JP5734280B2 - 織編物製造用の膨化糸及び巻き糸並びに織編物及びその製造方法 - Google Patents

織編物製造用の膨化糸及び巻き糸並びに織編物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、製織編して織編物を製造するための膨化糸及び巻き糸並びに前記膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、糸自体が通常の紡績糸に比べて膨らみがあり、通気性、保温性、吸水性に優れ、柔らかくて毛羽落ちがなく、先染め法及び後染め法の両方に使用できる巻き糸並びに前記膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法に関する。さらに、本発明は、織編物にしたときに、軽量でボリュームがあり、柔らかくて触感に優れ、通気性、保温性、吸水性、速乾性に優れ、このような性能の持続性に優れ、しかも毛羽落ちがなく、耐ピリング(毛羽立ち又は毛羽の乱れ)性に優れる織編物を与える織編物製造用の膨化糸及び巻き糸、並びにこの膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法に関する。
伸縮性の付与、風合、軽量性、膨らみ感の向上などのために、紡績糸とポリウレタン弾性糸とを組み合わせた複合糸を用いて織編物を製造することが広く行なわれている。紡績糸とポリウレタン弾性糸とを組み合わせた複合糸の代表例としては、ポリウレタン弾性糸からなる芯糸の周りを紡績用綿で被覆して撚を与えたコアスパンヤーン、ポリウレタン弾性糸からなる芯糸の周りに紡績糸を単層または複層に巻き付けたシングルカバードヤーンやダブルカバードヤーンなどが挙げられる。これらの複合糸を用いて織編物を製造した場合には、伸縮性の付与と、ボリュームのある程度の向上は可能であるが、柔軟性、ふっくらとした風合、軽量性、膨らみ感などが不足することが多い。
前記複合糸とは別に、糸を縮ませてバルキーにする方法も知られているが、これはアクリル繊維などの合成繊維を用いた糸に限られ、木綿繊維などには適用しにくく、汎用性がない。
また、紡績糸の撚自体が風合、軽量性、膨らみ感などの阻害要因となるため、撚数を減らした紡績糸を製造し、この紡績糸を用いて織編物を製造することが広く行われている。撚数を減らす方法としては、紡績工程中の精紡において設定撚数を小さくして紡績糸を製造する方法などがあるが、撚数を減らしているため、風合はよくなるが、ピリングや摩耗が生じ易くなり、しかも洗濯したときに繊維の抜けが多くなり易い。
さらに、特開2006−225797号公報(特許文献1)及び特開2007−154339号公報(特許文献2)には、紡績糸と水溶性糸を、紡績糸の撚方向と逆の方向に、紡績糸の撚数の0.5〜1.0倍だけ撚糸した複合撚糸を作製し、その複合撚糸を用いて織編物に製造した後に水溶性糸を溶解する方法が開示されている。しかし、この方法では、風合の良い織編物が得られるが、糸と糸との交点や交絡部分(織物の場合の経糸と緯糸の接点や編物の場合のループとループの重なった部分など)で軽量化や膨らみが十分に発現せず、ピリングや摩耗などが発生し易くなり、更に洗濯時に繊維の抜けが多くなり易い。
これに対して、特許第4393357号公報(特許文献3)には、紡績糸と水溶性糸を紡績糸の撚方向と逆の方向に紡績糸の撚数の1.3〜3倍の撚数で撚り合せた複合撚糸、及びこの複合撚糸を用いて織編物を製造した後、織編物中の水溶性糸を水で溶解除去した織編物が開示されている。この織編物は、風合がよく、軽量性、通気性に優れ、しかも伸縮性を有している。
しかし、この複合糸は、水溶性糸を含み、撚りによるトルクが強すぎて、製織編に供することができないため、スチームセットなどのヒートセット工程及びヒートセットにより溶解した水溶性糸を除去する工程が必要であった。さらに、ヒートセットされた糸であっても、整経性や製織編性は十分ではなく、例えば、製織時に糸切れが生じた場合、テンションによりトルクが発生して糸がねじれ(縮れ)、織編機の再起動が困難であった。さらに、トルクが強いため、例えば、シングルニットに供すると、網目が斜行するとともに、密に編むのが困難であり、糸切れが発生し易かった。
また、複合撚糸中に水溶性糸が存在するため、ヒートセットにおいて撚糸同士が付着し、さらに巻き糸などの状態で長期間保管すると、撚糸同士が付着し易く、特に湿気のある環境での保存安定性が低かった。
また、先染めした糸を用いる場合は、染色した糸と水溶性糸とからなる複合撚糸を作製し、この複合撚糸を用いて織編物を製造した後に水溶性糸を溶解して除去する必要があるが、溶解除去において、染色した糸の色が変退色することもあり、特に、木綿糸を直接染料で染めて、水溶性糸を95℃で溶解除去する場合などには困難であった。
さらに、織編物中の水溶性糸を除去する方法では、複合撚糸が織編物中で拘束された状態で水溶性糸の溶解除去を行なうため、織編物における糸と糸との交点や交絡部分での軽量化や膨らみが十分でない。
特開2006−225797号公報 特開2007−154339号公報 特許第4393357号公報
本発明の目的は、風合いや軽量性、耐ピリング性に優れ、かつ織編性及び生産性に優れる膨化糸及び巻き糸、並びにこの膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、保存安定性に優れ、特に、湿気のある環境下で長期間保存可能な膨化糸及び巻き糸、並びにこの膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、先染めした糸を用いて製織編する手法及び織編物を製造した後に染色する手法のいずれの手法にも適した膨化糸及び巻き糸、並びにこの膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、軽量でボリュームがあり、柔らかくて触感に優れ、保温性、通気性、吸水性、耐ピリング性に優れ、かつこれらの性能の持続性に優れる膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、毛羽落ちがなく、吸水性、速乾性に優れる織編物を製造できる膨化糸又は巻き糸を用いた織編物及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸に適用でき、小ロット多品種に対応でき、しかも細番手から太番手まで任意の太さの紡績糸を用いて、それぞれの紡績糸に対応した織編物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、軽量でボリュームがあり、柔らかくて触感に優れ、保温性、耐ピリング性に優れ、これらの性能の持続性に優れ、毛羽落ちがなく、しかも吸水性、速乾性に優れる織編物を製造する方法を提供することにある。
本発明者らが先に開発した前記特許文献3に記載された発明は、紡績糸と水溶性糸とを用いて特定の複合撚糸をつくり、この複合撚糸を用いて織編物を製造した後に織編物中の水溶性糸を水で溶解除去して膨らみや伸縮性のある織編物をする発明であり、この発明の出願当時には、本発明者らは、紡績糸と水溶性糸とを撚り合せた複合撚糸の形態にしないと織編物を製造するための製織編工程を円滑に実施できないと考えていた。すなわち、当時は生地の精錬工程と併用して実施できるとともに、工程的にも簡便であるため、水溶性糸の溶解は、生地の状態で行われていた。一方で、当業者は、風合いを出すためには、十分な浴比と、膨らむためのスペースが必要であると考えていたため、撚糸の状態で水溶性糸を溶解することは実施されておらず、想定もされていなかった。
ところが、本発明者らは、更に検討を重ねた結果、全く予想外なことに、織編物を製造する前に、紡績単糸を含む特定の複合撚糸自体から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去すると、除去前の複合撚糸に比べて大きく膨らみ、かつトルクの小さい膨化糸が得られ、風合いや軽量性、耐ピリング性を向上でき、かつ織編性及び生産性も向上できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の膨化糸は、紡績単糸と水溶性糸とを前記紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合わせた複合撚糸から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去して得られた膨化紡績単糸を含む膨化糸であって、100cm長の糸の両端を重力と直交する方向に10cm離した状態で固定して糸を垂らしたとき、ねじりが発生しないか、又はねじり部(ねじり合った部分)の最上端から糸の左右両端までの距離の平均値が30cm以上である。
本発明の膨化糸は、織編物を製造するための原糸であってもよい。前記膨化紡績単糸の直径は、膨化加工前の紡績単糸の直径に対して1.2倍以上であってもよい。本発明の膨化糸は、トルクを低減するための熱処理が施されていない膨化糸であってもよい。本発明の膨化糸は、下記式で表されるB値が3〜8であってもよい。
B=(N2/N1)×(D2/D1)
(式中、N1は紡績単糸の撚数、N2は複合撚糸の撚数、D1は紡績単糸の平均直径、D2は膨化紡績単糸の平均直径を示す)。
本発明の膨化糸は、膨化紡績単糸からなる膨化糸であってもよい。本発明の膨化糸は、2本以上の複合撚糸を引き揃えるか、撚り合わせた後、前記複合撚糸の水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去した膨化糸であってもよい。本発明の膨化糸は、1本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸とを引き揃えるか、撚り合わせた後、前記複合撚糸の水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去した膨化糸であってもよい。
本発明の膨化糸において、複合撚糸の撚数は、紡績単糸の撚数に対して1.3〜3倍程度であり、かつ紡績単糸と水溶性糸との割合(質量比)が、前者/後者=98/2〜20/80程度であってもよい。
本発明には、前記膨化糸を綛(カセ)状又は管状に巻き取った巻糸、及び前記膨化糸を含む織編物も含まれる。本発明の織編物において、膨化糸の割合は10質量%以上であってもよい。本発明の織編物は、膨化糸をパイル糸として含んでいてもよい。
