JP5725515B2 - 光塩基発生剤及び当該光塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物 - Google Patents

光塩基発生剤及び当該光塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物 Download PDF

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本発明は、光塩基発生剤及び当該光塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、光等の活性エネルギー線の照射によって塩基を発生する光塩基発生剤及び当該光塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物に関する。
光の照射によって酸を発生する酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物が、フォトレジスト材料や光硬化材料等として適用されている。酸発生剤から発生した酸は、触媒や重合開始剤として作用し、また、酸発生剤等を含有した感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料として用いてパターンを形成する場合には、例えば酸発生剤に光を照射して触媒等となる強酸を発生させ、樹脂成分を化学変性させる。そして、化学変性された樹脂成分の溶解性の変化により、パターンを形成するようにする。
かかるフォトレジスト材料は、解像度及び感度が高いこと、さらには耐エッチング性が高いパターンを形成し得ることが求められており、特に、深紫外線レジスト材料として、酸素プラズマエッチングに耐性を持つパターンを形成し得る材料が求められている。酸発生剤を含有する感光性樹脂組成物からなるフォトレジスト材料は、高感度・高解像性等を目指して、種々のものが提供されているが、光酸発生剤と樹脂材料の組み合わせの種類はある程度限定されてしまうため、酸発生剤を使用しない新たな感光システムが求められていた。
加えて、モノマー、オリゴマー、あるいはポリマーの光硬化速度を向上させるために様々な検討がなされており、光の作用で発生するラジカル種を開始剤として、多数のビニルモノマーを重合させるラジカル光重合系の材料が広く開発の対象とされてきた。また、光の作用で酸を発生させ、この酸を触媒とするカチオン重合系の材料も盛んに研究されていた。しかしながら、ラジカル光重合系の材料の場合には、空気中の酸素によって重合反応が阻害され硬化反応が抑制されるので、酸素遮断のための特別な工夫が必要とされていた。また、カチオン重合系の材料の場合には、ラジカル光重合系の材料のような酸素阻害がない一方、光酸発生剤から発生した強酸が硬化後も残存するために、当該強酸の存在を原因とする腐食性や樹脂の変性の可能性が問題とされていた。
このような背景から、解像度及び感度が高く、耐エッチング性が高いパターンを形成できるレジスト材料を得るために、また、活性エネルギー線を利用して液状物を迅速に固化させる硬化技術をいっそう高性能化するために、空気中の酸素による阻害効果を受けず、生成する強酸のような腐食性物質を含まず高効率で反応が進行する、新たな感光システムを用いた感光性樹脂組成物が強く望まれていた。
前記の問題を克服する手段の1つとして、塩基触媒による重合反応や化学反応を用いる方法、例えば、光等の活性エネルギー線の作用によって塩基を発生させ、これを触媒として樹脂を化学変性させる方法を用いて、光によって発生する塩基を触媒とする感光性樹脂組成物をフォトレジスト材料や光硬化材料等へ応用する手段が検討されている。そして、エポキシ基を有する化合物は塩基の作用によって架橋反応を起こして硬化することを利用して、光や熱の作用で開始剤あるいは触媒としてのアミン類をエポキシ樹脂層内で発生させ、次いで加熱処理によって硬化させる方法が提供されている(例えば、特許文献1及び特許文献2を参照。)。
特開2005−264156号公報 特開2007−101685号公報
しかしながら、従来提供されている方法にあっては、光等の作用で塩基を発生する反応が迅速に行われない等の問題があるため実用性に乏しく、改善が求められていた。また、光塩基発生剤についても、発生する塩基は1級あるいは2級の脂肪族アミンに限定され、塩基増殖反応を効率よく進行させることが難しかった。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、例えば、エポキシ系化合物等の架
橋反応に用いることができ、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基発生反応が連
鎖的に行われるため反応効率が良好である光塩基発生剤及び当該光塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係る光塩基発生剤は、下記式(X)で表されることを特徴とする。
Figure 0005725515
(式(X)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基、ハロゲン、水酸基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、カルボキシル基、ホルミル基、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、アリル基、シリル基、アクリル基、またはメタクリル基を示す。また、B は塩基類を示し、nは1〜20の整数を示す。)
本発明に係る光塩基発生剤は、前記塩基類B が下記式(I)、式(II)、式(IV)式(V)及び式(V−d)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
Figure 0005725515
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
Figure 0005725515
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等の
ヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
Figure 0005725515
(式(IV)中、R〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基
(アルキル基は環状構造でもよい。)を示し、R 〜R はそれぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 0005725515
(式(V)中、R〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基
(アルキル基は環状構造でもよい。)を示し、R 〜R はそれぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。
Figure 0005725515
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明に係る光塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明において、前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物、ケイ素系化合物及びオキセタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、前記した本発明において、さらに、チオール化合物を含むことを特徴とする。
