JP5708986B2 - 回転角検出装置 - Google Patents
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Description
ここでは、第1の磁気センサ121からは、V1=A1・sinθeの出力信号が出力され、第2の磁気センサ122からは、V2=A2・cosθeの出力信号が出力されるものとする。A1,A2は、振幅である。両出力信号V1,V2の振幅A1,A2が互いに等しいとみなすと、ロータ101の電気角θeは、両出力信号V1,V2を用いて、次式(1)に基づいて求めることができる。
=tan−1(V1/V2) …(1)
このようにして、求められた相対角θeを使って、ブラシレスモータを制御する。
磁気センサ毎に検出される磁極毎のピーク値と、磁気センサ毎のオフセット電圧とに基づいて、各磁気センサの出力信号が補正される。これにより、各磁極の磁束量のばらつきや各磁気センサの温度特性に起因する、各磁気センサの出力信号の振幅およびオフセット電圧のばらつきを補正することができる。そして、補正された各磁気センサの出力信号に基づいて、回転体の回転角が演算される。これにより、回転体の回転角の検出誤差を低減することができる。
+{ΣPS×((ΣW/2)/ΣWS)÷(K/2)}]/2 …(a)
前記信号補正手段は、前記演算対象センサが感知している磁極のピーク値をPxとし、前記演算対象センサの出力信号値をVとし、予め設定された基準振幅をAoとすると、次式(b)に基づいて、前記演算対象センサの出力信号の補正値V’を演算するように構成されていてもよい。
図1は、この発明の一実施形態に係る回転角検出装置を、ブラシレスモータのロータの回転角を検出するための回転角検出装置に適用した場合の構成を示す模式図である。
この回転角検出装置は、ブラシレスモータ10の回転に応じて回転する検出用ロータ(以下、単に「ロータ1」という)を有している。図2に示すように、ロータ1は、ブラシレスモータ10のロータに設けられている磁極対に相当する複数の磁極対を有する円筒状の磁石2を含んでいる。つまり、ロータ1には、周方向に並んだ複数の磁極が設けられている。この例では、磁石2は、5組の磁極対(M0,M1),(M2,M3),(M4,M5),(M6,M7),(M8,M9)を有している。つまり、磁石2は、10個の磁極M0〜M9を有している。
これに対し、図2に示すように、ロータ1に設けられている各磁極M0〜M9の角度幅には、ばらつきがある。この実施形態では、ロータ1に設けられている各磁極M0〜M9のうち、N極の磁極M0,M2,M4,M6,M8の角度幅(a,c,e,g,i)は、それぞれ異なっている。つまり、N極の磁極間では、その着磁面積が異なっている。S極の磁極M1,M3,M5,M7,M9のうち、磁極M9以外の4つの磁極M1,M3,M5,M7は、それぞれ異なっている。磁極M9の角度幅(j)は、磁極M7の角度幅(f)と等しい。
ロータ1の周囲には、2つの磁気センサ21,22が、ロータ1の回転中心軸を中心として、所定角度(18°(電気角では90°))の角度間隔をおいて配置されている。これら2つの磁気センサ21,22を、それぞれ第1の磁気センサ21および第2の磁気センサ22という場合がある。磁気センサとしては、たとえば、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁界の作用により電気的特性が変化する特性を有する素子を備えたものを用いることができる。
θe=tan−1(sinθe/cosθe)
=tan−1(V1/V2) …(2)
図1に戻り、各磁気センサ21,22の出力信号V1,V2は、回転角演算装置20に入力される。回転角演算装置20は、磁気センサ21,22毎に、その出力信号V1,V2の磁極M0〜M9毎のピーク値を検出する。そして、回転角演算装置20は、磁気センサ21,22毎に得られた各磁極M0〜M9のピーク値、各磁極M0〜M9の角度幅およびロータ1に設けられている磁極数に基づいて、各磁気センサ21,22の出力信号V1,V2のオフセット電圧V1os,V2osを演算する。回転角演算装置20は、演算されたオフセット電圧V1os,V2osおよび磁気センサ21,22毎に得られた各磁極M0〜M9のピーク値に基づいて、各出力信号V1,V2の振幅およびオフセット電圧のばらつきを補正する。回転角演算装置20は、補正後の出力信号V1’,V2’に基づいて、ロータ1の電気角θeを演算する。回転角演算装置20は、たとえば、マイクロコンピュータから構成され、CPU(中央演算処理装置)およびメモリ(ROM,RAM,書き換え可能な不揮発性メモリ等)を含んでいる。
