JP5779428B2 - 多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体 - Google Patents

多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体 Download PDF

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Description

本発明は、多層フィルム、これを用いた筒状フィルム成形体及び筒状包装体に関し、特に、魚肉、畜肉ハム・ソーセージ用包装体やフィルムケーシングとして好適に使用可能な、保存性、滑り性に優れる多層フィルム、これを用いた筒状フィルム成形体及び筒状包装体に関する。
従来、魚肉、畜肉ハム・ソーセージ等の加工品、チーズやバター等の乳製品、あるいは、羊羹やゼリー等の菓子類の包装方法として、これらの被包装物を、樹脂フィルム(包装フィルム)を封筒貼りにシールした筒状フィルム成形体に充填し、その上端及び下端を結紮(封止)する方法が広く利用されている。この種の包装に使用する樹脂フィルムとして、ポリ塩化ビニリデン系フィルムが広く採用されている。しかしながら、近年では、環境負荷を低減する観点から、塩素を含有しない材料が求められる傾向にある。
例えば、特許文献1には、同種のポリオレフィン系樹脂からなる両外層、及び、ポリアミド系樹脂からなるガスバリア性中間層の少なくとも3層からなり、50℃における熱収縮応力が縦方向と横方向において共に2MPa以下、90℃の熱水収縮率が5〜20%である熱収縮性を有する延伸多層フィルムを、両外層でバックシームしてなる延伸多層フィルムケーシングが記載されている。
更に、特許文献2には、包装されるべき食品と接触する面にポリオレフィン系樹脂層を備えた熱収縮性及びガスバリア性を有する多層プラスチックであって、該ポリオレフィン系樹脂層の被包装材と接触する面がコロナ放電処理されており、且つポリオレフィン系樹脂層に予めブロッキング防止剤が混合されていることを特徴とする食品包装材が記載されている。
更に、特許文献3には、包装されるべき食品と接触する最内層にポリオレフィン系樹脂層を備えた熱収縮性及びガスバリア性を有するシームレスチューブ状の多層プラスチックフィルムであって、該ポリオレフィン系樹脂層の食品と接触する面が濡れ張力37ダイン/cm以上でコロナ放電処理され且つ前記処理面が、平均粒径5〜50μmのブロッキング防止剤が0.3〜3.5g/mの範囲で付着されてなることを特徴とする食品包装材が記載されている。
更に、特許文献4には、外側ポリアミド層、内側ポリオレフィン層、並びに、その内側及び外側層を互いに結合するための中間層によって構成された多層チューブからなる合成ソーセージケーシングにおいて、前記ポリオレフィン層が、エチレン、プロピレン、又は4〜8個の炭素原子を有する直鎖アルファ−オレフィンの単位を含む、あるいはこれらの共重合体の混合物からなる共重合体を含み、そして前記ポリオレフィン層は、コロナ放電処理がなされていないことを特徴とする、ソーセージケーシングが記載されている。
一方、樹脂フィルムのシール方法としては、高周波シールや熱板シールなどが知られている。近年では、非接触でシール可能なシール方法として、熱風シール方式を採用する試みが為されている。例えば、特許文献5には、この種の樹脂フィルムを封筒貼り又は合掌貼りに重ね合わせてヒートシールする包装方法が記載されている。
特開2000−37828号公報 特許第3012980号公報 特許第3148821号公報 特許第3204995号公報 特開平5−316933号公報
しかしながら、上記従来の包装フィルムを用いた包装体では、数ヶ月程度の長期保存後に、被包装物から出る水分等がたまる、いわゆる離水現象が発生する場合がある。一方、フィルムにおける被包装物に接触する面にコロナ処理等を施し、被包装物とフィルムを密着させることで離水現象を防止することができるが、被包装物(特に、肉等の柔らかい食品)に接触したフィルムを剥がす際に過剰に被包装物がフィルムに付着し、商品価値が減退する場合がある。
この問題を解決すべく、フィルムへのコロナ処理量を少なくし、被包装物を過剰に付着させないことが考えられる。しかしながら、コロナ処理量を少なく施すには、処理のコントロールが難しく、管理の面で手間がかかることや、安定させるために更なる設備投資等が必要となることにより、コストの面でも負荷がかかる。
本発明は、かかる事情を鑑みてなされたものであり、被包装物に接触したフィルムを剥がす際に過剰に被包装物がフィルムに付着することを抑制することができると共に、コロナ処理を施すことなく離水現象の発生を抑制することができる多層フィルム、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に対し鋭意検討した結果、コロナ処理を施すことなく、特定素材からなる積層構造を有し、且つ、表層同士の動摩擦係数が特定の範囲である多層フィルムが、筒状包装体とした時に、長期保存後における離水現象を抑制しつつ、フィルムを剥がす際におけるフィルムへの被包装物の付着がわずかであることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下(1)〜(4)を提供する。
(1)表層(A)と、酸変性オレフィン系共重合体を含む接着層(B)と、芳香族ポリアミド系重合体を含むガスバリア層(C)と、酸変性オレフィン系共重合体を含む接着層(D)と、表層(E)と、がこの順に積層されてなり、
