〔第1実施形態〕
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、工場等において稼働する生産機器の運用管理を行うための運用管理システム100の概略構成を示す構成図である。図2は、運用管理システム100により運用管理される生産機器としての捲回機10の概略構成を示す構成図である。図3は、捲回機10により製造されるリチウムイオン電池素子1(以下、単に「電池素子1」という)の断面模式図である。
運用管理システム100の説明に先立って、まず電池素子1及び捲回機10について説明する。
図3に示すように、電池素子1は、2枚のセパレータ2,3(正極用セパレータ2、負極用セパレータ3)を間に介して、電極シート4,5(正極シート4、負極シート5)が重ね合わされた状態で捲回されることで製造される。尚、図3においては、説明の便宜上、セパレータ2,3及び電極シート4,5(以下、これらを総称する場合は「各種シート2〜5」という)の相互の間隔をあけて示している。
セパレータ2,3は、それぞれ同一の幅を有する帯状をなしており、異なる電極シート4,5同士が互いに接触して短絡を起こしてしまうのを防止すべく、ポリプロピレン(PP)等の絶縁体により構成されている。
電極シート4,5は、薄板状の金属シートよりなり、セパレータ2,3と略同一の幅を有している。また、電極シート4,5の表裏両面には活物質が塗布されている。正極シート4には例えばアルミニウム箔シートが用いられ、その表裏両面に正極活物質が塗布されている。負極シート5には例えば銅箔シートが用いられ、その表裏両面に負極活物質が塗布されている。
正極シート4及び負極シート5の間においては、上記活物質を介してイオン交換がなされる。より詳しくは、充電時には、正極シート4側から負極シート5側へとイオンが移動し、放電時には、負極シート5側から正極シート4側へとイオンが移動する。
尚、図示は省略するが、正極シート4の幅方向一端縁からは、溶接された複数の正極タブが延出するとともに、負極シート5の幅方向他端縁からは、溶接された複数の負極タブが延出している。
そして、リチウムイオン電池を得るに際しては、捲回された電池素子1が金属製で筒状をなす電池容器内に配設されるとともに、前記正極タブ及び負極タブがそれぞれ前記電気容器の両端開口を塞ぐ正極端子部品及び負極端子部品に接続されることで、リチウムイオン電池を得ることができる。
次に、電池素子1を製造するための捲回機10について詳しく説明する。図2に示すように、捲回機10は、各種シート2〜5を捲回するための捲回部11と、正極シート4を供給する正極シート供給機構31と、負極シート5を供給する負極シート供給機構41と、正極用セパレータ2を供給する正極用セパレータ供給機構51と、負極用セパレータ3を供給する負極用セパレータ供給機構61とを備えている。
尚、上記捲回部11や各供給機構31,41,51,61、後述する捲回機10内の各種機構は、所定の筐体21内に収容されると共に、後述する主制御部111(図1参照)により制御される構成となっている。
正極シート供給機構31は、正極シート4がロール状に捲回されてなる正極シート原反32と、正極シート4を後述する一対のニップローラ71A・71B間へ送り出すための一対の繰出しローラ33A・33Bと、正極シート4を切断するためのシート切断カッタ34とを備えている。
正極シート原反32は、巻芯コアの周囲にロール状に捲回されてなり、これが軸ローラ38に対し取付けられている。軸ローラ38は定トルクモータ等の軸ローラ駆動手段によりトルク制御され、ここから引き出される正極シート4に対して所定のテンション(張力)を付与可能に構成されている。
一対の繰出しローラ33A・33Bは、それぞれサーボモータ等の繰出しローラ駆動手段により回転制御可能に構成されると共に、図示しないエアシリンダ等の駆動手段により上下動可能に構成されている。これにより、一対の繰出しローラ33A・33Bは、正極シート4を挟持する閉状態と、正極シート4を開放する開状態とに開閉動作可能となるを一対のニップローラ71A・71B間へ送り出す際には、一対の繰出しローラ33A・33Bにより正極シート4を挟持しつつ、各繰出しローラ33A・33Bが回転することで、正極シート4を正極シート原反32から引き出しつつ、一対のニップローラ71A・71B間へ送り出す。
シート切断カッタ34は、正極シート4の上下に位置する一対の刃部からなる。正極シート4の切断は、一対の繰出しローラ33A・33Bにより正極シート4が挟持された状態で行われる。
加えて、正極シート供給機構31は、正極シート原反32の残量を検知するための残量検知センサ35と、予備の正極シート原反36と、両正極シート原反32,36の接続作業を行う正極シート自動継ぎ機構37とを備えている。
残量検知センサ35は、レーザ変位センサ等からなり、正極シート原反32の径を計測することにより、その残量を検知する構成となっている。勿論、残量検知センサ35の構成は、これに限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい(以下の残量検知センサ45,55,65についても同様)。
正極シート自動継ぎ機構37は、前記軸ローラ38に装着された正極シート原反32がなくなる直前において、当該なくなる直前の正極シート原反32の終端部と、新たな正極シート原反36の始端部との接続等を行うと共に、当該正極シート原反36を新たに軸ローラ38に装着することで、捲回部11に対する正極シート4の連続的な供給を可能とするものである。勿論、正極シート自動継ぎ機構37の構成は、これに限定されるものではなく、異なる構成を採用してもよい(以下の自動継ぎ機構47,57,67についても同様)。