本発明に係る光塩基発生剤は、光等の活性エネルギー線の照射によって塩基を発生し、また、強塩基の発生が可能であるため、発生する塩基の塩基性を高くすることが可能となり、反応効率に優れる光塩基発生剤となる。よって、塩基反応性化合物とともに感光性樹脂組成物を構成した場合にあっては、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物との反応は連鎖的に進行して、当該化合物との反応効率が格段に高い光塩基発生剤となる。
本発明に係る感光性樹脂組成物は、本発明の塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有するので、塩基発生剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、優れた反応効率を備えるため、硬化が十分になされ、製品特性及び製品価値の高い硬化膜を提供することができる。
実施例1で得られた光塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。 実施例2で得られた光塩基発生剤の光分解挙動(波長:254nm)を示した図である。 実施例3で得られた光塩基発生剤の光分解挙動(波長:365nm)を示した図である。 1374cm−1における露光量と転化率の関係を示した図である。 感度曲線(露光量と残膜率との関係)を示した図である。 露光量と鉛筆硬度との関係を示した図である。 露光量と鉛筆硬度との関係を示した図である。 露光量と鉛筆硬度との関係を示した図である。 露光量と鉛筆硬度との関係を示した図である。
以下、本発明の一態様を説明する。本発明に係る光塩基発生剤(以下、単に「塩基発生剤」とする場合もある。)は、下記式(X)で表されるカルボン酸塩である。
Figure 0005725515
式(X)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基、ハロゲン、水酸基、スルフィド基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、ホルミル基、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、アリール基、アリル基、アンモニオ基、シリル基、アクリル基、またはメタクリル基を示し、モノマーであってもそれらが重合した重合体でもよい。また、Bは塩基類を示し、nは1〜20の整数を示す。
、Rがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、あるいは芳香族基の場合は、それぞれ直鎖構造、枝分かれ構造、あるいは環構造でもよくヘテロ原子を含んでもいてもよい。同様に、R、R、R、Rがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、あるいは芳香族基の場合には、それぞれ直鎖構造、枝分かれ構造、あるいは環構造でもよくヘテロ原子を含んでもいてもよい。
、Rが芳香族基の場合には、これらの芳香族基は1〜5個の置換基を有することができる。置換基としては、例えば、ハロゲン、水酸基、スルフィド基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、カルボキシル基、カルボニル基、エステル基、ホルミル基、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、アリール基、アリル基、アンモニオ基等が挙げられる。また、これらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。さらに、芳香族基の置換基としてシリル基、アクリル基、メタクリル基等の重合性基を含んでいてもよく、モノマーであってもそれらが重合した重合体でもよい。
式(X)で表される本発明に係る光塩基発生剤は、カルボン酸との結合対象としてアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属といったアルカリ、あるいは塩基化合物といった塩基類Bを使用しており、光等の活性エネルギー線の照射の照射によって光脱炭酸反応し、塩基類Bを発生する。塩基類の発生スキームを下記スキームに示す。
(反応スキーム)
Figure 0005725515
本発明に係る光塩基発生剤は、塩基類Bの選択に制限がなく、カルボン酸と所望の塩基類を組み合わせることが可能であるため、塩基類Bとして強塩基の発生を可能とする。このように、強塩基の発生が可能であるため、発生する塩基の塩基性を高くすることができ、反応効率に優れ、塩基反応性化合物とともに感光性樹脂組成物を構成した場合にあっては、エポキシ系化合物等の塩基反応性化合物との反応は連鎖的に進行して、当該化合物との反応効率が格段に高い光塩基発生剤となる。
また、本発明に係る光塩基発生剤は、対応する波長域が広く、光分解する波長範囲を365nmにも拡大することができ、例えば、R等をニトロ基等の基とすることが好ましい。
式(X)に表される光塩基発生剤を構成する塩基類Bのうち、アルカリとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属が挙げられる。このうち、アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム(Na)、やカリウム(K)、が挙げられる、また、アルカリ土類金属としては、例えば、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)が挙げられる。
式(X)で表される光塩基発生剤を製造するには、下記の式(III)で表されるカルボン酸と、塩基類となるアルカリの陽イオンを構成するアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属Mを含む化合物(アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属を含むメトキシド、エトキシド、tert−ブトキシド等の化合物)を混合することにより簡便に製造することができる。なお、式(III)で表されるカルボン酸は、例えば、フタルイミド酢酸をそのまま、あるいはフタルイミド酢酸に所望の基を付加等することにより得ることができる。
Figure 0005725515
また、塩基類Bとしては、例えば、アミン、ピリジル基を含有する化合物、ヒドラジン化合物、アミド化合物、水酸化四級アンモニウム塩、メルカプト化合物、スルフィド化合物、ホスフィン化合物等を使用することができ、このうち、アミンを使用することが好ましい。アミンとしては、従来公知の第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン等を好ましく使用することができる。なお、これら塩基類としては、例えば、国際公開番号WO2009/19979に開示されるアミンやピリジル基を含有する化合物、ヒドラジン化合物、アミド化合物、水酸化四級アンモニウム塩、メルカプト化合物、スルフィド化合物、ホスフィン化合物等を使用することができる。
また、塩基類Bとしては、下記式(I)で表されるアミジン類、式(II)で表されるイミダゾール類、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるホスファゼン誘導体といった塩基を使用することが好ましい。塩基類としてアミジン類あるいはイミダゾール類、グアニジン類やホスファゼン誘導体といった塩基を用いることにより、酸解離定数(pKa)が、塩基類としてアルカリを用いた場合には概ね13以上(水溶媒中)、アミジン類あるいはイミダゾール類を用いた場合には12〜13程度、グアニジン類やホスファゼン誘導体を用いた場合には13.5を超えて(いずれも水溶媒中)、非常に塩基性が高く、重合時の反応効率が高い、優れた光塩基発生剤として作用する。
