[実施例1]
電子写真技術を用いた画像形成装置本体に装着される非接触現像方式のプロセスカートリッジを例に、本発明を詳細に説明する。
(全体構成)
図1は本実施例における画像形成装置Aの画像形成装置本体1(以下、装置本体と記載する)及びプロセスカートリッジ2(以下、カートリッジと記載する)の断面図である。
図2はカートリッジ2の拡大断面図である。以下、図1、図2に沿って、本実施例における画像形成装置Aの全体構成および画像形成プロセスについて説明する。
この画像形成装置Aは、カートリッジ2を装置本体1に着脱可能とした電子写真技術を利用したレーザービームプリンターである。
カートリッジ2が装置本体1に装着されたとき、カートリッジ2の上側には露光装置(レーザースキャナユニット)3が配置される。また、カートリッジ2の下側には画像形成対象となる記録媒体(シート材)Pを収容したシートトレイ4が配置されている。更に、装置本体1には、シート材Pの搬送方向に沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ5b、搬送ローラ対5c、転写ガイド6、転写用帯電ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が配置されている。
(画像形成プロセスの説明)
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、像担持体である、ドラム状の電子写真感光体(以下、感光体ドラムと記載する)20は矢印R1方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。感光体ドラム20の外周面にはバイアス電圧が印加された帯電ローラ12が接触していて、この帯電ローラ12によって感光体ドラム20の外周面は、一様に帯電される。
露光装置3からは、画像情報の時系列的電気デジタル画素信号に対応して変調されたレーザー光Lが出力される。そのレーザー光Lがカートリッジ2の上面の露光窓部53からカートリッジ2の内部に入光して感光体ドラム20の外周面を走査露光する。これにより、感光体ドラム20の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成されていく。この静電潜像は、現像ユニット40の現像剤T(以下、トナーと記載する)によって可視化されトナー像として現像される。
さらに説明すると、帯電ローラ12は感光体ドラム20に接触して設けられており、感光体ドラム20に帯電を行う。この帯電ローラ12は、感光体ドラム20に従動回転する。また、現像ユニット40は、感光体ドラム20の現像領域へトナーを供給して、感光体ドラム20に形成された潜像を現像する。
現像ユニット40は、現像剤収納部(以下、トナー室と記載する)45内のトナーTを攪拌部材43の回転によって現像部(以下、現像室と記載する)44に送り出す。そして、マグネットローラ(固定磁石)41aを内蔵した現像剤担持体である現像ローラ41を回転させるとともに、現像剤規制部材(以下、現像ブレードと記載する)42によって摩擦帯電電荷を付与したトナー層を現像ローラ41の表面に形成する。
そして、そのトナーを潜像に応じて感光体ドラム20へ転移させることによってトナー像を形成して可視像化する。現像ブレード42は、現像ローラ41の周面のトナー量を規定すると共に摩擦帯電電荷を付与するものである。
一方、レーザー光Lの出力するタイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ5b、搬送ローラ対5cによって、装置本体1の下部に収納されたシート材Pがシートトレイ4から給紙される。そのシート材Pが転写ガイド6を経由して、感光体ドラム20と転写用帯電ローラ7との間の転写位置へタイミング供給される。この転写位置において、トナー像は感光体ドラム20からシート材Pに順次転写されていく。
トナー像が転写されたシート材Pは、感光体ドラム20から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材Pは、定着装置9を構成する定着ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材Pに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材Pは排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
一方、転写後の感光体ドラム20は、クリーニングブレード52により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、帯電から始まる作像に供される。感光体ドラム20から除去された廃トナーは像担持体ユニット50の廃トナー室51eに貯蔵される。
上記において、帯電ローラ12、現像ローラ41、クリーニングブレード52等が感光体ドラム20に作用するプロセス手段である。
(像担持体ユニット)
次に像担持体ユニット50について図2、図3を用いて構成を詳細に説明する。図3は像担持体ユニット50の斜視説明図である。
前述のように現像ユニット40によって現像されたトナー像は転写部においてシート材Pに転写される。転写後に感光体ドラム20に残留したトナーはクリーニングブレード52によって掻き落とされると共に、スクイシート14aによってすくい取られ、廃トナー室51eへ集められる。
まず廃トナー室51eには、クリーニングブレード裏のトナー漏れを防ぐシール部材14cがドラム枠体51の所定の位置に両面テープ等で固定されている。
クリーニングブレード52がドラム枠体51の所定の位置に、ビス58で固定される。さらに感光体ドラム20上のトナー等の付着物のふき取り部材としてのシール部材14d、が両面テープによりドラム枠体51に固定されている。
電極15、帯電ローラ軸受13(13L、13R)がドラム枠体51に嵌めこまれ、帯電ローラ12の軸部12a(12aL、12aR)が帯電ローラ軸受13(13L,13R)にはめ込まれる。
感光体ドラム20の一端側にはアース接点等々が一体となった非駆動側ドラムフランジ152が固定される。感光体ドラム20の他端側には、装置本体1から回転力を受ける回転力受け部材であるカップリング150を取り付けたドラムフランジ151(以下フランジとする)が固定されている。これにより感光体ドラムユニット21(以下ドラムユニットとする)が形成される
このドラムユニット21のフランジ151を、ドラム枠体51に一体的に取り付けられた軸受部材158に回転可能に嵌合させる。また、ドラム枠体51に圧入固定したドラム軸159を、非駆動側ドラムフランジ152に設けた穴152aに回転可能に嵌合させる。これにより、ドラムユニット21は、その両端をドラム枠体51に回転可能に支持され、感光体ドラム20はドラム枠体51に対して回転可能となる。
さらに、感光体ドラム20の遮光・保護を行っている保護部材101の一端側の軸部101aLに付勢バネ102を取り付ける。さらに保護部材101の一端側の軸部101aLと他端側の軸部101aRを、ドラム枠体51の略U字形状の軸受部51d(51dL、51dR)に取り付ける。このようにして像担持体ユニット50が完成する。