負極シート供給機構41は、正極シート供給機構31と同様、負極シート原反42、軸ローラ48、一対の繰出しローラ43A・43B、シート切断カッタ44、残量検知センサ45、負極シート原反46、負極シート自動継ぎ機構47などを備えている。尚、一対の繰出しローラ43A・43Bなど、負極シート供給機構41の各種構成は、正極シート供給機構31と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
セパレータ供給機構51,61は、それぞれセパレータ2,3がロール状に捲回されてなるセパレータ原反52,62を備えている。
セパレータ原反52,62は、それぞれ巻芯コアの周囲にロール状に捲回されてなり、これが軸ローラ58,68に対し取付けられている。軸ローラ58,68は定トルクモータ等の軸ローラ駆動手段によりトルク制御され、ここから引き出されるセパレータ2,3に対して所定のテンションを付与可能に構成されている。
セパレータ2,3は、それぞれ一対のニップローラ71A・71B間,81A・81B間を通して捲回部11へ供給される。
一対のニップローラ71A・71B,81A・81Bのうち、一方のニップローラ71A,81Aは、それぞれサーボモータ等のローラ駆動手段により回転制御可能に構成されると共に、図示しないエアシリンダ等の駆動手段により上下動可能に構成された可動ローラとなっている。
他方のニップローラ71B,81Bは、位置を変位させることなく、自由回転可能に軸支され、ニップローラ71A,81Aの回転動作や搬送されるセパレータ2,3等に従動して回転する固定ローラとなっている。
これにより、一対のニップローラ71A・71B,81A・81Bは、セパレータ2,3及び電極シート4,5を挟持する閉状態と、これらを開放する開状態とに開閉動作可能となる。
加えて、セパレータ供給機構51,61は、セパレータ原反52,62の残量を検知するための残量検知センサ55,65と、予備のセパレータ原反56,66と、両セパレータ原反52,56及び両セパレータ原反62,66の接続作業を行うセパレータ自動継ぎ機構57,67とを備えている。
残量検知センサ55,65は、上記残量検知センサ35と同様、レーザ変位センサ等からなり、セパレータ原反52,62の径を計測することにより、その残量を検知する構成となっている。
セパレータ自動継ぎ機構57,67は、上記電極シート自動継ぎ機構37,47と同様、前記軸ローラ58,68に装着されたセパレータ原反52,62がなくなる直前において、当該なくなる直前のセパレータ原反52,62の終端部と、新たなセパレータ原反56,66の始端部との接続等を行うと共に、当該セパレータ原反56,66を新たに軸ローラ58,68に装着することで、捲回部11に対するセパレータ2,3の連続的な供給を可能とするものである。
また、各種シート2〜5の供給経路の途中には、各種シート2〜5を案内するための各種ガイドローラ(符号略)等も設けられている。
次に捲回部11の構成について説明する。捲回部11は、回転可能に設けられた円盤状のターレット12と、当該ターレット12の回転方向に180°間隔で設けられた2つの巻芯13,14と、セパレータ2,3を切断するためのセパレータカッタ16とを備えている。
巻芯13,14は、それぞれ自身の外周側において各種シート2〜5を巻取るためのものであり、自身の中心軸を回転軸として回転可能に構成されている。また、巻芯13,14は、ターレット12の軸線方向に沿って、当該ターレット12に対し出没可能に設けられている。
巻芯13,14は、それぞれ自身の軸線方向に沿って延びる一対の芯片から構成されており、当該一対の芯片間にセパレータ2,3を挟持可能に構成されている。
巻芯13,14は、ターレット12が回転することにより、捲回ポジションP1と、取外しポジションP2との間を旋回移動可能に構成されている。
捲回ポジションP1は、巻芯13,14に対し各種シート2〜5を捲回するポジションであり、当該捲回ポジションP1に対し上記各供給機構31,41,51,61からそれぞれ各種シート2〜5が供給されることとなる。
取外しポジションP2は、捲回後の各種シート2〜5、すなわち電池素子1の取外しを行うためのポジションである。
取外しポジションP2の周辺部には、捲回後の各種シート2〜5がばらけるのを抑えるための押えローラ(図示略)や、巻芯13,14から電池素子1の取外しを行うための取外装置(図示略)等が設けられている。
セパレータカッタ16は、捲回ポジションP1の近傍において上下動し、ターレット12に接近しセパレータ2,3を切断する切断位置と、ターレット12から離間し巻芯13,14の移動を妨げない退避位置とへ移動可能に構成されている。
尚、本実施形態では、巻芯13,14に対し直に各種シート2〜5を捲回する構成となっているが、これに限らず、巻芯13,14に対し巻芯コアを取付け、当該巻芯コアに対し各種シート2〜5を捲回する構成としてもよい。
次に上記捲回機10を用いた電池素子1の捲回手順について詳しく説明する。
尚、図2では、捲回ポジションP1にて各種シート2〜5を捲回した一方の巻芯14が取外しポジションP2へ移動すると共に、新たに捲回ポジションP1へ移動した他方の巻芯13がセパレータ2,3を挟持した状態を示している。
図2に示した状態から、取外しポジションP2の巻芯14と、捲回ポジションP1の巻芯13との間でセパレータ2,3を切断した後、捲回ポジションP1にて新たな電池素子1の捲回が開始される。尚、この段階においては、一対のニップローラ71A・71B,81A・81Bは開状態となっている。
そして、セパレータ2,3が巻芯13に所定長だけ巻付けられると、巻芯13が一旦停止し、繰出しローラ33A・33B,43A・43Bを回転させ、電極シート4,5を繰出す。