前記表層(A)において、オレフィン系重合体の含有量が60質量%以上であり、酸変性オレフィン系共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、並びに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体及びその酸変性物から選ばれる少なくとも1種の含有量が40質量%以下であり、
前記表層(E)において、オレフィン系重合体の含有量が60〜99質量%であり、酸変性オレフィン系共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、並びに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体及びその酸変性物から選ばれる少なくとも1種の含有量が1〜40質量%であり、
JIS K7125に準拠して測定される前記表層(A)と前記表層(E)との動摩擦係数が0.10〜0.30である、多層フィルム。
(2)前記表層(A)の前記オレフィン系重合体がプロピレン系重合体であり、
前記接着層(B)の前記酸変性オレフィン系共重合体と、前記接着層(D)の前記酸変性オレフィン系共重合体とが酸変性プロピレン系共重合体である、上記(1)に記載の多層フィルム。
(3)上記(1)又は(2)に記載の多層フィルムが筒状に湾曲してなり、
当該多層フィルムの両端部が互いに重なり合うと共に接合している、筒状フィルム成形体。
(4)上記(3)に記載の筒状フィルム成形体と、当該筒状フィルム成形体に充填された被包装物と、を備え、
前記筒状フィルム成形体の両端部が封止されている、筒状包装体。
本発明の多層フィルムによれば、多層フィルムが上記構成を備えることで、被包装物に接触したフィルムを剥がす際に過剰に被包装物がフィルムに付着することを抑制することができると共に、コロナ処理を施すことなく離水現象の発生を抑制することができる。また、本発明の多層フィルムによれば、連続高速充填時のフィルムの走行性(滑り性)に優れると共に、筒状フィルム成形体にした際に、安定したシール性を発現できる。更に、本発明によれば、被包装物に接触したフィルムを剥がす際に、適度な抵抗感がありながら、過剰に被包装物がフィルムに付着することを抑制することができる。また、本発明によれば、見栄え良く美観に優れる筒状フィルム成形体及び筒状包装体を実現できる。
自動充填包装機の要部構造を模式的に示す図面である。 熱風シールの方法を説明するための図面である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(多層フィルム)
本実施形態の多層フィルムは、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)及び表層(E)をこの順に備え、これらの層がこの順に積層されてなる。
表層(A)は、本実施形態の多層フィルムの一方の主面側の層として位置しており、表層(E)は、本実施形態の多層フィルムの他方の主面側の層として位置している。表層(A)及び表層(E)は、ヒートシールする際のシール層として機能すると共に、水分やガスの透過を阻害してガスバリア層(C)の性能低下及びこれによって引き起こされる内容物(被包装物)の酸化劣化を抑制する機能を有する。表層(A)は、筒状包装体における最外層として用いることができると共に、表層(E)は、筒状包装体における最内層として用いることができる。表層(E)が最内層に使用される場合は、被包装物との密着性を高め、数ヶ月程度の長期保存での離水現象を防止する機能も有する。なお、筒状包装体において、表層(A)を最内層として用いてもよく、表層(E)を最外層として用いてもよい。
このような機能を発現させるために、表層(A)は、オレフィン系重合体(a)又はオレフィン系樹脂組成物(F)からなり、表層(E)は、オレフィン系樹脂組成物(F)からなる。オレフィン系樹脂組成物(F)は、オレフィン系重合体(a)と、後述する所定の共重合体(b)とを含有する。
ここで、オレフィン系重合体(a)は、例えば、エチレン単独重合体、エチレンと炭素数4〜8のα―オレフィンとの共重合体等のエチレン系重合体、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体、プロピレンとエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとの共重合体等のプロピレン系重合体であり、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれであってもよい。
炭素数4〜8のα−オレフィンの具体例としては、例えば、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
オレフィン系重合体(a)は、各々を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。中でも、滑り性やシール性の観点から、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系重合体が好ましく使用できる。
オレフィン系重合体(a)における重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)で表される値は、延伸性の観点から、1.5〜3.5であることが好ましく、1.5〜3.0であることがより好ましい。オレフィン系重合体(a)の融点は、加熱減菌処理(ボイル、レトルト処理)での耐熱性、シール温度の観点から、90℃〜170℃が好ましい。
