、カラー画像と白の背景画像を重ねて印刷するように指示された場合、又は画像を印刷する媒体として透明性媒体が設定された場合に、コンピューター60のディスプレイ等に「印刷モード設定用のウィンドウ(不図示)」を表示する。そのウィンドウによって、ユーザーは表刷りモードと裏刷りモードの何れか一方の印刷モードを設定することができる。そして、プリンタードライバーは、作成した印刷データと共に、ユーザーによって設定された印刷モード等を示す印刷情報をプリンター1に送信する。
その後、図5に示すように、主画像設定部141は、受信した印刷情報に基づいて、ユーザーが設定した印刷モードが表刷りモードか否かを判断する(S001)。ユーザーが設定した印刷モードが表刷りモードである場合(S001→Y)、主画像設定部141は印刷モードを表刷りモードに設定する(S002)。この場合、主画像設定部141は、背景画像を印刷するために使用するヘッド31を第1ホワイトヘッド31(W1)に決定し、背景画像の印刷データを第1ホワイトヘッド31(W1)に送信させる(S003)。そうすることで、搬送方向上流側の第1ホワイトヘッド31(W1)によって媒体上の所定領域に先に背景画像を印刷し、搬送方向中央部の4色ヘッド31(YMCK)によって背景画像上にカラー画像を印刷することができる。
これに対して、ユーザーが設定した印刷モードが表刷りモードでない場合(S001→N)、主画像設定部141は印刷モードを裏刷りモードに設定する(S004)。この場合、主画像設定部141は、背景画像を印刷するために使用するヘッド31を第2ホワイトヘッド31(W2)に決定し、背景画像の印刷データを第2ホワイトヘッド31(W2)に送信させる(S005)。そうすることで、搬送方向中央部の4色ヘッド31(YMCK)によって媒体上の所定領域に先にカラー画像を印刷し、搬送方向下流側の第2ホワイトヘッド31(W2)によってカラー画像上に背景画像を印刷することができる。
こうして、プリンター1は、ユーザーが設定した印刷モードによって主印刷物を印刷することができる。なお、主画像設定部141は主印刷物を印刷するための印刷モードを設定するだけでもよく、その他の制御部が主画像設定部141によって設定された印刷モードに基づいて、使用する白インクのヘッド31を決定したり、使用する白インクのヘッド31に背景画像用の印刷データを送信させたりしてもよい。
そして、本実施形態では図3に示すように、主印刷物の他に付加印刷物も印刷する。ここで、仮に、主印刷物と同じ印刷モードでしか付加印刷物を印刷できないとする。即ち、主印刷物の印刷モードと付加印刷物の印刷モードを独立して設定できないとする。例えば、ユーザーによって主印刷物が裏刷りモードで印刷されるように設定された場合、付加印刷物も同じ裏刷りモードで印刷されるとする。図2に示すプリンター1では、付加画像の読取センサー51がヘッド31側(印刷面側)に設けられている。そのため、付加印刷物が裏刷りモードで印刷されると、読取センサー51と付加画像の間に背景画像が介在し、読取センサー51が付加画像を読み取ることが出来なくなってしまう。つまり、付加印刷物の印刷モードを主印刷物の印刷モードに合わせて印刷した結果、付加画像よりも背景画像の方が読取センサー51側に印刷されてしまうと、読取センサー51は付加画像の内容を読み取ることが出来なくなってしまう。逆に言えば、表刷りモードおよび裏刷りモードにおける付加画像と背景画像の各位置関係に応じて、印刷面側(ヘッド側)にも搬送ベルト側にも読取センサー51を設けると、コストがかかってしまう。
また、本実施形態では、図2に示すように連続媒体Sをロール状に巻き取る。そのため、例えば、図2の上図のように印刷面(ヘッド側の面)が外側となるように連続媒体Sが巻き取られた場合(外巻き)、主印刷物と同様に付加印刷物も裏刷りモードで印刷されると、背景画像の方が付加画像よりも印刷面の上側に位置するため、ロール状に巻き取られた媒体の外側から付加画像の内容を確認することが出来なくなってしまう。
そこで、本実施形態では、読取センサー51によって付加画像の内容を確認出来るようにしたり、ロール状媒体の外側から付加画像の内容を確認出来るようにしたりすることを目的とする。つまり、付加画像の内容を確認可能なように付加画像を印刷することを目的とする。そのために、本実施形態のプリンター1では、図1に示すようにコントローラー10に主画像設定部141と付加画像設定部142(第2の設定部)の両方を設け、主印刷物の印刷モードと付加印刷物の印刷モードを独立して設定可能とする。なお、付加画像の読取センサーを、媒体に対してヘッド31の反対側(印刷面の反対側)に設けてもよい。この場合、付加印刷物を裏刷りモードで印刷することで、読取センサー51が付加画像を読み取ることが出来る。
図6Aは、付加画像設定部142が付加印刷物の印刷モードを設定するフローであり、図6Bは、連続媒体Sの巻き取り方の違いによる付加画像の印刷位置の違いを示す図である。図6Aに示すように、付加画像設定部142は、コンピューター60から受信した印刷情報(又は既定の印刷設定)に基づいて、これから印刷する付加画像が読取センサー51で読み取られる画像であるか否かを判断する(S101)。本実施形態のプリンター1では読取センサー51がヘッド31側(印刷面側)に位置するため(図2)、付加画像を読取センサー51で読み取る場合(S101→Y)、付加画像設定部142は付加印刷物の印刷モードを表刷りモードに設定する(S102)。この場合、付加画像設定部142は、付加画像用の背景画像を印刷するために使用するヘッド31を第1ホワイトヘッド31(W1)に決定し、付加画像用の背景画像の印刷データを第1ホワイトヘッド31(W1)に送信させる(S103)。こうすることで、第1ホワイトヘッド31(W1)によって媒体上の所定領域に先に背景画像が印刷され、その後、4色ヘッド31(YMCK)によって背景画像上に付加画像が印刷される。そして、背景画像よりも付加画像の方が読取センサー51側に位置するため、読取センサー51が付加画像の内容を読み取ることができる。
なお、図3に示す印刷物では、付加画像として「不吐出検査パターン」と「ロット番号」の2種類を印刷している。このように複数の付加画像を印刷する場合、複数の付加画像のうちの少なくとも1個の付加画像が読取センサー51で読み取られる画像であれば、付加画像設定部142は、付加印刷物の印刷モードを表刷りモードに設定する。
