以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。尚、図中それぞれ同一または相当する部分は、同じ符号を用いて説明を行う。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る行動提示システム101の構成例を示すブロック図である。行動提示システム101は、財またはサービスの提供を受けるためにユーザが実行できる行動を提示するシステムである。
本明細書において、財とは、ユーザの欲求を満足させる有形物をいい、有形財とも称される。また、サービスとは、ユーザの欲求を満足させる役務をいい、無形財とも称される。財及びサービスは、提供を受けるために対価が必要であっても不要であっても良い。つまり、財の提供及びサービスの提供が有償であっても無償であっても良く、財及びサービスは、必ずしも商取引の対象となる必要はない。
本実施の形態において、提供されるサービスは、例えば、図書館が所有する図書の貸し出しや返却受付といった、複数のユーザが共同利用する財を用いて提供される役務であり、行動提示システム101は、図書館の本を貸与するサービスの提供に用いられる貸与システムを構成するとして説明するが、これに限定される訳ではない。また、サービスの提供を受けるためにユーザが実行できる行動は、例えば、「今日、本を図書館に返却する」といった行為を含むとして説明するが、これに限定される訳ではない。
行動提示システム101は、行動提示装置1と、情報データベース(以下、情報DBという)2を有する不図示のデータベースサーバと、端末6とで構成される。行動提示装置1と情報DB2とそれぞれネットワーク(図示せず)を介して相互に通信可能である。同様に、行動提示装置1と端末6ともネットワーク介して相互に通信可能である。尚、情報DB2は、行動提示装置1に備えられても良いし、複数のデータベースであっても良い。また、端末6は、行動提示装置1の一部であるか、または、行動提示装置1に付属した装置であっても良い。
ここで、行動提示装置1について説明する前に、情報DB2及び端末6について説明を行う。
情報DB2は、状況情報、行動情報、心的コスト情報、及びユーザの住所などを表す住所情報を記憶している。本明細書において、状況情報とは、財またはサービスの提供においてユーザの要求の少なくとも一部を満たすための手段に関する様々な情報をいい、特に、ユーザの要求の少なくとも一部を満たすための手段の状況を表す情報を含む。
本明細書において、あるユーザの財またはサービスの提供に関する要求とは、財またはサービスの提供に関連して他のユーザに何らかの行動を求めることだけでなく、財またはサービスの提供に関連して当該ユーザ自身が何らかの行動を要する又は欲することをも含む。つまり、サービスの提供に関する要求は、例えば、「今日、本を返却したい」というユーザ自身の欲求を含む。
財またはサービスの提供においてユーザの要求の少なくともを満たすための手段は、例えば、財またはサービスを提供する施設若しくは店舗、または財若しくはサービスの提供に用いられる財を含む。このため、状況情報は、例えば、所定時刻における財またはサービスの提供が行われる施設若しくは店舗の状況を表す情報、所定時刻における財若しくはサービスの提供状況を表す情報、所定時刻における財若しくはサービスの提供に用いられる財の状況を表す情報を含む。
本実施の形態では、図書の貸し出し及び返却受付といったサービスの提供において、例えば、「今日、本を返却したい」というユーザの要求の少なくとも一部分を満たすための手段は、特定の日に特定の地点を巡回する移動式の図書館(以下、移動図書館という)と、移動式でない図書館(以下単に、図書館という)というサービスを提供する2つの施設が存在する。このため、状況情報は、図書館の状況を表す図書館情報と、移動図書館の状況を表す移動図書館情報とを含んでいる。
情報DB2は、図書館情報を構成する複数の情報を、図2(a)に示すような、ただ1つのレコードを有する図書館テーブルに記憶している。図書館テーブルのレコードに保存された情報は、図書館の所在地を示す情報の項目「所在地」と、図書館の定休日を示す情報の項目「定休日」と、図書館の営業時間を示す情報の項目「営業時間」で分類されている。
情報DB2は、移動図書館情報を構成する複数の情報を、図2(a)に示すような、ただ1つのレコードを有する移動図書館テーブルに記憶している。移動図書館テーブルのレコードに保存された情報は、移動図書館が巡回を行う曜日(つまり、巡回スケジュール)を示す情報の項目「巡回日」と、移動図書館が巡回する各地点(つまり、巡回ルートという)の緯度及び経度をX,Y座標で表す情報の項目「巡回経路」と、移動図書館の各地点での営業時間を示す情報の項目「営業時間」とで分類されている。
また、本実施の形態では、図書の貸し出しなどのサービスの提供に用いられる財は、本であるので、状況情報は、貸与される本の貸し出し状況を表す情報などを含む。この他にも、状況情報には、図書館の住所を表す情報と、図書館の住所の緯度及び経度を表す情報とを対応付けた情報、及び移動図書館の巡回地点を表す情報と、巡回地点の緯度及び経度を表す情報とを対応付けた情報を含む地図情報が含まれる。尚、地図情報には、ユーザの住所を表す情報と、ユーザの住所の緯度及び経度を表す情報とを対応付けた情報が含まれている。
情報DB2が記憶する行動情報は、財またはサービスの提供に関するユーザの要求の少なくとも一部分を満足させるための行動パターンである行動例(以下、要求に対してユーザがとり得る行動例という)を表す情報である。
本実施の形態では、「今日、本を返却したい」というサービスの提供に関する要求に対してユーザがとり得る行動例(つまり、「今日、本を返却したい」の一部分である「本を返却したい」を満足させる行動例)として、「図書館に本を返却する」及び「移動図書館に本を返却する」などが挙げられる。
このため、情報DB2は、行動情報を構成する複数の情報を、図2(b)に示すような、複数のレコードを有する行動テーブルに記憶している。行動テーブルの各レコードに保存された情報は、ユーザの要求の少なくとも一部分を示す情報の項目「要求」と、当該要求の一部分に対してユーザがとり得る行動例を示す情報の項目「行動例」とで分類されている。尚、行動情報の項目「行動例」に分類される情報の内容は、当該情報に対応付けて(つまり、当該情報を保存したレコードの)項目「要求」に分類される情報の内容ごとに異なっても良いし、異ならなくても良い。
情報DB2は、心的コスト情報を構成する複数の情報を、図2(c)に示すような、1又は複数のレコードを有する心的コストテーブルに記憶している。心的コストテーブルの各レコードに保存された情報は、ユーザの要求と合致しない場面を示す情報の項目「場面」と、当該場面において生じる心的コストを他種類のコストである時間的コストに換算した値を示す情報の項目「心的コスト」とで分類されている。
ここで、心的コストは、ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表し、他種類のコストに換算することができる。以下、心的コストを他種類のコストに換算する方法について説明する。本実施の形態において、ユーザが図書館へ本を返却するのに要する時間は30分であるが、ユーザが移動図書館へ本を返却するのに要する時間は5分である。ここで、ユーザが本を返却することを希望した日は、移動図書館の巡回日でないが、当該希望日からX日後は、巡回日であったとする。そのため、「希望日に、本を返却する」という行動候補1をユーザが採用し、採用した候補を実行すると、ユーザは、図書館へ本を返却する必要がある。このため、ユーザが本の返却に要する時間は、30分となる。これに対して、「当該希望日からX日後に本を返却する」という行動候補2をユーザが実行すると、移動図書館に本を返却すればよい。このため、ユーザが本の返却に要する時間は、5分となる。
ここで、ユーザが行動候補2を選択すると、Xの値を表すデータ(以下、Xのデータという)を行動提示装置1が情報DB2に蓄積する。行動提示装置1は、蓄積されたXのデータで表されるXの平均値を算出し、算出された平均値に基づいて心的コストを時間的コストに換算するために用いられる換算係数を算出する。具体的には、例えば、Xの平均値が値「3」であるとすると、希望日の3日後に本を返却するためにユーザが負担する心的コストは、行動候補1を実行した場合に本を返却するのに要する所要時間(つまり、時間的コスト)「30分」と、行動候補2を実行した場合に本を返却するのに要する時間的コスト「5分」との差の「25分」の時間的コストに相当することになる。このため、行動提示装置1は、算出された時間的コストの差異「25分」と、心的コストの値「3日」との比率に基づいて、心的コストを時間的コストに換算するために用いられる換算係数を「8.33」(=25分÷3日)と算出する。その後、行動提示装置1は、算出された換算係数を情報DB2に保存する。
このような方法で、時間的コスト及びエネルギーコストのような物理的コスト、金銭的コスト、及び心的コストは他の種類のコストに換算可能である。つまり、ユーザに生じる負担が同じ行動候補は、ユーザにとって同じ価値を有するため、上記の具体例のように、どちらも同程度の価値を有するとユーザが判断する2つの行動候補間における第1種類のコストの測定値の差と第2種類のコストの測定値の差との比率が求まれば、求められた比率に基づいて換算係数が算出される。また、換算係数が算出されれば、第1種類のコストは、算出された換算係数を当該第1種類のコストに乗算することで第2種類のコストに換算される。例えば、時間的コストに換算された心理的コストは、移動図書館までユーザが移動に要する時間である時間的コストと同じ種類のコスト(等価という)であるから、それぞれのコストには、合算などの演算処理を施すことができる。
尚、ある行動候補を実行したときに生じる心的コストはやりとりを行う対象物(例えば、「本をX日後に返却する」という行動候補を実行することで満足させられるユーザの要求の一部分「本を返却したい」に関連したサービスの提供「図書の貸し出し」において、サービスの提供に用いられる財「本」)やペナルティ(例えば、行動候補「本をX日後に返却する」の実行により生じる罰則)によって変化する。例えば、上記の例において、返却の対象とされるものが本ではなく、例えば、宝石などの高額なものである場合、本の返却が遅れると本の貸し出しサービスを受けられなくなるペナルティがユーザに課せられる場合には、上記Xの値は小さくなる。
尚、情報DB2は、要求取得部11で取得されたユーザの要求を表す情報と、ユーザの要求に応じて貸し出された本を識別する情報、本の貸し出し期間を表す情報、及び本の返却予定日を表す情報をそれぞれ対応付けた本情報とを記憶する。
図1の端末6は、入力部61と表示部62とを備える。入力部61は、ユーザによる要求を受け付ける。表示部62は、行動提示装置1の表示生成部14から送られた情報で表される画像を表示する。尚、端末6は、インターネット等のネットワークを介して行動提示装置1に接続するPC(Personal computer)でも良いし、携帯電話でも良い。また、ユーザは、要求の入力を、Webページを用いて行っても良いし、電子メールを用いて行っても良い。
図3は、図1に示す行動提示装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。行動提示装置1は、図3に示すように、制御部21、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26、送受信部27及び情報収集装置28を備える。主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26及び送受信部27はいずれも内部バス20を介して制御部21に接続されている。
