JP5708988B2 - 高周波電源装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマ処理装置等の負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置に関するものである。
高周波電源装置として、特許文献1に示されているように、商用交流電圧を直流電圧に変換する整流平滑回路と、この整流平滑回路から得られる直流電圧を一旦交流電圧に変換した後再度直流電圧に変換するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの出力を高周波交流電力に変換するインバータ回路とを備えて、DC−DCコンバータの出力電圧を制御することにより、負荷に供給する高周波電力を設定値に近づける制御を行うようにしたものが知られている。
図7は、特許文献1に示された高周波電源装置PS′の構成を示したものである。同図において、1は商用電源から得られる交流電圧を整流して平滑する整流平滑回路、2は整流平滑回路から得られる直流電圧が入力されたDC−DCコンバータ、3はDC−DCコンバータ2の出力を高周波交流電力に変換するインバータ回路である。
インバータ回路3は、図8に示すように、スイッチ素子S1ないしS4をHブリッジ接続してなるスイッチ回路と,このスイッチ回路を構成するHブリッジのスイッチ素子S1ないしS4にそれぞれ逆並列接続された帰還用ダイオードD1ないしD4とを備えた周知の回路からなっている。インバータ回路3は、Hブリッジの一方の対辺を構成する対のスイッチ素子S1及びS4と、他方の対辺を構成する他の対のスイッチ素子S2及びS3とを交互にオン状態にすることにより、DC−DCコンバータ2から与えられる直流電圧Vdcを矩形波状の高周波交流電圧Vinvに変換する。
インバータ回路3から出力される矩形波状の高周波交流電圧は、正弦波形の高周波電圧及び電流に変換されて負荷7に供給される。図示の例では、インバータ回路の出力がトランス4の一次側に入力され、トランス4の出力が直列共振回路5とローパスフィルタ6とを通して負荷7に入力されている。インバータ回路3が出力する矩形波状の交流電圧及び電流は、直列共振回路5とローパスフィルタ6とにより正弦波形の高周波電圧及び電流に変換されて負荷7に供給される。
8はインバータ回路3の出力電圧を検出する電圧検出部、9はインバータ回路3とトランス4との間を流れる電流Iinvを検出する電流検出部、10は負荷7に供給される高周波電力を検出する電力検出部である。
電圧検出部8の出力及び電流検出部9の出力は、インバータ回路3の出力電流の出力電圧に対する位相差を検出する位相差検出部11に入力され、位相差検出部11から得られる位相差の検出値が、インバータ回路3の出力周波数を決定する周波数指令を発生する周波数制御部12′に与えられている。
13は周波数制御部12′から与えられる周波数指令により指令された周波数を有する正弦波形の高周波信号を発生する高周波信号発生部、14は高周波信号発生部13が出力する高周波信号を、インバータ回路3のスイッチ素子に与える制御信号V1及びV2に変換する信号変換部である。制御信号V1は、インバータ回路3を構成するHブリッジの一方の対辺(対角位置にある辺)にあるスイッチ素子S1,S4をオン状態にするために該対のスイッチ素子の制御端子に与える制御信号であり、制御信号V2は、インバータ回路3を構成するHブリッジの他方の対辺を構成する対のスイッチ素子S2,S3をオン状態にするために該対のスイッチ素子の制御端子に与える制御信号である。高周波信号発生部13は、ダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS)からなっていて、与えられた周波数指令により指令された通りの周波数を有する正弦波信号を発生する。
特許文献1に示された高周波電源装置では、負荷に与えられる高周波交流電流と高周波電圧との位相差を可能な限り小さくするように(好ましくは0とするように)、インバータ回路3の出力周波数を制御している。このように,インバータ回路の出力周波数を制御すると、インバータ回路3を構成するスイッチ素子で生じるスイッチング損失を少なくして、高周波電源装置の効率を高くすることができる。
プラズマ処理装置などの負荷に高周波電力を供給す高周波電源装置では、負荷に与える高周波電力を設定値に保つ必要がある。図7に示した高周波電源装置では、インバータ回路3からトランス4と直列共振回路5とローパスフィルタ6とを通して負荷に与えられる高周波電力を設定値に保つ制御を行う必要がある。そのため、従来のこの種の高周波電源装置では、特許文献1には特に示されていないが、インバータ回路3に入力する直流電力を発生するDC−DCコンバータ2の出力電圧を制御することにより、負荷7に供給される高周波電力を制御している。図7に示した例では、電力検出部10の出力が、電力制御部15に与えられている。電力制御部15は、負荷7に与えられる高周波電力の検出値と設定値との偏差を演算して、演算した偏差を零に近づけるようにDC−DCコンバータ2の出力電圧の値を制御し、これにより、インバータ回路3の出力電圧及び出力電流を制御して、負荷7に与えられる高周波交流電力を設定値に保つ。
特開2007−185000号公報(図4)
図7に示された従来の高周波電源装置においては、負荷に供給する高周波電力を設定値に保つ制御を行うために、インバータ回路3の前段に直流出力電圧を制御することが可能なDC−DCコンバータ2を設けて、電力検出部10により検出される電力を設定値に保つように、DC−DCコンバータ2の出力電圧を制御していた。そのため、電源装置の構成が複雑になり、そのコストが高くなるという問題があった。
またDC−DCコンバータは内部に大容量の平滑用コンデンサを有していて、その出力電圧を低下させるのに時間がかかるため、制御の応答性が悪くなるのを避けられなかった。制御の応答性を高めるためには、DC−DCコンバータの平滑用コンデンサを強制的に放電させる回路を設ける等の工夫をすることが必要になり、回路構成が複雑になるのを避けられなかった。
なお図7において、DC−DCコンバータ2を省略して、インバータ回路3のスイッチ素子をPWM制御することにより,負荷7に供給する電力を設定値に保つ制御を行うことも考えられる。しかしながら、インバータ回路3のスイッチ素子のPWM制御は、インバータ回路3の出力周波数よりも遙かに高い周波数でスイッチ素子をオンオフさせることにより行う必要があるため、インバータ回路3の出力周波数が高い場合(現状のスイッチ素子の性能では、例えば数10乃至数100MHzの場合)には採用することが困難である。