一方、付加画像が読取センサー51で読み取られない画像である場合(S101→N)、付加画像設定部142は連続媒体Sの巻き取り方によって印刷モードを決定する。例えば、図6Bの左図では、主印刷物が表刷りモード(印刷面側)に印刷され、連続媒体Sが外巻き(印刷面が外側となるように)巻き取られた様子を示す。連続媒体Sを外巻きにする場合、印刷面が外側に位置するため、連続媒体Sの巻き終りに外側から見える媒体面は印刷面である。そこで、連続媒体Sを外巻きにする場合(S104→Y)、付加画像設定部142は付加印刷物の印刷モードを表刷りモードに設定する(S102)。そうすることで、付加画像の方が背景画像よりもロール状の媒体Sの外側に位置するため、連続媒体Sがロール状に巻き取られた後も付加画像の内容を確認することが出来る。例えば、印刷済みのロール状媒体が多数有ったとしても、付加画像が主画像の種類を示す場合、どのロール状媒体にどの主画像が印刷されているかを容易に確認することができる。
これに対して、図6Bの右図では、主印刷物が表刷りモード(印刷面側)に印刷され、連続媒体Sが内巻き(印刷面が内側となるように)巻き取られた様子を示す。連続媒体Sを内巻きにする場合、印刷面が内側に位置するため、連続媒体Sの巻き終りに外側から見える媒体面は印刷面側と反対側の面である。そこで、連続媒体Sを内巻きにする場合(S104→N)、付加画像設定部142は付加印刷物の印刷モードを裏刷りモードに設定する(S105)。そうすることで、ロール状の媒体Sの外側から媒体を介して付加画像を見ることができ、連続媒体Sがロール状に巻き取られた後も付加画像の内容を容易に確認することが出来る。
このように本実施形態では、プリンター1(コントローラー10)に、主画像設定部141と付加画像設定部142を設け、主画像(主印刷物)の印刷モードと付加画像(付加印刷物)の印刷モードを独立して設定する。そうすることで、読取センサー51が付加画像を読み取れるように、読取センサー51の位置に応じて付加画像の印刷モードを設定したり、ロール状の連続媒体Sの外側からも付加画像の内容を確認できるように、連続媒体Sが巻き取られた時の外側の媒体面に応じて付加画像の印刷モードを設定したりすることができる。つまり、本実施形態では付加画像の内容を確認可能な印刷物を形成することができる。
なお、主画像(主印刷物)の印刷モードと付加画像(付加印刷物)の印刷モードを独立して設定するということは、背景画像に対して主画像と付加画像を同じ側に印刷する場合も、背景画像に対して主画像と付加画像を異なる側に印刷する場合もある。そして、図5および図6Aのフローによれば、主画像と付加画像の各印刷モードに応じて、各画像の背景画像を印刷するホワイトヘッド31(W1,W2)を決定している。そのため、主画像と付加画像の各印刷モードが異なるモードであれば、第1ホワイトヘッド31(W1)と第2ホワイトヘッド31(W2)の両方が使用される。例えば、図6Bの右図のように主印刷物を表刷りモードで印刷し付加印刷物を裏刷りモードで印刷する場合、主画像用の背景画像は第1ホワイトヘッド31(W1)で印刷され、付加画像用の背景画像は第2ホワイトヘッド31(W2)で印刷される。
また、図6Aのフローでは、付加画像を読取センサー51で読み取らない場合に(S101→N)、連続媒体Sの巻き取り方(S104)によって付加画像(付加印刷物)の印刷モードを決定しているが、これに限らず、例えば、ユーザーに付加画像の印刷モードを設定させてもよい。そのために、例えばコンピューター60にインストールされたプリンタードライバーが、透明媒体に付加画像を印刷するように指示された場合に、コンピューター60のディスプレイ等に「付加画像の印刷モード設定用のウィンドウ(不図示)」を表示するようにしてもよい。このようにプリンタードライバーが、主画像の印刷モードおよび付加画像の印刷モードをそれぞれユーザーに選択させてもよい。そうすることで、ユーザーは、用途に合わせて、主画像と付加画像の印刷モードを同じにしたり、異ならせたりすることができ、付加画像の内容を確認可能に印刷することができる。この場合、プリンタードライバーのUI(ユーザーインターフェース)がユーザー選択部に相当し、プリンター1とプリンタードライバーがインストールされたコンピューター60とが接続された印刷システムが印刷装置に相当する。ただし、これに限らず、プリンター1のコントローラー60がユーザー選択部の役割を担っても良く、この場合、プリンター1単体が印刷装置に相当する。
また、本実施形態のプリンター1のように(図2)、連続媒体Sの巻き取り方が変更可能でないプリンターであれば、付加画像を読取センサー51で読み取らない場合に、連続媒体Sの固定の巻き方によって付加画像の印刷モードが自ずと決定する。逆に、読取センサー51を有さないプリンター1であれば、連続媒体Sの巻き方に基づいてのみ付加画像の印刷モードを決定しても良いし、外部装置(例:主印刷物の切抜き装置)の読取センサーに基づいて付加画像の印刷モードを決定したり、ユーザーに付加画像の印刷モードを設定させたりしてもよい。
<<他の印刷例について>>
図7は、主画像と付加画像の各印刷モードが異なる場合の他の印刷例を説明するための図である。前述の図5および図6Aのフローでは、主画像と付加画像の各印刷モードに応じて、各画像の背景画像を印刷するホワイトヘッド31(W1,W2)を決定しているがこれに限らない。主画像と付加画像の印刷モードが異なる場合であっても、2つのホワイトヘッド31(W1,W2)のうちの何れか一方のヘッド31を使用するようにしてもよい。そうすることで、2つのホワイトヘッド31(W1,W2)のうち、使用しない方のホワイトヘッド31に関してはクリーニング動作を実施する必要が無くなり、印刷以外のインク消費を抑制できる。
