JP5728817B2 - キシロース糖液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、キシラン含有バイオマスからキシロース糖液を製造する方法に関する。
近年、キシラン含有バイオマスから糖を製造し、この糖原料を使用したエタノールなどの化学品の発酵生産プロセスが盛んに研究されている。こうした糖の製造方法としては、濃硫酸を使用してバイオマスを酸加水分解して糖液を製造する方法(特許文献1、2)、バイオマスを希硫酸で加水分解処理した後に、さらにセルラーゼなどの酵素処理することより糖液を製造する方法が開示されている(非特許文献1)。また酸を使用しない方法として、250〜500℃程度の亜臨界水を使用しバイオマスを加水分解して糖液を製造する方法(特許文献3)、またバイオマスを亜臨界水処理した後に、さらに酵素処理することにより糖液を製造する方法(特許文献4)、バイオマスを240〜280℃の加圧熱水で加水分解処理した後に、さらに酵素処理することにより糖液を製造する方法(特許文献5)が開示されている。こうした手法で得られる単糖は、キシロースのみでなく、グルコースも含んでなる。またこうした単糖が含まれる一方で、発酵阻害物質と呼ばれる、酢酸、ギ酸、HMF、フルフラール、バニリン、といった低分子成分が含まれる(非特許文献2または3)。このような発酵阻害成分を多く含む糖液を炭素源として、エタノールなどの化学品を発酵生産する場合、微生物の増殖阻害、生産物の収率の低下を引き起こすことが課題となっている。こうした発酵阻害物質は、特に糖成分としてキシロースを炭素源として使用する微生物による生育あるいは発酵に悪影響があることが知られている(非特許文献4)。
こうした発酵阻害物質を糖液より除去する方法として、ナノろ過膜による発酵阻害物質の除去方法(特許文献6)が開示されている。具体的には、バイオマスから得られる発酵阻害物質を含む糖液を、ナノろ過膜に通じてろ過することにより、発酵阻害物質が透過液側から除去され、非透過液として発酵阻害物質が除去された糖液が得られることが開示されている。しかしながら、本技術においても発酵阻害物質のヒドロキシメチルフルフラール(以下、HMFとも言う。)の除去率について改善すべき余地があった。
その他、バイオマス由来の糖液に含まれる発酵阻害物質による発酵阻害を解決するための方法として、エタノールの発酵製造において、不純物耐性を有しかつエタノール発酵能を有する微生物をキシラン含有バイオマスから得られた糖液に添加して一次発酵を行った後、その後キシロース資化し、かつエタノール発酵能を有する微生物を添加し、二次発酵を行う方法が開示されている(特許文献7)。具体的には、一次発酵においてキシラン含有バイオマスから得られた糖液に含まれるHMFといった発酵阻害物質は、酵母(S.serevisiae)による一次発酵中にその体内に取り込まれるため、二次発酵では発酵阻害物質による発酵阻害がおきずに、エタノールが効率よく製造されるとされている。しかしながら、前述の微生物(酵母)を使用した発酵阻害物質の除去においては、やはりギ酸、酢酸、レブリン酸といった有機酸の除去効果が少ないといった課題があった。
特表平11−506934号公報 特開2005−229821号公報 特開2003−212888号公報 特開2001−95597号公報 特許3041380号公報 WO2009/110374 特開2005−270056号公報
上述のとおり、キシラン含有バイオマスよりキシロース糖液を製造して、これを微生物の発酵原料として利用する技術はあるが、キシロース糖液に含まれる発酵阻害物質を効率的に除去する方法に関しては、未だに多くの課題が残されていた。本発明では、キシラン含有バイオマスからキシロース糖液を製造するにあたり、発酵阻害物質の極めて少ないキシロース糖液を効率的に製造することを課題とする。
本発明は以下の[1]〜[]の構成を有する。
[1]キシラン含有バイオマスより、キシロース糖液を製造する方法であって、
(1)キシラン含有バイオマスを水熱処理し、水熱処理物を得る工程、
(2)水熱処理物に糖化酵素を添加し、さらにキシロースを資化しない微生物としてサッカロミセス属およびカンジダ属の群から選ばれる微生物を添加し、糖化発酵液を得る工程、
(3)糖化発酵液を、少なくとも精密ろ過膜を使用して固液分離し、得られたろ液をナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過し、非透過液より濃縮および精製されたキシロース溶液を得る工程、を含むキシロース糖液の製造方法。
[2]工程(1)の水熱処理物が、キシラン含有バイオマスを180〜300℃の高圧熱水で処理した水熱処理液および/または水熱処理バイオマスである、[1]記載のキシロース糖液の製造方法。
]工程(3)の糖化発酵液をpH1〜5の範囲に調整する、[1]または[2]に記載のキシロース糖液の製造方法。
]工程(3)の精密ろ過膜の平均細孔径が0.4μm以下である、[1]から[]のいずれかに記載のキシロース糖液の製造方法。
本発明により、キシラン含有バイオマスからキシロース糖液を選択的に得ることができ、さらには得られるキシロース糖液からはHMF、フルフラール、バニリンなどの発酵阻害物質が除去されているため、該キシロース糖液をキシロースを資化する微生物の炭素源として使用することができる。
図1は、本発明のキシロース糖液の製造方法における手順を示す略図である。 図2は、本発明の固液分離において、精密ろ過膜を使用した際の膜フラックスと膜間差圧との関係性を示す図である。 図3は、本発明のキシロース製造方法で得たキシロース糖液を炭素源として微生物を培養することにより化学品(エタノール)を製造した例を示す図である。
キシラン含有バイオマスは、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、ビートパルプ、綿実殻、パーム空殻房、稲わら、麦わら、竹、笹、などの草本系バイオマス、あるいはシラカバ、ブナなどの樹木、廃建材などの木質系バイオマスに多量に含まれており、本発明ではこれらをキシロース糖液の原料として使用する。具体的には、キシラン含有バイオマスにはヘミセルロース成分であるキシラン、セルロース、芳香族高分子であるリグニン等を含まれており、本発明では、キシラン含有バイオマスを加水分解することで、キシロース糖液を得る。
本発明のキシロースの製造方法では、前述キシラン含有バイオマスを原料として、まず工程(1)として、キシラン含有バイオマスの水熱処理を行うことで、水熱処理物を得る。次に工程(1)で得られた水熱処理物に糖化酵素を添加することで、キシラン含有バイオマスの加水分解反応を行う。次にキシロースを資化しない微生物を添加し、グルコースを炭素源として生育させる。工程(2)では、糖化酵素およびキシロースを資化しない微生物の作用により糖化発酵液を得ることができる。次に工程(3)では、得られた糖化発酵液を少なくとも精密濾過膜を使用して固液分離し、キシラン含有バイオマスの未分解生物およびキシロースを資化しない微生物を除去したろ液を得る。得られたろ液は、ナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過することで、キシロース含有糖液を非透過液より濃縮および精製されたキシロース糖液を得る。
まず、工程(1)に関して説明する。
工程(1)では、キシラン含有バイオマスを水熱処理するための前処理工程について特に限定はないが、後述水熱処理の効率を向上させるため、適当な粒径・サイズに予めの裁断、微粉砕、などの処理を施すことが好ましい。
工程(1)の水熱処理の条件としては、キシラン含有バイオマスが、0.1〜50重量%となるよう水を添加後、100〜400℃、好ましくは180〜300℃の高圧熱水で、1秒〜60分処理する。こうした温度条件において処理することにより、キシラン含有バイオマス中の成分である、キシラン、セルロース、リグニンなどの加水分解が起こる。処理回数は特に限定されず該処理を1回以上行えばよい。また、該処理を2回以上行う場合、1回目と2回目以降の処理を異なる条件で実施してもよい。なお、工程(1)の水熱処理は、後述工程(2)で行う糖化酵素による糖化効率を向上させるための前処理であり、完全にキシランあるいはセルロースを加水分解する処理ではない。
キシラン含有バイオマスの水熱処理物は、水熱処理固体と水熱処理水より構成される。水熱処理固体には、主として、水熱処理で十分に分解できなかったセルロース、セロオリゴ糖、あるいはキシラン、キシロオリゴ糖、そしてリグニンなどが含まれる。一方、水熱処理水には、単糖、グルコース、キシロース、水溶性のセロオリゴ糖、水溶性のキシロオリゴ糖が含まれる。工程(1)の水熱処理物における水熱処理固体と水熱処理水の比率あるいは固体含量は特に限定されるものではない。また、水熱処理物を固液分離し、水熱処理水と水熱処理固体に分離しておき、それぞれの成分を水熱処理物として、後述の工程(2)に使用してもよい。水熱処理物を固形分離する手法例として、特開2010−29862など水熱分解装置を使用する手法が例示でき、好ましく使用できる。
