JP5737108B2 - 光ファイバユニット及びその製造方法 - Google Patents
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Description
このような光通信において、ファイバとファイバとの間、ファイバと機器との間を効率よく光接続する手法の1つとして、レンズを用いる方法がある。例えば、射出成形したレンズアレイを、複数の光ファイバからなる光ファイバアレイの先端に接続する方法、光ファイバのコアの先端をレンズ状に加工する方法などがある。
また、光ファイバのコアの先端を加工してレンズを作製する方法では、光ファイバのコア径以上のビーム径を有する光を結合させる際に接続損失を生じやすい。
本光ファイバユニットの製造方法は、感光性フィルムの端部の上に光ファイバの端部を配置する工程と、光ファイバの端部を覆うように感光性フィルムを折り曲げ、感光性フィルムの光ファイバを挟んで一側の部分と他側の部分とを接着して感光性フィルムの折曲部の曲面によって第1レンズを形成する工程と、感光性フィルムを露光して屈折率を変化させて第2レンズを形成する工程とを備えることを要件とする。
本実施形態にかかる光ファイバユニットは、光通信ネットワークや光インタコネクション、光機器内部などにおける光接続を行なうのに用いられる。
本光ファイバユニットは、図1(A)〜(C)に示すように、光ファイバ1と、感光性フィルム2と、第1レンズ3と、第2レンズ4とを備える。なお、光ファイバユニットを、レンズ付ファイバともいう。
感光性フィルム2は、光ファイバ1の端部を覆うように折り曲げられ、光ファイバ1を挟んで一側の部分と他側の部分とが接着されている。ここでは、光ファイバ1の端部を覆うように折り曲げられた感光性フィルム2の一側の部分と他側の部分との間の空間には接着剤5が充填されている。なお、感光性フィルム2の一側の部分と他側の部分とは少なくとも一部分で接着されていれば良い。例えば、感光性フィルム2の折り曲げられた部分(折曲部)によって形成される円柱状の空間には、接着剤5が充填されていても良いし、接着剤5として機能しない充填材が充填されていても良い。ここで、充填材としては、例えばマッチングオイルやジェルを用いることができる。
このうち、図2(A)に示すように、第2レンズ4を第1レンズ3の近傍に設ける場合には、感光性フィルム2の折曲部におけるフィルムの厚さを利用して第2レンズ4を形成することになる。このため、第2レンズ4に接着剤5が介在せず、接着剤5が損失に影響を及ぼすことはないため、他の場合のように、第2レンズ4に接着剤5が介在しないように対策をとる必要がない。
まず、感光性フィルム2の端部の上に光ファイバ1の端部を配置する[図3(B)参照]。ここでは、光ファイバ1として、複数の光ファイバ1を有する光ファイバアレイを用いるため、光ファイバアレイの端部を感光性フィルム2の端部の上に配置する。
次に、感光性フィルム2を露光して屈折率を変化させて第2レンズ4を形成する[図3(F)参照]。これを第2レンズ形成工程という。
まず、図3(A)に示すように、感光性フィルム2(ここでは屈折率1.74のポリシランフィルム)の裏面、即ち、光ファイバ1を保持するための溝6が形成される表面の反対側の面上に、第2レンズ形成領域を覆うように、第2レンズ4を形成するための遮光膜10を設ける。なお、遮光膜10は、第2レンズ4のレンズパターンに応じてパターニングされるため、遮光パターンともいう。また、感光性フィルム2の裏面は、光ファイバ1の端部を覆うように感光性フィルム2を折り曲げて第1レンズ3を形成する際に外側になる面である。
このようにして光ファイバ1を感光性フィルム2上に配置した後、図3(C)〜(E)に示すように、光ファイバ1の端部を覆うように感光性フィルム2を折り曲げ、感光性フィルム2の光ファイバ1を挟んで一側の部分と他側の部分とを接着して感光性フィルム2の折曲部の曲面によって第1レンズ3を形成する。この場合、上述のようにして感光性フィルム2の裏面に形成された遮光パターン10は外表面に位置する。
次に、図3(D)に示すように、光ファイバ1の端部を覆うように感光性フィルム2を折り曲げ、熱を加えて熱硬化性樹脂5を硬化させて感光性フィルム2の光ファイバ1を挟んで一側の部分と他側の部分とを接着して感光性フィルム2の折曲部の曲面によって第1レンズ3を形成する。