例えば、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基が水からプロトンを奪って、水酸化物イオンを発生し、これがエポキシ化合物の連鎖的な重合反応を開始することになるが、水酸化物イオンの発生量は塩基の強度に依存するため、塩基強度が高いほど重合反応効率も高くなる。さらに、例えば、後記するNo.2−1〜No.2−8の塩基反応性化合物は電子吸引性基のα位のプロトンが引き抜かれβ脱離を引き起こし、極性変換が起こる高分子化合物であるが、この時のプロトン引き抜き効率も塩基強度に依存するため、塩基強度が大きいほど脱離反応は起こりやすく、本発明の光塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物が、感度の高い感光性樹脂として機能することが期待できる。
また、一般に、アミン、アミジン類の塩基性はpKa(共役酸のpKa、アセトニトリル(CHCN溶媒中))は10(アミン)〜24(アミジン類)であり、この程度の塩基性ではラクトン類や環状シロキサンのアニオン開環重合は起こりにくい一方、光塩基発生剤を構成する塩基類としてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合には、pKaが26〜27程度(アセトニトリル(CHCN)溶媒中)となりアニオン開環重合が起こるため、これを用いるとモノマーが連鎖反応でポリマーに変化する。塩基類としてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合の光塩基発生剤は、ラクトン類等に最適な塩基発生剤となり、ラクトン類等に適用して感光性樹脂組成物とした場合には、光硬化材料(UV接着、UVインク、UV粘着、UVコーティングなど)に適用することができる。
好ましい塩基類Bとしては、下記式(I)で表されるアミジン類、下記式(II)で表されるイミダゾール類といった塩基が挙げられる。
Figure 0005725515
(式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
Figure 0005725515
(式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等のヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
塩基類Bとして使用することができる式(I)で表されるアミジン類としては、例えば、アミジン構造を有する下記式(I−a)に示すジアザビシクロノネン(DBN)や、下記式(I−b)に示すジアザビシクロウンデセン(DBU)等が挙げられる。
Figure 0005725515
Figure 0005725515
また、塩基類Bとして使用することができる式(II)で表されるイミダゾール類としては、例えば、イミダゾール、下記(II−a)に示す1−メチルイミダゾール、下記(II−b)に示す2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ベンジルイミダゾール、3A,4,5,6,7,7A−ヘキサヒドロ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル メチルスルフィド、2−(4−ブロモフェニル)4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、1−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール、DL−イソアマリン等が挙げられる(なお、前記したイミダゾール類に存在する炭素数が1〜4のアルキル基には、S等のヘテロ原子を含んでもよい。)。
Figure 0005725515
Figure 0005725515
塩基類Bとしては、下記式(IV)で表されるグアニジン類、下記式(V)で表されるホスファゼン誘導体といった塩基を使用することもできる。なお、式(IV)におけるR〜R、式(V)におけるR〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示すが、アルキル基の炭素数は1〜4とすることが好ましい。
Figure 0005725515
(式(IV)中、R〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
Figure 0005725515
(式(V)中、R〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示す。)
塩基類Bとして使用することができる式(IV)で表されるグアニジン類としては、例えば、グアニジン構造を有する下記式(IV−a)に示すグアニジンや、下記式(IV−b)に示す1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(TMG)、下記式(IV−c)に示す1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(1,5,7−triaza−bicyclo[4.4.0]dec−5−ene:TBD)、式(IV−d)に示すMTBD、式(IV−e)に示すETBD、式(IV−f)に示すITBD、式(IV−g)に示す式(IV−h)等に示す化合物が挙げられる(式(IV−a)〜式(IV−h)については、プロトン付加体を示す。)。
Figure 0005725515
また、塩基類Bとして使用することができる式(V)で表されるホスファゼン誘導体としては、下記式(V−a)、式(V−b)、式(V−c)、式(V−d)または式(V−e)等に示す化合物が挙げられる(式(V−a)〜式(V−e)については、プロトン付加体を示す。)。
Figure 0005725515
式(X)で表される光塩基発生剤を製造するには、式(III)で表されるカルボン酸と、所望の塩基類Bを混合することにより、簡便に製造することができる。
本発明の光塩基発生剤、及び当該光塩基発生剤を含有した感光性樹脂組成物における照射光の波長及び露光量の範囲としては、塩基発生剤の種類や量、及び感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物の種類等に応じて適宜決定すればよいが、例えば、波長として190〜400nm、露光量として100〜10000mJ/cmの範囲内から選択して適用すればよく、後記する増感剤を用いることによりさらに高波長域を使用することも可能である。照射光の照射時間は、数秒でも可能な場合もあるが、概ね10秒以上とすればよく、1.5〜20分とすることが好ましい。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を説明する。本発明の感光性樹脂組成物は、光等の活性エネルギー線の照射によって光脱炭酸反応を起こし、遊離のアルカリや塩基を発生する本発明の光塩基発生剤と、塩基反応性化合物を必須成分として含有する。
本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、光塩基発生剤及び必要により含有する塩基増殖剤により発生した塩基の作用により反応して、架橋等により硬化する化合物であり、例えば、下記No.2−1〜No.6−4の化合物等を使用することができ、特に、例えば、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物、少なくとも1つのアルコキシシリル基やシラノール基等を有しているケイ素系化合物、オキセタン環を含むオキセタン系化合物(オキセタン系樹脂)等が挙げられる。かかる塩基反応性化合物は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。また、本発明の光塩基発生剤も、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
