JP2002181151A - トロイダル型無段変速機 - Google Patents

トロイダル型無段変速機

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JP2002181151A
JP2002181151A JP2000375836A JP2000375836A JP2002181151A JP 2002181151 A JP2002181151 A JP 2002181151A JP 2000375836 A JP2000375836 A JP 2000375836A JP 2000375836 A JP2000375836 A JP 2000375836A JP 2002181151 A JP2002181151 A JP 2002181151A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スラスト転がり軸受の外輪が一体的に形成さ
れている変位軸を有するトロイダル型無段変速機におい
て、変位軸の耐久性を向上させることができるトロイダ
ル型無段変速機を提供する。 【解決手段】 変位軸81の表面には、熱処理による硬
化層が形成されている。そして、支持軸部83と外輪8
4とにより形成される隅部F、外輪84と枢支軸部82
とにより形成される隅部Gおよび枢支軸部82の大径部
85と小径部86とにより形成される隅部の加工がそれ
ぞれ、前記硬化層を形成した後に行われ、硬化層のうち
の熱処理異常層がこれらの加工により除去されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の変速機等
に使用されるトロイダル型無段変速機に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用変速機として、従来、例えば、
図2および図3に示すようなトロイダル型無段変速機が
知られている。このトロイダル型無段変速機は、入力軸
1と中心軸を同じくして入力側ディスク2が設けられる
とともに、入力軸1と中心軸を同じくして配置された出
力軸3の端部に出力側ディスク4が固定されている。ト
ロイダル型無段変速機を収めたケーシングの内側には、
枢軸5,5を中心として揺動する複数個(この例では2
個)のトラニオン6,6が設けられている。すなわち、
各枢軸5,5はそれぞれ、入力側、出力側両ディスク
2,4の軸方向(図2および図3において左右方向)に
関してこれら両ディスク2,4の中間部に、これら両デ
ィスク2,4の軸方向に対し直交する方向でかつこれら
両ディスク2,4の中心軸に対し捻れの位置に配置され
て、各トラニオン6,6の両端部外側面に設けられてい
る。
【0003】また、各トラニオン6,6の中間部には、
変位軸7,7の基端部が支持されており、各枢軸5,5
を中心として各トラニオン6,6を揺動させることによ
り、各変位軸7,7の傾斜角度が変化するようになって
いる。各変位軸7,7には、それぞれパワーローラ8,
8が回転自在に支持されている。これら各パワーローラ
8,8は、入力側、出力側両ディスク2,4の間に挟持
されている。すなわち、これらの入力側、出力側両ディ
スク2,4の互いに対向する内側面2a、4aはそれぞ
れ、枢軸5を中心とする円弧を、入力軸1及び出力軸3
を中心に回転させた場合に得られる凹面に形成され、こ
れらの内側面2a,4aに、球状凸面に形成された各パ
ワーローラ8,8の周面8a,8aが当接されている。
【0004】入力軸1と入力側ディスク2との間には、
ローディングカム式の押圧装置9が設けられ、この押圧
装置9によって、入力側ディスク2が出力側ディスク4
に向けて押圧されている。この押圧装置9は、入力軸1
と共に回転するカム板10と、保持器11により保持さ
れた複数個(例えば4個)のローラ12とを備えてい
る。カム板10の片側面(図2および図3において左側
面)には、円周方向に亙る凹凸面であるカム面13が形
成され、入力側ディスク2の外側面(図2および図3に
おいて右側面)にも、同様のカム面14が形成されてお
り、これらの間に、複数個のローラ12が入力軸1の中
心に対して放射方向の軸を中心とする回転自在に支持さ
れている。
【0005】このように構成されたトロイダル型無段変
