JP5725741B2 - 繊維強化複合材 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維から構成される不織布と熱可塑性樹脂とからなる複合材に関する。
自動車部品は軽量化のため炭素素材の利用が進められており、炭素繊維等の強化繊維を含む織物シートと熱可塑性樹脂とからなる複合材が良く知られている。例えば特許文献1には、透明又は半透明の熱可塑性樹脂に炭素繊維及び/又は合成繊維で成る織物シートを積層し含有させ強度、意匠性、成型性に優れた織物加飾樹脂製品を成形する方法が開示されている。熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂に比べて成形タクトの短縮には有効であるが、溶融粘度が高いために、織物シートへ含浸する速度が極めて遅く、トータルとしての成形サイクルを短縮することはできない。
したがって、これまでは織物シートへの射出による樹脂の含浸には、粘度の低い熱硬化性樹脂が用いられているが、これは自動車も含め比較的高価な用途に限られている。
特開2009−51080号公報
特許文献1のように織物シートへ熱可塑性樹脂を含浸させるのとは異なり、強化繊維を含む熱可塑性樹脂からなるペレットを用いて射出成形を行う技術が知られている。しかし、この方式では、含まれる強化繊維が、射出成形時、特にペレットを溶融させる可塑化工程においてスクリュで強いせん断力を受けることで折損してしまう。そのために、強化繊維は、ペレットのときよりも射出成形後の繊維長が極端に短くなる。したがって、この方式による熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材は、連続繊維である織物シートを用いた複合材に比べ機械的強度が低いために、用途が限定されていた。
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、熱可塑性樹脂を用いた繊維強化複合材の機械的強度を向上することを目的とする。
かかる目的のもとなされた、本発明の筐体用繊維強化複合材(以下、単に繊維強化複合材)は、繊維長さが10〜30mmの強化繊維を含み、その重量平均による繊維長が3mm以上であり、不織布に由来する強化繊維と、強化繊維を保持する射出成形により浸透された熱可塑性樹脂からなるマトリクスと、を備えることを特徴とする。
本発明の繊維強化複合材は、厚み方向の中央部に配置される内層と、内層の厚み方向の両側に配置される外層と、を備える場合に、外層よりも内層に多く強化繊維が存在する形態を含む。この形態を第1形態という。また、本発明の繊維強化複合材は、第1形態とは逆に内層よりも外層に多く強化繊維が存在する形態も含む。この形態を第2形態という。
本発明の繊維強化複合材は、強化繊維からなる不織布に対して熱可塑性樹脂を射出成形することにより得ることができる。不織布は織物シートに比べて繊維間の隙間が多いので、溶融した熱可塑性樹脂の含浸が容易であり、織物シートに対して射出成形するのに比べて、強化繊維と樹脂との接触面積が大きくなり高い強度を発現することができる。また、不織布に対して熱可塑性樹脂を射出する方法によると、強化繊維を含むペレットを用いる方法に比べて成形後の強化繊維の長さを長く維持できる。つまり、本発明による繊維強化複合材は、金型内に不織布を設置した状態で当該金型内に樹脂を射出することで得ることができるので、強化繊維は強いせん断力を受けるスクリュを通過することがない。射出成形時にも、不織布は流動する溶融樹脂からせん断力を受けるが、このせん断力は射出成形機のスクリュで受けるせん断力に比べて小さいために、強化繊維が折損する度合いが小さくてすむ。その結果として、本発明の繊維強化複合材には、10〜30mmの繊維長の強化繊維を含み、重量平均による繊維長が3mm以上の強化繊維を含むことができる。
本発明の筐体用繊維強化複合材において、熱可塑性樹脂に対する不織布の体積比が10〜60%であること、不織布の単位面積当たりの強化繊維の繊維量が、40〜500g/cmであることが好ましい。また、不織布は、厚み方向に複数の貫通孔を備えることが好ましい。
また、本発明の繊維強化複合材において、不織布は単一のウェブからなるものを用いることができるし、積層された複数枚のウェブを用いることができる。詳しくは後述するが、上述した第1〜3形態による繊維強化複合材を作製する場合、積層された複数枚のウェブを用いることが有効である。
本発明の繊維強化複合材は、不織布に由来する強化繊維と熱可塑性樹脂との親和性を向上する上で射出発泡成形を適用することもできる。これは、発泡剤を溶融樹脂中に添加することによって、その粘度が低下し、より不織布中への樹脂の含浸が容易となる。用いる発泡剤は、物理発泡剤や化学発泡剤のいずれを用いても良い。
本発明の繊維強化複合材は、不織布に由来する強化繊維がマトリクス中に保持されている。不織布は織物に比べて平面方向の強度が等方的である。したがって、本発明による繊維強化複合材もまた織物を用いた複合材に比べ、強度が等方的である。つまり、平面方向の任意の方向aの引張強度をσa、任意の方向aに直交する方向bの引張強度をσbとすると、本発明の繊維強化複合材は|σb−σa|/σa≦0.1という特性を満足することができる。
