JP5725204B2 - シリンダブロックの製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、シリンダボア内面に溶射皮膜が形成されるシリンダブロックの製造方法に関する。
内燃機関の出力向上、燃費向上、排気性能向上、小型化、又は、軽量化といった観点から、アルミシリンダブロックのシリンダボアに適用されるシリンダライナを廃止することが望まれている。シリンダライナに代わる技術の一つとして、アルミシリンダボア内面に鉄系材料で溶射皮膜[thermally sprayed coating]を形成することが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
シリンダボア内面に溶射皮膜が形成されたシリンダブロックに、ボルトを用いてベアリングキャップを取り付けると、締結によって発生する応力によってシリンダボアが変形する。このシリンダボアの変形によって、シリンダボアの円筒度[cylindricity]が悪化する。
円筒度が悪化した、溶射皮膜が形成されたシリンダボアは、内面が正円筒形状[precise circular cylindrical shape]ではなく、楕円筒形状[ellipsoidal cylindrical shape]又は長円筒形状[elongate circular cylindrical shape]に変形している。従って、円筒度が悪化した、溶射皮膜が形成されたシリンダボアに仕上加工(ホーニング加工)を行う際には、シリンダボアを正円筒形状に修正する必要が生じるので作業性が悪化する。
本発明の目的は、ベアリングキャップの取付後に行われる、溶射皮膜が形成されたシリンダボア内面の仕上加工の作業性の悪化を抑えることにある。
本発明は、複数のシリンダボアを備えたシリンダブロックの製造方法であって、クランプ装置で前記シリンダブロックを保持し、前記クランプ装置の保持力によって前記シリンダブロックに応力を発生させて、ベアリングキャップ取付後の前記複数のシリンダボアの変形を再現し、前記応力を発生させた状態で、変形された前記複数のシリンダボアにそれぞれボーリング加工を行い、前記応力を発生させた状態で、前記ボーリング加工後の前記複数のシリンダボアの各内面に溶射皮膜を形成する、ことを特徴とする。
以下、実施形態を図面を参照しつつ説明する。
[第1実施形態]
図1に示される本実施形態のシリンダブロック1は、自動車用V型エンジンに適用される。シリンダブロック1は、アルミニウム合金製であり、そのシリンダボア3の内面には溶射皮膜5が形成されている。図1は、後述する溶射工程でシリンダボア3の内面に溶射皮膜5が形成されたシリンダブロック1に、ベアリングキャップ7及びクランクシャフト15が取り付けられた状態を示している。
図1に示される本実施形態のシリンダブロック1は、自動車用V型エンジンに適用される。シリンダブロック1は、アルミニウム合金製であり、そのシリンダボア3の内面には溶射皮膜5が形成されている。図1は、後述する溶射工程でシリンダボア3の内面に溶射皮膜5が形成されたシリンダブロック1に、ベアリングキャップ7及びクランクシャフト15が取り付けられた状態を示している。
シリンダボア3の内面への溶射皮膜5の形成によって耐磨耗性などの特性が向上する。溶射皮膜5の形成手法は、公知のもので、図示しない溶射ガンをシリンダボア3内で回転させながら軸方向に往復移動させつつ、溶射ガン先端のノズルから皮膜材料の溶滴を噴出してシリンダボア3の内面に皮膜材料を付着させる。ノズルには、溶射ガンの外部から皮膜材料となる鉄系材料のワイヤを順次供給し、このワイヤをプラズマアークなどの熱源によって溶融させて溶滴を発生させる(Plasma Spray Coating)。
図1に示されたシリンダブロック1の下面には、ベアリングキャップ7がボルト9によって締結されている。ベアリングキャップ7のベアリング13とシリンダブロック1のベアリング11との間に、クランクシャフト15のジャーナル17が回転可能に保持される。
クランクケースのシリンダブロック1と反対側の下面には、オイルパン(図示せず)が取り付けられる。シリンダブロック1のクランクケースと反対側の上面には、シリンダヘッド(図示せず)が取り付けられる。
図3は、本実施形態のシリンダブロック1の製造工程[manufacturing processes]を示している。シリンダブロック1は鋳造工程[cast process]19で鋳造され、その後、溶射工程[thermal spraying process]21でシリンダボア3の内面に溶射皮膜5が形成される。続いて、前加工工程[pre-stage machining process]23でシリンダブロック1の外側の機械加工[machining](切削加工[cutting]など)が行なわれ、リークテスト[leak test]25が実施される。
