JP5760522B2 - 光硬化性樹脂組成物及びその硬化皮膜を有する物品、その製造方法 - Google Patents
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Description
また、金属酸化物等を添加して基材と硬化皮膜の屈折率差を少なくして干渉縞を抑制する方法(特開2005−43647:特許文献10)が提案されているが、透明性(Hazeが上昇する)を損なう問題があった。
〔請求項1〕
(1)平均粒子径が80nm以下の(メタ)アクリル基を含有するシランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子、
(2)(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物、
(3)(メタ)アクリル基を1個又は2個含有する化合物、
(4)R1R2R3R4N+X-(R1、R2、R3、R4はCH3、C2H5、C2H4OCH3、C6H13、C8H17から選択される基で、それぞれの基は同一であっても異なってもよい。XはN(SO2CF3)2、BF4、PF6から選択される基である。)で表されるイオン性化合物、
(5)Li+Y-(YはClO4、SO2CF3、SO2C2F5、N(SO2CF3)2、N(SO2C2F5)2、BF4、PF6から選択される基である。)で表されるイオン性化合物、
(6)ラジカル系光重合開始剤、
(7)下記式(4)
で表される(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体、
を含有してなり、(1),(2),(3)成分の合計100質量部中、(1)成分が25〜70質量部、(2)成分が20〜70質量部、(3)成分が5〜30質量部であり、(1),(2),(3)成分の合計100質量部に対して、(4)成分が0.05〜3質量部、(5)成分が0.1〜7質量部、(6)成分が1〜8質量部、(7)成分が1〜50質量部である光硬化性樹脂組成物。
〔請求項2〕
光硬化性樹脂組成物が、更に(8)デンドリック高分子を(1),(2),(3)成分の合計100質量部に対して1〜50質量部含有する請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
〔請求項3〕
溶剤の含有量が組成物中3質量%以下で、25℃における粘度が300mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
〔請求項4〕
(1)成分を(2)成分及び/又は(3)成分に予め分散した混合物に、(4),(5)、(6)成分及び(7)成分、並びに所望により(8)成分を混合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
〔請求項5〕
請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物の硬化皮膜が形成されてなり、全光線透過率が85%以上、Hazeが2%以下、ASTM D1044によるテーバー摩耗試験における荷重500g、100回転時におけるHazeと摩耗試験前のHazeとの差が8%以下、表面抵抗値が1×1015Ω以下であることを特徴とする物品。
〔請求項6〕
硬化皮膜が形成される物品が、ポリカーボネートを50質量%以上含有する樹脂組成物により成型されたものである請求項5記載の物品。
〔請求項7〕
請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物をマイクログラビア法で被処理物品上に塗工し、紫外線照射で硬化させることにより上記被処理物品上に硬化皮膜を形成させてなることを特徴とする物品の製造方法。
(1)平均粒子径が80nm以下の無機酸化物微粒子、
(2)(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物、
(3)(メタ)アクリル基を1個又は2個含有する化合物、
(4)脂肪族アミン系イオン性化合物、
(5)リチウム系イオン性化合物、
(6)ラジカル系光重合開始剤
(7)(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体、
更に好ましくは
(8)デンドリック高分子
を含有するものである。
本発明の(1)無機酸化物微粒子は、例えば、Si、Ti、Al、Zn、Zr、In、Sn、Sb、Ce、Fe等の酸化物微粒子、あるいはこれらの複合酸化物微粒子等が挙げられる。金属酸化物微粒子として、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、酸化セリウム等の微粒子が挙げられる。
本発明の(2)(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物は、(1)無機酸化物微粒子及び(3)(メタ)アクリル基を1個又は2個含有する化合物と共に、硬化性成分の主成分となるものであり、硬化後に得られる皮膜のマトリックスを形成するものである。(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物は、(1)成分の無機酸化物微粒子を分散すると共にバインダー成分であり、該化合物により、耐摩耗性に優れ、高硬度な硬化物が得られるものである。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の(3)(メタ)アクリル基を1個又は2個含有する化合物は、(1)無機酸化物微粒子及び(2)(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物と共に、硬化性成分の主成分となるものであり、硬化後に得られる皮膜のマトリックスを形成するものである。