制御部21はCPU(Central Processing Unit)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30に従って、図1に示すような要求取得部11、候補生成部12、コスト算出部13及び表示生成部14を実現する各処理を実行する。
主記憶部22はRAM(Random-Access Memory)等から構成され、外部記憶部23に記憶されている制御プログラム30がロードされ、ロードされた制御プログラム30を制御部21が実行する際に作業領域として用いられる。
外部記憶部23は、フラッシュメモリ、ハードディスク、DVD−RAM(Digital Versatile Disc Random-Access Memory)、DVD−RW(Digital Versatile Disc ReWritable)等の不揮発性メモリから構成され、行動提示装置1の処理を制御部21に行わせるためのプログラムをあらかじめ記憶する。また、このプログラムを実行する制御部21の指示に従って、このプログラムの実行に用いられるデータを制御部21に供給し、制御部21から供給されたデータを記憶する。
操作部24はキーボード及びマウスなどのポインティングデバイス等と、キーボード及びポインティングデバイス等を内部バス20に接続するインターフェース装置から構成されている。操作部24を介して、後述する心的コスト情報及び行動情報などの各種設定値が入力され、入力された各種設定値を表す情報は、制御部21に供給される。その後、制御部21は、供給された情報を情報DB2へ保存する。尚、図1の端末6が行動提示装置1に含まれる実施の形態では、操作部24が端末6の入力部61で実現される場合がある。
表示部25は、CRT(Cathode Ray Tube)またはLCD(Liquid Crystal Display)などから構成される。図1の端末6が行動提示装置1に含まれる実施の形態では、表示部25が端末6の表示部62で実現される場合がある。
入出力部26は、シリアルインタフェースまたはパラレルインタフェースで構成されている。端末6が行動提示装置1に付属する装置である実施の形態では、入出力部26は端末6と接続する。
送受信部27は、ネットワークに接続する網終端装置または無線通信装置、及びそれらと接続するシリアルインタフェースまたはLAN(Local Area Network)インターフェースから構成されている。送受信部27は、ネットワークを介して、端末6に接続する。情報収集装置28は、状況情報と行動情報などを収集する。
図1に示す行動提示装置1の要求取得部11、候補生成部12、コスト算出部13、及び表示生成部14は、制御部21が、主記憶部22、外部記憶部23、操作部24、表示部25、入出力部26、及び送受信部27などのハードウェア資源を用いて、図4に示すような行動提示処理を表す制御プログラム30を実行することで実現される。
図4の行動提示処理を開始すると、図1の要求取得部11は、ユーザが端末6の入力部61に入力した図5の「今日、本を返却したい」という要求を表す情報(以下、要求情報という)を端末6から受け取る(ステップS11)。要求取得部11は、受け取った情報を情報DB2と、候補生成部12とに送信する。情報DB2は受信したこの要求を表す情報を記憶する。尚、「今日、本を返却したい」だけではなく、どの本を、誰(又はどの図書館)に返却するのか、本の返却期限等の制約条件はなにかなどの情報が別途入力されるか、あらかじめ行動提示装置1に与えられていても良い。
図4のステップS11の後に、候補生成部12は、要求取得部11で取得された「今日、本を返却したい」という要求の一部分「本を返却したい」を表す情報に対応する状況情報及び行動情報を情報DB2から取得する(ステップS12)。尚、入力された要求が「本を返却したい」という欲求である場合には、候補生成部12は、入力された要求そのものを表す情報に対応する状況情報及び行動情報を取得する。
具体的には、要求の一部分「本を返却したい」を満足させる手段は、図書館及び移動図書館を含むので、候補生成部12は、図書館情報及び移動図書館情報を情報DB2から取得する。また、候補生成部12は、「今日、本を返却したい」という要求がユーザによって入力されると、候補生成部12は、図2(b)の行動情報において、要求「今日、本を返却したい」の一部分「本を返却したい」を表す情報に対応付けて「行動例」の項目に分類された情報を参照する。次に、候補生成部12は、要求の一部分「本を返却したい」を表す情報に対応付けられた行動例「図書館へ返却する」を表す情報と、行動例「移動図書館へ返却する」を表す情報とを取得する。
図4のステップS12の後に、候補生成部12は、ステップS12で取得された状況情報で表される状況において、要求取得部11が受け取った情報で表される要求の少なくとも一部分を満たすためにユーザが実行できる行動の候補(つまり、行動候補)を、ステップS12で取得された行動情報で表される行動候補に基づいて複数生成する(ステップS13)。
具体的には、候補生成部12は、図2(a)に示す図書館情報の「定休日」の項目に分類された情報を参照し、図書館の定休日が日曜日であることを特定する。次に、候補生成部12は、例えば、システム時刻と情報DB2に記憶されたカレンダを表す情報とに基づいて、今日が月曜日であると判別する。その後、候補生成部12は、月曜日である今日が、図書館の定休日である日曜日でないと判別すると、ユーザは今日、図書館に本を返却可能であると判定する。また、候補生成部12は、移動図書館情報の「巡回日」の項目に分類された情報を参照し、移動図書館の巡回日が火曜日及び木曜日であることを特定する。
次に、候補生成部12は、図2(a)に示す移動図書館情報の「巡回日」の項目に分類された情報を参照し、移動図書館の巡回日が火曜日であることを特定する。その後、候補生成部12は、明日が火曜日であると判別し、明日が移動図書館の巡回日であると判別すると、ユーザは明日、移動図書館に本を返却可能であると判定する。このようにして、候補生成部12は、図5に示すようなCase1「今日、本を図書館へ返却する」とCase2「明日、本を移動図書館へ返却する」との2つの行動候補を生成する。
図4のステップS12の後に、コスト算出部13は、候補生成部12が生成した各行動候補のコスト算出に必要な情報を情報DB2から取得する。その後、コスト算出部13は、取得した情報を用いて各行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを算出し、算出したコストを表す負担情報を生成する(ステップS14)。
負担情報とは、行動候補を実行するためにユーザが負担するコストを表す情報である。負担情報は、例えば、行動候補を実行するためにユーザが負担する時間(以下、時間的コストという)を表す情報、金銭(以下、金銭的コストという)を表す情報、行動候補の実行に起因して消費されるエネルギーの量(以下、エネルギーコストという)を表す情報、行動候補の実行によりユーザの心理に生じる負荷の大きさ(つまり、心的コスト)を表す情報を含む。
ステップS14について具体的に説明すると、コスト算出部13は、Case1「今日、本を図書館へ返却する」と、Case2「明日、本を移動図書館へ返却する」という行動候補を表す情報を候補生成部12から受け取る。その後、コスト算出部13は、状況情報に含まれる図書館情報の項目「所在地」に分類された情報に対応付けられた緯度及び経度を表す情報を、情報DB2に記憶された地図情報から検索する。次に、コスト算出部13は、情報DB2に記憶されたユーザの住所情報に対応付けられた緯度及び経度を表す情報を地図情報から検索する。その後、コスト算出部13は、検索された情報でそれぞれ表される図書館の緯度及び経度と、ユーザの自宅の緯度及び経度とに基づいて、自宅から図書館までの距離を算出する。次に、コスト算出部13は、例えば、自宅から図書館まで車で所定の速度で移動した場合に要する時間T1を算出する。また、コスト算出部13は、所定の燃費で車が自宅から図書館までの距離を走行した場合に消費されるガソリンの量(つまり、エネルギーコスト)を算出し、算出されたガソリンの量に対して、1リッター当たりのガソリン代を乗算することで、交通費E1を算出する。尚、所定の速度を表す情報、所定の燃費を表す情報、及び1リッター当たりのガソリン代を表す情報は、予め情報DB2に記憶されていても良いし、ユーザが端末装置6を操作することで入力部から入力されるとしても良い。その後、コスト算出部13は、算出された時間T1を表す情報及び交通費E1を表す情報を、「今日、本を図書館へ返却する」という行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを表す負担情報とする。
また、コスト算出部13は、同様に、図2(a)に示す移動図書館情報の項目「巡回経路」に分類された情報で表される複数の巡回地点のそれぞれに対して、地図情報から緯度及び経度を表す情報を検索する。次に、コスト算出部13は、検索された情報で表される巡回地点の緯度及び経度と、ユーザの住所情報で表される自宅の緯度及び経度との距離を巡回地点毎に算出した後に、算出された距離が最も短い巡回地点を最寄りの巡回地点と特定する。その後、コスト算出部13は、最寄りの巡回地点に巡回した移動図書館に対して自宅から車で移動するのに要する時間T2と交通費E2とを算出する。
また、コスト算出部13は、図2(c)に示す心的コスト情報から、「希望日に返却できない」という場面を表す情報に対応付けられている1日当りの心的コストを表す情報をから検索する。次に、コスト算出部13は、検索された情報で表させる心的コストの値Cf「5(1日あたり)」(つまり、「希望日に返却できない」場面において1日当りユーザに生じる心的コストを時間コストに換算した値)に対して、返却の希望日から、行動候補「明日、本を移動図書館へ返却」を採用した場合における返却日までの日数(つまり、1日)を乗算したコストCFを算出する。その後、コスト算出部13は、算出された時間T2を表す情報、交通費E2を表す情報、及びコストCFを表す情報を、「明日、本を移動図書館へ返却する」という行動候補Case2をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを表す負担情報とする。
図4のステップS14の後に、コスト算出部13は、ステップS14で算出された負担情報に基づいて各行動候補の総コストを算出し、算出された総コストが最小の行動候補を推奨行動候補として選択する(ステップS15)。その後、コスト算出部13は、選択した推奨行動候補を表す情報を表示生成部14に送る。
具体的には、コスト算出部13は、負担情報で表される時間的コストT1及び金銭的コストE1、時間的コストT2及び金銭的コストE2、並びに心的コストCFに対してそれぞれ所定の換算係数を乗算して値「t1=10」及び「e1=5」、「t2=2」及び「e2=2」、並びに「cf=5」を算出する。T1及びE1、T2及びE2、並びにCFを、それぞれ同じ種類のコスト(例えば、物理的コストである時間的コスト及びエネルギーコスト、金銭的コスト、並びに心的コストのいずれか1種類のコスト)に換算する(以下、等価換算するという)ためである。
次に、コスト算出部13は、図5に示すように、t1+e1−(t2+e2)−cf<0の場合、Case1の総コストが、候補生成部12で生成された行動候補の内で最小であると判別する。これに対して、コスト算出部13は、t1+e1−(t2+e2)−cf≧0の場合、Case2の総コストが最小であると判別する。ここでは、t1+e1−(t2+e2)−cf=10+5−(2+2)−5=6≧0である。このため、コスト算出部13は、総コストが最小であるのでユーザに対して実行を推奨する行動候補(以下、推奨行動候補という)として、Case2「明日、本を移動図書館に返却」を表す情報を表示生成部14に送信する。