表層(A)及び/又は表層(E)に用いるオレフィン系樹脂組成物(F)は、オレフィン系重合体(a)と、酸変性オレフィン系共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、並びに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体及びその酸変性物から選ばれる少なくとも1種の共重合体(b)とを含有する。
共重合体(b)中の酸変性オレフィン系共重合体とは、上記したオレフィン系重合体(a)を、マレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸、又は、無水マレイン酸等の酸無水物により酸変性した、酸変性エチレン系共重合体や酸変性プロピレン系共重合体を意味する。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、及びエチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体とは、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の分子間を金属イオンで架橋したアイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールの成分より選ばれる)共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル(メチル、エチル、プロピル、ブチル等の炭素数1〜8のアルコールの成分より選ばれる)共重合体を意味する。エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体の酸変性物とは、上記エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体をマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸、又は、無水マレイン酸等の酸無水物により酸変性したものを意味する。
被包装物との密着性や、滑り性の観点から、これらの中で、エチレン−アクリル酸エチル共重合体や、エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物が好ましく、エチレン−プロピレン共重合体の無水マレイン酸変性物がより好ましい。
表層(A)におけるオレフィン系重合体(a)の含有量は、表層(A)の全体を基準として60質量%以上である。表層(A)がオレフィン系樹脂組成物(F)からなる場合、表層(A)におけるオレフィン系重合体(a)の含有量は、表層(A)の全体を基準として60〜99質量%が好ましく、70〜99質量%がより好ましい。表層(E)におけるオレフィン系重合体(a)の含有量は、表層(E)の全体を基準として60〜99質量%であり、70〜99質量%が好ましく、80〜99質量%がより好ましい。
表層(A)における共重合体(b)の含有量は、表層(A)の全体を基準として40質量%以下であることが必要であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。表層(A)がオレフィン系樹脂組成物(F)からなる場合、表層(A)における共重合体(b)の含有量は、表層(A)の全体を基準として1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
表層(E)における共重合体(b)の含有量は、本実施形態の多層フィルムに対して被包装物(例えば肉)が過剰に付着することを防止する観点から、表層(E)の全体を基準として40質量%以下であることが必要であり、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。表層(E)における共重合体(b)の含有量は、被包装物との適度な密着性の観点から、表層(E)の全体を基準として1質量%以上であることが必要であり、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
本実施形態の多層フィルムにおいて表層(A)と表層(E)との動摩擦係数は、0.10〜0.30であり、0.10〜0.25が好ましく、0.10〜0.20がより好ましい。動摩擦係数は、JIS K7125に準拠して測定される。本実施形態の多層フィルムでは、表層(A)がオレフィン系重合体(a)、又は所定量のオレフィン系重合体(a)を含有するオレフィン系樹脂組成物(F)からなると共に、表層(E)が所定量のオレフィン系重合体(a)を含有するオレフィン系樹脂組成物(F)からなることで、表層(A)と表層(E)との動摩擦係数が0.10〜0.30となり易く、適度なフィルムの滑り性を有し、筒状フィルム成形体の作製時に、フィルム(例えば表層(A)及び表層(E))を重ねてシールする時にフィルムがずれることや、フィルムの走行性が不安定になることなく、安定したシールが実現できる。
表層(E)における共重合体(b)の含有量が1質量%未満であると、動摩擦係数が0.10未満となり易く、フィルムの滑り性が良すぎて、重ねたフィルムがずれたりして走行性が不安定になり、シール線のムラが大きくなり易くなる。両表層の少なくとも片方の層の共重合体(b)の含有量が40質量%を超えると、動摩擦係数が0.30を超え易く、フィルムの滑り性が悪くなりすぎて、フィルムが走行中に脈動してシール線にムラが発生し易くなる。シール線にムラが大きくなることで、シール強度にもムラが発生し、筒状フィルム成形体や筒状包装体にした時に、加熱減菌処理(ボイル、レトルト処理)中にシール部分から破袋する問題が発生し易くなる。
オレフィン系重合体(a)又はオレフィン系樹脂組成物(F)からなる表層(A)、あるいは、オレフィン系樹脂組成物(F)を含む表層(E)が被包装物と接触するように筒状フィルム成形体や筒状包装体にすることで、フィルムと被包装物が適度な密着性を発現し、数ヶ月程度の長期保存での離水現象が防止できる。