速機においては、入力軸1の回転に伴ってカム板10が
回転すると、カム面13が複数個のローラ12を入力側
ディスク2の外側面のカム面14に押圧する。その結
果、入力側ディスク2が、両パワーローラ8,8に押圧
されるとともに、一対のカム面13,14と複数個のロ
ーラ12との押し付け合いに基づいて入力側ディスク2
が回転する。そして、この入力側ディスク2の回転が、
両パワーローラ8,8を介して出力側ディスク4に伝達
され、この出力側ディスク4に固定された出力軸3が回
転する。
【0006】入力軸1と出力軸3との回転速度比(変速
比)を変える場合であって、入力軸1と出力軸3との間
で減速を行なう場合には、枢軸5,5を中心として各ト
ラニオン6,6を揺動させ、図2に示すように、各パワ
ーローラ8,8の周面8a,8aが、入力側ディスク2
の内側面2aの中心寄り部分と出力側ディスク4の内側
面4aの外周寄り部分とにそれぞれ当接するように、各
変位軸7,7を傾斜させる。一方、増速を行なう場合に
は、枢軸5,5を中心として各トラニオン6、6を揺動
させ、図3に示すように、各パワーローラ8,8の周面
8a,8aが、入力側ディスク2の内側面2aの外周寄
り部分と出力側ディスク4の内側面4aの中心寄り部分
とにそれぞれ当接するように、各変位軸7,7を傾斜さ
せる。各変位軸7,7の傾斜角度を図2と図3との中間
にすれば、入力軸1と出力軸3との間で、中間の変速比
を得られる。
【0007】図4および図5は、より具体化されたトロ
イダル型無段変速機を示している。このトロイダル型無
段変速機では、入力側ディスク2と出力側ディスク4と
がそれぞれ、入力軸15の外周部にニードル軸受16,
16を介して回転自在に支持されている。また、カム板
10が入力軸15の端部(図4において左端部)の外周
面にスプライン係合され、鍔部17により入力側ディス
ク2から離間する方向への移動を阻止されている。そし
て、このカム板10とローラ12,12とにより、入力
軸15の回転に基づいて、入力側ディスク2を出力側デ
ィスク4に向けて押圧しつつ回転させる、ローディング
カム式の押圧装置9が構成している。出力側ディスク4
には、出力歯車18がキー19,19により結合され、
これら出力側ディスク4と出力歯車18とが一体的に回
転するようになっている。出力歯車18およびこの出力
歯車18と噛合された図示しない歯車等が、出力側ディ
スク4の回転を取り出す為の動力取り出し手段を構成し
ている。
【0008】一対のトラニオン6,6の両端部に設けた
枢軸5,5は、一対の支持ポスト20,20に、揺動自
在および軸方向(図4において表裏方向、図5において
左右方向)に変位自在に支持されている。一対の支持ポ
スト20,20は、十分な剛性を有する板状に形成され
ており、各支持ポスト20,20の中央部に形成された
円孔21,21がそれぞれ、ケーシング22の内面およ
びケーシング22内に設けたシリンダケース23の側面
に固設した支持ピン24a,24bに外嵌されることに
より、ケーシング22の内側に、揺動自在および各枢軸
5,5の軸方向に変位自在に支持されている。また、各
支持ポスト20,20の両端部にはそれぞれ、円形の支
持孔25,25が形成されており、これらの各支持孔2
5,25にそれぞれ、トラニオン6,6の両端部に設け
た各枢軸5,5が、外輪26,26を備えたラジアルニ
ードル軸受27,27により支持されている。これらの
構成により、各トラニオン6,6が、各枢軸5,5を中
心として揺動自在およびこれら各枢軸5,5の軸方向に
変位自在に、ケーシング22内に支持されている。
【0009】各トラニオン6,6の中間部に形成された
円孔40,40にはそれぞれ、変位軸7,7が支持され
ている。各変位軸7は、互いに平行でかつ偏心した支持
軸部28と枢支軸部29とを備えている。各支持軸部2
8は、各円孔40の内側に、ラジアルニードル軸受30
を介して揺動自在に支持されている。また、各枢支軸部
29の外周部には、パワーローラ8がラジアルニードル
軸受31を介して回転自在に支持されている。
【0010】なお、上記一対の変位軸7,7は、入力軸
15を中心として、点対象の位置(180度反対側の位
置)になるように配置されている。また、これら各変位
軸7,7の各枢支軸部29,29が各支持軸部28,2
