JP4204498B2 - 複合撚糸 - Google Patents

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Description

本発明は複合撚糸およびその製造方法、並びに該複合撚糸を用いてなる織編物に関する。より詳細には、本発明は、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸を撚り合わせた複合撚糸、その製造方法並びに該複合撚糸から形成した織編物に関する。
紡績糸とポリウレタン弾性糸を組み合わせた複合糸は、織編物やその他の用途に広く利用されている。特に、前記複合糸から製造した織編物は伸縮性を有し、人体へのフィット性、人体の動きに対する追随性に優れ、着心地が良く、人体の動きをスムーズにするために、スポーツ用衣料、肌着、ファンデーションをはじめとする衣料用途に広く用いられており、さらには弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地などの工業資材用などにも用いられている。
紡績糸とポリウレタン弾性糸を組み合わせた複合糸の代表的なものとしては、(1)ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、その周りを紡績用綿で被覆した後に撚を与えたコアスパンヤーン、(2)ポリウレタン弾性糸を芯糸とし、その周りに紡績糸を単層または複層に巻きつけたシングルまたはダブルカバードヤーン、(3)2本以上の紡績糸とポリウレタン弾性糸を撚合わせたプライヤーンを挙げることができる(特許文献1を参照)。
前記(1)のコアスパンヤーンは、ポリウレタン弾性糸を紡績用綿が完全に被覆しているため紡績糸単糸と変わらない風合を有している。しかし、コアスパンヤーンを製造するための紡績工程での紡績用綿によるポリウレタン弾性糸の完全被覆や、紡績工程で使用するエアスプライサーでの糸結びなどに非常に高い技術が要求されるため、製造に困難を伴う。しかも、ポリウレタン弾性糸を紡績用綿で完全に被覆するためには多量の紡績用綿を使用するため、最終的に得られるコアスパンヤーンが太くなりがちで、細番手のコアスパンヤーンの製造が極めて困難である。更に、紡績用綿として用いる原綿の選別が必要であり、しかも前記のように非常に高い技術を要することから、小ロット生産に対応することは困難である。その上、現段階ではコアスパンヤーン用の紡績用綿としては木綿が主に使用されており、麻や絹などの他の天然繊維や合成繊維などの木綿以外の繊維を紡績用綿として用いるコアスパンヤーンの安定した生産技術は未だ確立されていない。さらに、ポリウレタン弾性糸に紡績前の綿を絡ませながら撚りを与えて製造されるため、コアスパンヤーン自体の糸強力や伸縮性がそれほど高くなく、それに伴ってコアスパンヤーンを用いて製造した織編物の強力や伸縮性も充分とはいえない。また、コアスパンヤーンの表面には毛羽が発生し易いため、製編織時に糊付処理が不可欠であり、しかも製編織工程での生産性が低くなり易い。
前記(2)のカバーヤーンは、ポリウレタン弾性糸に糸状の紡績糸を巻きつけて製造したものであることから、糸強力に優れ、外観や感触も良好であり、太番手から細番手まで所望の太さのヤーンの製造が可能である。しかし、ポリウレタン弾性糸が紡績糸によって完全に被覆されるまで紡績糸をポリウレタン弾性糸に巻きつける必要があるため、生産性が低い。しかも、このカバーヤーンを用いて得られる織編物は軽量性に欠けたものになり易い。
前記(3)のプライヤーンは、通常2本の紡績糸とポリウレタン弾性糸を引き揃えて撚り合わせて製造するため、前記(1)のコアスパンヤーンにおけるような原綿の選別が不要で、生産性が高く、小ロット多品種への対応も可能である。しかし、紡績糸2本以上の間にポリウレタン弾性糸が完全に封入されずポリウレタン弾性糸が紡績糸よりも外側に突出するというトラブルや、プライヤーンの製造工程時にポリウレタン弾性糸が切断するなどのトラブルが発生し易い。しかも、2本以上の紡績糸を使用するため、細番手のプライヤーンを製造するためには、目的とするプライヤーンの1/2よりも細い、細番手の高価な紡績糸を使用する必要があり、かかる点から細番手のプライヤーンの製造が容易でなくまたコストがかかるという問題がある。
特開2001−131838号公報
本発明の目的は、高い糸強力を有し、高速の織機や編機を使用して製編織した際にも糸切れなどのトラブルが発生することなく、高い伸縮性を有する織編物を円滑に製造することのできる高伸縮性の複合糸を提供することである。
さらに、本発明の目的は、毛羽の発生が少なく、整経の際に糊付け処理を省略しても良好に製編織することができ、しかも外観、感触、通気性が良好で、軽い織編物を製造することのできる高伸縮性の複合糸を提供することである。
そして、本発明の目的は、原綿などの選別が不要で、天然繊維製の紡績糸、合成繊維製の紡績糸、半合成繊維製の紡績糸などの種々の紡績糸を使用することができ、しかも小ロット多品種に高い生産性で対応できる複合糸を提供することである。
また、本発明の目的は、前記した従来のプライヤーンやコアスパンヤーンでは困難な細番手での製造が可能な複合糸を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した優れた特性を兼ね備える複合糸の製造方法、および該複合糸よりなる伸縮性、強力、外観、感触、軽量性などに優れる織編物を提供することである。