本発明の目的は、出力電圧を制御する機能を有しない簡単な構成の直流電源部の出力電圧を直接インバータ回路に入力する構成をとって構成の簡素化を図り、コストの低減を図ることを可能にした高周波電源装置を提供することにある。
本発明は、交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する直流電源部と、直流電源部が出力する直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路とを備えて、インバータ回路から負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置を対象とする。
本発明に係わる高周波電源装置は、インバータ回路の出力電流を検出する電流検出部と、インバータ回路の出力電圧又はインバータ回路の出力電圧に相当する電圧を検出する電圧検出部と、電流検出部により検出される電流の電圧検出部により検出された電圧に対する位相差を検出する位相差検出部と、負荷に供給される高周波電力を検出する電力検出部と、位相差検出部により検出された位相差及び電力検出部により検出された電力値を入力として、電流検出部により検出される電流の位相が電圧検出部により検出された位相に対して遅れ位相となる状態を維持しつつ、電力検出部により検出される電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つように、インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲内で制御する周波数制御部とを備えている。
インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスは、通常直列共振特性を有している。インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスが直列共振特性を有している場合、インバータ回路の出力周波数が直列共振周波数に等しいときにインバータ回路から負荷側を見たインピーダンスが最小になり、負荷に供給される電力が最大になる。インバータ回路の出力周波数が直列共振周波数よりも高い領域では、インバータ回路の負荷のインピーダンスが誘導性を示し、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも遅れる。またインバータ回路の出力周波数が直列共振周波数よりも低い領域では、インバータ回路の負荷のインピーダンスが容量性を示し、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも進む。
インバータ回路から直列共振特性を有する負荷に高周波電力を供給する電力供給システムにおいて、インバータ回路の出力周波数を負荷側回路のインピーダンスが容量性を示す領域に設定した場合には、インバータ回路による電流のスイッチング動作に伴って電流波形が大きく歪むが、負荷側回路のインピーダンスが誘導性を示す領域にインバータ回路の出力周波数を設定した場合には、電流の波形歪みが比較的少ないことが知られている。したがって、インバータ回路から直列共振特性を有する負荷に電力を供給する場合には、インバータ回路の出力周波数を、負荷のインピーダンスが誘導性を示す領域に設定するのが普通である。インバータ回路の出力周波数が、インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスを誘導性とする領域にある場合には、インバータ回路の出力周波数を上げることにより、負荷に供給される電力を減少させることができ、インバータ回路の出力周波数を下げることにより、負荷に供給される電力を増大させることができる。
従って、電流検出部により検出される電流の位相をインバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れ位相とする状態を維持することができるインバータ回路の出力周波数の範囲を予め周波数可変範囲として定めておいて、電力検出部により検出された電力値が設定値よりも大きいか小さいか又は許容設定範囲より大きいか小さいかに応じて、インバータ回路の出力周波数を、予め定めた周波数範囲で上昇させるか又は下降させる制御を行うことにより、負荷に供給される高周波電力を設定値に近づける制御又は設定された許容範囲に保つ制御を行わせることができる。
上記のように、本発明においては、電流検出部により検出される電流の位相がインバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れ位相となる状態を維持しつつ電力検出部により検出される電力値を設定値に近づけるように、インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲内で制御するので、インバータ回路に入力する直流電圧は制御する必要がない。従って、上記のように構成すると、直流電源部は、直流出力電圧を制御する機能を持つ必要がなく、交流電圧を整流・平滑して一定の直流電圧を出力するだけの簡単な整流平滑回路等により構成することができるため、高周波電源装置の構成の簡素化を図ってコストの低減を図ることができる。
また上記のように構成すると、平滑用コンデンサが制御の応答性を遅らせる要因にならないため、平滑用コンデンサを強制放電させる回路を設ける等の工夫が不要になり、回路構成が複雑になるのを防ぐことができる。
本発明の好ましい態様では、インバータ回路の出力端と負荷との間にトランスが設けられて、インバータ回路からトランスを通して負荷に高周波電力を供給するように構成される。
本発明の他の好ましい態様では、インバータ回路と負荷との間に直流阻止用コンデンサが挿入されて、インバータ回路から直流阻止用コンデンサを通して負荷に高周波電力を供給するように構成される。
本発明の好ましい態様では、周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部が設けられ、インバータ回路は、高周波信号により制御されて、直流電源部が出力する直流電圧を、上記高周波信号と周波数及び位相が等しい高周波交流電圧に変換する。