8に対し偏心している方向は、入力側、出力側両ディス
ク2,4の回転方向に関し同方向(図5において左右逆
方向)とされている。また、各枢支軸部29,29の軸
方向は、入力軸15の軸方向(図4において左右方向、
図5において表裏方向)に対しほぼ直交する方向とされ
ている。したがって、各パワーローラ8,8は、入力軸
15の軸方向に亙る若干の変位が許容されて支持されて
いる。その結果、構成各部品の寸法精度のばらつき、あ
るいは動力伝達時の弾性変形等に起因して、各パワーロ
ーラ8,8が入力軸15の軸方向に多少変位しても、こ
の変位を吸収でき、構成各部品に無理な力が加わること
がない。
【0011】また、各パワーローラ8,8の外側面と各
トラニオン6,6の中間部内側面との間にはそれぞれ、
パワーローラ8,8の外側面の側から順に、スラスト玉
軸受等のスラスト転がり軸受32,32と、後述する外
輪33,33に加わるスラスト荷重を支承するスラスト
ニードル軸受等のスラスト軸受34,34とが設けられ
ている。このうちのスラスト転がり軸受32,32は、
各パワーローラ8,8に加わるスラスト方向の荷重を支
承しつつ、各パワーローラ8,8の回転を許容してい
る。また、各スラスト軸受34,34は、各パワーロー
ラ8,8から各スラスト転がり軸受32,32の外輪3
3,33に加わるスラスト荷重を支承しつつ、枢支軸部
29,29および外輪33,33が支持軸部28,28
を中心に揺動することを許容している。
【0012】また、各トラニオン6,6の一端部(図5
において左端部)にはそれぞれ、駆動ロッド35,35
が結合され、各駆動ロッド35,35の中間部外周面に
は、駆動ピストン36が固設されている。各駆動ピスト
ン36,36はそれぞれ、シリンダケース23内に設け
た駆動シリンダ37,37内に油密に嵌装されている。
さらに、ケーシング22内に設けた支持壁38と入力軸
15との間には、一対の転がり軸受39,39が設けら
れて、入力軸15がケーシング22内に回転自在に支持
されている。
【0013】このように構成されたトロイダル型無段変
速機においては、入力軸15の回転が押圧装置9を介し
て入力側ディスク2に伝えられる。そして、この入力側
ディスク2の回転が、一対のパワーローラ8,8を介し
て出力側ディスク4に伝達され、さらにこの出力側ディ
スク4の回転が、出力歯車18より取り出される。入力
軸15と出力歯車18との間の回転速度比を変える場合
には、一対の駆動ピストン36,36を互いに逆方向に
変位させる。そうすると、これら各駆動ピストン36,
36の変位に伴って一対のトラニオン6,6がそれぞ
れ、逆方向に変位する。例えば、図5において下側のパ
ワーローラ8が同図の右側に、同図の上側のパワーロー
ラ8が同図の左側に、それぞれ変位する。その結果、こ
れら各パワーローラ8,8の周面8a,8aと入力側デ
ィスク2および出力側ディスク4の内側面2a,4aと
の当接部に作用する、接線方向の力の向きが変化する。
そして、この力の向きの変化に伴って各トラニオン6,
6が、支持ポスト20,20に枢支された枢軸5,5を
中心として、図4において互いに逆方向に揺動する。そ
の結果、上述の図2および図3に示したように、各パワ
ーローラ8,8の周面8a,8aと各内側面2a,4a
との当接位置が変化し、入力軸15と出力歯車18との
間の回転速度比が変化する。
【0014】なお、動力伝達時に構成各部品が弾性変形
する結果、各パワーローラ8,8が入力軸15の軸方向
に変位すると、これら各パワーローラ8,8を枢支して
いる各変位軸7,7が、各支持軸部28,28を中心と
して僅かに揺動する。この揺動の結果、各スラスト転が
り軸受32,32の外輪33,33の外側面と各トラニ
オン6,6の内側面とが相対変位する。これら外側面と
内側面との間には、各スラスト軸受34,34が存在す
るため、この相対変位に要する力は小さい。したがっ
て、上述のように各変位軸7,7の傾斜角度を変化させ
るための力が小さくて済む。
【0015】また、特開平11−51140号公報に
は、バックプレートで支持軸部を拘束することによって
支持軸部の傾きを抑制することにより、トロイダル型無
段変速機の変速運転状態によらず、安定して所定の変速
比を維持することができるように、図6に示すように、