使用可能なエポキシ系化合物(エポキシ系樹脂)としては、例えば、ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フエニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ジグリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、脂肪族ジグリシジルエーテル、多官能グリシジルエーテル、3級脂肪酸モノグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、グリシジルプロポキシトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのエポキシ系化合物はハロゲン化されていてもよく、水素添加されていてもよく、また、これらのエポキシ系化合物は誘導体も含む。そして、これらのエポキシ系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ケイ素系化合物(ケイ素系樹脂)としては、例えば、アルコキシシラン化合物やシランカップリング剤等を使用することができる。アルコキシシラン化合物としては、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシラン化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルシラン、アクリルシラン、エポキシシラン、アミノシラン等が挙げられる。ビニルシランとして、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。アクリルシランとしては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。エポキシシランとしては、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。アミノシランとしては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。その他のシランカップリング剤としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
オキセタン系化合物(オキセタン系樹脂)としては、単量体のオキセタン系化合物、2量体のオキセタン系化合物等を使用することができる。使用可能なオキセタン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル、1,4−ベンゼンジカルボン酸ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン等のキシリレンジオキセタン、3−エチル−3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン(あるいは3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)−3−エチルオキセタンとも呼ばれる。)、3−エチルヘキシルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、またはオキセタン化フェノールノボラック等が挙げられる。これらのオキセタン系化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明の塩基発生剤を適用した場合のエポキシ系化合物との反応挙動の一例について、(1)第1級アミン及び第2級アミン、(2)第3級アミン、(3)式(I)で表されるアミジン類(スキームではDBU)(及び式(II)で表されるイミダゾール類、式(IV)で表されるグアニジン類、式(V)で表されるやホスファゼン誘導体)のスキームを挙げる。
(1)第1級アミン及び第2級アミン:
Figure 0005725515
(2)第3級アミン:
Figure 0005725515
(3)アミジン類等:
Figure 0005725515
以下、塩基反応性化合物の具体例を挙げる。なお、下記No.2−1〜No.2−8の高分子化号物(塩基反応性化合物)のうち、No.2−1〜No.2−5、No.2−8の高分子化合物は、塩基の作用により脱離及び脱炭酸の反応を生じる。一方、No.2−6及びNo.2−7の塩基反応性化合物は、塩基の作用により脱離反応を引き起こし、カルボン酸を生じることになる。
Figure 0005725515
なお、前記した塩基反応性化合物No.2−1〜No.2−8は、いずれも塩基の作用で脱離反応を起こし、極性が変換されるポリマー群であり、分解前後で溶解性が変化することを利用してパターニングを行う材料(レジスト材料)等として適用することができる。分解機構例のスキームを下記スキームA及びスキームBに示す。
(スキームA)
Figure 0005725515
(スキームB)
Figure 0005725515
また、塩基反応性化合物の他の例を挙げる。なお、下記No.3−1〜No.3−4の塩基反応性化合物のうち、No.3−1の物質(混合物)は塩基の作用により脱水縮合及び架橋の反応を生じる。No.3−2の物質(混合物)は塩基の作用により脱水縮合及び架橋の反応を生じる。No.3−3の物質(ポリマー)は塩基の作用により脱炭酸の反応を生じる。No.3−4の物質は塩基の作用によりイミド形成の反応を生じる。なお、No.3−1及びNo.3−2において、xは0を超えて1以下の数を示す。
Figure 0005725515
本発明の感光性樹脂組成物を構成する塩基反応性化合物は、少なくとも1つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物に塩基を作用させることによって、エポキシ系化合物をエポキシ基の開環重合によりポリマーとすることができる。また、エポキシ系化合物に塩基を付加することにより、かかるエポキシ系化合物を化学変性することができる。重合反応性を示すエポキシ系化合物の一例を以下に示す。
Figure 0005725515
また、重合反応性を示すエポキシ系化合物(ポリマー)のその他の例を以下に示す。
Figure 0005725515
また、塩基反応性化合物としては、少なくとも1つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物を使用することができる。また、少なくとも2つのシラノール基またはアルコキシシリル基を有するケイ素系化合物に塩基を作用させることによって、かかるケイ素系化合物をシラノール基またはアルコキシシリル基の縮重合によりポリマーとすることができる。重合反応性を示すケイ素系化合物(No.5−2〜No.5−4はポリマー)の具体例を以下に示す。
Figure 0005725515
なお、前記したように、塩基発生剤を構成する塩基類Bとしてグアニジン類やホスファゼン誘導体を採用した場合には、pKaが26〜27程度(アセトニトリル(CHCN)溶媒中)となりアニオン開環重合が起こるため、これを用いるとモノマーが連鎖反応でポリマーに変化するので、かかる塩基発生剤と、塩基反応性化合物としてラクトン類や環状シロキサンを用いた感光性樹脂組成物は、光硬化材料(UV接着、UVインク、UV粘着、UVコーティングなど)に好適となる。塩基反応性化合物として、式(IV)で表れさるグアニジン類、式(V)で表されるホスファゼン誘導体によりアニオン重合可能なラクトン及び環状シロキサンの構造の具体例を以下に示す(No.6−1〜No.6−4)。
Figure 0005725515