接着層(B)及び接着層(D)は、表層(A)又は表層(E)とガスバリア層(C)とを接着する機能を有すると共に、水分やガスの透過を抑制する機能を有する。このような機能を発現させるために、接着層(B)及び接着層(D)は酸変性オレフィン系共重合体を含むように構成されている。
このような酸変性オレフィン系共重合体を用いると、その酸変性割合を調節することで、表層(A)又は表層(E)とガスバリア層(C)との接着性、水分やガスの透過性の調整が容易となる。酸変性割合が高い酸変性オレフィン系共重合体を用いることにより、表層(A)又は表層(E)とガスバリア層(C)との接着強度が高められる傾向にある。
接着層(B)及び接着層(D)の酸変性オレフィン系共重合体とは、例えば上記したオレフィン系重合体(a)にマレイン酸やフマル酸等の不飽和カルボン酸又は無水マレイン酸等の酸無水物をグラフト共重合した酸変性エチレン系共重合体や酸変性プロピレン系共重合体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。表層(A)又は表層(E)とガスバリア層(C)との接着性、水分やガスの透過抑制の観点から、表層(A)及び/又は表層(E)で例示したプロピレン−エチレン共重合体やプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン系共重合体を無水マレイン酸で変性した酸変性プロピレン系共重合体が好ましく、プロピレン−エチレン共重合体を無水マレイン酸で変性した酸変性プロピレン系共重合体がより好ましい。なお、これらの酸変性オレフィン系共重合体は、各々を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、接着層(B)の酸変性オレフィン系共重合体と、接着層(D)の酸変性オレフィン系共重合体とは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
接着層(B)又は接着層(D)は、上記の酸変性オレフィン系共重合体のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性及び経済性が高められる。なお、接着層(B)又は接着層(D)は、上記の酸変性オレフィン系共重合体の他に、他の成分を含んでいてもよく、例えば、上記のオレフィン系重合体(a)を含んでいてもよい。このようにオレフィン系重合体(a)をブレンドすると、水バリア性が高められると共に、表層(A)又は表層(E)とガスバリア層(C)との接着強度の調整が容易となる。
この場合、各々の使用割合は、各接着層の全体を基準として、オレフィン系重合体(a)を20〜50質量%、酸変性オレフィン系共重合体を50〜80質量%とすることが好ましい。酸変性オレフィン系共重合体の割合を高めると、接着性が高められる傾向にある。
ガスバリア層(C)は、酸素等のガスの透過を阻害して、内容物(被包装物)の酸化劣化を防ぐ機能を有する。このような機能を発現させるために、ガスバリア層(C)は、芳香族ポリアミド系重合体を含むように構成されている。
ここで、芳香族ポリアミド系重合体とは、主鎖中に芳香族環を有する結晶性ナイロン(ポリアミド)を意味し、その具体例としては、例えば、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)や、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とイソフタル酸との重縮合物等が挙げられる。
芳香族ポリアミド系重合体は、ナイロン6、ナイロン6/66等の脂肪族ナイロンに比べて、ガスバリア性に優れ、吸水度合いが低く、吸水時のガスバリア性の低下が少なく、その上さらに、耐ピンホール性等の強度や延伸性、成形加工性等も良好であるので、本実施形態のガスバリア層(C)を構成する素材として好適に用いられる。
ガスバリア層(C)は、芳香族ポリアミド系重合体のみから構成することができ、この場合は構成が簡易となり、生産性及び経済性が高められる。なお、ガスバリア層(C)は、上記の芳香族ポリアミド系重合体の他に、必要に応じて他の成分を含んでいてもよい。
上述した(A)〜(E)の各層は、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、滑剤(ワックス等含む)、無機フィラー、結晶核剤(タルク等)等の各種添加剤を含んでいてもよい。
多層フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、魚肉、畜肉ハム、ソーセージ用途への使用を考慮すると、多層フィルムの全体の厚み(総厚み)は30〜50μmであることが好ましい。
一般に、レトルト処理等の加熱減菌処理時の破袋の発生頻度と開封時の開封性とは、トレードオフの関係にあり、厚みを厚くすると、レトルト処理時の破袋の発生頻度が減少する傾向にあり、厚みを薄くすると、開封時に適度な力で開封し易くなる傾向にある。したがって、これら双方の特性をバランス良く維持するために、全体の厚みが30〜50μmであることが好ましい。
また、多層フィルムの各層の厚みは、特に限定されるものではなく、任意に設定することができるが、シール強度や数ヶ月程度の保存性の観点から、各層の厚みは、多層フィルムの総厚みに対して、表層(A):20〜40体積%、接着層(B):5〜20体積%、ガスバリア層(C):5〜40体積%、接着層(D):5〜20体積%、表層(E):20〜40体積%であることが好ましい。