本発明には、紡績単糸と水溶性糸とを前記紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合わせた複合撚糸から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去する前記膨化糸の製造方法も含まれる。さらに、本発明には、前記膨化糸を原糸として用いて織編物を製造する方法、及び前記膨化糸を先染めする方法も含まれる。
本発明では、織編物を製造する前に、紡績単糸を含む特定の複合撚糸自体から水溶性糸が親水性溶媒で溶解除去されているため、除去前の複合撚糸に含まれる紡績単糸に比べて大きく膨らみ、かつトルクの小さい膨化糸が得られ、風合いや軽量性、耐ピリング性に優れ、かつ織編性及び生産性を向上できる。
また、本発明の膨化糸は、水溶性糸が除去されているため、保存安定性に優れ、特に、湿気のある環境下でも長期間保存できる。さらに、染色した織編物に対して水溶性糸を除去する工程がないため、予め染色した糸(先染めした糸)を用いて製織編する手法及び織編物を製造した後に染色する手法のいずれの手法にも適しているため、本発明の膨化糸を用いて多種多様の織編物を円滑に製造できる。
特に、本発明の膨化糸は、軽量でボリュームがあり、柔らかくて触感に優れ、保温性、通気性、吸水性、耐ピリング性に優れ、かつこれらの性能の持続性にも優れている。
さらに、このような膨化糸を用いて得られた織編物は、織編物中の水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去して得られる織編物に比べて、より軽量でボリュームがあり、より柔らかくて触感に優れ、より保温性、通気性に優れ、しかもピリングが生じにくく、毛羽落ちがなく、その上吸水性が大きいにも拘わらず、速乾性に優れている。しかも、諸性能の持続性に優れ、新品のときのボリュームが洗濯を繰り返しても失われず、高いボリュームを維持しており、柔軟性、保温性、通気性、吸水性、速乾性などの性能も長期にわたって維持できる。
なお、本発明では、水溶性糸を溶解除去する前の複合撚糸の製造において、単糸(紡績単糸)を用いることにより前記特性が発現し、例えば、双糸、三子糸、四子糸などの紡績糸を2本以上撚り合せた糸を用いて複合撚糸を作製し、得られた複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去しても十分に膨化した紡績糸が得られず、織編物を製造しても軽量性、ボリューム、柔軟性、触感、吸水性、速乾性などは向上できない。
また、本発明の膨化糸は、水溶性糸を除去する前の複合撚糸の製造に用いる紡績単糸として、木綿繊維、麻繊維、羊毛繊維などの天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸に適用でき、小ロット多品種に対応でき、しかも細番手から太番手まで任意の太さの紡績糸を用いて、それぞれの紡績糸に対応した織編物が得られる。
さらに、本発明の膨化糸は、複合撚糸同士や他の糸と組み合わせて複数の糸を引き揃えたり、撚り合わせた糸を用いても得ることができ、いずれの糸でも、除去前の複合撚糸に含まれる紡績単糸に比べて大きく膨らむとともに、柔らかくて風合いに優れ、通気性、保温性、吸水性に優れ、毛羽落ちがなく、しかも製織編用の糸として問題なく使用できる。
図1は、実施例1での膨化糸及び複合撚糸の製造に用いた紡績単糸の電子顕微鏡写真であり、上段の糸は膨化糸を示し、下段の糸は紡績単糸を示す。
[膨化糸]
本発明の膨化糸は、膨化加工された膨化紡績単糸を含む。詳細には、本発明の膨化糸は、紡績単糸と水溶性糸とを前記紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合わせた複合撚糸から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去して得られた膨化紡績単糸を含む。
(紡績単糸)
本発明の膨化糸において、水溶性糸を溶解除去する前の複合撚糸を構成する紡績糸は、繊維(原綿)を用いて紡績したままの「単糸」(すなわち紡績単糸)であることが必要である。複合撚糸を構成する紡績糸が、双糸、三子糸、四子糸などの2本以上の紡績糸を撚り合せた紡績糸であると、これらの紡績糸を水溶性糸と撚り合せて製造した複合撚糸中の水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去しても、水溶性糸の除去した後に残留する紡績糸は撚りが残っているため膨らみが小さく、軽量性、保温性、吸水性などに劣り、柔らかな風合に乏しく、本発明の目的を達成することができない。
紡績単糸としては、水(熱水、温水、冷水)に溶解しない繊維から形成された紡績単糸(すなわち、前記繊維を用いて紡績したままの紡績単糸)であれば、特に限定されず、合成繊維、半合成繊維、再生繊維、天然繊維のいずれであってもよい。
合成繊維としては、例えば、ポリエステル系繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維などのポリC2−4アルキレンアリレート繊維など)、ポリアミド系繊維(ポリアミド6、ポリアミド66などの脂肪族ポリアミド系繊維など)、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリC2−4オレフィン繊維など)、アクリル系繊維(アクリロニトリル系繊維など)、水(熱水)不溶性のポリビニルアルコール系繊維(エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維など)、ポリ塩化ビニル系繊維(ポリ塩化ビニルなど)、ポリ塩化ビニリデン系繊維などが挙げられる。半合成繊維としては、例えば、トリアセテート繊維などのアセテート繊維などが挙げられる。再生繊維としては、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル(例えば、登録商標名:「テンセル」など)などが挙げられる。天然繊維としては、例えば、木綿、羊毛(ウール)、絹、麻などが挙げられる。
これらの繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。特に、紡績糸は、これらの繊維から選択された単独紡績糸に限定されず、2種以上の繊維で構成された混紡紡績糸(例えば、ポリエステル繊維と木綿との混紡紡績糸など)であってもよい。これらの繊維は、膨化糸及びこの膨化糸を用いて製造する織編物の用途などに応じて適宜選択すればよい。汎用される繊維としては、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維などの合成繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、木綿、ウール、絹などの天然繊維などが挙げられる。特に、ポリエステル系繊維などの合成繊維、木綿やウールなどの天然繊維が好ましく、木綿などの天然繊維は、糸強度や汎用性に優れ、風合いにも優れる点から特に好ましい。
紡績単糸の撚数は特に制限されないが、撚数をT(単位:回/2.54cm)、綿番手をS(単位:番手)とすると、K=T/√Sで表される撚係数Kは、例えば、1.5〜5、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2.5〜3.5程度の紡績単糸が、紡績単糸の品質安定性、複合撚糸の製造における生産性、紡績糸の入手容易性などの点から好ましい。具体的な撚数は、例えば、200〜2000回/m、好ましくは250〜1500回/m、さらに好ましくは300〜1200回/m(特に400〜1000回/m)程度であってもよい。
紡績単糸の太さ(平均繊度)は、特に制限されず、入手のし易さ、様々な織編物に使用される点から、綿番手表示(tex表示)で、例えば、5〜120番手(50〜1180dtex)、好ましくは6〜80番手(74〜980dtex)、さらに好ましくは10〜60番手(98〜590dtex)程度であってもよい。
(水溶性糸)
複合撚糸を構成する水溶性糸としては、親水性溶媒に対する溶解性を有していれば特に限定されないが、特に、大気圧下で、水の沸騰温度(約100℃)までの温度で水(熱水)に対して溶解する糸が好ましい。このような水溶性糸を含む複合撚糸から得られた織編物は、水溶性糸を水などの親水性溶媒で容易に溶解除去でき、取扱性などにも優れている。特に、水溶性糸としては、水溶性糸自体を単独で温度80℃以上(特に90℃以上)の熱水に浸漬して30分間放置したときに、浸漬前の水溶性糸の質量に対して、85質量%以上(特に95質量%以上)が前記熱水に溶解する水溶性糸(水不溶性の残渣が15質量%未満、特に5質量%未満である水溶性糸)が好ましい。水溶性糸の水溶解性が低いと、複合撚糸を用いて製造した織編物を水などの親水性溶媒で処理しても、複合撚糸中の水溶性糸を充分に溶解除去できず、軽量でボリュームがあり、非常に柔らかくて触感に優れる織編物を製造可能な膨化糸が得られ難くなる。
水溶性糸を構成する繊維としては、前記水溶解性を充足する限り特に限定されないが、例えば、水可溶性樹脂で構成された繊維が使用できる。水可溶性樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂(ヒドロキシエチルセルロースなどのヒドロキシC2−3アルキルセルロースなど)、ポリビニル系樹脂(ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなど)、アクリル系共重合体又はそのアルカリ金属塩((メタ)アクリル酸やヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステルなどのアクリル系単量体で構成された単位を含む共重合体など)、水可溶性ポリアミド系樹脂(ポリオキシエチレン単位を有するポリアミドや、スルホン酸基やヒドロキシル基などを導入したポリアミドなど)、水可溶性ポリエステル系樹脂(ポリオキシエチレン単位を有するポリエステルや、スルホン酸基やアミノ基などを導入したポリエステルなど)などが挙げられる。これらの水可溶性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、ポリビニル系樹脂や水溶性ポリアミド系樹脂、特に、繊維強力、水(熱水)への高い溶解性、生分解性、入手容易性などの点から、水可溶性ポリビニルアルコール系樹脂、水可溶性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂が好ましい。水可溶性エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂は、重合度を200〜800(特に250〜500)程度に低下させ、かつオレフィン類(特にエチレンなどのα−C2−10オレフィンなど)を3〜20モル%(特に3〜15モル%)程度共重合させたポリビニルアルコール系樹脂であってもよい。なお、水可溶性ポリビニルアルコール系繊維は、従来から広く知られており、例えば、水溶性ビニロンなどとして市販されている。特に、水可溶性ポリビニルアルコール系繊維及び水可溶性エチレン−ビニルアルコール共重合体繊維は、生分解性であるため、複合撚糸からポリビニルアルコール系繊維を水で溶解除去した際に排出する廃液を微生物により円滑に処理して浄化することができる