図4のステップS15の後に、表示生成部14は、受け取った情報で表される推奨行動候補を表示する画像を生成し、生成した画像を端末6に送信した後に(ステップS16)、行動提示処理の実行を終了する。尚、端末6は、表示生成部14から受信した情報で表される画像を表示部62に表示させる(つまり、推奨行動候補をユーザに提示させる)。
本実施の形態において、行動提示装置1は、算出された総コストが最小の行動候補を推奨行動候補としてユーザに提示するとして説明した。しかし、これに限定されるのではなく、行動提示装置1は、総コストが最小でない行動候補を推奨行動候補と併せてユーザに提示しても良いし、総コストが小さい順に候補生成部12で生成された複数の行動候補を提示しても良い。さらに行動提示装置1は、それぞれの総コストを行動候補毎にユーザへ提示しても良いし、行動候補毎にコストの内訳を提示しても良い。つまり、行動提示装置1は、総コストと、総コストの算出に用いられた金銭的コストの値、物理的コストの値、及び心的コストの値を提示しても良いし、総コストに対する金銭的コスト比率、総コストに対する物理的コストの比率、及び総コストに対する心的コストの比率を提示しても良い。
本実施の形態において、行動提示システム101は、無償で図書を貸し出すサービスを提供するシステムを構成し、例えば、「今日、本を返却したい」といった図書の貸し出しサービスに関連したユーザの要求の少なくとも一部分を満足させる行動を当該ユーザに推奨するとして説明した。しかしこれに限定される訳ではなく、行動提示システム101は、図書という財を有償で提供(つまり、販売)するシステムを構成し、例えば、「今日、本を購入したい」といった図書の販売に関連したユーザの要求の少なくとも一部を満足させる行動を当該ユーザに推奨するとしても良い。
以上説明したように実施の形態1の行動提示システム101によれば、時間的コスト及びエネルギーコストのような物理的コストや金銭的コストといったコストだけでなく、ユーザの心的コストをも考慮して、総コストが最小となるような行動を提示する。このため、よりユーザに採用される可能性の高い行動を提示できる。特に、行動提示システム101が、本を貸し出すレンタルシステムや本を複数のユーザで共有するシェアリングシステムを構成する場合には、ユーザに採用される可能性の高い行動を提示できるため、ユーザによるシステムの利用が促進され、当該レンタルシステムや当該シェアリングシステムの運営を円滑化できる(つまり、当該システムの運営者は、当該システムをスムーズに運営できる)。
また、これらの構成によれば、ユーザの心的コストを含む総コストに基づいて選択された行動を推奨行動候補として提示する。このため、よりユーザに採用される可能性の高い行動を推奨できる。
また、これらの構成によれば、行動候補の実行によりユーザが負担する物理的コスト又は金銭的コストに対して、物理的コスト又は金銭的コストに換算された心的コストを加算することで行動候補の総コストを算出する。このため、行動候補の総コストで数値的にユーザに採用される可能性の高低を表すことができるので、よりユーザに採用される可能性の高い行動を正確に選択できる。
(実施の形態2)
実施の形態2においては、推奨行動候補をユーザAが実行する前提となる行為を行うことが期待されるユーザBに対して、当該前提となる行為を実行する(つまり、ユーザAに協力する)ように交渉する行動提示システム102について説明する。尚、行動提示システム102は、実施の形態1に係る行動提示システム101と同様の構成を有するため、実施の形態1で使用した符号と同じ符号を用いて行動提示システム102について説明し、実施の形態1と同様の構成については説明を省略する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る行動提示システムの構成例を示すブロック図である。行動提示システム102は、実施の形態1で既に説明された行動提示装置1と、情報DB2と、端末6との他に、端末7をさらに備える。実施の形態1で既に説明されたように、行動提示装置1と情報DB2及び行動提示装置1と端末6だけでなく、行動提示装置1と端末7ともは、ネットワーク(図示せず)を介して相互に通信可能である。このため、図3の送受信部27は、ネットワークを介して、端末6だけでなく、端末7にも接続する。
尚、端末7は、端末6と同様に、行動提示装置1の一部であるか、または、行動提示装置1に付属した装置であっても良い。図6の端末6及び/または端末7が行動提示装置1に含まれる構成では、図3の操作部24が端末6の入力部61及び/または端末7の入力部71として機能する場合があり、表示部25が端末6の表示部62及び/または端末7の表示部72として機能する場合がある。また、端末6及び/または端末7が行動提示装置1に付属する装置である場合は、図3の入出力部26が当該付属する装置と接続する。尚、端末7の構成は、端末6の構成と同様であるので重複した説明を省略する。
行動提示システム102は、それぞれネットワークに接続する複数の端末6及び複数の端末7を備えるが、説明を簡略化するため、図6では、複数の端末6及び端末7をそれぞれ代表して1台の端末6及び端末7を図示し、代表する端末6及び端末7についてのみ以下説明する。
実施の形態2において、情報DB2は、状況情報、行動情報、及び心的コスト情報の他にユーザ情報を記憶している。情報DB2が記憶する状況情報は、実施の形態1と同様に、図7(a)に示すような図書館情報を含んでいる。この図書館情報を構成する情報は、実施の形態1と同様に、ただ1つのレコードを有する図書館テーブルに記憶され、当該レコードに保存された情報は、図書館の所在地を示す情報の項目「所在地」と、図書館の定休日を示す情報の項目「定休日」と、図書館の営業時間を示す情報の項目「営業時間」で分類されている。尚、この他にも、情報DB2が記憶する状況情報は、実施の形態1と同様に、地図情報などを含む。
ユーザ情報は、行動提示システム102を利用するユーザに関する様々な情報であり、特に、ユーザの状況を表す情報である。情報DB2は、ユーザ情報を構成する複数の情報を、図7(b)に示すような、1又は複数のレコードを有するユーザテーブルに記憶している。ユーザテーブルのレコードに保存された情報は、ユーザを識別する情報の項目「ユーザID」と、ユーザが現在借りている本を示す情報の項目「借りている本」と、ユーザがこの本を借りる期間を示す情報の項目「期間」と、ユーザが借りたい本を示す情報の項目「借りたい本」と、ユーザの住所を示す情報の項目「住所」と、ユーザの端末がオンラインであるか否かを示す情報の項目「オンライン」とで分類される。つまり、図7(b)に示すユーザ情報は、ユーザに対する本の貸し出し状況などを表す。
図7(b)の項目「借りたい本」に分類される情報は、各ユーザによって端末6に入力された後に、端末6から情報DB2に送信される。情報DB2が記憶する図7(b)のユーザ情報は、ユーザAは、本1を借りていること、ユーザAに対する本1の貸出期間は、2009年9年XX日から2009年9月YY日までであること、本1を借りたユーザAの住所は「○○市□□町1丁目・・・」であること、及び現在ユーザAの端末6はオンラインであることを表す。さらにこのユーザ情報は、ユーザBが、ユーザAの借りている本1を借りたいと思っていること、ユーザBの住所は「○○市□□町2丁目・・・」であること、及び現在ユーザBの端末7はオンラインであることを表す。さらにこのユーザ情報は、ユーザCが本3を借りていること、ユーザCに対する本3の貸出期間は、2009年9月XX日から2009年9月ZZ日までであること、ユーザCの住所は「○○市◇◇町1丁目・・・」であること、及び現在ユーザCの端末はオフラインであることを表す。このように、ユーザ情報は、ユーザごとの各情報で構成されている。尚、情報DB2が記憶するユーザ情報は、上記の情報の他、各ユーザの住所を表す情報と当該住所の緯度・経度を表す情報とを対応付けた情報でさらに構成されている。
情報DB2は、行動情報を構成する複数の情報を、図7(c)に示すような、複数のレコードを有する行動テーブルに記憶している。行動テーブルのレコードに保存された情報は、ユーザの要求の少なくとも一部分を示す情報の項目「要求」と、所定の条件、及び当該条件が成立する場合に要求の少なくとも一部分を満足させるためにユーザがとり得る行動例を表す情報の項目「条件付行動例」とで分類されている。項目「条件付行動例」に分類される情報の内容は、当該情報に対応付けて項目「要求」に分類される情報の内容ごとに異なっても良いし、異ならなくても良い。
項目「条件付行動」は、複数の項目を有するため、行動情報の項目構成は、階層構造になっている。具体的には、項目「条件付行動例」は、項目「行動条件」と項目「行動例」とを有する。ここで、例えば、「今日、本を返却したい」という要求は、貸与された本の管理責任から解放されることを求める要求でもある。このため、本実施の形態では、「今日、本を返却したい」という要求は、「今日返却したい本を、当該本を借りたいと思っている他のユーザに今日渡す」ことでも満足されるとする。
このため、図7(c)の項目「要求」に分類される「本を返却したい」ことを表す情報に対応付けて項目「条件付行動例」に分類される情報は、項目「行動条件」に分類される情報であって、この本を借りたい他のユーザ(以下、待ちユーザという)がいるという条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、当該条件が満足される場合に要求を満足させるためにユーザがとり得る具体的な行動例である「待ちユーザへ本を渡す」ことを表す情報とで構成される。同様に、「本を返却したい」ことを表す情報は、待ちユーザがいないという条件を示す情報と、当該条件が満足される場合に「図書館へ本を渡す」行動例を表す情報とがそれぞれ項目「行動条件」及び項目「行動例」に分類されている。
情報DB2は、実施の形態1と同様に、心的コスト情報を構成する複数の情報を、図7(d)に示すような、複数のレコードを有する心的コストテーブルに記憶している。心的コストテーブルのレコードに保存された情報は、実施の形態1と同様に、ユーザの要求と合致しない場面を示す情報の項目「場面」と、当該場面において生じる心的コストを時間的コストに換算した値を示す情報の項目「心的コスト」とで分類されている。具体的には、心的コスト情報は、あるユーザが他のユーザに会うという場面を表す情報と、当該場面において当該あるユーザに生じる心理的負荷の大きさを表す心的コストの値を表す情報とを対応付けた情報で構成されている。
尚、これら図書館情報と、ユーザ情報と、行動情報と、心的コスト情報とは、ユーザAが要求を端末6に入力した時点で、情報DB2に既に記憶されているとして説明を行う。また、ユーザ情報は、本の貸し出し又は返却受付がある度に又は所定周期で、行動提示装置1によって随時更新される。
図3に示す行動提示装置1の制御部21は、図8に示すような行動提示処理を実行することで、実施の形態1で既に説明した要求取得部11、候補生成部12、コスト算出部13、及び表示生成部14の他に、図6に示すような交渉部15として機能する。
図8の行動提示処理を開始すると、要求取得部11は、図9に示すユーザAが入力した要求「今日、本を返却したい」を表す情報を端末6から受け取る(ステップS21)。次に、候補生成部12は、要求取得部11に取得された要求を表す情報に対応する状況情報及び行動情報を情報DB2から取得し(ステップS22)、取得した状況情報で表される状況において、他のユーザの協力を前提としてユーザAがとり得る行動候補を、行動情報で表される行動例に基づいて生成する(ステップS23)。
具体的には、本実施の形態では、移動図書館が存在しないとするので、「今日、本を返却したい」という要求を満足させる手段は、図書館を含むが移動図書館を含まない。このため、候補生成部12は、図7(a)の図書館情報のみを取得する。次に、候補生成部12は、図7(c)の行動情報を取得し、要求「今日、本を返却したい」の一部分「本を返却したい」を表す情報に対応付けて「条件付行動例」の項目に分類された情報を参照する。次に、候補生成部12は、項目「条件付行動例」に含まれる「行動条件」の項目に分類された情報を参照し、「待ちユーザあり」の条件を表す情報と、「待ちユーザなし」の条件を表す情報とを取得する。