枢支軸部51および支持軸部52に加え、スラスト転が
り軸受の外輪53が一体的に形成された変位軸54が提
案されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図7に示す
ように、パワーローラ8は、周面(トラクション面)8
aの円周方向反対側2個所位置のA点およびB点におい
て、入力側ディスクおよび出力側ディスクの内周面に強
く押し付けられ、これにより内輪が楕円状に変形するだ
けでなく、トラニオンのバックアップ不足のために、パ
ワーローラ8および外輪33が共にトラニオン側が凹面
になるように反る(図7(b)参照)。
【0017】このような場合、図4および図5に示すよ
うに、外輪33と枢支軸部29とが別体に構成されてい
る変位軸7の場合には、図8に示すように、枢支軸部2
9に外輪33の変形による曲げ応力は作用しない。しか
しながら、図6に示すように、枢支軸部51と外輪53
とが一体的に形成されている変位軸54の場合には、図
9に示すように、外輪53の変形による曲げ応力が枢支
軸部51に作用し、外輪53と枢支軸部51とにより形
成される隅部Cおよび枢支軸部51の大径部51Aと小
径部51Bとにより形成される隅部Dに応力集中が発生
するという問題がある。
【0018】また、トラニオンが変形することにより、
支持軸部を支持する軸受も同様に変形するが、図4およ
び図5に示すように、外輪33と支持軸部28とが別体
に構成されている変位軸7の場合には、図10に示すよ
うに、枢支軸部29が傾くことにより、この変形に対処
できる。しかしながら、図6に示すように、支持軸部5
2と外輪53とが一体的に形成されている変位軸54の
場合には、図11に示すように、この変形を吸収できず
に、支持軸部52と外輪53とにより形成される隅部
(支持軸部52の根本の隅部)Eに応力集中が発生する
という問題がある。
【0019】本発明は、上記事情に鑑みて為されたもの
で、スラスト転がり軸受の外輪が一体的に形成されてい
る変位軸を有するトロイダル型無段変速機において、変
位軸の耐久性を向上させることができるトロイダル型無
段変速機を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載のトロイダル型無段変速機は、回転
自在に支持された入力軸と、この入力軸と共に回転自在
な入力側ディスクと、この入力側ディスクと中心軸を同
じくして配置され、かつこの入力側ディスクに対して回
転自在に支持された出力側ディスクと、これら入力側、
出力側両ディスクの軸方向に関してこれら両ディスクの
中間部に、これら両ディスクの軸方向に対し直交する方
向でかつこれら両ディスクの中心軸に対し捻れの位置に
配置されて当該位置で揺動する複数のトラニオンと、こ
れら各トラニオンに支持された変位軸に回転自在に支持
され、入力側、出力側両ディスクの間に挟持された複数
個のパワーローラと、これら各パワーローラの外側面と
前記各トラニオンの内側面との間に設けたスラスト転が
り軸受とを備え、入力側、出力側両ディスクの互いに対
向する内側面を、それぞれ断面が円弧形の凹面とし、前
記各パワーローラの周面を球面状の凸面として、この周
面と前記内側面とを当接させているトロイダル型無段変
速機であって、前記変位軸は、前記トラニオンに揺動自
在に支持された支持軸部と、この支持軸部と互いに平行
でかつ偏心しているとともに、前記パワーローラを回転
自在に支持する枢支軸部と、これら支持軸部と枢支軸部
との間に配置された前記スラスト転がり軸受の外輪とが
一体に形成されているトロイダル型無段変速機におい
て、次の(1)〜(6)のうちの少なくとも一つの条件
を満たすことを特徴とする。
【0021】(1)前記変位軸の表面に熱処理による硬
化層が形成されており、前記支持軸部と前記スラスト転
がり軸受の外輪とにより形成される隅部の加工が、前記
硬化層を形成した後に行われ、前記硬化層のうちの熱処
理異常層がこの加工により除去されている。 (2)前記変位軸の表面に熱処理による硬化層が形成さ
れており、前記スラスト転がり軸受の外輪と前記枢支軸
部とにより形成される隅部の加工が、前記硬化層を形成
した後に行われ、前記硬化層のうちの熱処理異常層がこ
の加工により除去されている。 (3)前記変位軸の前記枢支軸部は、前記スラスト転が
