JP5737036B2 - 樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む樹脂成形体の製造方法であって、第1の熱可塑性樹脂を少なくとも含む樹脂基材に、繊維強化樹脂材を補強材として配置した樹脂成形体を好適に製造することができる樹脂成形体の製造方法に関する。
従来から、熱可塑性樹脂に強化繊維が混入されてなる繊維強化プラスチック(繊維強化樹脂材)は、軽量かつ高強度であることから、自動車産業、建設産業、航空産業等、広い産業分野で使用されている。
ここで、このような繊維強化樹脂材を利用して、樹脂成形体のうち所望の部位を部分的に強化するために、樹脂材からなる樹脂基材を成形する際に、繊維強化樹脂材を所望の部位に配置して、樹脂成形体を製造することがなされている。
このような樹脂成形体を射出成形により製造する方法が、例えば、特許文献1に開示されている。この製造方法では、成形型内部で樹脂材料が会合する箇所に、強化繊維を含有させた樹脂片(繊維強化樹脂材)を配置した後に、樹脂材料(熱可塑性樹脂)を射出している。そして、この製造方法では、射出された熱可塑性樹脂が会合するウェルド部が硬化する前の状態で、可動入れ子によりこのウェルド部に繊維強化樹脂材を圧着している。
このように、可動入れ子を用いることにより、射出成形時において、繊維強化樹脂材を成形型内の所望の位置に固定し、成形型内において流動する熱可塑性樹脂により、繊維強化樹脂材の位置ずれを抑制することができる。特に、強化繊維にたとえば連続強化繊維を用いた場合には、繊維の乱れ、繊維のよれ、および繊維の目開きが生じやすいところ、可動入れ子により、このような点も改善される。
特開2004−82470号公報
しかしながら、上述した方法では、可動入れ子に可動ピンを介して固定した状態で、樹脂成形体を成形するので、樹脂成形体を成形型から脱型する際には、可動入れ子による圧着痕(可動ピンによる窪み痕(跡))が残ってしまう。
さらに、成形時には、繊維強化樹脂材の熱可塑性樹脂と、樹脂基材を構成する熱可塑性樹脂とが会合してこれらが相互に溶け込むことによりウェルド部分が形成され、これにより、樹脂基材と繊維強化樹脂材との密着強度が確保されるが、これらを十分に溶け込ませることは、製造上容易ではなく、樹脂基材と繊維強化樹脂材との密着強度を確保することは容易ではない。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、成形された樹脂成形体に圧着痕など無く、樹脂基材に対して所望の位置に繊維強化樹脂材を配置し、樹脂基材と繊維強化樹脂材との密着強度を確保することができる樹脂成形体の製造方法を提供することにある。
前記課題を鑑みて、本発明に係る樹脂成形体の製造方法は、第1の熱可塑性樹脂を少なくとも含む樹脂基材に、強化繊維に第2の熱可塑性樹脂が含浸された繊維強化樹脂材を補強材として配置した樹脂成形体の製造方法であって、一対の成形型のうち一方の成形型に対して入れ子式に配置された可動ピンを前進させることにより、前記一方の成形型内において前記繊維強化樹脂材に前記可動ピンを貫通させる工程と、前記可動ピンを前記一方の成形型に対して後退させることにより、前記可動ピンが貫通した繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜く際に、該可動ピンにより成形された前記繊維強化樹脂材の貫通孔に、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂を導入しながら、前記一対の成形型内において前記樹脂基材を成形する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記可動ピンを貫通させる工程において、一方の成形型に対して入れ子式に配置された可動ピンを繊維強化樹脂材に貫通させることにより、繊維強化樹脂材を一方の成形型に対して固定することができる。そして、前記樹脂基材を成形する工程において、繊維強化樹脂材は引き抜き途中の可動ピンにより固定されているので、繊維強化樹脂材の位置ずれや、第1の熱可塑性樹脂の流動が起因となった強化繊維の乱れ、よれ、および目開きなどを抑制することができる。また、成形段階において、可動ピンは引き抜かれるので、可動ピンによる跡が樹脂成形体に残ることはない。ここで可動ピンによる跡とは、可動ピンが抜けた後の窪みの跡のことを指している。
さらに、可動ピンを引き抜く際に成形された、繊維強化樹脂材の貫通孔に、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂が導入され、その後、貫通孔内の第1の熱可塑性樹脂は硬化するので、繊維強化樹脂材と樹脂基材との密着性は、この貫通孔内に充填された第1の熱可塑性樹脂によるアンカー効果により確保される。