電極シート4,5の先端がニップローラ71A・71B間,81A・81B間に達したところで、繰出しローラ33A・33B,43A・43Bを停止すると共に、ニップローラ71A・71B,81A・81Bを閉状態とし、電極シート4,5をセパレータ2,3と重ね合わせた状態で挟持する。これに合わせて、繰出しローラ33A・33B,43A・43Bを開状態とし、電極シート4,5を開放する。
続いて、巻芯13を再び回転させ、電極シート4,5が巻芯13に巻付けられていくと、ニップローラ71A・71B,81A・81Bを開状態する。これにより、これ以後、各種シート2〜5が重ね合わされた状態で巻芯13に捲回されていくこととなる。
巻芯13に対し各種シート2〜5が所定長巻付けられると、巻芯13の回転動作が一旦停止する。かかる状態で、繰出しローラ33A・33B,43A・43Bが閉状態となり、電極シート4,5が把持された上で、シート切断カッタ34,44により切断される。
電極シート4,5の切断が終了すると、巻芯13が所定量回転し、セパレータ2,3と共に電極シート4,5の終端部分(巻き残し部分)を巻取る。
電極シート4,5の終端部分の巻取りが完了すると、セパレータ2,3を切断することなく、ターレット12が回転する。これにより、一方の巻芯13がセパレータ2,3を引き出しつつ、取外しポジションP2側へと移動すると共に、他方の巻芯14がターレット12に対し没入した状態で捲回ポジションP1側へと移動する。
そして、巻芯13,14がそれぞれ取外しポジションP2,捲回ポジションP1に達すると、ターレット12が停止すると共に、捲回ポジションP1にてターレット12から巻芯14が突出し、セパレータ2,3をまとめて把持する。同時に、取外しポジションP2にて、巻芯13に対し図示しない押えローラが接近し、セパレータ2,3の終端部近傍を押える。
この状態でセパレータカッタ16が作動し、取外しポジションP2の巻芯13と、捲回ポジションP1の巻芯14との間でセパレータ2,3を切断する。
当該切断後、前記押えローラにより、セパレータ2,3の終端部近傍を押えた状態で、取外しポジションP2の巻芯13が回転し、セパレータ2,3の終端部分を巻取ると共に、セパレータ2,3の終端部分を巻止めテープ(図示略)により巻止めすることにより、各種シート2〜5の捲回作業が完了し、電池素子1が完成する。当該電池素子1は、図示しない取外装置により巻芯13から取り外される。
なお、上記セパレータ2,3の切断後には、取外しポジションP2におけるセパレータ2,3の終端部分の巻取作業を行う同時に、捲回ポジションP1において、巻芯14を回転させ、当該巻芯14が把持したセパレータ2,3の始端部分の巻取りを開始する。
以降、上述した工程が繰り返し行われ、巻芯13,14に対し各種シート2〜5が交互に捲回されることにより、電池素子1が順次製造されていくこととなる。
そして、捲回機10(主制御部111)は、各供給機構31,41,51,61における残量検知センサ35,45,55,65の検知結果に基づき、各種シート2〜5の原反32,42,52,62が無くなる直前だと判断すると、自動継ぎ機構37,47,57,67を駆動させ、事前に当該自動継ぎ機構37,47,57,67にセットされた予備の原反36,46,56,66の始端部を、先の原反32,42,52,62の終端部に接続する等の作業を行い、各種シート2〜5を捲回部11に対し連続的に供給する。
尚、予備の原反36,46,56,66は、自動継ぎ機構37,47,57,67が作動する以前に、予め作業者によりセッティングされている。以下、かかるセッティング作業を「材料補充作業」という。
次に、捲回機10の運用管理システム100について詳しく説明する。図1に示すように、運用管理システム100により管理される工場内には、上記捲回機10が複数台設置されている。本実施形態では、1号機から10号機までの10台の捲回機10が設置されている。勿論、運用管理システム100の管理対象となる捲回機10の数は、これに限定されるものではない。例えば1台の捲回機10を運用管理する構成としてもよい。
各捲回機10は、上記構成に加えて、捲回機10に関する主な制御を司る主制御部111と、各種通信の制御を行う通信制御部(無線通信装置)112と、当該通信制御部112と後述する携帯端末200との間で電波を送受信するためのアクセスポイント(アンテナ装置)113と、表示手段及び入力手段を構成するタッチパネル114とを備えている。
主制御部111は、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)により構成されており、CPUやメモリ等を有している。勿論、PLCに代えて、PC(パーソナルコンピュータ)を採用してもよい。
CPUは、制御システムプログラムにしたがって、シーケンスプログラムを実行することにより、例えば上記残量検知センサ35等の入力デバイスから入力される信号に基づいて、上記正極シート自動継ぎ機構37等の出力デバイスに対し制御指示や制御データを与えるといった演算処理や、メモリに対するデータの書き込み/読み出しの制御などを行う。
メモリは、制御システムプログラムを記憶するROMなどからなるシステムメモリと、シーケンスプログラムを記憶するフラッシュメモリなどからなるプログラムメモリと、演算データや入出力データなどのデータを一時的に記憶するRAMなどからなるデータメモリを有している。