り軸受の外輪側の大径部と外周部に前記軸受が装着され
る小径部とを備えているとともに、前記変位軸の表面に
熱処理による硬化層が形成されており、前記大径部と前
記小径部とにより形成される隅部の加工が、前記硬化層
を形成した後に行われ、前記硬化層のうちの熱処理異常
層がこの加工により除去されている。 (4)前記支持軸部と前記スラスト転がり軸受の外輪と
により形成される隅部に、ショットピーニングが施さ
れ、前記隅部に前記ショットピーニングによる圧縮残留
応力が存在する。 (5)前記スラスト転がり軸受の外輪と前記枢支軸部と
により形成される隅部に、ショットピーニングが施さ
れ、前記隅部に前記ショットピーニングによる圧縮残留
応力が存在する。 (6)前記変位軸の前記枢支軸部は、前記スラスト転が
り軸受の外輪側の大径部と外周部に前記軸受が装着され
る小径部とを備えており、前記大径部と前記小径部とに
より形成される隅部に、ショットピーニングが施され、
前記隅部に前記ショットピーニングによる圧縮残留応力
が存在する。
【0022】請求項1に記載の発明においては、応力が
集中する支持軸部と外輪とにより形成される隅部、外輪
と枢支軸部とにより形成される隅部、枢支軸部の大径部
と小径部とにより形成される隅部に亀裂等が発生するの
を抑制され、これにより変位軸の耐久性が向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係るトロ
イダル型無段変速機の変位軸の部分を示す断面図であ
る。本実施の形態では、図1に示す以外の部分の構造
は、図4および図5に示す従来の構造と同じである。本
実施の形態に係る変位軸81は、トラニオン6にラジア
ルニードル軸受30を介して揺動自在に支持された円柱
状の支持軸部83と、この支持軸部83と互いに平行で
かつ偏心しているとともに、パワーローラ8をラジアル
ニードル軸受(軸受)31を介して回転自在に支持する
柱状の枢支軸部82と、これら支持軸部83と枢支軸部
82との間に配置された円板状のスラスト転がり軸受
(スラスト玉軸受)32の外輪84とが一体的に形成さ
れて成る。枢支軸部82は、外輪84側の円柱状の大径
部85と、外周部にラジアルニードル軸受(軸受)31
が装着される円柱状の小径部86とからなる。外輪84
の内側面(図1において下面)には、外輪軌道87が形
成されており、この外輪軌道87と、パワーローラ8の
外側面(図1において上面)に形成された内輪軌道42
との間に、円環状の保持器44に保持された複数個の玉
41が転動自在に設けられている。
【0024】変位軸81の表面には、熱処理による硬化
層が形成されている。そして、支持軸部83と外輪84
とにより形成される隅部F、外輪84と枢支軸部82と
により形成される隅部Gおよび枢支軸部82の大径部8
5と小径部86とにより形成される隅部の加工がそれぞ
れ、前記硬化層を形成した後に行われ、硬化層のうちの
熱処理異常層がこれらの加工により除去されている。
【0025】このように熱処理による硬化層を形成した
後に、各隅部F,G,Hを加工することにより、トロイ
ダル型無段変速機の運転時に変位軸81に大きな曲げ応
力が加わった場合でも、各隅部F,G,Hに亀裂等の損
傷が発生するのを抑制することができる。
【0026】すなわち、パワーローラ8の周面(トラク
ション面)8aの円周方向反対側2個所位置に押し付け
力が作用することにより、あるいはトラニオン6が変形
することによって外輪84が変形し、この外輪84の変
形による曲げ応力が作用して、各隅部F,G,Hに応力
(引っ張り応力)が集中する。一方、変位軸81の表面
を硬化させるために、高周波焼き入れ、浸炭焼き入れ等
の熱処理を施すと、各隅部F,G,Hに内部歪みを残し
たままの熱処理異常層が存在したままになる。このよう
な熱処理異常層が存在すると、上記曲げ応力に伴う応力
集中により、各隅部F,G,Hに亀裂等が発生し、変位
軸81が破断等の損傷を受ける虞がある。これに対し
て、上述のように変位軸81に熱処理を施した後、各隅
部F,G,Hを加工して各隅部F,G,Hに存在する硬
化層を除去し、この硬化層部分に存在する熱処理異常層
を除去しておけば、上述のような原因で変位軸81が破
断等の損傷を受けるのを防止することができる。