本発明者らは、前記した目的を達成すべく種々検討を重ねてきた。その結果、紡績糸とポリウレタン弾性糸の2種類の糸を撚り合わせて複合糸を造る代わりに、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸を、紡績糸の撚り方向とは逆の撚り方向に撚り合わせると、高い強力を有し、毛羽が少なく、しかもポリウレタン弾性糸の複合撚糸の外方への突出や露出の少ない複合撚糸が得られ、この複合撚糸を用いて得られた織編物で、該複合撚糸内の水溶性糸を溶解した状態では、ポリウレタン弾性糸が紡績糸によって良好にカバーリングされ、得られる織編物は、高伸縮性を有し、軽量感のあるものとなることを見出した。
また、本発明者らは、かかる複合撚糸では、原綿の選別が不要で、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維からなる紡績糸、合成繊維からなる紡績糸、半合成繊維からなる紡績糸、天然繊維と合成繊維との混紡紡績糸などの種々の紡績糸を使用できること、細番手から太番手まで所望の太さの複合撚糸を製造できること、小ロット多品種に良好に対応できることなどを見出した。
さらに、本発明者らは、この複合撚糸は、ポリウレタン弾性糸を2〜5倍に伸長した状態で、前記3種類の糸を紡績糸の撚り方向とは逆の方向に撚り合わせることによって良好に製造できることを見出した。
さらに、本発明者らが前記で得られた複合撚糸を用いて織編物を製造したところ、前記複合撚糸は、複合撚糸中の水溶性糸の存在により、毛羽が少なく、更に補強の役割を果たすことで、高速の織機や編機を使用して製編織した際にも糸切れなどのトラブルが発生せず、しかも整経の際に糊付け処理を省略しても、高い生産性で良好に製編織できることを見出した。
そして、本発明者らは、上記で得られた複合撚糸を用いて織編物を製造し、その織編物を水で処理して織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したところ、水溶性糸が溶け出たところに隙間が生じ、その隙間を埋めようと更に糸に縮む力が生じ、結果として高い伸縮性を発現し、反発力の強い織編物が得られること、それにより得られた織編物は、外観、感触、通気性、軽量性に優れることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって、複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であることを特徴とする複合撚糸である。
そして、本発明は、
(2) 複合撚糸の撚数が、紡績糸の撚数の0.3〜3倍である前記(1)の複合撚糸;
(3) ポリウレタン弾性糸を2〜5倍伸長した状態で、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を撚り合わせてなる前記(1)または(2)の複合撚糸;および、
(4) 複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が20〜98質量%、ポリウレタン弾性糸の割合が0.5〜20質量%および水溶性糸の割合が1〜70質量%である前記(1)〜(3)のいずれかの複合撚糸;
である。
そして、本発明は、
(5) 紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸を撚り合わせて複合撚糸を製造する方法であって、ポリウレタン弾性糸を2〜5倍に伸長した状態で紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を引き揃え、ポリウレタン弾性糸を前記倍率に伸長した状態で、紡績糸の撚り方向とは逆の方向に前記3種類の糸を撚り合わせることを特徴とする複合撚糸の製造方法である。
さらに、本発明は、
(6) 複合撚糸の撚数が紡績糸の撚数の0.3〜3倍になる撚数を採用して前記3種類の糸を撚り合わせる前記(5)の複合撚糸の製造方法である。
さらに、本発明は、
(7) 前記(1)〜(4)のいずれかの複合撚糸を含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したことを特徴とする織編物である。
そして、本発明は、
(8) 前記(1)〜(4)のいずれかの複合撚糸を10質量%以上の割合で含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去してなる前記(7)の織編物である。
本発明の複合撚糸は、高い強力を有し、毛羽が少なく、その上ポリウレタン弾性糸の複合撚糸の外方への突出や露出がない。
さらに、本発明の複合撚糸では、紡績糸を構成する原綿の選別が不要であり、木綿、麻、絹、羊毛などの天然繊維からなる紡績糸、合成繊維からなる紡績糸、半合成繊維からなる紡績糸、天然繊維と合成繊維との混紡紡績糸などの種々の紡績糸を使用でき、細番手から太番手まで所望の太さで得ることができ、しかも小ロット多品種に良好に対応することができる。
本発明の製法による場合は、前記した優れた特性を兼ね備える複合撚糸を高い生産性で円滑に製造することができる。