その後、候補生成部12は、端末6からユーザAを識別する情報を受信する。次に、候補生成部12は、図7(b)のユーザ情報から、項目「ユーザID」に分類されたユーザAを識別する情報と対応付けて項目「借りている本」に分類された本1を表す情報を参照する。その後、ユーザAが返却したい本1を借りたい他のユーザがいるか否かを判定するために、ユーザ情報において、「借りたい本」の項目に分類された本1を表す情報に対応付けて項目「ユーザID」に分類されたユーザBを表す情報「B」を参照する。これにより、候補生成部12は、ユーザAが借りている本1(つまり、返却したい本)をユーザBが借りたい(つまり、「待ちユーザあり」の条件が成立している)と判定する。
次に、候補生成部12は、ユーザ情報の「住所」の項目に分類された情報を参照し、ユーザAの住所を表す情報とユーザBの住所を表す情報を取得する。ここで、情報DB2が記憶するユーザ情報には、ユーザAの住所を表す情報と、ユーザAの住所の緯度及び経度を表す情報とを対応付けた情報と、ユーザBの住所を表す情報と、ユーザBの住所の緯度及び経度を表す情報とを対応付けた情報とが含まれている。これらの情報を用いて、候補生成部12は、ユーザAの住所からユーザBの住所までの距離を算出する。次に、候補生成部12は、ユーザ情報の「オンライン」の項目に分類された情報を参照し、ユーザAの端末6とユーザBの端末7とがオンラインであるか否かをそれぞれ判定する。ここで、候補生成部12は、ユーザAの住所からユーザBの住所までの距離が所定の値よりも短く、ユーザA及びユーザBの端末がオンラインであると判定した場合、今日、ユーザAは、ユーザBに本を渡すことが可能と判定する。尚、当該所定の値を表す情報は、情報DB2に予め記憶されている。
また、候補生成部12は、図書館情報の「定休日」の項目に分類された情報を参照し、実施の形態1と同様の方法で、本日が図書館の定休日あるか否かを判定する。このとき、候補生成部12は、本日が図書館の定休日でないと判定すると、ユーザAは今日、図書館に返却可能と判定する。こうして、候補生成部12は、図9に示すようなCase1「今日、本を図書館へ返却する」という行動候補と、Case2「今日、ユーザBに本を渡す」という行動候補とを生成する。
図8のステップS23の後に、コスト算出部13は、候補生成部12が生成した各行動候補のコスト算出に必要な情報を情報DB2から取得し、取得した情報を用いて各行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを算出する(ステップS24)。
具体的には、コスト算出部13は、「今日、本を図書館へ返却する」という行動候補を表す情報と、「今日、ユーザBに本を渡す」という行動候補を表す情報とを候補生成部12から受け取ると、実施の形態1と同様に、図7(a)の図書館情報の項目「所在地」に分類された情報と、図7(b)のユーザ情報の項目「住所」に分類された情報とを参照し、参照した情報などを用いて、実施の形態1と同様の方法で、図書館へ行くための時間T1及び交通費E1を算出する。また、その後、コスト算出部13は、算出された時間T1を表す情報及び交通費E1を表す情報を、Case1「今日、本を図書館へ返却する」という行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを表す負担情報とする。
また、コスト算出部13は、ユーザ情報の項目「住所」を参照し、参照した情報に対して上記の方法に用いることで、ユーザAの住所からユーザBの住所までの距離を算出する。その後、コスト算出部13は、実施の形態1において説明した自宅から図書館へ移動するのに要する時間T1と交通費T2とを算出する算出方法を用いて、算出されたユーザAの自宅からユーザBの自宅までの距離に基づいて移動するのに要する時間T2及び交通費E2を算出する。その後、コスト算出部13は、算出された時間T2及び交通費E2を、ユーザAがユーザBに本を渡すのに要する時間T2及び交通費E2とする。さらに、コスト算出部13は、図7(d)の心的コスト情報から、「他のユーザに会う」という場面を表す情報に対応付けられている心的コストを表す情報を検索し、検索された情報で表される心的コストの値CF「5」を表す情報を、時間T2を表す情報及び交通費E2を表す情報とともに、Case2「今日、ユーザBに本を渡す」という行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを表す負担情報とする。
図8のステップS24の後に、コスト算出部13は、実施の形態1と同様に、負担情報に基づいて各行動候補の総コストを算出する(ステップS25)。その後、コスト算出部13は、算出された総コストが最小の行動候補を推奨行動候補として選択し、選択した推奨行動候補を表す情報を表示生成部14に送信する。
具体的には、コスト算出部13は、算出したT1及びE1、T2及びE2、並びにCFを等価換算するためにそれぞれ所定の換算係数を乗算して、図9に示す値「t1=10」及び「e1=5」、「t2=2」及び「e2=2」、並びに「cf=5」を算出する。次に、コスト算出部13は、t1+e1−t2−e2−cf<0の場合、Case1の総コストが、候補生成部12で生成された行動候補の内で最小であると算出する。これに対して、コスト算出部13は、t1+e1−t2−e2−cf≧0の場合、Case2の総コストが最小であると算出する。ここでは、t1=10、e1=5、t2=2、e2=2、cf=5であるので、コスト算出部13は、総コストが最小である推奨行動候補として、Case2「今日、ユーザBに本を渡す」を表す情報を交渉部15に送る。
図8のステップS25の後に、交渉部15は、推奨行動候補Case2を実行する前提となる行為を行うことが期待される他のユーザがいるか否かを判別する(ステップS26)。ここで、ユーザAが「ユーザBに対して本を渡す」という推奨行動候補Case2を実行するためには、ユーザBが「本を受け取る」ということが必要である。このため、「本を受け取る」行為が、推奨行動候補Case2「ユーザBに対して本を渡す」を実行する前提となる行為であって、「ユーザB」が前提となる行為を行うことが期待される他のユーザである。
このため、交渉部15は、ユーザBが当該他のユーザに相当すると判別するので(ステップS26;Yes)、交渉部15は、ユーザBに対して、要求を入力したユーザAが推奨行動候補Case2を行うことを承諾するか拒否するか(つまり、ユーザAに協力して、推奨行動候補Case2の前提となる行為を行うか否か)の問い合わせを表す情報をユーザBが使用する端末7へ送信する(ステップS27)。端末7は、交渉部15から受信した情報で表される問い合わせを表示部72に表示させる。端末7の表示を見たユーザBは、問い合わせに対する承諾または拒否の回答を入力部71に入力し、端末7は、この回答を表す情報を交渉部15に送信する。
尚、交渉部15は、ユーザAが推奨行動候補Case2を行うことを承諾するか拒否するかの問い合わせと共に、ユーザAが推奨行動候補Case2を行うことで(又は、ユーザBが推奨行動候補Case2の前提となる行為を行うことで)ユーザBが得られる利点を表す情報を送信する構成を採用できる。この構成において、端末7は、交渉部15から受信した情報で表される問い合わせとともに、受信した情報で表される当該利点を表示部72に表示させる。他のユーザが推奨行動候補を実行するユーザに協力するインセンティブ(動機付け)を、当該他のユーザに与えるためである。
尚、利点とは、他のユーザのその行為(つまり、推奨行動候補の前提となる行為)の対価、及び/または社会もしくは環境への貢献を含む。利点は、例えば、金銭(サービスの提供に対する対価の返還であるキャッシュバックや、割引を含む)や、のちのサービスの提供において何らかの特典に換えられるポイントなどの対価、時間短縮効果やエネルギー節約効果などの社会もしくは環境への貢献などを含む。
図8のステップS27の後に、交渉部15は、問い合わせに対するユーザBの承諾または拒否の回答を表す情報を端末7から受信し、受信した情報で表される回答が許可であるか拒否であるかを判別する(ステップS28)。このとき、交渉部15は、問い合わせに対する回答が承諾であると判別し(ステップS28;Yes)、推奨行動候補Case2を表す情報を表示生成部14に送る。表示生成部14は、受け取った情報で表される推奨行動候補Case2を表示する画像を生成し、生成した画像を表す情報を端末6に送る(ステップS29)。端末6は、受信した情報で表される画像を表示部62に表示する。ユーザAは、端末6の表示部62に提示された推奨行動候補Case2を見た後に、推奨行動候補Case2を実行する意思があると、端末6の入力部61に対して承諾(つまり、採用)の回答を入力し、推奨行動候補を実行する意思がないと、拒否(つまり、不採用)の回答を入力する。これらの問い合わせ及び回答は、Webページを用いて行われても良いし、電子メールを用いて行われても良い。回答が入力されると、端末6は、入力された回答を表す情報を返信する。
その後、交渉部15は、端末6から受信した情報で表される回答が拒否であるか否かを判別する(ステップS30)。交渉部15は、要求を入力したユーザの回答が承諾であると判別し(ステップS30;Yes)、再度Case2を表す情報を表示生成部14に送る。表示生成部14は、交渉部15から受け取った情報で表されるCase2「今日、ユーザBに本を渡す」をユーザAが採用し、ユーザBがユーザAに協力することが決まった(つまり、ユーザAが実行する行動候補が推奨行動候補Case2に決定された)ことを表示する画像を生成する。その後、表示生成部14は、生成された画像を表す情報を端末6と端末7とに送った後に(ステップS31)、処理を終了する。尚、端末6と端末7とは、受信した情報で表される画像を表示部62及び表示部72に表示させることで、推奨行動候補Case2と、当該推奨行動候補Case2をユーザBの協力もとでユーザAが実行することが決定された旨とをユーザA及びユーザBにそれぞれ提示する。
尚、ステップS26において、推奨行動候補の前提となる行為を行うことが期待される他のユーザがいないと判別される場合(ステップS26;No)、ステップS23で生成される推奨行動候補は、Case1「今日、本を図書館へ返却する」であり、推奨行動候補Case1は、他のユーザの行為を推奨行動候補の前提としない。このため、表示生成部14は、推奨行動候補Case1を表示する画像を生成し、生成された画像を表す情報を端末6のみに送った後に(ステップS31)、処理を終了する。尚、端末6は、受信した情報で表される画像を表示部62に表示することで、推奨行動候補をユーザに提示する。
ステップS28において、問い合わせに対するユーザBの回答が拒否であると交渉部15が判別した場合には(ステップS28;No)、処理はステップS25に戻る。その後、コスト算出部13は、拒否された推奨行動候補Case2を除いた行動候補の中で総コストが最小の行動候補Case1を新たな推奨行動候補として再選択し、再選択された推奨行動候補Case1を表す情報を交渉部15に送る。その後、ステップS26から上記処理が実行される。
ステップS30において、問い合わせに対するユーザAの回答が拒否(不採用)であると交渉部15が判別した場合には(ステップS30;No)、処理はステップS25に戻る。その後、コスト算出部13は、拒否された(採用されなかった)推奨行動候補Case2を除いた行動候補の中で総コストが最小の行動候補Case1を新たな推奨行動候補として再選択し、再選択された推奨行動候補Case1を表す情報を交渉部15に送る。その後、ステップS26から上記処理が実行される。
