JP5747245B2 - 電界効果トランジスタ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電界効果トランジスタ及びその製造方法に関する。
電界効果トランジスタ(Field effect transistor:以下、FETとも略称する)とは、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極の3つの電極を有する素子であり、前記ゲート電極に印加する電圧を操作して、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間を流れる電流を制御する素子である。
ダイヤモンドは、極めて優れた機械的、電気的、熱的、化学的、光学的特性を有す究極な材料であり、同材料の優れた特性を十分に引き出すことによって、様々なデバイスへの応用が可能である。そして、ダイヤモンド膜中のキャリア(電子および正孔)の移動度が非常に高いという特性を有する。
そのため、ダイヤモンドを用いて、過酷な環境下で安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能な高速・ハイパワー電界効果トランジスタの開発が期待されている。
現状のダイヤモンドを主材料とする電界効果トランジスタの構造は、主に4つの構造に大別できる。
第1の構造は、アクセプタやドナーを不純物としてドーピングしたダイヤモンド中のキャリア伝導層をチャネルとして用い、整流性(ショットキー性)金属電極をゲート電極として、電界によりキャリアを制御する構造である。この構造は、従来のシリコンやガリウム砒素系半導体で用いられている動作原理と同じ原理を有する。
しかしながら、この構造では、ダイヤモンド内部のドーパントのイオン化エネルギーが大きく、つまり活性化率が小さく、室温において電界効果トランジスタとして駆動させるための十分な電子および正孔濃度を確保することが容易ではないため、高速・ハイパワー電界効果トランジスタの実現は不可能である。
第2の構造は、マイクロ波プラズマ気相成長法にてダイヤモンド表面を水素プラズマ処理することにより、自発的に形成されるダイヤモンド水素終端表面の正孔キャリアからなる表面伝導層をチャネルとして用い、上記同様ゲート電極の電界によりキャリアを制御する構造である(非特許文献1)。この構造はダイヤモンドに特徴的な動作原理に基づくものであり、現在最も実験的に進んでいる電界効果トランジスタ構造である。
しかしながら、この構造は、ダイヤモンド水素終端表面の熱的な不安定性のために、デバイス特性が動作環境により大きく依存してしまう問題がある。
第3の構造は、上記ダイヤモンド内ドーパントのイオン化エネルギーが大きい欠点を克服するために、アクセプタ不純物であるボロンを表面からの深さが1nm以内に濃度1020cm−3程度でデルタ(局所)ドーピングすることによって、正孔濃度を十分確保しながら、上記同様ゲート電極による電界制御性を可能とし、同時にチャネル構造を有する構造である(非特許文献2)。
しかしながら、この構造では、ナノスケールの局所的なドーピング技術が難しく、デバイス性能の向上が難しい。
第4の構造は、特許文献1および特許文献2に記載のIII族窒化物半導体(例えば、窒化アルミニウム等の半導体)とダイヤモンドとのヘテロ接合構造を利用する構造である。
特許文献1には、窒化アルミニウム/ダイヤモンドの積層構造において、前記窒化アルミニウム膜中にシリコンをドナーとしてドーピングすることにより、膜中のシリコン準位とダイヤモンド伝導帯端エネルギー準位との位置エネルギー差を利用して、ダイヤモンド内へ電子を供給する変調ドーピングを利用する構造が開示されている。ここで、トランジスタのチャネルはダイヤモンド内の2次元的な電子である。
一方、特許文献2には、窒化アルミニウムや窒化ボロン等の残留歪に起因する自発性分極およびピエゾ分極効果によって発生する正の固定電荷を補償するために発生する界面近傍のダイヤモンド内の2次元電子をチャネルとして利用する構造が開示されている。
両者ともに、電子をキャリアとして動作させるものであり、不純物ドーパント濃度の不均一性や、残留歪分布の不均一性のために、デバイス性能のバラツキや再現性が問題となる。更に、n型ダイヤモンドと金属のポテンシャル障壁は4eV以上あるため、低抵抗なオーム性電極を得ることが極めて難しい。
以上説明したように、トランジスタ特性の再現性が高く、高速・ハイパワーダイヤモンドヘテロ接合電界効果トランジスタに関する報告はなかった。
特開2002−324812号公報 特開2008−186936号公報
H.Kawarada,M.Aoki,and M.Ito,Appl.Phys.Letter 65 (1994) 1563−1565."ENHANCEMENT−MODE METAL−SEMICONDUCTOR FIELD−EFFECT TRANSISTORS USING HOMOEPITAXIAL DIAMONDS." A.Aleksov,A.Vescan,M.Kunze,P.Gluche,W.Ebert,E.Kohn,A.Bergmaier,G.Dollinger:Diamond Relat.Mat.8(1999)941."Diamond junction FETs based on delta−doped channels."