本発明の複合撚糸を用いて織編物を製造すると、該複合撚糸は、複合撚糸中の水溶性糸の存在のために、毛羽が少なく、さらに補強の役割を果たすことから、高速の織機や編機を使用して、糸切れなどのトラブルが発生せずに、更には整経の際に糊付け処理を行わなくても、織編物を高い生産性で円滑に製造することができる。
本発明の複合撚糸を含む織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去して得られる織編物は、水溶性糸が溶け出たところに隙間が生じ、その隙間を埋めようとして糸に縮む力が生ずるため、高い伸縮性と強い反発力を有しており、しかも外観、感触、通気性、軽量性に優れる。そのための、本発明の織編物は、衣類用途、医療用途、工業資材などの広範な分野に有効に使用することができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の複合撚糸は、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸から形成されていることが必要である。
複合撚糸を構成する紡績糸は、水(熱水)に溶解しない繊維から形成された紡績糸であればいずれでもよく、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、アクリル繊維、水(熱水)不溶性のポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維などの合成繊維、アセテートなどの半合成繊維、レーヨン、キュプラなどの再生繊維、木綿、麻、絹、ウールなどの天然繊維から選ばれる1種の繊維からなる単独紡績糸、前記した繊維の2種以上からなる混紡紡績糸のいずれであってもよい。複合撚糸およびそれを用いて製造する織編物の用途などに応じて適当な紡績糸を選択して使用すればよい。
紡績糸の撚数は特に制限されないが、撚数をT(単位:回/2.54cm)、綿番手をS(単位:番手)とすると、K=T/√Sで表される撚係数Kが2〜4の紡績糸が、紡績糸の品質安定性、複合撚糸製造時の生産性、紡績糸の入手容易性などの点から好ましく用いられる。また、紡績糸の番手としては、綿番手5番〜200番のものが、複合撚糸製造の円滑性、紡績糸の入手の容易性、市場の要求などの点から好ましく用いられる。
ポリウレタン弾性糸は、通称スパンデックスと称されており、本発明では弾性ポリウレタンから製造した糸であればいずれも使用でき、ポリウレタン弾性糸を形成するポリウレタンの種類は特に制限されない。そのうちでも、ポリウレタン弾性糸は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応により得られた弾性ポリウレタンを、乾式紡糸、湿式紡糸又は反応紡糸して得られるものが一般的であり、本発明ではこれらのポリウレタン弾性糸を使用することができる。
また、ポリウレタン弾性糸としては、モノフィラメント糸でもマルチフィラメント糸でも問題はない。ポリウレタン弾性糸の太さとしては、一般に10〜350dtex、特に、20〜150dtexであることが、紡績糸および水溶性糸との撚り合わせの容易性、織編物における水溶性糸を溶解した後の紡績糸によるカバーリング性、生地に付与される伸縮性などの点から好ましい。
水溶性糸としては、大気圧下で、水の沸騰温度(約100℃)までの温度で水(熱水)に溶解する糸が、本発明の複合撚糸から製造した織編物から水溶性糸を水で溶解除去する際の除去の容易性、取扱性などの点から好ましく用いられる。特に、水溶性糸としては、水溶性糸自体を単独で温度90℃以上の熱水に浸漬して30分放置したときに、浸漬前の水溶性糸の質量に対して、85質量%以上、特に95質量%以上が前記熱水に溶解する水溶性糸(水不溶性の残渣が15質量%未満、特に5質量%未満である水溶性糸)がより好ましく用いられる。水溶性糸の水溶解性が低いと、複合撚糸を用いて製造した織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去する際に、水溶性糸の除去が不十分となり、織編物に充分な伸縮性、紡績糸によるポリウレタン弾性糸へのカバーリング性、軽量性などを付与しにくくなる。
水溶性糸を構成する繊維としては、前記した水溶解性を水溶性糸に与える繊維であればいずれも使用でき、例えば、水可溶性ポリビニルアルコール系繊維、水可溶性エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維、水可溶性ポリアミド繊維などを挙げることができ、そのうちでも水可溶性ポリビニルアルコール系繊維、水可溶性エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維が、繊維強力、水(熱水)への高い溶解性、生分解性、入手容易性などの点から好ましく用いられる。水可溶性ポリビニルアルコール系繊維は、従来から広く知られており、例えば、水溶性ビニロンなどとして販売されている。
水溶性糸は、水溶性である限りは、紡績糸であってもまたはフィラメント糸であってもいずれでもよい。水溶性糸の混率の低い複合撚糸をつくる場合は、フィラメント糸を用いることが好ましく、それにより、複合撚糸から製造した織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去する際に、水溶性糸の除去が速やかに且つ良好に行われる。