なお、以下の説明において、感光体ドラム20の軸線方向におけるプロセスカートリッジの両端側のうち、像担持体ユニット50にカップリング150が設けられた側を駆動側と呼び、駆動側とは反対側を非駆動側と呼ぶことがある。
(現像ユニット)
次に現像ユニット40について、図4、図5を用いて説明する。図4はトナー室45の構成を示した斜視説明図である。図5は現像ユニット40の斜視説明図である。
図4に示すように、トナー室45内には攪拌部材43を配置する。攪拌部材43は非駆動側をトナー収納容器40aに支持され、駆動側を、トナー収納容器40aに取り付けられたはす歯ギア28(以下、撹拌ギアと記載する)によって支持され、攪拌ギア28の回転に従い回転を行う。
また、ギア30とギア29(図5)がトナー収納容器40aに回動可能に取り付けられており、これらが噛みあい,回転することによりギア30からギア29さらに攪拌ギア28へと駆動力が伝達される。
トナー収納容器40a、フタ40bは超音波溶着によって一体的に結合される。供給開口37を囲んで、トナーTの進入方向と交差する方向に開口縁37aが形成されており、この開口縁37aには図5に示すように現像剤シール27(以下、トナーシールと記載する)が加熱固定される。
現像ブレード42が、現像ローラ41の端部表面と当接しながら清掃する清掃部材38と一緒にその両端をネジ59によって、トナー収納容器40aに対して固定される。さらに、現像ローラユニット39を所定の位置に設置する。なお、現像ローラユニット39では、現像ローラ41の駆動側にある開口よりマグネットローラ41aが挿入されてあり、その開口部には現像ローラフランジ41bが圧入固定されている。
また、感光体ドラム20表面と現像ローラ41の表面を一定の間隔に保持するための間隔保持部材48(48L、48R)および軸受部材47(47L、47R)が現像ローラ41の両端部に配置されている。さらに、駆動側において、現像ローラ41には、像担持体ユニット50のフランジ151に設けられたドラムギア151c(第1のギア)(図3参照)と噛みあい、現像ローラ41に回転力を伝えるための現像ローラギア49(第2のギア)が設けられている。この現像ローラギア49は前述図5のギア30とかみ合う。
そして、非駆動側においてトナー収納容器40aに第1サイド部材55Lを取り付け、駆動側にいて第2サイド部材55Rをトナー収納容器40aに取り付け固定する。なお第1サイド部材55Lには装置本体と接する本体との接点62、63が設けられている。
サイド部材55の固定と共に、第1サイド部材55L、第2サイド部材55Rによって、現像ローラユニット39の両端に配置されている軸受部材47(47L、47R)の位置決めを行う。この軸受部材47によって現像ローラ41は回動可能に支持される。このようにして現像ユニット40が完成する。
(プロセスカートリッジの枠体構成)
カートリッジ2の枠体構成について図2、図5、図6、図7、図33を用いて説明する。図6はカートリッジ2の枠体構成を説明する斜視図である。図7は像担持体ユニット50と現像ユニット40の結合部の詳細を説明する模式斜視図である。特に図7(a)は像担持体ユニット50と現像ユニット40を結合する状態の斜視図である。図7(b)は像担持体ユニット50と現像ユニット40が結合された状態の模式斜視図(像担持体ユニット50一部を切断した状態を示した)である。図33はカートリッジ2の側面図である。
図2に示すように感光体ドラム20、帯電ローラ12およびクリーニングブレード52は、ドラム枠体51に取り付けられ、像担持体ユニット50を構成している。一方、現像ユニット40は、図5に示すように、トナー収納容器40aとフタ40b、サイド部材55(55L、55R)、現像ローラ41等によって構成されている。トナー収納容器40aとフタ40bは溶着等の手段により一体的に結合され、トナーを収納するトナー室45や現像室44を備えた現像枠体を形成する。またサイド部材55(55L、55R)は、現像ユニット40の長手方向(現像ローラ41の軸線方向)の両端に設けられ、トナー収納容器40aに対してビスや溶着等の手段によって結合される。
そして、図6に示すように、像担持体ユニット50と現像ユニット40が、断面形状が円形のピンである結合部材54(54L、55R)によって互いに回動可能に結合されることによってカートリッジ2が構成されている。
本実施例において、結合部材54にはSUS303を使用しており、像担持体ユニット50と現像ユニット40の枠体はHIPS(High Impact Polystyrene)材を使用している。なお結合部材54は他の金属や樹脂を使用しても構わないし、像担持体ユニット50と現像ユニット40は、他の樹脂を使用しても構わない。
サイド部材55Lに形成した第1のアーム部55aLの先端には長穴状の開口(係合部)60が設けられ、サイド部材55Rに形成した第2のアーム部55aRの先端には丸穴61が設けられている。
現像ユニット40と像担持体ユニット50を結合する際には、まず現像ユニット40のアーム部55a(55aL、55aR)をドラム枠体51の所定の位置に挿入する。ここで図7(a)、図7(b)に示すように、ドラム枠体51には結合部材54を嵌入するための穴51a(51aL、51aR)および穴51b(51bL,51bR)が空いている。
カートリッジの駆動側では、結合部材54Rが現像ユニット40に設けた丸穴61と、像担持体ユニット50に設けた穴51aR,穴51bRに挿入されることで、現像ユニット40と像担持体ユニット50は結合される。
まず結合部材54Rは図7(a)に示すようにドラム枠体51の穴51aRに圧入される。結合部材54Rは穴51aRとしまり嵌めの関係になっている。この結合部材54Rはさらに現像ユニットの丸穴61に挿入される。
また図7(b)に示すように、ドラム枠体51には、感光体ドラム20の軸線方向において、穴51aRよりも内側に、穴51aRと同軸となるように穴51bRが設けられている。丸穴61を貫通した結合部材54Rは、この穴51bRにさらに圧入される。結合部材54Rは、穴51aRと、しまり嵌めの関係になっている。
穴51aRと穴51bRに圧入された結合部材54Rは、両端部を像担持体ユニット50に固定された状態になり、穴51aR及び51bRに対して回転したり、抜けたりすることはない。
また結合部材54Rは丸穴61とは隙間ばめにて嵌合している。このため、現像ユニットは像担持体ユニット50に対して結合部材54Rを軸(第2の軸)として回動可能に結合されている。
プロセスカートリッジの非駆動側における現像ユニット40と像担持体ユニット50の連結部では、結合部材54Lが現像ユニット40に設けた開口60と、像担持体ユニット50に設けた穴51aL、穴51bLに共挿入されることで、現像ユニット40と像担持体ユニット50は結合される。
結合部材54Lはドラム枠体51の穴51aLに圧入される。結合部材54Lと穴51aLとは、しまり嵌めの関係になっている。この結合部材54Lはさらに現像ユニット40の開口60に挿入される。