次に、工程(2)に関して説明する。
工程(2)の糖化酵素とは、水熱処理物のキシランあるいはセルロースを分解可能な酵素成分、すなわちセルラーゼあるいはヘミセルラーゼと呼ばれる酵素成分を含む酵素剤のことを指す。さらに詳細には、セロビオハイドラーゼ、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、βグルコシダーゼ、キシラナーゼ、キシロシダーゼなどの酵素成分を含む酵素剤のことを指す。
糖化酵素に含まれる酵素成分に関して説明する。セロビオハイドラーゼとは、セルロースの末端部分から加水分解していくことを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.91としてセロビオハイドラーゼに帰属される酵素群が記載されている。エンドグルカナーゼとは、セルロース分子鎖の中央部分から加水分解することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.4、EC3.2.1.6、EC3.2.1.39、EC3.2.1.73としてエンドグルカナーゼに帰属される酵素群が記載されている。エキソグルカナーゼとは、セルロース分子鎖の末端から加水分解することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.74、EC3.2.1.58としてエキソグルカナーゼに帰属される酵素群が記載されている。βグルコシダーゼとは、セロオリゴ糖あるいはセロビオースに作用することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.21としてβグルコシダーゼに帰属される酵素群が記載されている。キシラナーゼとは、ヘミセルロースあるいは特にキシランに作用することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.8としてキシラナーゼに帰属される酵素群が記載されている。キシロシダーゼとは、キシロオリゴ糖に作用することを特徴とするセルラーゼの総称であり、EC番号:EC3.2.1.37としてキシロシダーゼに帰属される酵素群が記載されている。
工程(2)の糖化酵素における前述の酵素成分の構成比は特に限定されないが、水熱処理物の糖化酵素による加水分解は、前述酵素成分が協奏的あるいは補完的に作用することで効率化されることが知られているため、複数の酵素成分を含んでなる酵素剤であることが好ましい。
工程(2)の糖化酵素は、好ましくはトリコデルマ属由来の糖化酵素である。トリコデルマ属の微生物は、前述した複数の酵素成分を、その培養過程で培養液に大量に分泌生産することが知られており、こうした培養液より糖化酵素を安価に大量に得ることができる。
前述のトリコデルマ属の微生物は、特に限定されないが、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)が好ましく、具体的にはトリコデルマ・リーセイQM9414(Trichoderma reesei QM9414)、トリコデルマ・リーセイQM9123(Trichoderma reeseiQM9123)、トリコデルマ・リーセイRutC−30(Trichoderma reeseiRut C−30)、トリコデルマ・リーセイPC3−7(Trichoderma reesei PC3−7)、トリコデルマ・リーセイCL−847(Trichoderma reeseiCL−847)、トリコデルマ・リーセイMCG77(Trichoderma reesei MCG77)、トリコデルマ・リーセイMCG80(Trichoderma reeseiMCG80)、トリコデルマ・ビリデQM9123(Trichoderma viride9123)を例示することができる。また、前述のトリコデルマ属に由来する微生物であって、これらを変異剤あるいは紫外線照射などで変異処理を施し、セルラーゼ生産性が向上した変異株であってもよい。
工程(2)の糖化酵素は、前述のトリコデルマ属の微生物がセルラーゼを産生するよう調整した培地中で、任意の期間該微生物を培養した培養上清より単離することができる。使用する培地成分は特に限定されないが、セルラーゼの産生を促進するために、セルロースあるいはセルロース含有バイオマスを添加した培地が一般的に使用できる。そして、こうした培養液を粗酵素物としてそのまま、あるいはトリコデルマ属の菌体を除去したのみの培養上清が好ましく使用される。またトリコデルマ属由来の糖化酵素に、さらに異種または同種のβグルコシダーゼ、キシラナーゼ、キシロシダーゼを添加してもよい。また、トリコデルマ属の微生物に異種または同種のβグルコシダーゼ、キシラナーゼ、キシロシダーゼの遺伝子を導入し、その培養液中に産生されるよう遺伝子組換えされたトリコデルマ属の微生物を培養し、その培養液を単離して得られた酵素を糖化酵素として使用してもよい。
前述した糖化酵素を、水熱処理物に添加することにより、セルロース、セロオリゴ糖、あるいはキシラン、キシロオリゴ糖の加水分解を行うことができる。この加水分解により、グルコースおよびキシロースを含む溶液を得ることができる。得られるグルコースおよびキシロース濃度は特に限定されないが、一般的に各々5g/L〜100g/L程度である。ここで得られるグルコースは、後述の「キシロースを資化しない微生物」の生育あるいは増殖の炭素源として消費される。
糖化酵素の添加量は、水熱処理物の十分な加水分解効率が得られる量であれば限定されるものではない。また、糖化酵素を添加後、糖化酵素の最適な反応温度およびpH条件下で、1分〜240時間保温することで加水分解を行うことができる。糖化酵素として、前述トリコデルマ属由来糖化酵素を使用する場合、反応温度は40〜60℃の範囲、pHは、3.0〜7.5の範囲で実施することが好ましい。
工程(2)の「キシロースを資化しない微生物」とは、五単糖であるキシロースを炭素源として資化しない、あるいはその資化速度が極めて遅い微生物のことを指す。通常、六単糖であるグルコースを炭素源として資化することが微生物の普遍的な特徴であるが、一方で、キシロースを炭素源として資化する能力が本来備わった微生物種が存在する。したがって、ここでいう「キシロースを資化しない微生物」とは、以下の特徴1)、2)を有する微生物を除外したすべての微生物を指す。
特徴1)キシロースを炭素源として資化する能力が本来高い微生物とは、キシロースの代謝経路が発達しており、キシロースを炭素源として細胞内に取り込み、特にペントースリン酸経路を経てキシロースの代謝を行う。こうした微生物としては、ピキア属、特にピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、カンジダ属、特にカンジダ・シェハタエ(Candida shehatae)、あるいはカンジダ・インターメディア(Candida intermedia)、パチソレン属、パチソレン・タノフィリス(Pachysolen tannophilus)、サーマス属、特にサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、エシェリシア属、特にエシェリシア・コリ(Esherichia coli)、バチルス属、特にバチルス・サチリス(Bacillus subtilis)、ロドスポリディウム属、特にロドスポリディウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、リポマイセス属、特にリポマイセス・スターキー(Lipomyces starkey)、ブレルタノマイセス属、特にブレスタノマイセス クランゼニー(Brentanomyces clansenii)などを例示することができる。ここで例示した微生物以外にも、キシロースを炭素源として利用できる微生物はこの範疇に含まれる。
特徴2)遺伝子組換え手法によりキシロースの資化性を付与された微生物とは、遺伝子組換え手法によって、特にキシロース代謝遺伝子を導入あるいは強化することでキシロースを資化できる微生物のことを指す。キシロース代謝性遺伝子としては、キシロースイソメラーゼ、キシロースレダクターゼ、キシリトースデヒドロゲナーゼ、キシルロースキナーゼなどの酵素を例示することができる。こうした遺伝子組換え手法によりキシロースの資化性を付与された微生物としては、特許第4124270号公報、特表2010−504756号公報などを例示できる。ここで例示した微生物以外にも、キシロースを炭素源として利用できる微生物はこの範疇に含まれる。
こうした「キシロースを資化しない微生物」のうち、好ましく使用できる微生物としては、真核微生物に属する微生物である。真核微生物とは、別名真菌と呼ばれ、さらに子嚢菌門(Ascomycota)、接合菌門(Zygomycota)、担子菌門(Basidiomycota)、ツボカビ門(Chytridiomycota)に分類される。こうした真核微生物は、原核微生物に比べ水熱処理物に含まれる酢酸やフルフラールなどの低分子化合物に対する耐性が比較的高く、本発明で好ましく使用できる。