本発明の繊維強化複合材は、溶融した熱可塑性樹脂の含浸が容易である不織布を金型中に配置して射出成形により製造できるので、繊維強化複合材中に存在する強化繊維の長さを10〜30mmと長くできる。その結果、本発明の繊維強化複合材は、高い機械的強度が得られる。
繊維強化複合材の断面を示し、(a)は第1形態、(b)は第2形態、(c)は第3形態を示している。 射出成形機の主要部概略を示す断面図である。 金型キャビティ内に突出させたピンを貫通させて不織布を固定する方法を示す断面図であり、(a)、(b)は型開(待機)状態を示し、(c)は型閉状態を示す。また、(a)は(b)のA−A矢視断面、(b)は可動金型をキャビティ側から観た平面図、(c)は(a)と同じ箇所の断面図である。 第1形態の繊維強化複合材の製造工程要部を説明する図である。 第2形態の繊維強化複合材の製造工程要部を説明する図である。 第3形態の繊維強化複合材の製造工程要部を説明する図である。 アクティブ温調を用いた射出成形の手順を説明する図である。
以下、本発明にかかる繊維強化複合材の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
[繊維強化複合材]
本発明による繊維強化複合材は、不織布に由来する強化繊維と、強化繊維を保持する熱可塑性樹脂からなるマトリクスとからなる。
繊維強化複合材は、詳しくは後述するように、金型内に不織布を配置した状態で熱可塑性樹脂を射出成形することで得られるものであり、不織布はよく知られているように、繊維を織らずに絡み合わせたシート状のものをいい、外部に連通する多数の空孔が内部に存在する。射出成形時に溶融した熱可塑性樹脂が浸透して不織布の空孔内を満たし、繊維強化複合材のマトリックスをなす熱可塑性樹脂の機械的強度を向上させる。本発明が不織布を用いるのは、射出成形により熱可塑性樹脂を内部に浸透させるのが織物に比べて容易であることに加え、繊維の配向方向が不定方向であるため、機械的強度の平面方向の依存性がないことによる。そして機械的強度の向上を十分に発現させるためには、不織布への熱可塑性樹脂の浸透性、及び不織布と熱可塑性樹脂との親和性を十分に確保することが重要である。後述するように、本発明はこの点に特に対応した手段を講ずることができる。
本発明による繊維強化複合材中には、繊維長が10mm以上の強化繊維を含む。それにより、本発明による繊維強化複合材は機械的強度が高い。一方、強化繊維の長さは長いほど機械的強度の向上にとっては好ましいが、30mmを超えてもさほど強度向上の作用は見られなくなる。したがって、本発明の繊維強化複合材には10〜30mmの繊維長の強化繊維を含む。好ましい長さは15〜30mm、より好ましい長さは20〜30mmである。なお、ここでいう繊維長とは、強化繊維の個々の長さをいう。
本発明の繊維強化複合材中には、10〜30mmの繊維長の強化繊維が1%以上含まれることが、機械的強度の向上にとって好ましい。この範囲は、より好ましくは3%以上である。10〜30mmの繊維長の強化繊維は多く含まれるほど好ましく、上限を規定する必要性ははいが、本発明の繊維強化複合材が射出成形により作製されることから、20%以下、さらには15%以下の範囲となる。
本発明の繊維強化複合材は、以上のように10〜30mmの繊維長の強化繊維を含むとともに、重量平均で特定される繊維長が3mm以上である。つまり、10〜30mmと長い繊維長の強化繊維だけで繊維強化複合材を構成することは最も好ましいが、前述したように、射出成形の過程で強化繊維は折損する。したがって、10〜30mmの繊維長の強化繊維が含まれるだけでなく、繊維強化複合材を構成する強化繊維の全体としての繊維長を重量平均繊維長で3mm以上にすることが、機械的強度の向上にとって好ましいからである。
なお、本発明において、重量平均繊維長は、以下の方法によって測定するものとする。
成形品の任意の場所から、60〜100mm角程度の正方形状の試験片を切り出し、これを樹脂の分解温度以上の温度で所定時間加熱して樹脂分を灰化除去し強化繊維のみとする。この後、強化繊維のみとした試験片を適当な液媒中で分散させ700〜1000本の繊維の長さを、画像処理などを用いて計測する。
さらに、計測した個々の繊維の長さから下式を用いることによって重量平均繊維長を求める。ただし、式中のLiは繊維長であり、Qiは繊維長Liの本数である。
[重量平均繊維長]=(ΣQi×Li)/(ΣQi×Li)
本発明の繊維強化複合材に含まれる強化繊維は不織布に由来する。織物は織り方に応じて平面方向の強度に異方性を有するのに比べて不織布は等方性を有する。したがって、本発明の繊維強化複合材は平面方向の強度が等方性を有し、平面方向の任意の方向aの引張強度をσa、任意の方向aに直交する方向bの引張強度をσbとすると、|σb−σa|/σa≦0.1を満足することができる。平面方向の強度の等方性は、より好ましくは|σb−σa|/σa≦0.07、さらに好ましくは|σb−σa|/σa≦0.03である。