本発明の好ましい態様では、インバータ回路の出力電圧を検出する電圧検出部が設けられる。この場合、位相差検出部は、電流検出部により検出される電流の位相と、電圧検出部により検出される電圧の位相とから前記位相差を検出するように構成される。
高周波信号発生部が設けられている場合には、位相差検出部を、電流検出部により検出される電流の位相と、高周波信号の位相とから前記位相差を検出するように構成することができる。
高周波信号発生部が発生する高周波信号によりインバータ回路のスイッチ素子を制御して、直流電力を高周波電力に変換する場合、高周波信号の位相はインバータ回路の出力電圧の位相と等しいため、上記のように、電流検出部により検出される電流の位相と、高周波信号発生部が発生する高周波信号の位相とから前記位相差を検出するようにしても、電流検出部により検出される電流の、インバータ回路の出力電圧に対する位相差を検出することができる。
上記の各態様において、周波数制御部は、電力検出部により検出された電力値が設定値よりも小さいか又は許容範囲を下回っているときにインバータ回路の出力周波数を下げる制御を行ない、電力検出部により検出された電力値が設定値よりも大きいか又は許容範囲を上回っているときにインバータ回路の出力周波数を上げる制御を行なうように構成することができる。
上記の各態様において、周波数制御部は、インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲の下限値まで下げたにもかかわらず電力検出部により検出された電力値が設定値よりも小さいか又は許容範囲を下回っているとき、及びインバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲の上限値まで上げたにもかかわらず前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも大きいか又は許容範囲を上回っているときに異常信号を出力するように構成されていることが好ましい。
インバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲(出力電流を出力電圧に対して遅れ位相の状態に保つために必要な範囲)の下限値まで下げても負荷に供給する高周波電力が設定値以上にならないか又は許容範囲に収まらない状態及びインバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の上限値まで上げても負荷に供給される高周波電力が設定値以下にならないか又は許容範囲に収まらない状態は、負荷に供給される高周波電力が調整可能な範囲外にある状態であり、何らかの異常が生じている状態である。このような状態が生じたときには、電源装置の運転を停止する等の措置を講じる必要がある。上記のような異常信号出力手段を設けておけば、異常状態への対処を容易にすることができる。
上記周波数制御部はまた、負荷に供給される高周波電力を設定値に近づけるか又は許容範囲内に収めるためにインバータ回路の出力周波数を下げていく過程で、電流検出部により検出される電流の位相がインバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れ位相でなくなったときに異常信号を出力するように構成されていることが好ましい。
インバータ回路の出力周波数を変化させることにより負荷に供給される高周波電力を制御する際には、前述のように、インバータ回路の出力電流の出力電圧に対する位相を遅れ位相の範囲に維持することが必要である。インバータ回路の出力周波数を下げていく過程で電流検出部により検出された電流の位相がインバータの出力電圧の位相に対して遅れ位相でなくなる状態は、負荷の大きさが、当該負荷に供給する電力の値を設定値に保つ制御を行うことができる範囲から逸脱している状態である。このような状態が生じた場合も、高周波電源装置の運転を停止させる等の措置を講じる必要がある。上記のような異常信号出力手段を設けておけば、このような異常状態への対処を容易にすることができる。
上記直流電源部は、商用の交流電圧を変圧器により変圧して得た電圧を整流平滑して直流電圧を出力するように構成することができる。
本発明においては、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相に対して遅れ位相となる状態を維持しつつ、電力検出部により検出された電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つようにインバータ回路の出力周波数を制御するので、インバータ回路に入力する直流電圧を制御することなく、負荷に与える高周波電力を設定値に近づける制御又は設定された許容範囲に保つ制御を行わせることができる。従って本発明によれば、直流出力電圧を制御する機能を直流電源部に持たせる必要がなく、交流電圧を整流・平滑して一定の直流電圧を出力する整流平滑回路等により直流電源部を構成することができるため、高周波電源装置の構成を簡単にしてコストの低減を図ることができる。
また本発明によれば、平滑用コンデンサが制御の応答性を遅らせる要因になることがないため、平滑用コンデンサを強制放電させる回路を設ける等の工夫が不要になり、回路構成が複雑になるのを防ぐことができる。
本発明の実施形態に係わる高周波電源装置の構成を示した回路図である。 本発明の他の実施形態に係わる高周波電源装置の構成を示した回路図である。 本発明の実施形態において、インバータ回路から負荷側を見た回路のインピーダンスを示す等価回路図である。 (A)ないし(C)は、インバータ回路から直列共振特性を有する負荷に高周波電力を供給するシステムにおいて、インバータ回路の出力周波数を変化させた際の高周波電力の電力値の変化を、インバータ回路から負荷側を見た回路のインダクタンスをパラメータとしてパラメータとして示したグラフである。 本発明の一実施形態で用いる周波数制御部が行う制御のアルゴリズムの一例を示したフローチャートである。 本発明の他の実施形態に係わる高周波電源装置の構成を示した回路図である。 従来の高周波電源装置の構成を示した回路図である。 インバータ回路の構成例を示した回路図である。