本発明の感光性樹脂組成物における光塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して0.1〜60質量部とすることが好ましい。光塩基発生剤の含有量が0.1質量部より少ないと、塩基反応性化合物を迅速に反応させることができなくなる場合がある一方、光塩基発生剤の含有量が60質量部を超えると、光塩基発生剤の存在が塩基反応性化合物の溶媒に対する溶解性に悪影響を与える場合があり、また、過剰量の光塩基発生剤の存在はコスト高に繋がることになる。光塩基発生剤の含有量は、塩基反応性化合物100質量部に対して1〜60質量部とすることがなお好ましく、2〜30質量部とすることがさらに好ましく、2〜20質量部とすることがより好ましく、2〜15質量部とすることが特に好ましい。なお、塩基反応性化合物(エポキシ系化合物やケイ素系化合物等)のモノマーユニットあたり0.1〜50molの範囲内から選択して含有させるようにしてもよい。また、塩基類として式(IV)や式(V)で表される塩基類を用いてラクトン類を重合する場合には、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコールを少量共存させることが好ましく、モノマー(塩基反応性化合物)100質量部に対して光塩基発生剤を0.1〜0.5質量部として、アルコールを0.5〜2.0質量部とすることが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、塩基反応性化合物として、前記したNo.4−1〜No.4−14等の重合反応性を示すエポキシ系化合物(重合性エポキシ系化合物)、あるいは前記したNo.5−1〜No.5−6等の重合反応性を示すケイ素系化合物(重合性ケイ素系化合物)とすることが好ましい。このような感光性樹脂組成物は、光または熱の作用により、重合し、重合体を与えることとなる。中でも、光により重合反応を開始する塩基反応性化合物を含む感光性樹脂組成物とすることが好ましい。
また、本発明の感光性樹脂組成物には、さらに、チオール化合物を含有することが好ましい。チオール化合物は、エポキシ系化合物等と併用することにより、エポキシ等の硬化官能基として作用する。チオール化合物としては、チオール基を2個以上有するポリチオール化合物を使用することが好ましく、例えば、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトイソブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3−メルカプトプロピオネート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)等のチオール基を2〜5個有するポリチオール化合物を挙げることができる。これらのうち反応性等や扱いやすさを考慮して、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニルオキシ)エチル]イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)を使用することが好ましい。これらのチオール化合物は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
チオール化合物の使用量は、例えば、エポキシ系化合物やオキセタン系樹脂に対して、チオール当量(SH当量)/エポキシ当量(あるいはオキセタン当量)=0.3/1.7〜1.7/0.3となるようにすることが好ましく、0.8/1.2〜1.2/0.8の比率となるようにすることがより好ましい。この比率が、0.3/1.7〜1.7/0.3の範囲内であれば、未反応のチオール基やエポキシ基(あるいはオキセタン基)が硬化物中に多量に残存することを防止でき、硬化物の機械特性の低下傾向を抑制できる。
本発明に係る感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成するには、例えば、当該樹脂組成物を有機溶媒に溶解して塗布液を調製し、調製された塗布液を基板等の適当な固体表面に塗布し、乾燥して塗膜を形成するようにする。そして、形成された塗膜に対して、パターン露光を行って塩基を発生させた後、所定の条件で加熱処理を行って、感光性樹脂組成物に含有される塩基反応性化合物の重合反応を促すようにする。
本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の光塩基発生剤を含有するため、室温でも重合反応は進行するが、重合反応を効率よく進行させるべく、加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理の条件は、露光エネルギー、使用する光塩基発生剤から発生する塩基の種類、エポキシ系化合物またはケイ素系化合物等の塩基反応性化合物の種類によって適宜決定すればよいが、加熱温度は50℃〜150℃の範囲内とすることが好ましく、60℃〜130℃の範囲内とすることが特に好ましい。また、加熱時間は10秒〜60分とすることが好ましく、60秒〜30分とすることが特に好ましい。これを露光部と未露光部とで溶解度に差を生じる溶媒中に浸漬して現像を行ってパターンを得ることができる。
本発明の感光性樹脂組成物には、必要により、塩基の作用で増殖的に塩基を発生する塩基増殖剤を含有させることが好ましい。本発明の感光性樹脂組成物に塩基増殖剤を含有させることにより、当該樹脂組成物の感度をさらに向上させることができる。特に、光が樹脂膜深部に到達しない場合(感光層が厚い場合や多量の染料や顔料を含む場合等。)には、表面層で光化学的に発生した塩基の作用、及び塩基増殖剤による塩基増殖反応が開始されることにより、熱化学的に、かつ連鎖的に塩基が生成するので、膜深部の塩基触媒反応を起こすことが期待できる。使用できる塩基増殖剤としては、特に制限はないが、例えば、特開2000−330270号公報、特開2002−128750号公報や、K.Arimitsu、M.Miyamoto and K.Ichimura,Angew.Chem.Int.Ed.,39,3425(2000)、等に開示される塩基増殖剤が挙げられる。塩基増殖剤の添加量は、使用する塩基発生剤や塩基反応性化合物等により適宜決定すればよいが、感光性樹脂組成物全体に対して1〜40質量%の範囲であることが好ましく、5〜20質量%の範囲内であることが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、感光波長領域を拡大し、感度を高めるべく、増感剤を添加することができる。使用できる増感剤としては、特に限定はないが、例えば、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン、p,p’−テトラエチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、アントロン、9−エトキシアントラセン、アントラセン、ピレン、ペリレン、フェノチアジン、ベンジル、アクリジンオレンジ、ベンゾフラビン、セトフラビン−T、9,10−ジフェニルアントラセン、9−フルオレノン、アセトフェノン、フェナントレン、2−ニトロフルオレン、5−ニトロアセナフテン、ベンゾキノン、2−クロロ−4−ニトロアニリン、N−アセチル−p−ニトロアニリン、p−ニトロアニリン、N−アセチル−4−ニトロ−1−ナフチルアミン、ピクラミド、アントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、3−メチル−1,3−ジアザ−1,9−ベンズアンスロン、ジベンザルアセトン、1,2−ナフトキノン、3,3’−カルボニル−ビス(5,7−ジメトキシカルボニルクマリン)またはコロネン等が挙げられる。これらの増感剤は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物において、増感剤の添加量は、使用する光塩基発生剤や塩基反応性化合物、及び必要とされる感度等により適宜決定すればよいが、感光性樹脂組成物全体に対して1〜30質量%の範囲であることが好ましい。増感剤が1質量%より少ないと、感度が十分に高められないことがある一方、増感剤が30質量%を超えると、感度を高めるのに過剰となることがある。増感剤の添加量は、感光性樹脂組成物全体に対して5〜20質量%の範囲であることが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物を所定の基材に塗布等する場合にあっては、必要により、溶媒を適宜含有するようにしてもよい。感光性樹脂組成物に溶媒を含有させることにより、塗布能力を高めることができ、作業性が良好となる。