リークテスト25は、ウォータジャケット1aからの冷却水漏れとクランクケース1bからの潤滑油漏れなどの液体漏れ検査[test for fluid leak]である。リークテストは従来からよく知られている。例えば、ウォータジャケット1aの内部やクランクケース1bの内部を密閉して加圧し、所定時間経過後にそれらの内圧が規定値以上に維持されているか否かを判断する。
その後、ベアリングキャップ7を取り付けるベアリングキャップ組付工程[bearing cap assembling process]27を経て、シリンダボア3のホーニング加工[honing]などの仕上加工を行う仕上加工工程[finishing work process]29を実施する。ホーニング加工は、シリンダボア3の内面を精密に研磨する工程であり、上述した溶射皮膜5が研磨される。ホーニング加工によって、シリンダボア3の高精度の円筒度が確保される。なお、ホーニング加工では、シリンダブロック1にはダミーシリンダヘッドも取り付けられる。
上述した仕上加工(ホーニング加工)工程29に先立つベアリングキャップ組付工程27でベアリングキャップ7がボルト9によってシリンダブロック1に締結されると、シリンダブロック1に応力が発生する。この応力によって、シリンダブロック1、即ち、シリンダボア3が変形し、その円筒度が悪化する。具体的には、図1中の矢印Aから見た概略図である図2(a)と図1中の矢印Bから見た概略図である図2(b)とに示されるように、シリンダボア3の図1中の横方向の直径Pが、上記横方向に直交する方向の直径Qよりも長くなり、シリンダボア3の断面形状は楕円又は長円に変形する。
このような変形は、両バンクのシリンダボア3の中心の横方向両側に位置するボルト9の締結によって、両バンクの各シリンダボア3の周辺が、上記中心を境に図1中の矢印Cで示されるように側方に倒れることで生じる。
上述した変形によって楕円形状又は長円形状のシリンダボア3をホーニング加工すると、短径部分の領域の研磨量は長径部分の領域の研磨量よりも多くなる。短径部分の領域をより多く研磨することで、シリンダボア3の断面形状が正円形状になる。しかし、この場合、短径部分の領域の研磨量を考慮して溶射皮膜5をあらかじめ厚く形成しておく必要があり、多くの皮膜材料が必要となる。
そこで、本実施形態では、ベアリングキャップ組付工程27や仕上加工(ホーニング加工)工程29に先立つ溶射工程21で、図4に示される作業が行われる。すなわち、図5に示されるクランプ装置(クランプ手段)31を用いて、シリンダブロック1へのベアリングキャップ7の取り付けによって生じるシリンダボア3の変形を意図的に発生させる(作業21a)。
クランプ装置31の台座37上には、シリンダブロック1を支持する支持突起39と、油圧シリンダ(クランプ機構)41とが設けられている。支持突起39は、シリンダブロック1のベアリング11近傍の下面(ベアリングキャップ取付面43)を支持する。即ち、支持突起39は、ベアリング11近傍を下方(シリンダブロック1の底側)から支持する。各油圧シリンダ41は、その本体41aから垂直に延びる往復動可能なロッド41bを備えており、ロッド41bには、水平に延びるクランプアーム45が取り付けられている。
クランプアーム45の先端をシリンダブロック1の側部の上面47上に位置させた状態で、油圧シリンダ41を駆動してロッド41bを下方に移動させる。即ち、クランプアーム45は、シリンダブロック1の下部側縁を上方(シリンダブロック1のヘッド側)からクランプする。従って、シリンダブロック1は、加工(作業21a〜21cでの加工)に耐えられるようにクランプアーム45によってしっかりと保持されると共に、クランプアーム45による荷重負荷によってシリンダブロック1に応力が発生する。これにより、シリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けたときの矢印Cで示される変形が生じる。このとき、図5に示されるように、シリンダボア3の内径を測定する測定器30をシリンダボア3の内部に挿入して、シリンダボア3の変形を監視しながらシリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態を再現する[duplicate a condition]。