またドラム枠体51には、感光体ドラム20の軸線方向において、穴51aLよりも内側に、穴51aLと同軸になるよう穴51bLが設けられている。結合部材54Lは、開口60を貫通し、穴51bLに圧入される。穴51bLと結合部材54Lの関係もしまり嵌めの関係である。穴51aLと穴51bLに圧入された結合部材54Lは、両端部を像担持体ユニット50に固定された状態になり、穴51aLと穴51bLに対して回転したり、抜けたりすることはない。
この結合部材54Lがサイド部材55Lの開口60内面の一部と当接することで、像担持体ユニット50と現像ユニット40を結合している。
像担持体ユニット50と現像ユニット40が結合部材54によって結合された状態のとき、現像ユニット40はその自重によって像担持体ユニット50に付勢される。これにより現像ユニット40に設けられた現像ローラ41は、像担持体ユニットに設けられた感光体ドラム20に押し付けられる。
なお、本実施例では、現像ユニット40のアーム部55a(55aL、55aR)の根元に圧縮ばね46を取り付けている。圧縮ばね46は弾性力によってアーム部55aとドラム枠体51とを押圧し、現像ユニット40を像担持体ユニット50に付勢することで、現像ローラ41を感光体ドラム20に確実に押圧している。
現像ローラ41の両端部には間隔保持部材48(48L、48R)(図5参照)が取り付けられており、現像ローラ41は感光体ドラム20から所定の間隔をもって保持される。この感光体ドラム20に間隔保持部材48が当接することによって、現像ローラ41は感光体ドラム20を加圧する。なお、以下の説明において感光体ドラム20に対する現像ローラ41の加圧力をD加圧力と称することがある。
またカートリッジの非駆動側において結合部材54Lと係合する開口60は図33に示されるように、開口60の中央部に対してその両端が屈曲した長穴形状をしている。図33(a)はカートリッジ2の側面全体を示す図であって、図33(b)は開口60を拡大した図である。
このとき結合部材54Lは、長穴状の開口60内の中で係合の位置を変えることが可能である。このため、カートリッジ2の非駆動側(一端側)において現像ユニット40は、像担持体ユニット50に対して結合部材54Lを軸(第1の軸)として回動可能であると共に、像担持体ユニット50に対してスライド移動(摺接移動)可能に結合されている。これは部品の公差によって結合部材54L、54Rの位置が基準寸法からずれてしまった場合であっても、開口60と結合部材54Lの係合位置を変えることで、生じたずれを吸収可能にするためである。
なお開口60の中央部に対してその両端が屈曲した理由については後述する。
一方、カートリッジ2の駆動側では、上述のように結合部材54Rを長穴状の開口ではなく丸穴61と係合させることで、現像ユニット40と像担持体ユニット50とを結合している。駆動側において、現像ユニット40は像担持体ユニットに対してスライド移動することがない。これは、カートリッジ2の駆動側にはドラムギア151cと現像ローラギア49が設けられているので、これらギア同士のかみ合い量を変化させないためである。
また、カートリッジ2の駆動側では、画像形成時(カートリッジの駆動時)にドラムギア151cと現像ローラギア49との圧力角方向に噛み合い圧力が生じる。この噛み合い圧力によって結合部材54Rを中心とした回転モーメントが現像ユニットに生じ、駆動側において感光体ドラム20に対する現像ローラ41のD加圧力に影響を与える。そのため本実施例では、感光体ドラム20の軸線方向にカートリッジ2を見たとき、結合部材54Rが係合する丸穴61を、圧力角方向に延びる直線に対して、感光体ドラム20の中心が位置する側に配置した。
このように丸穴61を配置することによって、噛み合い圧力によって現像ユニット40に生じる回転モーメントが、D加圧力を強めるように作用する。すなわち、噛み合い圧力によって感光体ドラム20から現像ローラ41が離間してしまうことを抑制できる。
なお上記の位置に丸穴61を配置すると、カートリッジ2の駆動側におけるD加圧力が非駆動側におけるD加圧力よりも大きくなることがある。そのため現像ユニット40の長手方向両端に設けられた、圧縮コイルばね46のうち、非駆動側に設けた圧縮コイルばね46の付勢力を駆動側より強めることが望ましい。非駆動側にのみ圧縮ばね46を設ける場合もある。
(プロセスカートリッジ装着部の構造)
図26はカートリッジドア(本体カバー、開閉扉)109を開いて内部を見せた装置本体1の斜視図である。カートリッジ2は装着されていない。図26を用いて、カートリッジ2に対する回転力伝達方法について説明する。
図26に示すように、装置本体1にはカートリッジ着脱用の装着手段であるガイドレール130が備えてあり、カートリッジ2はガイドレール130(130R、130L)に沿って装置本体1内に装着される。この際に、カートリッジ2の装着動作に連動して装置本体1の駆動軸100とカートリッジ2が有する回転力受け部材であるカップリング150(図6)とが結合する。駆動軸100は装置本体1に設けられた不図示のギア列等の駆動伝達手段およびモータと連結されている。モータによって駆動軸100が駆動されると、カップリング150を通じて、感光体ドラム20は装置本体1から駆動力を受けて回転する。
図27・図28に示すように、カートリッジ2が有する像担持体ユニット50の駆動側の端部にはドラム枠体51から外方へ突出したカートリッジガイド51hRが設けられている。また、図29に示すように、非駆動側の端部には、カートリッジガイド51hLが設けられている。
カートリッジ2を装置本体1に着脱する際には、図28に示すカートリッジガイド51hR及び、軸受部材158の円筒部158cが、図30の(a)のガイドレール130Rにガイドされる。また、図29の示すカートリッジガイド51hL及び、ドラム枠体51の円筒部51iが図30の(b)のガイドレール130Lにガイドされる。このようにして、カートリッジ2は装置本体1に、駆動軸100の軸線方向と実質的に直交する方向に移動させて着脱される。
次に、図31を用いて、カートリッジ2の装置本体1に対する装着動作を説明する。図31は図26をS1面で切った断面図である。図31のように、使用者によって、カートリッジドア109を開く。そして、駆動側においてはカートリッジガイド51hR、円筒部158cがガイドレール130Rにガイドされ、プロセスカートリッジは装置本体1の装着部に挿入される。非駆動側ではカートリッジガイド51hL、円筒部51iがガイドレール130Lにガイドされる(図31の(a)参照)。矢印X5方向にカートリッジ2を挿入していくと、駆動軸100とカートリッジ2のカップリング150の係合を経て、カートリッジ2は所定の位置(装着部)に装着される(図31(b))。このとき図30の(a)と(b)に示す押圧バネ188R・188Lによって、軸受部材158が有する受け部158e(図28)、ドラム枠体51が有する受け部51g(図29)が押圧力を受け固定される。