図1は、本発明に係わる高周波電源装置PSの一実施形態を示したものである。同図において、20は一定の直流電圧を発生する直流電源部、3は直流電源部20の出力が入力されたインバータ回路、4はインバータ回路3の出力が入力されたトランスであり、インバータ回路3とトランス4とにより、直流電力を高周波電力に変換する電力変換部21が構成されている。
本実施形態においては、直流電源部20が、商用電源から得られる交流電圧を全波整流する整流器と、該整流器の出力端子間に接続された平滑用コンデンサとを備えた整流平滑回路からなっていて、商用電源の交流電圧により決まるほぼ一定の直流電圧Vdcを出力する。
インバータ回路3は、図8に示したものと同様に、スイッチ素子S1ないしS4をHブリッジ接続してなるスイッチ回路と,Hブリッジを構成するスイッチ素子S1ないしS4にそれぞれ逆並列接続された帰還用ダイオードD1ないしD4とからなっており、Hブリッジの対角位置にある一方の対辺を構成する対のスイッチ素子S1及びS4と、対角位置にある他方の対辺を構成する他の対のスイッチ素子S2及びS3とを交互にオン状態にすることにより、直流電源部20から与えられる直流電圧Vdcを矩形波状の高周波交流電圧Vinvに変換する。インバータ回路3を構成するスイッチ素子S1ないしS4は、MOSFET,バイポーラ型のパワートランジスタ、IGBT等の半導体スイッチ素子からなっている。
インバータ回路3は、直流入力端子3a,3bと、交流出力端子3c、3dとを有していて、直流入力端子3a,3bが直流電源部20の出力端子に接続され、交流出力端子3c,3dがトランス4の1次コイル4aの両端に接続されている。トランス4の2次コイル4bの一端は、コイル5aとコンデンサ5bの直列回路からなる直列共振回路5を通してローパスフィルタからなるフィルタ部6の入力端子に接続され、フィルタ部6の出力端子は電力検出部10を通して高周波電源装置PSの一方の出力端子22aに接続されている。トランス4の2次コイル4bの他端は、高周波電源装置PSの他方の出力端子22bに接続され、高周波電源装置PSの出力端子22a,22bが、例えば電力ケーブルを通して負荷7の入力端子に接続されている。なお図1に示した例では、高周波電源装置PSの出力端子22a,22bが直接電力ケーブルを通して負荷に与えられているが、高周波電源装置PSの出力端子22a,22bと負荷7との間にインピーダンス整合器が設けられる場合もある。
電力変換部21には、インバータ回路3の出力端子3c,3d間の電圧を検出する電圧検出部8と、インバータ回路3とトランス4との間でインバータ回路の出力電流Iinvを検出する電流検出部9とが設けられ、トランス4の二次側の回路には、負荷7に与えられる高周波電力を検出する電力検出部10が設けられている。電力検出部10は、電力変換部21で発生する高調波成分を取り除いた基本周波数における電力を検出することが望ましいため、本実施形態では、図示のように、電力検出部10をフィルタ部6よりも負荷側に設けている。
電圧検出部8の出力及び電流検出部9の出力は、インバータ回路3の出力電流と出力電圧との位相差を検出する位相差検出部11に入力され、位相差検出部11から得られる位相差の検出値と、電力検出部10から与えられる高周波電力の検出値とが、負荷7に与えられる高周波電力を設定値に近づけるようにインバータ回路3の出力周波数を制御する周波数制御部12に入力されている。
23及び24はそれぞれ周波数制御部12に対して設けられた第1のメモリ及び第2のメモリである。第1のメモリ23は、負荷に与える高周波電力の周波数可変範囲の上限び下限をそれぞれ定める上限周波数及び下限周波数を記憶しており、第2のメモリ24は、負荷に与える高周波電力の周波数の初期値を記憶している。
13は周波数制御部12から与えられる周波数指令により指令された周波数を有する正弦波形の高周波信号を発生する高周波信号発生部、14は高周波信号発生部13が出力する高周波信号を、インバータ回路3を構成するスイッチ素子に与える制御信号V1及びV2に変換する信号変換部である。高周波信号発生部13は、与えられた周波数指令により指令された通りの周波数と、与えられた振幅指令により指令された振幅とを有する正弦波信号を発生するダイレクト・デジタル・シンセサイザー(DDS)からなっている。
信号変換部14は、高周波信号発生部13が発生する正弦波形の高周波信号の一方の極性の半波の期間第1の制御信号V1を発生し、他方の半波の期間第2の制御信号V2を発生する。第1の制御信号V1は、インバータ回路3を構成するHブリッジの対角位置にある一方の対辺を構成する対のスイッチ素子S1,S4をオン状態にするために該対のスイッチ素子S1,S4の制御端子に与える制御信号であり、第2の制御信号V2は、インバータ回路3を構成するHブリッジの対角位置にある他方の対辺を構成する対のスイッチ素子S2,S3をオン状態にするために該対のスイッチ素子S2,S3の制御端子に与える制御信号である。
インバータ回路3は、対角位置にある対のスイッチ素子S1,S4及び対のスイッチ素子S2,S3を交互にオン状態にすることにより、直流電源部20から与えられる直流電圧Vdcを、高周波信号発生部13が発生する高周波信号と周波数(周波数制御部12により指令された周波数)及び位相が等しい矩形波状の高周波交流電圧に変換する。この交流電圧は、トランス4を通して直列共振回路5に印加される。矩形波状の交流電圧が直列共振回路5に印加されることにより、基本波成分以外の高調波成分の殆どが除去されて、正弦波形に近い波形を有する高周波電圧が得られる。フィルタ部6は、直列共振回路5を通して得られる高周波電圧から基本波成分のみを抽出して正弦波形の高周波電力を負荷7に与える。
トランス4は、インバータ回路3から出力される単極性の矩形波状の高周波電圧を零レベルを基準にして正負の極性に変化する波形の高周波電圧に変換するとともに、出力端子22a,22bからインバータ回路3側を見たインピーダンスを、負荷側のインピーダンス(負荷7に給電するための線路のインピーダンス)に変換する。負荷7に給電するための線路は、一般的には特性インピーダンスが50Ωのものが使用される。
上記のように、インバータ回路3から直列共振特性を有する回路に高周波電力を供給する場合、インバータ回路3から負荷側を見たインピーダンスは、図3に示すように、インダクタンスLと、キャパシタンスCと、抵抗Rとの直列回路により表すことができる。ここで、インダクタンスLをL1,L2及びL3(L1>L2>L3)として、周波数fを変化させたとすると、負荷に供給される電力Pは、図4の(A)ないし(C)のように変化する。これらの図においてfoは直列共振周波数である。