これらの化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(1)成分と(2)成分と(3)成分の合計100質量部中、(1)成分の配合量が25質量部未満であると、硬度が低下し、十分な耐摩耗性が得られなくなり、70質量部を超えると、皮膜の外観が悪くなる。また、(2)成分の配合量が20質量部未満であると、分散安定性が悪く、皮膜外観を悪化させてしまい、70質量部を超えると、硬度が低下する。(3)成分の配合量が5質量部未満であると、密着性が悪くなり、30質量部を超えると、硬度が低下する。
本発明において、(4)R1R2R3R4N+X-(R1、R2、R3、R4はCH3、C2H5、C2H4OCH3、C6H13、C8H17から選択される基で、それぞれの基は同一であっても異なってもよい。XはN(SO2CF3)2、BF4、PF6から選択される基である。)で表される脂肪族アミン系イオン性化合物は、相溶性及び溶解性が良好な帯電防止剤として使用される。また、分散性改善の効果があり、添加することで保存時の凝集や沈降が抑制でき、更に光照射の硬化の際に、塗工ラインの搬送速度に関係なく、皮膜が白化するのを防ぐことができる。これらの中でも、常温(通常5〜40℃、特に25℃)で液体である脂肪族アミン系イオン性化合物が特に好ましい。
本発明において、(5)Li+Y-(YはClO4、SO2CF3、SO2C2F5、N(SO2CF3)2、N(SO2C2F5)2、BF4、PF6から選択される基である。)で表されるリチウム系イオン性化合物は、脂肪族アミン系イオン性化合物同様に相溶性及び溶解性が良好な帯電防止剤として使用される。また、分散性改善の効果があり、添加することで保存時の凝集や沈降が抑制でき、更に光照射の硬化の際に、塗工ラインの搬送速度に関係なく、皮膜が白化するのを防ぐことができる。
Li+ClO4 -、Li+SO2CF3 -、Li+SO2C2F5 -、Li+N(SO2CF3)2 -、Li+N(SO2C2F5)2 -、Li+BF4 -、Li+PF6 -
本発明の組成物には、(6)ラジカル系光重合開始剤が含有される。ラジカル系光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の通常のものから選択することができる。具体的には、ベンゾフェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、チオキサントン誘導体、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、オキシフェニル酢酸2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルとオキシフェニル酢酸2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルの混合物、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、2−メチル−1−{4−(メチルチオ)フェニル}−2−モルフォリノプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルファイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィン等が挙げられる。
本発明の組成物には、(7)(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体が含有される。(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体として、下記式(A)で示される化合物等が挙げられる。
本発明の光硬化性樹脂組成物には、更に必要に応じて(8)デンドリック高分子を含有させることができる。デンドリック高分子とは、多分岐高分子、樹枝状高分子ともいわれる。従来の高分子は一般的に紐状の直鎖状ポリマーであるのに対し、これらのデンドリック高分子は分岐を積極的に導入していることから三次元球形のモルフォロジーをしている。この三次元球形のモルフォロジーにより、形成される硬化皮膜に柔軟性を与えることで、基材への密着性が良化するとともに、硬度の優れた硬化皮膜となる。
ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4M0.83
c=0.7
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカが分散されたエトキシレートペンタエリスリトールテトラアクリレート(以下、S−PETTA;シリカ濃度50質量%、シリカ粒子径30nm)80質量部、ヘキサンジオールジアクリレート(以下、HDODA、PII値5.5)20質量部、(CH3)(C8H17)3N+(CF3SO2)2N-(以下、MTOTFSI)0.2質量部、Li+(CF3SO2)2N-(以下、LiTFSI)1.8質量部、ダロキュアー1173(以下、D1173;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ラジカル系光重合開始剤、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名)3質量部を混合し、オグソールEA−F5003(以下、EA−F5003と称することがある;フルオレン誘導体、大阪ガスケミカルズ(株)製、商品名)10質量部を混合し、25℃における粘度が250mPa・sである光硬化性樹脂組成物を得た。この光硬化性樹脂組成物を芳香族ポリカーボネートフィルム(ビスフェノールAとホスゲンとから製造された粘度平均分子量2.3×104の芳香族ポリカーボネートフィルム;幅140mm、厚さ92μm)に、マイクログラビアコーター法(康井精機社製 番手200)で厚さ5μmとなるように塗布し、次いで160W高圧水銀灯を持つコンベア式紫外線照射装置(アイグラフィクス社製)を用いて硬化皮膜を作製した。その際の条件は、搬送速度2m/minで積算照射量は1,000mJ/cm2であった。得られた透明皮膜を用いて、下記に示す評価を行った。これらの結果を表1に示す。
40℃,14日後に、沈降物があるかないかを目視判定し、下記基準で評価した。
○:沈降物なし
×:沈降物あり