各捲回機10の通信制御部112は、LAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブルにより接続されており、有線LANを構成している。また、アクセスポイント113と携帯端末200との間では、無線通信を行う無線LANが構成されている。従って、これら有線LAN及び無線LANにより工場内の構内LANが構成され、当該構内LANにより本実施形態における通信回線が構成されることとなる。
通信制御部112は、アクセスポイント113を介して、主制御部111から出力される各種データを各携帯端末200へ送信し、又、各携帯端末200から受信した各種データを主制御部111へ入力する機能を有している。
尚、各捲回機10のアクセスポイント113は、携帯端末200と電波を送受信可能な範囲が自身周囲の所定エリアに限定されているため、各捲回機10の通信制御部112は、自身の捲回機10のアクセスポイント113のエリア内に送受信を行う対象となる携帯端末200が存在しない場合には、当該携帯端末200と送受信可能なエリアを有する他の捲回機10のアクセスポイント113を介して、データの送受信を行うこととなる。
また、通信制御部112は、アクセスポイント113を介して、複数の携帯端末200間におけるデータの送受信を中継する機能を有している。例えば、作業者Aの携帯端末200Aから作業者Bの携帯端末200Bへデータ送信を行う場合には、作業者Aの携帯端末200A→アクセスポイント113→通信制御部112→アクセスポイント113→作業者Bの携帯端末200Bといった経路をたどることとなる。
次に、携帯端末200について説明する。本実施形態では、携帯端末200として、既存のスマートフォンやタブレットPCなどが使用される。
従って、図示は省略するが、携帯端末200は、各種演算処理を行うCPU等からなる制御部、プログラム等を記憶するROMや各種データを一時的に記憶するRAMなどからなるメモリ、アクセスポイント113を介して各種データの送受信を行う通信手段としての通信処理部などを備えている。
また、携帯端末200は、各種情報を表示可能な表示部201を備えている。表示部201は、いわゆるタッチパネルにより構成されており、表示手段及び入力手段を構成する。
以下、上記のように構成されてなる運用管理システム100の動作態様について図5のフローチャート等を参照して説明する。
工場内で稼働している各捲回機10の主制御部111は、定期的に(例えば30秒間隔で)、各供給機構31,41,51,61における残量検知センサ35,45,55,65の検知結果に基づき、各種材料(各種シート2〜5の原反32,42,52,62)の残量を把握し、メモリに記憶する。従って、残量検知センサ35,45,55,65が本実施形態における監視手段を構成する。
一方で、工場内(捲回機10が設置された生産室や、作業者が待機する監視室など)には、捲回機10の保守管理を行う複数の作業者が従事しており、各作業者は、それぞれ携帯端末200を1台ずつ所持している。
そして、作業者が、携帯端末200に予めインストールされたソフトウェア(アプリケーション)を起動させると、携帯端末200の表示部201には、所定のメニュー画面が表示される(図示略)。
続いて、作業者が、メニュー画面に表示された「材料状況」ボタンを押すと、図4に示すような「材料状況」画面が表示される。尚、ここで「ボタン」とは、表示部201に表示されたボタンを模した画像を意味する(以下同様)。
携帯端末200は、「材料状況」ボタンが押されると、上記構内LANを介して、各捲回機10の主制御部111に対し、材料状況データを要求するデータ要求信号を送信する。これを受信した各捲回機10の主制御部111はそれぞれ、当該要求信号を送信した送信元の携帯端末200に対し、4種類の材料状況データ、すなわち各種シート2〜5の原反32,42,52,62の残量を示すデータを返信する。従って、材料状況データが、本実施形態における「生産機器の状態に関する状態情報(材料残量情報)」に相当する。
一方、各捲回機10から材料状況データを受信した携帯端末200は、当該材料状況データをメモリに記憶する。従って、各携帯端末200のメモリには、10台の捲回機10に係る4種類の材料状況データ、合計40種類の材料状況データが記憶されることとなる。
以後、携帯端末200は、バックグラウンド処理で所定間隔(例えば30秒間隔)ごとに、各捲回機10に対し上記データ要求信号を送信して、新たな材料状況データを取得し、メモリに記憶する。これにより、携帯端末200のメモリ内の材料状況データは、所定間隔毎に最新のデータに更新されていくこととなる。
そして、携帯端末200の「材料状況」画面には、上記材料状況データを基にした作業リスト300が表示される(ステップS1)。
作業リスト300に表示される各作業項目301には、上記材料補充作業を行う対象となる捲回機10の号機番号、材料補充作業を行うべき材料名、当該材料の残量(残り材料)、材料補充作業を行う作業者名などが表示される。これにより、作業者は、「作業者による所定の作業を必要とする状態」が生じた旨、及び、その具体的内容について把握することができる。
ここで、「材料の残量」としては、作業者が認識しやすいように、当該材料が消費される残り時間が表示される。また、「作業者名」としては、携帯端末200の固有情報(IDやMACアドレスなど)と関連させて、予め登録した作業者(現在の作業者)の名前が表示される。作業リスト300に、作業を行う担当者の名前が表示されることで、各作業者は、他の作業者がどの作業を担当しているか把握することができるため、自身がどの作業を担当すべきか選択しやくなり、作業性の向上を図ることができる。
尚、同一の携帯端末200であっても、勤務シフトごとに、それを使用する作業者が異なることもあるため、携帯端末200の固有情報が表示されるだけでは、実際に作業を行っている者を特定できないおそれがある。これに対し、本実施形態のように、作業項目301に、作業者名を表示することで、各作業を担当している作業者をより確実に把握することができる。