このようにして第1レンズ3を形成した後、図3(F)〜(H)に示すように、感光性フィルム2の全体を露光して、遮光パターン10で覆われている第2レンズ形成領域以外の領域の屈折率を変化させて、光ファイバ1と第1レンズ3との間に第2レンズ4を形成する。これにより、光ファイバ1と第1レンズ3との間に感光性フィルム2の屈折率差によって規定される第2レンズ4が形成される。なお、感光性フィルム2の露光に際しては、感光性フィルム2の遮光パターン10が形成されている表面に対して垂直な方向から光を照射する。
このようにして、光ファイバ1の端部に、図3(H)に示すように、第1レンズ3及び第2レンズ4を有する感光性フィルム2を備える光ファイバユニットが完成する。
したがって、本実施形態にかかる光ファイバユニット及びその製造方法によれば、低コストで、接続損失の少ない、光ファイバ1とレンズ3、4とを備える光ファイバユニットを実現することができるという利点がある。
例えば、上述の実施形態では、光ファイバ1として光ファイバアレイを備える光ファイバユニットを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではなく、光ファイバとして単一の光ファイバを備える光ファイバユニットであっても良い。
つまり、上述の実施形態の製造方法(図3参照)と同様に、図4(A)に示すように、感光性フィルム2に遮光パターン10を設けた後、図4(C)〜(F)に示すように、光ファイバ1を配置し、第1レンズ3を形成する前に、図4(B)に示すように、感光性フィルム2の全体を露光して、遮光パターン10で覆われている第2レンズ形成領域以外の領域の屈折率を変化させて第2レンズ4を形成するようにしても良い。具体的には、ポリシランフィルム2の屈折率が約1.57になるまで紫外線をフィルム全体に照射してポリシランフィルム2を露光する。このようにして、ポリシランフィルム2の遮光パターン10で覆われている第2レンズ形成領域以外の領域の屈折率を約1.57とすることで、屈折率差による第2レンズ4を形成する。これにより、他の領域のポリシランフィルム2の屈折率(ここでは約1.57)よりも高い屈折率(ここでは約1.74)を持つ領域によって規定される第2レンズ4が形成される。
本実施例では、実際に、上述の製造方法によって、1本の光ファイバ1とポリシランフィルム2(感光性フィルム)を用いて、第1レンズ3及び第2レンズ4を備えるレンズ付ファイバを作製し、レンズ機能の確認及び性能評価を実施した。
[第1実施例]
第1実施例では、レンズ付ファイバとして、異なるタイプの第1及び第2レンズ付ファイバ30、31、即ち、フィルム2の厚み部分に第2レンズ4を形成した第1レンズ付ファイバ30と、フィルム2の重ね合わされている部分に第2レンズ4を形成した第2レンズ付ファイバ31とを作製した。
また、第2レンズ付ファイバ31に備えられる第1レンズ3は、曲げ半径を約700μmとし、第2レンズ4は、曲率半径を約125μmとし、幅を約250μmとし、奥行を約400μmとした。
ここでは、第1レンズ付ファイバ30の第1レンズ3と第2レンズ付ファイバ31の第1レンズ3との間の距離が約600μmとなるように、第1レンズ付ファイバ30と第2レンズ付ファイバ31とを、これらの間に厚さ約600μmのスペーサ(図示せず)を挟んで対向させた。そして、VCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser;面発光型レーザ)からの波長約850nmの光を第2レンズ付ファイバ31の光ファイバ1側に入射させ、第1レンズ付ファイバ30及び第2レンズ付ファイバ31を伝搬し、第1レンズ付ファイバ30の光ファイバ1側から出射した光の強度を測定した。
[第2実施例]
第2実施例では、図7に示すように、レンズ付ファイバとして、同じタイプの第3及び第4レンズ付ファイバ32、33、即ち、フィルムの厚み部分に第2レンズを形成した第3及び第4レンズ付ファイバ32、33を作製した。
また、第3レンズ付ファイバ32に備えられる第1レンズ3は、曲げ半径を約550μmとし、第2レンズ4は、曲率半径を約175μmとし、幅を約340μmとし、奥行を約170μmとし、第2レンズ4と光ファイバ1との距離を約1.25mmとした。
そして、第3レンズ付ファイバ32の第1レンズ3と第4レンズ付ファイバ33の第1レンズ3との間の距離が約620μmとなるように、第3レンズ付ファイバ32と第4レンズ付ファイバ33とを対向させて、接続損失を求めたところ、約1.29dBであった。
[第3実施例]