硬化した膜を、JIS K 7105に準拠して、濁度計(NDH2000、日本電色工業製)を用いて測定し、全光線透過率、Hazeを評価した。白化の基準として、実用上問題のない全光線透過率85%以上、Haze2%以下を合格とした。
ASTM D1044に準拠し、テーバー摩耗試験機(摩耗輪CS−10F使用)を用いて硬化皮膜の摩耗試験(500g荷重、100回転)を行い、摩耗試験前後の硬化皮膜のHazeを、濁度計(NDH2000、日本電色工業製)を用いて測定し、摩耗試験後のHaze−摩耗試験前のHazeをΔHazeとした(ΔHazeは8%以下の場合に耐擦傷性、耐摩耗性が良好である)。
超絶縁計(東亜電波工業(株)製SM−8210)を用い、25℃、50%RHの雰囲気下で測定した。
60℃,95%RHの雰囲気下に240時間放置してから、常温に24時間放置後、JIS K5400に準拠して塗工面に10×10にマス目を作製し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認した。
○:異常なし
×:マス目の1/3以上剥離した箇所が1マス以上あり
3波長蛍光灯下での硬化皮膜の外観を以下の評価基準で目視評価した。
干渉縞 ○:3波長蛍光灯下で視野角を変化させても干渉縞が殆んどない
干渉縞 △:3波長蛍光灯下で視野角を変化させない場合干渉縞が殆んどない
干渉縞 ×:3波長蛍光灯下で視野角を変化させなくても干渉縞が見える
同様に、下記表1,2に示すように配合を代えて膜を得、評価を行った。これらの結果を表1,2に示す。
S−PETTA−2:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン処理シリカが分散されたエトキシレートペンタエリスリトールテトラアクリレート、シリカ濃度50質量%、シリカ粒子径120nm
HDODA:ヘキサンジオールジアクリレート
MTOTFSI:(CH3)(C8H17)3N+(CF3SO2)2N-
LiTFSI:Li+(CF3SO2)2N-
D1173:ダロキュアー1173、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名
EA−F5003:(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体(大阪ガスケミカルズ(株)製、商品名 オグソールEA−F5003;上記式(A)において、R1及びR2が共に(メタ)アクリロイルオキシ基(−O−CO−C(CH3)=CH2)である化合物)
EA−F5503:(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体(大阪ガスケミカルズ(株)製、商品名 オグソールEA−F5503)
EA−F5510:(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体(大阪ガスケミカルズ(株)製、商品名 オグソールEA−F5510)
CN−2301:ハイパーブランチポリマー(サートマー社製,ポリエステル系、数平均分子量1,000〜2,000)
Claims (7)
- (1)平均粒子径が80nm以下の(メタ)アクリル基を含有するシランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子、
(2)(メタ)アクリル基を3個以上含有する化合物、
(3)(メタ)アクリル基を1個又は2個含有する化合物、
(4)R1R2R3R4N+X-(R1、R2、R3、R4はCH3、C2H5、C2H4OCH3、C6H13、C8H17から選択される基で、それぞれの基は同一であっても異なってもよい。XはN(SO2CF3)2、BF4、PF6から選択される基である。)で表されるイオン性化合物、
(5)Li+Y-(YはClO4、SO2CF3、SO2C2F5、N(SO2CF3)2、N(SO2C2F5)2、BF4、PF6から選択される基である。)で表されるイオン性化合物、
(6)ラジカル系光重合開始剤、
(7)下記式(4)
で表される(メタ)アクリル基を含有するフルオレン誘導体、
を含有してなり、(1),(2),(3)成分の合計100質量部中、(1)成分が25〜70質量部、(2)成分が20〜70質量部、(3)成分が5〜30質量部であり、(1),(2),(3)成分の合計100質量部に対して、(4)成分が0.05〜3質量部、(5)成分が0.1〜7質量部、(6)成分が1〜8質量部、(7)成分が1〜50質量部である光硬化性樹脂組成物。 - 光硬化性樹脂組成物が、更に(8)デンドリック高分子を(1),(2),(3)成分の合計100質量部に対して1〜50質量部含有する請求項1記載の光硬化性樹脂組成物。
- 溶剤の含有量が組成物中3質量%以下で、25℃における粘度が300mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の光硬化性樹脂組成物。
- (1)成分を(2)成分及び/又は(3)成分に予め分散した混合物に、(4),(5)、(6)成分及び(7)成分、並びに所望により(8)成分を混合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物の硬化皮膜が形成されてなり、全光線透過率が85%以上、Hazeが2%以下、ASTM D1044によるテーバー摩耗試験における荷重500g、100回転時におけるHazeと摩耗試験前のHazeとの差が8%以下、表面抵抗値が1×1015Ω以下であることを特徴とする物品。
- 硬化皮膜が形成される物品が、ポリカーボネートを50質量%以上含有する樹脂組成物により成型されたものである請求項5記載の物品。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の光硬化性樹脂組成物をマイクログラビア法で被処理物品上に塗工し、紫外線照射で硬化させることにより上記被処理物品上に硬化皮膜を形成させてなることを特徴とする物品の製造方法。
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