作業リスト300では、複数の作業項目301が、上記材料補充作業を行う優先順位が高い順に上から下へ並ぶように表示される。本実施形態では、材料の残量が少ない順に並ぶように表示される。但し、作業リスト300には、材料の残量が残り20分以内のものだけが表示され、20分を超えるものは表示されないようになっている。これに限らず、例えば30分以内のものだけを表示する構成としてもよいし、制限を設けず、すべて表示するようにしてもよい。
続いて、作業者は、作業リスト300の中から自身が材料補充作業を行う作業項目301をタッチして選択する(ステップS2)。ここで、作業者により選択された作業項目301の欄は、初期色(例えば白色)から、「選択中」を示す所定色(例えば黄色)に変化する。同時に、「開始」ボタン302の色も、作業者に操作を促すよう、初期色(例えば白色)から所定色(例えば黄色)に変化する。
次に、作業者は、「開始」ボタン302を押すことにより、作業項目301を選択したことを決定させる(ステップS3)。尚、「開始」ボタン302を押すまでは、選択する作業項目301を変更可能な状態となっている。
ここで、作業者により選択された作業項目301の欄は、上記所定色(例えば黄色)から、さらに「作業中」を示す特定色(例えばオレンジ)に変化する。同時に、「開始」ボタン302は、「リセット」ボタン303(図7参照)に、その態様を変化させる。「リセット」ボタン303の機能については後述する。
「開始」ボタン302が押されると同時に、携帯端末200は、上記構内LANを介して、他の全ての作業者の携帯端末200に対し、上記作業項目301を選択した旨の選択情報を送信する(ステップS4)。これを受信した他者の携帯端末200は、自身の作業リスト300において、前記選択情報を送信した送信元の携帯端末200が選択した上記作業項目301の欄をグレーアウトして、当該作業項目301を選択不能とする(ステップS5)。
一方、上記送信元の携帯端末200が選択した作業項目301の対象となった捲回機10(主制御部111)は、材料補充作業が完了すると、最新の材料状況データを全作業者の携帯端末200に対し送信する。
本実施形態では、未使用の原反32,42,52,62(原反36,46,56,66)を消費するのに要する時間は100分程度となっている。従って、材料補充作業を終えたばかりの材料に関しては、当該時間が材料状況データ(材料の残量)に加算されることとなるため、各作業者の携帯端末200においては、当該材料に係る作業項目301が作業リスト300から除外され、非表示となる(ステップS6)。これにより、各作業者は、当該作業項目301に係る作業が完了したことを把握することができる。また、当該作業を行っていた作業者は、新たな作業項目301を選択することができる。
ここで、上記材料補充作業の完了後、捲回機10(主制御部111)が最新の材料状況データを全作業者の携帯端末200に対し送信するのに代えて、材料補充作業が完了した旨の完了信号を各携帯端末200に対し送信し、これを受信した携帯端末200において、当該完了した作業項目301が作業リスト300から除外され、非表示となる構成を採用してもよい。
尚、本実施形態では、1台の携帯端末200に対し、1件のみ作業項目301を選択可能に構成されている。従って、作業者は、所定の作業項目301を選択決定した後、他の作業項目301に変更したい場合には、一旦、これを解除する必要がある。上記「リセット」ボタン303は、この解除操作を行うためのものである。従って、「リセット」ボタン303は、本実施形態における選択解除手段を構成する。
例えば、「リセット」ボタン303を押すと、選択していた作業項目301の欄の色が初期色に戻り、作業項目301を選択変更可能となる。同時に、「リセット」ボタン303は、「開始」ボタン302に、その態様を変化させる。これにより、上記手順により、作業者は新たな作業項目301を選択決定することができる。
以下、携帯端末200の操作手順及び表示態様の具体例について、図6,7を参照して説明する。図6,7では、作業者Aが所有する携帯端末200Aと、作業者Bが所有する携帯端末200Bとが図示されている。
両携帯端末200A,200Bの表示部201A,201Bに表示された作業リスト300A,300Bの上位2つ(第1欄及び第2欄)の作業項目301A,301Bは、既に作業者C,Dにより選択され、作業中(グレーアウト)の状態となっている。このため、作業者A,Bは、上位2つの作業項目301A,301Bを選択不能となっている。
ここで、作業者Aが、作業リスト300の上から3つ目(第3欄)の作業項目301Aをタッチして選択すると、当該選択された3つ目の作業項目301Aの欄は、初期色(例えば白色)から、「選択中」を示す所定色(例えば黄色)に変化すると共に、「開始」ボタン302Aの色も初期色(例えば白色)から所定色(例えば黄色)に変化する(図6参照)。一方、この段階では、作業者Bの携帯端末200Bにおける作業項目301Bや「開始」ボタン302Bの態様に変化はない。
勿論、必ずしも作業リスト300の上から順に作業項目301を選択する必要はなく、例えば作業者Aが、作業リスト300の上から3つ目(第3欄)の作業項目301Aを飛ばして、現在地により近い捲回機10に係る、上から4つ目(第4欄)の作業項目301Aを自身が行う作業として選択決定してもよい。