水溶性糸の太さは、15〜200dtex、特に25〜100dtexであることが、紡績糸およびポリウレタン弾性糸との撚り合わせの容易性、複合撚糸の強力、紡績毛羽の低減、複合撚糸から形成した織編物からの水溶性糸の溶解除去の容易性、水溶性糸を溶解した後の生地への伸縮性の付与と紡績糸によるポリウレタン弾性糸へのカバーリング性などの点から好ましい。
本発明において、本発明の複合撚糸を得るために、アルカリや酸に溶解する糸ではなくて水に溶解する糸(水溶性糸)を使用した理由としては、織編物を形成している複合撚糸の一部をアルカリや酸で除去した場合は、複合撚糸を構成しているポリウレタン弾性糸の変質や分解を生ずる恐れがあり、更に紡績糸でも変質や分解などを生ずる恐れがあるが、水で処理した場合には、ポリウレタン弾性糸および紡績糸の変質や分解を生ずる恐れがないことが挙げられる。その上、水溶性糸として水可溶性ポリビニルアルコール系繊維または水可溶性エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維からなる糸を用いた場合には、水溶性ポリビニルアルコールまたは水可溶性エチレン−ビニルアルコール系共重合体繊維は生分解性を有するため、溶解後の廃液を微生物などにより分解除去できることが理由として挙げられる。
本発明の複合撚糸における紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の割合は、複合撚糸およびそれからなる織編物の用途、紡績糸の種類、水溶性糸の種類などに応じて調整し得るが、一般的には、複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が20〜98質量%、ポリウレタン弾性糸の割合が0.5〜20質量%および水溶性糸の割合が1〜70質量%であることが好ましく、紡績糸の割合が35〜95質量%、ポリウレタン弾性糸の割合が0.8〜15質量%および水溶性糸の割合が4〜55質量%であることがより好ましい。
紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の割合を前記範囲にすることによって、ポリウレタン弾性糸が紡績糸の外側に突出したり露出することが少なくなり、製編織性、強力などに優れる複合撚糸、ひいては織編物が得られる。さらに、複合撚糸から製造した織編物から複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する際に、水溶性糸の除去が良好に行われ、また、水溶性糸の除去した隙間を埋めようとする収縮力が織編物に働いて、織編物の伸縮性、風合が向上し、紡績糸によるポリウレタン弾性糸のカバーリングが十分に行われる。
複合撚糸を構成する紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の本数(糸本数)としては、撚糸機のクリル本数の制限、品質管理の点から、紡績糸が1〜3本、ポリウレタン弾性糸が1〜2本、水溶性糸が1〜2本であることが好ましく、紡績糸が1〜2本、ポリウレタン弾性糸が1本、水溶性糸が1本であることがより好ましく、紡績糸1本、ポリウレタン弾性糸1本および水溶性糸1本を撚り合わせて複合撚糸を形成することが更に好ましい。
本発明の複合撚糸では、複合撚糸の撚り方向(紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類を撚り合わせた際の撚り方向)(以下複合撚糸の撚りを「上撚」ということがある)が、複合撚糸を構成する紡績糸の撚り方向(以下紡績糸の撚りを「下撚」ということがある)と逆になっていることが必要である。上撚の撚り方向と下撚の撚り方向とを逆にすることは、撚糸のトルクの低減、風合の良化の面で一般的に行われることであるが、上撚の撚り方向が下撚の撚り方向と逆になっていることにより、複合撚糸を製造するために上撚を行った際に、上撚が紡績糸の撚り(下撚)を多少解撚する方向に働き、前記解撚により紡績糸の糸長が多少長くなり、糸長が長くなった紡績糸がポリウレタン弾性糸や水溶性糸を覆った状態で撚糸が行われる。それに伴って、織編物を作製して水溶性糸を溶解した後に、紡績糸によるポリウレタン弾性糸のカバーリングがより良好に行われる。
また、本発明の複合撚糸において、複合撚糸の撚数(上撚の数)が紡績糸の撚数(下撚の撚数)の0.3〜3倍であることが好ましく、0.8〜2.5倍であることがより好ましい。
上撚の撚数が下撚の撚数の0.3倍未満であると、撚の安定性が乏しくなり、複合撚糸の強力のバラツキ、毛羽抑え不足、紡績糸によるポリウレタン弾性糸および水溶性糸への覆い不足などにより製編織性が劣るものとなり易く、さらに、複合撚糸を製造するための撚糸工程時に、紡績糸の撚(下撚)の解撚が不十分になり、それに伴って、織編物にして水溶性糸を溶解した後に、紡績糸によるポリウレタン弾性糸のカバーリングが不十分になり易い。
一方、上撚の撚数が大きすぎると、上撚をかける際の撚糸工程で糸切れなどのトラブルを生じて、複合撚糸の生産性の低下、得られた複合撚糸の強度低下、複合撚糸を用いての織編時の工程不良などを招き易い。撚りによる複合撚糸のトルクが強くなり過ぎて、かかる点からも上撚をかける際の工程不良、織編時の工程不良による生産性の低下などが生じ易くなる。
