JP5748453B2 - 砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法、及びガラス材料 - Google Patents

砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法、及びガラス材料 Download PDF

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Description

本発明は、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法、及びガラス材料に関するものである。
従来、液晶テレビ、ノート型パソコン及び携帯電話等の液晶ディスプレイ(LCD)のディスプレイパネルには、無アルカリガラスなどのガラス材料が用いられている(以下、LCDのディスプレイパネルに用いられるガラス材料を「パネルガラス」という。)。これらの電子機器は普及の一途にあり、それに伴い、それらの電子機器の廃棄量も増加している。現在、パネルガラスは、廃棄物の処理施設において粉砕された後、埋め立て処理されたり、あるいは焼却処理されたりしている。しかしながら、環境保護の観点から、電子機器に用いられる各材料をリサイクルすることが要求されており、今後はパネルガラスもリサイクルして、資源として有効に活用することが求められている。
パネルガラスをリサイクルする方法として、例えば特許文献1には、無アルカリガラスを破砕する破砕工程と、バッチ原料と混合することにより破砕された無アルカリガラスにNa2Oを添加する調合工程と、破砕された無アルカリガラスとバッチ原料との混合物を加熱溶融する溶融工程とを含む、無アルカリガラスのリサイクル方法が開示されている。このリサイクル方法によると、不要となった液晶パネルなどから回収された無アルカリガラスを容易に溶融加工でき、多様な用途へと有効に利用することが可能となる、とされている。
特開2009−280425号公報
ところで、パネルガラスの中には微量ではあるもの、生態に極めて有害とされている砒素及び/又はその化合物(以下、「砒素等」という。)が含まれているものもある。したがって、パネルガラスをリサイクル処理する際には、砒素等がその周囲環境に拡散しないことが求められる。ところが、上記特許文献1に記載の従来のリサイクル方法によると、砒素等の環境中への拡散、より具体的には環境中への溶出を防止することが困難である。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、砒素及びその化合物の環境中への溶出を抑制する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法及びガラス材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ガラス粉砕物に特定の金属化合物を配合した状態で加熱することによって、そのガラス粉砕物からの砒素等の溶出を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
前記金属化合物が、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せを含有し、かつ、硫酸鉄(III)、炭酸コバルト、塩化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化スズ、炭酸ニッケル、炭酸銅、炭酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する、加熱方法。
[2]前記金属化合物が、炭酸銅と炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを含有する、[1]の加熱方法。
[3]砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
前記金属化合物が、炭酸カルシウムと炭酸ナトリウムとを含有する、加熱方法。
[4]前記金属化合物が、更に水酸化マグネシウムを含有する、[3]の加熱方法。
[5]砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
前記金属化合物が、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを含有し、かつ水酸化アルミニウム及び炭酸銅のいずれをも含有しない、加熱方法。
[6]砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
前記金属化合物が、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを含有し、かつ酸化カルシウムを含有しない、加熱方法。
]前記混合物が溶融する温度まで加熱する、[1]〜[6]のいずれか一つの加熱方法。
]前記混合物を溶融する前記温度が1000℃以下である、[]の加熱方法。
]前記混合物を溶融する前記温度が800〜950℃である、[]の加熱方法。