本発明は、トランジスタ特性の再現性が高く、高速・ハイパワーダイヤモンドヘテロ接合電界効果トランジスタ及びその製造方法を提供することを課題とする。
上記事情を鑑みて、本発明者らは研究開発を行い、ダイヤモンド/III族窒化物半導体ヘテロ接合界面のダイヤモンド側に自然発生的に発現する2次元的な正孔伝導層をチャネルとする新しい動作原理のFETにより、上記課題を解決できることを解明して、本発明を完成した。
本発明の特筆すべきところは、(1)III族窒化物半導体の膜厚を制御することで、ダイヤモンド内の正孔チャネルに対する低抵抗なオーム電極を容易に作製することができること、(2)正孔チャネルがIII族窒化物半導体下部に存在するため、自動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れること、(3)意図的な不純物ドーピングを必要としないことである。
また、本技術は、例えばIII族窒化物半導体としてAlNを用いた場合、正孔をキャリアとして動作させるものであり、特許文献1および特許文献2に記載のエネルギーバンド図とは異なる構造を有する。
また、ダイヤモンド単結晶基板上に成長させたIII族窒化物半導体薄膜は、高濃度の転位や結晶粒界を含む結晶学的構造であり、薄膜内の残留歪はほぼ緩和しているため、正孔の発現機構は特許文献2に記載の機構とは異なる。
更に、水素終端表面を有すダイヤモンド電界効果トランジスタと差別化するために、あえて酸素終端表面を有すダイヤモンド上に窒化アルミニウムを成長させ、電界効果トランジスタ動作を実証した。
このように、本技術はダイヤモンドとIII族窒化物半導体を組み合わせて利用することで、電界効果トランジスタの特性を飛躍的に改善し、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速・ハイパワー電界効果トランジスタの実用化を図るものである。
本発明は、以下の構成を有する。
本発明の電界効果トランジスタは、ダイヤモンド基板と、前記ダイヤモンド基板の一面側に離間して形成された第2の電極及び第3の電極と、前記2つの電極の間に離間して形成された第1の電極と、を有する電界効果トランジスタであって、前記第1の電極と前記ダイヤモンド基板との間にIII族窒化物半導体層が設けられ、前記ダイヤモンド基板と前記III族窒化物半導体層との界面の近傍領域に正孔伝導チャネル領域が形成されており、前記ダイヤモンド基板が単結晶基板であり、その一面が(111)結晶面と平行であり、前記III族窒化物半導体層が六方晶結晶粒子を有する多結晶体からなり、転位や結晶粒界を含む結晶学的構造であり、前記III族窒化物半導体層の(0001)面が前記ダイヤモンド基板の(111)結晶面と平行であり、前記III族窒化物半導体層が2つのドメイン構造を有し、前記2つのドメイン構造が、前記III族窒化物半導体層の(1−100)面が前記ダイヤモンド基板の(0−22)面と平行であるドメイン構造と、前記III族窒化物半導体層の(11−20)面が前記ダイヤモンド基板の(0−22)面と平行であるドメイン構造であることを特徴とする。
本発明の電界効果トランジスタは、前記正孔伝導チャネル領域が、前記ダイヤモンド基板内に設けられていることが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタは、前記第2の電極及び/又は前記第3の電極と前記ダイヤモンド基板との間にIII族窒化物半導体層が設けられていることが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタは、前記第2の電極及び/又は前記第3の電極と前記ダイヤモンド基板との間のIII族窒化物半導体層の層厚が、前記第1の電極と前記ダイヤモンド基板との間のIII族窒化物半導体層の層厚より薄いことが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタは、前記第1の電極がゲート電極であり、前記第2の電極がソース電極であり、前記第3の電極がドレイン電極であることが好ましい
発明の電界効果トランジスタは、前記III族窒化物半導体層がAlN、BN、GaN、InNの群から選ばれるいずれか一の化合物からなることが好ましい。
発明の電界効果トランジスタは、前記ダイヤモンド基板の一面が酸素修飾されていることが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、MOVPE装置内で、減圧、1250℃以上の高温条件下で、ダイヤモンド基板を水素・アンモニア雰囲気にて熱処理する工程と、同じMOVPE装置内で、MOVPE法により、減圧、1250℃以上の高温条件を保ったそのままの状態で、前記ダイヤモンド基板の一面にIII族窒化物半導体層を形成する工程と、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去する工程と、前記ダイヤモンド基板の一面側に第2の電極及び第3の電極を形成するとともに、前記III族窒化物半導体層の一面に第1の電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、前記MOVPE法の成膜条件が、ダイヤモンド基板を内部に配置した容器内にトリメチルアルミニウムガス、アンモニアガス及び水素ガスを流通させた状態で、1〜760Torrに減圧しながら、前記ダイヤモンド基板を1250℃〜2000℃の温度に加熱することが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、蒸着法及び/又はスパッタ法により、前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極を形成することが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、前記III族窒化物半導体層を形成する前に、前記ダイヤモンド基板の一面を酸性溶液処理又は熱処理することが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、リソグラフィー法により、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去することが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去して、前記III族窒化物半導体層の層厚をより薄くした2つの段部を形成することが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去して、前記III族窒化物半導体層を除去した2つの除去部を形成することが好ましい。
本発明の電界効果トランジスタは、ダイヤモンド基板と、前記ダイヤモンド基板の一面側に離間して形成された第2の電極及び第3の電極と、前記2つの電極の間に離間して形成された第1の電極と、を有する電界効果トランジスタであって、前記第1の電極と前記ダイヤモンド基板との間にIII族窒化物半導体層が設けられ、前記ダイヤモンド基板と前記III族窒化物半導体層との界面の近傍領域に正孔伝導チャネル領域が形成されている構成なので、正孔をキャリアとして動作させることができ、(2)正孔伝導チャネル領域がIII族窒化物半導体層下部に存在するため、自動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速・ハイパワー電界効果トランジスタとすることができる。
特に、ダイヤモンド単結晶基板上に成長させたIII族窒化物半導体薄膜のようなIII族窒化物半導体層は、高濃度の転位や結晶粒界を含む結晶学的構造であり、薄膜内の残留歪をほぼ緩和させることができ、III族窒化物半導体層の膜厚およびデバイスのサイズのみの制御でトランジスタ特性を制御できるため、再現性が良い。
