JP5733514B2 - ステーの架設構造 - Google Patents
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Description
第1部品と第2部品にステーが架設されているステーの架設構造に関する。
近年、自動車には、車室内空間の広さや荷物の収納容量の充実、車室内の静寂性などの快適性能が要求されている。そして、より快適性能を向上させることができるように、エンジン振動や路面からボデーが受ける振動が車体を通じて伝達する問題の改善、すなわち、ステアリング操作時に乗員に違和感を感じさせるステアリング振動やボデー振動といった振動問題の改善が要求されている。
この振動問題を改善するため、従来、特許文献1に開示されているように、ステアリングサポートメンバーとダッシュパネルにステー(特許文献1では「車体パネル取付ブラケット13」と称されている)を架設してあった。このように、ステーを架設すると、ステー・ステアリングサポートメンバー・ステアリングシャフト・ダッシュパネルで閉じ断面が形成される。これにより、ダッシュパネルによるステアリングシャフトの支持強度を強くすることができ、ステアリングの振動を抑制することができるとされていた。しかし、この種の構造では、一般にダッシュパネルとステアリングサポートメンバーの間隔が長いことから、ステーが長くなってステーの剛性が低く、ダッシュパネルによるステアリングサポートメンバーの支持強度への寄与が低くなる。このように、補強のために取り付けたステー自体に剛性が足りずに、前記支持強度が満足できなくなると上記の振動問題を改善しにくくなる。
そこで、ダッシュパネルによるステアリングサポートメンバーの支持強度を満足させるため、前記ステーを断面コの字状(一部分が断面ハット状)に形成してステーの剛性を向上させていた。
本発明は上記実状に鑑みて成されたもので、その目的は、軽量化・省スペース化を図ることができ、第1部品(例えばダッシュパネル)による第2部品(例えばステアリングサポートメンバー)の支持強度を満足させるステーの架設構造を提供する点にある。
第1部品と第2部品にステーが架設されているステーの架設構造であって、
前記ステーの一面側に膨出するビードが前記ステーの両側部に前記ステーの長手方向に沿って設けられ、
前記ビードの両側壁のうち、ステー幅方向内側の内側側壁は、前記第1部品側の前記ステーの一端部側ほど高さ寸法が大きくなるとともに、ステー幅方向外側の外側側壁は、前記第2部品側の前記ステーの他端部側ほど高さ寸法が大きくなるように形成されて、前記ステーの側面視で前記内側側壁の基端部と前記外側側壁の基端部が交差している点にある。(請求項1)
また、前記ビードの外側側壁は、第2部品側では他の外側側壁部分よりも高さ寸法が大きく設定されているから、ステーの第2部品への取り付け強度を確保することができる第2部品側の十分なビード高さを確保することができる。
従来のように、前記ビードの内側側壁の高さ寸法をステーの全長にわたって一定の長さ(内側側壁の第1部品側の端部の高さ寸法と同一長さ)に設定し、前記外側側壁の高さ寸法をステーの全長にわたって一定の長さ(外側側壁の第2部品側の端部の高さ寸法と同一長さ)に設定した比較例の構造では、ステーの全長にわたってビードの一定の高さ寸法分のレイアウトスペースが必要になっていた。
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記ビードの両側壁のうち、ステー幅方向内側の内側側壁は、前記ステーの一端部側ほど高さ寸法が大きくなるとともに、ステー幅方向外側の外側側壁は、前記ステーの他端部側ほど高さ寸法が大きくなるように形成されて、前記ステーの側面視で前記内側側壁の基端部と前記外側側壁の基端部が交差しているから、比較例の構造の内側側壁の基端部及び比較例の構造の外側側壁の基端部よりもビードの高さ方向内側にスペースを形成することができる。
このスペースは小さくてもハーネスなどの部品を通すスペースとして十分活用できて有意義なスペースとなる。さらに、比較例の構造に比べて前記内側側壁と外側側壁の面積を小さくできる。従って、本発明の上記構成によれば、ステーの架設構造の軽量化・省スペース化を図ることができる。
