JP5760480B2 - トロイダル型無段変速機のディスクおよびその製造方法 - Google Patents

トロイダル型無段変速機のディスクおよびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機のディスクおよびその製造方法に関する。
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図7および図8に示すように構成されている。図7に示すように、ケーシング50の内側には入力軸(中心軸)1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図中左側に位置する入力側ディスク2とカム板7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって、入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1と共に回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面)2a,2aと出力側ディスク3,3の内側面(凹面)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図8参照)が回転自在に挟持されている。
図7中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図7の右面)がローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力を付与する。
図8は、図7のA−A線に沿う断面図である。図8に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図8においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、パワーローラ11を支持する支持板部16の長手方向(図8の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸(軸部)23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、ラジアルニードル軸受99を介して各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図8の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図7の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は球状凹面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図8で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図8の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、更にこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図8の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の変速比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
ところで、前述した入力側ディスク2および出力側ディスク3は、応力を受ける部位であるため、表面を硬化させる熱処理が必要となる。ディスク2,3の硬化熱処理として浸炭処理を行なう場合には、通常の軸受とは異なり、硬化層深さを深くする必要があるため、長時間の処理が必要となる。一方、高周波焼入れの場合には、短時間で処理を行なうことができるため、熱処理コストを低減することができる(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平9−79339号公報 特開2005−226753号公報 特開2002−257206号公報 特開平8−283861号公報
ディスク2,3の硬化層深さ範囲については、ディスク全面に所定以上の硬化層深さを持たせることが理想的ではあるが、高周波焼入れを行なう場合、ディスク2,3の全周の加熱終了と冷却開始とをほぼ同時に行なって所定の硬化層を得ることは、ディスク2,3を高周波焼入れ装置へ取り付ける必要があること(そのため、ディスク2,3には装置側への取り付け支持部が必要となる)およびコイル形状を考慮すると、技術的に困難である。
また、このように高周波焼入れではディスク2,3の全面の同時硬化が困難であるため、高周波焼入れを2回に分けて行なうか、あるいは、硬化させない部位を高周波焼入れ装置への取り付け支持部に設定して1回で高周波焼入れを終了させるなど、幾つかの方法がなされる。これらの方法では、必然的に硬化層同士の間に境界部が生じるが、この境界部は、焼入れがなされないため、硬度が低く、また、残留引張応力が発生するという問題を伴う。
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、高周波焼入れが施されるべき部位が確実に焼入れ処理されて成る残留引張応力を伴わない適正な硬度分布を有するトロイダル型無段変速機のディスクおよびその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクであって、変速機の運転時にディスク表面に発生する応力が相対的に低くなる低応力部位と相対的に高くなる高応力部位とを有し、少なくとも2回の高周波焼入れによってディスクに生じる硬化層同士の間の境界部が前記低応力部位に設定されるように硬化層が形成されて成ることを特徴とする。
上記構成によれば、高周波焼入れによってディスクに生じる硬化層同士の間の境界部がディスクの低応力部位に設定されるように硬化層が形成されるので、ディスクの高応力部位が焼入れ不足(硬化処理不足)或いは焼入れされない(硬化処理されない)といった事態を回避できる。すなわち、高周波焼入れが施されるべきディスクの高応力部位が確実に焼入れ処理され、残留引張応力を伴わない適正な硬度分布を実現できる。
なお、上記構成では、ディスクの径方向最も外側の外周面、または、ディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位、のうちの少なくとも一方に前記境界部が存在することが好ましい。この場合、ディスクの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とに対して最初に高周波焼入れが施された後、ディスクの前記背面に対して高周波焼入れが施され、前記背面が焼入れされている最中に焼入れ済みの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とが冷却されることにより前記硬化層が形成されることが好ましい。あるいは、ディスクの前記背面に対して最初に高周波焼入れが施された後、ディスクの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とに対して高周波焼入れが施され、前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とが焼入れされている最中に焼入れ済みの前記背面が冷却されることにより前記硬化層が形成されてもよい。なお、本発明において、硬化層とは、Hv550以上の部位を意味する。