本実施形態の多層フィルムは、上述した特定成分を各々含む、表層(A)/接着層(B)/ガスバリア層(C)/接着層(D)/表層(E)の層構成が採用されていることに加えて、120℃における熱収縮応力(以下、「ORS120℃」ともいう)が縦方向(MD方向)及び横方向(TD方向)共に1.0〜3.5MPaであることが好ましい。言い換えれば、従来に比して、被包装物を包装した際における被包装物への締め付け力が高められていることに特徴があることが好ましい。なお、「TD方向」とは、フィルムの流れ方向に対して直角の方向、すなわち原反ロールの巾方向をさし、「MD方向」とは、フィルムの流れ方向、すなわち原反ロールの巻き方向をさす。
多層フィルムをこのように構成すると、この多層フィルムを用いて被包装物を包装した包装体を120℃、20分のレトルト処理をした際に、多層フィルムが被包装物にフィットし、長期保存時の被包装物に目減りが生じた際であっても、多層フィルムの弛み由来のしわの発生を効果的に抑制することができる。かかる長期保存性時のしわの発生の抑制及びシール特性のバランスを考慮すると、多層フィルムのORS120℃は、縦方向及び横方向共に1.5〜3.0MPaであることがより好ましい。
多層フィルムのORS120℃は、製造時における延伸倍率、延伸温度及び延伸中や延伸後の熱処理温度によって制御可能であり、具体的には、延伸倍率を高めたり、延伸温度や熱処理温度を低めると、ORS120℃が大きくなり、延伸倍率を低めたり、延伸温度や熱処理温度を高めると、ORS120℃が小さくなる傾向にある。なお、本明細書においては、多層フィルムのORS120℃は、ASTM D 1504に準拠して測定する。
本実施形態の多層フィルムは、表層(A)/接着層(B)/ガスバリア層(C)/接着層(D)/表層(E)の少なくとも5層を、この順で含む形態のものであれば、その使用態様は特に制限されるものではない(ここで、層構成における記号「/」は、その両側の層が互いに積層されることを意味する)。例えば、表層(A)又は表層(E)に、印刷やインクジェットでの印字等を施して意匠性を高めてもよく、ガスバリア性の信頼性を向上させるために、2以上の多層フィルムを貼り合わせた構成、又は、ガスバリア層(C)を2層以上積層させた構成にしてもよい。2枚の多層フィルムを貼り合わせた構成としては、例えば、A/B/C/D/E/A/B/C/D/E、又はA/B/C/D/E/印刷層/A/B/C/D/E等の層構成が例示される。このような層構成を採用することにより、耐衝撃性やタフネスがより一層高められる。また、ガスバリア層(C)を2層以上積層させた構成としては、例えば、A/B/C/C/D/EやA/B/C/C/C/D/E等の層構成が例示される。このような層構成を採用することにより、いずれかのガスバリア層(C)に欠陥が生じた場合であっても、他のガスバリア層(C)の存在によりガスバリア性を確保できるので信頼性が高められる。なお、多層フィルムの貼り合わせは、表層の自己粘着を利用して行ってもよく、公知の接着剤を用いて行ってもよく、また、熱処理により貼り合わせてもよい。
(多層フィルムの製造方法)
上述した多層フィルムは、例えば、共押出法で得た積層物を延伸することにより作製することが好ましい。以下、代表例として、インフレーション法により多層フィルムを作製する方法について詳述する。
まず、表層(A)、接着層(B)、ガスバリア層(C)、接着層(D)、表層(E)を構成する各成分をそれぞれの押出機で溶融し、多層サーキュラダイを用いて共押出しして、水又は温水をかけて固化させた後、多層環状押出物(パリソン/積層体)を得る。ここでは、パリソンの安定化のために、多層サーキュラダイの下部にパリソン内径と同一か1〜2mm小さい径の円筒状の冷却筒を設けることが好ましい。ここで用いる冷却筒は、その表面を、鏡面、梨地、テフロン(登録商標)又はセラミックコート加工したものが好ましい。
次に、上記で得られたパリソンを加熱し、配向を付与するのに適当な温度条件下で空気を圧入し、バブルを形成しながら延伸を行うことにより、多層フィルムを作製する。ORS120℃が1.0〜3.5MPaの多層フィルムを得るためには、延伸温度を好ましくは100〜130℃、より好ましくは110〜130℃、延伸倍率を面積倍率で好ましくは25〜45倍、より好ましくは30〜40倍に設定することが好ましい。なお、延伸性及び耐熱性を向上させるために、延伸前のパリソンに、電子線(加速電圧150〜250kV、照射線量50〜120kGy)等を照射して架橋処理を行なってもよい。また、延伸中又は延伸後に、熱風吹き付け式、熱ロール式、カーボンヒーター等による間接加熱式等のヒートセット処理を、単独で又は併用して行ってもよい。
(筒状フィルム成形体)
筒状フィルム成形体は、上記多層フィルムが筒状に湾曲してなり、当該多層フィルムの両端部が互いに重なり合うと共に接合している。また、筒状フィルム成形体は、軸方向の両端部に開口を有しており、その筒内に内容物(被包装物)を包装し得る包装部材として使用することができる。筒状フィルム成形体は、多層フィルムを筒状に湾曲させて多層フィルムの両端部を重ねた後に、当該両端部を接合することにより得ることができる。例えば、表層(A)が外周面を構成するように多層フィルムを筒状に湾曲させ、表層(A)上に前記表層(E)を封筒張りに重ね合わせ、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加して熱融着を行なうことにより、筒状フィルム成形体を得ることができる。この筒状フィルム成形体は、例えば、表層(A)が外周面を構成し表層(E)が内周面を構成した筒状成形体である。なお、多層フィルムを表層(A)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて表層(E)と表層(E)とを合掌貼りに重ね合わせて、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱を印加してヒートシールを行なっても、筒状フィルム成形体を得ることができる。また、表層(E)が外周面を構成するように筒状に湾曲させて同様に筒状フィルム成形体を得ることもできる。