そして、作業者Aが「開始」ボタン302Aを押すことにより、作業項目301Aを選択したことを決定させると、当該選択された作業項目301Aの欄の色が上記所定色(例えば黄色)から、「作業中」を示す特定色(例えばオレンジ)に変化する(図7参照)。同時に、「開始」ボタン302Aが、「リセット」ボタン303に、その態様を変化させる。
また、「開始」ボタン302Aが押されると同時に、作業者Aの携帯端末200Aは、上記構内LANを介して、作業者Bの携帯端末200Bに対し、上から3つ目の作業項目301Aを選択した旨の選択情報を送信する。これを受信した作業者Bの携帯端末200Bは、自身の作業リスト300Bにおいて、作業者Aの携帯端末200Aが選択した上から3つ目の作業項目301Bの欄をグレーアウトして、当該作業項目301Bを選択不能とする。
以上詳述したように、本実施形態では、各捲回機10の供給機構31,41,51,61における残量検知センサ35,45,55,65により、各種シート2〜5の原反32,42,52,62(以下、単に材料という)の残量が監視される。そして、材料の残量が少なくなり、材料補充作業が必要となった場合には、各作業者の所持する携帯端末200の作業リスト300Bに、その旨の作業項目301が表示される。これにより、各作業者は、上記材料補充作業を行わなければならないことを認知することができる。
さらに、所定の作業者が自身の所持する携帯端末200を使用して、所定の作業項目301を自身が行う作業として選択決定した場合には、他の作業者が所持する携帯端末200において、当該作業項目301の欄がグレーアウトして、選択不能となる。これにより、他の作業者は、当該作業項目301に係る作業を所定の作業者が担当することを把握することができる。
結果として、携帯端末200に表示された作業項目301を選択決定した作業者だけが、当該作業項目301に係る作業に向かうこととなるため、同じ情報を受け取った複数の作業者たちが同時に同じ捲回機10へ同じ作業を行うために向かってしまうなどの不具合の発生を抑制することができる。
加えて、作業者側で自身の行う作業を選択決定できる構成となっているため、システム側で勝手に所定の作業を行う作業者を指定する構成に比べ、作業者が手の空いた状態となったり、1人の作業者が同時に複数の作業を受け持ってしまうなどの不具合が発生しにくい。
結果として、複数の作業者により効率よく捲回機10の運用管理を行うことができ、ひいては生産性の向上を図ることができる。特に複数の捲回機10の運用管理を行う際により奏功する。
さらに、作業リスト300の作業項目301にて、材料の残量が表示されると共に、複数の作業項目301が、材料補充作業を行う優先順位が高い順に(材料の残量が少ない順に)上から下へ並ぶように表示される。これにより、本実施形態のように捲回機10が複数ある場合や材料が複数ある場合など、監視対象が複数ある場合において、どの監視対象がより早く材料補充作業を行うことが必要であるかなどを、携帯端末200を見ることでより簡単に把握することができる。結果として、より緊急を要するものから選択的に作業を行うことができ、さらなる作業効率の向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態について図8のフローチャート等を参照して説明する。但し、上述した第1実施形態と重複する部分については、同一の部材名称、同一の符号を用いる等してその詳細な説明を省略するとともに、以下には第1実施形態と相違する部分を中心として説明することとする。
上記第1実施形態と同様、携帯端末200の「材料状況」画面には、作業リスト300が表示される(ステップT1)。
続いて、作業者は、作業リスト300の中から自身が材料補充作業を行う作業項目301をタッチして選択する(ステップT2)。ここで、作業者により選択された作業項目301の欄は、初期色(例えば白色)から、「選択中」を示す所定色(例えば黄色)に変化する。
次に、作業者は「開始」ボタン302を押す(ステップT3)。これと同時に、携帯端末200は、上記構内LANを介して、他の全ての作業者の携帯端末200に対し、上記作業項目301を選択した旨の選択情報を送信する(ステップT4)。
ここで、作業者により選択された作業項目301の欄は、上記所定色(例えば黄色)から、「仮決定中」を示す特定色(例えばオレンジ)に変化する。
一方、前記選択情報を受信した他者の携帯端末200は、自身の作業リスト300において、前記選択情報を送信した送信元の携帯端末200が選択した上記作業項目301の欄の色を、「仮決定中」を示す特定色(例えば緑色)に変化させると共に、当該作業項目301を選択不能とする。
送信元の携帯端末200は、他の携帯端末200に対し選択情報を送信すると同時に、上記構内LANを介して、作業対象となる捲回機10に対しても、上記作業項目301を選択した旨の選択情報を送信し、当該捲回機10に対し自身が選択された旨を通知する(ステップT5)。
上記選択情報を受信した捲回機10は、自身のタッチパネル114にて、「到着」ボタンを表示する(ステップT6)。
そして、当該捲回機10へ作業者が到着し、上記「到着」ボタンを押すと、当該捲回機10(主制御部111)は、自身に対し作業を行う当該作業者(の携帯端末200)と、上記選択情報を送信した所定の作業者(の携帯端末200)とが一致するか否かを認証する(ステップT7)。かかる機能により、本実施形態における認証手段が構成される。
例えば、本実施形態では、捲回機10は、上記「到着」ボタンが押されると、自身に設けられたアクセスポイント113と送受信可能なエリア内に存在する携帯端末200の固有情報を取得し、当該携帯端末200が、自身に対し上記選択情報を送信した携帯端末200であるか否かを判定することで、作業者の認証処理を行う。勿論、認証方法は、これに限定されるものではなく、例えば捲回機10と携帯端末200とが赤外線通信により認証作業を行うなど、異なる認証方法を採用してもよい。