10]前記ガラスは、アルカリ金属の含有量が酸化物換算で7質量%以下である無アルカリ又は低アルカリガラスである、[1]〜[]のいずれか一つの溶融方法。
11]前記ガラスと前記金属化合物との合計量に対する前記金属化合物の含有量が、2〜20質量%である、[1]〜[10]のいずれか一つの溶融方法。
12]前記粉砕したガラスは、液晶ディスプレイのディスプレイパネルに用いられガラスである、[1]〜[11]のいずれか一つの溶融方法。
13][1]〜[12]のいずれか一つの砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法によって、前記ガラス粉砕物から砒素及び/又はその化合物が溶出することを防止する、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法。
14][1]〜[12]のいずれか一つの砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法を経て得られるガラス材料。
本発明によれば、砒素及びその化合物の環境中への溶出を抑制する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法及びガラス材料を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
本実施形態のガラス粉砕物の加熱方法は、砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物とを含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、上記金属化合物は、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)との組合せ、炭酸銅(CuCO3)と炭酸ナトリウムとの組合せ、炭酸銅と水酸化マグネシウムとの組合せ、炭酸カルシウム(CaCO3)と炭酸ナトリウムとの組合せ、及び、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの組合せ、からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有するものである。以下、これらの金属化合物を「砒素無害化剤」ともいう。この加熱方法は、上記混合物を上述のようにして加熱する工程を経てガラス材料を得るガラス材料の製造方法である。
粉砕したガラス、すなわちガラス粉砕物は、不要となった(廃棄された)LCDなどから回収されたパネルガラスの粉砕物であってもよく、LCDの製造工程前又は製造工程中に破砕などして不良となったパネルガラス(例えばマザーガラス)の粉砕物であってもよく、LCDの製造工程において切断された端材(パネルカットガラス端材)の粉砕物であってもよく、もちろんこれらを混合したものであってもよい。LCDなどから回収されたパネルガラスには、カラーフィルタとして用いられる有機物薄膜、TFT(Thin Film Transistor)として用いられる金属薄膜及び無機物薄膜が接着されている場合もある。そのような膜は、例えば、手作業による剥離、カッターナイフなどの刃物による剥離、サンドブラスト及び回転研磨などの研磨手段による剥離、酸性溶液及び有機溶媒などを用いたエッチングによる剥離等、従来、知られている手法を単独で又は適宜組み合わせることで、除去することができる。
ガラス粉砕物におけるガラスの種類としては、特に限定されず、例えば、ソーダ石灰ガラスであってもよい。ただし、本発明による効果をより有効に発揮する観点から、無アルカリガラス又は低アルカリガラス(以下、「無アルカリガラス等」という。)がより好ましい。無アルカリガラス等は、アルカリ金属酸化物を含まない又はその組成比が小さいものである。無アルカリガラス等の組成は、例えば、酸化物換算で、主成分であるSiO2が45質量%以上、B23が0〜20質量%、Al23が3〜20質量%、アルカリ土類金属酸化物(MgO+CaO+SrO+BaO)及びZnOの合計量が5〜30質量%、アルカリ金属酸化物(Na2O+K2O)が0〜10質量%である。アルカリ金属の含有量は、砒素無害化剤として、炭酸ナトリウム等のガラスの溶融温度を下げる化合物を用いた場合に、その溶融温度を下げる効果をより有効かつ確実に奏する観点から、酸化物換算で7質量%以下であると好ましい。無アルカリガラス等は、その他、SnO2、In23、ZrO2、及びFe23など、通常の無アルカリガラス等に含まれる金属酸化物を含んでもよい。
下記表1に、従来知られている無アルカリガラス等の組成の例を示すが、本実施形態にかかる無アルカリガラス等はこれらに限定されない。これらの無アルカリガラス等は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
Figure 0005748453
ガラスの粉砕には、従来知られている各種の粉砕方法を採用することができる。その粉砕に用いる装置としては、特に限定されず、例えば、ポットミル、ボールミル、及び二軸剪断式破砕機が挙げられ、これらのうち1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粉砕する際には、水などの粉砕助剤を用いてもよい。