図4から明らかなように、インバータ回路3から負荷7側を見た回路のインピーダンスが、直列共振特性を有するように構成されている場合、インバータ回路3の出力周波数が直列共振周波数foに等しいときにインバータ回路3から負荷7側を見たインピーダンスが最小になり、負荷に供給される電力が最大になる。インバータ回路3の出力周波数が直列共振周波数よりも高い領域では、インバータ回路3から負荷7側を見たインピーダンスが誘導性を示し、インバータ回路3の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも遅れる。またインバータ回路3の出力周波数が直列共振周波数よりも低い領域では、インバータ回路3から負荷側を見たインピーダンスが容量性を示し、インバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相よりも進む。
インバータ回路3から直列共振特性を有する負荷に高周波電力を供給する電力供給システムにおいて、インバータ回路3の出力周波数を負荷側回路のインピーダンスが容量性を示す領域に設定した場合には、インバータ回路のスイッチ素子がオン状態になった瞬間に電流が流れるハードスイッチング(hard switching)が起り、異常電圧が発生して大きな損失をもたらす。したがって、インバータ回路から直列共振特性を有する負荷に電力を供給する場合には、特別な理由がない限り、インバータ回路の出力周波数を、負荷のインピーダンスが誘導性を示す領域に設定する。図4において、使用可能領域B1ないしB3はそれぞれインダクタンスLがL1,L2及びL3であるときに、電流の電圧に対する位相が遅れ位相となる領域であり、インバータ回路を通して電力の制御を行う場合に、制御に使用することができる領域である。
図4から明らかなように、インバータ回路3の出力周波数が、負荷側の回路のインピーダンスを誘導性とする領域にある場合には、インバータ回路の出力周波数fを上げることにより、負荷に供給される高周波電力を減少させることができ、インバータ回路3の出力周波数fを下げることにより、負荷に供給される高周波電力を増大させることができる。
従来の高周波電源装置では、高周波電力の周波数を、負荷のインピーダンスに対して最適な周波数(通常は電力を最大にする周波数)に設定した状態で、インバータ回路に入力する直流電圧を変化させることにより、負荷に供給する電力を制御していた。例えば図7に示した従来例では、インバータ回路3から負荷7に供給する高周波電力の周波数を、負荷のインピーダンスに対して最適な周波数に設定した状態で、DC−DCコンバータ2を制御してインバータ回路3に入力する直流電圧を変化させることにより、負荷7に供給する電力を制御していた。このように、DC−DCコンバータ2を設けてその出力電圧を制御する構成をとると、電源装置の構成が複雑になり、コストが高くなるのを避けられない。またDC−DCコンバータ2は内部に大容量の平滑用コンデンサを有していて、その出力電圧を低下させるのに時間がかかるため、DC−DCコンバータの出力電圧を制御することにより負荷に与える電力を制御する構成をとると、制御の応答性が悪くなるのを避けられない。
これに対し、本実施形態においては、インバータ回路3に入力する直流電圧を一定とし、インバータ回路3の出力電流の位相を出力電圧の位相に対して遅れ位相とすることができる周波数範囲を周波数可変範囲として予め定めておいて、電力検出部10により検出された電力値が設定値よりも大きいか小さいかに応じて、インバータ回路の出力周波数を予め定めた周波数可変範囲内で制御することにより、電流検出部9により検出される電流の位相が電圧検出部8により検出された位相に対して遅れ位相となる状態を維持しつつ、電力検出部により検出される電力値を設定値に近づけるように制御する。
具体的には、電力検出部10により検出された電力値が設定値よりも大きいか小さいかに応じて、予め定めた周波数可変範囲で、インバータ回路3の出力周波数を上昇又は下降させることにより、負荷7に供給される高周波電力を設定値に近づける制御を行わせる。負荷7に供給する高周波電力を制御するに当っては、予想される負荷7のインピーダンスの変動範囲を考慮して、インバータ回路の出力電流の位相を出力電圧の位相に対して遅れ位相の状態に維持することができる周波数の可変範囲を周波数可変範囲として定めておき、この周波数可変範囲の上限値及び下限値を第1のメモリ23に記憶させておく。制御に使用できる周波数可変範囲は、例えば中心周波数の前後10%程度であり、中心周波数が13.56MHzである場合、13.56±1.4MHz程度である。
図1に示された周波数制御部12は、位相差検出部11により検出された位相差(インバータ回路の出力電流の位相の出力電圧の位相に対する位相差)と、電力検出部10により検出された電力値とを入力とし、電流検出部9により検出される電流の位相を電圧検出部8により検出される電圧の位相に対して遅れ位相とする状態を維持することができるインバータ回路3の出力周波数の範囲を周波数可変範囲として、電力検出部10により検出される電力値が設定値よりも大きいか小さいか、又は設定された許容範囲よりも大きいか小さいかに応じて、インバータ回路3の出力周波数を上記周波数可変範囲内で変化させることにより、負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲内に保つ制御を行う。
更に詳述すると、図示の周波数制御部12は、第2のメモリ24に記憶されている周波数の初期値をインバータ回路3の出力周波数の初期値として、電力検出部10により検出される電力値が設定値よりも小さいとき、又は設定された許容範囲を下回っているときに、インバータ回路3の出力周波数を下げる方向に変化させるように高周波信号発生部13に与える周波数指令を変化させて、負荷7に供給される高周波電力の電力値を増大させ、電力検出部10により検出される電力値が設定値よりも大きいとき、又は設定された許容範囲を上回っているときに、インバータ回路3の出力周波数を上げる方向に変化させるように高周波信号発生部13に与える周波数指令を変化させて負荷に供給される高周波電力の電力値を減少させることにより、負荷に供給される高周波電力の電力値を設定値に近づける制御、又は設定された許容範囲内に保つ制御を行う。