ここで本発明でいう「繊維強化樹脂材」とは、強化繊維と、この強化繊維に含浸された第2の熱可塑性樹脂(マトリクス樹脂)と、からなる複合材であり、樹脂基材に対して所定の強度を保つことができるのであれば、特にその種類は限定されるものではなく、たとえば強化繊維束を開繊し、これに第2の熱可塑性樹脂を含浸したプリプレグのシートまたはテープであってもよく、これらを積層したものであってもよい。
本発明でいう「強化繊維」とは、繊維強化樹脂材の機械的強度を強化するための樹脂強化用の繊維をいい、短繊維、長繊維、または連続した繊維(連続強化繊維)などを挙げることができ、その材質としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、スチール繊維、PBO繊維、天然繊維、又は高強度ポリエチレン繊維などの繊維が挙げられ、可動ピンにより貫通することができるのであれば、布状繊維であってもよい。その織り方としては、平織、綾織、朱子織などの織組織いずれであってもよい。
第1および第2の熱可塑性樹脂としては、繊維強化樹脂材の密着性を確保できるのであれば、同種の樹脂であってもよく、例えば、オレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、又はポリイミド系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、またはABS系樹脂等を挙げることができ、強化繊維と合わせて所定の強度を保つことができるのであれば特にその種類は限定されるものではない。さらに、樹脂基材には、第2の熱可塑性樹脂の他に、上述した種類の強化繊維を、たとえば短繊維でさらに含んでいてもよい。
ここで、可動ピンを貫通させる工程において、繊維強化樹脂材に可動ピンを容易に貫通させることができるのであれば、第2の熱可塑性樹脂は、必ずしも溶融させる必要はなく、可動ピンを貫通させることが困難である場合には、繊維強化樹脂材全体を加熱してもよい。
しかしながら、より好ましい態様としては、前記可動ピンを貫通させる工程において、前記第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度に前記可動ピンを加熱して、前記可動ピンを前記繊維強化樹脂材に貫通させる。
この態様によれば、可動ピンを第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度に加熱することにより、繊維強化樹脂材全体を加熱しなくても、可動ピンと接触する第2の熱可塑性樹脂は部分的に溶融するので、繊維強化樹脂材に可動ピンを容易に貫通させることができる。
また、上述した樹脂成形体の製造方法をプレス成形または射出成形いずれの成形で行なってもよい。プレス成形により樹脂成形体を成形する際の好ましい態様としては、前記樹脂基材を成形する工程において、前記一方の成形型と、該一方の成形型に対向する他方の成形型との間に、前記第1の熱可塑性樹脂を配置し、前記繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜く際に、前記一方の成形型と他方の成形型とで前記第1の熱可塑性樹脂を加圧しながら、前記貫通孔に、前記第1の熱可塑性樹脂を導入する。
この態様によれば、前記一方の成形型と、該一方の成形型に対向する他方の成形型とにより、第1の熱可塑性樹脂を加圧しながら第1の熱可塑性樹脂から樹脂基材を成形するので、繊維強化樹脂材が、第1の熱可塑性樹脂に押圧される。これにより、繊維強化樹脂材が位置ずれすることなく、前記貫通孔に、前記第1の熱可塑性樹脂を導入することができる。
一方、射出成形により樹脂成形体を成形する際の好ましい態様としては、前記樹脂基材を成形する工程において、前記一方の成形型と、該一方の成形型に対向する他方の成形型とを、型締めし、前記一対の成形型内に、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂を射出することにより、前記一対の成形型内に前記第1の熱可塑性樹脂を充填し、前記第1の熱可塑性樹脂の圧力が一定の圧力となったときに、前記繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜いて、前記圧力により前記貫通孔に前記第1の熱可塑性樹脂を導入する。
この態様によれば、前記一対の成形型内に前記第1の熱可塑性樹脂を充填し、その後、前記第1の熱可塑性樹脂の圧力が一定の圧力となったときに、この圧力を利用して、繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜いたときに形成される隙間(貫通孔)に、前記第1の熱可塑性樹脂を容易に導入することができる。また、この圧力が一定となったときには、繊維強化樹脂材の周りには樹脂基材が成形されているので、可動ピンの引き抜きの際に、繊維強化樹脂材が位置ずれすることはない。