また図30(a)に示すように、装置本体1のガイドレール130Rは、第一本体側位置決め部としてのリブ130Ra、第二本体側位置決め部としての凹部130Rbを有している。カートリッジ2を装置本体1に装着した時には、カートリッジ2が有する溝158b及び、円筒部158cと、装置本体1が有するリブ130Ra及び、凹部130Rbがそれぞれ係合する。
また図30(b)に示すように、装置本体1のガイドレール130Lは、第三本体側位置決め部としての凹部130Laを有している。こちらも、カートリッジ2を装置本体1に装着した時には、カートリッジ2が有する円筒部51iと、装置本体が有する凹部130Laがそれぞれ係合する。
更に、カートリッジ2のカップリング150が駆動軸100から駆動力を受けると、ドラム枠体51はドラムの回転方向(図28において反時計回り方向)に回転する。これによりドラム枠体51が有する円筒部の受け面51fが、ガイドレール130Rが有する受け部130Rcと係合する。
以上の構成(支持手段)によりカートリッジ2と装置本体1の位置決め(装置本体1によるカートリッジ2の支持)が行われる。
(比較例におけるカートリッジとD加圧力の関係)
カートリッジ2の両端部において現像ユニット40と像担持体ユニット50が回動可能に結合するため、現像ユニットが有する現像ローラ41は、感光体ドラム20を間隔保持部材48L、48Rを介して押圧する。
ここで実施例1に対する比較例として、本発明を実施していないカートリッジ202をあげて、感光体ドラムに対する現像ローラの加圧力(D加圧力)について説明する。説明には図8、9を用いる。
図8に比較例であるカートリッジ202を示す模式断面図を示した。D加圧力は図8に示すように、現像ローラ241の両端に設けられた間隔保持部材248Lと間隔保持部材248Rが、感光体ドラム220に対して当接することによって生じる。そのため、D加圧力は感光体ドラム220の軸線方向において一端側(非駆動側)と他端側(駆動側)に存在する。
現像ユニット240を像担持体ユニット250に対して回動可能に形成することで、現像ローラ241は感光体ドラム220に対してほぼ平行な状態で当接し、安定して付勢される。D加圧力の値は、非駆動側と駆動側においてバランスが保たれている。
しかしカートリッジ202に用いられる部品の寸法公差や、カートリッジ202の変形が、現像ユニット240と像担持体ユニット250との結合に影響を与えて、D加圧力が非駆動側と駆動側でバランスを崩してしまう場合がある。
以下、カートリッジ202に用いられる部材の公差等によって、現像ユニット240と像担持体ユニット250とを結合する結合部材254Lの位置が、結合部材254Rの位置からずれた場合を例に、D加圧力の変動について説明する。なお、結合部材254Lは非駆動側に設けられた結合部材であり、結合部材254Rは駆動側に設けられた結合部材である。
感光体ドラム220の軸線方向からみたときに、結合部材254Rの位置(図8(a)参照)を基準として、結合部材254Lの位置が水平方向にずれた場合を考える(図8(b)(c))。
〔結合部材のずれが無い場合(不図示)〕
感光体ドラム220の軸線方向から見て結合部材254Lと254Rの位置が重なる時、結合部材254Lは開口260内のほぼ中央で係合をしている。このとき現像ローラ241はその軸線が感光体ドラム220の軸線に対してほぼ平行となる状態で感光体ドラム220に当接し、現像ローラ241の両端部に取り付けられた間隔保持部材248L、248Rはほぼ同じ加圧力で感光体ドラム220に当接する。
この状態におけるD加圧力を示したものが図9のグラフにおける点(a)である。なお図9は比較例におけるD加圧力の変化を説明するグラフであり、グラフ横軸は、感光体ドラム220の軸線方向から見て、結合部材254Rの位置に対する結合部材254Lの位置のずれ量を示している。すなわち図8の水平方向において、結合部材254Rの位置を基準としたときの結合部材254Lの位置を示した。またグラフ縦軸はD加圧力の変化量である。結合部材254Lが基準の位置にあるときのD加圧力を基準として、D加圧力の変化量を示している。図9の点(a)においてカートリッジ202の一端側(非駆動側)、他端側(駆動側)ともにD加圧力の変化量は0となる。
〔結合部材の位置ずれ=x1(許容範囲内)の場合〕
次に、結合部材254Rの中心に対し、結合部材254Lの中心が結合部材254Rの中心から水平方向−側(左方向)にずれた場合を説明する。
図8(b)では結合部材254Lの位置が結合部材254Rの位置に対して水平方向−側(左方向)に距離x1だけずれている。
ずれx1が生じることによって図8(b)に示すように、結合部材254Lと開口260の係合は開口260の他端260e側に移動する。しかし、このとき、結合部材254Lと開口260の他端260eは接触しておらず、隙間が残っている。よって結合部材254Lと結合部材254Rのずれx1を結合部材254Lと開口260の係合位置が変わることによって吸収することができる。そのため、現像ローラ241の両端部は感光体ドラム220に安定して付勢されている。
つまり結合部材254Rに対する結合部材254Lの位置ずれを開口260にて吸収するため、感光体ドラム220に対する現像ローラ241の加圧力は、その両端部でほぼ同じ大きさとなる(図9の区間(b))。
〔結合部材の位置ずれ=x2(許容範囲外)の場合〕
図8(c)は結合部材254Lの位置が結合部材254R位置に対して水平方向に距離x2だけ、像担持体ユニット250側にずれた状態であり、この距離x2が距離x1より大きい場合である。結合部材254Lは、開口260との間に生じていた隙間以上に移動し、開口260の他端260eに干渉する。よって、現像ユニット240の開口260は、他端260eに結合部材254Lから力を受けた状態で、像担持体ユニットに近づく方向に移動する。その結果、開口260が配されたカートリッジ202の非駆動側(一端側)において、現像ローラ241は、感光体ドラム220に近づく方向へ力を受け、D加圧力は増加する。また非駆動側と駆動側におけるD加圧力の総和は一定である。そのため非駆動側においてD加圧力が増加した分、駆動側(他端側)においてD加圧力は減少する(図9の範囲(c))。
上記とは逆に、結合部材254Lの中心が結合部材254Rから、水平方向の+側(右方向)に距離x2ずれている場合を説明する。この時、開口260の一端260dに結合部材254Lが食い込む位置関係となる。現像ユニット240に設けられた開口260は、一端260dに結合部材254Lから力が加わった状態で、像担持体ユニットから離れる方向に移動する。つまり現像ユニット240の現像ローラ241は非駆動側において、感光体ドラム220から離れる方向へ力を受ける。その結果、非駆動側(一端側)においてD加圧力は減少する。また非駆動側でD加圧力が減少した分、駆動側(他端側)においてD加圧力が増加する(図9の範囲(d))。
即ち、結合部材254Lが開口260の一端260dに接触するほど、結合部材254Lの位置が結合部材254Rの位置に対してずれてしまうと、D加圧力は急激に変化する。