上記のように周波数制御部12を構成した場合、インバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の下限値まで下げても負荷に供給する高周波電力が設定値以上にならない状態や、インバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の上限値まで上げても負荷に供給される高周波電力が設定値以下にならない状態が生じるおそれがある。このような状態は、負荷に供給される高周波電力が調整可能な範囲外にある状態であり、負荷に何らかの異常が生じている状態である。このような状態が生じたときには、制御を中止すると共に、電源装置の運転を停止する等の措置を講じればよい。
上記のような異常状態に対処し得るようにするため、上記周波数制御部12は、インバータ回路3の出力周波数を変化させる際に、高周波信号発生部13に与えられる周波数指令から、インバータ回路の出力周波数が予め定めた周波数可変範囲の下限値よりも低いか否か、及びインバータ回路の出力周波数が予め定めた周波数可変範囲の上限値よりも高いか否かを見ることにより、インバータ回路3の出力周波数が設定された周波数可変範囲内に収まっているか否かを監視して、インバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の下限値まで下げても電力検出部により検出される電力値が設定値にならないか又は許容範囲に収まらないとき、及びインバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の上限値まで上げても電力検出部により検出される電力値が設定値にならないか又は許容範囲に収まらないときに、例えば、負荷に与える高周波電力の制御を中止して異常信号を出力する異常信号出力手段を備えている。
インバータ回路3の出力周波数を変化させることにより負荷に供給される高周波電力を的確に制御するためには、インバータ回路の出力電流の出力電圧に対する位相を遅れ位相の範囲(図4の使用可能領域B1ないしB3の範囲)に維持することが必要である。インバータ回路の出力周波数を下げていく過程で電流検出部により検出された電流の位相が電圧検出部により検出された電圧の位相に対して遅れ位相でなくなる状態は、負荷の大きさが、当該負荷に供給する電力の値を設定値に保つ制御を行うことができる範囲から逸脱している異常な状態であり、このような異常状態が生じた場合も、高周波電源装置の運転を停止させる等の措置を講じる必要がある。
このような異常状態に対処し得るようにするため、本実施形態の周波数制御部12は、位相差検出部11の出力からインバータ回路の出力電流の位相が出力電圧の位相に対して遅れ位相の状態にあるか否かを監視して、負荷に供給される高周波電力を設定値に近づけるか又は許容範囲内に収めるために、インバータ回路3の出力周波数を下げていく過程で電流検出部により検出された電流の位相が電圧検出部により検出された電圧の位相に対して遅れ位相でなくなった時に異常信号を出力する異常信号出力手段を備えている。
上記の実施形態のように周波数制御部12を構成して、インバータの出力周波数を変化させることにより、負荷に供給する高周波電力を設定値に近づける制御を行わせると、インバータ回路に入力する直流電圧を制御する必要がないため、直流電源部20は、直流出力電圧を制御する機能を持たない簡単な構成とすることができ、交流電圧を整流・平滑して一定の直流電圧を出力するだけの簡単な整流平滑回路等により構成することができる。
また上記のように構成すると、平滑用コンデンサが制御の応答性を遅らせる要因になることがないため、平滑用コンデンサを強制放電させる回路を設ける等の工夫が不要になり、回路構成を簡単にすることができる。
また上記の実施形態のように、インバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の下限値まで下げても電力検出部により検出される電力値が前記設定値にならないか又は許容範囲に収まらないとき、及びインバータ回路の出力周波数を周波数可変範囲の上限値まで上げても電力検出部により検出される電力値が設定値にならないか又は許容範囲に収まらないときに異常信号を出力する異常信号出力手段を設けておくと、負荷で何らかの異常が生じて、負荷に供給される高周波電力が調整可能な範囲外にある状態になっていることを検出することができるため、異常事態への対処を的確に行わせることができる。
更に、上記実施形態のように、インバータ回路の出力周波数を下げていく過程で電流検出部により検出された電流の位相が電圧検出部により検出された電圧の位相に対して遅れ位相でなくなった時に異常信号を出力する異常信号出力手段異常信号出力手段を設けておくと、異常状態への対処を容易にすることができる。異常信号は、警報を発生させるために用いてもよく、負荷への高周波電力の供給を強制的に遮断するスイッチ手段を駆動する信号として用いてもよい。
図5を参照すると、コンピュータを用いて周波数制御部12を構成する場合に、コンピュータに実行させるプログラムのアルゴリズムの一例を示すフローチャートが示されている。この例では、負荷に供給する高周波電力を設定された許容範囲内に保つように制御するものとする。図5に示したアルゴリズムによる場合には、先ずステップS101でインバータ回路の出力周波数の初期値を第2のメモリ24から読み込んで周波数を初期値に設定する。次いでステップS102で始動指令があるか否かを判定し、始動指令がある場合にはステップS103に進んで、高周波信号発生部13に周波数の初期値を与える周波数指令を供給してインバータ回路3を動作させ、負荷への電力の供給を開始する。
次いでステップS104で位相差検出部11が検出している位相差及び電力検出部10が検出している電力値を読み込み、ステップS105で電力の検出値が許容範囲の下限を与える許容下限値未満であるか否かを判定する。その結果、電力の検出値が許容下限値未満であると判定されたときには、ステップS106に進んでインバータの出力電流の位相が遅れ位相であるか否かを判定する。その結果、出力電流が遅れ位相であると判定されたときには、ステップS107に進んで、インバータ回路3の出力周波数をΔfだけ下げるように、高周波信号発生部13に与える周波数指令を変化させる。