水溶性糸は、水溶性である限りは、紡績糸であってもよく、フィラメント糸(長繊維)であってもよい。親水性溶媒で溶解除去し易い点からは、フィラメント糸が好ましい。さらに、水溶性糸の混率の低い複合撚糸であっても、複合撚糸を水などの親水性溶媒で処理して水溶性糸を溶解除去する際に水溶性糸の除去が速やかに且つ良好に行うことができる点、細い番手の紡績単糸を使用し易い点、複合撚糸における水溶性糸の混率を低くできてコストを低減できる点などから、マルチフィラメント糸が特に好ましい。
水溶性糸の太さは、紡績単糸との撚り合せの容易性、複合撚糸からの水溶性糸の溶解除去の容易性、水溶性糸の生産性などの点から例えば、15〜200dtex、好ましくは20〜150dtex、さらに好ましくは25〜100dtex(特に30〜80dtex)程度である。
本発明では、複合撚糸における除去用糸として、アルカリや酸に溶解又は分解する糸ではなく、水などの親水性溶媒に溶解する糸(水溶性糸)を使用した理由としては、複合撚糸の一部をアルカリや酸で除去した場合は、複合撚糸を構成している紡績単糸の変質や分解を生ずる恐れがあるのに対して、水などの親水性溶媒(特に水)で処理した場合は、紡績単糸の変質や分解を生ずる恐れがないことが挙げられる。本発明では、このような水溶性糸を使用することにより、複合撚糸を構成する紡績単糸として広範囲の種々の紡績単糸を使用できる。すなわち、本発明では、複合撚糸を構成する紡績糸として、水などの親水性溶媒に溶解しない糸である限りは、アルカリや酸によって溶解又は分解し易い糸であっても使用することができ、複合撚糸を構成する紡績糸の種類や選択の幅が広がり、ひいては複合撚糸中の水溶性糸を水などの親水性溶媒で溶解除去することにより膨化加工された紡績糸(膨化糸)から形成される織編物の種類、特性、風合における選択の幅も広がる。
紡績単糸と水溶性糸との割合(質量比)は、例えば、前者/後者=98/2〜20/80、好ましくは95/5〜30/70、さらに好ましくは90/10〜50/50(特に90/10〜70/30)程度であってもよい。
紡績単糸及び水溶性糸の割合を前記範囲にすることによって、複合撚糸から水溶性糸を水で溶解除去して得られる膨化糸は、膨らみ、風合、軽量性、保温性、柔軟性、製織編性、撚の安定性などに優れ、この膨化糸を用いて得られる織編物は軽量でボリュームがあり、非常に柔らかくて触感に優れ、保温性、吸水性に優れ、これらの性能の持続性に優れ、しかも毛羽落ちがなく、耐ピリング性に優れる。
複合撚糸における水溶性糸の割合が少なすぎると、膨化糸の風合、軽量性、膨らみなどが低下し、しかも硬くて劣った風合になり易い。一方、複合撚糸における水溶性糸の割合が多すぎると、膨化糸の形態安定性が低下し、製織編性が低下する。
(複合撚糸の撚り特性)
複合撚糸において、紡績単糸及び水溶性糸の本数(糸本数)は、膨化糸及び織編物の風合、軽量性、膨らみ、撚糸機のクリル本数の制限、品質管理の点から、紡績単糸は1本とする必要があり、水溶性糸が1〜3本(特に1〜2本)であるのが好ましい。
本発明で用いる複合撚糸では、複合撚糸の撚り方向(紡績糸と水溶性糸との2種類の糸の撚り合わせにおける撚り方向)(上撚)が、複合撚糸を構成する紡績単糸の撚り方向(下撚)とが逆方向である。
さらに、複合撚糸の撚数は、紡績単糸の撚数に対して1.3〜3倍程度である。すなわち、複合撚糸の撚数N2(単位:回/m)が紡績単糸の撚数N1(単位:回/m)の1.3〜3倍(すなわちN2/N1=1.3〜3)の範囲である。撚糸のトルクの低減、風合の向上などの点から、上撚の撚方向と下撚の撚方向とを逆にすることは従来からも行われているが、従来は、その際の上撚の撚数は下撚の撚数の0.3〜0.9倍程度であり、上撚の撚数の方が下撚の撚数よりも少ないのが一般的である。これに対して、本発明で用いる複合撚糸では、上撚の撚数(複合撚糸の撚数N2)の方を、下撚の撚数(紡績単糸の撚数N1)よりも多くし、しかも両撚数の比(N2/N1)を1.3〜3という特定の範囲にしている点で、上撚の撚数の方が下撚の撚数よりも少ない前記した従来技術と大きく異なる。
複合撚糸では、上撚の撚数が下撚の撚数の1.3〜3倍であることにより、複合撚糸を製造するための合撚時(上撚を行った際)に、複合撚糸の形態安定性(撚の安定性)を保ちながら、上撚が紡績単糸の撚(下撚)を解撚する方向に働き、上撚の際に紡績単糸の糸長が長くなる。さらに紡績単糸は、紡績単糸の撚方向と逆の方向に水溶性糸を伴って加撚されて複合撚糸を形成するが、紡績単糸を構成している繊維(原綿)は、解撚されながらも、元の下撚の撚方向を保持している(なお、紡績単糸の原綿が元の撚を残存させるのは、水溶性糸により物理的に解撚が抑制されるためであると推定される)。そのため、紡績単糸は、上撚の際に、原綿が再配列する。さらに、水溶性糸が紡績糸であり、その撚方向が紡績単糸の撚方向と逆である場合、水溶性糸がフィラメント糸である場合に、紡績単糸の糸長>水溶性糸の糸長の関係が保たれた状態で撚糸される。そして、複合撚糸から水溶性糸を水などの親水性溶媒で溶解除去すると、紡績単糸の元の撚方向にトルクがかかった状態で、複合撚糸中で前記撚方向とは逆の方向に撚られている紡績単糸において、紡績単糸を構成する原綿間に反発が生じる。すなわち、元の撚の状態である紡績単糸の原綿が、撚を束縛していた水溶性糸の溶解により、複合撚糸の撚方向に反発し、膨化が発生すると推定される。その結果、紡績単糸に膨らみが生じ、風合、軽量性、保温性、吸水性などに優れ、しかもこれらの性能の持続性に優れる本発明の膨化糸が得られる。
複合撚糸における上撚の撚数が下撚の撚数よりも小さすぎると、複合撚糸を製造するための合撚時に紡績単糸の解撚が不十分になって、水溶性糸を水で溶解除去したときに十分な膨らみ、軽量化、保温性、柔軟性など発現させるための糸長が得られず、風合、軽量性、柔軟性、保温性、吸水性などに優れる膨化糸が得られない。一方、上撚の撚数が下撚の撚数よりも大きすぎると、上撚をかける際の撚糸工程(複合撚糸を製造するための合撚工程)で糸切れなどのトラブルを生じて、複合撚糸の生産性の低下を生じ好ましくない。
さらに、複合撚糸において、上撚の撚数が下撚の撚数の1.4〜3倍(N2/N1=1.4〜3)が好ましく、1.5〜2倍(N2/N1=1.5〜2)が特に好ましい。
複合撚糸の撚数(上撚の撚数)は、紡績糸の撚数との比率が前記範囲にあればよいが、例えば、50〜3000回/m、好ましくは100〜2500回/m、さらに好ましくは200〜2000回/m(特に300〜1800回/m)程度であってもよい。
なお、本明細書において、「複合撚糸の撚数」(上撚の撚数)とは、紡績単糸と水溶性糸を撚り合わせたときの撚数を意味し、実際には撚糸工程時の設定撚数に準じた値となる。
複合撚糸は、紡績単糸と水溶性糸を撚り合せて(上撚をかけて)形成される。複合撚糸を製造する際の撚糸機の種類は特に制限されず、例えば、ダブルツイスター、リングツイスター、アップツイスターなどの汎用の撚糸機を使用することができる。
(水溶性糸の抽出処理)
本発明では、複合撚糸から、複合撚糸中の水溶性糸を親水性溶媒で抽出(溶解除去)することにより、軽量でボリュームのある膨化糸が得られる。抽出処理に供される複合撚糸は、膨化紡績単糸単独で形成された複合撚糸に限定されず、複合撚糸を含む糸、例えば、2本以上の複合撚糸を引き揃えた糸や撚り合わせた糸、1本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸とを引き揃えた糸や撚り合わせた糸であってもよい。
抽出処理においては、複合撚糸(又は複合撚糸を含む糸)を綛(カセ)にとって抽出処理する方法、複合撚糸を染色用ボビンにチーズ状に巻いた状態で抽出処理する方法、複合撚糸を染色用ビームに巻いた状態で抽出処理する方法などを利用できる。
これらの方法のうち、小ロットで効率良く生産できる点から、複合撚糸をチーズ状に巻いた状態で抽出処理する方法が好ましい。複合撚糸をチーズ状に巻いた状態で抽出処理する方法においては、水溶性糸を溶解する際の繊維密度を0.1〜0.7g/cm(特に0.2〜0.5g/cm)程度に調整して複合撚糸又は複合撚糸を含む糸をチーズ状に巻いて水溶性糸を水で溶解除去すると、十分に膨らみ、風合、軽量性、保温性、柔軟性などに優れる膨化糸が得られる。チーズ状巻糸の繊維密度が小さすぎると、抽出処理の前後や処理中で巻きが崩れ易くなる。大きすぎると、内側に巻かれた糸に含まれる水溶性糸が溶解せずに残ったり、水溶性糸が溶解しても繊維間の空間が密なため、膨らみが不足し、風合、軽量性、保温性などが低下し易い。
親水性溶媒としては、水の他、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ケトン類(アセトンなど)、エーテル類(テトラヒドロフランなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、カルビトール類(カルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテルなど)などが挙げられる。これらの親水性溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの親水性溶媒のうち、水、エタノールなどのC1−3アルコール類、アセトンなどのケトン類、水と他の親水性溶媒との混合溶媒などが好ましく、通常、水が使用される。