本発明において、不織布に由来する強化繊維、と表現している理由は以下の通りである。本発明の繊維強化複合材は、金型内に不織布を配置した状態で射出成形することで作製される。射出成形する過程で不織布は熱可塑性樹脂による圧力を受けることで原型が崩れてしまい、不織布とは言えない形態になることもある。したがって、最終的に得られる繊維強化複合材では、不織布とは言わずに、不織布に由来する強化繊維と言うのである。もちろん、最終的に得られる繊維強化複合材が原型を留めている不織布を含む場合であっても、個々の強化繊維は不織布に由来するものであることに相違はない。
熱可塑性樹脂は不織布の空孔内を満たすものであるから、繊維強化複合材における熱可塑性樹脂の占める比率は不織布よりも少なくなる。その中で、熱可塑性樹脂が占める比率が少なすぎる(不織布の占める比率が多すぎる)と、空孔を熱可塑性樹脂で十分に満たすことができずに親和性を十分に確保できない場合がある。また、熱可塑性樹脂の占める比率が多すぎる(不織布の占める比率が少なすぎる)と、不織布により強化されない部分が増えるために、強度向上効果を十分に得られない場合がある。以上の観点より、熱可塑性樹脂に対する不織布の体積比を10〜60%程度とすることが好ましい。より好ましい体積比は15〜55%、さらに好ましい体積比は20〜50%である。なお、ここでいう不織布の体積は、空孔の部分は含まないものとする。
次に、本発明の繊維強化複合材は、強化繊維の存在位置によりいくつかの形態を含んでいる。以下、図1を参照して説明する。
<第1形態>
図1(a)に示す繊維強化複合材100は、上述した第1形態に対応している。繊維強化複合材100は、厚み方向の中央部に配置される内層101と、内層101の厚み方向の両側に配置される外層103とを備えている。この繊維強化複合材100は、内層101及び外層103には熱可塑性樹脂からなるマトリクスが満たされているが、内層101にはマトリクスに保持される強化繊維が存在し、外層103は強化繊維が存在することなくマトリクスのみからなる。なお、図中、平行な方向の点線が強化繊維(不織布)の存在を示している。以下も同様である。
厚み方向の中央部に強化繊維が配置される第1形態による繊維強化複合材100は、成形品表面への強化繊維の浮出しがないため、外観意匠性に優れる。また、塗装、メッキなどを施し加飾する場合にも表層に浮出た強化繊維に起因する表面の凹凸がないため優れた外観を得ることができるという効果がある。
繊維強化複合材100の製造方法は後述する。
繊維強化複合材100は外層103に強化繊維が存在しないこととしたが、本発明の第1形態は、外層103よりも内層101に多く強化繊維が存在すればよいから、外層103に強化繊維が存在してもよいし、外層103から内層101に向けて強化繊維の量が連続的に増加してもよい。これら形態であっても、上記の効果を享受できる。また、一方の外層103の表面のみ強化繊維が存在しない形態をとることもできる。
<第2形態>
図1(b)に示す繊維強化複合材200は、上述した第2形態に対応している。繊維強化複合材200は、厚み方向の中央部に配置される内層201と、内層201の厚み方向の両側に配置される外層203とを備えている。この繊維強化複合材200は、内層201及び外層203には熱可塑性樹脂からなるマトリクスが満たされているが、両外層203にはマトリクスに保持される強化繊維が存在し、内層201は強化繊維が存在することなくマトリクスのみからなる。
厚み方向の両外側に強化繊維が配置される第2形態による繊維強化複合材200は、少ない強化繊維の量で厚み方向への曲げ強度の向上が図られる。特に高価な炭素繊維を用いる場合には、曲げ強度に優れた成形品をより安価に提供することが可能となり、また、重量増加を抑えることが可能である。
繊維強化複合材200の製造方法は後述する。
繊維強化複合材200は内層201に強化繊維が存在しないこととしたが、本発明の第2形態は、内層201よりも外層203に多く強化繊維が存在すればよいから、内層201に強化繊維が存在してもよいし、外層203から内層201に向けて強化繊維の量が連続的に減少してもよい。これら形態であっても、上記の効果を享受できる。
<第3形態>
図1(c)に示す繊維強化複合材300は、上述した第3形態に対応している。繊維強化複合材300は、厚み方向の中央部に配置される内層301と、内層301の厚み方向の両側に配置される外層303とを備えている。この繊維強化複合材300は、内層301及び外層303には熱可塑性樹脂からなるマトリクスが満たされているとともに、繊維強化複合材300の厚み方向に断続的に強化繊維が存在する。
厚み方向に亘って強化繊維が均等に保持される第3形態による繊維強化複合材300は、各種物性が厚み方向に均等に維持されること、成形品の反りや変形が発生しにくいことなどの特徴がある。また、第1形態や第2形態と比較して不織布の位置を制御する必要がないため作りやすく製造方法としての自由度が高いという特徴がある。