次いでステップS108でインバータ回路の出力周波数(高周波信号発生部13の出力周波数)が周波数可変範囲の下限値よりも低いか否かを判定する。その結果、出力周波数が下限値よりも低くないと判定された場合には、ステップS102に戻る。ステップS108で出力周波数が下限値よりも低いと判定されたときには、ステップS109で電力検出部10が検出している電力の検出値を読み込み、ステップS110で電力の検出値が許容範囲の下限を与える許容下限値未満であるか否かを判定する。その結果、電力の検出値が許容範囲の下限を与える許容下限値未満ではない(許容下限値以上である)と判定されたときにはステップS102に戻る。ステップS110で電力の検出値が許容範囲の下限を与える許容下限値未満であると判定されたときには、ステップS111に進んで異常信号を発生させて電力の供給を停止する。
ステップS105で電力の検出値が許容下限値未満ではないと判定されたときには、ステップS112に進んで、電力の検出値が許容範囲の上限を与える許容上限値を超えているか否かを判定する。その結果、電力の検出値が許容上限値を超えていないと判定されたときにはステップS102に戻り、電力の検出値が許容上限値を超えていると判定されたときには、ステップS113に進んでインバータの出力周波数をΔfだけ上げるように高周波信号発生部13に与える周波数指令を変化させる。次いでステップS114で出力周波数が周波数可変範囲の上限値を超えているか否かを判定し、出力周波数が上限値でないときにはステップS102に戻る。ステップS114で出力周波数が周波数可変範囲の上限値を超えていると判定されたときには、ステップS115に進んで電力の検出値を読み込み、ステップS116で電力の検出値が許容上限値を超えているか否かを判定する。その結果電力の検出値が許容上限値を超えていないと判定されたときには、ステップS102に戻る。またステップS116で電力の検出値が許容上限値を超えていると判定されたときには、ステップS111に進んで、異常信号を発生させ、電力の供給を停止する。
ステップS106において、位相差検出部11により検出されたインバータ回路の出力電流の出力電圧に対する位相が遅れ位相でないと判定されたときには、ステップS117に進んで異常信号を出力させると共に電力の供給を停止する。ステップS102で始動指令が発生していないと判定されたときにはステップS118に進んで電力の供給を停止させ、始動指令が与えられるのを待つ。
上記の実施形態では、電力変換部21が一つだけ設けられていたが、電力変換部21を一つだけ設けただけでは負荷に供給する電力が不足する場合には、図2に示すように、インバータ回路の出力電圧の位相が等しく、出力電流の位相が等しい複数(図示の例では4個)の電力変換部21Aないし21Bを設けて、これらの電力変換部の出力を合成して直列共振回路5とフィルタ部6とを通して負荷に供給するようにしてもよい。図示の例では、電力変換部21Aないし21Bのトランス4の二次コイルを並列に接続することにより、電力変換部21Aないし21Bの出力を合成する合成回路30を構成している。
図2に示したように構成する場合には、信号発生部14が発生する制御信号V1及びV2を信号分配部16により、電力変換部21Aないし21Dのインバータ回路3に分配して、電力変換部21Aないし21Dのインバータ回路3から同位相の高周波信号を発生させる。このように構成する場合、電力変換部21Aないし21Dのインバータ回路3の出力電圧の位相及び出力電流の位相は等しいため、電圧検出部8及び電流検出部9はいずれか一つの電力変換部にのみ設ければよい。図2に示した例では、電力変換部21Dに電圧検出部8と電流検出部8とを設けている。
図2に示した例では、電力変換部21Aないし21Bのトランス4の二次コイルを並列に接続することにより、電力変換部21Aないし21Bの出力を合成する合成回路30を構成したが、合成回路30の構成は図2に示した例に限定されるものではなく、他の周知の構成を有する合成回路を用いることもできる。
上記の例では、インバータ回路3とトランス4とにより電力変換部21を構成するとしたが、直列共振回路5及びフィルタ部6をも電力変換部に含めて、その後段に合成回路を設けるように構成することもできる。
上記の各実施形態では、インバータ回路3とトランス4との間でインバータ回路の出力電流を検出する電流検出部9と、インバータ回路の出力電圧を検出する電圧検出部8を設けて、電流検出部9により検出される電流の位相と、電圧検出部8により検出される電圧の位相とから、インバータ回路の出力電流と出力電圧との位相差を検出するように、位相差検出部が構成されているが、本発明は、位相差検出部をこのように構成する場合に限定されない。上記の実施形態のように、周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部13を設けて、この高周波信号発生部が発生する高周波信号によりインバータ回路を制御することによって、直流電源部が出力する直流電圧を、高周波信号と周波数及び位相が等しい高周波交流電圧に変換するように構成する場合には、インバータ回路の出力電圧が、高周波信号発生部13が発生する高周波信号と同位相であるので、電流検出部9により検出される電流の位相と、高周波信号発生部13が発生する高周波信号の位相とからインバータ回路の出力電流と出力電圧との位相差を検出するように構成することができる。このように構成すると、電圧検出部8を省略することができるため、装置の構成の簡素化を図ることができる。
上記の実施形態では、インバータ回路3の出力をトランス4を通して負荷に供給しているが、本発明が対象とする高周波電源装置は、交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する直流電源部20と、直流電源部20が出力する直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路3とを備えて、インバータ回路3から負荷7に高周波電力を供給するものであればよく、インバータ回路3と負荷7との間の回路の構成は、上記の実施形態で示した構成に限定されない。
例えば、トランスを用いずに、図6に示すように、インバータ3の交流出力端子3cと直列共振回路5との間、及び交流出力端子3dと高周波電源装置PSの出力端子22bとの間にそれぞれ直流阻止用コンデンサ41及び42を挿入して、インバータ回路3から直流阻止用コンデンサ41及び42を通して負荷7に高周波電力を供給するように構成してもよい。