真核微生物の中でも、特にサッカロミセス属またはカンジダ属が好ましく使用できる。サッカロミセス属またはカンジダ属は、1)低分子化合物に対する耐性が比較的高く、水熱処理物中でもグルコースを炭素源とした生育が優れる点、2)HMF、フルフラール、バニリンなどの芳香族アルデヒドまたはフランアルデヒド類の分解あるいは吸着に優れる点、から好ましく本発明に使用することができる。サッカロミセス属またはカンジダ属の中でも、さらに好ましくは、サッカロミセス・セレビジエまたはカンジダ・グラブラータである。
こうしたキシロースを資化しない微生物は、キシロースを資化せずにグルコースなどの単糖を炭素源として生育することができるが、生育の過程で発酵産物を生成する微生物であってもよい。発酵産物としては特に限定されるものではないが、具体例としてアルコール、有機酸、アミノ酸、核酸など発酵工業において大量生産されている物質を挙げることができる。なお、サッカロミセス・セレビジエまたはカンジダ・グラブラータは、エタノール発酵性を示すものが多く存在し、グルコースを炭素源として生育し、その発酵産物としてエタノールを好ましく産生しうる。
工程(2)では、水熱処理物に前述の糖化酵素およびキシロースを資化しない微生物を添加し糖化発酵液を製造する。この際、糖化酵素およびキシロースを資化しない微生物を同時に投入することで糖化発酵を同時に実施してもよいし、糖化酵素を添加し水熱処理物の糖化を実施した後に、キシロースを資化しない微生物を添加して発酵させてもよい。糖化発酵における反応時間、温度、糖化酵素の添加量は、使用する酵素あるいは微生物の特性などを鑑みて適宜条件設定すればよい。但し、工程(2)の糖化発酵では、キシロースを資化しない微生物の作用により1)グルコースを消費させ、糖液中のキシロース成分比率を増加させること、2)HMF、フルフラール、バニリンなどの不純物を分解あるいは吸着させること、を目的とするため、糖化発酵の反応時間は、得られる糖化発酵液中のグルコースおよびHMF、フルフラール、バニリンなどの発酵阻害物質の濃度が所望の量まで十分低下するまでの反応時間を設定し処理することが好ましい。こうした反応時間は、微生物の投入量、水熱処理物に含まれるHMFなどの含有量によって変動するが、1〜150時間の範囲で設定することができる。
工程(2)で得られる糖化発酵液には、キシロースを資化しない微生物の性質に依存して、グルコースから代謝変換された発酵産物が含まれる場合がある。仮に、エタノール発酵性の微生物を使用した場合、グルコースから生成したエタノールが糖化発酵液に含まれる。あるいは乳酸発酵性の微生物を使用した場合、グルコースから生成した乳酸が糖化発酵液に含まれる。こうした糖化発酵液に含まれる発酵産物量は、キシラン含有バイオマスから生成したグルコース量に依存する。この工程(2)の糖化発酵液中の発酵産物は、後述の工程(3)でナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過することで、ナノろ過膜透過液として除去してもよいし、あるいはさらにこの透過液を回収してもよい。
次に、工程(3)に関して説明する。
工程(3)では、糖化発酵液を少なくとも精密ろ過膜を使用して固液分離する。この固液分離により工程(2)の水熱処理物の糖化反応で未分解の固形物を除去する。ここでいう未分解の固形物には、糖化酵素で十分分解できなかったリグニン成分、セルロース成分、キシラン成分などが含まれ、また、工程(2)で投入した微生物も固液分離により未分解の固形物に含まれる。一方、精密ろ過膜を使用した固液分離により得られるろ液にはキシロースが含まれる。
工程(3)で使用される精密ろ過膜とは、メンブレンフィルトレーションと呼ばれ、圧力差を駆動力として、微粒子懸濁液から0.01〜10μm程度の粒子を分離除去できる分離膜である。すなわち精密ろ過膜の表面には0.01〜10μmの範囲の細孔を有し、その細孔以上の微粒子成分は膜側に分離除去することができる。
工程(3)では、0.4μm以下の平均細孔径を有する精密ろ過膜を使用することが好ましい。0.4μm以下の平均細孔径を有する精密ろ過膜を使用することにより、糖化発酵液中に含まれる発酵阻害物質であるHMF、フルフラールを除去できる効果を有しており、より不純物の少ないキシロース糖液を製造することができる。こうした平均細孔径は、各分離膜メーカーが提示の公称径を採用してもよいし、実際に測定してもよい。精密ろ過膜の平均細孔径を測定する方法として、バブルポイント法がある。バブルポイント法とは、膜二次側から空気圧をかけて、膜表面に気泡の発生が観察できる最小圧力を測定し、使用した液体の表面張力と圧力との関係式から平均細孔径を算出する手法である。具体的には、ASTM F316−03(バブルポイント法)に準拠して測定することが可能であり、例えば、日本ベル株式会社製の貫通細孔分布/ガス透過性解析装置を用いて測定することができる。
精密ろ過膜の材質は、酢酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリアクリロニトリル、セラミック、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))などが例示できるが特に限定されるものではないが、工程(3)で使用される精密ろ過膜の素材は、上述素材のうち、対汚性、薬品耐性、強度、ろ過性といった観点において、ポリフッ化ビニリデン製の精密ろ過膜であることが好ましい。
精密ろ過膜による精密ろ過の方法としては、圧ろ過、真空ろ過、クロスフローろ過、遠心ろ過などがあるが、膜の目詰まりが少ないクロスフローろ過であることが好ましい。またろ過操作として、定圧ろ過、定流量ろ過、非定圧非定流量ろ過に大別されるが特に限定されない。
工程(3)での固液分離は、少なくとも精密ろ過膜を使用して固液分離を行えばよいが、場合によっては、精密ろ過に加えて他の固液分離手法を組み合わせてもよく限定されるものではない。他の固液分離の手法の具体例としては、プレスろ過、遠心分離が挙げられる。
また、工程(3)の固液分離を行った後、得られるろ液を限外ろ過膜に通じてろ過処理することも好ましい態様の1つである。限外ろ過膜処理の効果として、1)工程(2)で使用する糖化酵素を回収、および再利用できるため経済性が向上すること、2)工程(3)のナノろ過膜および/または逆浸透膜における膜の目詰まりがさらに低下すること、3)キシロース糖液のアミノ酸あるいはタンパク質とのメイラード反応を抑制することができること、が挙げられる。使用する限外ろ過膜は、特に限定されないが、ポリエーテルサルホンなどの合成高分子性膜であることが好ましく、分画分子量1000〜200000の限外ろ過膜を使用することが好ましい。
次に前述固液分離で得られたろ液成分を、ナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過することに関して説明する。
工程(3)における「ナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過する」とは、糖化発酵液を固液分離したろ液を、ナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過することであり、本操作により、溶解している糖、特にキシロース糖液を非透過側に阻止または濾別し、発酵阻害物質を透過液、あるいはろ液として透過させることができる。
ここでいう発酵阻害物質とは、セルロース含有バイオマスの加水分解で生成する化合物であり、かつ本発明の製造方法によって得られる糖液を原料とする発酵工程において前述の通り阻害的に作用する物質のことを指し、特にセルロース含有バイオマスの酸処理の工程で生成される、有機酸、フラン系化合物、フェノール系化合物に大きく分類される。
有機酸としては、酢酸、ギ酸、レブリン酸などが具体例として挙げられる。フラン系化合物としては、HMF、フルフラールなどが挙げられる。こうした有機酸あるいはフラン系化合物は、単糖であるグルコースあるいはキシロースの分解による産物である。
また、フェノール系化合物としては、バニリン、アセトバニリン、バニリン酸、シリンガ酸、没食子酸、コニフェリルアルデヒド、ジヒドロコニフェニルアルコール、ハイドロキノン、カテコール、アセトグアイコン、ホモバニリン酸、4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル誘導体(Hibbert’s ketones)などが具体例として挙げられ、これらの化合物はリグニンまたはリグニン前駆体に由来する。
工程(3)の精密ろ過膜による固液分離により得られたろ液には、発酵阻害物質として前記物質のうち少なくとも1種が含まれており、実際には複数種含まれている。なお、これらの発酵阻害物質は、薄相クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなど、一般的な分析手法により検出および定量することが可能である。