例えば、図7では、主画像の印刷モードに応じて使用するホワイトヘッド31(W)を決定するとした。図7では、主印刷物を表刷りモードで印刷し、付加印刷物を裏刷りモードで印刷するため、第1ホワイトヘッド31(W1)を使用し、第2ホワイトヘッド31(W2)を使用しないことになる。この場合、主印刷物は、搬送方向(所定方向)の上流側(一方側)から下流側(他方側)へ搬送される連続媒体Sの所定領域に対して、第1ホワイトヘッド31(W1)にて先に背景画像を印刷し、その後、4色インクのヘッド31(YMCK)にて背景画像上に主画像を印刷することができる。これに対して、付加印刷物は、先に4色インクのヘッド31にて付加画像を印刷した後に、4色インクのヘッド31よりも搬送方向上流側に位置する第1ホワイトヘッド31にて付加画像上に背景画像を印刷しなければならない。そのため、4色インクのヘッドにて付加画像を印刷した後に、連続媒体Sを搬送方向の下流側から上流側へ逆送りして、再度、付加画像が印刷された媒体領域と第1ホワイトヘッドW1を対向させて、付加画像上に背景画像を印刷する。
このように搬送方向上流側と下流側に位置する2つのホワイトヘッド31(W1,W2)の何れか一方を使用し、また、主印刷物と付加印刷物の印刷モードが異なる場合、一方の背景画像またはカラー画像を印刷する際に連続媒体Sを逆方向に搬送する必要がある。媒体の位置制御(搬送量制御)は、例えば搬送ローラー21A,21Bの回転角度などに基づいて制御される。そのため、媒体を逆方向(下流から上流)に搬送した後に、再度媒体を正方向(上流から下流に)搬送すると、媒体の位置制御に誤差が生じやすい。その結果、先に印刷された画像(図7では付加画像)の印刷位置と後に印刷された画像(図7では背景画像)の印刷位置がずれ易い。つまり、連続媒体Sを逆送りして印刷を実施した印刷物の方が、画質低下の虞がある。そこで、図7のように、主画像の印刷モードに応じて使用するホワイトヘッド31(W)を決定することが好ましい。そうすることで、主印刷物は連続媒体Sを逆送りすることなく印刷することができ高画質に印刷することができ、一方、付加印刷物は連続媒体Sを逆送りして印刷するため画質低下の虞があるが、付加印刷物であるため問題はない。
また、付加印刷物は、付加画像または付加画像用の背景画像を印刷する前に連続媒体Sを逆送りして印刷するため、付加画像と背景画像の位置がずれ易い。そのため、付加画像に対する背景画像の余白量(図7では3mm)を、主画像に対する背景画像の余白量(図7では0.3mm)よりも大きくするとよい。そうすることで、連続媒体Sを逆送りして付加印刷物を印刷し、付加画像と背景画像の印刷位置がずれ易くとも、付加画像と背景画像を重ねて印刷することができる。また、付加印刷物であれば背景画像の余白量が大きくとも問題はない。逆に言えば、主印刷物は、連続媒体Sを逆送りすることなく印刷できるため、主画像と背景画像の印刷位置がずれ難く、背景画像の余白量を小さくすることができる。
また、図3では、4色インク(YMCK)ノズルの不吐出検査パターンだけを形成しているが、これに限らず、図7に示すように、ホワイトノズルの不吐出検査パターンも付加画像として印刷してもよい。白インクは他のカラーインク(YMCK)に比べて透明性の媒体上でも視認され易いため、ホワイトノズルの不吐出検査パターンは背景画像と重ねて印刷しなくともよい。
また、白インクによるホワイトノズルの不吐出検査パターンに、他の色インク(例えばブラックインク)の背景画像を重ねて印刷してもよい。例えば、図7に示すように、主印刷物の印刷モードに応じた第1ホワイトヘッド31(W1)を使用し、且つ、主印刷物と付加印刷物の印刷モードが異なる場合、4色インクのヘッド31(YMCK)にて不吐出検査パターンを印刷した後に、連続媒体Sを逆送りして、上流側の第1ホワイトヘッド31(W1)にて背景画像を印刷する。これに対して、ホワイトノズルの不吐出検査パターンは、上流側の第1ホワイトヘッド31(W1)にて先に不吐出検査パターンを印刷し、連続媒体Sを下流側に搬送しながら、ブラックのヘッド31(K)によって、ホワイトノズルの不吐出検査パターン上にブラックの背景画像を印刷することができる。つまり、4色インクノズルの不吐出検査パターンとは異なり、ホワイトノズルの不吐出検査パターンは、連続媒体Sを逆送りする必要がない。
また、主印刷物と付加印刷物の印刷モードが異なる場合、背景画像を共通化し、主印刷物と付加印刷物を連続媒体Sの同じ位置に印刷することができる。この場合、連続媒体Sの消費量を削減できる。そのため、主画像設定部141と付加画像設定部142が各印刷物の印刷モードを設定した結果、主印刷物と付加印刷物の印刷モードが異なる場合には、ユーザーに、主画像と付加画像を、背景画像を介して同じ位置に印刷するか否かを選択させてもよい。
===第2実施形態===
図8は、第2実施形態のプリンターが有する短尺ヘッド311を示す図である。前述の第1実施形態では、図2Bに示すように紙幅方向に短尺ヘッド311が並んだヘッド31の下を、連続媒体Sを停まることなく搬送したプリンター1を例に挙げているが、これに限らない。第2実施形態では、図8に示す1個の短尺ヘッド311をノズル列方向と交差する移動方向に移動させながらノズルからインクを吐出させる動作と、ノズル列方向に媒体(単票紙)を搬送する搬送動作と、を繰り返すプリンターである。なお、短尺ヘッド311の移動方向への1回の移動によって画像を形成する動作を「パス」と呼ぶ。図8は、短尺ヘッド311の上面から仮想的にノズルと読取センサー51の配置を見た図である。短尺ヘッド311の下面には、4色のインク(YMCK)と白インク(W)をそれぞれ吐出するノズル列が設けられている。また、各ノズル列は、180個のノズルが所定間隔Dおきに搬送方向に並ぶことによって構成され、搬送方向下流側のノズルから順に小さい番号を付している(#1〜#180)。そして、ノズル列よりも搬送方向上流側の位置に付加画像を読み取るための読取センサー51が設けられている。なお、図8の実施例では、付加画像を印刷した後、媒体を図の搬送方向と逆方向に逆搬送して読み取る必要がある。一方、読取センサー51を短尺ヘッド311の搬送方向下流側に設けてもよく、その場合、付加画像が印刷された媒体を逆搬送することなく読み取ることが可能である。