また、本発明は、互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクを製造する方法であって、ディスクの表面に高周波焼入れによって所定の深さの硬化層を形成する製造方法において、ディスクの径方向最も外側の外周面、または、ディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位、のうちの少なくとも一方に硬化層同士の間の境界部が存在するように硬化層を形成することを特徴とする。
この製造方法によれば、高周波焼入れが施されるべき部位が確実に焼入れ処理されて成る残留引張応力を伴わない適正な硬度分布を有するトロイダル型無段変速機のディスクを提供できる。
なお、上記方法では、ディスクの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とに対して最初に高周波焼入れを施した後、ディスクの前記背面に対して高周波焼入れを施し、前記背面が焼入れされている最中に焼入れ済みの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とを冷却することが好ましい。
本発明によれば、高周波焼入れによってディスクに生じる硬化層同士の間の境界部がディスクの低応力部位に設定されるように硬化層が形成されるため、高周波焼入れが施されるべき部位が確実に焼入れ処理されて成る残留引張応力を伴わない適正な硬度分布を有するトロイダル型無段変速機のディスクおよびその製造方法を提供できる。
出力側ディスクの変速機運転時の低応力部位および高応力部位を示す概略側面図である。 本発明の実施形態に係る出力側ディスクの硬化層の形成形態を示す概略側面図である。 図2の出力側ディスクの第1の製造方法の第1の処理工程を示す概略図である。 図2の出力側ディスクの第1の製造方法の第2の処理工程を示す概略図である。 図2の出力側ディスクの第2の製造方法の第1の処理工程を示す概略図である。 図2の出力側ディスクの第2の製造方法の第2の処理工程を示す概略図である。 従来から知られているハーフトロイダル型無段変速機の具体的構造の一例を示す断面図である。 図7のA−A線に沿う断面図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
なお、本発明の特徴は、ディスクの高周波焼入れ形態にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図7および図8と同一の符号を付して簡潔に説明するに留める。
図1は、トロイダル型無段変速機のディスクの一例である出力側ディスク3を示している(なお、以下では、一例として出力側ディスク3について説明するが、以下の説明が入力側ディスク2にも同様に適用できることは言うまでもない)。図示のように、出力側ディスク3は、変速機の運転時にディスク表面に発生する応力が相対的に低くなる低応力部位100(100a,100b)と相対的に高くなる高応力部位102(102a,102b)とを有する。本実施形態において、低応力部位100は、ディスク3の径方向最も外側の外周面100a、および、ディスク3の径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する凹面である内側面(力伝達面)3aと反対側の背面3bの近傍に位置する背面側部位100bである。一方、高応力部位102は、回転力の伝達に関与する凹面である内側面(力伝達面)3a(102a)、ディスク3の径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する凹面である内側面(力伝達面)3aの近傍に位置する部位102b、および、背面3b(102c)である。なお、このような低応力部位100および高応力部位102は、ディスクが使用される場所(入力側、出力側、キャビティの前後など)や形式(別体式または一体式)によって異なるため、それぞれの運転時の応力を計算して設定されることが好ましい。
ここで、本実施形態の出力側ディスク3は、図2に示すように、高周波焼入れによって高応力部位102a,102b,102cに所定の深さの硬化層(Hv550以上)130A,130B,130Cが形成され、低応力部位100a,100bに硬化層が形成されない。すなわち、本実施形態の出力側ディスク3においては、図3および図4に示す製造方法により、硬化層130A,130B,130C同士の間の境界部120A,120Bが低応力部位100a,100bに設定されるように硬化層130A,130B,130Cが形成される。なお、境界部120A,120Bによって互いに隔てられる硬化層同士の間隔は1mm以上であることが好ましい。
図3および図4は、出力側ディスク3に硬化層を形成する処理工程を段階的に示している。図2に示される硬化層形態を得るためには、まず、図3に示されるように、出力側ディスク3の内側面3aと背面側部位100bを除く内周面102bとに対して最初に高周波焼入れを施す(1回目の焼入れ)。この場合、加熱コイル160をディスク3の内側面3aと内周面102bとに対向させた状態で高周波焼入れを行なう。その後、ディスク3の背面3bに対して高周波焼入れを施す(2回目の焼入れ)。この場合も、加熱コイル160をディスク3の背面3bに対向させた状態で高周波焼入れを行なう。また、このとき、すなわち、背面3bに高周波焼入れを施している最中に、同時に、焼入れ済みのディスク3の内側面3aと内周面102bとを冷却する。この冷却は、例えば、冷却ノズル170をディスク3の内側面3aと内周面102bとに対向させた状態で冷却液171を噴射することにより行なう。このように2回目の焼入れと同時に1回目の焼入れの冷却を行なう目的は、1回目の焼入れ部位が加熱されて焼戻るのを防止するためである。また、1回目の焼入れ範囲と2回目の焼入れ範囲とが重なり合うと、重なり合う部位で割れが発生する可能性があるため、少なくとも重なり合う部位の近傍に冷却を行なうことが好ましい。また、このような2回目の焼入れ時における1回目の焼入れ範囲の冷却は、1回目の焼入れ時に使用する加熱コイル160を兼ねた冷却装置をそのまま使用してもよいが、冷却装置を別途用意しても構わない。このようにして、図2に示されるような硬化層形成形態が得られる。