以上により、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速・ハイパワー電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の電界効果トランジスタの製造方法は、減圧、800℃以上の高温条件下で、ダイヤモンド基板を水素・アンモニア雰囲気にて熱処理する工程と、MOVPE法により、減圧、1200℃以上の高温条件下で、前記ダイヤモンド基板の一面にIII族窒化物半導体層を形成する工程と、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去する工程と、前記ダイヤモンド基板の一面側に第2の電極及び第3の電極を形成するとともに、前記III族窒化物半導体層の一面に第1の電極を形成する工程とを有する構成なので、(1)ダイヤモンド内の正孔チャネルに対する低抵抗なオーム電極を作製することが容易であるとともに、(3)意図的な不純物ドーピングを必要としないで、正孔をキャリアとして動作させ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速・ハイパワー電界効果トランジスタを容易に製造することができる。
本発明の電界効果トランジスタの一例を示す模式図であって、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における断面図である。 本発明の電界効果トランジスタの製造工程の一例を示す工程図である。 本発明の電界効果トランジスタの製造工程の一例を示す工程図である。 本発明の電界効果トランジスタの別の一例を示す模式図であって、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B’線における断面図である。 実施例1のヘテロ接合構造体(AlNとダイヤモンド)のX線回折法の2θ−ωスキャンのプロファイル結果を示すグラフである。 実施例1のヘテロ接合構造体の窒化アルミニウムとダイヤモンド界面(ヘテロ界面)近傍の断面透過型電子顕微鏡像(図6(a))と透過電子回折パターン(図6(b)、図6(c))である。 実施例1の電界効果トランジスタの表面光学顕微鏡像(a)、(b)及び断面模式図(c)であって、図7(a)が平面図であり、図7(b)が拡大図であり、図7(c)が断面模式図である。 本発明の電界効果トランジスタのトランジスタ特性評価の測定配置である。 本発明の電界効果トランジスタの電流電圧特性を示すグラフの一例を示すグラフであって、ゲート幅(Wg)30μm、ゲート長(Lg)160μmの電界効果トランジスタの電流電圧特性を示すグラフであり、図9(a)は、ドレイン電流(Id)−ドレイン電圧(Vd)のゲート電圧依存性を示すグラフであり、図9(b)はゲート電流(Ig)−ドレイン電圧(Vd)のゲート電圧依存性を示すグラフである。 本発明の電界効果トランジスタのC−Vg特性の一例を示すグラフであって、ゲート幅(Wg)30μm、ゲート長(Lg)160μmの電界効果トランジスタのソース電極とゲート電極との間の静電容量−電圧特性(C−Vg特性)を示すグラフである。 本発明の電界効果トランジスタの界面からの深さに対する正孔濃度pの値を示すグラフである。 本発明の電界効果トランジスタのバンド構造の一例を示す図であって、図12(a)は本発明の電界効果トランジスタの空乏状態のバンド構造であり、図12(b)はフラットバンド状態のバンド構造であり、図12(c)は正孔蓄積状態のバンド構造である。
(本発明の第1の実施形態)
以下、添付図面を参照しながら、本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタ及びその製造方法について説明する。
<電界効果トランジスタ>
まず、本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタについて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタの一例を示す図であって、図1(a)は平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における断面図である。
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタ10は、平面視略矩形状のダイヤモンド基板11と、平面視略矩形状のIII族窒化物半導体層12と、平面視略矩形状の第1の電極15、第2の電極13及び第3の電極14とを有して概略構成されている。
図1(b)に示すように、III族窒化物半導体層12は、ダイヤモンド基板11の一面11a上に形成されている。
III族窒化物半導体層12には、2つの段部12e、12fが設けられるとともに、2つの段部12e、12fの一面12cから突出する突出部12dが設けられており、突出部12dの一面12a上に第1の電極15が設けられている。
2つの段部12e、12fの一面12cには、それぞれ、第2の電極13及び第3の電極14が設けられている。
III族窒化物半導体層12の他面12bは、ダイヤモンド基板11の一面11aと接しており、III族窒化物半導体層12とダイヤモンド基板11の界面17とされている。界面17を介して、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12はヘテロ接合されている。
ダイヤモンド基板11は、単結晶のダイヤモンド基板である。不純物の添加量の少ない透明な単結晶ダイヤモンド基板が好ましい。例えば、IIa型絶縁性ダイヤモンド単結晶基板を挙げることができる。IIa型絶縁性基板とは、不純物濃度(ボロンや窒素)が1ppm以下の基板である。これにより、III族窒化物半導体層12とのヘテロ接合を形成させた場合に、界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16を形成することができる。
しかし、ダイヤモンド基板11は、III族窒化物半導体層12とのヘテロ接合を形成させた場合に、界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16中の正孔を発生させることができればよく、不純物が添加されていてもよい。不純物濃度および種類は、III族窒化物半導体層12とのヘテロ接合を形成させた場合に、界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16中の正孔の濃度を増加させるものが好ましい。
ダイヤモンド基板11の一面11aは、(111)面又は(111)結晶面と平行な面を用いることが好ましい。これにより、安定性の高いIII族窒化物半導体層12を形成することができ、電界効果トランジスタのトランジスタ特性の再現性を向上させることができる。しかし、他の安定な指数面を用いても構わない。
なお、ダイヤモンド基板11の代わりに、他の材料(例えば、同じ結晶構造を有すシリコン等)からなる基板にダイヤモンドを成長させた基板を用いても構わない。このダイヤモンドの単結晶成長膜上にIII族窒化物半導体層12を形成することにより、界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16を形成した電界効果トランジスタを形成できる。このダイヤモンドの成長方法も特に限られるものではない。
ダイヤモンド基板11は、その一面を強酸に浸漬する処理または熱処理により、表面を酸素修飾する酸素終端表面処理することが好ましい。これにより、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12をヘテロ接合させた場合に、界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16をより容易に形成することができる。この際、酸素終端表面の作製方法は特に限られるものではない。
なお、ダイヤモンド基板11は、その一面11aを水素終端表面処理または水素と酸素とが混合した終端表面処理したものを用いても構わない。
図1(b)に示すように、第2の電極13及び前記第3の電極14とダイヤモンド基板11との間にIII族窒化物半導体層12が設けられていることが好ましい。ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12とからなるヘテロ接合構造体を形成することにより、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12との界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16を形成した電界効果トランジスタを形成できる。