溶媒としては、特に限定はないが、例えば、ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、スチレン、トリメチルベンゼン、ジエチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物;シクロヘキサン、シクロヘキセン、ジペンテン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン、イソヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−ノナン、イソノナン、n−デカン、イソデカン、テトラヒドロナフタレン、スクワラン等の飽和または不飽和炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−イソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチルプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、p−メンタン、o−メンタン、m−メンタン;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルセロソルブ、酢酸エチルセロソルブ、酢酸ブチルセロソルブ、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソアミル、ステアリン酸ブチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種類を単独で用いるようにしてもよく、また、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
本発明の感光性樹脂組成物において、溶媒の含有量は、例えば、所定の基材上に感光性樹脂組成物を塗布し、感光性樹脂組成物による層を形成する際に、均一に塗工されるように適宜選択すればよい。
なお、本発明の感光性樹脂組成物には、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、添加剤を適宜添加するようにしてもよい。使用することができる添加剤としては、例えば、充填剤、顔料、染料、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、分散剤、分散助剤、表面改質剤、可塑剤、可塑促進剤、タレ防止剤、硬化促進剤、充填剤等が挙げられ、これらの1種類を単独で用いるようにしてもよく、2種類以上を組み合わせて使用するようにしてもよい。
以上説明した本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の光塩基発生剤と塩基反応性化合物を含有することにより、塩基発生剤から発生する塩基とエポキシ系化合物等との反応が連鎖的に進行し、硬化速度及び反応効率に優れたものとなり、硬化が速やかに実施され、硬化が十分になされる感光性樹脂組成物となる。かかる効果を奏する本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等に好適に用いることができる。
光硬化材料として適用された成形体は、耐熱性、寸法安定性、絶縁性等の特性が有効とされる分野の部材等として、例えば、塗料または印刷インキ、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築材料の構成部材として広く用いられ、印刷物、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、半導体装置、電子部品、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、ホログラム、光学部材または建築部材等が提供される。また、形成されたパターン等は、耐熱性や絶縁性を備え、例えば、カラーフィルター、フレキシブルディスプレー用フィルム、電子部品、半導体装置、層間絶縁膜、配線被覆膜、光回路、光回路部品、反射防止膜、その他の光学部材または電子部材として有利に使用することができる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例に何
ら限定されるものではない。
[実施例1]
光塩基発生剤の製造(1):
下記式(H−1)に表されるフタルイミド酢酸0.50g(2.4×10−3mol)と、塩基であり式(IV−c)で示した1,5,7−トリアザ−ビシクロ[4.4.0]デシ−5−エン(TBD)を0.34g(2.4×10−3mol)をTHFに入れて混合し、室温で30分間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−1)で表される本発明の塩基発生剤の白色固体を収量0.55g、収率67%で得た。
Figure 0005725515
Figure 0005725515
[実施例2]
光塩基発生剤の製造(2):
式(H−1)に表されるフタルイミド酢酸0.14g(0.7×10−3mol)と、塩基であり式(V−e)で示したホスファゼン誘導体であるイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホランを0.12g(0.7×10−3mol)をジエチルエーテルに入れて混合し、室温で30分間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−2)で表される本発明の塩基発生剤の白色固体を収量0.27g、収率98%で得た。
Figure 0005725515
[実施例3]
光塩基発生剤の製造(3):
(1)フタルイミド酢酸のニトロ化:
式(H−1)に表されるフタルイミド酢酸5.0g(24×10−3mol)に、発煙硝酸5.1mL、硫酸30.8mLを混合してニトロ化することにより、下記式(H−2)に表されるニトロフタルイミド酢酸を収量3.3g、収率55%で得た。
Figure 0005725515
(2)光塩基発生剤の合成:
(1)で得られたニトロフタルイミド酢酸0.55g(2.2×10−3mol)と、塩基であり式(V−e)で示したホスファゼン誘導体であるイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホランを0.36g(2.0×10−3mol)をジエチルエーテルに入れて混合し、室温で30分間反応させた。反応終了後、溶媒を除去し、下記式(X−3)で表される本発明の光塩基発生剤の黄色固体を収量0.82g、収率95%で得た。
Figure 0005725515
[試験例1]
溶液中での光分解挙動の確認(UVスペクトル測定):
実施例1ないし実施例3で得られた塩基発生剤について、溶媒としてメタノール(実施例1及び実施例2)及びクロロホルム(実施例3)を用いて、下記の測定法を用いて光分解挙動の確認を行った。
(測定方法)
表1に濃度を示した実施例1及び実施例2の塩基発生剤のメタノール溶液、並びに実施例3の塩基発生剤のクロロホルム溶液に波長が254nm(実施例1及び実施例2)、365nm(実施例3)の光を照射し、紫外可視分光光度計(MultiSpec−1500/(株)島津製作所製)を用いてUVスペクトルの経時変化を確認した。結果を図1(実施例1)、図2(実施例2)及び図3(実施例3)に示す。
(溶液の濃度)
Figure 0005725515
また、254nmにおけるモル吸光係数(ε254)(L/mol・cm)(実施例1及び実施例2)、365nmにおけるモル吸光係数(ε365)(L/mol・cm)(実施例3)を表2に示す。
(モル吸光係数)
Figure 0005725515
図1ないし図3に示すように、実施例1ないし実施例3で得られた本発明の光塩基発生剤は、光照射の露光量に伴って吸収が変化して、光分解挙動が確認できた。特に、ニトロ基を有する実施例3の光塩基発生剤は、波長を365nmとして光分解挙動が確認でき、波長範囲が広げられることが確認できた。