第3実施例では、図8に示すように、レンズ付ファイバとして、同じタイプの第5及び第6レンズ付ファイバ34、35、即ち、フィルムの重ね合わされている部分に第2レンズを形成した第5及び第6レンズ付ファイバ34、35を作製した。
また、第5レンズ付ファイバ34に備えられる第1レンズ3は、曲げ半径を約1130μmとし、第2レンズ4は、曲率半径を約160μmとし、幅を約320μmとし、奥行を約170μmとし、第2レンズ4と光ファイバ1との距離を約1.25mmとした。
そして、第5レンズ付ファイバ34の第1レンズ3と第6レンズ付ファイバ35の第1レンズ3との間の距離が約720μmとなるように、第5レンズ付ファイバ34と第6レンズ付ファイバ35とを対向させて、接続損失を求めたところ、約1.32dBであった。
[第1比較例]
第1比較例として、2つの光ファイバ1間の距離を約4.5mmとし、レンズなしで空間伝搬させ、接続損失を求めたところ、約30dB以上であった。
[第2比較例]
第2比較例として、光ファイバ1の端部に屈折率約1.57の球面レンズを射出成形で形成したものを2つ用意し、レンズ間距離が約600μmとなるように、これらを対向させて、接続損失を求めたところ、約0.7dBであった。
[機能確認及び性能評価]
各実施例のレンズ付ファイバ30〜35を用いた場合、第2比較例の射出成形したレンズに比べて損失は若干高い。しかしながら、第1比較例のレンズなしの場合と比較すると、各実施例のレンズ付ファイバ30〜35に備えられる第1レンズ3及び第2レンズ4は、拡大・集光機能を発現し、接続損失を低減できることが明らかとなった。
この結果、±10μmの面内位置ズレに対して、各実施例のレンズ付ファイバ30〜35の損失変動量は約0.6〜約0.8dBであった。これは、第2比較例の射出成形したレンズでの±10μmの面内位置ズレに対する損失変動量約0.6dBとほぼ同等の値であった。
2 感光性フィルム
3 第1レンズ
4 第2レンズ
5 接着剤(硬化性樹脂)
6 溝
10 遮光膜(遮光パターン)
11 透明容器
12 溶液
20 フェルール
21 光コネクタ
22 ブレードサーバ
23 ミッドプレーン
24 ブレード
30 第1レンズ付ファイバ
31 第2レンズ付ファイバ
32 第3レンズ付ファイバ
33 第4レンズ付ファイバ
34 第5レンズ付ファイバ
35 第6レンズ付ファイバ
Claims (6)
- 光ファイバと、
前記光ファイバの端部を覆うように折り曲げられ、前記光ファイバを挟んで一側の部分と他側の部分とが接着されている感光性フィルムと、
前記感光性フィルムの折曲部の曲面によって規定される第1レンズと、
前記感光性フィルムの屈折率差によって規定される第2レンズとを備えることを特徴とする光ファイバユニット。 - 前記感光性フィルムの前記光ファイバを挟んで一側の部分と他側の部分が、硬化後の屈折率が露光後の前記感光性フィルムの屈折率と等しい硬化性樹脂によって接着されていることを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバユニット。
- 感光性フィルムの端部の上に光ファイバの端部を配置する工程と、
前記光ファイバの端部を覆うように前記感光性フィルムを折り曲げ、前記感光性フィルムの前記光ファイバを挟んで一側の部分と他側の部分とを接着して前記感光性フィルムの折曲部の曲面によって第1レンズを形成する工程と、
前記感光性フィルムを露光して屈折率を変化させて第2レンズを形成する工程とを備えることを特徴とする光ファイバユニットの製造方法。 - 前記第1レンズ形成工程において、前記感光性フィルム上に硬化後の屈折率が露光後の前記感光性フィルムの屈折率と等しい硬化性樹脂を設け、前記光ファイバの端部を覆うように前記感光性フィルムを折り曲げ、前記硬化性樹脂を硬化させて前記感光性フィルムの前記光ファイバを挟んで一側の部分と他側の部分とを接着して前記感光性フィルムの折曲部の曲面によって第1レンズを形成することを特徴とする、請求項3に記載の光ファイバユニットの製造方法。
- 前記第1レンズ形成工程の後に前記第2レンズ形成工程を行なうことを特徴とする、請求項3又は4に記載の光ファイバユニットの製造方法。
- 前記第1レンズ形成工程の前に前記第2レンズ形成工程を行なうことを特徴とする、請求項3又は4に記載の光ファイバユニットの製造方法。
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