図9は、第2実施形態のプリンターにおける表刷りモードと裏刷りモードを示す図である。ここで、第2実施形態のプリンターによっても、図3に示すように、4色インク(YMCK)による主画像と白インクの背景画像を重ねた主印刷物と、4色インクによる付加画像と白インクの背景画像を重ねた付加印刷物を印刷するとした。また、2つの画像を重ねて印刷する場合、図4に示すように表刷りモードと裏刷りモードの何れかを選択して実施可能とする。そして、プリンター(コントローラー)に主画像設定部と付加画像設定部を設け、主印刷物の印刷モードと付加印刷物の印刷モードを独立して設定可能する。例えば、主画像設定部は、図5に示すフローと同様にユーザーの設定に基づいて、主印刷物の印刷モードを決定するよい。また、付加画像設定部は、図6Aのフローに示すように付加画像を読取センサー51で読取るか否かに基づいて、付加印刷物の印刷モードを決定するとよい。ただし、第2実施形態のプリンターは単票紙に画像を印刷し、媒体をロール状に巻き取らないため、読取センサー51で読取らない場合には例えばユーザーに印刷モードを設定させてもよい。
また、ここでは、白色の色味を調整した背景画像を印刷する例を示す。白インクのみを使用して背景画像を印刷すると、背景画像を印刷する白インクの色そのものの色が背景画像の色となる。しかし、同じように白インクと呼ばれるインクであっても、インクの材料などによって白色の色味が若干異なる。そのため、使用する白インクによって、ユーザーが所望する色とは異なる色の背景画像が印刷されてしまう場合がある。また、印刷物によっては、単純な白色ではなく、若干の有彩色を有する背景画像が所望されることもある。また、白い媒体を用いる場合、白い媒体においても媒体の種類によって白色の色味が若干異なる。そのため、白い媒体に背景画像を印刷する際に、背景画像の白色と媒体の白色とが異なってしまう場合がある。そうすると、背景画像が目立ってしまう。
そこで、白インクと共に、少量のカラーインク(YMCK)を適宜使用して、所望の白色の背景画像(調整された白色の背景画像)を印刷するとよい。即ち、背景画像を印刷する際に、プリンター1が吐出可能なカラーインクの中の少なくとも1色のカラーインクを使用すればよく、例えば、4色のカラーインクを全て使用してもよいし、2色のカラーインクを使用してもよい。このように、白インクとカラーインクで背景画像を印刷することで、白インクが若干の色彩を有する場合に、その色彩を打ち消すインクと共に背景画像を印刷することで、背景画像を無彩色に近づけることもできる。
なお、所望の白色の背景画像をプリンター1に印刷させるための印刷データは、プリンター1が予め記憶するようにしても良いし、プリンタードライバーが作成するようにしても良い。プリンター1のモニターやコンピューターの画面をユーザーが見るなどして、所望の背景画像の色の選択を行う場合には、選択された色に応じた背景画像の印刷データが生成されるようにするとよい。
図9の短尺ヘッド311では、説明の簡略のため、1ノズル列あたりのノズル数を8個に減らし(#1〜#8)、4色インク(YMCK・第1のインクに相当)のノズル列を合わせて1つのカラーノズル列「Co(第1ノズル列に相当)」として描いている。カラーノズル列Coのノズルを丸で示し、白インク(第2のインクに相当)を吐出するホワイトノズル列W(第2ノズル列に相当)のノズルを三角で示す。図9の上図は、表刷りモードによる印刷を示す図である。第2実施形態のプリンターでは、媒体上の所定領域に対して先に形成する画像と後に形成する画像とによって、ノズル列のうちの使用ノズル(吐出ノズル)の位置を異ならせる。表刷りモードでは、媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その背景画像上に主画像または付加画像を印刷するため、ホワイトノズル列Wのうちの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8(△)とカラーノズル列Coのうちの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8(○)を背景画像用の吐出ノズルとし、カラーノズル列Coのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4(●)を主画像用の吐出ノズルとする。なお、図9に示す印刷方法で形成される画像は、1回のパスで形成される画像が搬送方向に並んで構成される。よって、1回の搬送動作における媒体搬送量は1回のパスでノズル列の半分(4個のノズル)にて形成される画像幅(4D)となる。
このように、背景画像を形成するためのノズル(#5〜#8)を主画像又は付加画像を形成するためのノズル(#1〜#4)よりも搬送方向上流側のノズルとすることで、媒体上の所定領域に先に背景画像を印刷し、その後、背景画像上に主画像又は付加画像を印刷することができる。図9の上図の右側の図では、背景画像用の吐出ノズル(#5〜#8)と主画像又は付加画像用の吐出ノズル(#1〜#4)を1つのノズル列で示し、各パスで形成されるドットの位置関係を示す。この図からも分かるように、例えば、媒体上の領域Aに対して、パス1にてホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの上流側ノズル(#5〜#8)によって背景画像が印刷された後、パス2にてカラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって背景画像上に主画像または付加画像が印刷される。
一方、図9の下図に示すように、裏刷りモードでは、ホワイトノズル列Wのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4(△)とカラーノズル列Coのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4(○)を背景画像用の吐出ノズルとし、カラーノズル列Coのうちの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8(●)を主画像用の吐出ノズルとする。そうすることで、図9の下図の右側の図に示すように、媒体上の領域Aに対して、パス1にてカラーノズル列Coの上流側ノズル(#5〜#8)によって先に主画像または付加画像が印刷された後、パス2にてホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって主画像または付加画像上に背景画像が印刷される。