III族窒化物半導体層12は、AlN、BN、GaN、InNの群から選ばれるいずれか一の化合物からなることが好ましく、AlNがより好ましい。これにより、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12との界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16を形成した電界効果トランジスタを形成できる。
III族窒化物半導体層12が六方晶結晶粒子を有する多結晶体からなることが好ましく、六方晶窒化アルミニウム(AlN)がより好ましい。これにより、ダイヤモンド単結晶基板の(111)面上にIII族窒化物半導体層12を形成した場合に、ダイヤモンド単結晶基板の(111)面に六方晶結晶粒子の(0001)面を密着させるように形成することができ、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12との界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16を形成した電界効果トランジスタを形成できる。
なお、六方晶のIII族窒化物半導体および立方晶のIII族窒化物半導体を用いることもできる。また、両材料の成長方法も任意である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、第2の電極13及び第3の電極14は、III族窒化物半導体層12の一面12c上に離間されて形成されている。
また、第2の電極13及び第3の電極14の間で、III族窒化物半導体層12の突出部12dを介在させて、第1の電極15が設けられている。
第1の電極15がゲート電極であり、第2の電極13がソース電極であり、第3の電極14がドレイン電極であることが好ましい。これにより、ソース電極(S)−ドレイン電極(D)−ゲート電極(G)を有する一般的な3端子構造の電界効果トランジスタを形成することができる。
第1の電極15、第2の電極13、第3の電極14の材料は、金属又は合金のような導電性材料を用いる。なお、金属材料以外の材料でも、オーミック特性およびショットキー特性が得られるものであればよい。
特に、複数の金属からなる積層構造体として形成することが好ましい。これにより、第2の電極13、第3の電極14から正孔伝導チャネル領域16への電流注入特性を向上させることができ、第1の電極15から正孔伝導チャネル領域16内のキャリアを制御可能な電圧を効率的に印加できるとともに、外部の水や空気に対する各電極の安定性を向上させることができる。
前記積層構造体としては、膜厚25nmのチタン、膜厚100nmのアルミニウム、膜厚50nmのチタン、膜厚250nmの金を基板側この順序及び膜厚で成膜した4層構造体や、膜厚200nmのニッケル、膜厚200nmの金を基板側からこの順序で成膜した2層構造体等を挙げることができる。
図1(b)に示すように、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12との界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16が形成されている。より具体的には、正孔伝導チャネル領域16が、ダイヤモンド基板11内に設けられている。これにより、ソース電極である第2の電極13と、ドレイン電極である第3の電極14との間で、正孔伝導チャネル領域16内に電流を流すことができる。また、その電流を、ゲート電極である第1の電極15で制御することができる。
図1(b)に示すように、第1の電極15とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tが、第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tより厚いことが好ましい。これにより、第2の電極13及び第3の電極14とIII族窒化物半導体層12との間の抵抗を低くすることができ、ソース電極である第2の電極13と、ドレイン電極である第3の電極14との間で、正孔伝導チャネル領域16内に効率よく電流を流すことができる。また、その電流を、ゲート電極である第1の電極15で制御することができる。
なお、図1(b)で、第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tは同じ厚さとされているが、第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚が異なっていてもよい。その場合、厚い方の層厚をtとして、これがtより薄くされていることが好ましい。
第1の電極15とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tは、70nm以上500nm以下とすることが好ましく、100nm以上350nm以下とすることがより好ましい。70nm未満の場合には、漏れ電流が発生するので好ましくない。
第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tは、70nm以下とすることが好ましく、10nm以下とすることがより好ましい。70nm超の場合には、第2の電極13及び第3の電極14から正孔伝導チャネル領域16内にキャリアを注入して、電流を流すことが困難となる。
第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間には、III族窒化物半導体層12を無くしてもよい。この場合でも、第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間の抵抗を低くすることができ、ソース電極である第2の電極13と、ドレイン電極である第3の電極14との間で、正孔伝導チャネル領域16内に効率よく電流を流すことができる。
<電界効果トランジスタの製造方法>
次に、本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタの製造方法について説明する。
本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタの製造工程は、MOVPE法により、ダイヤモンド基板の一面にIII族窒化物半導体層を形成する工程(III族窒化物半導体層形成工程)と、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去する工程(III族窒化物半導体層パターン形成工程)と、前記ダイヤモンド基板の一面側に第2の電極及び第3の電極を形成するとともに、前記III族窒化物半導体層の一面に第1の電極を形成する工程(第1の電極、第2の電極及び第3の電極形成工程)とを有して概略構成されている。
なお、III族窒化物半導体層の材料として窒化アルミニウム(AlN)を用い、複数の電界効果トランジスタを一括して形成する方法を一例として説明する。
図2及び図3は、本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタの製造工程の一例を示す工程図である。
{III族窒化物半導体層形成工程}
まず、高温高圧合成で単結晶のダイヤモンド基板を作製する。なお、市販のダイヤモンド単結晶基板を用いてもよい。
次に、前記ダイヤモンド基板を、硝酸と塩素酸ナトリウム(NaClO)混合溶液中で1時間沸騰処理を行い、その後、硝酸とフッ化水素酸混合溶液中で1時間沸騰処理を行う。これにより、ダイヤモンド基板の表面の不純物を除去するとともに、一面が酸素終端表面であるダイヤモンド基板とすることができる。
なお、前記酸性溶液処理又は前記熱処理のみを実施してもよい。これにより、一面が酸素終端表面であるダイヤモンド基板とすることができる。
なお、酸素終端表面を有するダイヤモンドを得た後、水素雰囲気にて前記ダイヤモンド基板を水素アニール処理(熱処理)してもよい。また、水素とアンモニアの混合雰囲気にてアニール処理(熱処理)してもいい。前記アニール処理時間は、例えば、5分とする。
前記熱処理の加熱温度は、800℃〜2000℃の温度とすることが好ましく、1000℃〜1500℃とすることがより好ましく、1200℃〜1400℃とすることが更に好ましい。