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2の変形例においては、行動提示システム1がCD(Compact Disk)を貸し出す(以下、レンタルするという)レンタルシステムを構成するとして説明を行う。尚、実施の形態2の変形例に係る行動提示システムは、実施の形態2に係る行動提示システム102と同様の構成を有するため、同じ符号を用いて説明され、実施の形態1と同様の構成については説明が省略される。
CDのレンタルシステムは、ユーザAとユーザBとによって利用されている。ユーザAは、図10に示すように「今日、あるCDを借りたい」と要求している。しかし、当該CDは、ユーザBにレンタルされており、ユーザBに対する当該CDのレンタル期間の最終日(つまり、返却期限)は、本日から数日後である。このため、ユーザAは、本日中にCDを借りることが難しい。ここで、ユーザBは、当該CDを既に使用し終わっているため、ユーザAは、ユーザBが当該CDを本日中に返却した後に、ユーザAが当該CDを本日中に借りれば、「今日、あるCDを借りたい」という要求が満足される。
ユーザBはレンタル期間全体に対して費用Cmを支払っているため、返却期限より早くCDを返却するインセンティブがない。ここで、レンタル期間の初日から本日までの日割り料金(例えば、1日当りの料金に対してレンタル期間の初日から本日までの日数を乗算した値)がCm1であるとすると、残りのレンタル期間の日割り料金(例えば、1日当りの料金に対して翌日からレンタル期間の最終日までの日数を乗算した値)は、Cm−Cm1と表される。よって、CDをレンタルするサービスの提供者(以下、サービス提供者という)が、ユーザBに対して残り期間の日割り料金(Cm−Cm1)を返金することで、本日中にCDを返却するインセンティブをユーザBに与えることができる。また、ユーザAは、ユーザAが本日に当該CDを貸与されることの対価として、サービス提供者に早借り料金dCmを、ユーザAの希望レンタル期間に亘って当該CDを借りるためのレンタル費用Cm2に上乗せして支払う。ここで、サービス提供者に対してユーザAから支払われる早借り料金dCmが、サービス提供者からユーザBに返金される日割り料金(Cm−Cm1)よりも高いため、サービス提供者には、ユーザBに当該CDを本日中に返却させた後に、返却されたCDをユーザAへ本日中にレンタルするインセンティブが与えられる。
CDのレンタルシステムを構成する行動提示システム102の情報DB2は、実施の形態2と同様に、状況情報、ユーザ情報、行動情報、及び心的コスト情報を記憶している。実施の形態2の変形例において情報DB2が記憶する状況情報は、CDのレンタル状況を表すCD情報をさらに含んでいる。このCD情報を構成する情報は、図11(a)に示すような、複数のレコードを有するCDテーブルに記憶され、各レコードに保存された情報は、CDを識別する情報の項目「CDID」と、CDがレンタルされているかどうかを示す情報の項目「空状況」と、CDを借りているユーザを識別する情報の項目「ユーザID」と、レンタル期間を示す情報の項目「期間」とで分類されている。図11(a)のCD情報は、CD1がユーザBに対して2009年9月XX日から2009年9月YY日までの期間レンタルされていることを表す。また、このCD情報は、CD2がレンタルされていないこと、及びCD3がユーザCに対して2009年9月XX日から2009年9月ZZ日までの期間レンタルされていることを表す。このように、CD情報は、CDごとの各情報で構成されている。
尚、この他にも、状況情報は、実施の形態2と同様に、地図情報を含む。また、CDの貸し出しが店舗で行われるため、状況情報は、実施の形態2で説明した図書館情報に相当する店舗情報をさらに含む。さらに、状況情報は、レンタル期間を表す情報と、レンタル期間に亘ってCDを借りるために要するレンタル料金を表す情報とを対応付けた料金表情報を含む。
実施の形態2の変形例において情報DB2が記憶するユーザ情報は、図11(b)に示すような、複数のレコードを有するユーザテーブルに記憶されている。ユーザテーブルのレコードに保存された情報は、ユーザを識別する情報の項目「ユーザID」と、ユーザが現在借りているCDを示す情報の項目「借りているCD」と、ユーザが借りたいCDを示す情報の項目「借りたいCD」と、ユーザの現在の状況を示す情報の項目「ユーザ状況」と、レンタル期間を示す情報の項目「期間」と、ユーザの住所を示す情報の項目「住所」と、ユーザの端末がオンラインであるか否かを示す情報の項目「オンライン」とで分類されている。ユーザが借りたいCDを示す情報及びユーザの現在の状況を示す情報は、各ユーザによって端末6又は端末7に入力された後に、端末6又は端末7から情報DB2に送信される。
図11(b)に示すユーザ情報は、ユーザAがCD1を借りたいと要求していること、ユーザBがCD1を借りていることを表す。また、このユーザ情報は、ユーザBによるCD1のレンタル期間が2009年9月XX日から2009年9月YY日までであること、ユーザBがすでにCD1を使用し終えている(つまり、使用済である)ので、ユーザBがCDを返却する意思がある(以下、返却可能という)であること、ユーザBの住所は「○○市□□町2丁目・・・」であること、及び現在ユーザBの端末7はオンラインであることを表す。さらに、このユーザ情報は、ユーザCがCD2を借りていること、ユーザCによるCDのレンタル期間が2009年9月XX日から2009年9月ZZ日までの期間であること、及びユーザCが未だにCD2を使用している(つまり、使用中である)ので、ユーザCがCD2を返却不能であること、ユーザCの住所が「○○市◇◇町1丁目・・・」であること、現在ユーザCの端末はオフラインであることを表す。このように、ユーザ情報は、ユーザごとの各情報で構成されている。
情報DB2は、実施の形態2と同様に、行動情報を構成する複数の情報を、図11(c)に示すような、複数のレコードを有する行動テーブルに記憶している。図11(c)の行動テーブルのレコードに保存された情報は、ユーザの要求の少なくとも一部分を示す情報の項目「要求」と、所定の条件、及び当該条件が成立する場合に要求の少なくとも一部分を満足させるためにユーザがとり得る行動例を表す情報の項目「条件付行動例」とで分類されている。項目「条件付行動例」に分類される情報の内容は、当該情報に対応付けて項目「要求」に分類される情報の内容ごとに異なっても良いし、異ならなくても良い。
項目「条件付行動」は、複数の項目を有するため、行動情報の項目構成は、階層構造になっている。具体的には、項目「条件付行動例」は、項目「行動条件1」と、項目「行動条件2」と、項目「行動例」とを有する。図11(c)の項目「要求」に分類される「CDを借りたい」ことを表す情報に対応付けて項目「条件付行動例」に分類される情報は、項目「行動条件1」に分類される情報であって、ユーザの借りたいCDの在庫がある(以下、「在庫有り」という)という条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、「在庫有り」という条件が満足される場合に要求を満足させるためにユーザがとり得る具体的な行動例である「希望日にCDを借りる」ことを表す情報とで構成される。また、項目「条件付行動例」に分類される上記の情報は、項目「行動条件1」に分類される情報であって、ユーザの借りたいCDの在庫がない(以下、「在庫なし」という)という条件を示す情報と、項目「行動条件2」に分類される情報であって、当該在庫がないという条件が成立する場合に他のユーザにレンタル中のCDが当該ユーザのレンタル希望日に早期返却され得る(以下、「早期返却可」)という条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、「在庫なし」という条件及び「早期返却可」という条件の双方が成立する場合に要求を満足させるためにユーザがとり得る行動例である「早借り料金を払って希望日にCDを借りる」ことを表す情報とで、さらに構成される。
情報DB2は、実施の形態2と同様に、心的コスト情報を構成する複数の情報を、図11(d)に示すような、複数のレコードを有する心的コストテーブルに記憶している。心的コストテーブルのレコードに保存された情報は、実施の形態2と同様に、ユーザの要求と合致しない場面を示す情報の項目「場面」と、当該場面において一日当り生じる心的コストを時間的コストに換算した値を示す情報の項目「心的コスト」とで分類されている。具体的には、心的コスト情報は、図11(d)に示すように、希望日にCDを借りられないという場面を表す情報や、希望日にCDを返却できないという場面を表す情報と、当該場面において当該あるユーザに生じる1日当り心理的負荷の大きさを表す心的コストの値を表す情報とを対応付けた情報で構成されている。
尚、これらCD情報と、ユーザ情報と、行動情報と、心的コスト情報とは、ユーザAが要求を端末6に入力した時点で、情報DB2に既に記憶されているとして説明を行う。また、CD情報及びユーザ情報は、CDの貸し出し又は返却受付がある度に又は所定周期で、行動提示装置1によって随時更新される。
図3に示す行動提示装置1の制御部21は、実施の形態2と同様に、図8に示すような行動提示処理を実行する。図8の行動提示処理を開始すると、要求取得部11は、図12に示すユーザAが入力した要求「今日、CDを借りたい」を表す情報を端末6から受け取る(ステップS21)。次に、候補生成部12は、要求取得部11に取得された要求を表す情報に対応するCD情報を含む状況情報、ユーザ情報、及び行動情報を情報DB2から取得し(ステップS22)、取得した状況情報で表される状況において、他のユーザの協力を前提としてユーザAがとり得る行動候補を、取得した行動情報で表される行動例に基づいて生成する(ステップS23)。
具体的には、「今日、CDを借りたい」という要求を満足させる手段は、借りたいとユーザAが考えているCDを含むので、候補生成部12は、このCDに関する様々な情報であるCD情報を取得する。また、「今日、CDを借りたい」という要求を満たすために協力を行う協力ユーザは、借りたいとユーザAが考えているCDを借りている他のユーザを含むので、候補生成部12は、このCDを借りている他のユーザに関する様々な情報であるユーザ情報を取得する。
次に、候補生成部12は、図11(b)の行動情報を参照し、要求「今日、CDを借りたい」の一部分「CDを借りたい」に対応付けられた「条件付行動例」の項目に分類された情報を参照する。次に、候補生成部12は、項目「条件付行動例」に含まれる「行動条件1」の項目に分類された情報を参照し、「在庫あり」の条件を表す情報と、「在庫なし」の条件を表す情報とを取得する。その後、候補生成部12は、取得した情報で表される条件が成立しているか否か(すなわち、ユーザAの借りたいCDの在庫があるかないか)を判定するために、ユーザAによって端末6の入力部61に入力されたユーザAを識別するユーザIDと、ユーザAが借りたいCDを識別する情報とを受信する。次に、候補生成部12は、図11(a)に示すCD情報を構成する情報であって、ユーザAが借りたいCD1を識別する情報に対応付けて「空状況」の項目に分類された情報を参照する。候補生成部12は、参照した情報に基づいて、ユーザAが借りたいCD1の在庫がないと判定すると、「在庫なし」の条件が成立したと判別する。