工程(3)で使用するナノろ過膜とは、ナノフィルター(ナノフィルトレーション膜、NF膜)とも呼ばれるものであり、「一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜」と一般に定義される膜である。数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜で、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。また、工程(3)で使用する逆浸透膜とはRO膜とも呼ばれるものであり、「1価のイオンを含めて脱塩機能を有する膜」と一般的に定義される膜であり、数オングストロームから数ナノメートル程度の超微小空隙を有していると考えられる膜で、主として海水淡水化や超純水製造などイオン成分除去に用いられる。
工程(3)で使用するナノろ過膜および逆浸透膜の性能を評価する方法として、糖液に含まれる対象化合物(発酵阻害物質、あるいは単糖など)の透過率(%)を算出することで評価できる。透過率(%)の算出方法を式1に示す。
透過率(%)=(透過側の対象化合物濃度/非透過液の対象化合物濃度)×100・・・(式1)。
式1における対象化合物濃度は、高い精度と再現性を持って測定可能な分析手法であれば限定されないが、高速液体クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィーなどが好ましく使用できる。本発明で使用するナノろ過膜および/または逆浸透膜は、対象化合物が単糖である場合、その透過率が低い方が好ましく、その一方で対象化合物が発酵阻害物質である場合、その透過率が高いものが好ましい。
ナノろ過膜および/または逆浸透膜に供する糖液のpHは特に限定されないが、1〜5の範囲であることが好ましい。pHが1未満であると長期間使用した際に膜が変性してフラックス、透過率といった膜性能が著しく低下し、pHが5より大きいと酢酸、ギ酸、レブリン酸といった有機酸の除去率が著しく低下する場合があるためである。ナノろ過膜および/または逆浸透膜は膜表面が電荷を帯びているため溶液中にイオン化している物質の方が、イオン化していない物質に比べて除去または阻止しやすいことから、糖水溶液中に含まれる有機酸の含量が高い場合、あるいは高い除去効果が必要な場合、前記の範囲のpHに糖液を調整することで、その除去効率を飛躍的に向上させることができる。また、糖液のpHを1〜5に調整してナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過する効果として、膜のファウリング抑制効果がある。一般的にpHが低下するにつれて初期フラックス値は低下するが、特にキシラン含有バイオマス由来の糖液に限っては、前期pH条件である方が膜の長期安定性が保つことができる。
また、特に逆浸透膜においては、糖液のpHを1〜3に調製することがより好ましい。ナノ濾過膜同様、pHが1未満であると長期間使用時に膜が変性してフラックス、透過率といった膜性能が著しく低下することは同様であるが、pHが3より大きいと有機酸の除去率が十分得られないことがあるためである。これは、逆浸透膜はナノ濾過膜に対し孔径等が小さい等の理由により溶出成分のイオン性由来の電荷をより一層抑制しないと有機酸の有効半径であるイオン半径が大きくなり、ナノ濾過膜と同等の除去性能が保てないものと推察される。なお、逆浸透膜の中でも操作圧力を低減できる低圧・超低圧タイプの逆浸透膜を使用すれば、原水の調整pHが3より大きい値であっても、低圧・超低圧タイプでない逆浸透膜と同等の有機酸除去率となり、pH調整に使用する酸使用量、および後工程の発酵工程におけるpH調整に使用するアルカリ使用量を低減させる効果が得られ、また、有機酸の除去率が低圧・超低圧タイプではない逆浸透膜に比べて有機酸の除去率が向上するため、本発明において好ましく使用される。ここで低圧・超低圧タイプの逆浸透膜とは、0.75MPaの濾過圧、pH6.5において、膜単位面積当たりの塩化ナトリウム(500mg/L)の透過流量(m/m/day)が0.4以上の逆浸透膜を指す。膜単位面積当たりの透過流量(膜透過流束または膜フラックス)の評価方法としては、透過液量および透過液量を採水した時間および膜面積を測定することで、式2によって算出することができる。
膜透過流束(m/m/day)=透過液量/膜面積/採水時間・・・(式2)。
糖液のpH調整に使用する酸もしくはアルカリは特に限定されるものではない。酸として好ましくは塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、より好ましくは発酵時の阻害が起こりにくい観点から硫酸、硝酸、リン酸、さらに好ましくは経済性の観点から硫酸である。アルカリとして好ましくは経済性の観点からアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムとそれらを含む水溶液、より好ましくは膜ファウリングの観点から1価イオンであるアンモニア、ナトリウム、さらに好ましくは発酵時の阻害が起こりにくい観点からアンモニアである。
糖液のpH調整を行う段階は、ナノ濾過膜および/または逆浸透膜処理の前であればよい。またセルロース含有バイオマスの加水分解に酵素を利用する場合は、加水分解反応時にpHを5以下に調整しておいてもよい。また、限外濾過膜を利用して酵素を再利用するプロセスを利用する場合はpHを4以下まで低下させると酵素の失活が起こりやすいため限外濾過膜処理後の濾液をpH調整することが好ましい。
本発明におけるナノ濾過膜および/または逆浸透膜に供する糖液の温度は特に限定されないが、使用する膜の濾過時の発酵阻害物除去能を高める目的で適宜設定することができる。具体的には、ナノ濾過膜で濾過する場合、糖液の温度が40〜80℃であれば、ナノ濾過膜の発酵阻害物質除去能が高まるため、好ましく設定される。ナノ濾過膜で濾過する場合の糖液の温度が40℃以上の範囲から除去能が大きくなるものの、80℃より高いとナノ濾過膜が変性してしまうことによって膜特性が失われることがあるからである。
また、逆浸透膜で濾過する場合、糖液の温度が1〜15℃であれば、逆浸透膜の発酵阻害物質除去能が高まるため、好ましく設定される。逆浸透膜で濾過する場合の糖液の温度が1℃より低いと配管中の凍結により装置不良の原因となり、15℃より高い場合は、損失低下に効果が大きく現れない。前記の温度制御は温度の高いと膜の膨張が起きてより分子量の大きいものが除去され、除去量も向上する傾向が得られ、温度が低いと膜の収縮が起きて膜の孔径が小さくなり糖の濾液側への損失が低減されることがあるからである。
本発明で使用されるナノ濾過膜の素材には、酢酸セルロース系ポリマー、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ビニルポリマーなどの高分子素材を使用することができるが、前記1種類の素材で構成される膜に限定されず、複数の膜素材を含む膜であってもよい。またその膜構造は、膜の少なくとも片面に緻密層を持ち、緻密層から膜内部あるいはもう片方の面に向けて徐々に大きな孔径の微細孔を有する非対称膜や、非対称膜の緻密層の上に別の素材で形成された非常に薄い機能層を有する複合膜のどちらでもよい。複合膜としては、例えば、特開昭62−201606号公報に記載の、ポリスルホンを膜素材とする支持膜にポリアミドの機能層からなるナノフィルターを構成させた複合膜を用いることができる。
これらの中でも高耐圧性と高透水性、高溶質除去性能を兼ね備え、優れたポテンシャルを有する、ポリアミドを機能層とした複合膜が好ましい。操作圧力に対する耐久性と、高い透水性、阻止性能を維持できるためには、ポリアミドを機能層とし、それを多孔質膜や不織布からなる支持体で保持する構造のものが適している。また、ポリアミド半透膜としては、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物との重縮合反応により得られる架橋ポリアミドの機能層を支持体に有してなる複合半透膜が適している。
ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜において、ポリアミドを構成する単量体の好ましいカルボン酸成分としては、例えば、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメリット酸、ピロメット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ピリジンカルボン酸などの芳香族カルボン酸が挙げられるが、製膜溶媒に対する溶解性を考慮すると、トリメシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびこれらの混合物がより好ましい。