以下、回転角演算装置20の動作について説明する。回転角演算装置20内の書き換え可能な不揮発性メモリには、図4に示すように、ピーク値テーブルが記憶されている。
図5は、回転角演算装置20による回転角演算処理の手順を示すフローチャートである。
回転角演算処理開始時において第1の磁気センサ21が感知している磁極を基準磁極として、各磁極に相対的な番号を割り当てた場合の各磁極の番号を相対的極番号と定義する。第1の磁気センサ21が感知している磁極の相対的極番号(以下、「第1の相対的極番号」という)を変数q1で表し、第2の磁気センサ22が感知している磁極の相対的極番号(以下、「第2の相対的極番号」という)を変数q2で表すことにする。この実施形態では、回転角演算処理開始時において第1の磁気センサ21が感知している磁極(基準磁極)がN極の磁極である場合には、当該磁極に”0”の相対的極番号が割り当てられる。一方、回転角演算処理の開始時において第1の磁気センサ21が感知している磁極(基準磁極)がS極の磁極である場合には、当該磁極に”1”の相対的極番号が割り当てられる。
また、この実施形態では、センサ値V1のピーク値(極大値および極小値)を検出するために、読み込まれたセンサ値V1のうち絶対値がより大きいセンサ値が、センサ値V1のピーク値候補としてメモリに保存される。同様に、センサ値V2のピーク値(極大値および極小値)を検出するために、読み込まれたセンサ値V2のうち絶対値がより大きいセンサ値が、センサ値V2のピーク値候補としてメモリに保存される。ただし、これらのピーク値候補は、対応する出力信号のゼロクロスが検出されたときには、後述するような所定のタイミングで零にリセットされる。
図7は、相対的極番号の設定処理の詳細な手順を示している。
ステップS26では、回転角演算装置20は、「V1≧0かつV2≦0」または「V1<0かつV2≧0」の条件を満たしているか否かを判別する。この条件を満たしている場合には(ステップS26:YES)、回転角演算装置20は、第1の磁気センサ21が感知している磁極と第2の磁気センサ22が感知している磁極とが異なると判別し、第2の相対的極番号q2に、第1の相対的極番号q1より1だけ大きい番号を設定する(ステップS28)。そして、図5のステップS4に戻る。
図8(a)(b)において、S1で示す領域は、第1の磁気センサ21および第2の磁気センサ22が共に磁極M0を感知している領域である。S2で示す領域は、第1の磁気センサ21が磁極M0を感知し、第2の磁気センサ22が磁極M1を感知している領域である。S3で示す領域は、第1の磁気センサ21および第2の磁気センサ22が共に磁極M1を感知している領域である。S4で示す領域は、第1の磁気センサ21が磁極M1を感知し、第2の磁気センサ22が磁極M2を感知している領域である。
領域S1においては、両センサ値V1,V2は、V1≧0かつV2>0の第1条件を満たす。領域S2においては、両センサ値V1,V2は、V1≧0かつV2≦0の第2条件を満たす。領域S3においては、両センサ値V1,V2は、V1<0かつV2<0の第3条件を満たす。領域S4においては、両センサ値V1,V2は、V1<0かつV2≧0の第4条件を満たす。
ステップS4では、回転角演算装置20は、メモリに記憶されているセンサ値V1,V2に基づいて、センサ値V1,V2毎に、センサ値の符号が反転するゼロクロスを検出したか否かを判別する。ゼロクロスが検出されなかったときには(ステップS4:NO)、回転角演算装置20は、ステップS8に移行する。
この後、回転角演算装置20は、相対的極番号の更新処理を行なう(ステップS7)。具体的には、前記ステップS5でピーク値が検出された方の磁気センサに対して現在設定されている相対的極番号q1またはq2を、ロータ1の回転方向に基づいて更新する。より具体的には、回転角演算装置20は、当該磁気センサに対して現在設定されている相対的極番号q1またはq2を、ロータ1の回転方向に応じて、1だけ多い番号または1だけ少ない番号に変更する。
ステップS8では、回転角演算装置20は、回転角演算処理開始後に、全ての磁極M0〜M9に対する第1および第2の出力信号V1,V2のピーク値が検出されているか否かを判別する。つまり、回転角演算装置20は、回転角演算処理開始後に、0〜9の相対的極番号q1に対応する第1の出力信号V1のピーク値および0〜9の相対的極番号q2に対応する第2の出力信号V2が検出されているか否かを判別する。
+{ΣP1S×((ΣW/2)/ΣWS)÷(K/2)}]/2 …(3)
V2os=[{ΣP2N×((ΣW/2)/ΣWN)÷(K/2)}
+{ΣP2S×((ΣW/2)/ΣWS)÷(K/2)}]/2 …(4)