繊維強化複合材300の製造方法は後述する。
以上、本発明による第1形態〜第3形態を説明したが、例えば、強化繊維を含む層を厚み方向に連続的に設ける等、ここで説明した具体的な形態に本発明が限定されるものではない。
本発明は、後述するように、射出発泡成形により繊維強化複合材を製造することができる。この場合、得られる繊維強化複合材には射出発泡成形に由来する空孔がマトリクス中に存在する。この空孔の直径は、概ね、0.1〜1mm程度である。
<不織布>
次に本発明に用いられる不織布について説明する。
本発明に用いられる不織布は、強化繊維から構成される。強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維、アラミド繊維を用いることができるが、その中で炭素繊維、ガラス繊維を用いることが好ましい。なお、炭素繊維とは、よく知られているように、有機系の繊維を炭化した繊維状物質であって、炭化度が90〜98%以上のものをいうが、具体的な材質を本発明は問わない。また、ガラス繊維とは、よく知られているように、ケイ酸塩を主成分とするガラスを溶融、加工して繊維状にしたものをいうが、これについても具体的な材質を本発明は問わない。
不織布における強化繊維のサイズは特に限定されないが、繊維の径(直径、以下同じ)は1〜20μm、繊維の長さは10〜100mmの範囲から選択されるのが好ましく、アスペクト比としては100以上とするのが好ましい。繊維径が細すぎると不織布の製造過程でのハンドリングが難しく、折損などが生じやすく、またコストも著しく高くなり、また、繊維径が太すぎると熱可塑性樹脂との接触面積が低減するため所望の強度を発現できなくなる。また、繊維長が短すぎると強度が低下し、繊維長が長すぎるとコストアップの要因となる。なお、不織布を構成する強化繊維の繊維径及び繊維長は必ずしも一種類である必要はなく、複数の種類(径、長さ)の繊維を混ぜ合わせて不織布を構成してもよい。
不織布の目付量(単位面積当たりの繊維量)は特に限定されないが、40〜500mの範囲から選択されるのが好ましい。目付量が小さすぎると要求される強度特性を得るのが難しく、また、目付量が大きすぎると重量増や強化繊維間への樹脂浸透性が悪化する。
本発明における不織布は、一枚のウェブから構成することもできるし、複数枚のウェブを積層して構成することもできる。一枚か複数枚かの選択は、基本的には、繊維強化複合材において強化繊維が要求される厚さに基づいてなされる。ただし、他の要因に基づいて、不織布を構成するウェブの枚数を選択できることはもちろんである。
本発明に用いられる不織布は、目付量が厚み方向に均等なものに限らず、不均等にすることができる。例えば、表裏両層の目付量を中間層の目付量に比べて大きくすると、繊維強化複合材としての曲げ剛性を向上させることができる。例えば、表裏両層の目付量を100g/m、中間層の目付量を20g/cmとする。このように目付量を傾斜させることにより、必要な機械的強度を得るのに、中間層における繊維量を必要最小限にできるので、コスト及び重量増加を抑制することができる。また、不織布の厚み方向の一方の側の目付量を大きくし、他方の側の目付量を小さくすることにより、表裏で剛性などの物性が異なる繊維強化複合材を製造することも可能である。なお、このような目付量を傾斜させることは、一枚のウェブで不織布を構成できることはもちろん、複数枚のウェブが積層された不織布とすることもできる。複数枚のウェブが積層された不織布については、ウェブ同士を単純に積層してもよいし、ウェブ同士を結合させてもよい。つまり、本発明において、ウェブの積層状態は任意である。この結合には、次に説明するケミカルボンド法等の公知の方法を適用することができる。不織布の積層状態を適切に選択することにより、先に説明した第1形態〜第3形態を作り分けることができる。
本発明に用いる不織布の製造方法は限定されず、乾式法、湿式法、スパンボンド法、メルトプレーン法、エアレイド法などの公知の方法を広く適用することができる。また、これらの製法で得られた不織布(ウェブ)の繊維を結合する方法としては、ケミカルボンド法(浸漬法,スプレー法)、サーマルボンド法、ニードルパンチ法、水流交絡法などの公知の方法を広く適用することができる。この結合方法は、ウェブ同士を結合させる場合にも適用できる。
<熱可塑性樹脂>
本発明に用いられる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート系ポリマー、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリサルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の公知の材質から選択すればよい。
原料としての熱可塑性樹脂は、樹脂のみで構成されている場合に限らず、強化繊維を含む熱可塑性樹脂を用いてもよい。例えば、強化繊維を含んでいるペレットを熱可塑性樹脂と混合してもよいし、強化繊維を含んでいるペレットのみを原料としてもよい。
[製造方法]
以下、本発明の繊維強化複合材を製造する好適な方法を説明する。