前記ポリアミドを構成する単量体の好ましいアミン成分としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、ベンジジン、メチレンビスジアニリン、4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、ジアニシジン、3,3’,4−トリアミノビフェニルエーテル、3,3’,4,4’−テトラアミノビフェニルエーテル、3,3’−ジオキシベンジジン、1,8−ナフタレンジアミン、m(p)−モノメチルフェニレンジアミン、3,3’−モノメチルアミノ−4,4’−ジアミノビフェニルエーテル、4,N,N’−(4−アミノベンゾイル)−p(m)−フェニレンジアミン−2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾイミダゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾオキサゾール)、2,2’−ビス(4−アミノフェニルベンゾチアゾール)等の芳香環を有する一級ジアミン、ピペラジン、ピペリジンまたはこれらの誘導体等の二級ジアミンが挙げられ、中でもピペラジンまたはピペリジンを単量体として含む架橋ポリアミドを機能層とするナノ濾過膜は耐圧性、耐久性の他に、耐熱性、耐薬品性を有していることから好ましく用いられ、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするナノろ過膜がより好ましく用いられる。架橋ピペラジンポリアミド系ナノろ過膜の具体例としては、東レ株式会社製の架橋ピペラジンポリアミド系ナノ濾過膜のUTC60が挙げられる。
ナノ濾過膜は一般にスパイラル型の膜モジュールとして使用されるが、本発明で用いるナノ濾過膜も、スパイラル型の膜モジュールとして好ましく使用される。好ましいナノ濾過膜モジュールの具体例としては、例えば、酢酸セルロース系のナノ濾過膜であるGE Osmonics社製ナノ濾過膜のGEsepa、ポリアミドを機能層とするアルファラバル社製ナノ濾過膜のNF99またはNF99HF、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするフィルムテック社製ナノ濾過膜のNF−45、NF−90、NF−200、NF−270またはNF−400、あるいは架橋ピペラジンポリアミドを主成分とし、かつ前記化学式1で示される構成成分を含有するポリアミドを機能層とする、東レ株式会社製のUTC60を含む同社製ナノ濾過膜モジュールSU−210、SU−220、SU−600またはSU−610が挙げられ、より好ましくはポリアミドを機能層とするアルファラバル社製ナノ濾過膜のNF99またはNF99HF、架橋ピペラジンポリアミドを機能層とするフィルムテック社製ナノ濾過膜のNF−45、NF−90、NF−200またはNF−400、あるいは架橋ピペラジンポリアミドを主成分としたポリアミドを機能層とする東レ株式会社製のUTC60を含む同社製ナノ濾過膜モジュールSU−210、SU−220、SU−600またはSU−610であり、さらに好ましくは架橋ピペラジンポリアミドを主成分としたポリアミドを機能層とする、東レ株式会社製のUTC60を含む同社製ナノ濾過膜モジュールSU−210、SU−220、SU−600またはSU−610である。
工程(2)におけるナノ濾過膜による濾過は、圧力をかけてもよく、その濾過圧は、0.1〜8MPaの範囲であることが好ましい。濾過圧が0.1MPaより低ければ膜透過速度が低下し、8MPaより高ければ膜の損傷に影響を与えるおそれがある。また、濾過圧が0.5〜7MPaの範囲であれば、膜透過流束が高いことから、糖溶液を効率的に透過させることができ、膜の損傷に影響を与える可能性が少ないことからより好ましく、1〜6MPaの範囲であることが特に好ましい。
本発明で使用される逆浸透膜の素材としては、酢酸セルロール系のポリマーを機能層とした複合膜(以下、酢酸セルロース系の逆浸透膜ともいう)またはポリアミドを機能層とした複合膜(以下、ポリアミド系の逆浸透膜ともいう)が挙げられる。ここで、酢酸セルロース系のポリマーとしては、酢酸セルロース、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロースの有機酸エステルの単独もしくはこれらの混合物並びに混合エステルを用いたものが挙げられる。ポリアミドとしては、脂肪族および/または芳香族のジアミンをモノマーとする線状ポリマーまたは架橋ポリマーが挙げられる。
本発明で使用される逆浸透膜の具体例としては、例えば、東レ株式会社製ポリアミド系逆浸透膜モジュールである超低圧タイプのSUL−G10、SUL−G20、低圧タイプのSU−710、SU−720、SU−720F、SU−710L、SU−720L、SU−720LF、SU−720R、SU−710P、SU−720Pの他、逆浸透膜としてUTC80を含む高圧タイプのSU−810、SU−820、SU−820L、SU−820FA、同社酢酸セルロース系逆浸透膜SC−L100R、SC−L200R、SC−1100、SC−1200、SC−2100、SC−2200、SC−3100、SC−3200、SC−8100、SC−8200、日東電工株式会社製NTR−759HR、NTR−729HF、NTR−70SWC、ES10−D、ES20−D、ES20−U、ES15−D、ES15−U、LF10−D、アルファラバル製RO98pHt、RO99、HR98PP、CE4040C−30D、GE製GE Sepa、Filmtec製BW30−4040、TW30−4040、XLE−4040、LP−4040、LE−4040、SW30−4040、SW30HRLE−4040、KOCH製TFC−HR、TFC−ULP、TRISEP製ACM−1、ACM−2、ACM−4などが挙げられる。
本発明では、逆浸透膜に通じてろ過することが好ましい。一般的に、ナノろ過膜を使用すると、キシロースの透過率が高くなり、非透過液としての回収できる量が低下する場合があるが、逆浸透膜であれば、非透過液としてキシロースを損失なく回収できる。したがって、ナノ濾過膜と逆浸透膜を組み合わせてキシロース糖液を得る場合、糖液をまずナノ濾過膜で濾過し、得られる濾過液をさらに逆浸透膜で濾過することにより、ナノろ過膜および逆浸透膜の非透過液からキシロール糖液を損失なく回収することができる。
前述の工程(3)により得られるキシロース糖液は、そのままでも工業原料として用いることができるが、さらに活性炭処理、イオン交換膜処理、晶析などの手法で精製処理を行ってもよい。
本発明により得られるキシロース糖液は、キシロース濃度が50〜200g/Lであることが好ましい。キシロース濃度が低すぎると、工業原料としての使用が困難であり、200g/Lを超える範囲までキシロース糖液を濃縮することは、工程(3)におけるナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過する処理において、高い圧力を要すため経済的に好ましくない。
また、キシロース糖液に含まれる発酵阻害物質であるHMFまたはフルフラールの濃度は、0〜1000ppmの範囲であることが、該キシロース糖液を後述の微生物の炭素源として使用する場合において好ましい。
キシロース糖液の工業原料としての用途としては、食品添加剤、保存剤、香料などの用途が例示できる。また、本発明のキシロース糖液を原料として、さらに水素化反応することでキシリトールに変換することもでき、ガムなどの甘味料として使用することができる。また、キシロース糖液を炭素源として微生物を培養することにより、化学品を製造することができる。
以下、キシロース糖液を炭素源として微生物を培養することによる化学品の製造方法に関して説明する。
本発明により得られるキシロース糖液には、必要に応じて、窒素源、無機塩類、及び必要に応じてアミノ酸、ビタミンなどの有機微量栄養素を適宜含有させてもよい。さらに場合によっては、キシロースに加え、炭素源として、グルコース、シュークロース、フラクトース、ガラクトース、ラクトース等の糖類、これら糖類を含有する澱粉糖化液、甘藷糖蜜、甜菜糖蜜、ハイテストモラセス、酢酸等の有機酸、エタノールなどのアルコール類、グリセリンなどを追加して、発酵原料として使用してもよい。窒素源としては、アンモニアガス、アンモニア水、アンモニウム塩類、尿素、硝酸塩類、その他補助的に使用される有機窒素源、例えば油粕類、大豆加水分解液、カゼイン分解物、その他のアミノ酸、ビタミン類、コーンスティープリカー、酵母または酵母エキス、肉エキス、ペプトン等のペプチド類、各種発酵菌体およびその加水分解物などが使用される。無機塩類としては、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、マンガン塩等を適宜添加することができる。
キシロース糖液を炭素源として微生物を培養する際の微生物は、キシロースを炭素源として利用できる微生物に限定される。それは、工程(2)の微生物の作用によりグルコースは、ほとんど消費されているためである。したがって、キシロースを炭素源として利用できる微生物以外は使用できない。