その後、候補生成部12は、図11(c)の行動情報から、「在庫なし」の条件を表す情報に対応付けて「行動条件2」の項目に分類された情報を参照する。次に、候補生成部12は、参照した情報で表される条件が成立しているか否か(すなわち、レンタル中のCD1は、ユーザAの希望日に早期返却できるか否か)を判定する。具体的には、候補生成部12は、図11(a)のCD情報から、CD1を識別する情報に対応付けて項目「ユーザID」に分類された情報を参照する。次に、候補生成部12は、図11(b)のユーザ情報から、参照された情報(つまり、ユーザBを識別する情報)とCD1を識別する情報とに対応付けて項目「ユーザ状況」に分類された情報を参照する。これにより、候補生成部12は、CD1は、ユーザBに対してレンタルされており、ユーザBにレンタルされたCD1は、使用済であるためと判別する。次に、候補生成部12は、図11(b)のユーザ情報を構成する情報であって、ユーザBを識別する情報と対応付けて項目「住所」に分類された情報及び項目「オンライン」に分類された情報と、状況情報に含まれる店舗情報を参照し、ユーザBの住所から店舗までの距離が所定の値よりも短く、ユーザBの端末がオンラインであると判別した場合、今日、ユーザBは、CDを早期返却することが可能と判定する。尚、候補生成部12は、当該距離が所定の値以上であるか又はユーザBの端末がオフラインであると判別した場合、ユーザBは早期返却が不能であると判定する。また、所定の値は、情報DB2に予め記憶されているものとする。また、ユーザBの住所から店舗までの距離を算出する算出方法は、実施の形態1で説明した方法と同様であるので説明を省略する。
その後、候補生成部12は、図11(c)の行動情報を構成する情報であって、「在庫あり」の条件を表す情報と「早期返却可能」の条件を表す情報と対応付けて項目「行動例」に分類された情報を参照する。その後、候補生成部12は、参照した情報で表される行動例(つまり、「在庫あり」の条件及び「早期返却可能」の条件の双方が満足された場合にユーザAが要求の少なくとも一部分を満足させるためにとり得る行動例)に基づいて、図12に示すような、Case1「早借り料金を払って、今日CDを借りる」と、Case2「ユーザBによるCDの返却を待つ」という2つの行動候補を生成する。
図8のステップS23の後に、コスト算出部13は、実施の形態2と同様に、候補生成部12が生成した各行動候補のコスト算出に必要な情報を情報DB2から取得し、取得した情報を用いて各行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを算出する(ステップS24)。
具体的には、コスト算出部13は、Case1「早借り料金を払って今日CDを借りる」という行動候補をユーザAが実行した場合にユーザAが負担するレンタル費用Cm2を表す情報及び早借り料金dCmを表す情報を、状況情報に含まれる料金表情報を参照することで取得する。また、コスト算出部13は、Case2「ユーザBによるCDの返却を待つ」という行動候補をユーザAが実行した場合にユーザAが負担する費用Cm2を、同様に、料金表情報から取得する。次に、コスト算出部13は、図11(d)に示す心的コスト情報から、「希望日に借りられない」という場面を表す情報に対応付けて、項目「心的コスト」に分類された情報を参照し、参照した情報で表される1日当りの心的コストの値Cfに対してレンタルの希望日からユーザBの返却予定日(つまり、レンタル期間の最終日)までの日数を乗算することで、心的コストCFを算出する。その後、コスト算出部13は、取得した金銭的コストCm2及びdCmと、算出した心的コストCFを等価換算するためにそれぞれ所定の換算係数を乗算して、図12に示す値「cm2=10」、「dcm=2」、及び「cf=5」を算出する。
ここで、Case1「早借り料金を払って他のユーザからCDを今日借りる」の総コストは、レンタル費用cm2と、早借り料金dcmとであり、Case2「他のユーザによるCDの返却を待つ」の総コストは、レンタル費用cm2と、希望日にCDを借りられないことで生じる心的コストcfとである。このため、コスト算出部13は、dcm−cf<0の場合、Case1の総コストが、候補生成部12で生成された行動候補の内で最小であると判別する。これに対して、コスト算出部13は、dcm−cf≧0の場合、Case2の総コストが最小であると判別する。ここでは、cm2=10、dcm=2、cf=5であるので、コスト算出部13は、推奨行動候補としてCase1を表す情報を交渉部15に送る。
図8のステップS24の後に、行動提示装置1は、実施の形態2で説明したステップS25からステップS31の処理を実行した後に、行動提示処理の実行を終了する。
以上説明したように実施の形態2に係る行動提示システム102及び実施の形態2の変形例に係る行動提示システムによれば、ユーザの心的コストを考慮するだけでなく、他のユーザの状況を加味して総コストが最小となるような行動をユーザに推薦することにより、よりユーザに採用される可能性の高い行動を提示することができる。これにより、行動提示システム101が、本又はCDのレンタルシステムやシェアリングシステムを構成する場合には、ユーザに採用される可能性の高い行動を提示できるため、ユーザによるシステムの利用が促進され、当該レンタルシステムや当該シェアリングシステムの運営者は、これらのシステムをスムーズに運営できる。
またこれらの構成によれば、推奨行動候補を実行するユーザとは異なる他のユーザが、当該ユーザによって推奨行動候補が実行される上で前提となる行為を行うように交渉し、交渉が成立した推奨行動候補を当該ユーザに提示する。このため、他のユーザの協力がなければ実行できない行動をも当該ユーザに提示できる。
さらに、これらの構成によれば、他のユーザに対して推奨行動候補の前提となる行為を行うことで得られる利点を提示するため、当該行為を他のユーザが行うインセンティブを与えることができる。
尚、実施の形態2に係る行動提示システム102は、レンタルシステムやシェアリングシステムを最小のコストで利用する行動を提示することに限定される訳ではない。例えば、行動提示システム102は、整理券と引き換えに病院や銀行においてサービスの提供を受けるための行動を提示しても良い。たとえば、あるユーザが整理券を取得後にサービスの提供を長時間待ったが提供を受けることができず、他のユーザに整理券を譲る場合や、急用があり順番を他のユーザと順番を代わってもらいたいユーザと、順番を代わっても良いと考えるユーザとがいる場合に、整理券を譲る側でも譲られる側でもコストが削減される。
本実施の形態において、行動提示システム102は、有償でCDを貸し出すサービスを提供するシステムを構成し、例えば、「今日、CDを返却したい」といったCDの貸し出しサービスに関連したユーザの要求を満足させる行動を当該ユーザに推奨するとして説明した。しかしこれに限定される訳ではなく、行動提示システム101は、CDという財を有償で提供(つまり、販売)するシステムを構成し、例えば、「今日、CDを購入したい」といったCDの販売に関連したユーザAの要求に対し、当該要求を満足させる行動として、例えば、「今日、ユーザBからCDを購入する」といった行動を当該ユーザに推奨するとしても良い。
(実施の形態3)
実施の形態3においては、車両を貸し出すレンタルシステムを構成し、ユーザAの現在地において、ユーザAが車両を借りるために実行できる推奨行動候補をユーザAに提示する行動提示システム103について説明する。尚、行動提示システム103は、実施の形態2に係る行動提示システム102と同様の構成を有するため、実施の形態2で使用した符号と同じ符号を用いて行動提示システム103について説明し、実施の形態2と同様の構成については説明を省略する。
車両のレンタルシステムは、ユーザAとユーザBとによって利用されている。ユーザAは、「15:00に、車を借りたい」と要求している。しかし、ユーザAが車両のレンタルを希望する時刻15:00に、ユーザAに対してレンタル可能な車両が存在しない。ここで、ある車両は、ユーザBにレンタルされており、ユーザBに対する当該車両のレンタル期間の最終時刻(つまり、返却期限)は、図13に示すように、ユーザAのレンタル希望時刻15:0から1時間後の16:00である。ここで、ユーザAは、D駅で車両を借りることを望んでいるが、ユーザBが車両を返却する駅はE駅である。このため、E駅からD駅まで車両を運送する必要がある。E駅からD駅まで車両を配送するのに要する車両配送時間は1時間半であるので、ユーザBによってE駅に返却された車両がユーザAにレンタルされるレンタル時刻は、17:30である。よって、車両をユーザAの希望時刻にレンタルすることは難しい。
ここで、ユーザBは、例えば、目的地までの移動に車両を使用し終えている(以下、車両を既に使用し終えているという)ため、ユーザBがユーザAの希望時刻である15:00までにD駅で車両を返却し、ユーザAが15:00に当該車両を借りれば、「15:00に、車両を借りたい」という要求が満足される。
ここで、ユーザBがユーザAの希望時刻よりも早くD駅に車を返却できる場合であっても、ユーザBの現在地がユーザAの貸し出し予定地であるD駅よりもユーザBの返却予定地であるE駅の方が近い場合には、ユーザBは、現在地よりも遠いD駅へユーザAのやめに車両を返却することを了承し難い。これに対して、ユーザBの現在地がユーザBの返却予定地であるE駅よりもユーザAの貸し出し予定地であるD駅に近い場合には、ユーザBは、ユーザAのために遠いD駅へ車両を返却することを了承し易い。
しかし、ユーザBはレンタル期間全体に対して費用Cmを支払っているため、返却期限より早く車両を返却するインセンティブがない。ここで、レンタル期間の開始時刻からユーザAの(レンタル希望日の)希望時刻15:00までの時間割り料金(例えば、1時間当りの料金に対してレンタル期間の開始時刻から車の返却時刻15:00までの時間を乗算した値)がCm1であるとすると、残りの期間の時間割り料金(例えば、1時間当りの料金に対して返却時刻からレンタル期間の終了時刻までの時間を乗算した値)は、Cm−Cm1と表される。よって、車両をレンタルするサービスの提供者(つまり、サービス提供者)が、ユーザBに対して残り期間の時間割り料金(Cm−Cm1)を返金することで、15:00までにユーザBが車両を返却するインセンティブをユーザBに与えることができる。また、ユーザAは、ユーザAが希望時刻15:00に車両を貸与されることの対価として、サービス提供者に早借り料金dCmを、通常のレンタル費用Cm2に上乗せして支払う。ここで、サービス提供者に対してユーザAから支払われる早借り料金dCmが、サービス提供者からユーザBに返金される日割り料金(Cm−Cm1)よりも高いため、サービス提供者には、ユーザBに車両を15:00までに返却させた後に、返却された車両をユーザAへ15:00にレンタルするインセンティブが与えられる。
図14は、本発明の実施の形態3に係る行動提示システムの構成例を示すブロック図である。行動提示システム103は、実施の形態2と同様に、行動提示装置1と、情報DB2と、端末6と、端末7とから構成される。行動提示装置1、情報DB2、及び端末6について説明する前に、端末7について説明を行う。
端末7は、ユーザに所持される携帯端末で構成され、実施の形態2で説明した構成に加えて、位置情報取得部73をさらに備える。尚、端末7は、レンタルされる車両に搭載されても良い。位置情報取得部73は、例えば、GPS(Global Positioning System)システムを用いて端末7の位置を検出する不図示の位置検出部から、検出された位置を表す位置情報を取得する。次に、位置情報取得部73は、端末7の現在地の位置情報を情報DB2に送信し、情報DB2は、受信した位置情報を記憶する。尚、 端末6は、実施の形態2と同様に、入力部61と表示部62とを備える。端末6は、端末7と同様に、位置情報取得部を備えても良い。