このように、短尺ヘッド311を移動方向に移動して画像を形成する動作と、媒体を搬送方向に搬送する動作とを繰り返すプリンターでは、媒体上の所定領域に対して先に画像を印刷するためのノズルを後に画像を印刷するためのノズルよりも、搬送方向上流側のノズルに設定する。そうすることで、2つの画像を重ねて印刷する際に、先に形成する画像と後に形成する画像を異なるパスにて印刷することができ、先に形成する画像の乾燥時間を確保することができる。その結果、2つの画像を重ねて印刷する場合であっても、画像の滲みを抑制できる。
そして、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、主画像と付加画像の印刷モードを独立して設定する。そのため、主画像の印刷モードと付加画像の印刷モードが異なる場合がある。図9に示すように、印刷モードが異なれば、主画像用の吐出ノズルが異なる。付加画像として例えば不吐出検査パターンを印刷する場合、主画像を印刷するカラーノズルによって不吐出検査パターンを形成する必要がある。また、不吐出検査パターンでなくとも、主画像を印刷するために使用していないノズルはインクの増粘が進み正常にインクが吐出されない虞があるため、主画像を印刷するカラーノズルと付加画像を印刷するカラーノズルは同じであることが好ましい。そのため、主画像の印刷モードと付加画像の印刷モードが異なる場合であっても、主画像および付加画像を印刷するカラーノズルを等しくする。同様に、背景画像を印刷するノズルも、主画像用の背景画像を印刷するために使用していないホワイトノズルは乾燥している虞があるため、主画像用の背景画像を印刷するノズルと付加画像用の背景画像を印刷するノズルを同じにすることが好ましい。
例えば、主印刷物を表刷りモードで印刷し、主印刷物よりも搬送方向上流側に裏刷りモードによって付加印刷物を印刷するとした。このとき、主印刷物を印刷するために、媒体を搬送方向上流側から下流側に搬送しつつ、図9の上図に示すように、ホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの上流側ノズル(#5〜#8)によって背景画像を印刷し、カラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって主画像を印刷する。その結果、背景画像上に主画像を印刷することができる。
一方、付加印刷物を印刷するために、まず、媒体を搬送方向上流側から下流側に搬送しつつ、付加画像(例:不吐出検査用パターン)をカラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって印刷する。その後、付加印刷物は裏刷りモードであるため、付加画像が印刷された媒体部分をホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの上流側ノズル(#5〜#8)よりも上流側に位置するように、媒体を搬送方向下流側から上流側に逆送りする。そうして、媒体を搬送方向上流側から下流側に搬送しつつ、ホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの上流側ノズル(#5〜#8)によって付加画像上に背景画像を印刷する。
その結果、主印刷物の印刷モードと付加印刷物の印刷モードが異なっていても、主画像を印刷するノズルと付加画像を印刷するノズルを同じにすることができ、主画像用の背景画像を印刷するノズルと付加画像用の背景画像を印刷するノズルを同じにすることができる。そうすることで、主画像を印刷したノズルの不吐出を確認する不吐出検査パターンを形成することができ、また、主印刷物(又は付加印刷物)に使用したノズルにて付加印刷物(又は主印刷物)を印刷することができ、インク増粘による不吐出の虞の少ないノズルにて画像を形成することができる。なお、付加印刷物を印刷する際に、媒体を搬送方向下流側から上流側へ搬送するので、付加画像と付加画像用の背景画像の位置がずれ易くなる。そこで、図7の画像と同様に、主画像に対する背景画像の余白量よりも付加画像に対する背景画像の余白量を大きくするとよい。
このように、背景画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズルの搬送方向の位置と、同じく背景画像を印刷するカラーノズル列Coのノズルの搬送方向の位置を、等しくする。そうすると、背景画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスで白インクとカラーインクが噴射される。その結果、白インクとカラーインクが混ざり、背景画像の粒状感を低減することができる。
また、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さい。ただし、背景画像におけるカラーインクの粒状感を低減するため、カラーインクのドットをなるべく均一に分散することが好ましい。即ち、背景画像の単位領域あたりの白インク密度(ドット密度)に対して背景画像の単位領域あたりのカラーインク密度(ドット密度)を小さくする。そのため、背景画像を構成するカラーインクの割合は白インクの割合に比べて小さいものの、背景画像を印刷するために使用するホワイトノズル列Wのノズル数とカラーノズル列Coのノズル数を等しくする。即ち、カラーノズル列Coに属する半分のノズルを用いて背景画像を印刷する。ただし、これに限らず、背景画像を印刷するために使用可能なカラーノズル列Coの半分のノズルのうち、数個置きのノズルを使用して背景画像を印刷してもよい。