従って、D加圧力の急激な変化を小さくするためには、結合部材254Lの位置が結合部材254Rの位置に対してずれても、結合部材254Lが開口260の端部に力を加えることが無いようにするとよい。つまり結合部材254Lが常に開口260の一端260dと他端260eとの間に隙間を持つ構成とするとよい。
ここで本発明者の検討によると、結合部材254Lが開口260の一端260dと他端260eの両端に隙間を持つためには、水平方向に対する開口260の傾きを所定の範囲内に設定することが有効である。図10から図13を用いてカートリッジ202における開口260の適切な傾きについて説明を行う。図10は比較例において現像ユニット240にかかる力の関係を表した模式断面図である。図11は開口260の角度と現像ユニットに加わる力の関係を表したグラフである。図12は現像ユニット240にかかる力とその方向を示した図である。図13はD加圧力の変動を表すグラフである。
開口260の両端に隙間を開けた状態で結合部材254Lが開口260と係合した状態を保つためには、開口260と結合部材254Lとが当接した際に現像ユニット240に加わる力が釣り合う必要がある。仮に現像ユニット240に加わる力が釣り合っていない状態だと、現像ユニット240に加わる合力によって、現像ユニット240は開口260の形成方向に沿ってスライド移動してしまう。これにより、結合部材254Lと開口260の係合位置が移動してしまい、結合部材254Lは開口260の一端260dもしくは他端260eに接触してしまう。
そこで、カートリッジ202が装置本体に装着された際に現像ユニット240の非駆動側(一端側)に働く力が釣り合う条件をカートリッジ202の模式断面図(自由物体図)である図10を用いて説明する。
現像ユニット240には図10に示すように力Fi(i=1〜7)が加わる。F1は現像ローラ241が感光体ドラム220を加圧したときに、その反作用として現像ローラ241が受ける反作用力である。よってF1はD加圧力と大きさが等しい。F2は現像ユニット240の自重である。F3はドラム枠体251に接触し、現像ユニット240を下方へ付勢している圧縮コイルばね246の力である。F4は装置本体1から接点部262が受ける接点圧である。F5は装置本体1から接点部263が受ける接点圧である。F6は開口260が結合部材254Lから受ける垂直抗力F6である。F7は開口260が結合部材254Lから受ける摩擦力である。
またFiと結合部材254Lまでの距離をそれぞれLiとし、Fiが水平面となす角度をそれぞれθiとする。
このとき、現像ユニット240に加わる力が釣り合う条件は下記式(1)から式(4)の条件が満たされる場合である。
ここでμは静止摩擦係数である。また、モーメントの+方向は時計回り方向にとり、水平方向をX方向、鉛直方向をY方向とした(図10参照)。
現像ユニット240に加わる力が釣り合うために必要な力は(1)〜(3)を連立することで求まる。ただし、力Fi(i=1〜7)のうちF2からF5およびL1からL7、θ1からθ5は設計上の規定値である。またθ6=θ7+90°である。これらの値を(1)〜(3)に代入したとき、未知数であるF1、F6、F7はθ7の関数として求まる。ただし、摩擦力F7の絶対値は開口260と結合部材254Lの間に生じる最大静止摩擦力を下回る値しかとることができない。結合部材254Lと開口260に生じる最大静止摩擦力は静止摩擦係数μと垂直抗力F6を用いてμF6、−μF6として求まるので、実際に現像ユニットに加わる力が釣り合うためには(1)〜(3)で求めたF6、F7が式(4)を満たす必要がある。
ここで横軸に開口の傾きθ7をとり、(1)〜(3)で求めた垂直抗力F6、摩擦力F7と、最大静止摩擦力μF6、−μF6を縦軸に示したグラフが図11である。
図11より(4)が成り立つのは、図11のθmax、θminを用いてθ7が以下の式(5)を満たす場合である。
なお図11において、θmaxは、F7=μF6となるときのθ7の値であって、θminは、F7=−μF6となるθ7の値である。
式(5)が満たされるとき、(1)〜(4)を満たす力Fi(i=1〜7)が現像ユニットに生じ、現像ユニットに加わる力が釣り合う。これによって、結合部材254Lが開口260の両端部260d、260eに接触しない状態で、結合部材254Lが開口260と当接することが可能になる。
また式(5)を満たす場合でも特に、θ7=θoptとなるときD加圧力が最も安定する。これは図11においてF7=0となる角度であって、開口260と結合部材254Lに摩擦力が働かなくても現像ユニット240に加わる力が釣り合う場合である。角度θoptに関して更に詳細を述べる。
図12に示すように、
が成り立つ垂直抗力F6が生じるように、F1からF5の合力であるFaが生じる方向とは垂直に開口260を形成する。このときの開口260の傾きがθoptである。開口260の角度をθoptとしたとき、現像ユニット240に加わる力は開口260と結合部材254Lの間に摩擦力F7が加わらなくとも釣り合う。すなわち、結合部材254Lと開口260の係合が開口260の一端260d側、または他端260e側に移動させる力が生じないので、よりD加圧力を安定化させることができる。
ここで開口260の角度をθoptとしたときの、現像ユニット240の一部を側面図として図32(a)に示した。また、図32(b)は開口260の拡大図である。本比較例では開口260の長手方向の幅を4.3mmとし、開口260と係合する結合部材254L断面の直径を3mmとした。
比較例におけるD加圧の変動を図13の太線(a)で示した。グラフ横軸は、感光体ドラム220の軸線方向から見て、結合部材254Lの位置が結合部材254Rの位置に対して、感光体ドラム220中心から現像ローラの241中心へ向かう方向にずれた場合のずれ量を示している。すなわち感光体ドラム220の中心から現像ローラ241の中心へ向かう方向において、結合部材254Rの位置を基準としたときの結合部材254Lの位置を示している。またグラフ縦軸はD加圧力の変化量である。結合部材254Lが基準の位置にあるときのD加圧力を0として、そこからの変化量を示している。なお、カートリッジの非駆動側(一端側)のD加圧力のみ示した。
図13の太線(a)を見るとグラフの横軸の値が−0.3から+0.4の範囲においてD加圧力の変化量が少ない。結合部材254Rに対する、結合部材254Lの位置のずれが上記範囲内であれば、結合部材254Lが開口260の端部に力を加えることはなくD加圧力を変動させないことがわかる。
(比較例における課題)
ここで、ユーザーがカートリッジ202を装置本体に装着する際などに、現像ユニット240に力を加えてしまう場合がある。現像ユニット240に外部から力が加わると、結合部材254Lに対して、開口260が移動することがある。このとき、現像ユニット240の非駆動側(一端側)が、像担持体ユニット250に対して移動する。現像ユニット240の非駆動側が像担持体ユニット250に対して近づくと、現像ローラ241の非駆動側が、感光体ドラム220に強く押し付けられるので、非駆動側においてD加圧力が大きくなってしまう。逆に、現像ユニット240の非駆動側が像担持体ユニット250から離れると、現像ローラ241の非駆動側を感光体ドラム220から離そうとする力が加わるので、D加圧力は非駆動側において小さくなる。