実施の形態3において、情報DB2は、実施の形態2と同様に、状況情報、ユーザ情報、行動情報、及び心的コスト情報を記憶している。実施の形態2の変形例において情報DB2が記憶する状況情報は、車両の状況を表す車両情報をさらに含んでいる。この車両情報を構成する情報は、図15(a)に示すような、複数のレコードを有する車両テーブルに記憶され、各レコードに保存された情報は、車両を識別する情報の項目「車両ID」と、車両がレンタルされているかどうかを示す情報の項目「空状況」と、レンタルされていない車両が所在する営業所(駅)を示す情報の項目「所在」と、車両をレンタルしているユーザを示す情報の項目「ユーザ」と、レンタル期間を示す情報の項目「期間」と、車両の返却予定地を示す情報の項目「返却予定地」と、現在のユーザの状況を示す情報の項目「ユーザ状況」とで分類される。尚、「ユーザ状況」に分類される情報は、ユーザによって携帯された端末7に対して当該ユーザによって入力され、入力された情報は、端末7によって情報DB2に送信される。尚、端末7がレンタルされた車両に搭載されている場合には、当該情報は、車をレンタルしているユーザによって車両に搭載された端末7に入力される。
図15に示す車両情報は、車両1がユーザBに対して2009年9月XX日の16時00分から2009年9月YY日の16時00分までの期間レンタルされること、車両1の返却予定地がE駅であること、ユーザBがすでに車両1を使用済であるので、ユーザBが車両1を返却する意思がある(つまり、返却可能である)ことを表す。また、この車両情報は、車両2がレンタルされていないこと、車両2がF駅の営業所に所在していることを表す。さらに、この車両情報は、車両3がユーザCに対して2009年9月XX日の10時00分から2009年9月ZZ日の10時00分の期間レンタルされていること、車両3の返却予定地がG駅であること、及びユーザCが未だに車両3を使用中であることを表す。このように、車両情報は、車両ごとの各情報で構成されている。
ここで、車両をレンタルするサービスの提供におけるユーザの要求の少なくとも一部分を満たすための手段は、例えば、車両だけでなく、車両の貸し出し場所となる駅や車両の返却場所となる駅などの営業所を含む。このため、状況情報は、車両の状況を表す車両情報だけでなく、営業所の状況を表す情報をさらに含む。具体的には、営業所の状況を表す情報は、車両の運送元となる営業所を表す情報と、車両の運送先となる営業所を表す情報と、運送元から運送先まで(つまり、営業所間で)車両を運送した場合に要する車両運送時間を表す情報とを対応付けた車両運送時間情報をさらに含む。また、状況情報は、各営業所を表す情報と、営業所の緯度及び経度を表す情報とを対応付けた地図情報を含む。さらに、状況情報は、車両のレンタル期間を表す情報と、レンタル費用を表す情報とを対応付けた情報や早借り料金を表す情報などで構成される料金表情報も含む。
情報DB2は、実施の形態2の変形例と同様に、行動情報を構成する複数の情報を、図15(b)に示すような、複数のレコードを有する行動テーブルに記憶している。図15(b)の行動テーブルのレコードに保存された情報は、ユーザの要求を示す情報の項目「要求」と、要求に対して所定の条件が成立する場合にユーザがとり得る行動例を示す情報の項目「条件付行動例」とで分類されている。項目「条件付行動例」に分類される情報の内容は、項目「要求」に分類される情報の内容ごとに異なっても良いし、異ならなくても良い。
項目「条件付行動例」は複数の項目を有するため、行動情報の項目の構成は、階層構造になっている。具体的には、項目「条件付行動例」は、項目「行動条件1」と、項目「行動条件2」と、項目「行動例」とを有する。図15(b)の項目「要求」に分類される「車を借りたい」ことを表す情報に対応付けて項目「条件付行動例」に分類される情報は、項目「行動条件1」に分類される情報であって、レンタルされていない車両である空車が存在する(以下、「空車あり」)という条件を示す情報と、項目「行動条件2」に分類される情報であって、当該「空車あり」という条件が満足される場合に当該空車をレンタル希望時刻までにユーザの最寄り駅へ配車できる(以下、現在空車の車両を「希望時刻までに配車可能」)という条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、「空車あり」という条件及び「希望時刻までに配車可能」という条件の双方が成立する場合に要求の少なくとも一部分を満足させるためにユーザがとり得る行動例である「希望時刻に車を借りる」ことを表す情報とで構成される。
また、項目「条件付行動例」に分類される上記の情報は、項目「行動条件1」に分類される情報であって、「空車あり」という条件を示す情報と、項目「行動条件2」に分類される情報であって、「空車あり」という条件が成立する場合に当該空車を当該希望時刻までに当該最寄り駅へ配車できない(以下、「希望時刻までに配車不能」)という条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、「空車あり」という条件及び「希望時刻までに配車不能」という条件の双方が成立する場合に要求の少なくとも一部分を満足させるためにユーザがとり得る行動例である「車両の到着を待つ」ことを表す情報とで、さらに構成される。
さらに、項目「条件付行動例」に分類される上記の情報は、項目「行動条件1」に分類される情報であって、「空車なし」という条件を示す情報と、項目「行動条件2」に分類される情報であって、「空車なし」という条件が満足される場合にレンタル中の車両ではあるが当該希望時刻に当該最寄り駅へ返却できる車がある(つまり、現在レンタル中の車両を「希望時刻までに配車可能」)という条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、当該空車なしという条件及び当該希望時刻までに配車可能という条件の双方が成立する場合に要求を満足させるためにユーザがとり得る行動例である「早割料金を払って他のユーザにから希望時刻に車を借りる」ことを表す情報とで、さらに構成される。
またさらに、項目「条件付行動例」に分類される上記の情報は、項目「行動条件1」に分類される情報であって、「空車なし」という条件を示す情報と、項目「行動条件2」に分類される情報であって、「空車なし」という条件が満足される場合に「希望時刻までに配車不能」という条件を示す情報と、項目「行動例」に分類される情報であって、「空車なし」という条件及び「希望時刻までに配車不能」という条件の双方が成立する場合に要求の少なくともを満足させるためにユーザがとり得る行動例である「他のユーザによる車の返却を待つ」ことを表す情報とで、さらに構成される。
情報DB2は、ユーザが携帯する端末7の位置を表す位置情報を、当該ユーザの位置を表す位置情報として、図15(c)に示すような、複数のレコードを有する位置テーブルに記憶している。位置テーブルのレコードに保存された情報は、ユーザを識別する情報の項目「ユーザID」と、ユーザの端末の現在地の緯度・経度をX、Y座標で示した情報の項目「現在地」とで分類されている。
情報DB2は、実施の形態2と同様に、心的コスト情報を構成する複数の情報を、図15(d)に示すような、複数のレコードを有する心的コストテーブルに記憶している。心的コストテーブルのレコードに保存された情報は、実施の形態2と同様に、ユーザの要求と合致しない場面を示す情報の項目「場面」と、当該場面において一時間当り生じる心的コストを時間的コストに換算した値を示す情報の項目「心的コスト」とで分類されている。
尚、行動提示装置1は、ユーザが入力した要求に基づいて、どのユーザがどの期間どの場所で車を借りたいかなどを表す情報を生成し、生成した情報と位置情報とをユーザの状況を表すユーザ情報として情報DB2に保存する。ここで、これら車両情報と、位置情報を含むユーザ情報と、行動情報と、心的コスト情報とは、ユーザAが要求を端末6に入力した時点で、情報DB2に既に記憶されているとして説明を行う。また、車両情報、及び位置情報を含むユーザ情報は、車両の貸し出し又は返却受付がある度に又は所定周期で、行動提示装置1によって随時更新される。
図3に示す行動提示装置1の制御部21は、実施の形態2と同様に、図16に示すような行動提示処理を実行する。図16の行動提示処理を開始すると、要求取得部11は、図17に示すユーザAが入力した要求「最寄り駅で15:00に車を借りたい」を表す情報を端末6から受け取る(ステップS41)。次に、候補生成部12は、要求取得部11に取得された要求の少なくとも一部分を表す情報に対応する状況情報、位置情報を含むユーザ情報、及び行動情報を情報DB2から取得し(ステップS42)、取得した状況情報で表される状況において、取得した位置情報で表される位置に居る他のユーザの協力を前提として、取得した位置情報で表される位置に居るユーザAがとり得る行動候補を、取得した行動情報で表される行動例に基づいて生成する(ステップS43)。
具体的には、「最寄り駅で15:00に車を借りたい」という要求と、最寄り駅がD駅であることがユーザAによって入力されると、候補生成部12は、入力された要求を表す情報と、最寄り駅がD駅であることを表す情報とを取得する。その後、候補生成部12は、図15(b)の行動情報を参照し、要求「最寄り駅で15:00に車を借りたい」の一部分「車を借りたい」を表す情報に対応付けて「条件付行動例」の項目に分類された情報を参照する。次に、候補生成部12は、項目「条件付行動例」に含まれる「行動条件1」の項目に分類された情報を参照し、「空車あり」という条件を表す情報と、「空車なし」という条件を表す情報とを取得する。その後、候補生成部12は、取得した情報で表される条件が成立しているか否か(すなわち、空車が存在するか否か)を判定するために、図15(a)に示す車両情報の「空状況」の項目に分類された情報を参照する。ここで、車両1〜3のみが判定の対象であるとすると、車両2のみが空車であると判定される。
次に、候補生成部12は、図15(b)の行動情報から、項目「条件付行動例」に含まれる「行動条件1」の項目に分類された情報を参照し、「希望時刻までに配車可能」という条件を表す情報と、「希望時刻までに配車不能」という条件を表す情報とを取得する。次に、候補生成部12は、取得した情報で表される条件が成立しているか否か(すなわち、希望時刻までに配車可能か不能か)を判定するために、候補生成部12は、図15(b)の行動情報から、車両2を表す情報に対応付けて項目「所在」に分類された車両2の所在を表す情報を参照する。その後、候補生成部12は、参照された情報で表される車両2が所在するF駅から、ユーザAの最寄り駅であるD駅までの車両運送時間を表す情報を、状況情報に含まれる車両運送時間情報から検索する。その後、候補生成部12は、検索された情報で表される車両運送時間を現在時刻に加算することで、車両2のD駅への運送が終了する終了時刻を算出する。その後、候補生成部12は、算出された終了時刻がユーザAのレンタル希望時刻に間に合うかどうか(つまり、空車を希望時刻に配車可能か否か)を判定する。
空車である車両2をD駅まで運送するとユーザAの希望時刻に間に合わない(空車を希望時刻に配車不能)と判定すると、候補生成部12は、図15(b)の行動情報から、「空車あり」の条件を表す情報と、「希望時刻に配車不能」を表す情報とに対応付けて項目「行動例」に分類された情報を取得する。その後、候補生成部12は、取得した情報で表される行動例に基づいてCase0「車両の到着を待つ」という行動候補を生成する。
また、空車を希望時刻に配車不能と判定すると、候補生成部12は、「空車なし」という条件が成立するとみなす。希望時刻に配車できる空車がないためである。次に、候補生成部12は、レンタル中の車をレンタル希望時刻に配車可能であるか否かを判定する。具体的には、候補生成部12は、図15(a)の車両情報から、「ユーザID」の項目に分類された情報と、「ユーザ状況」の項目に分類された情報とを参照することで、車両1は、ユーザ「B」によって既に使用済であると判別する。次に、候補生成部12は、図15(c)の位置情報から、ユーザBを識別する情報に対応付けられた「現在地」の項目に分類された情報を検索する。また、候補生成部12は、ユーザAの最寄り駅であるD駅(つまり、営業所)を表す情報と対応付けられたD駅の緯度・経度を表す情報を、情報DB2が記憶する地図情報から検索する。その後、候補生成部12は、検索されたユーザBの位置(つまり、ユーザBが乗車している車両1の位置)を緯度及び経度で表す情報と、ユーザAの最寄り駅であるD駅の緯度・経度を表す情報とに基づいて、実施の形態1で説明した方法を用いて、車両1の現在地からD駅までの所要時間を算出する。その後、候補生成部12は、算出された所要時間を現在時刻に加算することで、車両1のD駅に対する返却時刻を予測する。次に、候補生成部12は、車両1のD駅に対する返却時刻がユーザAの希望時刻に間に合うかどうかを判定する。ここで、ユーザBの返却予定地はE駅であるが、ユーザBが返却予定地を変更して今からD駅まで車両1で移動し、D駅で車両1を返却すれば、車両1の返却がユーザAの希望時刻に間に合うので、候補生成部12は、15:00にユーザAが車両1を借りることが可能(つまり、希望時刻に配車可能)と判定する。