なお、本明細書でいう「複合撚糸の撚数」(上撚の撚数)とは、ポリウレタン弾性糸を所定の伸長倍率で伸長した状態で紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を撚り合わせたときの撚数のことであり、実際には撚糸工程時の設定撚数に準じた値となる。したがって、ポリウレタン弾性糸が最早伸長していない状態(元の長さに収縮して戻った状態)にある複合撚糸の撚数ではない。
上記した本発明の複合撚糸は、ポリウレタン弾性糸を2〜5倍、より好ましくは2.5〜4倍に伸長した状態で、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸を、紡績糸の撚り(下撚)の方向とは逆の方向に撚り合わせる(上撚をかける)ことによって円滑に製造することができる。
ここで、ポリウレタン弾性糸の上記した伸長倍率は、張力がかけられていないときのポリウレタン弾性糸の長さに対する伸長倍率をいう。
ポリウレタン弾性糸を2〜5倍に伸長した状態で上撚をかけることによって、水溶性糸が溶解除去された後の織編物に高い伸縮性、特に優れたキックバック性が得られる。
上撚をかける際のポリウレタン弾性糸の伸長率が小さ過ぎると、複合撚糸およびそれから得られる織編物の伸縮性が低くなり、一方大き過ぎると、ポリウレタン弾性糸の縮もうとする力が強くなり過ぎて、撚糸時に糸切れが多発して本発明の複合撚糸を得ることが困難になり、複合撚糸が得られたとしても製編織時の工程性が不良になり易い。
また、前記3種類の糸の撚り合わせ(上撚)は、上撚により得られる複合撚糸の撚数が、紡績糸の撚数の0.3〜3倍、特に0.8〜2.5倍になるような撚数を採用して行うことが、得られる複合撚糸、ひいてはそれから得られる織編物の伸縮性が高くなり、さらに紡績糸によるポリウレタン弾性糸のカバーリングが良好になり、しかも複合撚糸のトルクが強くなり過ぎないことから好ましい。
紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を撚り合わせる際の撚糸機の種類は特に制限されず、例えば、ダブルツイスター、リングツイスター、アップツイスターなどの従来汎用の撚糸機を使用することができる。
上記により得られる本発明の複合撚糸は、一般にトルクを有している。トルクを有していても製編織工程に支障を及ぼさない場合は、トルクを減ずることなくそのまま織編物の製造に使用することができる。一方、トルクを有していることにより製編織工程に支障を及ぼす場合は、熱処理を施してトルクを減じることが好ましい。その際の熱処理温度は、複合撚糸を構成する紡績糸、ポリウレタン弾性糸、水溶性糸の種類、複合撚糸のトルクの強さになどによって決める必要がある。
本発明の複合撚糸を用いることによって、高い伸縮性を有する織編物を製造することができ、織編物の種類や組織の内容などは特に制限されない。
織編物の製造に当っては、織編物の種類、用途、織編物に要求される伸縮の程度などに応じて、本発明の複合撚糸の使用割合を調節することができる。高い伸縮性を有する織編物を得るためには、織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水に溶解して除去する処理を行う前の織編物において、本発明の複合撚糸の使用割合を該織編物の質量に対して10質量%以上、特に25質量%以上にすることが好ましく、それによって該織編物を水(熱水)で処理して織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去した後に、高い伸縮性を有する織編物を得ることができる。
本発明の複合撚糸を用いて製造した織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する処理は、織編物を染色する工程の前および織編物に樹脂を付着する工程の前に行う必要がある。染色工程や樹脂付着工程中またはこれらの工程の後に複合撚糸を構成している水溶性糸の水溶解処理を行うと、染色工程や樹脂付着工程に支障を与えることは勿論のこと、水溶性糸の溶解除去が充分に行われなくなる。織編物を形成する複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する処理は、通常、最初の段階で行うことが、次に続く生産工程の円滑性、織編物の品質の点から好ましい。
織編物を形成している複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去する際の水の温度は、水溶性糸を構成する水溶性繊維の種類や水に対する溶解度、糸の形態や太さなどに応じて調節でき、水溶性糸が水溶性ポリビニルアルコール系繊維から形成されている場合は、通常、温度70〜100℃の温水または熱水を用いて処理を行うと、水溶性糸を短い時間で速やかに織編物から溶解除去することができる。
以下に、実施例などにより本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に何ら限定されるものではない。
以下の実施例および比較例において、織物(平織生地)の伸長率は次のようにして測定した。
[平織生地の伸長率]