次に、前記ダイヤモンド基板を有機金属気相成長装置に搬入し、有機金属気相成長法(MOVPE法)により、前記ダイヤモンド基板の一面上に窒化アルミニウムの成長を行う。
有機金属気相成長法(MOVPE法)の成膜条件は、有機金属気相成長装置内にトリメチルアルミニウムガス(TMAIガス)、アンモニアガス(NHガス)及び水素ガス(Hガス)を流通させた状態で、1〜760Torr以下の減圧条件にて、前記ダイヤモンド基板を1200℃〜2000℃の温度に加熱する。
なお、MOVPE法の成膜における前記熱処理の加熱温度は、1220℃〜1500℃とすることがより好ましく、1240℃〜1400℃とすることが更に好ましい。
また、MOVPE法の成膜における前記熱処理の減圧条件は、10Torr〜500Torrとすることがより好ましく、20Torr〜300Torrとすることが更に好ましい。
例えば、TMAIガスの流量は10〜1000sccm、NHガスの流量は0.01〜1slmとする。
なお、NHガスは、窒化アルミニウム成長後でも、成長温度が600℃以下に降温するまで供給し続けることが好ましい。
また、III族窒化物半導体層の膜厚は、100〜2000nmとすることが好ましく、300〜1600nmとすることがより好ましい。
以上の工程により、図2(a)に示すように、ダイヤモンド基板11の一面11a上にAlNからなるIII族窒化物半導体層12を形成する。ダイヤモンド基板とAlNからなるIII族窒化物半導体層12との界面にはヘテロ接合が形成される。これにより、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12との界面の近傍領域に正孔伝導チャネル領域を形成することができる。
{III族窒化物半導体層パターン形成工程}
次に、前記ダイヤモンド基板上のAlNをパターニングし、パターン下部のAlNを残し、パターン以外のAlNを完全にエッチングし除去する。
次に、パターニングは通常のフォトリソグラフィー法を用い、AlNのエッチングは誘導結合プラズマエッチング装置を用いる。エッチングガスには塩素Clを用いて、ドライエッチングプロセス技術を用いることができる。これにより、図2(b)に示す素子分離構造を形成することができる。
なお、AlNのパターニング加工は、通常のフォトリソグラフィー法に限られるものではなく、電子ビームリソグラフィーやレーザリソグラフィーを用いても構わない。また、以下の工程で示す電極のパターニングその他薄膜層のパターニングでも同様に、通常のフォトリソグラフィー法に限られるものではなく、電子ビームリソグラフィーやレーザリソグラフィーを用いても構わない。
また、上記の素子分離等のエッチング工程では、結晶成長時の選択成長技術や、ウエットエッチング技術を用いても構わない。
次に、ソース−ドレイン(S−D)電極の接触抵抗を下げるために、ソース−ドレイン(S−D)電極に用いる金属直下の窒化アルミニウムを上記同様の方法で薄膜化する。
具体的には、図2(c)に示すように、所定の位置のIII族窒化物半導体層12を部分的に除去して、前記III族窒化物半導体層12の層厚をより薄くした2つの段部12e、12fを形成して、突出部12dを有する凸構造のAlNとする。
{第1の電極、第2の電極及び第3の電極形成工程}
次に、蒸着法又はスパッタ法を用いて、ダイヤモンド基板11の一面11a側に金属膜又は複数の金属の積層構造体を形成してから、これをパターニングして、第1の電極15、第2の電極13及び第3の電極14を形成する。
具体的には、まず、膜厚25nmのチタン、膜厚100nmのアルミニウム、膜厚50nmのチタン、膜厚250nmの金をこの順序及び膜厚で成膜して、4層構造体を形成する。この成膜には、例えば、電子ビーム蒸着法を用いる。
次に、フォトリソグラフィー法により、リフトオフによりパターンを作製する。
次に、4層構造体の熱処理を行う。この熱処理時間は、400℃〜1400℃とすることが好ましく、600℃〜1200℃とすることがより好ましい。熱処理時間は、10sec〜10minとすることが好ましく、30sec〜5minとすることがより好ましい。例えば、900℃、1minの条件とする。
これにより、図3(a)に示すように、ソース電極及びドレイン電極として用いる第2の電極13及び第3の電極14を形成する。
次に、第1の電極のために、膜厚200nmのニッケル、膜厚200nmの金をこの順序で成膜して、2層構造体を形成する。成膜には、例えば、電子ビーム蒸着法を用いる。
次に、フォトリソグラフィー法により、リフトオフによりパターンを作製する。
次に、2層構造体の熱処理を行う。この熱処理時間は、400℃〜1400℃とすることが好ましく、600℃〜1200℃とすることがより好ましい。熱処理時間は、10sec〜10minとすることが好ましく、30sec〜5minとすることがより好ましい。例えば、900℃、1minの条件とする。
これにより、図3(b)に示すように、ゲート電極として用いる第1の電極15を形成する。
次に、例えば、電界効果トランジスタ素子毎にダイヤモンド基板を分割して、素子分離を行う。
以上の工程により、図3(c)に示すように、本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10を製造することができる。
(本発明の第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態である電界効果トランジスタについて説明する。
図4は、本発明の実施形態である電界効果トランジスタの別の一例を示す図であって、図4(a)は平面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B’線における断面図である。
図4(a)に示すように、本発明の第2の実施形態である電界効果トランジスタ20は、第2の電極13及び第3の電極14とダイヤモンド基板11との間にIII族窒化物半導体層22が設けられていないことを除いて本発明の第1の実施形態である電界効果トランジスタ10と同様の構成とされている。
図4に示すように、III族窒化物半導体層22の他面22bは、ダイヤモンド基板11の一面11aと接しており、III族窒化物半導体層22とダイヤモンド基板11の界面27とされている。これにより、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層22との界面27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域26が形成されている。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、ダイヤモンド基板11と、ダイヤモンド基板11の一面11a側に離間して形成された第2の電極13及び第3の電極14と、2つの電極13、14の間に離間して形成された第1の電極15と、を有する電界効果トランジスタであって、第1の電極15とダイヤモンド基板11との間にIII族窒化物半導体層12、22が設けられ、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26が形成されている構成なので、正孔をキャリアとして動作させることができ、正孔伝導チャネル領域がIII族窒化物半導体層下部に存在するため、自動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。特に、ダイヤモンド単結晶基板上に成長させたIII族窒化物半導体薄膜のようなIII族窒化物半導体層は、高濃度の転位や結晶粒界を含む結晶学的構造であり、薄膜内の残留歪をほぼ緩和させることができ、トランジスタ特性の再現性が高くすることができる。