これにより、ステーの架設構造の振動を、上記のように軽量化・省スペース化を図った状態で改善することができる。(請求項1)
前記両ビード間のステーの一端部は前記両ビード間のステーの残部に対して前記ステーの一面側に折曲していると、折曲部のくの字形状を支持する側壁がつく形になるため、ステーの剛性を強くすることができる。(請求項2)
前記第1部品側の両ビードの端部同士を連結する連結ビードが前記ステーの一端部から前記ステーの一面側に膨出していると、両ビードの倒れを防止でき、ステーの剛性をより強くすることができる。(請求項3)
前記第1部品は自動車のダッシュパネル、
前記第2部品は自動車のステアリングサポートメンバーであり、
前記ステーの車両後方側の部分に脆弱部が設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項4)
詳述すると、前記ステーの一端部(前端部)をダッシュパネルに取り付ける場合、例えば、取り付け用の工具をステアリングサポートメンバーの上方又は下方からインストルメントパネルの作業用の孔に挿入して取り付ける。
ステーの一端部が取り付けられるダッシュパネル側の取り付け面は車両の後ろ上方又は後ろ下方を向いており、衝突荷重が車両前方より加わった時、ステーには、ダッシュパネル側の取り付け面に直角な方向に力(例えば車両の後ろ上方に向かう力)が加わる。
すると、その力をステーとステアリングサポートメンバーの取り付け部で支えることになる。この取り付け部の近傍(ステーの車両後方側の部分)には脆弱部があるのでステーが折れる。
その結果、ダッシュパネルは前記力によって乗員側に後退するが、インストルメントパネル、ステアリングサポートメンバーは前記力の影響を受けない。
従って、相反する要素を有する車室内の快適性能と乗員の安全性能をともに高めていくことができる。(請求項4)
前記脆弱部は、前記ビードの外側側壁の車両後方側の部分に形成された下側が開放する切り欠きを形成すると、上側に開放した切り欠きを形成した場合と比べて、加工工程を増やすことなく、脆弱部を簡単に形成することができる。(請求項5)
前記ステーの一端部の両ビード間に設けられた締め付け固定部が締め付け部材で前記ダッシュパネル側の被固定部に締め付け固定され、
前記ステーの他端部の両ビードよりもステー幅方向外側に設けられた接合部が前記ステアリングサポートメンバー側の被接合部に溶接接合されていると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
また、前記締め付け固定部はステーの一端部の剛性が高められた両ビード間に位置し、
締め付け作業時にステーが変形することを避けることができるため、前記一端部の締め付け固定部をダッシュパネル側の被固定部に安定的に締め付け固定することができる。
そして、例えば、作業者が締め付け部材で締め付け固定部をダッシュパネル側の被固定部に締め付け固定中に締め付け部材を落とした場合、締め付け部材を両ビード間のステー部分で受け止めることができる。締め付け部材はステーの一端部の締め付け固定部付近まで転がる等して、締め付け固定部と、この締め付け固定部に接続するステー部分(前記ステーの残部)との接続部付近に収容される。これにより、作業者が締め付け部材を見つけやすく、作業効率を向上させることができる。(請求項6)
前記被固定部は、前記ダッシュパネルに支持された操作ペダル支持ブラケットに設けられていると、次の作用を奏することができる。(請求項7)
軽量化・省スペース化を図ることができ、第1部品(例えばダッシュパネル)による第2部品(例えばステアリングサポートメンバー)の支持強度を満足させるステーの架設構造を提供することができた。
図1に示すように、ダッシュパネル3(第1部品に相当)の左右両側部に左右一対のサイドパネル1が各別に連結し、ステアリングサポートメンバー2(第2部品に相当)が左右一対のサイドパネル1に架け渡されている。ダッシュパネル3は自動車のエンジンルームと車室を仕切り、ステアリングサポートメンバー2はステアリング4を支持する。