前記式(3)において、ΣP1Nは、N極の各磁極M0,M2,M4,M6,M8に対応する第1の出力信号V1のピーク値の総和である。第1の出力信号V1が図3に示されるような信号V1である場合には、ΣP1N=P0+P2+P4+P6+P8となる。より具体的には、ΣP1Nは、メモリ内の第1のピーク値記憶領域R1(図6参照)において、相対的極番号q1が0,2,4,6,8に対応して記憶されているピーク値の総和となる。
前記式(4)において、ΣP2Sは、S極の各磁極M1,M3,M5,M7,M9に対応する第2の出力信号V2のピーク値の総和である。具体的には、ΣP2Nは、メモリ内の第2のピーク値記憶領域R2(図6参照)において、相対的極番号q2が1,3,5,7,9に対応して記憶されているピーク値の総和となる。
V2’={(V2−V2os)/P2x}×Ao …(6)
前記ステップS10の信号補正処理が終了すると、ステップS11に移行する。
前記ステップS8において、回転角演算処理開始後に、全ての磁極M0〜M9に対する第1および第2の出力信号V1,V2のピーク値が検出されていないと判別された場合には(ステップS8:NO)、予め設定されたピーク値に基づく信号補正処理を行なう(ステップS9)。具体的には、回転角演算装置20は、まず、不揮発性メモリ内のピーク値テーブル(図4参照)に記憶されているピーク値を用い、前記式(3)(4)に基づいて、第1の出力信号V1のオフセット電圧V1osおよび第2の出力信号V2のオフセット電圧V2osを演算する。
θe=tan−(V1’/V2’) …(7)
前記実施形態では、全ての磁極M0〜M9に対する第1および第2の出力信号V1,V2のピーク値が検出された後においては、第1の出力信号V1のオフセット電圧V1osおよび第2の出力信号V2のオフセット電圧V2osを正確に検出することができる。これにより、各磁極の磁束量のばらつきや各磁気センサ21,22の温度特性に起因する、各出力信号V1,V2の振幅およびオフセット電圧のばらつきを補正することができる。そして、補正後の各出力信号V1’,V2’に基づいて、ロータ1の電気角θeが演算されるので、ブラシレスモータの回転角の検出誤差を低減することができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
Claims (3)
- 回転体の回転に応じて回転しかつ周方向に複数の磁極が設けられた検出用ロータと、前記検出用ロータの回転に応じて、所定の位相差を有する複数の正弦波信号をそれぞれ出力する複数の磁気センサとを含み、これらの磁気センサの出力信号に基づいて前記回転体の回転角を検出する回転角検出装置であって、
前記磁気センサ毎に、その出力信号の前記磁極毎のピーク値を検出するピーク値検出手段と、
前記ピーク値検出手段によって前記磁気センサ毎に検出される前記磁極毎のピーク値と、前記各磁極の角度幅と、前記検出用ロータに設けられた磁極数とに基づいて、前記磁気センサ毎にオフセット電圧を演算するオフセット電圧演算手段と、
前記ピーク値検出手段によって前記磁気センサ毎に検出される前記磁極毎のピーク値と、前記オフセット電圧演算手段によって演算される前記磁気センサ毎のオフセット電圧とに基づいて、前記各磁気センサの出力信号を補正する信号補正手段と、
前記信号補正手段によって補正された前記各磁気センサの出力信号に基づいて、前記回転体の回転角を演算する回転角演算手段と、
を含む回転角検出装置。 - 前記オフセット電圧演算手段は、
オフセット電圧の演算対象である磁気センサを演算対象センサとし、前記各磁極のうちのN極の各磁極に対応する前記演算対象センサの出力信号のピーク値の総和をΣPN、前記各磁極のうちのS極の各磁極に対応する前記演算対象センサの出力信号のピーク値の総和をΣPS、前記各磁極の角度幅の総和をΣW、前記各磁極のうちのN極の各磁極の角度幅の総和をΣWN、前記各磁極のうちのS極の各磁極の角度幅の総和をΣWS、前記各磁極の総数をKとすると、
次式(a)に基づいて、前記演算対象センサの出力信号のオフセット電圧Vosを演算する請求項1に記載の回転角検出装置。
Vos=[{ΣPN×((ΣW/2)/ΣWN)÷(K/2)}
+{ΣPS×((ΣW/2)/ΣWS)÷(K/2)}]/2 …(a) - 前記信号補正手段は、
前記演算対象センサが感知している磁極のピーク値をPxとし、前記演算対象センサの出力信号値をVとし、予め設定された基準振幅をAoとすると、
次式(b)に基づいて、前記演算対象センサの出力信号の補正値V’を演算する請求項2に記載の回転角検出装置。
V’={(V−Vos)/Px}×Ao …(b)
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