ガラス粉砕物の粒径は特に限定されず、例えば平均粒径(体積平均径)で、5〜150μmであってもよい。ガラス粉砕物の粒径は、ボールミルを用いる場合の粉砕メディアの大きさ及び量、粉砕時間及び粉砕速度(ボールミルを用いる場合の回転数)などにより制御することができる。また、粉砕後のガラス粉砕物を分級して粒径を調整してもよい。なお、ガラス粉砕物の粒径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、商品名「LA−920」)により測定できる。
上述のとおり、混合物に含まれる金属化合物は、水酸化アルミニウム、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せ、炭酸銅と炭酸ナトリウムとの組合せ、炭酸銅と水酸化マグネシウムとの組合せ、炭酸カルシウムと炭酸ナトリウムとの組合せ、及び、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの組合せからなる群より選ばれる少なくとも一つの砒素無害化剤を含有する。このような砒素無害化剤を含む混合物を加熱することにより、ガラス粉砕物からの砒素等の溶出を抑制することができる。このうち、炭酸ナトリウムは、ガラスの溶融温度を低下させる機能をも有する。
砒素無害化剤として水酸化アルミニウムを用いる場合、炭酸ナトリウム及び/又は水酸化マグネシウムと併用してもよい。このうち、砒素の溶出を更に抑制する観点から、水酸化アルミニウムと共に、炭酸ナトリウムを併用すると好ましく、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを両方併用するとより好ましい。
砒素無害化剤として炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せを採用する場合、それらの配合比は特に限定されず、例えば、質量比で1:3〜3:1であってもよい。砒素無害化剤としてこの組合せを用いる場合、上記混合物が、更に金属化合物として、硫酸鉄(III)(Fe2SO4)、炭酸コバルト(CoCO3)、塩化亜鉛(ZnCl2)、水酸化アルミニウム、酸化スズ(SnO)、炭酸ニッケル(NiCO3)、炭酸銅(CuCO3)、炭酸バリウム(BaCO3)、酸化カルシウム(CaO)、炭酸カルシウム(CaCO3)及び炭酸ストロンチウム(SrCO3)からなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有してもよい。これらのうち、砒素の溶出を更に抑制する観点から、硫酸鉄(III)、塩化亜鉛、水酸化アルミニウム、炭酸ニッケル、炭酸銅、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましく、炭酸銅、酸化カルシウム及び炭酸カルシウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物がより好ましい。ただし、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せを、水酸化アルミニウム又は炭酸銅と併用すると加熱後のガラス材料が着色してしまう。そのため、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せを砒素無害化剤として用いる場合、着色を防ぐ観点から、上記混合物は、水酸化アルミニウム及び炭酸銅のいずれをも含有しないことが好ましい。また、1000℃以下の温度で加熱した際に混合物の溶融を促進する観点から、砒素無害化剤として炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せを採用する場合、混合物は酸化カルシウムを含有しないことが好ましい。
砒素無害化剤として炭酸銅と水酸化マグネシウムとの組合せを採用する場合、それらの配合比は特に限定されず、例えば、質量比で1:3〜3:1であってもよい。この場合、上述のように、混合物が炭酸ナトリウムを更に含有すると、砒素の溶出を更に抑制する観点から好ましい。
砒素無害化剤として炭酸銅と炭酸ナトリウムとの組合せを採用する場合、それらの配合比は特に限定されず、例えば、質量比で1:3〜3:1であってもよい。この場合、上述のように、混合物が水酸化マグネシウムを更に含有すると、砒素の溶出を更に抑制する観点から好ましい。
砒素無害化剤として炭酸カルシウムと炭酸ナトリウムとの組合せを採用する場合、それらの配合比は特に限定されず、例えば、質量比で1:3〜3:1であってもよい。この場合、上述のように、混合物が水酸化マグネシウムを更に含有すると、砒素の溶出を更に抑制する観点から好ましい。
上述の金属化合物は、従来知られている方法により合成されたものであってもよく、市販品を入手してもよい。混合物中での分散性の観点から、上記金属化合物は粉末の状態で混合物に含まれるのが好ましい。