本発明によれば、成形された樹脂成形体に圧着痕など無く、樹脂基材に対して所望の位置に繊維強化樹脂材を配置し、樹脂基材と繊維強化樹脂材との密着強度を確保することができる樹脂成形体を製造することができる。
本発明の第1実施形態に係る樹脂成形体の製造方法を好適に行なうための製造装置の模式的概念図。 図1に示す樹脂成形体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は、繊維強化樹脂材を下型内に配置した状態を示した図、(b)は、繊維強化樹脂材に可動ピンを貫通させた状態を示した図、(c)は、樹脂基材を射出成形する前の状態を示した図、(d)は、樹脂基材を射出成形した後の状態を示した図。 図2(d)に示す繊維強化樹脂材と樹脂基材との界面を拡大した模式的概念図。 本発明の第2実施形態に係る樹脂成形体の製造装置の模式的概念図。 図4に示す樹脂成形体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は、繊維強化樹脂材を下型内に配置した状態を示した図、(b)は、繊維強化樹脂材に可動ピンを貫通させた状態を示した図、(c)は、樹脂基材をプレス成形する前の状態を示した図、(d)は、樹脂基材をプレス成形した後の状態を示した図。 成形型内における第1の熱可塑性樹脂の圧力状態と、可動ピンの位置との関係を示した図。 実施例および比較例に係る樹脂成形体の曲げ強さの結果を示した図。
以下、図面を参照して、本発明を2つの実施形態に基づき説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る樹脂成形体の製造方法を好適に行なうための製造装置の模式的概念図である。図2は、図1に示す樹脂成形体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は、繊維強化樹脂材を下型内に配置した状態を示した図、(b)は、繊維強化樹脂材に可動ピンを貫通させた状態を示した図、(c)は、樹脂基材をプレス成形する前の状態を示した図、(d)は、樹脂基材をプレス成形した後の状態を示した図である。図3は、図2(d)に示す繊維強化樹脂材と樹脂基材との界面を拡大した模式的概念図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる樹脂成形体の製造装置1Aは、樹脂成形体をプレス成形により製造するための装置である。製造装置1Aは、上型2Aと、上型2Aに対向した下型3Aとからなる一対の成形型を備えている。具体的には、上型2Aは、下型3Aの型内31に収まるように、昇降可能となっている。上型2Aが下型3Aの型内31に下降したときに、これらの間に配置された熱可塑性樹脂がプレス成形されることになる。
さらに、下型3Aの下方には、ベース材34が昇降可能に配置されており、ベース材34には、先端がテーパ状に尖った複数の可動ピン32が立設されている。下型3Aには、複数の可動ピン32のそれぞれが入れ子式で移動可能なように、ピン可動孔31bが形成されている。このようにして、ベース材34を上昇させると、ベース材34に立設された複数の可動ピン32が、ピン可動孔31bを介して移動する。この結果、図1に示すように、下型3Aの底面から、可動ピン32が突出することになる。
さらに、ベース材34には、ヒータ(図示せず)が内蔵されており、このヒータは、後述する繊維強化樹脂材に含まれる第2の熱可塑性樹脂をその融点(軟化点)以上に加熱することができるようになっている。
このような製造装置1Aを用いて、樹脂成形体を製造する方法を以下に説明する。まず、図2(a)に示すように、下型3Aの型内31に、繊維強化樹脂材51を配置する。なお、このとき、可動ピン32は、下限の位置にあり、下型3Aから突出していない。
ここで、繊維強化樹脂材51は、たとえば連続強化繊維などの強化繊維に第2の熱可塑性樹脂が含浸された複合材であり、樹脂成形体を部分的に補強するための補強材として作用するものである。なお、この強化繊維は、上述したような、たとえば炭素繊維、ガラス繊維等を挙げることができ、第2の熱可塑性樹脂としては、上述したような、たとえばナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂等を挙げることができる。