このとき開口260と結合部材254Lの間に生じる摩擦力によっては、現像ユニット240が本来の位置に戻らず、D加圧力が大きく変動した状態にとどまってしまう。
以下、現像ユニット240の非駆動側が、外部からの力によって移動した場合のD加圧力の変動について図13、図14を用いて説明する。図14は比較例における開口260と結合部材254Lの係合位置を模式的に示した断面図である。
プロセスカートリッジの公差によって、結合部材254Lが結合部材254Rから、感光体ドラム220中心から現像ドラム中心に向かう方向において−0.2mmずれている状態(図13のグラフ横軸が−0.2の点)を例に示す。この状態において、通常のカートリッジ202の状態であれば、図14(b)に示す状態で結合部材254Lと開口260は係合している。
次に、現像ユニット240に力が加わり、開口260の他端260eと結合部材254Lとが接するほど、現像ユニット240の非駆動側が動かされた状態を図14(a)に示した。この状態でカートリッジ202が装置本体に装着された場合、現像ユニット240の非駆動側に設けられたサイド部材255Lは像担持体ユニット250から離れる方向に移動している。よってサイド部材255Lに支持されている現像ローラ241は、非駆動側において感光体ドラム220から離れる向きに力を受けD加圧力は減少する。この状態のD加圧力を図13の破線(b)で示した。通常のカートリッジ202の状態から非駆動側(一端側)においてD加圧力が変化量Hdだけ減少している。
次に、現像ユニット240に力が加わり、現像ユニット240が、開口260の一端260dと結合部材254Lとが接するほど動かされた状態(図14(c)参照)でカートリッジ202が装置本体に装着された場合を考える。この状態は、現像ユニット240の駆動側に設けられたサイド部材255Lが像担持体ユニット250に近づく方向に移動した状態である。サイド部材255Lに支持されている現像ローラ241の非駆動側は感光体ドラム220に近づく向きに力を受けることになり非駆動側においてD加圧力は増加する。この状態を表した線が図13の細線(c)である。通常のカートリッジ202の状態から、非駆動側(一端側)においてD加圧力が変化量Huだけ増加している。
つまり比較例のカートリッジ202では、外部から力が加わり、現像ユニット240が移動してしまった場合、D加圧力はH1=Hd+Hu分だけ変動してしまう。
また結合部材254Lと長穴260の係合位置が移動した場合に、この係合位置を元に戻すためには、プロセスカートリッジ製造時、開口260にグリスを塗るなどして、結合部材254Lと開口260に加わる摩擦力を低減させる対策が必要である。これはカートリッジの製造工程が複雑になる要因となってしまう。
(実施例1における開口の構成)
そこで実施例1のカートリッジ2では、現像ユニット40に外部から力が加わり、結合部材54Lと開口60の係合位置が開口の端部に移動してしまった場合でも、係合位置を元にもどす力が生じるように、開口60の形状を規定している。
実施例1における開口60の作用について図15から図17、図33を用いて説明を行う。
図33(b)に示すように本実施例では開口60の長手方向、すなわち結合部材54Lと開口60との係合位置が移動可能な方向において開口60の両端を中央部に対して傾けて形成している。このとき開口の中央部に形成され、結合部材54Lと当接する面を第1当接部60aとする。そして第1当接部60aに隣接し第1当接部に対して傾いている両端の面のことをそれぞれ第2当接部60b、60cとする。
開口60と結合部材54Lの係合状態をわかりやすく示すため、図17に開口60の形状を模式図として示す。本実施例では図17に示したように、結合部材54Lが第1当接部60aと当接した状態で開口60が移動できる範囲をWa=0.5mmととった。同様に、結合部材54Lが第2当接部60b、60cと当接した状態で、開口60が移動できる範囲をそれぞれWb=Wc=0.5mmとなるようにした。なお結合部材54Lの断面の直径は比較例と同様に3mmである。
ここで第1当接部60aは、水平面となす角θ7aが式(5)を満たすように角度が規定された平面である。特に本実施例ではθ7a=θoptとなるようにした。上述したように、カートリッジ2を装置本体1に装着した際に、結合部材54Lが角度θmin<θ7a<θmaxを満たす第1当接部60aに当接すると現像ユニットに加わる力が釣り合う。すなわち、結合部材54Lと開口60の係合位置を移動させる力が生じない。よって、結合部材54Lが第1当接部60aと当接した際には、結合部材54Lが回動の軸となって現像ユニット40は像担持体ユニットに対して回動可能になる。
一方、第1当接部に隣接する第2当接部60b、60cは、それぞれ水平面となす角度θ7b、θ7cが式(5)に示す範囲から外れるよう形成された平面であってθ7b>θmax、θ7c<θminである。第2当接部60b、60cに結合部材54Lが当接すると、現像ユニットに加わる力の合力によって、開口60が結合部材54Lに対して移動するようにされている。以下、詳しく説明する。
現像ユニット40に外部から力が加わり、現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50から遠ざかる方向に移動すると、図15(a)に示すように、結合部材54Lが開口60内の他端60e側に設けた第2当接部60bと当接する。このとき、現像ユニット40にはF1からF5を足し合わせた力Faと、第2当接部60bが結合部材54Lから受ける垂直抗力F6b(垂直抗力B)が加わる。FaとF6bを足し合わせることによって、第2当接部60bの面と平行な方向に力Fbが生じる。
このとき、第1当接部60aが結合部材54Lと当接した際に受ける垂直抗力F6a(垂直抗力A)の向きに対して、垂直抗力F6b(垂直抗力B)の向きが第1当接部60aから離れる方向に傾くように、第2当接部60bを配置している。さらに第2当接部60bが水平面となす角度θ7bが式(5)に示す範囲に含まれず、θ7b>θmaxとなるように第2当接部60bを配置している。この設定で生じる力Fbの方向は、結合部材54Lから開口60の他端60eが離れるように現像ユニット40非駆動側のサイド部材55Lが動く向きである。
第2当接部60bが形成される角度θ7bは、現像ユニット40に加わる力Fbの大きさが、第2当接部60bが結合部材54Lから受ける最大静止摩擦力を越えるように設定されている。図15(b)に示すように現像ユニット40非駆動側のサイド部材55Lは力Fbの生じる方向に動き、結合部材54Lが第1当接部60aと当接するまで移動する。つまり外部から力が加わり現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50から遠ざけられても、現像ユニット40の位置を本来の位置に戻すように、開口60が結合部材54Lに対して移動することになる。結合部材54Lが第1当接部60aと当接した状態では、1当接部60aが結合部材54Lから垂直抗力F6aを受けることによって、現像ユニット40に加わる力は釣り合う。つまり現像ユニット40が像担持体ユニット50に対して動くことが抑制される。