図2に射出成形機10の主要部概略を示しているように、射出成形機10は、固定ダイプレート14に固定金型11が取り付けられ、固定金型11に対向する可動金型12は可動ダイプレート15に取り付けられている。可動金型12には固定金型11に対向する面側にキャビティ13が設けられている。固定金型11の背面側には、固定金型11及び固定ダイプレート14に形成された樹脂流入路16の入り口に当接するノズル18を備えた射出シリンダ17が配置されている。
射出成形するのに先立ち、強化繊維からなる不織布Nを可動金型12のキャビティ13内の所定位置に設置する。所定位置に設置された不織布Nは、型閉時や射出成形の最中に位置ずれを起こさないように固定されることが必要になる。不織布Nの固定方法としては、粘着剤を用いて金型に貼り付ける、あるいは、金型に設けた通気孔を介して不織布Nを真空引きする、といったことが考えられる。また、金型キャビティ内に突出させたピンに刺し不織布Nを固定することもできる。以下、ピンで不織布Nを固定する方法について、図3を参照して説明する。ただし、図3に示す不織布Nの固定方法はあくまで一例であり、他の手法を採用してもよいことは言うまでもない。
図3に示すように、可動金型12は不織布Nをキャビティ13の所定位置に固定する固定機構20を備える。固定機構20は、可動金型12の内部に設けられる収容スペース19内に、前後方向(可動金型12の移動方向)に往復動可能に収容される。固定機構20は平板状のベース21と、ベース21から立設する4本の固定ピン22と、ベース21の四隅から立設する作動コラム23とから構成される。固定機構20は、図3(a),(b)に示す待機状態において、固定ピン22の先端が不織布Nを貫通できるようにキャビティ13に突出するとともに、作動コラム23の先端が可動金型12の前端面から突出する。この待機状態において、4本の固定ピン22が不織布Nを刺すことで、不織布Nをキャビティ13内に位置決めする。
不織布Nを位置決めした後に、可動金型12を固定金型11に向けて金型を閉じる。可動金型12の前端面が固定金型11に接する射出位置まで可動金型12を前進させると、作動コラム23の先端が固定金型11に接することで、固定機構20は後方に押し込まれる。この動作に伴って、固定ピン22はその先端が不織布Nをちょうど貫通する程度まで後退する。この状態になったなら射出成形を開始する。
<第1形態〜第3形態の製法>
本発明の繊維強化複合材が、強化繊維の存在形態により第1形態〜第3形態を含むことは前述の通りであるが、以下、各形態の製造方法の概要を説明する。
第1形態(図1(a))による繊維強化複合材100を、複数枚の強化繊維からなるウェブWを積層した不織布N1を用いて製造する例を、図4を参照して説明する。
この例では、複数枚のウェブW同士が結合された不織布N1を用いる。ウェブW同士の結合方法は前述の通りである。複数枚のウェブW同士が結合された不織布N1を、可動金型12のキャビティ13内の所定位置に設置した後(図4(a))に、射出成形を開始する。キャビティ13に射出された熱可塑性樹脂は、不織布N1(ウェブW)の空孔内を満たす。この過程で、ウェブW同士が結合されているので、不織布N1の側方からも熱可塑性樹脂が侵入しても(図4(b)矢印T)隣接するウェブW同士は剥離することなく、不織布N1は結合された状態が保持される。このようにして、第1形態による繊維強化複合材100を製造することができる(図4(c))。
第2形態(図1(b))による繊維強化複合材200を、複数枚の強化繊維からなるウェブWを積層した不織布N2を用いて製造する例を、図5を参照して説明する。
この例では、4枚のウェブWの中で隣接する2枚のウェブW同士は結合されているが、結合されたウェブ対n1同士は単純に積層された不織布N2を用いる(図5(a))。隣接する2枚のウェブW同士の結合方法は前述の通りである。不織布N2を、可動金型12のキャビティ13内の所定位置に設置した後に、射出成形を開始する。キャビティ13に射出された熱可塑性樹脂は、不織布N2(ウェブW)の空孔内を満たす。この過程で、ウェブ対n1同士は結合されていないので、ウェブ対n1の境界に熱可塑性樹脂が侵入して隣接するウェブ対n1同士を離間させる(図5(b))。各ウェブ対n1自体は、ウェブW同士が結合されているので剥離することがない。このようにして、第2形態による繊維強化複合材200を製造することができる(図5(c))。
第3形態(図1(c))による繊維強化複合材300を、複数枚の強化繊維からなるウェブWを積層した不織布N3を用いて製造する例を、図6を参照して説明する。
この例では、隣接するウェブW同士は結合されておらずウェブWが単純に積層された不織布N3を用いる(図6(a))。不織布N3を、可動金型12のキャビティ13内の所定位置に設置した後に、射出成形を開始する。キャビティ13に射出された熱可塑性樹脂は、不織布N3(ウェブW)の空孔内を満たす。この過程で、各ウェブW同士は結合されていないので、隣接するウェブWの境界に熱可塑性樹脂が侵入して隣接するウェブW同士を離間させる(図6(b))。このようにして、第3形態による繊維強化複合材300を製造することができる(図6(c))。