(1) 以下の例で製造した平織生地から、生地の経方向の寸法が15cm(長さ)で緯方向の寸法が2.5cm(幅)である試験片(a)と、生地の経方向の寸法が2.5cm(幅)で緯方向の寸法が15cm(長さ)である試験片(b)をそれぞれ切り取った。
(2) 上記(1)で切り取った試験片(a)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(a)の端部から取り去り、代わりに300gの重りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(a)の長さ(La2)(cm)を測定して、下記の数式(i)から平織生地の経方向の伸長率(%)を求めた。
経方向の伸長率(%)={(La2−La1)/La1}×100 (i)
(3) 上記(1)で切り取った試験片(b)の長さ方向の一方の端部の中央(幅方向の中央)に1gの重りを取り付けて、重りを付けた端部を下にして試験片を垂直に吊してその状態で1分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb1)を測定した。
次いで、前記1gの重りを試験片(b)の端部から取り去り、代わりに300gの重り取りを同じ箇所に取り付けて垂直に吊してその状態で3分間放置し、その時の試験片(b)の長さ(Lb2)(cm)を測定して、下記の数式(ii)から平織生地の緯方向の伸長率(%)を求めた。
緯方向の伸長率(%)={(Lb2−Lb1)/Lb1}×100 (ii)
《実施例1》
(1)(i) 紡績糸として、撚数が600回/m(Z撚)の木綿100%の20番手紡績糸(都築紡績社製「TS20単糸」)を準備した。なお、この紡績糸は、2.54cm当りの撚数T=15.24回であり、番手S=20であることにより、式:K=(T/√S)から求められる撚り係数Kは、15.24/√20=15.24/4.47=3.24である。
(ii) ポリウレタン弾性糸として、単繊維繊度が78dtexである弾性ポリウレタンからなるマルチフィラメント糸(オペロンテックス社製「ライクラ127C」)を準備した。
(iii) 水溶性糸として、ポリビニルアルコールマルチフィラメント糸(56dtex)(90℃の熱水に完全に溶解)(株式会社クラレ製「水溶性ビニロン」)を準備した。
(2) 上記(1)で準備した紡績糸1本、ポリウレタン弾性糸1本および水溶性糸1本を、ポリウレタン弾性糸を3.5倍に伸長した状態で、図1の模式図に示すように、ほぼ平行に引き揃えてチーズ状に巻き付けてチーズとした。
(3) 上記(2)で得られたチーズから前記3種類の糸を巻き戻しながら、ポリウレタン弾性糸を前記した3.5倍に伸長した状態で、ダブルツイスター(村田機械社製「36M」)を使用して、複合撚糸における撚数が1200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて(上撚をかけて)、図2の模式図に示す複合撚糸(太さ369dtex)を得た。これにより得られた複合撚糸では、図2に示すように、ポリウレタン弾性糸と水溶性糸が紡績糸によってカバーリングされていて、ポリウレタン弾性糸が紡績糸よりも外側に突出するというトラブルは何ら生じていなかった。
(4) 上記(3)で得られた複合撚糸から所定長(1m)の糸を切り取って、試料糸とし、その試料糸の上撚を解除して、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸に分離し、分離したそれぞれの糸の質量を測定し、その測定結果から複合撚糸におけるそれぞれの糸の割合を求めたところ、該複合撚糸は紡績糸79.1質量%、ポリウレタン弾性糸6.0質量%および水溶性糸14.9質量%からなっていた。
(5) 上記(3)で得られた複合撚糸を経糸および緯糸として使用して、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率100%)。その際に、経糸にサイジング処理を施すことなく前記製織工程を実施したが、糸切れなどのトラブルを全く生ずることなく、平織生地を高速で織ることができ、製織量産性において何ら問題がなかった(織速度0.1m/分)。
(6) 上記(5)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地を形成している複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が23%および緯方向の伸長率が27%であり、高い伸縮性を有し、しかも反発性にも優れていた。また、得られた生地は、水溶性糸の水による溶解除去によって、ふっくらとしていて、軽量性に優れていた。
また、水(熱水)処理後の生地を構成している経糸および緯糸の構造を観察したところ、図3の模式図に示すように、木綿製紡績糸がポリウレタン弾性糸を良好にカバーリングしていて、生地に良好な風合を与えていた。
《実施例2》
(1) 木綿40番双糸を経糸として使用し、実施例1の(6)で得られた複合撚糸を緯糸として使用し、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率40%)。その際に、経糸にサイジング処理を施すことなく前記製織工程を実施したが、糸切れなどのトラブルを全く生ずることなく、平織生地を高速で織ることができ、製織量産性において何ら問題がなかった(織速度0.1m/分)。