図10は、別の印刷方法を示す図である。前述の図9に示す印刷方法では、1回のパスで形成される画像が搬送方向に並んだ画像を印刷し、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に、別のパスでのラスターラインが形成されることはない。これに対して、図10では搬送方向の印刷解像度を高くした印刷方法を示し、表刷りモードの印刷方法を示す。図9と同様に、表刷りモードの場合には、先に印刷する背景画像用のノズル(#5〜#8)を、後に印刷する主画像または付加画像用のノズル(#1〜#4)よりも、搬送方向上流側のノズルとする。ただし、図9とは異なり、1回の搬送動作における媒体搬送量(4D/3)を少なくする。そのため、図9の印刷方法に比べて図10の印刷方法では、搬送方向の印刷解像度を高くすることができるが、印刷時間が長くなる。また、図10の印刷方法では、例えば右図に示すラスターラインAのように、パス1のホワイトノズル及びカラーノズル(△・○)によって背景画像用のドットが形成された後、パス4のカラーノズル(●)によって主画像又は付加画像用のドットが形成される。そのため、図9の印刷方法に比べて図10の印刷方法では、先の画像(図10では背景画像)が印刷されてから後の画像(主画像または付加画像)が印刷されるまでの乾燥時間を長く確保することができる。
図11A及び図11Bは、主印刷物と付加印刷物において背景画像用のノズルを異ならせる印刷方法を説明する図である。説明のため1ノズル列あたりのノズル数を減らして描いている。前述のように、特に、付加画像として不吐出検査パターンを印刷する場合、主画像を印刷するノズルによって不吐出検査パターンを形成する必要がある。また、主画像を印刷するために使用していないノズルはインクの増粘が進み正常にインクが吐出されない虞があるため、主画像を印刷するノズルと付加画像を印刷するノズルは同じであることが好ましい。一方、主画像または付加画像に比べて、背景画像を印刷するノズルに不吐出ノズルがあっても、画質に大きな影響を与えない。そのため、主画像の背景画像用ノズルと付加画像の背景画像用ノズルが異なってもよい。
そこで、主印刷物と付加印刷物を異なる印刷モードで印刷する場合に、図11Aに示すように、ホワイトノズル列Wのうち、搬送方向上流側の1/3のノズルと搬送方向下流側の1/3のノズルを、背景画像用ノズルとし、カラーノズル列Coのうち、搬送方向中央部1/3のノズルを主画像および付加画像用ノズルにするとよい。例えば、図11Aは、主印刷物を表刷りモードで印刷し、付加印刷物を裏刷りモードで印刷する場合のノズルを示す。まず、媒体を上流側から下流側へ搬送しつつ、媒体上の所定領域にホワイトノズル列Wの上流側のノズル#9〜#12によって主画像用の背景画像を印刷し、その後、所定領域の背景画像上にカラーノズル列Coの中央のノズル#5〜#8によって主画像を印刷する。そして、媒体を上流側から下流側へ搬送しつつ、媒体上の別の領域にカラーノズル列Coの中央のノズル#5〜#8によって付加画像を印刷し、その後、付加画像上にホワイトノズル列Wの下流側のノズル#1〜#4によって背景画像を印刷する。
このように主印刷物と付加印刷物の印刷モードが異なっても、カラーノズル列Coの吐出ノズルの搬送方向(所定方向)上流側(一方側)および下流側(他方側)のホワイトノズル列Wのノズルを、背景画像用のノズルとすることで、媒体を搬送方向の下流側から上流側へ逆方向に搬送する必要がなくなる。なお、主画像の背景画像用ノズルと付加画像の背景画像用ノズルが異なる場合であっても、定期的に背景画像用ノズルのクリーニング(例:フラッシング)を実施することで、背景画像用ノズルからインク滴を確実に吐出することができる。
また、図11Bに示すように、主印刷物と付加印刷物を異なる印刷モードで印刷する場合に、付加画像を印刷するカラーノズル列Coのノズルの搬送方向の位置と付加画像の背景画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズルの搬送方向の位置とを等しくしてもよい。具体的に説明すると、図11Bでは、主印刷物を表刷りモードで印刷し、付加印刷物を裏刷りモードで印刷するとし、媒体を上流側から下流側へ搬送しつつ、まずホワイトノズル列Wの上流側半分のノズル#7〜#12によって主画像の背景画像を印刷する。次に、カラーノズル列Coの下流側半分のノズル#1〜#6によって、主画像の背景画像上に主画像を印刷し、媒体上の別の領域に付加画像を印刷する。そして、媒体を搬送することなく付加画像の乾燥時間を設けた後に、ホワイトノズル列Wの上流側半分のノズル#1〜#6によって付加画像上に背景画像を印刷する。こうすることで、主印刷物と付加印刷物の印刷モードが異なっても、媒体を搬送方向の下流側から上流側へ逆方向に搬送することなく印刷できる。
なお、図11A及び図11Bでは、白インクのみで印刷する背景画像を例に挙げているが、これに限らない。図9及び図10のように、背景画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズルと搬送方向の位置が同じであるカラーノズル列Coのノズルも用いて、白色の色味を調整した背景画像を印刷しても良い。この場合、図11Aの印刷例では、ホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの上流側の1/3のノズル#9〜#12が主画像の背景画像用の吐出ノズルとなり、ホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの下流側の1/3のノズル#1〜#4が付加画像の背景画像用の吐出ノズルとなる。また、図11Bの印刷例では、ホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの上流側の半分のノズル#7〜#12が主画像の背景画像用の吐出ノズルとなり、ホワイトノズル列W及びカラーノズル列Coの下流側の半分のノズル#1〜#6が付加画像の背景画像用の吐出ノズルとなる。
また、付加画像は主画像の印刷に関する情報をユーザーが確認できる程度の画質であればよく、付加画像の背景画像の色味を調整する必要のない場合がある。このような場合、主画像の背景画像は白色の色味を調整するために白インクとカラーインクで印刷し、付加画像の背景画像は白インクのみで印刷しても良い。