水溶性糸を抽出する方法は、特に限定されないが、簡便な方法で水溶性糸を効率よく除去できる点から、高温の親水性溶媒に浸漬する方法であってもよい。親水性溶媒として水を用いる場合、抽出水は中性であってもよく、アルカリ又は酸性水溶液であってもよい。また、界面活性剤などを添加した水溶液であってもよい。
抽出処理温度は、水溶性糸を構成する繊維の種類や溶媒に対する溶解度、糸の形態や太さなどに応じて調節でき、除去効率の点から、急激に溶解が開始する温度(溶解温度)以上の温度(特に、溶解温度よりも5〜20℃、特に10〜20℃程度高い温度)で処理するのが好ましい。水溶性糸が80℃の水溶解温度を持つ水溶性ポリビニルアルコール系繊維から形成されている場合は、85〜100℃の温度の水を用いて処理を行なうと、水溶性糸を短い時間で速やかに複合撚糸から溶解除去することができる。処理温度が低すぎると、水溶性糸の抽出性が十分でなく、生産性が低下する。また、処理温度が高すぎると、水溶性糸の溶解時間が極端に短くなるとともに、織編物の品質も低下し易い。
親水性溶媒の割合は、複合撚糸に対して2倍(質量基準)以上であり、例えば、2〜1000倍、好ましくは3〜100倍、さらに好ましくは5〜50倍程度である。親水性溶媒の量が少なすぎると、水溶性糸の除去が不十分となる。なお、抽出除去が不十分な場合には、水溶性糸を含まないフレッシュな親水性溶媒を用いて、再度親水性溶媒浴中で水溶性糸を抽出除去してもよい。
抽出処理時間についても、目的や使用する装置、処理温度に応じて適宜調整が可能であるが、生産効率、安定性、得られる織編物の品質・性能などを考慮すると、例えば、1〜300分間、好ましくは3〜200分間、さらに好ましくは5〜100分間(特に10〜60分間)程度である。
抽出処理を行うための処理機器は、特に限定されないが、糸染め染色機の釜を使用して水溶性糸を溶解除去すると、水溶性糸を効率よく溶解除去できる。糸染め染色機の釜を使用する場合は、水溶性糸を溶解除去した後に同じ釜を使用して水溶性糸を溶解除去して得られた膨化糸の染色を引き続いて行なってもよい。
複合撚糸又は複合撚糸を含む糸から水溶性糸を溶解除去した後は、糸に付着している水溶性糸の成分を除去するために水洗することが好ましい。
このような膨化加工が施された膨化紡績単糸(膨化糸)は、糸の用途などにより、膨らみ、軽量性、保温性、吸水性、風合などが低減しない条件で、必要に応じて、染色処理、潤滑を促すための油剤の付与処理、撥水処理、抗菌などの機能加工剤の付与処理、合撚などの糸加工などを行ってもよい。特に、本発明の膨化糸は、染色した糸の色が変退色し易い水溶性糸の抽出工程を経ているため、織編物を製造する前に糸を先染めする方法に適している。
さらに、水溶性糸を抽出処理した後の膨化糸は自然乾燥してもよいが、膨化糸の風合いや通気性を向上させる点から、加熱して乾燥するのが好ましい。乾燥温度は、織編物を構成する繊維の種類などに応じて適宜選択でき、例えば、50℃以上、好ましくは60〜200℃、さらに好ましくは70〜150℃(特に80〜120℃)程度である。乾燥時間は、例えば、0.5分〜24時間、好ましくは1分〜10時間、さらに好ましくは3分〜5時間程度である。
(膨化糸の特性)
前記方法により水溶性糸を除去して得られた本発明の膨化糸(膨化加工された膨化紡績単糸)は、トルクが小さいことを特徴とする。さらに、本発明の膨化糸は、織編物を製造するための原糸であり、優れた整経性や製織編性を要求される。整経性や製織編性を向上させるためには、通常、トルクを低減させるのが好ましく、トルクを低減させるためには、ヒートセット(スチームセットなどの加熱処理)が有効である。これに対して、本発明の膨化糸も慣用の加熱処理を施してもよいが、前述のように、本発明の膨化糸はトルクが小さいため、トルクを低減するための熱処理を実質的に施すことなく、織編物を製造するための原糸として利用できる。
具体的には、本発明の膨化糸は、100cm長の糸の両端を重力と直交する方向に10cm離した状態で固定して糸を垂らしたときのねじり(捩り)の発生により、トルク指標を評価でき、具体的には、この試験におけるねじりが発生しないか、又はねじりが発生した場合、ねじり部の最上端(ループを形成した部分又はとぐろを巻いた部分の最上端)から糸の左右両端までの距離の平均値が30cm以上である。すなわち、本発明の膨化糸は、このような低いトルク指標を有するため、整経性や製織編性を向上でき、織編物の生産性を向上できるとともに、素抜けのない優れた織編物を製造できる。
さらに、ねじり部の最上端から糸の左右両端までの距離の平均値は、好ましくは35cm以上、さらに好ましくは40cm以上(特に45cm以上)であり、ねじりが発生しない状態が最も好ましい。前記平均値が小さすぎると、トルクが強すぎるため、整経性や製織編性が低下する。
本発明の膨化糸は、下記式で表されるB値が、例えば、3〜8、好ましくは3.1〜7、さらに好ましくは3.2〜6(特に3.3〜5)程度である。
B=(N2/N1)×(D2/D1)
(式中、N1は紡績単糸の撚数、N2は複合撚糸の撚数、D1は紡績単糸の平均直径、D2は膨化紡績単糸の平均直径を示す)。
B値は、撚り数と膨化(糸のボリューム)との関係を表す指標であり、B値が小さいと、複合撚糸の撚り数が少ないにも拘わらず、ボリュームが小さい特性を示し、B値が大きいと、複合撚糸の撚り数が多いにも拘わらず、ボリュームが大きい特性を示す。本発明では、B値が前記範囲にあることにより、撚り数が少なく、適度なボリュームを有する膨化糸が得られる。
さらに、本発明の膨化糸において、膨化紡績単糸の直径は、膨化加工前の紡績単糸の直径に対して1.2倍以上であってもよく、好ましくは1.3〜2倍、さらに好ましくは1.4〜1.8倍程度である。
本発明の織編物製造用の膨化糸の代表例としては、下記に示す膨化糸(I)及び(IIa)〜(IId)などが挙げられる。
(I)紡績単糸と水溶性糸とを撚り合せた複合撚糸から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られる膨化糸(I)
(IIa)紡績単糸と水溶性糸とを撚り合せた複合撚糸の2本以上を引き揃えた糸(a)から、前記糸(a)中の水溶性糸を水で溶解除去した膨化糸(IIa)
(IIb)紡績単糸と水溶性糸とを撚り合せた複合撚糸の2本以上を撚り合せた糸(b)から、前記糸(b)中の水溶性糸を水で溶解除去した膨化糸(IIb)
(IIc)紡績単糸と水溶性糸とを撚り合せた複合撚糸の1本以上と、他の糸とを引揃えた糸(c)から、前記糸(c)中の水溶性糸を水で溶解除去した膨化糸(IIc)
(IId)紡績単糸と水溶性糸とを撚り合せた複合撚糸の1本以上と、他の糸とを撚り合せた糸(d)から、前記糸(d)中の水溶性糸を水で溶解除去した膨化糸(IId)
本発明では、複合撚糸から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去して得られる膨化糸(I)に限定されず、膨化糸(IIa)〜(IId)も、膨化糸(I)と同様に、水溶性糸を溶解除去する前の前記糸(a)〜(d)が、前記撚り特性や質量比を充足する複合撚糸を用いて形成されていることによって、水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去した後の膨化糸は、いずれも水溶性糸を除去する前の紡績単糸に比べて膨らみが大きくなり、風合、軽量性、保温性、吸水性に優れるとともに、これらの性能の持続性に優れ、しかも毛羽落ちが少なく、耐ピリング性に優れている。
膨化糸(IIa)の製造に用いる糸(a)としては、抽出処理の作業性、水溶性糸の溶解除去のし易さ、水溶性糸を溶解除去して得られる膨化糸(IIa)の製織編性などの点から、例えば、2〜4本程度、好ましくは2〜3本、さらに好ましくは2本程度の複合撚糸を引き揃えた糸が好ましい。
膨化糸(IIb)の製造に用いる糸(b)としては、抽出処理の作業性、水溶性糸の溶解除去のし易さ、得られる膨化糸の製織編性、クリル本数による撚糸のし易さなどの点から、例えば、2〜5本、好ましくは2〜4本、さらに好ましくは2〜3本程度の複合撚糸を撚り合せた糸が好ましい。
糸(b)における2本以上の複合撚糸の撚合方向は、複合撚糸の撚方向と同じ方向であってもよいが、トルクを軽減できる点から、逆方向が好ましい。糸(b)の撚数は、抽出処理の作業性、水溶性糸の溶解除去のし易さ、得られる膨化糸の製織編性、撚の安定性、風合の発現などの点から、例えば、30〜300回/m、好ましくは40〜250回/m、さらに好ましくは50〜200回/m程度である。
膨化糸(IIc)の製造に用いる糸(c)において、複合撚糸と引き揃える他の糸として、膨化糸の用途などに応じて、例えば、複合撚糸以外の各種紡績糸、天然繊維、合成繊維、半合成繊維などで形成されたフィラメント糸などが挙げられる。これら他の糸は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これら他の糸のうち、糸条の強度アップ、形態安定性の点から、ポリエステル系樹脂やポリアミド系樹脂などの合成繊維で形成された糸(紡績糸又はフィラメント糸)が好ましい。
他の糸の太さは、特に制限されないが、入手のしやすさ、風合の発現の点から、例えば、20〜350dtex、好ましくは20〜180dtex程度である。
糸(c)は、1本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸とを引き揃えた糸であればよく、例えば、1本の複合撚糸と1本の他の糸との組み合わせ、1本の複合撚糸と2本以上の他の糸との組み合わせ、2本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸との組み合わせなどであってもよい。これらのうち、抽出処理の作業性、水溶性糸の溶解除去のし易さ、得られる膨化糸の製織編性、引き揃え易さの点から、1〜3本の複合撚糸と1〜3本の他の糸(特にポリエステルやポリアミドなどの合成繊維で形成された他の糸)とを引き揃えた糸が好ましい。
膨化糸(IId)の製造に用いる糸(d)において、複合撚糸と撚り合せる他の糸としては、前記糸(c)と同様の紡績糸やフィラメント糸を利用できる。他の糸の太さも、前記糸(c)と同様の太さから選択できる。