以上により、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、正孔伝導チャネル領域16、26が、ダイヤモンド基板11内に設けられている構成なので、正孔をキャリアとして動作させ、動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、第2の電極13及び/又は第3の電極14とダイヤモンド基板11との間にIII族窒化物半導体層12が設けられている構成なので、正孔をキャリアとして動作させ、動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、第2の電極13及び/又は第3の電極14とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tが、第1の電極15とダイヤモンド基板11との間のIII族窒化物半導体層12の層厚tより薄い構成なので、正孔をキャリアとして動作させ、動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、第1の電極15がゲート電極であり、第2の電極13がソース電極であり、第3の電極14がドレイン電極である構成なので、正孔をキャリアとして動作させ、動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、III族窒化物半導体層12、22が六方晶結晶粒子を有する多結晶体からなる構成なので、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を形成できるとともに、III族窒化物半導体層12、22の層構造を安定化し、トランジスタ特性の再現性が高い電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、III族窒化物半導体層12、22がAlN、BN、GaN、InNの群から選ばれるいずれか一の化合物からなる構成なので、正孔をキャリアとして動作させ、動的にチャネルが保護されており動作安定性に優れ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、ダイヤモンド基板11が単結晶基板であり、その一面11aが(111)結晶面と平行である構成なので、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を形成できるとともに、III族窒化物半導体層12、22の層構造を安定化し、トランジスタ特性の再現性が高い電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20は、ダイヤモンド基板11の一面が酸素修飾されている構成なので、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を容易に形成でき、正孔をキャリアとして動作させることが可能で、トランジスタ特性の再現性が高い電界効果トランジスタとすることができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20の製造方法は、減圧、800℃以上の高温条件下で、ダイヤモンド基板11を水素・アンモニア雰囲気にて熱処理する工程と、MOVPE法により、減圧、1200℃以上の高温条件下で、ダイヤモンド基板11の一面11aにIII族窒化物半導体層12、22を形成する工程と、III族窒化物半導体層11、22を部分的に除去する工程と、前記ダイヤモンド基板11の一面11a側に第2の電極13及び第3の電極14を形成するとともに、前記III族窒化物半導体層12、22の一面12a、22aに第1の電極15を形成する工程と、を有する構成なので、ダイヤモンド内の正孔チャネルに対する低抵抗なオーム電極を作製することが容易であるとともに、意図的な不純物ドーピングを必要としないで、正孔をキャリアとして動作させ、安定・高周波・大電流・高耐圧動作可能であり、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタを容易に製造することができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20の製造方法は、MOVPE法の成膜条件が、ダイヤモンド基板11を内部に配置した容器内にトリメチルアルミニウムガス、アンモニアガス及び水素ガスを流通させた状態で、1〜760Torrに減圧しながら、ダイヤモンド基板11を1200℃〜2000℃の温度に加熱する構成なので、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を容易に形成できる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20の製造方法は、蒸着法及び/又はスパッタ法により、第1の電極15、第2の電極13及び第3の電極14を形成する構成なので、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を備えた電界効果トランジスタを容易に製造することができる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20の製造方法は、III族窒化物半導体層12、22を形成する前に、ダイヤモンド基板11の一面11aを酸性溶液処理又は熱処理する構成なので、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を容易に形成できる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10、20の製造方法は、リソグラフィー法により、III族窒化物半導体層12、22を部分的に除去する構成なので、第2の電極13及び第3の電極14との間の正孔の移動による電流の流れを容易にでき、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12、22との界面17、27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16、26を容易に形成できる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ10の製造方法は、III族窒化物半導体層12を部分的に除去して、III族窒化物半導体層12の層厚tをより薄くした2つの段部12e、12fを形成する構成なので、第2の電極13及び第3の電極14との間の正孔の移動による電流の流れを容易にでき、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層12との界面17の近傍領域に正孔伝導チャネル領域16を容易に形成できる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ20の製造方法は、III族窒化物半導体層22を部分的に除去して、III族窒化物半導体層22を除去した2つの除去部を形成する構成なので、第2の電極13及び第3の電極14との間の正孔の移動による電流の流れを容易にでき、ダイヤモンド基板11とIII族窒化物半導体層22との界面27の近傍領域に正孔伝導チャネル領域26を容易に形成できる。
本発明の実施形態である電界効果トランジスタ及びその製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<ヘテロ接合構造体の作製>
まず、IIa型絶縁性(111)面方位ダイヤモンド基板を、硝酸と塩素酸ナトリウム(NaClO)混合溶液中で1時間沸騰処理を行い、その後、硝酸とフッ化水素酸混合溶液中で1時間沸騰処理を行った。
次に、有機金属気相成長装置(MOVPE装置)に搬入し、水素とアンモニアの混合雰囲気にて、100Torr、1250℃の条件で、5分間、アニール処理(熱処理)した。
次に、そのまま、MOVPE装置内で、表1に示す成長条件で、有機金属気相成長法(MOVPE法)により、前記ダイヤモンド基板の一面上に窒化アルミニウムを層厚が1.6μmとなるように成長させた。なお、従来のMOVPE装置は、成長温度が1000℃程度だが、本実施例の装置では1250℃以上に加熱可能なように改良した。
なお、NHは、窒化アルミニウム成長後でも、成長温度が600℃以下に降温するまで供給し続けた。

以上の工程により、ダイヤモンド基板とIII族窒化物半導体層(AlN)とからなるヘテロ接合構造体(実施例1)を形成した。
<実施例1のヘテロ接合構造体の結晶学的評価>
次に、実施例1のヘテロ接合構造体の結晶学的評価を行った。
まず、実施例1のヘテロ接合構造体の1.6μm成長させた窒化アルミニウムをX線回折法により評価した。