同様に図16に示すように開口60の一端60d側に第1当接部60aに対して傾いた第2当接部60cを設けている。現像ユニット40に外部から力が加わり、現像ユニット40の被駆動側が像担持体ユニット50に近づく方向に移動すると、図16(a)に示すように開口60内の第2当接部60cに結合部材54Lが当接する。このとき現像ユニット40には、力Faと垂直抗力F6cが加わることで、現像ユニット40を動かす力Fcが生じるように角度θ7cを設定している。すなわち第1当接部60aが結合部材54Lから受ける垂直抗力F6aの向きに対して、第2当接部60cが結合部材54Lから受ける垂直抗力F6cの向きが第1当接部60aから離れる方向に傾くように、第2当接部60cを配置している。さらに第2当接部60cが水平面となす角度θ7cはθ7c<θminとし、角度θ7cが式(5)に示される範囲に含まれないようにしている。この設定で生じる力Fcの大きさは、第2当接部60cが結合部材54Lから受ける摩擦力を越えることになる。
現像ユニット40の非駆動側に設けたサイド部材55Lは、第2当接部60cが結合部材54Lと当接した際には、図16(b)に示すようにFc方向に動き、結合部材54Lが第1当接部60aと当接するまで移動する。つまり外部からの力によって現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50に近づいたとしても、その移動を元に戻す向きに開口60が結合部材54Lに対して移動することになる。
以下、実施例1のカートリッジ2が奏する効果を図18を使用して説明する。
図18は実施例1におけるD加圧力の変動を表すグラフである。グラフ横軸は結合部材54Rと結合部材54Lの位置のずれ量を示している。すなわち感光体ドラム20の軸線方向から見たとき、感光体ドラム20の中心から現像ローラ41の中心へ向かう方向において、結合部材54Rの位置を基準としたときの結合部材54Lの位置を示している。またグラフ縦軸は、基準値に対するD加圧力の変化量を示してある。
比較例と同様に結合部材54Lの位置が結合部材54Rから感光体ドラム20に近づく方向に0.2mmずれている点(図18のグラフにおいて横軸が−0.2の位置)においてD加圧力の変動を見てみる。
現像ユニットに外部から力が加わることで結合部材54Lと開口60との係合位置が開口60の他端60e側に寄せられ、現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50から遠ざけられた場合には現像ローラ41のD加圧力は非駆動側において減少する。なお、駆動側におけるD加圧力は、非駆動側において減少した分だけ増加する。このときの非駆動側のD加圧力を図18の破線(b)で示した。
逆に、結合部材54Lと開口60との係合位置が開口60の一端60d側に寄せられ、現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50に近づけられた時には現像ローラ41のD加圧力は非駆動側において増加する。なお駆動側におけるD加圧力は、非駆動側で減少した分だけ増加する。このときの非駆動側のD加圧力を図18の実線(c)で示した。
図18に示したように現像ユニット40非駆動側の移動によるD加圧力の変化量はH2であって、これは比較例の変化量H1(図13参照)よりも小さい。D加圧力の変動が抑えられていることがわかる。
これは、外部からの力によって、現像ユニット40の非駆動側が移動して、結合部材54Lと開口60の係合位置が移動した場合であっても、係合位置の移動を元に戻す向きに現像ユニットを動かす力が生じるためである。つまり、現像ユニットが移動し、結合部材54Lと開口60の係合位置が、開口の一端60d側、もしくは他端60e側に寄せられても、係合位置を第1当接部60aの領域内に戻す力が働く。そのため、現像ユニット40は像担持体ユニット50に対して大きく移動せず、D加圧力の変動を抑えることができる。
実際、図13と図18のグラフを比較すると分かるように、結合部材54Rに対する結合部材54Lの位置ずれの範囲が−0.2mmから0.4mmにおいて、比較例よりも現像ユニット40の移動によるD加圧力の変動が小さくなっていることが分かる。
本実施例によれば、D加圧力が現像ローラ41の両端部で安定する。そのため、現像ローラ41の両端部において間隔保持部材48R、48Lが感光体ドラム20に安定して当接し、現像ローラ41の表面と感光体ドラム20の表面の間隔を一定に保つことができる。
D加圧力が減少して感光体ドラム20から現像ローラ41が離間することや、D加圧力が増加して間隔保持部材48が摩耗したり、カートリッジ2に負荷を与えたりすることを抑制できる。
また本実施例では外部から力が加わって現像ユニット40が移動し、開口60と結合部材54Lの係合位置が移動した場合に、その移動を元にもどすための力として、装置本体1の駆動力を必要としない。そのためD加圧力を安定化する上で、モータに負荷を与えることがない。よって画像形成装置の起動時に起動トルクが大きくなることを抑制することが可能である。
また、本実施例では結合部材54Lと開口60の係合位置を元の位置に戻すために、開口60にグリスを塗る対策を取る必要がない。そのためカートリッジの製造工程が簡略化され、製造の自動化が容易になる。
また、結合部材54Lの位置が結合部材54Rの位置に対してずれても、結合部材54Lは開口60との間に隙間を空けた状態を保つ。結合部材54Lが開口60の一端60dや他端60eに力を加えることで、D加圧力が急激に変動することを抑制することが可能である。
また結合部材54Lと開口60の係合位置の移動をより滑らかにするために、各当接部の接続部を曲面状にしてもよい。
なお、必ずしも第1当接部60aと第2当接部60bが連結している必要はなく結合部材54Lと開口60との係合位置が第2当接部60b、60cから第1当接部60aに移動可能な構成であればよい。例えば、感光体ドラム20の軸線方向において、第1当接部60aと第2当接部60bの位置が離れていてもよい。
[実施例2]
次に実施例2について図34、図19、図20を用いて説明する。
図34(a)は本実施例における現像ユニット40の一部を示した側面図である。図34(b)は現像ユニット40に設けられた開口60の拡大図である。本実施例では図34(b)に示すように開口60において、結合部材54Lと当接する部分が曲面状に形成されていることに特徴がある。
開口60と結合部材54Lの係合状態をわかりやすく示すため、図19に本実施例における開口60の形状を模式図として示した。
実施例1と同様に、結合部材54Lと当接したときに、現像ユニット40に加わる力が釣り合う領域が第1当接部である。結合部材54Lが第1当接部と当接した際に、現像ユニット40は、結合部材54Lを回動の軸(第1の軸)として像担持体ユニット50に対して回動可能となる。一方、結合部材54Lと当接した時に、結合部材54Lが第1当接部と当接するまで現像ユニット40を移動させる領域が第2当接部である。