平面視においてステー20は車両前後方向に長い長方形状に形成されている。そして、図3〜図5に示すように、ステー20の上面20J(一面に相当、図4参照)側に膨出するビード23がステー20の両側部20Sに長手方向に沿って設けられ、両ビード23の前端部(車両前方側Frの端部、ダッシュパネル3側の端部)同士を連結する連結ビード24が、ステー20の前端部20M(車両前方側Frの端部、一端部に相当)からステー20の上面20J側に膨出している。
すなわち、ステー20の側面視で、前記内側側壁23S1は車両前方側Frに向かって広がる車両前後方向に細長い三角形状に形成され、前記外側側壁23S2は車両後方側Rrに向かって広がる車両前後方向に細長い三角形状に形成されている。
図6に示すように、前記外側側壁23S2の基端部23K2はステー幅方向外側に円弧状に折曲している。これにより、外側側壁23S2の剛性を強くすることができる。
(1) 前記ビード23の内側側壁23S1は、ダッシュパネル3側では他の内側側壁部分よりも高さ寸法が大きく設定されているから、ステー20のダッシュパネル3への取り付け強度を確保することができるダッシュパネル3側の十分なビード高さを確保することができる。
また、前記ビード23の外側側壁23S2は、ステアリングサポートメンバー2側では他の外側側壁部分よりも高さ寸法が大きく設定されているから、ステー20のステアリングサポートメンバー2への取り付け強度を確保することができるステアリングサポートメンバー2側の十分なビード高さを確保することができる。
従来のように(図7の2点鎖線参照)、前記ビード23の内側側壁23S1の高さ寸法をステー20の全長にわたって一定の長さ(内側側壁23S1の前端部の高さ寸法と同一長さ)に設定し、前記外側側壁23S2の高さ寸法をステー20の全長にわたって一定の長さ(外側側壁23S2の後端部の高さ寸法と同一長さ)に設定した比較例の構造では、ステー20の全長にわたってビード23の一定の高さ寸法分のレイアウトスペースが必要になっていた。
これに対して、本発明の上記構成によれば、前記ビード23の内側側壁23S1はステー20の前端部20M側ほど高さ寸法が大きくなるとともに、外側側壁23S2はステー20の後端部20E側ほど高さ寸法が大きくなるように形成されて、ステー20の側面視で、内側側壁23S1の基端部23K1と外側側壁23S2の基端部23K2が交差しているから、比較例の構造の内側側壁の基端部及び比較例の構造の外側側壁の基端部よりもビード23の高さ方向内側にスペースS(図7参照)を形成することができる。
このスペースSは小さくてもハーネスHなどの部品を通すスペースとして十分活用できて有意義なスペースとなる。さらに、比較例の構造に比べて前記内側側壁23S1と外側側壁23S2の面積を小さくできる。従って、本発明の上記構成によれば、ステー20の架設構造を軽量化・省スペース化することができる。
これにより、ステーの架設構造の振動を、上記のように軽量化・省スペース化を図った状態で改善することができる。
前記取り付けボルトBはステー20の前端部20Mの締め付け固定部20K付近まで転がる等して、締め付け固定部20Kと、この締め付け固定部20Kに接続するステー部分(前記ステー20の残部21)との接続部付近に収容される。これにより、作業者が取り付けボルトBを見つけやすく、作業効率を向上させることができる。
すなわち、ステー20の締め付け固定部20Kをダッシュパネル3側の被固定部6Kに締め付け固定する際には、図8に示すように内装部品であるインストルメントパネル60が取り付けられた状態で、インストルメントパネル60に設けられた作業用の開口部60Hから締め付け工具70を差し込んで締め付けする。
しかし、前記締め付け固定部20Kがインストルメントパネル60の内方に位置して作業者から遠いため、締め付け固定作業中に締め付け工具70から取り付けボルトBを落下させるなどの作業ミスを起こす可能性がある。
このような作業ミスが起きた場合でも、取り付けボルトBをステー20のビード23間に収めることができる。すなわち、前記取り付けボルトBは締め付け固定部20K付近まで前記ステー20の残部21の傾斜面を転がって、前記接続部付近に収容されるので、作業者が取り付けボルトBを見つけやすく、作業効率の低下を最小限に抑えることができる。