糸(d)は、1本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸とを撚り合せた糸であってもよく、例えば、1本の複合撚糸と1本の他の糸との組み合わせ、1本の複合撚糸と2本以上の他の糸との組み合わせ、2本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸との組み合わせなどであってもよい。これらのうち、抽出処理の作業性、水溶性糸の溶解除去のし易さ、得られる膨化糸の製織編性、撚り合わせ易さの点から、1〜3本の複合撚糸と1〜3本の他の糸(特にポリエステルやポリアミドなどの合成繊維で形成された他の糸)とを撚り合わせた糸が好ましい。糸(d)における複合撚糸と他の糸との撚合方向は、糸(b)と同様に、逆方向が好ましく、撚数も糸(b)と同様の撚数から選択できる。
本発明の膨化糸は、織編物を製造するための原糸であり、綛状又は管状に巻かれた巻糸として調製され、織編物の製造に用いるのが好ましい。
本発明の膨化糸は、前述のように、複合撚糸を構成する水溶性糸が充分に除去されることにより、トルクが低減され、風合いや軽量性が向上しているが、紡績単糸の表面には、トルクが発生せず、かつ風合いも損なわれない範囲で、微量の水溶性糸が残存していてもよい。
[織編物]
本発明の織編物は前記膨化糸を含む。織編物における膨化糸の割合は、織編物の種類、用途、織編物に要求される性能(風合、軽量性、保温性、吸水性、柔軟性、膨らみ感など)に応じて調節できるが、膨化糸の特性を発現させるためには、織編物の全質量に対して10質量%以上含まれるのが好ましい。さらに、膨化糸の割合は、織編物の全質量に対して20質量%以上(例えば、20〜100質量%)、好ましくは30質量%以上(例えば、30〜100質量%)、さらに好ましくは40質量%以上(例えば、40〜100質量%)程度である。さらに、織物の緯糸のみに使用する場合など、織編物の一部に複合撚糸を使用してもよく、その場合、膨化糸の割合は、織編物の全質量に対して、例えば、10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、さらに好ましくは30〜60質量%程度であってもよい。
本発明の織編物は、前記膨化糸を含んでいればよく、その種類は特に限定されない。
織物としては、例えば、平織物(平地)、綾織物(綾地)、朱子織物(朱子地)、ジャガード織物、パイル織物、斜文織物、繻子織物、デニム、ギンガムなどが挙げられる。織物で、膨化糸を経糸及び緯糸のいずれかに含まれていればよく、例えば、経糸及び緯糸が膨化糸である織物、経糸又は緯糸が膨化糸である織物、経糸の一部及び/又は緯糸の一部が膨化糸である織物などが挙げられる。
編物としては、例えば、横編地、経編地、丸編地、パイル編地などを挙げることができる。さらに、編物は、機械編地、かぎ針編地、棒針編地、アフガン編地などであってもよい。本発明の膨化糸を用いると、シングルニットなどの編地を編成しても、網目が斜行せずに、密に編むことができる。
これらの織編物のうち、パイル織物やパイル編地などのパイル織編物においては、本発明の膨化糸をパイル糸として含むのが好ましい。本発明の膨化糸をパイル糸として用いてパイル織編物を製造すると、ふっくらとしていて良好な風合を有し、軽量性、通気性、吸水性、保温性などに優れるパイル織編物(タオル地、ワイピングクロスなど)を製造できる。
本発明の織編物は、慣用の方法により製造できるが、得られた織編物は、必要に応じて、精練処理や熱処理を施してもよいが、膨らみ、風合、軽量性、通気性、保温性、吸水性などの特性を低下させるような処理(例えば過度の引っ張りや、カレンダー加工など)は回避することが好ましい。
本発明の織編物には、必要に応じて、安定剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤など)、微粒子、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの添加剤は、織編物を構成する各糸(膨化糸など)、織編物のいずれに含まれていてもよい。
本発明の織編物は、軽量でボリュームがあり、柔らかくて触感に優れ、通気性、保温性、吸水性に優れ、これらの性能の持続性に優れ、しかも毛羽落ちがなく、耐ピリング性に優れるため、そのような優れた特性を活かして、例えば、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、ジーンズ、上着、その他の衣料用、弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、その他の工業資材などに有効に使用できる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
[1]加工紡績糸の製造
以下の実施例及び比較例において、複合撚糸の製造に用いた紡績糸の平均直径に対する複合撚糸から水溶性糸を水で溶解除去して得られた加工紡績糸(膨化加工紡績糸又は膨化の少ない加工紡績糸)の平均直径の比及びB値を下記の方法で求め、風合いを下記の方法で評価した。さらに、織編性の評価として、織編物を製造するための原糸のトルク指標を下記方法で測定した。
(1)紡績糸の平均直径に対する加工紡績糸の平均直径の比
(i)複合撚糸の製造に用いた紡績糸(元の紡績単糸)と、水溶性糸を水で溶解除去した後の加工紡績糸(膨化紡績糸)を、間隔をあけて並列に並べて電子顕微鏡で撮影した(倍率25倍)。図1は、上段の糸が、実施例1での膨化糸の電子顕微鏡写真であり、下段の糸が、実施例での複合撚糸の製造に用いた紡績単糸の電子顕微鏡写真である。
(ii)前記(i)で得られた写真の左端から5mmの位置(位置1)、25mmの位置(位置2)、45mmの位置(位置3)、65mmの位置(位置4)及び85mmの位置(位置5)の5カ所で、紡績糸及び加工紡績糸の両方についてそれぞれの直径を物差しで測り(但し、外方に突出している毛羽部分は直径に含めない)、5カ所の平均値を採って、紡績糸の平均直径及び加工紡績糸の平均直径をそれぞれ求め、加工紡績糸の平均直径を紡績糸の平均直径で除して(割り)、紡績糸に対する加工紡績糸の平均直径の比を求めた。
(2)加工紡績糸のB値
JIS Ll095に準拠した方法で、元の紡績単糸の撚数(N1)及び複合撚糸の撚数(N2)を測定する。測定した撚数と、前記(1)で得られた元の紡績単糸の平均直径(D1)及び膨化紡績単糸の平均直径(D2)とから、下記式に基づいて、B値を算出した。
B=(N2/N1)×(D2/D1)
(式中、N1は紡績単糸の撚数、N2は複合撚糸の撚数、D1は紡績単糸の平均直径、D2は膨化紡績単糸の平均直径を示す)。
(3)加工紡績糸の風合の評価:
複合撚糸の製造に用いた水溶性糸を溶解除去前の紡績糸(元の紡績糸)の風合の評点を3点(基準)とし、表1に示す評価基準にしたがって5名のパネラーが加工紡績糸の風合を評価して、その平均値を採った。
(4)原糸のトルク指標
織編物の製造に供する原糸を100cm長に切断し、両端を重力と直交する方向に10cm離した状態で固定して糸を垂らす。トルクがあれば、ねじりを発生するため(とぐろを巻くため)、ねじれる動き(とぐろを巻く動き)が停止したとき、ねじり部(ねじり合った部分)の最上端から糸の左右両端までの距離(cm)を測定し、両者の平均値をトルク指標した。なお、ねじりが発生しない場合は「トルクなし」と表記した。
《実施例1〜5及び比較例1〜2》
(1)(i)紡績単糸として、撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)を準備した。なお、この紡績単糸は、2.54cm当りの撚数T=15.24回であり、番手S=20であることにより、式:K=(T/√S)から求められる撚り係数Kは、15.24/√20=15.24/4.47=3.24である。
(ii)水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、38dtex/12フィラメント)を準備した。
(2)前記(1)の(i)で準備した紡績単糸1本と前記(1)の(ii)で準備した水溶性糸1本を、ダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、表2に示す撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて、それぞれの複合撚糸を製造した。
(3)前記(2)で得られたそれぞれの複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績単糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、いずれの複合撚糸も紡績単糸88質量%及び水溶性糸12質量%からなっていた。
(4)前記(2)で得られたそれぞれの複合撚糸を染色ボビンに巻き上げた後に上方から圧縮して繊維密度0.3g/cmにし、巻き上げた複合撚糸を染色機用の釜に入れて95℃の熱水中で15分間処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後、50℃の水で十分に水洗し、次いで90℃の熱風で90分間乾燥させて、加工紡績糸を製造した。
(5)前記(4)で得られた加工紡績糸について、複合撚糸の製造に用いた紡績単糸の平均直径に対する加工紡績糸の平均直径の比、B値及び風合を測定又は評価した結果を表3に示す。さらに、実施例1〜5の加工紡績糸のトルク指標を測定した結果を表3に示す。
但し、比較例1では、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去させて得られた加工紡績糸から原綿(木綿繊維)が素抜けてしまい、加工紡績糸を織編物の製造に用いることができなかった。
また、比較例2では、複合撚糸を製造するための上撚の際の撚数が大きくてトルクが強すぎ、複合撚糸を製造する際の工程性が悪く、複合撚糸を円滑に製造することができなかった。
また、実施例1で得られた膨化加工紡績糸及びその製造に用いた元の紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)の電子顕微鏡写真(倍率25倍)を図1に示す。図1において、上段の糸が膨化加工紡績糸であり、下段の糸が元の紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)である。
《比較例3》
(1)(i)撚数が800回/m(Z撚)の木綿繊維100%の40番手紡績糸(紡績単糸)(都築紡績(株)製「TS40単糸」)の2本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して撚数600回/m(S撚)で撚糸して双糸を製造した。