【0027】また、熱処理による硬化層を形成した後
に、変位軸81の各隅部F,G,Hを加工することに代
えて、あるいはこれに加えて、上記硬化層を形成した後
にショットピーニングを施し、各隅部F,G,Hに、こ
のショットピーニングに基づく圧縮残留応力を存在させ
るようにしてもよい。
【0028】このように変位軸81の各隅部F,G,H
に圧縮残留応力を存在させると、トロイダル型無段変速
機の運転時に、変位軸81に曲げ応力が加わっても、各
隅部F,G,Hに亀裂等の損傷が発生するのを防止する
ことができる。すなわち、変位軸81の各隅部F,G,
Hから破損する場合には、これらの各隅部F,G,Hに
大きな引っ張り応力が加わる事になる。これに対して、
上述のように各隅部F,G,Hに圧縮残留応力を存在さ
せると、この圧縮残留応力が上記引っ張り応力を相殺し
て、亀裂等の損傷の発生を抑制する。
【0029】また、変位軸81に熱処理による硬化層を
形成せずに、各隅部F,G,Hにショットピーニングを
施すようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
スラスト転がり軸受の外輪が一体的に形成されている変
位軸を有するトロイダル型無段変速機において、応力が
集中する支持軸部と外輪とにより形成される隅部、外輪
と枢支軸部とにより形成される隅部、枢支軸部の大径部
と小径部とにより形成される隅部に亀裂等が発生するの
を抑制することができるので、変位軸の耐久性の向上を
図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るトロイダル型無段変
速機の変位軸の部分を示す断面図である。
【図2】トロイダル型無段変速機の基本構成を最大減速
時の状態で示す側面図である。
【図3】同じく最大減速時の状態で示す側面図である。
【図4】従来から知られているトロイダル型無段変速機
の具体的構造の一例を示す要部断面図である。
【図5】図4のX−X線断面図である。
【図6】従来例を示す図であって、スラスト転がり軸受
の外輪が一体的に形成された変位軸の部分を示す断面図
である。
【図7】パワーローラが押圧されたときのスラスト転が
り軸受の内外輪の変形状態を説明するための図であっ
て、(a)は変形前、(b)は変形後の状態を示す図で
ある。
【図8】枢支軸部と外輪とが別体の変位軸の場合に、パ
ワーローラが押圧されたときの変形状態を示す図であ
る。
【図9】枢支軸部と外輪とが一体の変位軸の場合に、パ
ワーローラが押圧されたときの変形状態を示す図であ
る。
【図10】支持軸部と外輪とが別体の変位軸の場合に、
トラニオンが変形したときの変形状態を示す図である。
【図11】支持軸部と外輪とが一体の変位軸の場合に、
トラニオンが変形したときの変形状態を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 入力軸 2 入力側ディスク 2a 内側面 3 出力軸 4 出力ディスク 4a 内側面 5 枢軸 6 トラニオン 8 パワーローラ 8a 周面 9 押圧装置 15 入力軸 30 ラジアルニードル軸受 31 ラジアルニードル軸受 32 スラスト転がり軸受 34 スラスト軸受 81 変位軸 82 枢支軸部 83 支持軸部 84 外輪 85 大径部 86 小径部 E,F,G 隅部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J051 BB02 BE09 EC00 FA02 3J101 AA02 AA32 AA42 AA53 AA62 BA54 BA56 DA11 DA20 FA31 GA11

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転自在に支持された入力軸と、この入
    力軸と共に回転自在な入力側ディスクと、この入力側デ
    ィスクと中心軸を同じくして配置され、かつこの入力側
    ディスクに対して回転自在に支持された出力側ディスク
    と、これら入力側、出力側両ディスクの軸方向に関して
    これら両ディスクの中間部に、これら両ディスクの軸方
    向に対し直交する方向でかつこれら両ディスクの中心軸
    に対し捻れの位置に配置されて当該位置で揺動する複数