<射出圧縮成形>
熱可塑性樹脂の射出は基本的には定法に従って行えばよいが、本発明は射出圧縮成形を適用することを推奨する。
射出圧縮成形は、射出圧縮に必要な所定の金型の開き量eだけ型開きをした状態で射出動作を行ない、射出開始から射出完了までの間に、可動金型12を固定金型11に向けて開き量eだけ移動させることでキャビティ13内の可塑化された溶融樹脂を圧縮する方法である。射出圧縮成形は、射出時にキャビティをわずかに拡大し、樹脂の充填を無理なく行った後に成形品に圧力を加えるため、型内圧の一様化が進み、低歪で反りやひけの無い成形品が得られるとされている。本発明によると、射出圧縮成形は射出時の樹脂の圧力が低いことで、樹脂の射出時に不織布を構成する強化繊維が折損するのを抑制できるという効果を奏することが見出された。
本発明者等の検討によると、射出圧縮成形の圧縮量によって、得られる繊維強化複合材の厚みのバラツキが変動する。また、樹脂の射出により不織布を構成する強化繊維に折損が生じることは前述したとおりであるが、当初の繊維長に対する成形後の繊維長が射出圧縮成形の圧縮量によって変動する。後述する第1実施例に示されるように、圧縮量が大きくなるにつれて複合材の厚みのバラツキが大きくなる一方、射出後の繊維長については圧縮量が2mmのときにピークを示している。以上より、本発明において射出圧縮成形を適用する場合には、圧縮量を1〜3mm程度に設定することが好ましい。
また、射出圧縮成形の圧縮速度については、遅い方が成形後の繊維長が長くなる傾向にあるが、著しく遅くなると成形サイクルに影響するため、5〜15mm/secの範囲に設定することが好ましい。
<予熱>
繊維強化複合材の機械的強度を向上するためには、不織布への熱可塑性樹脂の浸透性、及び不織布を構成する繊維と熱可塑性樹脂との親和性の向上を射出時に図ることが好ましい。ここでいう浸透性とは、溶融された熱可塑性樹脂が不織布中の空孔に浸透することをいい、また、親和性とは浸透した樹脂と繊維がなじむことをいう。そのために、本発明では、射出を開始する前に不織布を加熱することが好ましい。この加熱を予熱という。
予熱の温度は、用いられる熱可塑性樹脂の融点に応じて、当該融点以上の範囲で選択されるのが望ましいが、融点以下でも効果を得ることが可能である。いくつかの熱可塑性樹脂について例示しておくと、融点が255±10℃程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)の加熱温度は、120℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。融点が210±5℃程度のPA6(ポリアミド6)の加熱温度は、100℃以上が好ましく、130℃以上がより好ましい。また、融点が165±10℃程度のPP(ポリプロピレン)加熱温度は、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
予熱は金型の所定位置に不織布を設置した状態で行うことが好ましいが、射出成形機の外部で予熱が行われた不織布を金型の所定位置に設置することもできる。ただし、外部で予熱を行う場合には、温度低下を避けるために予熱された不織布を保温する必要があること、予熱を行う設備が別途必要であること、等の制約があるため、金型に設置した状態で予熱を行うことが好ましい。
金型に不織布を設置した状態で予熱を行うには、例えば、熱風を不織布に吹きつけることができる。また、不織布を構成する強化繊維が炭素繊維の場合には、不織布に渦電流を作用させて誘導加熱することができるし、不織布に通電することで抵抗加熱することもできる。さらに、金型(可動金型12)内に冷媒流路を設け、この冷媒流路に加熱媒体を供給することで不織布を加熱することもできる。また、金型の加熱のために金型内部に電気ヒーターなどを埋め込む方法も用いることができる。
金型を介するこの加熱は、熱容量の大きな金型も加熱されているため、不織布の温度低下を防ぐのに有効である。この加熱方法は、本出願人により提供される射出成形機に設けられるアクティブ温調システム(例えば、月刊プラスチックエージ2008年2月号)により容易に実現できる。アクティブ温調システム(以下、単にアクティブ温調)は、冷却媒体をも冷媒流路に供給することもできる。
アクティブ温調を用いた射出成形の手順を図7に基づいて説明する。
金型のキャビティ内に不織布を設置した後に、アクティブ温調側を動作させ、冷媒流路に加熱媒体を供給して金型を加熱する。金型を加熱することで、不織布を所望する温度まで加熱する。この間、射出に関する動作は待機状態とされる。なお、金型を加熱するタイミングは限定されず、成形サイクルを短縮するために不織布を設置するよりも前に金型の加熱を開始することもできる。