図5は、実施例1のヘテロ接合構造体のAlNのX線回折法の2θ−ωスキャンのプロファイル結果を示すグラフである。図5(a)はダイヤモンド(111)を中心に2θをワイドレンジである30°〜90°の範囲で測定した時の2θ−ωスキャンの結果を示すグラフであり、図5(b)は、AlNの(0002)を中心に2θを詳細に測定した結果を示すグラフであり、図5(c)は、AlNの(10−11)を中心に2θを詳細に測定した結果を示すグラフである。
図5(a)、図5(b)のAlNの(0002)面のピークから、窒化アルミニウムの(0001)面、つまりc軸がダイヤモンドの(111)面に配向している事が確認できた。
また、図5(b)(c)により、回折角2θとブラッグの法則により窒化アルミニウムの格子定数を求めたところ、c軸格子定数(cAlN)は4.978Å、a軸格子定数(aAlN)は3.115Åであった。
図6は、実施例1のヘテロ接合構造体の窒化アルミニウムとダイヤモンド界面(ヘテロ界面)近傍の断面透過型電子顕微鏡像(図5(a))と透過電子回折パターン(図6(b)、図6(c))である。
図6(a)に示すように、実施例1のヘテロ接合構造体の窒化アルミニウムは高密度の欠陥(転位および結晶粒界)を有し緩和しており、連続膜というよりは、コラム(グレイン)構造に酷似した構造であることがわかる。
また、図6(b)、(c)に示す透過電子回折パターンより、窒化アルミニウムは2つのドメイン構造を有していることがわかる。
また、配向関係は(0001)窒化アルミニウムと(111)ダイヤモンドが平行であることがわかる。更に、(1−100)窒化アルミニウム及び(11−20)窒化アルミニウムと(0−22)ダイヤモンドが平行であることがわかる。
<電界効果トランジスタの作製>
次に、実施例1のヘテロ接合構造体の窒化アルミニウムをパターニングして、ダイヤモンド基板上に複数の素子が分離されてなる素子分離構造を形成した。
なお、パターニングはフォトリソグラフィー法を用い、AlNのエッチングは誘導結合プラズマエッチング装置を用い、エッチングガスには塩素Clを用いた。また、エッチングの際、フォトレジストにより形成したパターン下部の窒化アルミニウムを残し、パターン以外の窒化アルミニウムを完全にエッチングし除去した。
次に、ソース−ドレイン(S−D)電極の接触抵抗を下げるために、ソース−ドレイン(S−D)電極に用いる金属直下に配置される窒化アルミニウムを、上記と同様にフォトリソグラフィー法および誘導結合プラズマエッチング装置を用いて、薄膜化した。
これにより、凸構造を形成した。
次に、電子ビーム蒸着法を用いて、前記薄膜化した窒化アルミニウム上に、チタン(25nm)、アルミニウム(100nm)、チタン(50nm)、金(250nm)をこの順序及び膜厚で堆積して、4層構造体を形成した(以下、Ti(25nm)/Al(100nm)/Ti(50nm)/Au(250nm)と示す場合がある)。
次に、フォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィー法により、フォトレジストをソース電極及びドレイン電極の形状にパターニングしてから、リフトオフにより前記4層構造体をパターン化した。
なお、1枚のダイヤモンド基板上には複数の正方形状のソース電極及びドレイン電極を作製した。前記正方形状のソース電極及びドレイン電極は150μm角とした。
次に、前記4層構造体の金属を900℃、1minの条件で熱処理して、ソース電極及びドレイン電極を形成した。
次に、電子ビーム蒸着法を用いて、前記薄膜化した窒化アルミニウム上に、ニッケル(200nm)、金(200nm)をこの順序及び膜厚で堆積して、2層構造体を形成した(以下、Ni(200nm)/Au(200nm)と示す場合がある)。
次に、フォトレジストを塗布した後、フォトリソグラフィー法により、フォトレジストをゲート電極の形状にパターニングしてから、リフトオフにより前記2層構造体をパターン化した。
なお、一対のソース電極及びドレイン電極の間には、ゲート電極の長さ(ゲート長)Lgが10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、ゲート電極の幅(ゲート幅)Wgが160μmのものを作製した。また、各ゲートには一端側に正方形状の端子部を形成した。前記正方形状の端子部の1辺の長さは150μmとした。
次に、前記2層構造体を900℃、1minの条件で熱処理して、ゲート電極を形成した。
以上の工程により、ソース電極及びドレイン電極を備え、ゲート電極の長さLgがそれぞれ10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μmである複数の電界効果トランジスタ素子を有するダイヤモンド基板(実施例1)を形成した。
<実施例1の電界効果トランジスタ特性評価>
実施例1の電界効果トランジスタのデバイス特性評価結果を以下に記述する。
図7は、実施例1の電界効果トランジスタの表面光学顕微鏡像(a)、(b)及び断面模式図(c)である。図7(a)が平面図であり、図7(b)が拡大図であり、図7(c)が断面模式図である。図7(a)に示す数値は各トランジスタのゲート長のサイズである。
図7(a)に示すように、複数の電界効果トランジスタ素子を有するダイヤモンド基板(実施例1)には、2つの正方形状のソース・ドレイン電極が並んで配置されている。
図7(a)及び図7(b)に示すように、正方形状のソース電極及びドレイン電極の1辺の長さは160μmである。
また、各電界効果トランジスタのゲート電極の幅Wgは160μmであり、ゲート電極の長Lgは10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μmである。各ゲート電極の一端側には正方形状の端子部が形成されている。
更に、図7(c)に示すように、ゲート電極は、凸構造AlN上に形成されている。
図8は、本発明の電界効果トランジスタのトランジスタ特性評価の測定配置である。この測定配置により、複数の電界効果トランジスタ素子を有するダイヤモンド基板(実施例1)の各電界効果トランジスタのトランジスタ特性評価を行った。なお、この配置はソース(S)をグランドとした一般的なpチャネル測定に用いる配置である。
図9は、ゲート幅(Wg)160μm、ゲート長(Lg)30μmの電界効果トランジスタの電流電圧特性を示すグラフであり、図9(a)は、ドレイン電流(Id)−ドレイン電圧(Vd)のゲート電圧依存性を示すグラフ(Id−Vd特性を示すグラフ)であり、図9(b)はゲート電流(Ig)−ドレイン電圧(Vd)のゲート電圧依存性を示すグラフ(Ig−Vd特性を示すグラフ)である。ゲート電圧Vgは2Vから−5Vまで1V間隔で変えて、Ig−Vd特性を測定した。
ドレイン電流(Id)はゲート幅(Wg)にて規格化している。また、ゲート電流(Ig)は、ゲートリーク電流である。
図9(a)に示すように、ゲート電圧(Vg)によりドレイン電流(Id)が制御されている。更に、ピンチオフ状態も確認できる。
また、負のドレイン電圧(Vd)に対して負のドレイン電流(Id)が得られているので、キャリアは正孔であることがわかる。
更に、図9(a)及び図9(b)に示すように、ドレイン電流(Id)はゲートリーク電流(Ig)と比較して十分大きい。
なお、図9の結果から、最大ドレイン電流(Idmax)および最大相互コンダクタンス(gmmax)を算出でき、それぞれ、Idmax=6.8mA/mm、gmmax=2.9mS/mmであった。
図10は、ゲート幅(Wg)160μm、ゲート長(Lg)30μmの電界効果トランジスタのソース電極とゲート電極との間の静電容量−電圧特性(C−Vg特性)を示すグラフである。
図10に示すように、Vg=7〜10V付近においては空乏層の広がりを確認することができる。
また、Vg=−3〜7V付近においては、キャリアの蓄積による静電容量(空乏層)が一定(C=6.8×10−13F)になっている。
更に、Vg=−10〜−3V付近においては、キャリアの増加に伴い、ゲートリーク電流(Ig)が増加してしまい、静電容量は減少した。
次に、ドレイン電流の平方根−ゲート電圧特性(Id1/2−Vg特性)をプロットしてから、線形フィットしたところ、ゲート電圧(Vg)が−2Vで高い線形性を示した。
そのため、先ほどの静電容量C=6.8×10−13Fを用いて、その時の実効移動度(μ)および閾値電圧(Vt)を、算出した。