次に、ベース材34に内蔵されたヒータを起動し、可動ピン32を、第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度まで加熱する。そして、図2(b)に示すように、ベース材34を上昇させることにより、下型3Aに対して入れ子式となった可動ピン32を、ピン可動孔31bを介して上昇(前進)させる。これにより、下型3Aの型内31において繊維強化樹脂材51を加熱した可動ピン32で容易に貫通させることができる。この結果、繊維強化樹脂材51には、可動ピン32のテーパ部分32aが露呈することになる。さらに、繊維強化樹脂材51の内部には、可動ピン32により、貫通孔51aが成形されることになる。
このようにして、可動ピンを貫通させる工程において、下型3Aに対して入れ子式に配置された可動ピン32を繊維強化樹脂材51に貫通させることにより、繊維強化樹脂材51を下型に対して固定することができる。
次に、図2(c)に示すように、樹脂基材を成形する工程において、下型3Aと、下型3Aに対向する上型2Aとの間に、加熱した溶融(軟化)した第1の熱可塑性樹脂(バルク材)52を配置する。第1の熱可塑性樹脂52は、第2の熱可塑性樹脂と同種の材料である。そして、上型2Aを下型3Aに対して降下させ、上型2Aと下型3Aとの間で、第1の熱可塑性樹脂52のプレスを開始する。
このときに、図2(d)に示すように、ベース材34を下降させて、可動ピン32を下型3Aに対して後退させることにより、可動ピン32が貫通した繊維強化樹脂材51から可動ピン32を引き抜く。この際に、プレスによる圧力により、可動ピン32により成形された繊維強化樹脂材51の貫通孔51aに、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂52を導入しながら、上下型内において樹脂基材52Aを成形する。
このようにして、繊維強化樹脂材51から可動ピン32を引き抜く際に、上型2Aと下型3Aで第1の熱可塑性樹脂52が加圧されるので、この圧力を利用して、貫通孔51aに、第1の熱可塑性樹脂52の一部を導入することができる。
また、樹脂基材52Aを成形する工程において、繊維強化樹脂材51は引き抜き途中の可動ピン32により固定されているので、繊維強化樹脂材51の位置ずれや、第1の熱可塑性樹脂52の流動が起因となった、たとえば連続した強化繊維の場合には、その乱れ、よれ、および目開きなどを抑制することができる。
特に、本実施形態の場合には、上型2Aと、下型3Aとにより、第1の熱可塑性樹脂を加圧しながら第1の熱可塑性樹脂(バルク材)52から樹脂基材52Aを成形するので、繊維強化樹脂材51が、第1の熱可塑性樹脂(バルク材)52に押圧される。これにより、繊維強化樹脂材51が位置ずれすることなく、貫通孔51aに、第1の熱可塑性樹脂の一部を導入することができる。また、成形段階において、可動ピン32は引き抜かれるので、可動ピン32による窪みの跡が樹脂成形体50Aに残ることはない。
さらに、図3に示すように、可動ピン32を引き抜く際に成形された、繊維強化樹脂材51の貫通孔51aに、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂52の一部が導入され、その後、貫通孔内の第1の熱可塑性樹脂は放冷により硬化するので、繊維強化樹脂材51と樹脂基材52Aとの密着性は、この貫通孔内に充填された第1の熱可塑性樹脂によるアンカー効果により確保される。
〔第2実施形態〕
図4は、本発明の第2実施形態に係る樹脂成形体の製造装置の模式的概念図である。図5は、図4に示す樹脂成形体の製造方法を説明するための模式図であり、(a)は、繊維強化樹脂材を下型内に配置した状態を示した図、(b)は、繊維強化樹脂材に可動ピンを貫通させた状態を示した図、(c)は、樹脂基材を射出成形する前の状態を示した図、(d)は、樹脂基材を射出成形した後の状態を示した図である。図6は、成形型内における第1の熱可塑性樹脂の圧力状態と、可動ピンの位置との関係を示した図である。
第1実施形態がプレス成形により樹脂成形体を製造したのに対して、第2実施形態では、射出成形により樹脂成形体を製造する点で、第1実施形態とその装置構成が異なる。また、ベース材34と可動ピン32の構造、および繊維強化樹脂材51は、第1実施形態と同じであるので、同じ符号を付して、その詳細な説明を一部省略する。
図4に示すように、本実施形態にかかる樹脂成形体の製造装置1Bは、樹脂成形体を射出成形により製造するための装置である。製造装置1Bは、上型2Bと、上型2Bに対向した下型3Bとからなる一対の成形型を備えている。具体的には、上型2Bは、下型3Bと型締めして、キャビティが形成されるように、昇降可能となっている。また、上型2Bの上部には、溶融した第1の熱可塑性樹脂53を導入するための導入口21aが設けられており、この導入口21aの近傍には、溶融した第1の熱可塑性樹脂53の圧力を測定するための圧力計22Bが接続されている。このようにして、上型2Bが下降し、下型3Bに対して型締めされたときに、これらの間に形成されたキャビティに、溶融した第1の熱可塑性樹脂53を導入することができる。