熱融着の方法としては、例えば、熱板を接触させてシールする熱板シール方式、熱風を吹きつけてシールする熱風シール方式、超音波シール方式等の公知の手法を採用することができるが、生産性を高める観点から、熱風シール方式が好ましい。熱風シール方式における熱風の温度及び吹き付け圧力は、所望のヒートシールが実行されるべく、多層フィルムの厚さ、剛性、融点などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではないが、生産性を高める観点から、温度は280〜430℃程度であることが好ましく、吹き付け圧力は0.2〜0.6MPa程度であることが好ましい。
筒状フィルム成形体のシール強度は、ボイル、レトルト処理中の剥離を抑制して信頼性を高める観点から、6N以上/15mm幅であることが好ましい。また、例えば、表層(A)を外表面にして、封筒張りに重ね合わせて作製した筒状フィルム成形体及び筒状包装体の場合、接着層(B)とガスバリア層(C)の層間剥離強度(X)は0.5〜1.0N/15mm幅であることが好ましく、ガスバリア層(C)と接着層(D)の層間剥離強度(Y)は0.7〜1.5N/15mm幅であることが好ましく、さらに、層間剥離強度(X)<層間剥離強度(Y)であることが好ましい。このように構成すると、開封時に接着層(B)とガスバリア層(C)との間で剥離が生じ易くなるので、開封性が向上する。層間剥離強度をこの範囲にするには、接着層(B)及び接着層(D)に使用する、前述した酸変性オレフィン系共重合体等を適宜選択することで調整できる。
(筒状包装体)
本実施形態の筒状包装体は、上記筒状フィルム成形体と、筒状フィルム成形体の内部に充填された被包装物と、を備え、筒状フィルム成形体の軸方向の両端部が封止されている。筒状フィルム成形体の両端部は、封止部材を用いて封止してもよい。
(包装装置)
筒状フィルム成形体、及びこれに内容物(被包装物)を封入した筒状包装体は、公知の自動充填包装機(例えば、旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)を用いることにより、容易に得ることができる。以下、好適に使用可能な自動充填包装機100について詳述する。
図1は、自動充填包装機100の要部構造を模式的に示す図面である。図2は、熱風シールの方法を説明するための図面である。自動充填包装機100は、フィルム供給手段11、充填手段21、製筒手段31、熱風シール手段41及び封止手段51を備える。本実施形態においては、フィルム供給手段11、製筒手段31及び熱風シール手段41により、帯状の多層フィルム1から筒状体2が形成され、筒状フィルム成形体3が成形される。
フィルム供給手段11は、送りローラ11a,11b、送りローラ12a,12b及び駆動機構(図示せず)を有し、図示しない駆動機構及び送りローラ12a,12bの駆動に応じて、原反ロールから帯状の多層フィルム1を連続的に供給する。多層フィルム1の供給速度は、通常、10〜60m/min程度であり、使用する多層フィルム1の種類、厚さ、剛性、融点や、充填される被包装物の素材や粘度などに応じて適宜設定される。
充填手段21は、中空円筒状の充填ノズル22を有し、その上端に、被包装物を充填ノズル22内に供給するフィードポンプ23が接続されている。充填手段21は、フィードポンプ23の駆動に応じて、被包装物を充填ノズル22内へ供給する。
製筒手段31は、所定形状の金属片を略螺線状に巻いて形成された製筒フォルダ32を有する。製筒フォルダ32は、その内周径が充填ノズル22の外周径よりも大きく形成され、充填ノズル22と略同心円上に配置されている。そのため、充填ノズル22の外周壁と製筒フォルダ32の内周壁とは、所定距離、離間して配置された状態となっている。そして、原反ロールから供給される帯状の多層フィルム1は、製筒フォルダ32の上面開口から下面開口へと導かれ、製筒フォルダ32内を通過する際に、その螺線構造に追従して筒状に湾曲され、その両端縁1a,1bが重ね合わされた筒状体2となって(図2参照)、製筒フォルダ32の下面開口から図1の下方へと移送される。
熱風シール手段41は、熱風印加ノズル42と、図示しない加圧調整機構及び温度調整機構とを有し、製筒フォルダ32の下方において、充填ノズル22の外周壁から所定距離、離間した位置に配置されている。熱風印加ノズル42のノズル開口42aから、製筒フォルダ32を通過した筒状体2の重ね合わせ部2a(多層フィルム1の両端縁1a,1bが重ね合わされた部分)に熱風が吹き付けられ、重ね合わせ部2aが融着することにより熱風シールが実施される。なお、熱風の吹き付け圧力は、上述した図示しない加圧調整機構に設置された圧力センサにて計測され、その加圧調整機構により増減調整される。また、熱風の温度は、上述した図示しない温度調整機構に設置された温度センサにて計測され、その温度調整機構により増減調整される。
熱風印加ノズル42は、シール性を向上させる観点から、筒状体2の重ね合わせ部2aに対して(重ね合わせ部2aの断面における接線の接点に対して)、垂直方向から熱風を吹き付ける位置、換言すれば、筒状体2の断面における重ね合わせ部2aの接線に対して略垂直方向から熱風を吹き付け可能な位置に配置されていることが好ましい。