[試験例2]
光照射による塩基発生能の確認:
実施例1ないし実施例3で得られた光塩基発生剤を8.9×10−3mol/Lに調製したメタノール溶液を石英セルに入れ、波長254nm光(実施例1及び実施例2)、365nm(実施例3)を所定量照射して光分解させた後5分間Nバブリングをし、この溶液2mLにあらかじめ5.0×10−5mol/Lに調整しておいたフェノールレッド溶液を1.5mL加えた場合におけるUVスペクトルを測定した。その結果、実施例1ないし実施例3で得られた光塩基発生剤は、露光量が増えるにつれて、424nm付近の吸収が減少し、562nm付近の吸収が増大していることより、塩基発生剤に光照射することにより遊離の塩基が発生していることが確認できた。
[試験例3]
PMMA中での光分解挙動の確認:
PMMA(Aldrich製,Mw=996000)0.1gに対して、実施例1で得られた光塩基発生剤0.02g(PMMA100質量部に対して20質量部)を含有させることにより感光性樹脂組成物とした。かかる感光性樹脂組成物を、1.0gのクロロホルムに溶解させて試料溶液とし、この試料溶液を1000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で30秒間プリベイクすることにより、膜を作製した。この膜に254nmの単色光を、露光量を0、100、200、400、800、1600、3200及び6400mJ/cmとして照射し、反応をFT−IRで反応追跡した。
文献値からは、COO由来のピーク(VCOO−)=1374cm−1である。図4に、1374cm−1における露光量と転化率の関係を図4に示す。なお、ピーク面積比の増加率及び減少率は、露光量=0mJ/cmの面積を基準にして算出した。図4に示すように、1374cm−1にあっては露光量が大きくなるに従ってピーク面積比が減少し、転化率が高くなり、光分解挙動が進行していることが確認できた。
[試験例4]
PGMA中での光分解挙動の確認:
式(No.4−12)に表されるエポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA:M=16000)0.05gに対して、実施例1で得られた光塩基発生剤を0.00125〜0.005g(PGMA100質量部に対して2.5〜10質量部含有させることにより感光性樹脂組成物とした。同様にして、エポキシ系化合物であるポリグリシジルメタクリレート(PGMA:M=16000)0.05gに対して、実施例2で得られた光塩基発生剤を0.00125〜0.005g(PGMA100質量部に対して2.5〜10質量部含有させることにより感光性樹脂組成物とした。
得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルムに溶解させた。この試料溶液を3000rpmで30秒間シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレート上にて80℃で30秒間プリベイクすることにより、厚さ0.5μmの膜を作製した。この膜に254nmの単色光を照射し、ポストベイクの温度を80℃、100℃、120℃として10分、20分、30分間実施し、クロロホルムで1分間現像し、残っている膜の厚さを測定し、露光量と残膜率との関係(感度曲線)を作成した。感度曲線を図5に示す。
図5は得られた感度曲線であり、実施例1の光塩基発生剤を含む感光性樹脂組成物については、加熱温度が80℃、加熱時間が30分、含有量が5質量部、実施例2の光塩基発生剤については加熱温度が100℃、加熱時間が20分、含有量が10質量部、の結果をそれぞれ示している。図5に示すように、実施例1及び実施例2のいずれも100mJ/cmを超えた露光量から残膜し、PGMAの架橋反応が進行し、光不溶化挙動を示すことが確認できた。
[実施例4〜実施例6]
感光性樹脂組成物の製造(1):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,M=14000、M/M=1.67)0.1gに対して、実施例1で得られた光塩基発生剤を下記の含有量で含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
(光塩基発生剤の含有量)
含有量(g) 質量部
実施例4 0.005 5
実施例5 0.010 10
実施例6 0.020 20
[試験例5]
硬化確認(1)(加熱温度依存性の確認):
実施例5(10質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして60℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱温度を80℃、100℃、及びブランクとして室温として実施し、比較・評価した。結果を図6(a)に示す。
[試験例6]
硬化試験(2)(加熱時間依存性の確認):
実施例5(10質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で10分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱時間を20分、30分として実施し、比較・評価した。結果を図6(b)に示す。
[試験例7]
硬化試験(3)(添加量依存性の確認)
実施例4(5質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、実施例5(10質量部)及び実施例6(20質量部)の感光性樹脂組成物に対して実施し、比較・評価した。結果を図6(c)に示す。
図6に示すように、加熱温度を高くするほど、加熱時間を長くするほど、及び光塩基発生剤の含有量が高くなるほどに硬化が進行することが確認できた。
[実施例7〜実施例9]
感光性樹脂組成物の製造(2):
式(No.5−6)に表されるケイ素系化合物であるポリメタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル(PMAS,M=14000、M/M=1.67)0.1gに対して、実施例2で得られた光塩基発生剤を下記の含有量で含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
(光塩基発生剤の含有量)
含有量(g) 質量部
実施例7 0.005 5
実施例8 0.010 10
実施例9 0.020 20
[試験例8]
硬化確認(4)(加熱温度依存性の確認):
実施例8(10質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして60℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱温度を80℃、100℃、及びブランクとして室温として実施し、比較・評価した。結果を図7(a)に示す。
[試験例9]
硬化試験(5)(加熱時間依存性の確認):
実施例8(10質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で10分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱時間を20分、30分として実施し、比較・評価した。結果を図7(b)に示す。
[試験例10]
硬化試験(6)(添加量依存性の確認)
実施例7(5質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、実施例8(10質量部)及び実施例9(20質量部)の感光性樹脂組成物に対して実施し、比較・評価した。結果を図7(c)に示す。
図7に示すように、加熱温度を高くするほど、加熱時間を長くするほど、及び光塩基発生剤の含有量が高くなるほどに硬化が進行することが確認できた。
[実施例10〜実施例12]
感光性樹脂組成物の製造(3)