また、前述の印刷例では、4色のカラーインク(YMCK)だけでカラー画像を印刷しているが、これに限らない。例えば、4色のカラーインクと共に白インクを用いてカラー画像を印刷するとよい。この場合、前述の図9に示す表刷りモードでは、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wの搬送方向下流側の半分のノズル(#1〜#4)を用いてカラー画像を印刷する。一方、裏刷りモードでは、カラーノズル列Co及びホワイトノズル列Wの搬送方向上流側の半分のノズル(#5〜#8)を用いてカラー画像を印刷する。このように、カラー画像を印刷するカラーノズル列Coのノズルの搬送方向の位置とカラー画像を印刷するホワイトノズル列Wのノズルの搬送方向の位置とを揃える。そうすると、カラー画像を印刷するために、媒体の所定領域に対して同じパスでカラーインクと白インクが噴射される。このように、カラーインクに白インクを加えてカラー画像を印刷することで、高明度、且つ、高彩度の色を再現した画像を印刷することができる。
<変形例>
第2実施形態の図9及び図10の印刷例では、白インクとカラーインクを使用して白色の色味を調整した背景画像を例に挙げているが、これに限らない。白インクだけを用いて印刷した背景画像であっても良い。しかし、この場合、白インクの色そのものの色である背景画像しか印刷することが出来ない。そのため、所望の色の背景画像を印刷することが出来なかったり、背景画像の色と媒体の地色の差が目立ってしまったりする。よって、高品質の背景画像を印刷することが出来ない。以下、白インクだけで背景画像を印刷する場合の印刷例を示す。
図12は、第2実施形態のプリンターにおける表刷りモードと裏刷りモードを示す図である。ここで、第2実施形態のプリンターによっても、図3に示すように、4色インク(YMCK)による主画像と白インクの背景画像を重ねた主印刷物と、4色インクによる付加画像と白インクの背景画像を重ねた付加印刷物を印刷するとした。また、2つの画像を重ねて印刷する場合、図4に示すように表刷りモードと裏刷りモードの何れかを選択して実施可能とする。そして、プリンター(コントローラー)に主画像設定部と付加画像設定部を設け、主印刷物の印刷モードと付加印刷物の印刷モードを独立して設定可能する。例えば、主画像設定部は、図5に示すフローと同様にユーザーの設定に基づいて、主印刷物の印刷モードを決定するよい。また、付加画像設定部は、図6Aのフローに示すように付加画像を読取センサー51で読取るか否かに基づいて、付加印刷物の印刷モードを決定するとよい。ただし、第2実施形態のプリンターは単票紙に画像を印刷し、媒体をロール状に巻き取らないため、読取センサー51で読取らない場合には例えばユーザーに印刷モードを設定させてもよい。
図12の短尺ヘッド311では、説明の簡略のため、1ノズル列あたりのノズル数を8個に減らし(#1〜#8)、4色インク(YMCK)のノズル列を合わせて1つのカラーノズル列「Co」として描いている。カラーノズル列Coのノズルを丸で示し、ホワイトノズル列Wのノズルを三角で示す。図12の上図は、表刷りモードによる印刷を示す図である。第2実施形態のプリンターでは、媒体上の所定領域に対して先に形成する画像と後に形成する画像とによって、ノズル列のうちの使用ノズル(吐出ノズル)の位置を異ならせる。表刷りモードでは、媒体の所定領域に対して先に背景画像を印刷し、その背景画像上に主画像または付加画像を印刷するため、ホワイトノズル列Wのうちの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を吐出ノズル(△)とし、カラーノズル列Coのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を吐出ノズル(●)とする。なお、図12に示す印刷方法で形成される画像は、1回のパスで形成される画像が搬送方向に並んで構成される。よって、1回の搬送動作における媒体搬送量は1回のパスでノズル列の半分(4個のノズル)にて形成される画像幅(4D)となる。
このように、背景画像を形成するためのノズル(#5〜#8)を主画像又は付加画像を形成するためのノズル(#1〜#4)よりも搬送方向上流側のノズルとすることで、媒体上の所定領域に先に背景画像を印刷し、その後、背景画像上に主画像又は付加画像を印刷することができる。図12の上図の右側の図では、背景画像用の吐出ノズル(#5〜#8)と主画像又は付加画像用の吐出ノズル(#1〜#4)を1つのノズル列で示し、各パスで形成されるドットの位置関係を示す。この図からも分かるように、例えば、媒体上の領域Aに対して、パス1にてホワイトノズル列Wの上流側ノズル(#5〜#8)によって背景画像が印刷された後、パス2にてカラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって背景画像上に主画像または付加画像が印刷される。
一方、図12の下図に示すように、裏刷りモードでは、ホワイトノズル列Wのうちの搬送方向下流側の半分のノズル#1〜#4を吐出ノズル(△)とし、カラーノズル列Coのうちの搬送方向上流側の半分のノズル#5〜#8を吐出ノズル(●)とする。そうすることで、図12の下図の右側の図に示すように、媒体上の領域Aに対して、パス1にてカラーノズル列Coの上流側ノズル(#5〜#8)によって先に主画像または付加画像が印刷された後、パス2にてホワイトノズル列Wの下流側ノズル(#1〜#4)によって主画像または付加画像上に背景画像が印刷される。
このように、短尺ヘッド311を移動方向に移動して画像を形成する動作と、媒体を搬送方向に搬送する動作とを繰り返すプリンターでは、媒体上の所定領域に対して先に画像を印刷するためのノズルを後に画像を印刷するためのノズルよりも、搬送方向上流側のノズルに設定する。そうすることで、2つの画像を重ねて印刷する際に、先に形成する画像と後に形成する画像を異なるパスにて印刷することができ、先に形成する画像の乾燥時間を確保することができる。その結果、2つの画像を重ねて印刷する場合であっても、画像の滲みを抑制できる。