ここで、捲回機10は、上記認証処理により両者が一致した場合には、材料補充作業を行うことを許可すると共に(ステップT8)、上記構内LANを介して、他の全ての作業者の携帯端末200に対し、作業者が確定した旨の確定情報を送信する(ステップT9)。
捲回機10は、作業を許可した場合には、例えばタッチパネル114にて、「到着」ボタンの色を「緑色」に点灯させた後、当該「到着」ボタンをタッチパネル114から消去する。これにより、作業者は、作業が許可された旨を認識することができる。
一方、捲回機10は、上記認証処理にて、両者が一致しない場合には、例えばタッチパネル114にて、「到着」ボタンの色を「赤色」に点灯させた後、当該「到着」ボタンをタッチパネル114から消去することなく、継続表示する。これにより、作業者は、作業が許可されず、自身が作業を行うべき捲回機10とは異なる捲回機10に来ていることを認識することができる。勿論、認証結果を報知する方法は、これに限定されるものではく、例えば所定のメッセージを表示したり、所定のランプを発光させるなど、異なる報知方法を採用してもよい。
ここで、捲回機10は、作業許可を出さない場合には、例えば材料補充作業を行うことができないように、筐体21を閉鎖したまま、開放できないようにするなどの措置をとるようにしてもよい。
また、捲回機10から上記確定情報を受信した他者の携帯端末200は、自身の作業リスト300において、前記選択情報を送信した送信元の携帯端末200が選択した上記作業項目301の欄を、上記「仮決定中」を示す特定色(例えば緑色)からグレーアウトして、当該作業項目301を選択不能とする(ステップT10)。
そして、上記作業許可を出した捲回機10(主制御部111)は、材料補充作業が完了すると、最新の材料状況データを全作業者の携帯端末200に対し送信する。
これにより、各作業者の携帯端末200においては、当該材料に係る作業項目301が作業リスト300から除外され、非表示となる(ステップT11)。
上記実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果に加え、作業者が誤って、自身が作業を行うべき捲回機10とは異なる捲回機10にて作業を行ってしまうような不具合の発生を抑制することができる。結果として、複数の作業者による複数の捲回機10の運用管理が煩雑になるおそれを低減することができる。
さらに、上記確定情報を受信した他の作業者は、所定の作業者が正しい捲回機10にて作業を行っているなど、所定の作業者の行動をさらに把握しやすくなり、上記第1実施形態の作用効果をさらに高めることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、運用管理システム100により運用管理される生産機器として、電池素子1を製造する捲回機(電池製造装置)10が例示されているが、運用管理システム100により運用管理される対象は、これに限定されるものではなく、ブリスタ包装機や基板実装装置など、他の生産機器を管理対象としてもよい。
ここで、例えば錠剤等が充填されるポケット部を有する容器フィルムと、ポケット部を塞ぐようにして容器フィルムに取着されたカバーフィルムとからなるブリスタシート(PTPシート)を製造するブリスタ包装機(PTP包装機)においては、監視対象となる材料として、容器フィルムやカバーフィルム、錠剤などが挙げられる。
(b)上記実施形態では、携帯端末200の例として、スマートフォンやタブレットPCなどが挙げられているが、これに限らず、既存の携帯電話機やノート型PC等を採用してもよい。勿論、タッチパネルに代えて、通常の液晶表示器等を表示手段として採用すると共に、マウス、キーボード等を入力手段として採用してもよい。
(c)上記実施形態では、携帯端末200が各捲回機10に対しデータ要求信号を送信して、各材料状況データを取得する構成となっているが、これに限らず、捲回機10の方から定期的に携帯端末200に対し材料状況データを送信する構成としてもよい。
また、構内LANを介して各捲回機10と通信可能に接続された管理サーバを設け、当該管理サーバが各捲回機10の材料状況データを一元管理する構成とし、当該管理サーバから携帯端末200が各捲回機10の各材料状況データを取得する構成としてもよい。
(d)ネットワーク構成(構内LAN)は、上記実施形態に限定されるものではない。
例えば上記実施形態では、各捲回機10の通信制御部112がLANケーブルにより接続された構成(有線LAN)となっているが、これに限らず、これらが無線LANにより接続された構成としてもよい。
また、必ずしも各捲回機10が相互にネットワーク接続される必要はなく、少なくとも各捲回機10と携帯端末200とがデータ送受信できる通信回線が形成されていればよい。通信回線に関しても、必ずしも工場内に専用のネットワークを構築する必要はなく、公衆の携帯電話通信網や公衆無線LANなどを通信回線として利用する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、各捲回機10ごとに、通信制御部(無線通信装置)112やアクセスポイント(アンテナ装置)113を備えた構成となっているが、これに限らず、これらの機能を捲回機10の外部に設けた構成としてもよい。また、必ずしも各捲回機10と1対1の関係でこれらを設ける必要はない。
また、上記実施形態では、無線LANを構成する無線通信規格に関して特に言及しなかったが、Wi−Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)など、少なくとも無線通信を利用してデータの送受信を行うことができる構成となっていれば、どのような無線通信規格を採用してもよい。