重ね合わせ部2aが熱風シールされることにより、略円筒状の筒状フィルム成形体3が成形される。この筒状フィルム成形体3内には、上述した充填ノズル22から被包装物が充填され、かくして被包装物が充填された筒状フィルム成形体3は、送りローラ12a,12bに挟持されて図1の下方へと移送される。
封止手段51は、絞りローラ52a,52b及び封止機構53を有する。封止手段51は、被包装物が充填された筒状フィルム成形体3を絞りローラ52a,52bにて所定の間隔で外部から押圧し、その押圧部分の被包装物を押しのけた後、封止機構53にてその押圧された領域の多層フィルム1を集束して封止する。すなわち、封止手段51は、筒状フィルム成形体3の上底と下底に相当する両端開口を封止する。封止機構53における封止処理は、多層フィルム1の集束部に超音波、高周波又は熱を印加して融着させる手法、多層フィルム1の集束部に合成樹脂製又は金属製の線材等をかしめて結紮する手法、及びこれらを併用する手法など、公知の手法が採用される。
上記の封止処理により、筒状フィルム成形体3の両端部が封止され、これにより、筒状包装体4が製造される。なお、両端部が封止された筒状包装体4を、封止処理と同時に又は後続する切断工程において、個々の筒状包装体4へと分割してもよい。また、筒状フィルム成形体3の両端部を封止した後に加熱減菌処理(ボイル、レトルト処理)して、筒状包装体4を得てもよい。
本実施形態の多層フィルムは、酸化劣化又は蒸散しやすい成分を含む食品等の物品の包装に用いることができる。そして、このような多層フィルムは、酸化変色しやすい食品、例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、魚肉等の生肉類、ソーセージ、ハム類等の加工品類、バターやチーズ等の乳製品類の包装材としても好適に利用することができる。
このような多層フィルムは、袋状包装材、ピロー包装材、トレー包装材、トップシール用蓋材、冷凍品包装材、ケーシング包装材等に使用され、真空包装やガス置換包装の包装材にも好適に利用できる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。各種性能の測定方法及び評価方法を以下に記す。
(1)動摩擦係数
多層フィルムの23℃における動摩擦係数をJIS K7125に準拠して測定した。この動摩擦係数の測定においては、多層フィルムの表層同士(A層とE層)の縦方向(MD方向)について測定し、n=5の平均値を動摩擦係数として用いた。
(2)レトルト適性
300本の包装体について、加熱缶圧ゲージ圧が0.25MPaの条件下で120℃、20分のレトルト処理を行い、その際に破袋(パンク)が発生した本数を数えて、以下の基準に従って評価した。
○:破袋(パンク)本数が0本
×:破袋(パンク)本数が1本以上
(3)シール安定性
筒状フィルム成形体10mを、1mおきにシール線の幅をノギスで測定(単位mm、少数点第2位を四捨五入)した。測定した値の最大値と最小値の差を、シール線幅のばらつき(mm)とし、以下の基準に従って評価した。
◎:シール線幅のばらつきが1.0mm未満
○:シール線幅のばらつきが1.0mm以上2.0mm未満
×:シール線幅のばらつきが2.0mm以上
(4)肉付着量
120℃、20分のレトルト処理した包装体のフィルムを剥がし、フィルムを剥がす時の抵抗感と、フィルムに付着した肉付着量を以下の基準に従って評価した。
○:適度な抵抗感でフィルムが剥がれ、肉付着量はわずかである。
×:抵抗感がほとんどなくフィルムが剥がれ、肉付着量はほとんどない。または、かなりの抵抗感でフィルムが剥がれ、全体に肉が付着している。
(5)保存性
120℃、20分のレトルト処理した包装体20本を28℃の温度条件下で3ケ月保存し、包装体の離水状態を目視により、以下の基準に従って評価した。
○:離水がみられない。
×:離水がみられる。
(6)結晶融解温度(融点)
Perkin Elmer社製 Pyris Diamond DSCを用いて、融点の測定を行なった。まず、試料を10℃から300℃まで10℃/分の条件で昇温し、300℃で1分間保持した。次に、試料を10℃/分の条件で10℃まで降温し、10℃で1分間保持した。さらに、試料を再度10℃/分の条件で昇温した時の結晶融解カーブのピーク値を読み取り、融点とした。
(7)ボイル適性
300本の包装体について、大気圧下の条件で90℃、60分のボイル処理を行い、その際に破袋(パンク)が発生した本数を数えて、以下の基準に従って評価した。
○:破袋(パンク)本数が0本
×:破袋(パンク)本数が1本以上
実施例及び比較例において使用した樹脂の略号と商品名等を表1に記す。
Figure 0005779428
[実施例1]
まず、表2に示す層構成にて環状5層ダイを用いて溶融共押出した後、約15℃の冷水で固化させて、総厚み約1100μmのチューブ状の無延伸原反を作製した。次いで、この無延伸原反を延伸温度約120℃で、インフレーション法により縦方向に約5倍、横方向に約6倍とした約30倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み約40μmの多層フィルムを得た。そして、得られた多層フィルムを巻き取った後、巻きほどきながら幅100mmに裁断した。さらに、多層フィルムを再度巻き取ることで、実施例1の多層フィルムを作製した。
次に、熱風シール方式の自動充填包装機(旭化成ケミカルズ(株)社製「ADP(登録商標)」)を用いて、実施例1の多層フィルムを表層(A)が外周面を構成するように製筒フォルダを介して筒状に湾曲させ、表層(A)上に表層(E)を重ね合わせた。次に、その重ね合わせた部分に表層(A)側から熱風を吹きつけて、封筒貼りにヒートシールすることにより、折幅40mmの筒状フィルム成形体を作製した。引き続き、筒状フィルム成形体に充填ノズルから魚肉ソーセージ原料すり身を充填し、その後両端をアルミワイヤーにて結紮密封することにより、長さ200mmの筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例2、5、6、7]