キシロースを炭素源として利用できる微生物の具体例としては、前述のとおり大きく2種に分類される。すなわち、本来キシロースを炭素源として資化できる微生物と、遺伝子組換え手法によりキシロースの資化性を付加した微生物である。
本来キシロースを炭素源として資化できる微生物の例としては、ピキア属、特にピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、カンジダ属、特にカンジダ・シェハタエ(Candida shehatae)、あるいはカンジダ・インターメディア(Candida intermedia)、パチソレン属、パチソレン・タノフィリス(Pachysolen tannophilus)、サーマス属、特にサーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、エシェリシア属、特にエシェリシア・コリ(Esherichia coli)、バチルス属、特にバチルス・サチリス(Bacillus subtilis)、ロドスポリディウム属、特にロドスポリディウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、リポマイセス属、特にリポマイセス・スターキー(Lipomyces starkey)、ブレルタノマイセス属、特にブレスタノマイセス クランゼニー(Brentanomyces clansenii)などを例示することができる。こうした微生物のうち、好ましくは、エシェリシア・コリ(大腸菌)もしくはピキア・スティピティスであり、より好ましくは、ピキア・スティピティスである。
また、遺伝子組換え手法によりキシロースの資化性を付加した微生物の例としては、キシロース代謝遺伝子を導入した微生物を例示することができる。キシロース代謝性遺伝子としては、キシロースイソメラーゼ、キシロースレダクターゼ、キシリトースデヒドロゲナーゼ、キシルロースキナーゼなどの酵素を例示することができる。こうした遺伝子組換え手法によりキシロースの資化性を付与された微生物としては、特許第4124270号公報、特表2010−504756号公報などを例示できる。こうした微生物は、キシロースを炭素源として効率的に資化でき、かつ所望の発酵産物の生産能力を有する微生物であれば、特に限定されるものではない。
微生物の培養は、通常、培養する微生物の至適pHおよび至適温度の範囲で行われる。培養液のpHは、無機あるいは有機の酸、アルカリ性物質、さらには尿素、炭酸カルシウム、アンモニアガスなどによって、通常、pH4〜8範囲内のあらかじめ定められた値に調節する。酸素の供給速度を上げる必要があれば、空気に酸素を加えて酸素濃度を21%以上に保つ、あるいは培養を加圧する、攪拌速度を上げる、通気量を上げるなどの手段を用いることができる。
キシロース糖液を炭素源として微生物を培養する際、当業者に公知の発酵培養方法が採用されうるが、生産性の観点から、WO2007/097260に開示される連続培養方法が好ましく採用される。
前述の化学品の製造方法により得られる化学品の具体例としては、アルコール、有機酸、アミノ酸、核酸、ジアミンなど発酵工業において大量生産されている物質を挙げることができる。例えば、アルコールとしては、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロールなど、有機酸としては、酢酸、乳酸、ピルビン酸、コハク酸、リンゴ酸、イタコン酸、クエン酸、核酸であれば、イノシン、グアノシンなどのヌクレオシド、イノシン酸、グアニル酸などのヌクレオチド、またカダベリンなどのジアミン化合物を挙げることができる。また、本発明は、酵素、抗生物質、組換えタンパク質のような物質の生産に適用することも可能である。本発明において好ましく製造される化学品は、アルコールである。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(参考例1)糖化酵素の調整(トリコデルマ由来糖化酵素)
糖化酵素は以下の方法で調整した。
[前培養]
コーンスティップリカー5%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)、酒石酸アンモニウム0.37%(w/vol)、硫酸アンモニウム0.14(w/vol)、リン酸二水素カリウム0.2%(w/vol)、塩化カルシウム二水和物0.03%(w/vol)、硫酸マグネシウム七水和物0.03%(w/vol)、塩化亜鉛0.02%(w/vol)、塩化鉄(III)六水和物0.01%(w/vol)、硫酸銅(II)五水和物0.004%(w/vol)、塩化マンガン四水和物0.0008%(w/vol)、ホウ酸0.0006%(w/vol)、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.0026%(w/vol)となるよう蒸留水に添加し、100mLを500mLバッフル付き三角フラスコに張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、これとは別にそれぞれ121℃で15分間オートクレーブ滅菌したPE−MとTween80をそれぞれ0.01%(w/vol)添加した。この前培養培地にトリコデルマ・リーセイPC3−7を1×10個/mLになるように植菌し、28℃、72時間、180rpmで振とう培養し、前培養とした(振とう装置:TAITEC社製 BIO−SHAKER BR−40LF)。
[本培養]
コーンスティップリカー5%(w/vol)、グルコース2%(w/vol)、セルロース(アビセル)10%(w/vol)、酒石酸アンモニウム0.37%(w/vol)、硫酸アンモニウム0.14%(w/vol)、リン酸二水素カリウム 0.2%(w/vol)、塩化カルシウム二水和物0.03%(w/vol)、硫酸マグネシウム七水和物0.03%(w/vol)、塩化亜鉛0.02%(w/vol)、塩化鉄(III)六水和物0.01%(w/vol)、硫酸銅(II)五水和物0.004%(w/vol)、塩化マンガン四水和物0.0008%(w/vol)、ホウ酸0.0006%(w/vol)、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物0.0026%(w/vol)となるよう蒸留水に添加し、2.5Lを5L容撹拌ジャー(ABLE社製 DPC−2A)容器に張り込み、121℃で15分間オートクレーブ滅菌した。放冷後、これとは別にそれぞれ121℃で15分間オートクレーブ滅菌したPE−MとTween80をそれぞれ0.1%添加し、あらかじめ前記の方法にて液体培地で前培養したトリコデルマ・リーセイPC3−7を250mL接種した。その後、28℃、87時間、300rpm、通気量1vvmにて培養を行い、遠心分離後、上清を膜ろ過(ミリポア社製 ステリカップ−GV 材質:PVDF)した。この前述条件で調整した培養液に対し、βグルコシダーゼ(Novozyme188)をタンパク質重量比として、1/100量添加し、これを糖化酵素として、以下実施例に使用した。
(参考例2)糖濃度の測定
本発明のグルコースおよびキシロース濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。なお水熱処理物、糖化液、糖化発酵液、キシロース糖液は、3500Gで10分間遠心分離を行い、その上清成分を下記分析に供した。
カラム:Luna NH(Phenomenex社製)
移動相:ミリQ:アセトニトリル=25:75(流速0.6mL/min)
反応液:なし
検出方法:RI(示差屈折率)
温度:30℃。
(参考例3)発酵阻害物質(HMF、フルフラール、バニリン、酢酸、ギ酸)の分析
発酵阻害物質のうち、HMF、フルフラール、バニリンは下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。なお水熱処理物、糖化液、糖化発酵液、キシロース糖液は、3500Gで10分間遠心分離を行い、その上清成分を下記分析に供した。
カラム:Synergi HidroRP 4.6mm×250mm(Phenomenex製)
移動相:アセトニトリル−0.1% HPO(流速1.0mL/min)
検出方法:UV(283nm)
温度:40℃。
酢酸、ギ酸は下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。なお水熱処理物、糖化液、糖化発酵液、キシロース糖液は、3500Gで10分間遠心分離を行い、その上清成分を下記分析に供した。
カラム:Shim−PackとShim−Pack SCR101H(株式会社島津製作所製)の直列
移動相:5mM p−トルエンスルホン酸(流速0.8mL/min)
反応液:5mM p−トルエンスルホン酸、20mM ビストリス、0.1mM EDTA・2Na(流速0.8mL/min)
検出方法:電気伝導度
温度:45℃。