図19に示すように結合部材54Lとの当接部の接線が水平面となす角度θ7が式(5)を満たす領域(θmin≦θ7≦θmaxとなる領域)が第1当接部となる。またθ7が式(5)を満たさない領域(θ7<θmin、θ7>θmaxとなる領域)が第2当接部となる。
本実施例では感光体ドラム20の軸線方向から見たとき、開口60がθ7a(=θopt)、θ7b(>θmax)、θ7c(<θmin)という接線をもつ円弧となるように開口60を設けた。開口60の長さWは約4.5mmである。
実施例2におけるD加圧力の変動について、図20を使用して説明する。図20は実施例2におけるD加圧力の変動を表すグラフである。なお図20の破線(b)は、現像ユニットに外部から力が加わることで、開口60と結合部材54Lの係合位置が、開口60の他端60e側に寄せられた時のD加圧力である。また図20の実線(c)は現像ユニットに外部から力が加わることで開口60と結合部材54Lの係合位置が開口60の一端60d側に寄せられた時のD加圧力である。
実施例2においても、結合部材54Lと開口60との係合位置が開口60の他端60e側に寄せられ、現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50から離れた場合には非駆動側において現像ローラ41のD加圧力は減少する(図20の破線(b))。
また逆に係合位置が開口60の一端60dに寄せられ、現像ユニット40の非駆動側が像担持体ユニット50に近づいた時には非駆動側においてD加圧力は増加する(図20の実線(c))。
しかし図13と図20を比較すると実施例2におけるD加圧力の変化量H3は、比較例におけるD加圧力の変化量H1より小さいことが見て取れる。すなわち実施例2においても、結合部材54Lと開口60の係合位置が、開口の一端60d側や他端側60eに移動することが抑制されるので、D加圧力の変動を抑えられる。
また実施例1におけるD加圧力のグラフである図18と、本実施例におけるD加圧のグラフである図20を比較すると、本実施例のほうが、グラフ横軸方向におけるD加圧力の変動が、小さいことが見て取れる。これは、開口60の当接部が曲面のため、結合部材54Lの位置が、結合部材54Rの位置に対して大きくずれた場合であっても、D加圧力が安定する位置に、開口60が結合部材54Lに対して滑らかに移動するためであると考えられる。
[実施例3]
実施例1、および実施例2では開口60と結合部材54Lとの係合位置が移動する方向において、第1当接部60aの両端に第2当接部60b、60cを設けた。しかし必ずしも第1当接部60aの両端に第2当接部を設ける必要はない。ユーザーの取り扱い等によって結合部材54Lと開口60の係合位置が移動する可能性が高い方の端部にのみ第2当接部を設けることによっても、本発明の効果を奏する。図21では例として開口60の一端60d側にのみ第2当接部を設けた開口60を模式図として示した。この場合、ユーザーがカートリッジ2を装置本体1に装着する際、現像ユニット40を像担持体ユニット50に押しつけた結果、結合部材54Lと開口60との係合位置が開口60の一端60d側に移動した場合に、その移動を元に戻す効果がある。つまりユーザーが装置本体1にカートリッジ2を装着する際、非駆動側のD加圧力を増加させてしまうことを抑制できる。
また、逆に開口60の他端側60e側に第2当接部を設けた場合には、結合部材54Lと開口60との係合位置が開口60の他端60e側に移動して、D加圧力が減少することを抑制することが可能である。
なお上記実施例1から実施例3では開口60を長穴形状としたが、これに限るものではない。開口が第1当接部と第2当接部を有していれば良く、アーム部55aLの一部を切り欠いた切り欠き部など別の形状をとることもできる。
また上記各実施例では、像担持体ユニット50に設けた結合部材54Lを開口60に係合させていた。しかし図22にあるように、結合部材54Lに代えて、像担持体ユニット50の枠体と一体的に形成した凸部50aを軸(第1の軸)として、開口60と係合させてもよい。このとき、現像ユニットは凸部50aを回動の軸として像担持体ユニットに対して回動可能に支持される。
[実施例4]
図23を用いて開口60を像担持体ユニットに設けた実施例4の説明を行う。図23(a)は実施例4におけるカートリッジを説明する斜視図である。また図23(a)にて破線Aで囲った領域を図23(b)に示した。すなわち図23(b)はカートリッジに設けた開口の拡大図である。
実施例1から3では開口60を現像ユニット40に設け、開口60と係合する軸(第1の軸)を像担持体ユニット50に設けていたが、図23(a)に示すように、開口60を像担持体ユニット50側に設けてもよい。実施例4では図23(b)に示すように現像ユニット40側に設けられた凸部40cを第1の軸として、像担持体ユニットに設けられた開口60と係合させている。なお、本実施例では、実施例1から3と異なり、開口60に対して凸部40cが移動可能な構成となっている。また、本実施例では、開口60を像担持体ユニット50に設ける場合に対して、開口60が屈曲する向きが反対になっている。
本実施例において凸部40cが開口60の第2当接部60b、または60cに当接すると、凸部40cが第2当接部60b、60cから垂直抗力(第2当接部60b、60cが凸部40cから受ける垂直抗力の反力)を受けることによって移動し、凸部40cは第1当接部60aと当接することとなる。つまり現像ユニット40が外部から力を受けても、凸部40cが開口60の第1当接部60aと当接した状態が保たれD加圧力の変動は抑制される。
すなわちD加圧力の変動を抑制するためには像担持体ユニットまたは現像ユニットのいずれか一方のユニットに軸(第1の軸)を設け、他方のユニットに軸と係合する開口を設ければよい。
なお図23(b)に示した開口60では実施例1と同様に第1当接部、第2当接部をそれぞれ平面形状としたが、もちろん実施例2のように曲面形状としてもかまわない。
[実施例5]
上記実施例1〜4においては、非接触現像方式のカートリッジを例に本発明を説明したが、図25に示すような接触現像方式のカートリッジ2においても本発明を実施することが可能である。図24に接触現像方式における感光体ドラム20と現像ローラ41の当接状態を示す。現像方式に接触現像方式を採用したカートリッジの場合は、図24(a)に記載されるように現像ローラ41を感光体ドラム20に直接当接させるので、現像ローラは、芯金をゴム材等の弾性体71で被覆して構成される。ここで図24(b)にあるように、ドラムが現像ローラ41の弾性体71に当接した際、弾性体に侵入する量を規制するために、侵入量規制部材70R,70Lが用いられる。侵入量規制部材70R,70Lは現像ローラ41の両端において芯金に設けられた円筒形の部材であり、画像形成時にドラムと当接する。このとき、侵入量規制部材70R,70Lが感光体ドラム20に加える力がD加圧力となる。
接触現像方式のカートリッジ2においても、開口60が第1当接部および第2当接部を備えることで、感光体ドラム20に対する現像ローラ41の加圧力を安定化させることが可能である。