金型が所定の温度まで加熱されて不織布の予熱を終了すると、金型を閉じて(型閉)、熱可塑性樹脂を金型のキャビティ内に射出するとともに、射出が完了した後も保圧を所定時間行う(射出+保圧)。この間、アクティブ温調側は、別途設けたバイパス流路内に冷媒を流すことで、金型への冷媒の供給を行わない。なお、予熱が終了すると、アクティブ温調側は供給する媒体を冷却媒体に切替えておく。
保圧の途中もしくは保圧が終了すると、射出側は冷却工程(冷却)に移行する。アクティブ温調側は、冷却媒体を金型の冷媒流路に供給することで、成形された複合材を強制的に冷却する。
以上のように、アクティブ温調を利用することで、不織布に予熱を与える工程から冷却までの工程を効率よく連続的に行うことができる。なお、ここでは射出圧縮成形について触れなかったが、アクティブ温調と射出圧縮成形を組み合わせることが有効であることは言うまでもない。
以上の予熱は、前述した浸透性および親和性の向上を図る以外に、不織布の型付けを行うのに利用することができる。例えば、円弧状断面を有する複合材を得たい場合には、不織布を予め円弧状に型付け(プリフォーム)した後に、射出成形することが好ましい。
<発泡成形>
本発明は、浸透性および親和性の向上を図り、繊維強化複合材を高強度化する目的で、予熱に代えて、又は予熱とともに射出発泡成形を行うことが好ましい。
射出発泡成形を行う方法として、原料の熱可塑性樹脂ペレットに、アゾジカルボン酸アミドや重曹、クエン酸などの熱分解型の化学発泡剤を混合する化学発泡法と、ガス状もしくは超臨界状態の物理発泡剤を射出成形機のシリンダの途中で注入する物理発泡方法とが知られているが、本発明は両者を適用することができる。
本発明において、射出発泡成形を適用することにより以下の作用、効果が期待される。
不織布内部にはそれぞれの強化繊維によって形成される空孔が存在する。不織布表面からこの内部の空孔へ熱可塑性樹脂は浸入しにくいが、発泡成形を適用することにより樹脂の流動末端部においても発泡圧により樹脂を不織布内に強制的に浸入させることができるので、浸透性の向上が図られる。
また、発泡剤により射出される樹脂を低粘度化することにより、不織布内への樹脂の浸入を促進させて、不織布に対する樹脂のアンカー効果を向上させる。したがって、不織布と樹脂との密着強度が向上し、繊維強化複合材の強度向上に寄与する。
さらに、射出発泡成形を行うと、射出される樹脂の粘度を低下させることで低圧射出を実現し、樹脂の充填時に不織布の所定位置からのズレ、不織布へのシワの発生を抑制する。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更を加えることができる。例えば、不織布の厚み方向に貫通孔を複数個設けることにより、不織布に対する熱可塑性樹脂の密着強度を向上できるといった効果を期待できる。貫通孔の代わりに、不織布の表面に突起を設けてもよい。
以下に示す試験条件の下、炭素繊維不織布を射出成形機の金型内に設置して射出成形を行い、炭素繊維不織布に熱可塑性樹脂が含浸された複合材を作製した。なお、炭素繊維不織布を用いることなく樹脂のみを射出成形する例を比較例1とした。また、射出成形については、表1に示す条件(圧縮量、圧縮速度、圧縮開始スクリュ位置)で、射出圧縮成形を適用した例も行った。なお、表1の圧縮開始スクリュ位置比率は以下の式(1)により定義される。
得られた複合材について、成形品厚み分布、重量平均繊維長及び引張強度の評価を行った。結果を表2に示す。なお、重量平均繊維長は、複合材の熱可塑性樹脂を加熱により除去した後に700〜1000本の炭素繊維を無作為に抽出して、上記の式に基づいて求めた。
圧縮開始スクリュ位置比率=1−(圧縮開始位置/射出開始位置)…(1)
[試験条件]
成形機:三菱重工プラスチックテクノロジー製射出成形機 450MEII−50
金 型:要素試験用平板金型 (180×600mm、厚み2.0mm)、中央ダイレクトゲート
炭素繊維不織布:炭素繊維不織布、目付量:200g/m、150×400mm
ガラス不織布:ガラス繊維不織布、目付量:200g/m、150×400mm
樹 脂:PA6 東レ製 CM1017(熱可塑性樹脂)
金型温度:80℃
Figure 0005725741
Figure 0005725741
表に示される結果より、以下のことが判る。
射出成形により熱可塑性樹脂を炭素繊維不織布に含浸させることで、熱可塑性樹脂に比べて引張強度を格段に向上できる。
また、射出圧縮成形を適用することにより、通常の射出成形よりも複合材の引張強度を向上できる。これは、射出圧縮成形による複合材の炭素繊維の長さが射出圧縮成形のそれよりも長いことに基づいている。つまり、射出圧縮成形も含め、射出成形の際には繊維不織布に圧力が加わるので、不織布を構成する炭素繊維の中には折損して当初より短くなるものがある。しかしながら、射出圧縮成形は、通常の射出成形に比べて成形時の圧力が低いので、炭素繊維の折損の程度が軽微になる。その結果として、複合材中の炭素繊維の長さが通常の射出成形によるものより長くなり、引張強度が高い。