上記ガラスと金属化合物との合計量に対する上述の金属化合物の含有量は、砒素の溶出を抑制できる量であれば、特に限定されない。有効かつ確実に砒素の溶出を抑制する観点から、金属化合物含有量は、2〜20質量%であると好ましい。
上記混合物には、本発明の効果を阻害しない範囲で任意の成分を添加してもよい。そのような成分は、従来、ガラスを加熱又は溶融する際に添加されるものとして知られるものであってもよい。具体的には、例えば、鋳鉄スラグ、黒曜石が挙げられる。また、上記混合物は、粉砕したガラスと上記金属化合物と必要に応じて任意の成分とを混合することにより得られる。金属化合物を混合物の全体に分散させるために、混合物を振とうするなどして攪拌することが好ましい。
粉砕したガラスと金属化合物との混合物を加熱する際、その混合物を粉末の状態でるつぼ等の容器に入れて加熱してもよく、あるいは、その混合物を従来知られているプレス成形などにより成形した後に加熱してもよい。成形された混合物の形状は特に限定されない。
本実施形態の加熱方法において用いられる加熱装置は、上記混合物を加熱できるものであれば特に限定されず、従来、ガラスを溶融するために用いられている溶融装置(焼成装置)であってもよい。加熱温度は特に限定されないが、エネルギーの消費を削減する観点から1000℃以下であると好ましく、更に上述の混合物を溶融できる温度であると好ましく、より具体的には、800〜950℃であると好ましく、820〜930℃であるとより好ましく、820〜880℃であると更に好ましい。また、加熱時間も特に限定されないが、上述の混合物をより迅速かつ確実に加熱したり溶融したりする観点、及び、エネルギーの消費を更に削減する観点から、1分間〜1時間が好ましく、5分間〜45分間がより好ましい。また、上記加熱温度まで昇温する際の昇温時間は特に限定されず、例えば、10分間〜90分間であってもよい。混合物を加熱する際の雰囲気は、特に限定されず、空気及び酸素ガスなどの酸化雰囲気であっても、窒素ガス及び希ガスなどの不活性ガス雰囲気であってもよい。さらに、本実施形態の加熱方法において、加熱の際に炭酸ナトリウムなどの影響によりガラス溶融物が発泡してもよい。
本実施形態の加熱方法によると、好ましくは無アルカリガラス等の1000℃を超えるいずれの温度でも溶融しないガラスと上記金属化合物とを含む混合物を加熱することにより、その加熱温度が950℃以下であっても、混合物を溶融することも可能となる。また、金属化合物の組合せによっては、溶融して得られた溶融物を固化しても着色し難い。したがって、砒素等の溶出を抑制するだけでなく、その溶融物から上述の汎用的な製品を作製する際のエネルギー消費を抑制でき、しかも、製品の美観を所望のとおりに維持することが可能となる。
上述のようにして得られた加熱後の混合物、場合によってはガラス溶融物、を適宜冷却し、溶融物である場合は固化させることにより、ガラス材料が得られる。本実施形態に係るガラス材料は、発泡ガラスとして緑化用資材及び土木建築用資材として用いられてもよく、更に溶融されて、建築用窓ガラス、ガラス繊維及び食器ガラスなどの汎用的なガラス製品に加工されてもよい。
本実施形態によると、ガラス粉砕物からの砒素及びその化合物の環境中への溶出を抑制することが可能となり、そのガラス粉砕物から得られるガラス材料の取扱いが容易となる。このように、本実施形態は、上述のガラス粉砕物の加熱方法によってガラス粉砕物から砒素及び/又はその化合物が溶出することを防止する、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法である。また、本実施形態によると、混合物に含有させる金属化合物を適切に選択することにより、得られるガラス材料の着色を防止することもできる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
廃材となったパネルガラスとして、廃棄された2005年製液晶テレビLC−13S4−5から回収されたパネルガラスを準備した。このパネルガラスを、ボールミル(マキノ社製、型式「BM−22.3」、容器内容積:22.3L、ライニング材質:鋼、粉砕媒体:鋼球(φ30)、粉砕媒体量:38kg、ガラス投入量:4.5kg、回転数:60rpm、モータ出力:0.75kW)を用いて粉砕し、約20μmの平均粒径を有するガラス粉砕物を得た。得られたガラス粉砕物に対して、表2〜5に示す配合比で各金属化合物を添加し十分に攪拌して混合物を得た。得られた混合物、及びガラス粉砕物の単体をそれぞれ造粒して、試料を得た。
得られた試料を、焼成試験炉内で、大気雰囲気下、加熱温度900℃、加熱温度までの昇温時間40分間、及び、加熱温度での保持時間30分間の条件で加熱し、その後、自然冷却した。
こうして得られた加熱後の試料について、砒素の溶出量を平成15年環境省告示第18号規格K0102の61に基づき、ICP発光分光分析装置(パーキンエルマー社製、型式「Optima‐3300XL」)により、土壌溶出基準で測定した。また、ガラス粉砕物を加熱することなく(試料No.1)、上述と同様にして砒素の溶出量を測定した。それらの結果を表2〜5に示す。砒素溶出量について、0.010mg/L未満のものを「A」、0.010mg/L以上0.100mg/L未満のものを「B」、0.100mg/L以上0.240mg/L未満のものを「C」、0.240mg/L以上のものを「D」と評価し、A、B、C、Dの順で砒素の溶出抑制効果が高いと判断した。また、「特記」及び「着色」の欄では、上述のように加熱したり、着色していなかったり、溶融したりしたものについては、特にその旨を記載していない。