また、下型3Bの下方には、第1実施形態と同様に、ベース材34が昇降可能に配置されており、ベース材34には、先端がテーパ状に尖った複数の可動ピン32が立設されている。下型3Bには、複数の可動ピン32のそれぞれが入れ子式で移動可能なように、ピン可動孔31bが形成されている。
このような製造装置1Bを用いて、樹脂成形体を製造する方法を以下に説明する。まず、図5(a)に示すように、下型3Bの型内31に、繊維強化樹脂材51を配置する。なお、このとき、可動ピン32は、下限の位置にあり、下型3Bの下面から突出していない。
次に、第1実施形態と同様に、ベース材34に内蔵されたヒータを起動し、可動ピン32を、第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度まで加熱する。そして、図5(b)に示すように、ベース材34を上昇させることにより、下型3Bに対して入れ子式となった可動ピン32をピン可動孔31bを介して上昇(前進)させる。これにより、下型3Bの型内31において繊維強化樹脂材51を加熱した可動ピン32で容易に貫通させることができる。この結果、繊維強化樹脂材51には、可動ピン32のテーパ部分32aが露呈することになる。さらに、繊維強化樹脂材51の内部には、可動ピン32により、貫通孔51aが成形されることになる。
このようにして、可動ピンを貫通させる工程において、下型3Bに対して入れ子式に配置された可動ピン32を繊維強化樹脂材51に貫通させることにより、繊維強化樹脂材51を下型3Bに対して固定することができる。
次に、図5(c)に示すように、樹脂基材を成形する工程において、上型2Bを下降させることにより、上型2Bと、下型3Bとを、型締めする。そして、上型2Bと下型3Bとの間に形成されたキャビティ内に、導入口21aを介して溶融した第1の熱可塑性樹脂53を射出し、キャビティ内に第1の熱可塑性樹脂53を充填する。
図6において、実線が、溶融した第1の熱可塑性樹脂の圧力変化を示しており、一点鎖線が、可動ピン32の位置(ストローク)を示している。ここで、可動ピン32が上限(前進限)にあるときに、第1の熱可塑性樹脂53がキャビティ内に供給され、圧力計22Bによる第1の熱可塑性樹脂53の圧力が徐々に上昇する。そして、第1の熱可塑性樹脂53の圧力が上昇限に達して、一定となったときに、キャビティ内の第1の熱可塑性樹脂53は、加圧状態にある。
このときに、図5(d)に示すように、ベース材34を下降させて、可動ピン32を下型3Bに対して後退させることにより、可動ピン32が貫通した繊維強化樹脂材51から可動ピン32を引き抜く。この引き抜きの際に、可動ピン32により成形された繊維強化樹脂材51の貫通孔51aに、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂52を導入しながら、キャビティ内において樹脂基材52Aを射出成形する。
このようにして、繊維強化樹脂材51から可動ピン32を引き抜いて、上述した圧力により、貫通孔51aに溶融した第1の熱可塑性樹脂53を導入することができる。繊維強化樹脂材51の圧力が一定となったときには、繊維強化樹脂材51の周りには樹脂基材が成形されているので、可動ピン32の引き抜きの際に、繊維強化樹脂材51が位置ずれすることはない。また、成形段階において、可動ピン32は引き抜かれるので、可動ピン32による跡が樹脂成形体50Bに残ることはない。
さらに、図3に示したのと同様に、可動ピン32を引き抜く際に成形された、繊維強化樹脂材51の貫通孔51aに、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂53の一部が導入され、その後、貫通孔51a内の第1の熱可塑性樹脂は放冷により硬化するので、繊維強化樹脂材51と樹脂基材53Aとの密着性は、この貫通孔51a内に充填された第1の熱可塑性樹脂53によるアンカー効果により確保される。
以下の本発明を実施例に基づいて説明する。
〔実施例〕
炭素繊維からなる繊維径7μm、長さ200mmの連続繊維に、第2の熱可塑性樹脂としてポリアミド樹脂が含浸された厚さ250μmの繊維強化樹脂材を準備した。この繊維強化樹脂材に対して、第1実施形態に示すプレス成形により、長さ300mm、厚さ2mmの断面が六角形の筒状体の試験体を作製した。
具体的には、樹脂成形体の外側に、繊維強化樹脂材が配置され、内側に樹脂基材となる第1の熱可塑性樹脂として、ポリアミド樹脂が配置され、上述した試験体を長手方向に半割りにした形態の2つの樹脂成形体を成形した。そして、これらの樹脂成形体を接合して、上述した筒状体の試験体を作製した。