その結果、Vd=−5Vと時の実効移動度(μ)および閾値電圧(Vt)は、それぞれμ=316cm/VsおよびVt=3Vと見積もられた。また、Vdが−5V、Vgが−5Vのとき、相互コンダクタンス(gm)は3mS/mmとなった。
なお、ゲート幅(Wg)160μm、ゲート長(Lg)30μmの電界効果トランジスタにおいて、Vd=−5V、Vg=−5V印加時、ドレイン電流Id≧6.8mA/mm、実効移動度μ≧300cm/Vs、相互コンダクタンスgm≧2.5mS/mmが得られ、高速・ハイパワーであると評価した。さらに測定環境に対する動作安定性も優れていた。
次に、ドレイン電流の平方根−ゲート電圧特性(Id1/2−Vg特性)より得られた閾値電圧(Vt)の値を基準にし、キャリア密度Q/qを静電容量−電圧特性から見積もった。その結果、Abs(Vg)+Vt=4Vのとき、Q/q=3.9×1011cm−2であり、チャネル抵抗R(オン抵抗)はR=4.55kΩであった。
次に、C−V測定の結果より、チャネルキャリア密度分布がダイヤモンド中で分布していることを仮定して、ダイヤモンドの比誘電率を用い、深さ方向に対する正孔濃度pを算出した。
図11は、電界効果トランジスタの界面からの深さに対する正孔濃度pの値を示すグラフである。この結果は、2次元的に正孔が分布していることを示唆している。また、ピークの半値幅から、このチャネル幅は1nm以下であると考えられる。
以上の結果から、電界効果トランジスタのゲート電圧に対するバンド構造の変化の考察を行った。
図12(a)は本発明の電界効果トランジスタの空乏状態のバンド構造であり、図12(b)はフラットバンド状態のバンド構造であり、図12(c)は正孔蓄積の状態のバンド構造である。
図12(a)に示すように、Vg>Vtの場合、ダイヤモンド−窒化アルミニウム界面は空乏化している。
また、Vg=Vtにてフラットバンドを形成する。更に、Vg<Vtにおいて、正孔キャリアの蓄積が起こると考察した。
(実施例2)
AlNの成長後、成長条件と同じ条件で、水素アニール処理(熱処理)を行った他は実施例1と同様にして、複数の電界効果トランジスタ素子を有するダイヤモンド基板(実施例2)を形成した。
実施例1と同様に方法で、トランジスタ特性を測定して、キャリアの有無を調査したところ、電流は装置の検出限界以下であったため、AlNを堆積することがキャリアの生成を担っていることを傍証する結果であった。
本結果より、窒化アルミニウムの膜厚・膜質やデバイススケールの最適化により大幅な改善が見込まれ、高周波・大電流・高耐圧動作可能な高速・パワー電界効果トランジスタの実現のための可能性を十分有するものである。
本発明の電界効果トランジスタ及びその製造方法は、トランジスタ特性の再現性が高く、高速でパワーの大きい電界効果トランジスタ及びその製造方法に関するものであり、電界効果トランジスタの製造産業等において利用可能性がある。
10…電界効果トランジスタ、11…ダイヤモンド基板、11a…一面、12…III族窒化物半導体層、12a…一面、12b…他面、12c…一面、12d…突出部、12e、12f…段部、13…第2の電極、14…第3の電極、15…第1の電極、16…正孔伝導チャネル領域、17…界面、20…電界効果トランジスタ、22…III族窒化物半導体層、22a…一面、22b…他面、26…正孔伝導チャネル領域、27…界面。

Claims (14)

  1. ダイヤモンド基板と、前記ダイヤモンド基板の一面側に離間して形成された第2の電極及び第3の電極と、前記2つの電極の間に離間して形成された第1の電極と、を有する電界効果トランジスタであって、
    前記第1の電極と前記ダイヤモンド基板との間にIII族窒化物半導体層が設けられ、前記ダイヤモンド基板と前記III族窒化物半導体層との界面の近傍領域に正孔伝導チャネル領域が形成されており、
    前記ダイヤモンド基板が単結晶基板であり、その一面が(111)結晶面と平行であり、
    前記III族窒化物半導体層が六方晶結晶粒子を有する多結晶体からなり、転位や結晶粒界を含む結晶学的構造であり、
    前記III族窒化物半導体層の(0001)面が前記ダイヤモンド基板の(111)結晶面と平行であり、
    前記III族窒化物半導体層が2つのドメイン構造を有し、
    前記2つのドメイン構造が、前記III族窒化物半導体層の(1−100)面が前記ダイヤモンド基板の(0−22)面と平行であるドメイン構造と、前記III族窒化物半導体層の(11−20)面が前記ダイヤモンド基板の(0−22)面と平行であるドメイン構造であることを特徴とする電界効果トランジスタ。
  2. 前記正孔伝導チャネル領域が、前記ダイヤモンド基板内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電界効果トランジスタ。
  3. 前記第2の電極及び/又は前記第3の電極と前記ダイヤモンド基板との間にIII族窒化物半導体層が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電界効果トランジスタ。
  4. 前記第2の電極及び/又は前記第3の電極と前記ダイヤモンド基板との間のIII族窒化物半導体層の層厚が、前記第1の電極と前記ダイヤモンド基板との間のIII族窒化物半導体層の層厚より薄いことを特徴とする請求項3に記載の電界効果トランジスタ。
  5. 前記第1の電極がゲート電極であり、前記第2の電極がソース電極であり、前記第3の電極がドレイン電極であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタ。
  6. 前記III族窒化物半導体層がAlN、BN、GaN、InNの群から選ばれるいずれか一の化合物からなることを特徴とする請求項に記載の電界効果トランジスタ。
  7. 前記ダイヤモンド基板の一面が酸素修飾されていることを特徴とする請求項に記載の電界効果トランジスタ。
  8. MOVPE装置内で、減圧、1250℃以上の高温条件下で、ダイヤモンド基板を水素・アンモニア雰囲気にて熱処理する工程と、
    同じMOVPE装置内で、MOVPE法により、減圧、1250℃以上の高温条件を保ったそのままの状態で、前記ダイヤモンド基板の一面にIII族窒化物半導体層を形成する工程と、
    前記III族窒化物半導体層を部分的に除去する工程と、
    前記ダイヤモンド基板の一面側に第2の電極及び第3の電極を形成するとともに、前記III族窒化物半導体層の一面に第1の電極を形成する工程とを有することを特徴とする電界効果トランジスタの製造方法。
  9. 前記MOVPE法の成膜条件が、ダイヤモンド基板を内部に配置した容器内にトリメチルアルミニウムガス、アンモニアガス及び水素ガスを流通させた状態で、1〜760Torrに減圧しながら、前記ダイヤモンド基板を1250℃〜2000℃の温度に加熱することを特徴とする請求項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  10. 蒸着法及び/又はスパッタ法により、前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極を形成することを特徴とする請求項又は請求項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  11. 前記III族窒化物半導体層を形成する前に、前記ダイヤモンド基板の一面を酸性溶液処理又は熱処理することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  12. リソグラフィー法により、前記III族窒化物半導体層を部分的に除去することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  13. 前記III族窒化物半導体層を部分的に除去して、前記III族窒化物半導体層の層厚をより薄くした2つの段部を形成することを特徴とする請求項12に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
  14. 前記III族窒化物半導体層を部分的に除去して、前記III族窒化物半導体層を除去した2つの除去部を形成することを特徴とする請求項13に記載の電界効果トランジスタの製造方法。
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