(2) 上記(1)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地の緯糸をなす複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が8%および緯方向の伸長率が28%であり、緯方向に高い伸縮性を有し、しかも反発性にも優れていた。その上、得られた生地は、水溶性糸の水による溶解除去によって、ふっくらとしていて、軽量性に優れていた。さらに、水(熱水)処理後の生地を構成している緯糸は、図3の模式図に示すように、木綿製紡績糸がポリウレタン弾性糸を良好にカバーリングしていて、それにより生地に良好な風合が付与されていた。
《比較例1》
(1) 実施例1で使用したのと同じ紡績糸(Z撚、撚数600回/m)1本と実施例1で使用したポリウレタン弾性糸1本を、ほぼ平行に引き揃えてチーズ状に巻き付けてチーズとした。
(2) 上記(1)で得られたチーズから前記2種類の糸を巻き戻しながら、ポリウレタン弾性糸を前記した3.5倍に伸長した状態で、実施例1で使用したのと同じダブルツイスターを使用して、複合撚糸における撚数が1200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて(上撚をかけて)、複合撚糸(太さ314dtex)を得た。
(3) 木綿40番双糸を経糸として使用し、上記(2)で得られた複合撚糸を緯糸として使用し、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率40%)。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が8%および緯方向の伸長率が13%であり、実施例1および実施例2で得られた水(熱水)による水溶性糸の溶解除去後の生地に比べて伸縮性に劣っており、またふっくら感および軽量性の点でも劣っていた。
《参考例1》
(1) 実施例1で使用したのと同じ紡績糸(Z撚、撚数600回/m)、実施例1で使用したのと同じポリウレタン弾性糸1本および実施例1で使用したのと同じ水溶性糸1本を、ポリウレタン弾性糸を3.5倍に伸長した状態でほぼ平行に引き揃えてチーズ状に巻き付けてチーズとした。
(2) 上記(1)で得られたチーズから前記3種類の糸を巻き戻しながら、ポリウレタン弾性糸を前記した3.5倍に伸長した状態で、実施例1で使用したのと同じダブルツイスターを使用して、複合撚糸における撚数が150回/m(S撚)となるようにして撚り合わせた(上撚をかけた)後、ポリウレタン弾性糸にかけていた張力を解除して複合撚糸を得た。
(3) 木綿40番双糸を経糸として使用し、上記(2)で得られた複合撚糸を緯糸として使用し、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率40%)。その際に、複合撚糸における撚数(上撚の撚数)が紡績糸の撚数(下撚の撚数)の0.25倍であったことにより、複合撚糸(緯糸)での紡績糸によるポリウレタン弾性糸等への覆いが不足し、ポリウレタン弾性糸が外方に露出する部分が多く、また毛羽抑えが不足し、さらには強力のバラツキのため、製織時に糸切れが多発して製織生産性に劣っていた。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地の緯糸をなす複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が8%および緯方向の伸長率が23%であり、緯方向に高い伸縮性を有していたが、紡績糸によるポリウレタン弾性糸のカバーリング不足により、ポリウレタン弾性糸の露出が多く、商品価値が劣っていた。
《比較例2》
(1) 実施例1で使用したのと同じ紡績糸(Z撚、撚数600回/m)、実施例1で使用したのと同じポリウレタン弾性糸1本および実施例1で使用したのと同じ水溶性糸1本を、ポリウレタン弾性糸を5.5倍に伸長した状態でほぼ平行に引き揃えてチーズ状に巻き付けてチーズとした。
(2) 上記(1)で得られたチーズから前記3種類の糸を巻き戻しながら、ポリウレタン弾性糸を前記した5.5倍に伸長した状態で、実施例1で使用したのと同じダブルツイスターを使用して、複合撚糸における撚数が1200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて(上撚をかけて)複合撚糸を製造しようとしたが、ポリウレタン弾性糸による収縮力が強すぎて撚糸工程に支障をきたし、複合撚糸を製造することができなかった。
《比較例3》
(1) 実施例1で使用したのと同じ紡績糸(Z撚、撚数600回/m)、実施例1で使用したのと同じポリウレタン弾性糸1本および実施例1で使用したのと同じ水溶性糸1本を、ポリウレタン弾性糸を3.5倍に伸長した状態でほぼ平行に引き揃えてチーズ状に巻き付けてチーズとした。
(2) 上記(1)で得られたチーズから前記3種類の糸を巻き戻しながら、ポリウレタン弾性糸を前記した3.5倍に伸長した状態で、実施例1で使用したのと同じダブルツイスターを使用して、複合撚糸における撚数が2100回/m(S撚)となるようにして撚り合わせて(上撚をかけて)複合撚糸を製造しようとしたが、糸のトルクが強すぎて撚糸機に絡み易く、しかも糸が強いトルクに耐えられず糸切れが多発し、複合撚糸を製造することができなかった。