また上記の各実施形態では、トランス4とフィルタ部6との間に直列共振回路5を挿入しているが、インバータ回路3から負荷7側を見た回路が直列共振特性を有する場合には、直列共振回路5を省略することができる。
本発明に係わる高周波電源装置は、プラズマ発生装置やレーザ発信装置などの高周波電力を供給することが必要な負荷の電源として広く用いることができる。本発明によれば、インバータ回路3に入力する直流電圧を一定とし、インバータ回路3の出力周波数を変化させることにより、負荷に供給する高周波電力を制御するので、直流電源部の構成を簡単にしてコストの低減を図ることができる。また大容量の平滑コンデンサの影響を受けることなく負荷に与える高周波電力を制御できるので、制御の応答性を良好にすることができる。このように、本発明は、高周波電源装置のコストの低減と性能の向上とに寄与するものであるので、産業上の利用可能性が大である。
3 インバータ回路
4 トランス
5 直列共振回路
6 フィルタ部
7 負荷
8 電圧検出部
9 電流検出部
10 電力検出部
11 位相差検出部
12 周波数制御部
13 高周波信号発生部
14 信号変換部
20 直流電源部
41 直流阻止用コンデンサ
42 直流阻止用コンデンサ

Claims (11)

  1. 交流電圧を整流平滑して直流電圧を出力する直流電源部と、前記直流電源部が出力する直流電圧を高周波交流電圧に変換するインバータ回路とを備えて、前記インバータ回路から負荷に高周波電力を供給する高周波電源装置であって、
    前記インバータ回路の出力電流を検出する電流検出部と、
    前記電流検出部により検出される電流の前記インバータ回路の出力電圧に対する位相差を検出する位相差検出部と、
    前記負荷に供給される高周波電力を検出する電力検出部と、
    前記位相差検出部により検出された位相差及び前記電力検出部により検出された電力値を入力として、前記電流検出部により検出される電流の位相が前記インバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れ位相となる状態を維持しつつ、前記電力検出部により検出される電力値を設定値に近づけるか又は設定された許容範囲に保つように、前記インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲内で制御する周波数制御部と、
    を具備したことを特徴とする高周波電源装置。
  2. 前記インバータ回路から前記負荷側を見た回路が、直列共振特性を有するように構成されている請求項1に記載の高周波電源装置。
  3. 前記インバータ回路の出力端と前記負荷との間にトランスが設けられて、前記インバータ回路から前記トランスを通して前記負荷に高周波電力を供給するように構成されている請求項1又は2に記載の高周波電源装置。
  4. 前記インバータ回路と前記負荷との間に直流阻止用コンデンサが挿入されて、前記インバータ回路から直流阻止用コンデンサを通して前記負荷に高周波電力を供給するように構成されている請求項1又は2に記載の高周波電源装置。
  5. 周波数指令により指令された通りの周波数の高周波信号を発生する高周波信号発生部が設けられ、
    前記インバータ回路は、前記高周波信号により制御されて、前記直流電源部が出力する直流電圧を、前記高周波信号と周波数及び位相が等しい高周波交流電圧に変換すること、
    を特徴とする請求項1,2,3又は4に記載の高周波電源装置。
  6. 前記インバータ回路の出力電圧を検出する電圧検出部が設けられ、
    前記位相差検出部は、前記電流検出部により検出される電流の位相と、前記電圧検出部により検出される電圧の位相とから前記位相差を検出するように構成されていること、
    を特徴とする請求項1,2,3,4又は5に記載の高周波電源装置。
  7. 前記位相差検出部は、前記電流検出部により検出される電流の位相と、前記高周波信号発生部が発生する高周波信号の位相とから前記位相差を検出するように構成されていること、
    を特徴とする請求項5に記載の高周波電源装置。
  8. 前記周波数制御部は、前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも小さいか又は前記許容範囲を下回っているときには前記インバータ回路の出力周波数を下げるように制御し、前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも大きいか又は前記許容範囲を上回っているときには前記インバータ回路の出力周波数を上げるように制御することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の高周波電源装置。
  9. 前記周波数制御部は、前記インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲の下限値まで下げたにもかかわらず前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも小さいか又は前記許容範囲を下回っているとき及び前記インバータ回路の出力周波数を予め定めた範囲の上限値まで上げたにもかかわらず前記電力検出部により検出された電力値が前記設定値よりも大きいか又は前記許容範囲を上回っているときに異常信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の高周波電源装置。
  10. 前記周波数制御部は、負荷に供給される高周波電力を設定値に近づけるか又は許容範囲内に収めるために前記インバータ回路の出力周波数を下げていく過程で、前記電流検出部により検出される電流の位相が前記インバータ回路の出力電圧の位相に対して遅れ位相でなくなったときに異常信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の高周波電源装置。
  11. 前記直流電源部は、商用の交流電圧を変圧器により変圧して得た電圧を整流平滑して直流電圧を出力するように構成されている請求項1ないし10のいずれかに記載の高周波電源装置。
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