次に、射出圧縮成形の圧縮量によって、複合材の厚みのバラツキ及び重量平均繊維長が変動する。つまり、圧縮量が大きくなるにつれて複合材の厚みのバラツキが大きくなる。一方、重量平均繊維長については、2mmの圧縮量のときにピークを示している。この結果より、高強度の複合材を高い精度で作製する場合には、圧縮量は1〜3mm程度に設定することが好ましい。なお、圧縮量に上記のようにピークが現れるのは、繊維を折損させる作用が圧縮量によって相違するためと解される。つまり、圧縮量が大きくなると、圧縮動作時の樹脂の変形量が大きくなることで繊維が折損するのに対して、圧縮量が小さくなると、樹脂の流れる流路が狭くなるのに伴って樹脂の流れ速度が速くなり、大きいせん断応力が発生して繊維が折損する。
圧縮速度が速くなると、繊維長は短くなる傾向にある。試験した条件(圧縮速度)の中では10mm/sのときに重量平均繊維長が最も長くなった。
また、射出速度による重量平均繊維長の影響については、70cc/secと100cc/secとでは有意差は見られない。
射出成形を開始する前に炭素繊維不織布を加熱(予熱)するか又は発泡成形することにより、引張強度が向上する。ただし、予熱の方法としては、アクティブ温調の方が、予熱温度を高くできることに加え、金型自体も加熱され熱くなっているために炭素繊維不織布の温度が低下しにくい。そのために、炭素繊維不織布と熱可塑性樹脂との親和性がより高いままで射出成形が行われ、アクティブ温調による複合材の引張強度が高いものと解される。また、発泡成形を適用することでも、炭素繊維不織布と熱可塑性樹脂との親和性を向上し、複合材の引張強度を向上できる。特に、アクティブ温調と発泡成形を組み合わせた例(実施例15)は、熱可塑性樹脂が流れやすく、かつ冷えにくいため、厚みバラツキが小さくなり、引張強度も高い。
なお、発泡成形は、化学発泡剤(重曹系化学発泡剤、永和化成製発泡剤、EE205D)を2wt%だけ熱可塑性樹脂原料と混ぜて射出成形機のホッパーに投入しスクリュにて可塑化混合を行い射出成形機のノズルを通して、金型内に射出するものである。発泡成形を適用した実施例15、16による繊維強化複合材中には発泡成形に由来する0.01〜0.1μmの直径を有する空孔が観察された。また、予熱については、金型内の所定位置に設置された炭素繊維不織布を熱風で加熱する方法と、前述したアクティブ温調により金型を介して加熱する方法の2通りで行った。
実施例18〜20は、複数枚の炭素繊維ウェブを積層した不織布を用いたものである。実施例18、19は、上述した第1形態に対応するものであり、各炭素繊維ウェブ同士が接合された不織布を用いることで、図1(a)に示す形態の繊維強化複合材が得られた。実施例20は、上述した第2形態に対応するものであり、2枚のウェブ同士は結合されているが、結合されたウェブ対同士は単純に積層された不織布を用いることで、図1(b)に示す形態の繊維強化複合材が得られた。
10…射出成形機
11…固定金型、12…可動金型、13…キャビティ、17…射出シリンダ
20…固定機構、22…固定ピン、23…作動コラム
100,200,300…繊維強化複合材
101,201,301…内層、103,203,303…外層
N,N1,N2,N3…不織布、W…ウェブ、n1…ウェブ対

Claims (7)

  1. 繊維長が10〜30mmの強化繊維を含み、その重量平均による繊維長さが3mm以上であり、不織布に由来する強化繊維と、
    前記強化繊維を保持する射出成形により浸透された熱可塑性樹脂からなるマトリクスと、
    を備え
    厚み方向の中央部に配置される内層と、
    前記内層の前記厚み方向の両側に配置される外層と、を備え、
    前記外層よりも前記内層に多く前記強化繊維が存在するか、又は、
    前記内層よりも前記外層に多く前記強化繊維が存在する、
    とを特徴とする筐体用繊維強化複合材。
  2. 前記熱可塑性樹脂に対する前記不織布の体積比が、10〜60%である、
    請求項1に記載の筐体用繊維強化複合材。
  3. 前記不織布の単位面積当たりの前記強化繊維の繊維量が、40〜500g/cmである、
    請求項1又は請求項2に記載の筐体用繊維強化複合材。
  4. 前記不織布は、厚み方向に複数の貫通孔を備える、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の筐体用繊維強化複合材。
  5. 前記強化繊維は、積層された複数枚の前記不織布に由来する、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の筐体用繊維強化複合材。
  6. 発泡成形に由来する空孔が、前記マトリクス中に存在する、
    請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の筐体用繊維強化複合材。
  7. 前記繊維強化複合材は、
    平面方向の任意の方向aの引張強度をσa、前記任意の方向aに直交する方向bの引張強度をσbとすると、
    |σb−σa|/σa≦0.1
    を満足する請求項1〜のいずれか一項に記載の筐体用繊維強化複合材。
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