《参考例2》
(1) 実施例1で使用したのと同じ紡績糸(Z撚、撚数600回/m)、実施例1で使用したのと同じポリウレタン弾性糸1本および実施例1で使用したのと同じ水溶性糸1本を、ポリウレタン弾性糸を1.5倍に伸長した状態でほぼ平行に引き揃えてチーズ状に巻き付けてチーズとした。
(2) 上記(1)で得られたチーズから前記3種類の糸を巻き戻しながら、ポリウレタン弾性糸を前記した1.5倍に伸長した状態で、実施例1で使用したのと同じダブルツイスターを使用して、複合撚糸における撚数が1200回/m(S撚)となるようにして撚り合わせた(上撚をかけた)後、ポリウレタン弾性糸にかけていた張力を解除して複合撚糸を得た。
(3) 木綿40番双糸を経糸とし、上記(2)で得られた複合撚糸を緯糸として、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率40%)。
(4) 上記(3)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地の緯糸をなす複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が8%および緯方向の伸長率が9%であった。
《参考例3》
(1) 経糸として木綿40番双糸を使用し、緯糸として実施例1の上記(3)で得られた複合撚糸と木綿20番双糸を1:3(糸長比)の割合で使用して、経25本/cm、緯20本/cmの平織生地を製織した(平織生地における複合撚糸の混率8%)。
(2) 上記(1)で得られた平織生地を、90℃の熱水中に30分間浸漬して(浴比=1:10)、生地の緯糸の一部をなす複合撚糸中の水溶性糸を溶解除去し、次いで生地を水から取り出して150℃で乾燥した。これにより得られた生地の経方向および緯方向の伸長率を上記した方法で測定したところ、経方向の伸長率が8%および緯方向の伸長率が10%であった。
本発明の複合撚糸は、高強力で、毛羽が少なく、ポリウレタン弾性糸の複合撚糸の外方への突出や露出がなく、水溶性糸を水で溶解除去した時にポリウレタン弾性糸が紡績糸によって良好にカバーリングされた、高伸縮性の織編物の製造に有効に使用することができる。
本発明の複合撚糸を用いて形成した織編物を水で処理して複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去した本発明の織編物は、高い伸縮性と強い反発力を有し、外観、感触、軽量性に優れ、スポーツ衣料、肌着、ファンデーション、その他の衣料用、弾性包帯などの医療用途、車輛内装材、ベルトコンベア用生地、その他の工業資材などの広範な分野に有効に使用することができる。
本発明の実施例1において、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を、ポリウレタン弾性糸を伸長した状態で引き揃えた状態を示す模式図である。 実施例1の(3)で得られた複合撚糸の形態を示す模式図である。 実施例1の(6)で得られた水(熱水)処理後の生地を形成している複合撚糸の形態を示す模式図である。

Claims (8)

  1. 紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を撚り合わせた複合撚糸であって、複合撚糸の撚り方向が紡績糸の撚り方向と逆であることを特徴とする複合撚糸。
  2. 複合撚糸の撚数が、紡績糸の撚数の0.3〜3倍である請求項1に記載の複合撚糸。
  3. ポリウレタン弾性糸を2〜5倍伸長した状態で、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を撚り合わせてなる請求項1または2に記載の複合撚糸。
  4. 複合撚糸の質量に基づいて、紡績糸の割合が20〜98質量%、ポリウレタン弾性糸の割合が0.5〜20質量%および水溶性糸の割合が1〜70質量%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合撚糸。
  5. 紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸の3種類の糸を撚り合わせて複合撚糸を製造する方法であって、ポリウレタン弾性糸を2〜5倍に伸長した状態で、紡績糸、ポリウレタン弾性糸および水溶性糸を引き揃え、ポリウレタン弾性糸を前記倍率に伸長した状態で、紡績糸の撚り方向とは逆の方向に前記3種類の糸を撚り合わせることを特徴とする複合撚糸の製造方法。
  6. 複合撚糸の撚数が紡績糸の撚数の0.3〜3倍になる撚数を採用して前記3種類の糸を撚り合わせる請求項5に記載の複合撚糸の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合撚糸を含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去したことを特徴とする織編物。
  8. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合撚糸を10質量%以上の割合で含む織編物から、複合撚糸中の水溶性糸を水で溶解除去してなる請求項7に記載の織編物。
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