そして、第2実施形態においても第1実施形態と同様に、主画像と付加画像の印刷モードを独立して設定する。そのため、主画像の印刷モードと付加画像の印刷モードが異なる場合がある。図12に示すように、印刷モードが異なれば、カラーノズル列Coの吐出ノズルが異なる。付加画像として例えば不吐出検査パターンを印刷する場合、主画像を印刷するカラーノズルによって不吐出検査パターンを形成する必要がある。また、不吐出検査パターンでなくとも、主画像を印刷するために使用していないノズルはインクの増粘が進み正常にインクが吐出されない虞があるため、主画像を印刷するカラーノズルと付加画像を印刷するカラーノズルは同じであることが好ましい。そのため、主画像の印刷モードと付加画像の印刷モードが異なる場合であっても、主画像および付加画像を印刷するカラーノズルを等しくする。同様に、背景画像を印刷するノズルも、主画像用の背景画像を印刷するために使用していないホワイトノズルは乾燥している虞があるため、主画像用の背景画像を印刷するノズルと付加画像用の背景画像を印刷するノズルを同じにすることが好ましい。
例えば、主印刷物を表刷りモードで印刷し、主印刷物よりも搬送方向上流側に裏刷りモードによって付加印刷物を印刷するとした。このとき、主印刷物を印刷するために、媒体を搬送方向上流側から下流側に搬送しつつ、図12の上図に示すように、ホワイトノズル列Wの上流側ノズル(#5〜#8)によって背景画像を印刷し、カラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって主画像を印刷する。その結果、背景画像上に主画像を印刷することができる。
一方、付加印刷物を印刷するために、まず、媒体を搬送方向上流側から下流側に搬送しつつ、付加画像(例:不吐出検査用パターン)をカラーノズル列Coの下流側ノズル(#1〜#4)によって印刷する。その後、付加印刷物は裏刷りモードであるため、付加画像が印刷された媒体部分をホワイトノズル列Wの上流側ノズル(#5〜#8)よりも上流側に位置するように、媒体を搬送方向下流側から上流側に逆送りする。そうして、媒体を搬送方向上流側から下流側に搬送しつつ、ホワイトノズル列Wの上流側ノズル(#5〜#8)によって付加画像上に背景画像を印刷する。
その結果、主印刷物の印刷モードと付加印刷物の印刷モードが異なっていても、主画像を印刷するノズルと付加画像を印刷するノズルを同じにすることができ、主画像用の背景画像を印刷するノズルと付加画像用の背景画像を印刷するノズルを同じにすることができる。そうすることで、主画像を印刷したノズルの不吐出を確認する不吐出検査パターンを形成することができ、また、主印刷物(又は付加印刷物)に使用したノズルにて付加印刷物(又は主印刷物)を印刷することができ、インク増粘による不吐出の虞の少ないノズルにて画像を形成することができる。なお、付加印刷物を印刷する際に、媒体を搬送方向下流側から上流側へ搬送するので、付加画像と付加画像用の背景画像の位置がずれ易くなる。そこで、図7の画像と同様に、主画像に対する背景画像の余白量よりも付加画像に対する背景画像の余白量を大きくするとよい。
図13は、別の印刷方法を示す図である。前述の図12に示す印刷方法では、1回のパスで形成される画像が搬送方向に並んだ画像を印刷し、あるパスで形成されたラスターライン(移動方向に沿うドット列)の間に、別のパスでのラスターラインが形成されることはない。これに対して、図13では搬送方向の印刷解像度を高くした印刷方法を示し、表刷りモードの印刷方法を示す。図12と同様に、表刷りモードの場合には、先に印刷する背景画像用のノズル(#5〜#8)を、後に印刷する主画像または付加画像用のノズル(#1〜#4)よりも、搬送方向上流側のノズルとする。ただし、図12とは異なり、1回の搬送動作における媒体搬送量(4D/3)を少なくする。そのため、図12の印刷方法に比べて図13の印刷方法では、搬送方向の印刷解像度を高くすることができるが、印刷時間が長くなる。また、図13の印刷方法では、例えば右図に示すラスターラインAのように、パス1のホワイトノズル(△)によって背景画像用のドットが形成された後、パス4のカラーノズル(●)によって主画像又は付加画像用のドットが形成される。そのため、図12の印刷方法に比べて図13の印刷方法では、先の画像(図13では背景画像)が印刷されてから後の画像(主画像または付加画像)が印刷されるまでの乾燥時間を長く確保することができる。
===その他の実施の形態===
上記の各実施形態は、主としてインクジェットプリンターを有する印刷システムについて記載されているが、印刷モードの設定方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
<付加画像の裏刷りモード、表刷りモードの設定について>
付加画像の裏刷りモード或いは表刷りモードの設定は、主画像の裏刷りモード或いは表刷りモードの設定とは独立して設定可能なものであればよく、独立して設定する目的は前述の各実施例の形態に限られるものではない。
<画像について>
前述の実施形態では、白インクによって背景画像を印刷するとしているがこれに限らず、白以外の色インク(例えば、メタリック系のインク)によって背景画像を印刷してもよい。また、第1実施形態では、背景画像を白インクのみによって印刷するとしているが、これに限らず、白インクと他のカラーインクを混ぜて、白色の色味を調整した背景画像を印刷してもよい。また、4色インク(YMCK)に白インクを加えて主画像または付加画像を印刷してもよい。
<その他のプリンターについて>
前述の実施形態では、固定されたヘッド31の下に連続媒体を通して画像を形成するプリンター(図2)や、ヘッド31をノズル列方向と交差する方向に移動しながら画像を形成する動作と単票紙をノズル列方向に搬送する動作を繰り返すプリンター(図8)を例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙に対して、連続用紙の搬送方向に沿って図8に示すような短尺ヘッド311が移動しながら画像を形成する動作と、搬送方向と交差する紙幅方向に短尺ヘッド311を移動する動作と、を交互に繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
<印刷装置について>
ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけて、インク室を膨張・収縮させることによりインクを吐出するピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
また、前述の実施形態では、紫外線硬化型インクを使用しているが、これに限らず、例えば水性のインクや有機溶剤のインクであってもよい。