この際、応力が発生していない状態のシリンダブロック1におけるシリンダボア3の内径と、ベアリングキャップ7が取り付けられた状態のシリンダブロック1におけるシリンダボア3の内径とが予め測定されている。これらの測定結果に基づいて、図5に示される作業21aでシリンダボア3の変形が監視され、シリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態が再現される。なお、このようなクランプ装置31によってシリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態を「完璧に[perfectly]再現」することは実質的に不可能であり、ここに言う「再現」とは、シリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態を模擬的に[vicariously]再現することを言う。
また、図5には、一つのシリンダボア3のみが測定された状態が示されているが、全てのシリンダボア3で測定を行いつつ、シリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態を再現することが好ましい。ただし、一つのシリンダボア3のみで測定が行われてもよいし、一部のシリンダボア3のみで測定が行われても良い(例えば、V型6気筒エンジンにおける各バンクの中央シリンダボア3、即ち、計二つのシリンダボア3で測定)。また、一つの特定のシリンダボア3の変形状態と他のシリンダボア3の変形状態との間に相関があり、一つの特定のシリンダボア3の測定値と全てのシリンダボアの変形状態との間に整合性が確保された場合は、測定器30を用いた測定が、一つの特定のシリンダボア3に対してのみ行われても良い。
さらに、測定器30を用いた測定は、シリンダブロック1毎に毎回に行われることが好ましい。しかし、一つ以上のシリンダブロック1で測定をし、シリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態とクランプアーム45(油圧シリンダ41)による負荷荷重との間に整合性が確保された場合は、測定器30を用いた測定が、シリンダブロック1毎に毎回行われなくても良い。
なお、測定器30は、接触式の測定器であっても良いし、非接触式の測定器であっても良い。さらに、シリンダボア3の内径の測定は、その軸に沿って複数箇所で行われるのが好ましく(図5では三箇所で測定)、特に変形量の多いシリンダヘッド側を重点的に測定することが好ましい。
続いて、図6に示されるように、シリンダボア3の変形を意図的に発生させた状態で、シリンダボア3の断面形状(変形によって楕円形状又は長円形状)を正円形状(真円形状)となるよう機械加工(ボーリング加工)する(作業21b)。上記機械加工によって、シリンダボア3の円筒度が修正される。上記機械加工は、図6に示されるように、ボーリングバー33をシリンダボア3内に挿入しつつ回転させ、ボーリングバー33の先端に設けられた切刃35でシリンダボア3の内面を切削する。
続いて、図7に示されるように、公知の溶射技術を用いてシリンダボア3の内面に溶射皮膜5が形成される(作業21c)。即ち、溶射ガン36をシリンダボア3内で回転させながら軸方向に往復移動させつつ、溶射ガン36先端のノズル38から皮膜材料の溶滴をシリンダボア3の内面に噴射して皮膜材料を付着させる。
上述した作業21a〜21cの過程におけるシリンダボア3の形状が、図8(a)〜(c)に示されている。即ち、作業21aによって、図8(a)に示されるように、シリンダブロック1にベアリングキャップ7を取り付けた状態のシリンダボア3の変形が再現される。続いて、作業21b(ボーリング加工)によってシリンダボア3の内面が切削され、図8(b)に示されるように、上述した再現状態でのシリンダボア3の円筒度が確保される。さらに、作業21c(溶射皮膜5の形成)によって、図8(c)に示されるように、上述した再現状態でのシリンダボア3の内面に溶射皮膜5が形成される。
上述したような溶射工程21の後は、クランプ装置31によるシリンダブロック1の保持(応力負荷)が解除され、上述した前加工工程23及びリークテスト25(図3参照)が順次行われる。前加工工程23及びリークテスト25では、クランプ装置31によるシリンダブロック1の保持が解除されているので再現されたシリンダボア3の変形も解除されている。従って、シリンダボア3は、クランプ装置31による変形とは逆方向に変形した状態となっている。なお、ここでの逆方向とは、シリンダボア3の軸線に直交する平面内において、互いに直交する方向である。
即ち、作業21aによってシリンダボア3が図8(a)に示されるように横方向に伸びる楕円形状又は長円形状に変形された場合、クランプ装置31による変形が解除されたシリンダボア3は、(作業21bでボーリンク加工されているので)図8(d)に示されるように横方向に対して直交する縦方向に伸びる楕円形状又は長円形状を有する。