表2に示す樹脂にて、樹脂組成比以外は実施例1と同様に行い、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例3]
表2に示す樹脂にて、縦方向に約6倍、横方向に約6.7倍とした約40倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み約30μmとした以外、実施例1と同様に行い、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[実施例4]
表2に示す樹脂にて、縦方向に約5倍、横方向に約5倍とした約25倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み約50μmとした以外、実施例1と同様に行い、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表2に示す。
[比較例1、2]
表3に示す樹脂にて、樹脂組成比以外は実施例1と同様に行い、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
[比較例3]
表3に示す樹脂にて、縦方向に約4.7倍、横方向に約4.7倍とした約22倍の延伸倍率で二軸延伸した後、90℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み約55μmとした以外、実施例1と同様に行い、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
[比較例4]
表3に示す樹脂にて、縦方向に約7倍、横方向に約7倍とした約49倍の延伸倍率で二軸延伸した後、100℃の加熱ロールにより熱処理することにより、最終厚み約25μmとし、得られた多層フィルムの表層(E)に、濡れ張力38mN/mとなるようにコロナ処理を施した以外、実施例1と同様に行い、筒状フィルム成形体及び筒状包装体を得た。各種性能評価の評価結果を表3に示す。
Figure 0005779428
Figure 0005779428
本発明の多層フィルム、並びに、これを用いた筒状フィルム成形体及び筒状包装体は、多層フィルムにコロナ処理を施すことなく、筒状包装体として使用した際に、数ヶ月程度の長期保存後における離水現象の発生を抑制しつつ、フィルムを剥がす時、適度な抵抗感がありながらフィルムへの被包装物の付着はわずかであり、且つ、連続高速充填時のフィルムの走行性に優れ、安定したシール性を発現し、シール部の信頼性に優れると共に、見栄えが良く美観に優れ、商品価値を向上させることができるので、食品その他各種包装用途において、広く且つ有効に利用可能であり、ボイル、レトルト処理等の高温加熱減菌処理が必要とされる用途において、特に有効に利用可能である。
1…多層フィルム、1a,1b…両端縁、2…筒状体、2a…重ね合わせ部、3…筒状フィルム成形体、4…筒状包装体、11…フィルム供給手段、11a,11b…送りローラ、12a,12b…送りローラ、21…充填手段、22…充填ノズル、23…フィードポンプ、31…製筒手段、32…製筒フォルダ、41…熱風シール手段、42…熱風印加ノズル、42a…ノズル開口、51…封止手段、52a,52b…絞りローラ、53…封止機構、100…自動充填包装機。

Claims (3)

  1. 表層(A)と、酸変性オレフィン系共重合体を含む接着層(B)と、芳香族ポリアミド系重合体を含むガスバリア層(C)と、酸変性オレフィン系共重合体を含む接着層(D)と、表層(E)と、がこの順に積層されてなり、
    前記表層(A)において、オレフィン系重合体の含有量が60質量%以上であり、酸変性オレフィン系共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、並びに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体及びその酸変性物から選ばれる少なくとも1種の含有量が40質量%以下であり、
    前記表層(E)において、オレフィン系重合体の含有量が60〜99質量%であり、酸変性オレフィン系共重合体、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸共重合体、並びに、エチレン−脂肪族不飽和カルボン酸エステル共重合体及びその酸変性物から選ばれる少なくとも1種の含有量が1〜40質量%であり、
    JIS K7125に準拠して測定される前記表層(A)と前記表層(E)との動摩擦係数が0.10〜0.30であり、
    前記表層(A)の前記オレフィン系重合体がプロピレン系重合体であり、
    前記接着層(B)の前記酸変性オレフィン系共重合体と、前記接着層(D)の前記酸変性オレフィン系共重合体とが酸変性プロピレン系共重合体である、多層フィルム。
  2. 請求項1に記載の多層フィルムが筒状に湾曲してなり、
    当該多層フィルムの両端部が互いに重なり合うと共に接合している、筒状フィルム成形体。
  3. 請求項に記載の筒状フィルム成形体と、当該筒状フィルム成形体に充填された被包装物と、を備え、
    前記筒状フィルム成形体の両端部が封止されている、筒状包装体。
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