図5および図6は、出力側ディスク3に硬化層を形成する他の処理工程(図3および図4の処理工程と逆の順序で行なわれる)を段階的に示している。図2に示される硬化層形態を得るためには、まず、図5に示されるように、出力側ディスク3の背面3bに対して最初に高周波焼入れを施す(1回目の焼入れ)。この場合、加熱コイル160をディスク3の背面3bに対向させた状態で高周波焼入れを行なう。その後、出力側ディスク3の内側面3aと背面側部位100bを除く内周面102bとに対して高周波焼入れを施す(2回目の焼入れ)。この場合も、加熱コイル160をディスク3の内側面3aと内周面102bとに対向させた状態で高周波焼入れを行なう。また、このとき、すなわち、ディスク3の内側面3aと背面側部位100bを除く内周面102bとに対して高周波焼入れを施している最中に、同時に、焼入れ済みのディスク3の背面3bを冷却する。この冷却は、例えば、冷却ノズル170をディスク3の背面3bに対向させた状態で冷却液171を噴射することにより行なう。このように2回目の焼入れと同時に1回目の焼入れの冷却を行なう目的は、前述したように1回目の焼入れ部位が加熱されて焼戻るのを防止するためである。また、このような2回目の焼入れ時における1回目の焼入れ範囲の冷却は、1回目の焼入れ時に使用する加熱コイル160を兼ねた冷却装置をそのまま使用してもよいが、冷却装置を別途用意しても構わない。このようにして、図2に示されるような硬化層形成形態が得られる。
なお、一体型ディスクの場合にも基本的には同様の硬化層形勢形態がとられる。
以上説明したように、本実施形態によれば、高周波焼入れによってディスク3に生じる硬化層130A,130B,130C同士の間の境界部120A,120Bがディスク3の低応力部位100a,100bに設定されるように硬化層130A,130B,130Cが形成されるため、ディスク3の高応力部位102a,102b,102cが焼入れ不足(硬化処理不足)或いは焼入れされない(硬化処理されない)といった事態を回避できる。すなわち、高周波焼入れが施されるべきディスク3の高応力部位102a,102b,102cが確実に焼入れ処理され、残留引張応力を伴わない適正な硬度分布を実現できる。
本発明は、シングルキャビティ型やダブルキャビティ型などの様々なハーフトロイダル型無段変速機のディスクのほか、トラニオンが無いフルトロイダル型無段変速機のディスクにも適用することができる。
2 入力側ディスク
3 出力側ディスク
3a 内側面(力伝達面)
3b 背面
11 パワーローラ
100a,100b 低応力部位
102a,102b,102c 高応力部位
120A,120B 境界部
130A,130B,130C 硬化層

Claims (5)

  1. 互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクであって、変速機の運転時にディスク表面に発生する応力が相対的に低くなる低応力部位と相対的に高くなる高応力部位とを有し、少なくとも2回の高周波焼入れによってディスクに生じる硬化層同士の間の境界部が前記低応力部位に設定されるように硬化層が形成されて成り、
    ディスクの径方向最も外側の外周面、およびディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位に前記境界部が存在することを特徴とすることを特徴とするトロイダル型無段変速機のディスク。
  2. 互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクであって、変速機の運転時にディスク表面に発生する応力が相対的に低くなる低応力部位と相対的に高くなる高応力部位とを有し、少なくとも2回の高周波焼入れによってディスクに生じる硬化層同士の間の境界部が前記低応力部位に設定されるように硬化層が形成されて成り、
    ディスクの径方向最も外側の外周面、または、前記ディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位、のうちの少なくとも一方に前記境界部が存在し、
    ディスクの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とに対して最初に高周波焼入れが施された後、ディスクの前記背面に対して高周波焼入れが施され、前記背面が焼入れされている最中に焼入れ済みの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とが冷却されることにより前記硬化層が形成されることを特徴とするトロイダル型無段変速機のディスク。
  3. 互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクであって、変速機の運転時にディスク表面に発生する応力が相対的に低くなる低応力部位と相対的に高くなる高応力部位とを有し、少なくとも2回の高周波焼入れによってディスクに生じる硬化層同士の間の境界部が前記低応力部位に設定されるように硬化層が形成されて成り、
    ディスクの径方向最も外側の外周面、または、ディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位、のうちの少なくとも一方に前記境界部が存在し、
    ディスクの前記背面に対して最初に高周波焼入れが施された後、ディスクの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とに対して高周波焼入れが施され、前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とが焼入れされている最中に焼入れ済みの前記背面が冷却されることにより前記硬化層が形成されることを特徴とするトロイダル型無段変速機のディスク。
  4. 互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクを製造する方法であって、ディスクの表面に高周波焼入れによって所定の深さの硬化層を形成する製造方法において、
    ディスクの径方向最も外側の外周面、およびディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位に硬化層同士の間の境界部が存在するように硬化層を形成することを特徴とする製造方法。
  5. 互いの間に介在するパワーローラを介して回転力を所定の変速比で伝達し合うトロイダル型無段変速機のディスクを製造する方法であって、ディスクの表面に高周波焼入れによって所定の深さの硬化層を形成する製造方法において、
    ディスクの径方向最も外側の外周面、または、ディスクの径方向最も内側の内周面のうち回転力の伝達に関与する力伝達面と反対側の背面の近傍に位置する背面側部位、のうちの少なくとも一方に硬化層同士の間の境界部が存在するように硬化層を形成し、
    ディスクの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とに対して最初に高周波焼入れを施した後、ディスクの前記背面に対して高周波焼入れを施し、前記背面が焼入れされている最中に焼入れ済みの前記力伝達面と前記背面側部位を除く前記内周面とを冷却することを特徴とする製造方法。
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