リークテスト25の後、ベアリングキャップ組付工程27でシリンダブロック1(シリンダボア3の形状は図8(d)に示される形状)にベアリングキャップ7が取り付けられる。シリンダブロック1にベアリングキャップ7が取り付けられると、ボルト9の締結による応力がシリンダブロック1に発生する。この結果、シリンダボア3は再び変形し、図8(c)に示される状態に戻される。
そして、図8(c)に示される円形状を有するシリンダボア3の溶射皮膜5に対し、仕上加工工程29で仕上加工(ホーニング加工)が行われる。溶射皮膜5へのホーニング加工時には、溶射皮膜5の内面は図8(c)のように円形(円筒)となっている。このため、ホーニング加工時に円筒度を修正する加工が不要となり、作業効率が向上する(作業性悪化が抑えられる)。シリンダボア3(溶射皮膜5)の内面は、ホーニング加工によって円筒度がさらに向上され、正円形状を有することとなる。
本実施形態によれば、図2に示されるような、溶射皮膜5の形成後にベアリングキャップが取り付けられて楕円形状又は長円形状に変形したシリンダボア3(溶射皮膜5)の円筒度を修正する必要がない。即ち、研磨量を考慮して溶射皮膜5を厚く形成する必要がないので、多くの皮膜材料を使用する必要がない。従って、皮膜材料の使用量削減によって材料コストを抑えることができる。また、皮膜材料の使用量を削減できるので、溶射皮膜5を形成するための作業時間を短縮できる。
なお、本実施形態では、鋳造工程19の直後に溶射工程21が行われる。例えば、溶射工程21を仕上加工工程29の直前などの製造工程下流で行うと、溶射時(特に、円筒度を修正するボーリング加工時)に鋳造欠陥が見つかってシリンダブロック1の廃棄は避けられない場合がある。この場合、鋳造工程から溶射工程までの間の工程(前加工工程23等が含まれる)に要した加工費や作業時間が無駄になる。本実施形態によれば、このような無駄を防止できる。
また、鋳造工程19の直後に溶射工程21を行われることで、製造ラインの改修を少なくすることができ、設備コストを低減することができる。例えば、溶射工程21を仕上加工工程29の直前のような製造工程下流で行うと、溶射工程21の設備を製造ラインの途中に組み込む必要が生じ、製造ラインの改修規模が大きくなってしまう。これらのことを考慮すると、溶射工程21は、本実施形態のように鋳造工程19の直後に行われることが望ましい。
[第2実施形態]
本実施形態のシリンダブロック1Aは、ベアリングキャップ7が取り付けられたときの変形量が上述した第1実施形態のシリンダブロック1よりも少なくなる(又は、シリンダブロック1Aが変形しない)ような形状を有している。なお、本実施形態におけるシリンダブロック1Aを製造する際の製造工程及び作業内容は、上述した第1実施形態における製造工程(図3参照)及び図4に示される作業内容(図4参照)と同じである。
本実施形態のシリンダブロック1Aは、ベアリングキャップ7が取り付けられたときの変形量が上述した第1実施形態のシリンダブロック1よりも少なくなる(又は、シリンダブロック1Aが変形しない)ような形状を有している。なお、本実施形態におけるシリンダブロック1Aを製造する際の製造工程及び作業内容は、上述した第1実施形態における製造工程(図3参照)及び図4に示される作業内容(図4参照)と同じである。
具体的には、図9に示されるように、シリンダブロック1Aでは、各バンク外側のベアリングキャップ取付面43近傍に応力を吸収する(即ち、応力をシリンダボア3に作用させないための)切欠部[cutout portions](応力吸収部)49が形成されている。切欠部49は、クランプ装置31のクランプアーム45によるクランプ箇所のすぐ下方(シリンダブロック1Aのクランクケース側)に形成されている。切欠部49が形成されることで、切欠部49周辺の剛性は低く抑えられている。このように、シリンダブロック1Aの一部の剛性を低く抑えることで、シリンダブロック1Aにベアリングキャップ7を取り付けたときに発生する応力が吸収され、シリンダボア3の変形が抑制される。
即ち、本実施形態のシリンダブロック1Aにベアリングキャップ7をボルト9で締結しても、シリンダボア3の変形が抑制され、正円(真円)形状が維持される。従って、本実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、シリンダブロック1Aにベアリングキャップ7を取り付けられた状態でシリンダボア3(溶射皮膜5)の内面をホーニング加工する際には、シリンダボア3の円筒度を修正する必要がない。この結果、作業効率が向上する(作業性悪化を抑制できる)。