(参考例4)エタノールの分析
エタノール蓄積濃度の測定には、ガスクロマトグラフ法により定量した。Shimadzu GC−2010キャピラリーGC TC−1(GL science) 15 meter L.*0.53mm I.D.,df1.5μmを用いて、水素塩イオン化検出器により検出・算出して評価した。
(実施例1)
工程(1):キシラン含有バイオマスより水熱処理物を得る工程
キシラン含有バイオマスとして、稲藁を使用した。キシラン含有バイオマスを約100μmとなるようカッターミルで細断した。その後、キシラン含有バイオマスの固形分重量15%となるように水を添加した。このキシラン含有バイオマス混合溶液を200℃で15分オートクレーブ処理(日東高圧製)した。処理後、固液物を軽く沈降させた後、上澄み成分を水熱処理物として使用した。この水熱処理物の固形物濃度は、約5%であった。実施例1の水熱処理物に含まれる成分組成を参考例2〜4の方法に準じて分析した。分析結果を表1に示す。
工程(2):水熱処理物に糖化酵素を添加し、さらにキシロースを資化しない微生物を添加し、糖化発酵液を得る工程
工程(1)で調整した水熱処理物に参考例1で調整した糖化酵素を添加し、糖化を行った。糖化条件は以下の通りである。
[糖化条件]
水熱処理物:2L(実施例1で調製)
pH:5.0
糖化酵素:タンパク質濃度1mg/mLとなる様に添加
反応温度および時間:50℃、6時間。
上記条件で得られた糖化液の成分組成を参考例2〜4に準じて分析した結果を表1に示す。水熱処理物の糖化により、グルコース、キシロース成分が大幅に増加することが確認された。
次に、糖化液にキシロースを資化しない微生物を添加して発酵させた。キシロースを資化しない微生物としては、Saccharomycecs cerevisiae OC−2(ワイン酵母)またはCandida grabrata(NBRC103857)を使用した。上記2種のキシロースを資化しない微生物は、YPD培地(2%グルコース、1%酵母エキス(Bacto Yeast Extract/BD社)、2%ポリペプトン(日本製薬))にて、1日間25℃で前培養を行った。次に、得られた培養液を、糖化後の前述水熱処理物に対し、1%(20mL)となるように添加した。微生物を添加後、25℃で2日間インキュベートした。この操作で得られたものを糖化発酵液とした。特に、Saccharomycecs cerevisiae OC−2(ワイン酵母)を添加し調製した糖化発酵液を「糖化発酵液1」、Candida grabrata(NBRC103857)を添加し調製した糖化発酵液を「糖化発酵液2」とした。糖化発酵液1および糖化発酵液2(いずれもpH5.0)の成分組成を参考例2〜4に準じて分析した結果を表1に示す。
Figure 0005728817
キシロースを資化しない微生物の添加による発酵により、1)グルコースの選択的な消費とこれに伴う発酵産物であるエタノール生成、2)HMF、フルフラール、バニリンの除去(消費)、が起きていることが確認できた。また、糖化発酵液1と糖化発酵液2の成分を比較により、Candida grabrataが、Saccharomycecs cerevisiae OC−2(ワイン酵母)よりもHMF、フルフラール、バニリンの除去に若干優れることが判明した。
工程(3):糖化発酵液を少なくとも精密ろ過膜で固液分離し、得られたろ液をナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過し、膜画分より濃縮および精製されたキシロース溶液を得る工程
まず、工程(2)で得られた糖化発酵液1および糖化発酵液2について、精密ろ過膜による固液分離を実施した。精密ろ過膜は、平均細孔径0.4μmのポリサルホン製精密ろ過膜(GE社製)を使用した。小型平膜ろ過装置(GE製 Sepa(登録商標) CF II Med/High Foulant System)において、精密ろ過膜を設置し、0.1m/m/dayの条件下で実施例2の糖化発酵液1、糖化発酵液2のクロスフローろ過を行い、膜透過液として、それぞれ精密ろ過膜ろ液1、精密ろ過膜ろ液2を得た。精密ろ過膜ろ液を参考例2〜4に準じて分析した結果を表2に示す。
次に、精密ろ過膜による固液分離により得られた溶液成分1Lをナノろ過膜または逆浸透膜に通じてろ過した。ナノろ過膜として架橋ピペラジンポリアミド系ナノろ過膜“UTC60”(東レ株式会社製)、逆浸透膜として、架橋全芳香族ポリアミド系逆浸透膜“SUL−G”(東レ株式会社製)を使用し、それぞれ小型平膜ろ過装置(GE製 Sepa(登録商標) CF II Med/High Foulant System)にセットし、原水温度を25℃、高圧ポンプの圧力を3MPaでろ過処理を行い、0.8Lの透過液を得た。ナノろ過膜の非透過液(膜画分)として得られたキシロース溶液の成分組成を表2に、逆浸透膜の非透過液(膜画分)として得られたキシロース溶液の成分組成を表3示す。なお、糖化発酵液1を処理したものをキシロース糖液1、糖化発酵液2を処理したものをキシロース糖液2とした。
Figure 0005728817
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糖化発酵液1および糖化発酵液2(表1)に比べて、精密ろ過膜によって固液分離をした精密ろ過膜ろ液1および精密ろ過膜ろ液2(表2)の方が、HMF、フルフラール、バニリンが低下することが判明した。また、ナノろ過膜または逆浸透膜に通じてろ過することで、キシロースを濃縮することができ、一方で、酢酸、ギ酸などの濃縮は低く抑えることができることが判明した。すなわち、キシロース濃度に対する酢酸、ギ酸の濃度は大幅に減少させながら、キシロース糖液を濃縮できることが判明した。また、ナノろ過膜でのキシロース濃縮(表2)と逆浸透膜でのキシロース濃縮(表3)を比較したところ、逆浸透膜の方がキシロースの損失が少なく濃縮できることが判明した。
(実施例2)糖化発酵液のpH調整がナノろ過膜または逆浸透膜ろ過に及ぼす影響
実施例3では、pH5.0の糖化発酵液を精密ろ過膜にて固液分離をした後、ナノろ過膜または逆浸透膜に通じてろ過処理している。したがって、ナノろ過膜または逆浸透膜処理時のpHは5.0である。本実施例では、実施例1の工程(2)で調製した糖化発酵液1のpHを、あらかじめpH1、pH2.4、pH3.2、pH4.0、pH5.0、pH6.0、pH7.0に調製した。pHの調製には、0.1NのNaOH水溶液あるいは0.1Nの希硫酸溶液を使用して調製した。pH調製した糖化発酵液を、実施例1の工程(2)に記載の精密ろ過膜による固液分離を行った後に、ナノろ過膜または逆浸透膜に通じてろ過し、得られたキシロース糖液の成分比較を実施した。その結果を表4(ナノろ過膜処理)、および表5(逆浸透膜処理)に示す。
Figure 0005728817
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ナノろ過膜および逆浸透膜のいずれの場合においても、pH5.0よりpHが大きいと有機酸成分、特に酢酸が濃縮されることが判明した。一方で、pH1.0〜5.0の範囲では、有機酸、特に酢酸を透過液として効率的に除去できるため、得られるキシロース糖液に含まれる酢酸濃度を低く抑えることができることが判明した。これは、ナノろ過膜または逆浸透膜に供される糖液のpHを1〜5の範囲に調整することで非解離状態の酢酸比率を増加させることにより、ナノろ過膜および逆浸透膜の透過性が向上したものと推察された。
(実施例3)固液分離における精密ろ過膜の平均細孔径の効果
工程(3)の固液分離に使用する精密ろ過膜の平均細孔径の効果を確認するために、種々の平均細孔径を有する精密ろ過膜を使用して、糖化発酵液を固液分離して得られるろ液に含まれる成分比較を実施した。分離膜としては、ミリポア社製アイソポア(平均細孔径:0.1μm、0.2μm、0.4μm、0.6μm、0.8μm、1.2μm)を使用した。本分離膜は、ポリカーボネートに対して電子線で細孔を形成しているため、孔径分布が極めて均一な精密ろ過膜である。前述精密ろ過膜を、攪拌式セル(Model8050)にセットし、実施例1の工程(2)で得られた糖化発酵液1または糖化発酵液2の精密ろ過を行った。精密ろ過は、攪拌式セルに内径2mm×外径4mmのシリコンチューブを連結し、一定流量でろ過を行った。得られたろ液を、参考例2〜4記載の方法で分析した結果を表6(糖化発酵液1の精密ろ過膜ろ液)および表7(糖化発酵液2の精密ろ過膜ろ液)に示す。
Figure 0005728817