実施例では、プレス成形において、上述した繊維強化樹脂材に、先端が尖った極細テーパ型の可動ピンを貫通させ、成形型に対して、入れ子式の可動ピンを後退させながら、繊維強化樹脂材の貫通孔に、溶融したポリアミド樹脂を導入しつつ、樹脂成形体を成形した。
〔比較例〕
実施例と同じように、試験体を作製した。実施例と相違する点は、可動ピンを用いずに、樹脂成形体をプレス成形した点である。
〔曲げ強度試験〕
実施例1および比較例の試験体の質量を測定した。次に、筒状の試験体の一端の開口に固定部材を挿入することにより、試験体を固定し、他方の開口に可動部材を挿入して、試験体の長手方向に対して垂直方向に、この可動部材を移動させ、試験体が破壊するまでの荷重を測定した。そして、この質量に対する測定した荷重(単位質量あたりの曲げ強度)を算出した。この結果を図7に示す。図7は、実施例および比較例における試験体の曲げ強度(単位質量あたりの曲げ強度)の平均値(N数=3)と、そのばらつきを示している。
〔結果および考察〕
実施例の試験体は、比較例のものに比べて、曲げ強さは大きく、さらに、強度のばらつきも小さかった。これは、実施例の試験体は、比較例のものに比べて、可動ピンを用いて成形したため、連続強化繊維の位置ずれや乱れが少なく、樹脂基材と繊維強化樹脂材との接合強度も高かったことによると考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
第1および第2実施形態では、可動ピンを上昇(前進)させることにより、可動ピンを繊維強化樹脂材に貫通させたが、可動ピンを繊維強化樹脂材に貫通させることができるのであれば、可動ピンを上昇させた状態で、繊維強化樹脂材を配置する際に、貫通させてもよい。
また、第1および第2実施形態では、第1および第2の熱可塑性樹脂は、同じ種類の樹脂を用いたが、これが異なっていてもよく、第1の熱可塑性樹脂に、さらに短繊維の強化繊維が含まれていてもよい。
1A,1B:製造装置、2A,2B:上型、21a:導入口、22B:圧力計、3A,3B:下型、31:型内、31b:ピン可動孔、32:可動ピン、34:ベース材、50A,50B:樹脂成形体、51:繊維強化樹脂材、51a:貫通孔、52:第1の熱可塑性樹脂、52A:樹脂基材、53:第1の熱可塑性樹脂、53A:樹脂基材

Claims (3)

  1. 第1の熱可塑性樹脂を少なくとも含む樹脂基材に、強化繊維に第2の熱可塑性樹脂が含浸された繊維強化樹脂材を補強材として配置した樹脂成形体の製造方法であって、
    一対の成形型のうち一方の成形型に対して入れ子式に配置された可動ピンを前進させることにより、前記一方の成形型内において前記繊維強化樹脂材に前記可動ピンを貫通させる工程と、
    前記可動ピンを前記一方の成形型に対して後退させることにより、前記可動ピンが貫通した繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜く際に、
    該可動ピンにより成形された前記繊維強化樹脂材の貫通孔に、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂を導入しながら、前記一対の成形型内において前記樹脂基材を成形する工程と、を少なくとも含み、
    前記可動ピンを貫通させる工程において、前記第2の熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度に前記可動ピンを加熱して、前記可動ピンを前記繊維強化樹脂材に貫通させることを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
  2. 前記樹脂基材を成形する工程において、前記一方の成形型と、該一方の成形型に対向する他方の成形型との間に、前記第1の熱可塑性樹脂を配置し、
    前記繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜く際に、
    前記一方の成形型と他方の成形型とで前記第1の熱可塑性樹脂を加圧しながら、前記貫通孔に、前記第1の熱可塑性樹脂を導入することを特徴とする請求項1記載の樹脂成形体の製造方法。
  3. 前記樹脂基材を成形する工程において、前記一方の成形型と、該一方の成形型に対向する他方の成形型とを、型締めし、
    前記一対の成形型内に、溶融した前記第1の熱可塑性樹脂を射出することにより、前記一対の成形型内に前記第1の熱可塑性樹脂を充填し、
    前記第1の熱可塑性樹脂の圧力が一定の圧力となったときに、前記繊維強化樹脂材から前記可動ピンを引き抜いて、前記圧力により、前記貫通孔に前記第1の熱可塑性樹脂を導入することを特徴とする請求項1記載の樹脂成形体の製造方法。
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