また、シリンダボア3(溶射皮膜5)の内面をホーニング加工する際にシリンダボア3の円筒度を修正する必要がないので、多くの皮膜材料を使用する必要がない。従って、皮膜材料の使用量削減によって材料コストを抑えることができる。
上述した切欠部(応力吸収部)49の形成に代えて、次のような方法も採用することができる。(1)切欠部49の位置に補強部(リブなど)が当初から存在する場合には、そのリブを削除する。(即ち、シリンダブロックから補強部を削除することによって、切欠部49を形成する。)(2)切欠部49に相当する部分の肉厚を薄くする。(即ち、肉厚を薄くすることによって、切欠部49を形成する。)
上記実施形態によれば、ベアリングキャップ取付時と同様の変形状態で正円筒形状に加工した後のシリンダボア内面に溶射皮膜が形成される。従って、実際にベアリングキャップを取り付けた状態の皮膜形成の内面は規定の円筒度を有している。従って、皮膜形成面の仕上加工(ホーニング加工)では、円筒度を修正する必要がなく、作業効率が向上する(作業性悪化を抑制できる)。
日本国特許出願第2011−281317号(2011年12月22日出願)の全ての内容は、ここに参照されることで本明細書に援用される。本発明の実施形態を参照することで上述のように本発明が説明されたが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、請求の範囲に照らして決定される。
なお、上記した各実施形態は、自動車用V型エンジンのシリンダブロック1(1A)を例にして説明された。シリンダボア3が両バンクに形成されるV型エンジン(水平対向エンジンを除く)では、ベアリングキャップ7を取り付けたときのシリンダブロック1の変形が特に顕著であるので、本発明はV型エンジンのシリンダブロックにとって特に有効である。しかし、本発明は、直列エンジンなどの他形式のシリンダブロックに対しても適用でき、同様に上述した効果が実現され得る。
Claims (4)
- 複数のシリンダボアをV型に配置したV型エンジンのシリンダブロックの製造方法であって、
前記シリンダブロックの鋳造工程に続いて、前記複数のシリンダボアの各内面に溶射被膜を形成する溶射工程を行い、
前記溶射工程では、
クランプ装置で前記シリンダブロックを保持し、
前記クランプ装置の保持力によって前記シリンダブロックに応力を発生させて、ベアリングキャップ取付後の前記複数のシリンダボアの変形を再現し、
前記応力を発生させた状態で、変形された前記複数のシリンダボアにそれぞれボーリング加工を行い、
前記応力を発生させた状態で、前記ボーリング加工後の前記複数のシリンダボアの各内面に前記溶射皮膜を形成する、ことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。 - 請求項1に記載のシリンダブロックの製造方法であって、
前記クランプ装置の前記保持力によって前記シリンダブロックに前記応力を発生させる際に、
少なくとも一つの前記複数のシリンダボアの内径を測定し、
測定された前記内径に基づいて前記保持力を調節することで、前記前記複数のシリンダボアの前記変形を制御する、ことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。 - 請求項1又は2に記載のシリンダブロックの製造方法であって、
前記複数のシリンダボアの各内面に前記溶射皮膜を形成させた後、前記シリンダブロックを前記クランプ装置から取り外し、
他の加工工程又はテスト工程を行った後、前記シリンダブロックにクランクシャフト及び前記ベアリングキャップを取り付け、
前記クランクシャフト及び前記ベアリングキャップが取り付けられた前記シリンダブロックの前記複数のシリンダボアの各内面上に形成された前記溶射皮膜にホーニング加工を行う、ことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。 - 請求項1〜3の何れかに記載のシリンダブロックの製造方法であって、
前記クランプ装置が、前記ベアリングキャップが取り付けられる前記シリンダブロックのべアリング近傍を下方から支持する複数の支持突起と、前記シリンダブロックの下部側縁を上方からクランプするクランプアームを有する複数のクランプ機構とを備えている、ことを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
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