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糖化発酵液1および糖化発酵液2のいずれも、平均細孔径0.4μm以下の精密ろ過膜による固液分離によって、ろ液中のHMF、フルフラールの濃度を低く抑えることができることが判明した。なお、糖化発酵液1および糖化発酵液2で使用したキシロースを資化しない微生物は、サッカロミセス属またはカンジダ属の酵母であって、その菌体の大きさは10μm前後であると言われており、一方、本実施例で使用される精密ろ過膜の平均細孔径は大きくとも1.2μmであり、いずれの精密ろ過膜を使用した場合においても十分に微生物を固液分離することが可能であると考えられるが、本実施例では、0.4μmの平均細孔径を境界にして、ろ液中のHMFおよびフルフラール濃度が増減することが判明した。本現象は、HMFおよびフルフラールを細胞内に取り込んだ微生物が固液分離によって死滅することで生成した、HMFおよびフルフラールを保持する微生物由来の断片が、精密ろ過膜でろ別されるか否かという境界が平均細孔径0.4μmであったものと推察された。
(比較例1)工程(3)の固液分離として遠心分離を行う場合
実施例1の工程(2)で得られた糖化発酵液1および糖化発酵液2(各1L分)を2500Gで10分間遠心分離した。得られた上清を参考例2〜4に記載の方法で分析を行った。なお比較のため、実施例1の工程(3)で得られた精密ろ過膜(ろ液)1および精密ろ過膜(ろ液)2の分析結果についても併せて表8に示す。
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遠心分離による固液分離では、精密ろ過膜による固液分離の場合と比べ、HMFおよびフルフラール成分が固液分離後の上清に多く含まれていることが判明した。遠心分離による固液分離では、HMFおよびフルフラールを含む微粒子成分が、十分に除去できていないものと推察された。
次に、得られた上清成分0.8Lを、実施例1の工程(3)に記載の方法で、ナノろ過膜または逆浸透膜でろ過した。しかしながら、0.1L程度の透過液をろ過した時点から、ろ過困難となり濃縮液を得ることができなかった。これは、おそらく、微生物あるいはバイオマス由来の微粒子成分が多く残っており、ナノろ過膜または逆浸透膜の目詰まりが急速に進んだためと推察された。すなわち、ナノろ過膜処理または逆浸透膜処理を実施する観点において、少なくとも精密ろ過膜による固液分離が必要であることが判明した。
(実施例4)工程(2)のキシロースを資化しない微生物による発酵が、工程(3)の精密ろ過膜による固液分離に与える影響
工程(2)のキシロースを資化しない微生物による発酵が、工程(3)の精密ろ過膜による固液分離に与える影響を確認するために、実施例1の工程(2)で調製した糖化液(微生物添加前)と、糖化発酵液1および糖化発酵液2の精密ろ過処理に与える影響を検討した。実施例1の工程(3)に記載の精密ろ過膜と同じ分離膜を設置した小型平膜ろ過装置において、膜フラックスを0.05m/m/dayから0.4m/m/dayに変化させながら精密ろ過膜の膜間差圧(kPa)を測定した。その結果を図2に示す。
糖化発酵液1および糖化発酵液2の膜フラックス変化による膜間差圧はほぼ同じ傾向であることが確認された。一方、糖化液(微生物添加前)では、糖化発酵液1および糖化発酵液2に比べて、より低い膜フラックスで膜間差圧が急激に上昇することが分かった。これは、糖化発酵液1および糖化発酵液2に比べ、糖化液(微生物添加前)の方が、ろ過性が悪いことを示している。いいかえると、本発明の工程(2)においてキシロースを資化しない微生物を添加して発酵させることで、工程(3)の精密ろ過膜のろ過性が向上することが判明した。この結果は、キシロースを資化しない微生物の発酵により、HMF、フルフラール、バニリンといった芳香族・フラン化合物のみでなく、その他の精密ろ過膜の目詰まりの要因となるような未知物質の分解(あるいは吸着)した結果を示唆するものである。
(比較例2)工程(2)でキシロースを資化しない微生物を添加しない場合
実施例1の工程(2)で得た糖化液(微生物添加前)に、キシロースを資化しない微生物を添加せずに実施例1の工程(3)に記載の手順で精密ろ過膜による固液分離およびナノろ過膜処理を行った。得られたキシロース糖液(比較例)の成分を表9に示す。また、成分比較のために実施例1の工程(2)の糖化液(微生物添加前)、実施例1の工程(3)のキシロース糖液1の成分も併せて表9に示す。
Figure 0005728817
キシロース糖液(比較例2)では、キシロースを資化しない微生物を添加していないため、グルコースがそのままナノろ過膜により濃縮された。また、キシロース糖液1と比較して、キシロース糖液(比較例2)ではHMF、フルフラール、バニリンの含量が多くなった。
(実施例5)キシロース糖液を炭素源として微生物を培養することによる化学品の製造例(ピキア・スティピティスによるエタノール発酵)
キシロース糖液として、実施例1の工程(3)で得られたキシロース糖液1を微生物の炭素源として使用した。また比較のために、比較例2で得たキシロース糖液(比較例2)、実施例1の工程(2)で得られた糖化液を微生物の炭素源として使用した。
微生物は、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)NRRL Y−7124株を使用した。
培地ならびにエタノール発酵条件は以下の条件で実施した。
[前培養]
5%キシロース、1%酵母エキス(Bacto Yeast Extract/BD社)、2%ポリペプトン(日本製薬)を50mL蒸留水に200mL三角フラスコに溶解後、120℃、20分間高圧滅菌を実施した。得られた培地に、ポテトデキストロース寒天プレートで生育したピキア・スティピティス(Pichia stipitis)NRRL Y−7124を植菌した。三角フラスコは、28℃で2日間浸とう培養を行った。得られた前培養液は後述エタノール発酵に使用した。
[エタノール発酵]
キシロース糖液1およびキシロース糖液(比較例2)には、キシロース濃度が50g/Lとなるように蒸留水を使用して希釈した。糖化液については糖濃度の調製は行わずそのまま使用した。さらにキシロース糖液1、キシロース糖液(比較例2)、糖化液には、1%酵母エキス(Bacto Yeast Extract/BD社)、2%ポリペプトン(日本製薬)(すべて最終濃度)となるように添加し、120℃、20分間高圧滅菌を実施した。得られた培地に前培養液を5mL添加し、28℃でエタノール発酵を行った。
培養液中に蓄積されたエタノールは、参考例4記載の方法に準じて分析した。エタノール発酵後0〜120時間後に生成したエタノールの推移を図3に示す。糖化液では、発酵産物であるエタノールがほとんど生産されないことが判明した。この理由として、1)グルコースおよびキシロースの糖濃度が低く炭素源が不足しているため、2)HMF、フルフラール、バニリン、酢酸などの発酵阻害物質が多く含まれるため、と推察された。一方で、キシロース糖液1およびキシロース糖液(比較例2)では、発酵産物であるエタノールの生成蓄積が確認された。但し、キシロース糖液1の方がキシロース糖液(比較例2)よりも発酵産物であるエタノールの生成および蓄積量が多いことが判明した。なお、表9の分析値にあるように、キシロース糖液1とキシロース糖液(比較例2)ではキシロース糖濃度は同じであり、むしろ、キシロース糖液(比較例2)の方がキシロースに加えグルコース成分も含み、炭素源としては多く含むにもかかわらず、キシロース糖液1を炭素源とする場合において発酵成績が優れた理由として、キシロース糖液1の方が、HMF、フルフラール、バニリン、などの発酵阻害物質の含重量が極めて少ないためであると考えられる。
したがって、実施例5では、本発明により得られたキシロース糖液を炭素源として微生物を培養することで化学品を製造することができることが判明した。また、本発明により得られたキシロース糖液は、従来技術で得たキシロース糖液よりも微生物の炭素源として優れることが判明した。
本発明で得られるキシロース糖液は、微生物の発酵原料、ひいては工業原料として広く利用することができる。

Claims (4)

  1. キシラン含有バイオマスより、キシロース糖液を製造する方法であって、
    (1)キシラン含有バイオマスを水熱処理し、水熱処理物を得る工程、
    (2)水熱処理物に糖化酵素を添加し、さらにキシロースを資化しない微生物としてサッカロミセス属およびカンジダ属の群から選ばれる微生物を添加し、糖化発酵液を得る工程、
    (3)糖化発酵液を、少なくとも精密ろ過膜を使用して固液分離し、得られたろ液をナノろ過膜および/または逆浸透膜に通じてろ過し、非透過液より濃縮および精製されたキシロース溶液を得る工程、を含むキシロース糖液の製造方法。
  2. 工程(1)の水熱処理物が、キシラン含有バイオマスを180〜300℃の高圧熱水で処理した水熱処理液および/または水熱処理バイオマスである請求項1記載のキシロース糖液の製造方法。
  3. 工程(3)の糖化発酵液をpH1〜5の範囲に調整する、請求項1または2に記載のキシロース糖液の製造方法。
  4. 工程(3)の精密ろ過膜の平均細孔径が0.4μm以下である、請求項1から3のいずれかに記載のキシロース糖液の製造方法。
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