(ii)水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、56dtex/12フィラメント)を準備した。
(2)前記(1)の(i)で製造した双糸(紡績糸)と前記(1)の(ii)で準備した水溶性糸を、ダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、撚数(上撚数)が1000回/m(Z撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数N2と紡績糸の撚数N1の比(N2/N1)=約1.7]。
(3)前記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸(双糸)と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、複合撚糸は紡績糸(双糸)85質量%及び水溶性糸15質量%からなっていた。
(4)前記(2)で得られた複合撚糸を染色ボビンに巻き上げた後に上方から圧縮して繊維密度0.3g/cmにし、巻き上げた複合撚糸を染色機用の釜に入れて95℃の熱水中で15分間処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後、50℃の水で十分に水洗し、次いで90℃の熱風で90分間乾燥させて加工紡績糸を得た。
(5)前記(4)で得られた加工紡績糸について、複合撚糸の製造に用いた紡績糸(双糸)の平均直径に対する加工紡績糸の平均直径の比、B値及び風合を測定又は評価した結果を表3に示す。
《比較例4》
(1)(i)撚数が800回/m(Z撚)の木綿繊維100%の40番手紡績糸(紡績単糸)(都築紡績(株)製「TS40単糸」)を準備した。
(ii)水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、56dtex/12フィラメント)を準備した。
(2)前記(1)の(i)で準備した木綿繊維100%の40番手紡績糸(紡績単糸)2本と前記(1)の(ii)で準備した水溶性糸1本を、ダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、撚数(上撚数)が1200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数N2と紡績糸の撚数N1の比(N2/N1)=1.5]。
(3)前記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸(双糸)と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、この複合撚糸は紡績糸(双糸)84質量%及び水溶性糸16質量%からなっていた。
(4)前記(2)で得られた複合撚糸を染色ボビンに巻き上げた後に上方から圧縮して繊維密度0.3g/cmにし、巻き上げた複合撚糸を染色機用の釜に入れて95℃の熱水中で15分間処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後、50℃の水で十分に水洗し、次いで90℃の熱風で90分間乾燥させたで加工紡績糸を得た。
(5)前記(4)で得られた加工紡績糸について、平均直径の比、B値風合を評価した結果を表3に示す。
《比較例5》
(1)(i)撚数が260回/m(Z撚)の木綿繊維100%の5番手紡績糸(紡績単糸)(ミマス(株)製)を準備した。
(ii)水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸
((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の熱水に溶解する糸、17dtex/6フィラメント)を準備した。
(2)前記(1)の(i)で準備した紡績単糸と前記(1)の(ii)で準備した水溶性糸を、ダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、撚数(上撚数)が520回/m(S撚)となるようにして撚り合せて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数N2と紡績糸の撚数N1の比(N2/N1)=2.0]。
(3)前記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績単糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、複合撚糸は紡績単糸98.5質量%及び水溶性糸1.5質量%からなっていた。
(4)前記(2)で得られた複合撚糸を染色ボビンに巻き上げた後に上方から圧縮して繊維密度0.3g/cmにし、巻き上げた複合撚糸を染色機用の釜に入れて95℃の熱水中で15分間処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後、50℃の水で十分に水洗し、次いで90℃の熱風で90分間乾燥させたで加工紡績糸を得た。
(5)前記(4)で得られた加工紡績糸について、複合撚糸の製造に用いた紡績糸(紡績単糸)の平均直径に対する加工紡績糸の平均直径の比、B値及び風合を測定又は評価した結果を表3に示す。
《比較例6》
(1)(i)撚数が1500回/m(Z撚)の木綿繊維100%の120番手紡績糸(紡績単糸)[(Royal Textile Mills Ltd.(インド)製「Royal 120」]を準備した。
(ii)水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の熱水に溶解する糸、56dtex/12フィラメント)を準備した。
(2)前記(1)の(i)で準備した紡績単糸と前記(1)の(ii)で準備した水溶性糸4本を、ダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、撚数(上撚数)が2500回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて複合撚糸を製造した[複合撚糸の撚数N2と紡績糸の撚数N1の比(N2/N1)=約1.7]。
(3)前記(2)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績単糸と水溶性糸の2種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、この複合撚糸は紡績単糸17質量%及び水溶性糸83質量%からなっていた。
(4)前記(2)で得られた複合撚糸を染色ボビンに巻き上げた後に上方から圧縮して繊維密度0.3g/cmにし、巻き上げた複合撚糸を染色機用の釜に入れて95℃の熱水中で15分間処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後、50℃の水で十分に水洗し、次いで90℃の熱風で90分間乾燥させて加工紡績糸を得たが、得られた加工紡績糸は、巻崩れが生じて織編物を製造するのが困難であった。
表3から明らかなように、実施例1〜5では、紡績単糸と水溶性糸を紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合せた複合撚糸において、複合撚糸の撚数が紡績単糸の撚数の1.3〜3倍の範囲にあり、かつ紡績単糸の割合が98〜20質量%及び水溶性糸の割合が2〜80質量%の範囲にある複合撚糸を用いて、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して加工紡績糸としたことにより、元の紡績単糸に比べて大きく膨らみ(膨化しており)、元の紡績単糸に比べて柔らかく、良好な風合いを有する膨化加工紡績糸が得られた。
さらに、実施例1〜5の加工紡績糸は、いずれもB値が適切な範囲にあるとともに、風合いが優れていた。さらに、実施例1〜5の加工紡績糸は、トルクが小さく、製織編性に優れていた。
これに対して、比較例1では、複合撚糸における上撚の撚数(A)が紡績単糸の撚数(下撚の撚数)(B)の1.0倍であるため、得られた加工紡績糸から原綿(木綿繊維)が素抜けてしまい、加工紡績糸を織編物の製造に用いることができなかった。
また、比較例2では、複合撚糸における上撚の撚数(A)が紡績単糸の撚数(下撚の撚数)(B)の3.5倍であるため、上撚の際の撚数が大きくてトルクが強すぎ、複合撚糸を製造する際の工程性が悪く、複合撚糸を円滑に製造することができなかった。
比較例3では双糸である紡績糸と水溶性糸を撚り合せた複合撚糸を用いたため、また比較例4では紡績糸(紡績単糸)2本と水溶性糸を撚り合せた複合撚糸を用いたため、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られた加工紡績糸は、元の紡績糸に比べて、膨らみが小さく、柔らかさに欠け、良好な風合いを有していなかった。
比較例5では、複合撚糸における水溶性糸の割合が2質量%未満であるため、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られた加工紡績糸は、元の紡績糸に比べて、膨らみが小さく、柔らかさに欠け、良好な風合いを有していなかった。
比較例6では、複合撚糸における紡績単糸の割合が20質量%よりも少ないため、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したときに、巻崩れが生じて、織編物を製造するのが困難であった。
[2]織編物の製造
以下の実施例、比較例及び参考例において、製織編して得られた織編物の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性、乾燥性、毛羽落ち性は、以下の方法で測定または評価した。
(1)織編物の風合
膨化加工紡績糸を得るために使用したのと同じ紡績糸(膨化加工を行う前の元の紡績糸)を使用して、同じ機械を使用して同じ組織に製編織して得られた織編物の風合の評点を3(基準)として、下記の表4に示す評価基準に従って5名のパネラーが評価し、その平均値を採った。
(2)織編物の膨らみ度:
膨化加工紡績糸を得るために使用した紡績糸(膨化加工を行う前の元の紡績糸)を使用して、編物及び織物について、それぞれスムース編物については丸編機((株)福原精機製「LIL4」)、パイル編物についてはパイル編機((株)福原精機製「PLII」)、織物については超高速レピア織機((株)石川製作所製「ビートマックス1001」)を使用して同じ組織に製編織して得られた織編物を8枚重ねてときの厚さ(D)(mm)と、実施例、比較例または参考例で得られた織編物を8枚重ねたときの厚さ(D)(mm)から、下記の数式によって織編物の膨らみ度を求めた。
織編物の膨らみ度(%)=(D/D)×100。
(3)ピリング
JIS L 1076 A法にしたがって測定した。
(4)織編物の吸水性
JIS L 1907 沈降法にしたがって測定した。沈降時間が短いほど、吸水性が大きいことを示す。
(5)織編物の乾燥性
下記の実施例、比較例及び参考例で得られた織編物を縦×横=30mm×30mmのサイズに切断して試験片を作製し、この試験片[質量W(mg)]の中央に約0.3mLの水を滴下してその時の試験片の質量(W)(mg)を測定した後、直ちに温度20℃、湿度65%の恒温恒湿槽に入れて60分間放置した。さらに、60分後に恒温恒湿槽から試験片を取り出して、その質量(W)(mg)を測定し、下記式に基づいて試験片に残留している水分量(%)を求め、乾燥性の指標とした。残留している水分量(%)の値が小さいほど、乾燥し易いことを示す。
残留水分量(%)={(W−W)/(W−W)}×100。
(6)織編物の毛羽落ち性
約1000gの織編物を温度20℃、湿度65%の雰囲気中に24時間放置し、24時間放置後の織編物の質量(Wa)(g)を測定した後、当該織編物をJIS L 0217 103法にしたがって3回洗濯して乾燥し、乾燥した織編物を温度20℃、湿度65%の雰囲気中に24時間放置し、24時間放置後の織編物の質量(Wb)(g)を測定して、下記式に基づいて、毛羽落ち率(洗濯後の織編物の質量減少率)(%)を求め、毛羽落ち性の指標とした。質量の減少率が小さいほど、毛羽落ちが少ないことを示す。
毛羽落ち率(洗濯後の質量減少率)(%)={(Wa−Wb)/(Wa)}×100。
《実施例6〜8》
実施例2〜4で得られた加工紡績糸(E2)、(E3)又は(E4)を単独で使用して、14G×30インチの丸編機によるスムース生地を編立てし、得られたスムース編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表5に示す。
《実施例9〜10》
実施例2で得られた加工紡績糸(E2)と、撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)を、実施例9では1/1の割合[加工紡績糸(E2)の割合48質量%]、実施例10では1/3の割合[加工紡績糸(E2)の割合24質量%]で14G×30インチの丸編機にてスムース生地を編み立てし、得られたスムース編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表5に示す。
《比較例7》
撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)のみを使用して、14G×30インチの丸編機にてスムース生地を編み立てし、得られたスムース編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。これにより得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表5に示す。
《参考例1》
(1)実施例2の(2)で得られた複合撚糸[撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)1本とポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、38dtex/12フィラメント)1本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、900回/mの撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて製造した複合撚糸]を単独で使用して、14G×30インチの丸編機にてスムース生地を編み立てして複合撚糸からなるスムース編地を製造した。
(2)前記(1)で得られたスムース編地を、95℃の熱水中に30分間浸漬して、編地を形成している複合撚糸中の水溶性糸(ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸)を溶解除去し、次いで編地を水から取り出して150℃で乾燥した。得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表5に示す。
《参考例2》
(1)実施例3の(2)で得られた複合撚糸[撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)1本とポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、38dtex/12フィラメント)1本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、1200回/mの撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて製造した複合撚糸]のトルク指標を測定した結果、トルク指標は8.3cmであり、トルクが強すぎて編み立て性が著しく低かった。そのため、98℃で真空スチームセットを行った後、再度、スチームセットされた複合撚糸のトルク指標を測定した結果、トルク指標は27.5cmであった。
(2)スチームセットした複合撚糸を単独で使用して、14G×30インチの丸編機にてスムース生地を編み立てして複合撚糸からなるスムース編地を製造したところ、13回/分の回転数で編み立てすることができた。しかし、糸切れで丸編機が停止したとき、糸切れした糸がテンションによりトルクが発生して縮れ、丸編機の再起動が困難であった。なお、これに対して、実施例3の加工紡績糸を用いた実施例7では、参考例2よりも高い回転数である18回/分の回転数で編み立てすることが可能であり、糸切れで丸編機が停止しても容易に再起動できた。この結果は、特許文献3(特許第4393357号公報)の複合撚糸は、織編物を製造するための原糸として織編性が良好でないことを示している。
(3)前記(2)で得られたスムース編地を、95℃の熱水中に30分間浸漬して、編地を形成している複合撚糸中の水溶性糸(ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸)を溶解除去し、次いで編地を水から取り出して150℃で乾燥した。得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表5に示す。
さらに、得られた編地から糸をほどき、加工後の紡績糸を観察すると、複合撚糸の製造に用いた元の紡績単糸の平均直径に対する加工後の紡績単糸の比は1.3であり、風合の評価は4.0であった。なお、これに対して、実施例7で得られた編地から糸をほどき、加工後の紡績糸を観察すると、複合撚糸の製造に用いた元の紡績単糸の平均直径に対する加工後の紡績単糸の比は1.5であり、風合の評価は4.8であった。この結果は、水溶性糸の溶解除去を糸の段階で行うことにより、膨化が円滑に行われるためか、織編物の状態で水溶性糸を溶解除去した糸と比べて膨化の程度が大きいことを示している。
なお、比較例1〜6における水溶性糸を溶解除去する前に複合撚糸のトルク指標を測定した結果、比較例1:13cm、比較例2:7cm、比較例3:13cm、比較例4:9cm、比較例5:8cm、比較例6:15cmであり、いずれもトルクが強かった。
表5から明らかなように、実施例6〜8では、実施例2〜4で得られた加工紡績糸(膨化加工紡績糸)を単独で用いてスムース編地を製造したことにより、実施例2又は実施例3の(2)で得られた複合撚糸を単独で用いてスムース編地を製造した後に編地中の水溶性糸を水で溶解除去した参考例1又は参考例2で得られた編地よりも更に風合に優れ、膨らみ度が大きく、しかも吸水性及び乾燥性の点でも一層優れる編地が得られている。
しかも、実施例6〜10で得られたスムース編地は、膨化加工を行っていない通常の綿紡績糸を用いて製造した比較例7のスムース編地に比べて、風合、膨らみ度、吸水性及び乾燥性において大幅に優れている。
《実施例11》
実施例2で得られた加工紡績糸(E2)をパイル糸として用い、撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)を地糸として用いて、20Gシンカーパイル機(シンカー長1.7mm)を使用してパイル編物を製造した。これにより得られたパイル編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機にて乾燥した。得られたパイル編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性、乾燥性及び毛羽落ち性を評価又は測定した結果を表6に示す。
《比較例8》
パイル糸及び地糸として撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)を用いて、20Gシンカーパイル機(シンカー長1.7mm)を使用してパイル編物を製造した。これにより得られたパイル編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機にて乾燥した。これにより得られたパイル編地の風合、膨らみ度、吸水性、乾燥性および毛羽落ち性を評価又は測定し結果を表5に示す。
表6から明らかなように、実施例11では、実施例2で得られた加工紡績糸(膨化加工紡績糸)をパイル糸として用い、地糸として木綿紡績単糸を用いてパイル編地を製造したことにより、パイル糸及び地糸として木綿紡績単糸を用いてパイル編地を製造した比較例8に比べて、風合、膨らみ度、吸水性及び乾燥性の全てにおいて優れていて、しかも毛羽落ち率も小さい。
《実施例12》
比較例3で得られた40番手木綿紡績単糸の双糸を経糸として使用し、実施例2で得られた加工紡績糸(E2)を緯糸として使用して、経:24本/cm、緯:23本/cmの1/3綾織物を製造[織物中の加工紡績糸(E2)の占める割合は45質量%]し、得られた織物を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。得られた織物の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表7に示す。