    のトラニオンと、これら各トラニオンに支持された変位
    軸に回転自在に支持され、入力側、出力側両ディスクの
    間に挟持された複数個のパワーローラと、これら各パワ
    ーローラの外側面と前記各トラニオンの内側面との間に
    設けたスラスト転がり軸受とを備え、入力側、出力側両
    ディスクの互いに対向する内側面を、それぞれ断面が円
    弧形の凹面とし、前記各パワーローラの周面を球面状の
    凸面として、この周面と前記内側面とを当接させている
    トロイダル型無段変速機であって、 前記変位軸は、前記トラニオンに揺動自在に支持された
    支持軸部と、この支持軸部と互いに平行でかつ偏心して
    いるとともに、前記パワーローラを回転自在に支持する
    枢支軸部と、これら支持軸部と枢支軸部との間に配置さ
    れた前記スラスト転がり軸受の外輪とが一体に形成され
    ているトロイダル型無段変速機において、 次の(1)〜(6)のうちの少なくとも一つの条件を満
    たすことを特徴とするトロイダル型無段変速機。 (1)前記変位軸の表面に熱処理による硬化層が形成さ
    れており、前記支持軸部と前記スラスト転がり軸受の外
    輪とにより形成される隅部の加工が、前記硬化層を形成
    した後に行われ、前記硬化層のうちの熱処理異常層がこ
    の加工により除去されている。 (2)前記変位軸の表面に熱処理による硬化層が形成さ
    れており、前記スラスト転がり軸受の外輪と前記枢支軸
    部とにより形成される隅部の加工が、前記硬化層を形成
    した後に行われ、前記硬化層のうちの熱処理異常層がこ
    の加工により除去されている。 (3)前記変位軸の前記枢支軸部は、前記スラスト転が
    り軸受の外輪側の大径部と外周部に前記軸受が装着され
    る小径部とを備えているとともに、前記変位軸の表面に
    熱処理による硬化層が形成されており、前記大径部と前
    記小径部とにより形成される隅部の加工が、前記硬化層
    を形成した後に行われ、前記硬化層のうちの熱処理異常
    層がこの加工により除去されている。 (4)前記支持軸部と前記スラスト転がり軸受の外輪と
    により形成される隅部に、ショットピーニングが施さ
    れ、前記隅部に前記ショットピーニングによる圧縮残留
    応力が存在する。 (5)前記スラスト転がり軸受の外輪と前記枢支軸部と
    により形成される隅部に、ショットピーニングが施さ
    れ、前記隅部に前記ショットピーニングによる圧縮残留
    応力が存在する。 (6)前記変位軸の前記枢支軸部は、前記スラスト転が
    り軸受の外輪側の大径部と外周部に前記軸受が装着され
    る小径部とを備えており、前記大径部と前記小径部とに
    より形成される隅部に、ショットピーニングが施され、
    前記隅部に前記ショットピーニングによる圧縮残留応力
    が存在する。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004190795A (ja) * 2002-12-12 2004-07-08 Nissan Motor Co Ltd トロイダル型無段変速機
DE102005008570B4 (de) * 2004-02-24 2007-08-09 Nsk Ltd. Herstellungsverfahren für ein Variatorteil eines stufenlosen Toroidgetriebes

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004190795A (ja) * 2002-12-12 2004-07-08 Nissan Motor Co Ltd トロイダル型無段変速機
DE102005008570B4 (de) * 2004-02-24 2007-08-09 Nsk Ltd. Herstellungsverfahren für ein Variatorteil eines stufenlosen Toroidgetriebes

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