Figure 0005748453
Figure 0005748453
Figure 0005748453
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これらの結果から、ガラス粉砕物と混合する金属化合物が、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)と水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)との組合せ、炭酸銅(CuCO3)と炭酸ナトリウムとの組合せ、炭酸銅と水酸化マグネシウムとの組合せ、炭酸カルシウム(CaCO3)と炭酸ナトリウムとの組合せ、及び、炭酸カルシウムと水酸化マグネシウムとの組合せ、からなる群より選ばれる少なくとも一つを含有すると、ガラスからの砒素の溶出を抑制する効果に優れたものとなることが分かった。
本発明に係るガラス材料は、発泡ガラスとして緑化用資材及び土木建築用資材として利用可能性があり、更に溶融及び加工されて、建築用窓ガラス、ガラス繊維及び食器ガラスなどの汎用的なガラス製品に利用可能性がある。

Claims (14)

  1. 砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
    前記金属化合物は、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとの組合せを含有し、かつ、硫酸鉄(III)、炭酸コバルト、塩化亜鉛、水酸化アルミニウム、酸化スズ、炭酸ニッケル、炭酸銅、炭酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム及び炭酸ストロンチウムからなる群より選ばれる1種以上の化合物を含有する、加熱方法。
  2. 前記金属化合物が、炭酸銅と炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを含有する、請求項1に記載の加熱方法。
  3. 砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
    前記金属化合物が、炭酸カルシウムと炭酸ナトリウムとを含有する、加熱方法。
  4. 前記金属化合物が、更に水酸化マグネシウムを含有する、請求項3に記載の加熱方法。
  5. 砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
    前記金属化合物が、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを含有し、かつ水酸化アルミニウム及び炭酸銅のいずれをも含有しない、加熱方法。
  6. 砒素及び/又はその化合物を含む粉砕したガラスと、金属化合物と、を含む混合物を加熱する、砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法であって、
    前記金属化合物が、炭酸ナトリウムと水酸化マグネシウムとを含有し、かつ酸化カルシウムを含有しない、加熱方法。
  7. 前記混合物が溶融する温度まで加熱する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱方法。
  8. 前記混合物を溶融する前記温度が1000℃以下である、請求項に記載の加熱方法。
  9. 前記混合物を溶融する前記温度が800〜950℃である、請求項に記載の加熱方法。
  10. 前記ガラスは、アルカリ金属の含有量が酸化物換算で7質量%以下である無アルカリ又は低アルカリガラスである、請求項1〜のいずれか一項に記載の加熱方法。
  11. 前記ガラスと前記金属化合物との合計量に対する前記金属化合物の含有量が、2〜20質量%である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の加熱方法。
  12. 前記粉砕したガラスは、液晶ディスプレイのディスプレイパネルに用いられガラスである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の加熱方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法によって、前記ガラス粉砕物から砒素及び/又はその化合物が溶出することを防止する、ガラス粉砕物からの砒素溶出防止方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の砒素を含むガラス粉砕物の加熱方法を経て得られるガラス材料。
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