《比較例9》
40番手木綿紡績単糸の双糸を経糸として使用し、撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)を緯糸として使用して、経:24本/cm、緯:23本/cmの1/3綾織物を製造し、得られた織物を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。得られた織物の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表7に示す。
《参考例3》
(1)40番手木綿紡績単糸の双糸を経糸として使用し、実施例2の(2)で得られた複合撚糸[撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)1本とポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、38dtex/12フィラメント)1本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、900回/mの撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて製造した複合撚糸]を緯糸として使用して、経:24本/cm、緯:23本/cmの1/3綾織物を製造した。
(2)前記(1)で得られた織物を、95℃の熱水中に30分間浸漬して、織物を形成している複合撚糸中の水溶性糸(ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸)を溶解除去し、次いで織物を水から取り出して150℃で乾燥した。得られた織物の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表7に示す。
表7から明らかなように、実施例12では40番手木綿紡績単糸の双糸を経糸とし実施例2で得られた加工紡績糸(E2)を緯糸として1/3綾織物を製造したことにより、40番手木綿双糸を経糸とし実施例2の(2)で得られた複合撚糸を緯糸として1/3綾織物を製造した後に綾織物中の水溶性糸を水で溶解除去した参考例3で得られた綾織物よりも更に風合に優れ、膨らみ度が大きく、しかも吸水性及び乾燥性の点でも一層優れる綾織物が得られている。
しかも、実施例12で得られた綾織物は、膨化加工を行っていない通常の綿紡績糸を用いて製造した比較例9の綾織物に比べて、風合、膨らみ度、吸水性及び乾燥性において大幅に優れている。
[3]加工紡績糸及び編物の製造
《実施例13》
(1)実施例2の(2)で得られた複合撚糸[撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)1本とポリビニルアルコールマルチフィラメント糸((株)クラレ製「水溶性ビニロン」、80℃の水に溶解する糸、38dtex/12フィラメント)1本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、900回/mの撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて製造した複合撚糸]2本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、Z方向に180回/mの撚数で撚り合せて複合撚糸の双糸を製造した。
(2)前記(1)で得られた複合撚糸の双糸を染色ボビンに巻き上げた後に上方から圧縮して繊維密度0.3g/cmにし、巻き上げた双糸を染色機用の釜に入れて95℃の熱水中で15分間処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後、50℃の水で十分に水洗し、次いで90℃の熱風で90分間乾燥させて、加工紡績糸(E13)を製造した。
(3)前記(2)で得られた加工紡績糸(E13)について、複合撚糸の製造に用いた紡績単糸の双糸[撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績糸双糸[(都築紡績(株)製「TS20単糸」)2本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、180回/mの撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて製造]の平均直径に対する加工紡績糸の平均直径の比及び風合を測定又は評価した結果を表8に示す。
表8から明らかなように、実施例13では、紡績単糸と水溶性糸を紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合せた複合撚糸において、複合撚糸の撚数が紡績単糸の撚数の1.3〜3倍の範囲にあり、かつ紡績単糸の割合が98〜20質量%及び水溶性糸の割合が2〜80質量%の範囲にあるため、元の紡績単糸に比べて大きく膨らみ(膨化し)、元の紡績単糸に比べて柔らかく、良好な風合いを有する膨化加工紡績糸が得られている。
《実施例14》
実施例13で得られた加工紡績糸(E13)を単独で使用して、14G×30インチの丸編機によるスムース生地を編立てし、得られたスムース編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。これにより得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表9に示す。
《比較例10》
撚数が600回/m(Z撚)の木綿繊維100%の20番手紡績単糸の双糸[20番手紡績単糸(都築紡績(株)製「TS20単糸」)2本をダブルツイスター(村田機械(株)製「36M」)に供給して、180回/mの撚数(上撚数)でS方向に撚り合わせて製造]のみを使用して、14G×30インチの丸編機にてスムース生地を編み立てし、得られたスムース編地を95℃の連続精練機で浴中精練し、150℃の熱風乾燥機で乾燥した。これにより得られたスムース編地の風合、膨らみ度、ピリング、吸水性及び乾燥性を評価又は測定した結果を表9に示す。
表9から明らかなように、実施例14では、実施例13で得られた加工紡績糸(E13)(膨化加工紡績糸)を単独で用いてスムース編地を製造したことにより、実施例14で得られたスムース編地は、膨化加工を行っていない通常の綿紡績糸2本を撚り合せた双糸を用いて製造した比較例10のスムース編地に比べて、風合、膨らみ度、吸水性及び乾燥性において大幅に優れている。
本発明の膨化糸は、元の紡績糸に比べて膨らみが大きく、柔らかくて風合いに優れ、通気性、保温性、吸水性に優れ、毛羽落ちがなく、しかも製編織性に優れている。さらに、本発明の膨化糸を用いて得られた織編物は、軽量でボリュームがあり、柔らかくて触感に優れ、保温性、通気性に優れ、しかもピリングが生じにくく、毛羽落ちがなく、その上吸水性が大きい。そのため、本発明の織編物は、このような特性を活かして、例えば、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、ジーンズ、上着、その他の衣料用、弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、その他の工業資材などの広範な用途に有効に使用することができる。

Claims (16)

  1. 紡績単糸と水溶性糸とを前記紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合わせた複合撚糸から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去して得られた膨化紡績単糸を含む膨化糸であって、100cm長の糸の両端を重力と直交する方向に10cm離した状態で固定して糸を垂らしたとき、ねじりが発生しないか、又はねじり部の最上端から糸の左右両端までの距離の平均値が30cm以上である膨化糸。
  2. 織編物を製造するための原糸である請求項1記載の膨化糸。
  3. 膨化紡績単糸の直径が、膨化加工前の紡績単糸の直径に対して1.2倍以上である請求項1又は2記載の膨化糸。
  4. トルクを低減するための熱処理が施されていない請求項1〜3のいずれかに記載の膨化糸。
  5. 下記式で表されるB値が3〜8である請求項1〜4のいずれかに記載の膨化糸。
    B=(N2/N1)×(D2/D1)
    (式中、N1は紡績単糸の撚数、N2は複合撚糸の撚数、D1は紡績単糸の平均直径、D2は膨化紡績単糸の平均直径を示す)
  6. 膨化紡績単糸からなる請求項1〜5のいずれかに記載の膨化糸。
  7. 2本以上の複合撚糸を引き揃えるか、撚り合わせた後、前記複合撚糸の水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去する請求項1〜5のいずれかに記載の膨化糸。
  8. 1本以上の複合撚糸と1本以上の他の糸とを引き揃えるか、撚り合わせた後、前記複合撚糸の水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去する請求項1〜5のいずれかに記載の膨化糸。
  9. 複合撚糸の撚数が、紡績単糸の撚数に対して1.3〜3倍であり、かつ紡績単糸と水溶性糸との割合(質量比)が、前者/後者=98/2〜20/80である請求項1〜8のいずれかに記載の膨化糸。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の膨化糸を綛状又は管状に巻き取った巻糸。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の膨化糸を含む織編物。
  12. 膨化糸の割合が10質量%以上である請求項11記載の織編物。
  13. 膨化糸をパイル糸として含む請求項11又は12記載の織編物。
  14. 紡績単糸と水溶性糸とを紡績単糸の撚方向と逆の方向に撚り合わせた複合撚糸から水溶性糸を親水性溶媒で溶解除去する請求項1記載の膨化糸の製造方法。
  15. 請求項1〜9のいずれかに記載の膨化糸を原糸として用いて織編物を製造する方法。
  16. 請求項1〜9のいずれかに記載の膨化糸を先染めする方法。
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