(e)上記実施形態では、各捲回機10の主制御部111が、各種材料(各種シート2〜5の原反32,42,52,62)の残量を監視し、携帯端末200は、少なくとも材料の不足状態、すなわち材料補充作業を必要とする状態となる前から、定期的に材料状況データ(材料残量情報)を取得し、このうち材料の残量の状態が、材料補充作業を必要とする状態(上記実施形態では、残り20分以内)であると判断したものに限り、作業リスト300の作業項目301と表示する構成となっている。
これに限らず、例えば材料の残量の状態が、材料補充作業を必要としない状態のもの(上記実施形態では、残り20分を超えるもの)も表示できる構成としてもよい。
また、上記実施形態に代えて又は加えて、各種材料の不足(欠乏)状態、又は、各捲回機10の異常状態や故障状態など、捲回機10の状態が所定の作業を必要とする状態にあるか否かを各捲回機10側にて監視すると共に、これに関する状態情報を取得した携帯端末200が、取得した情報をすべて作業項目301として表示する構成としてもよい。
(f)作業リスト300に表示される各作業項目301の内容は、上記実施形態に限定されるものではなく、少なくとも材料補充作業を行う対象となる捲回機10の号機番号や、材料補充作業を行うべき材料名が表示されるようになっていればよい。上記実施形態と異なる内容の情報が表示される構成としてもよい。
また、作業リスト300においては、必ずしも複数の作業項目301が、上記材料補充作業を行う優先順位が高い順に(材料の残量が少ない順に)並ぶように表示される構成となっていなくともよい。
但し、材料の残量(残り時間)や、材料補充作業を行う作業者名などが表示された方が、利便性の向上を図る上では好ましい。
(g)上記実施形態では、各捲回機10の主制御部111が、各種シート2〜5の原反32,42,52,62の残量だけを監視する構成となっているが、監視対象となる材料は、これに限定されるものではない。
例えば、捲回部11にて巻芯13,14に取付けられる巻芯コアの残量(個数)や、セパレータ2,3の終端部分を巻止めする巻止めテープの残量(長さ)、電極シート4,5に溶接されるタブの残量(個数)などを監視し、適宜、補充する構成を採用してもよい。
尚、上記捲回機10の異常状態や故障状態、巻芯コアの残量(個数)、巻止めテープの残量(長さ)、タブの残量(個数)など、残り時間で把握できない監視対象については、上記各種シート2〜5の原反32,42,52,62の残量に係る作業リスト300とは別に、第2の作業リストとして表示することが好ましい。
ここで、第2の作業リスト(の作業項目)が、作業リスト300(の作業項目301)よりも優先度が高いものとして取り扱われる構成としてもよい。また、第2の作業リストが、特定の管理者のみが対応する専用のリストとして取り扱われる構成としてもよい。
(h)上記実施形態では、1台の携帯端末200に対し、1件のみ作業項目301を選択可能に構成されているが、これに限らず、例えば同一の号機、かつ、同一の作業者であれば、複数の作業項目301を選択可能な構成としてもよい。
(i)上記実施形態では、所定の作業者が作業項目301を選択した旨の選択情報を受信した他者の携帯端末200は、自身の作業リスト300において、前記選択情報を送信した送信元の携帯端末200が選択した上記作業項目301の欄をグレーアウトすることにより、当該作業項目301が選択された旨を表示している。これに限らず、所定のメッセージが表示されたり、当該作業項目301に対し「チェック」が入るなど、異なる態様で、作業項目301が選択決定された旨を表示するようにしてもよい。
(j)上記実施形態では、作業リスト300から作業項目301をタッチして選択した後、「開始」ボタン302を押すことで、当該作業項目301が選択決定される構成となっているが、「開始」ボタン302を省略し、作業リスト300から作業項目301をタッチしただけで、当該作業項目301が選択決定される構成としてもよい。
また、作業項目301の選択解除に関しても、「リセット」ボタン303を省略した構成としてもよい。例えば、作業リスト300において、選択決定された作業項目301とは別の作業項目301をタッチしただけで、作業項目301の選択解除及び選択変更を行える構成としてもよい。また、選択決定された作業項目301とは別の作業項目301をタッチした後、「開始」ボタン302を押すことで、作業項目301の選択解除及び選択変更を行える構成としてもよい。
(k)運用管理システム100(携帯端末200)の機能は、上記実施形態に限定されるものではなく、利便性の向上等が図られるよう、以下の各種機能を備えた構成としてもよい。
例えば、捲回機10の稼働状況(正常稼働中か否か、正常停止中か否か、異常停止中か否かなど)、捲回機10の生産状況(生産数、良品数、不良数など)等を携帯端末200に表示し確認できる構成としてもよい。
各携帯端末200の相互間で、メッセージ等の送受信を行うことのできる伝言機能を備えた構成としてもよい。
捲回機10に不具合が発生したときに、それを文字や画像(携帯端末200により撮影した画像)等で保存できるメモ機能を備えた構成としてもよい。
また、各携帯端末200が自身を介して行われた操作履歴及び作業履歴(時刻、作業内容、作業対象など)を記録し、作業日報を作成できる機能を備えた構成としてもよい。ここで、上記伝言機能やメモ機能により作成した情報を、作業日報にリンクできる構成としてもよい。また、メニュー画面に「日報作成」ボタンを表示し、当該ボタンを押すことで自動的に作業日報が作成される構成としてもよい。