詳しくは、ステー20の締め付け固定部20Kをダッシュパネル3側の被固定部6Kに締め付け固定する場合、図8に示すように、締め付け工具70をステアリングサポートメンバー3の上方からインストルメントパネル60の作業用の孔60Hに挿入して締め付け固定する。
ダッシュパネル3側の被固定部6Kの固定面は車両の後ろ上方を向いており、衝突荷重が車両前方側Frより加わったとき、ステー20には前記固定面に直角な方向に力(車両の後ろ上方に向かう力E(図7参照))が加わる。
すると、その力Eをステー20の接合部20Gとステアリングサポートメンバー2の被接合部2Gで支えることになる。前記接合部20Gの近傍(ステー20の車両後方側Rrの部分)には脆弱部31が形成されているのでステー20が矢印F方向に折れる。
その結果、ダッシュパネル3は前記力Eによって乗員側に後退するが、インストルメントパネル60、ステアリングサポートメンバー3は前記力の影響を受けない。
従って、相反する要素を有する車室内の快適性能と乗員の安全性能をともに高めていくことができる。
また、前記締め付け固定部20Kはステー20の前端部20Mの剛性が高められた両ビード23間に位置し、締め付け作業時にステー20が変形することを避けることができるので、前記前端部20Mの締め付け固定部20Kをダッシュパネル3側の被固定部6Kに安定的に締め付け固定することができる。
(1) 前記ダッシュパネル3にステー20が直接締め付け固定されていてもよい。すなわち、前記被固定部が前記ダッシュパネル3に設けられていてもよい。
2G 被接合部
3 第1部品(ダッシュパネル)
6 操作ペダル支持ブラケット
6K 被固定部
20 ステー
20E ステーの他端部(後端部)
20G 接合部
20J ステーの一面(上面)
20K 締め付け固定部
20M ステーの一端部(前端部)
20S ステーの側部
21 ステーの残部
23 ビード
23K1 内側側壁の基端部
23K2 外側側壁の基端部
23S ビードの側壁
23S1 内側側壁
23S2 外側側壁
24 連結ビード
31 脆弱部
B 締め付け部材(取り付けボルト)
Fr 車両前方側
Rr 車両後方側
Claims (7)
- 第1部品と第2部品にステーが架設されているステーの架設構造であって、
前記ステーの一面側に膨出するビードが前記ステーの両側部に前記ステーの長手方向に沿って設けられ、
前記ビードの両側壁のうち、ステー幅方向内側の内側側壁は、前記第1部品側の前記ステーの一端部側ほど高さ寸法が大きくなるとともに、ステー幅方向外側の外側側壁は、前記第2部品側の前記ステーの他端部側ほど高さ寸法が大きくなるように形成されて、前記ステーの側面視で前記内側側壁の基端部と前記外側側壁の基端部が交差しているステーの架設構造。 - 前記両ビード間のステーの一端部は前記両ビード間のステーの残部に対して前記ステーの一面側に折曲している請求項1記載のステーの架設構造。
- 前記第1部品側の両ビードの端部同士を連結する連結ビードが前記ステーの一端部から前記ステーの一面側に膨出している請求項2記載のステーの架設構造。
- 前記第1部品は自動車のダッシュパネル、
前記第2部品は自動車のステアリングサポートメンバーであり、
前記ステーの車両後方側の部分に脆弱部が設けられている請求項2又は3記載のステーの架設構造。 - 前記脆弱部は、前記ビードの外側側壁の車両後方側の部分に形成された下側が開放する切り欠きから成る請求項4記載のステーの架設構造。
- 前記ステーの一端部の両ビード間に設けられた締め付け固定部が締め付け部材で前記ダッシュパネル側の被固定部に締め付け固定され、
前記ステーの他端部の両ビードよりもステー幅方向外側に設けられた接合部が前記ステアリングサポートメンバー側の被接合部に溶接接合されている請求項4又は5に記載のステーの架設構造。 - 前記被固定部は、前記ダッシュパネルに支持された操作ペダル支持ブラケットに設けられている請求項6に記載のステーの架設構造。
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