式(No.4−14)で表されるエポキシ系化合物(JER828/三菱化学(株)製)(ジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型)、エポキシ当量:185g/eq)0.1g、チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT(登録商標)PE−1/昭和電工(株)製)0.06g(エポキシ系化合物100質量部に対して60質量部)に、実施例1で得られた光塩基発生剤を下記の含有量で含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
(光塩基発生剤の含有量)
含有量(g) 質量部
実施例10 0.010 10
実施例11 0.020 20
実施例12 0.050 50
[試験例11]
硬化確認(7)(加熱温度依存性の確認):
実施例11(20質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして60℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱温度を80℃、100℃、及びブランクとして室温として実施し、比較・評価した。結果を図8(a)に示す。
[試験例12]
硬化試験(8)(加熱時間依存性の確認):
実施例11(20質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で10分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱時間を20分、30分として実施し、比較・評価した。結果を図8(b)に示す。
[試験例13]
硬化試験(9)(添加量依存性の確認)
実施例10(10質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、実施例11(20質量部)及び実施例12(50質量部)の感光性樹脂組成物に対して実施し、比較・評価した。結果を図8(c)に示す。
図8に示すように、概ね、加熱温度を高くするほど、加熱時間を長くするほど、及び塩基増殖剤の含有量が高くなるほどに硬化が進行することが確認できた。
[実施例13〜実施例15]
感光性樹脂組成物の製造(3)
式(No.4−14)で表されるエポキシ系化合物(JER828/三菱化学(株)製)(ジグリシジルエーテル(ビスフェノールA型)、エポキシ当量:185g/eq)0.1g、チオール化合物であるペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)(カレンズMT(登録商標)PE−1/昭和電工(株)製)0.06g(エポキシ系化合物100質量部に対して60質量部)に、実施例2で得られた光塩基発生剤を下記の含有量で含有させることにより本発明の感光性樹脂組成物を得た。
(光塩基発生剤の含有量)
含有量(g) 質量部
実施例13 0.010 10
実施例14 0.020 20
実施例15 0.050 50
[試験例14]
硬化確認(10)(加熱温度依存性の確認):
実施例14(20質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして60℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱温度を 80℃、100℃、及びブランクとして室温として実施し、比較・評価した。結果を図9(a)に示す。
[試験例15]
硬化試験(11)(加熱時間依存性の確認):
実施例14(20質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で10分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、ポストベイクの加熱時間を20分、30分として実施し、比較・評価した。結果を図9(b)に示す。
[試験例16]
硬化試験(12)(添加量依存性の確認)
実施例13(10質量部)で得られた感光性樹脂組成物を1.0gのクロロホルム(CHCl)に溶解させて試料溶液とした。この試料溶液をガラス基板上にバーコートして製膜し、80℃で30秒間加熱してプリベイクし、厚さ5.0μmの塗膜を調製した。この塗膜に254nmの単色光を、露光量を0(ブランク)、100、500、1000及び2000mJ/cmとして、ポストベイクとして80℃で20分間加熱後の塗膜の硬度をJIS K5600−5−4に準拠して鉛筆硬度測定を行った。そして、同様な操作を、実施例14(20質量部)及び実施例15(50質量部)の感光性樹脂組成物に対して実施し、比較・評価した。結果を図9(c)に示す。
図9に示すように、概ね、加熱温度を高くするほど、加熱時間を長くするほど、及び塩基増殖剤の含有量が高くなるほどに硬化が進行することが確認できた。
本発明は、高感度の光硬化材料やレジスト材料(パターン形成材料)等を提供する感光
性樹脂材料として有利に使用することができる。

Claims (5)

  1. 下記式(X)で表されることを特徴とする光塩基発生剤。
    Figure 0005725515
    (式(X)中、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、または炭素数6〜12の芳香族基を示し、R、R、R及びRはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12のアルキニル基、炭素数6〜12の芳香族基、ハロゲン、水酸基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、カルボキシル基、ホルミル基、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、アリール基、アリル基、シリル基、アクリル基、またはメタクリル基を示す。また、B は塩基類を示し、nは1〜20の整数を示す。)
  2. 前記塩基類B が下記式(I)、式(II)、式(IV)式(V)及び式(V−d)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の光塩基発生剤。
    Figure 0005725515
    (式(I)中、nは1〜3の整数を示す。)
    Figure 0005725515
    (式(II)中、Rはそれぞれ、独立して水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基(S等の
    ヘテロ原子を含んでもよい。)、またはフェニル基、を示す。)
    Figure 0005725515
    (式(IV)中、R〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基
    (アルキル基は環状構造でもよい。)を示し、R 〜R はそれぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。
    Figure 0005725515
    (式(V)中、R〜Rはそれぞれ、独立して水素原子、アルキル基またはアリール基(アルキル基は環状構造でもよい。)を示し、R 〜R はそれぞれ、互いに結合して環を形成してもよい。
    Figure 0005725515
  3. 前記請求項1または請求項2に記載の光塩基発生剤と、塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
  4. 前記塩基反応性化合物がエポキシ系化合物、ケイ素系化合物及びオキセタン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
  5. さらに、チオール化合物を含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の感光性樹脂組成物。
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