こうして、候補生成部12は、「空車なし」の条件を表す情報と、「希望時刻に配車可能」を表す情報とに対応付けて項目「行動例」に分類された2つの情報を取得する。その後、候補生成部12は、取得した2つの情報でそれぞれ表される行動例に基づいて図17に示すようなCase1「早借り料金を払って、ユーザBから車を15:00に借りる」と、Case2「ユーザBによる車両の返却を待つ」という行動候補を生成する。
ここで、空車が存在するF駅とユーザAの最寄り駅であるD駅との距離は、ユーザBが車両を返却するE駅とD駅との距離に比べて非常に長いため、ユーザBによる車両の返却時刻に対してE駅からD駅までの車両運送時間を加算した時刻(つまり、ユーザBがD駅への車両を返却することが予想される時刻)は、現在時刻に対してF駅からD駅までの車両運送時間を加算した時刻(つまり、F駅にある空車がD駅へ配車されることが予想される時刻)よりも早い。このため、候補生成部12は、生成したCase0「車両(空車)の到着を待つ」を削除し、Case1「早借り料金を払って、ユーザBから車を15:00に借りる」を表す情報と、Case2「ユーザBによる車両の返却を待つ」を表す情報をコスト算出部13へ送信する。
図16のステップS43の後に、コスト算出部13は、実施の形態2と同様に、候補生成部12が生成した各行動候補のコスト算出に必要な情報を情報DB2から取得し、取得した情報を用いて各行動候補をユーザが実行した場合にユーザが負担するコストを算出する(ステップS44)。
具体的には、コスト算出部13は、Case1「早借り料金を払って希望時刻に車を借りる」という行動候補をユーザAが実行した場合にユーザAが負担するレンタル費用Cm2を表す情報及び早借り料金dCmを表す情報を、状況情報に含まれる料金表情報を参照することで取得する。また、コスト算出部13は、Case2「ユーザBによる車の返却を待つ」という行動候補をユーザAが実行した場合にユーザAが負担するレンタル費用Cm2を、同様に、料金表情報から取得する。次に、コスト算出部13は、図15(d)に示す心的コスト情報から、「希望時刻に借りられない」という場面を表す情報に対応付けて項目「心的コスト」に分類された情報を参照する。
次に、コスト算出部13は、Case2「ユーザBによる車の返却を待つ」をユーザAが採用する場合、ユーザBが車両を返却することが予測される時刻は、ユーザBの車両のレンタル期間の終了時刻であるとする。その後、コスト算出部13は、ユーザBの車両返却予定地であるE駅からユーザAの最寄り駅であるD駅までの車両運送時間を表す情報を、状況情報に含まれる車両運送時間情報から検索する。その後、コスト算出部13は、検索された情報で表される車両運送時間を返却予測時刻に加算することで、ユーザAに対して車両が貸し出される貸出時刻を予測する。次に、コスト算出部13は、ユーザAの貸出希望時刻から予測された貸出時刻までの待ち時間を算出する。その後、コスト算出部13は、参照した情報で表される1時間当りの心的コストの値Cfに対して、算出した待ち時間を乗算することで、行動候補Case2をユーザAが実行した場合にユーザAが負担する心的コストCFを算出する。
その後、コスト算出部13は、取得した金銭的コストCm2及びdCmと、算出した心的コストCFを等価換算するためにそれぞれ所定の換算係数を乗算して値「cm2=10」、「dcm=2」、及び「cf=5」を算出する。次に、コスト算出部13は、dcm−cf<0の場合、Case1の総コストが候補生成部12で生成された行動候補の内で最小であると判別する。これに対して、コスト算出部13は、dcm−cf≧0の場合、Case2の総コストが最小であると判別する。ここでは、cm2=10、dcm=2、及びcf=5であるので、コスト算出部13は、推奨行動候補として、Case1「早借り料金を払ってユーザBから車両を15:00に借りる」を表す情報を交渉部15に送る。
図16のステップS44の後に、行動提示装置1は、実施の形態2で説明したステップS25からステップS31の処理と同様の処理を実行した後に(ステップS45からステップS51)、行動提示処理の実行を終了する。
尚、図16を参照して、ユーザAが端末6の入力部61に「最寄り駅で15:00に車を借りたい」という要求を入力し、さらにユーザAの最寄り駅がD駅であることを入力するとして説明した。しかし、これに限定される訳ではなく、端末7だけでなく端末6も位置情報取得部を備え、候補生成部12は、この位置情報取得部から端末6の現在地を表す位置情報を取得し、取得した情報と情報DB2に予め記憶された駅の位置を表す情報とに基づいて、ユーザAの最寄り駅を自動的に特定しても良い。また、本実施の形態では、位置情報取得部73は端末7の現在地を表す位置情報を情報DB2に送信するとして説明したが、これに限定されるわけではない。位置情報取得部73は、端末7を携帯するユーザBの現在の位置に限らず、ユーザに入力された数時間後の位置を表す情報や数日後の位置を表す情報、又は端末7に搭載されたナビゲーション装置のルート探索によって決定された予定走行ルートのデータなどに基づいて予測された数時間後の位置を表す情報や数日後の位置を表す情報を、情報DB2及び行動提示装置1に送信するとしても良い。
本実施の形態において、行動提示システム102は、有償で車両を貸し出すサービスを提供するシステムを構成し、例えば、「今日の15:00に、車両を返却したい」といった車両の貸し出しサービスに関連したユーザの要求の少なくとも一部分を満足させる行動を当該ユーザに推奨するとして説明した。しかしこれに限定される訳ではなく、行動提示システム101は、タイヤという財を有償で提供(つまり、販売)するシステムを構成し、例えば、「今日の15:00に、タイヤを購入したい」といったタイヤの販売に関連したユーザAの要求に対し、当該要求を満足させる行動として、例えば、「今日、ユーザBからタイヤを購入する」といった行動を当該ユーザに推奨するとしても良い。
以上説明したように実施の形態3の行動提示システム103によれば、ユーザの心的コストを考慮し他のユーザの状況を加味して総コストが最小となるような行動をユーザに推薦する。このため、よりユーザに採用される可能性の高い行動を提示できる。特に、各ユーザの位置情報を加味して算出された総コストが最小となるような行動をユーザに推薦するので、行動提示システム101が、例えば、車両などの移動体を貸し出すレンタルシステムや移動体を複数のユーザで共有するシェアリングシステムを構成する場合には、当該レンタルシステムや当該シェアリングシステムをスムーズに運営できる。
またこれらの構成によれば、他のユーザが使用する端末の位置において、他のユーザが実行できる行動を前提とする行動を行動候補とする。このため、他のユーザの協力が得られる可能性の高い行動候補を生成できる。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)財またはサービスの提供に関する要求の少なくとも一部分を表す情報と、前記要求の少なくとも一部分を満たすための手段の状況を表す情報である状況情報と、前記要求の少なくとも一部分を満たすための行動例を表す情報である行動情報とを対応付けて記憶する情報記憶手段と、第1ユーザの要求を表す要求情報を取得する要求取得手段と、前記取得された要求情報で表される要求の少なくとも一部分を表す情報に対応付けられた状況情報と行動情報とを前記情報記憶手段から取得する状況行動情報取得手段と、前記取得された状況情報で表される状況において、前記第1ユーザの要求の少なくとも一部分を満たすために前記第1ユーザが実行できる行動の候補である行動候補を、前記取得された行動情報で表される行動例に基づいて複数生成する候補生成手段と、前記生成された行動候補のそれぞれに対し、当該行動候補の実行により前記第1ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表す心的コストを含む当該行動候補の総コストを算出するコスト算出手段と、前記算出された総コストに基づいて前記生成された複数の行動候補から選択された行動候補を、前記第1ユーザに実行を推奨する推奨行動候補として前記ユーザに提示する第1提示手段と、を備える、ことを特徴とする行動提示システム。
(付記2)前記コスト算出手段は、前記心的コストを物理的コスト又は金銭的コストに換算し、前記換算された心的コストを、前記行動候補の実行により前記第1ユーザが負担する物理的コスト又は金銭的コストに加算することで、当該行動候補の総コストを算出する、ことを特徴とする付記1に記載の行動提示システム。
(付記3)前記第1提示手段は、前記候補生成手段が生成した複数の行動候補の内で、前記算出された総コストが最小の行動候補を、前記第1ユーザに実行を推奨する推奨行動候補として前記ユーザに提示する、ことを特徴とする付記1又は2に記載の行動提示システム。
(付記4)前記推奨行動候補を前記第1ユーザが実行する前提となる行為を行うことが期待される第2ユーザが使用する端末に対して、前記ユーザが当該推奨行動候補を実行することを承諾するか拒否するかの問い合わせを表す情報を送信し、前記第2ユーザの端末から、当該問い合わせに対する承諾または拒否の回答を表す情報を受信する交渉手段を、さらに備え、前記第1提示手段は、前記交渉手段が受信した情報で表される回答が承諾であった場合に、前記推奨行動候補を前記第1ユーザに提示する、ことを特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の行動提示システム。
(付記5)前記第1ユーザが使用する端末の位置を表す情報である第1位置情報を取得する第1位置情報取得手段を、さらに備え、前記候補生成手段は、前記取得された状況情報で表される状況において、前記取得された第1位置情報で表される位置で、前記第1ユーザが実行できる行動候補を、前記取得された行動情報で表される行動例に基づいて複数生成する、ことを特徴とする付記4に記載の行動提示システム。
(付記6)前記第2ユーザが使用する端末の位置を表す情報である第2位置情報を取得する第2位置情報取得手段を、さらに備え、前記候補生成手段は、前記取得された状況情報で表される状況において、前記取得された第2位置情報で表される位置で、前記第2ユーザが実行できる行為を前提とする行動候補を、前記取得された行動情報で表される行動例に基づいて複数生成する、ことを特徴とする付記5に記載の行動提示システム。
(付記7)前記交渉手段は、前記推奨行動候補を前記第1ユーザが行うことを前記第2ユーザが承諾するか拒否するかの問い合わせを表す情報とともに、前記推奨行動候補の前提となる行為を行うことで前記第2ユーザが得られる利点を表す情報を送信し、前記送信された情報で表される問い合わせとともに、前記送信された情報で表される利点を前記第2ユーザに提示する第2提示手段、をさらに備える、ことを特徴とする付記4から6のいずれか1つに記載の行動提示システム。
(付記8)財またはサービスの提供に関する要求を表す情報である要求情報を取得する要求取得手段と、前記取得された要求情報で表される要求の少なくとも一部分を満たすための手段の状況を表す情報である状況情報と、前記要求の少なくとも一部分を満たすための行動例を表す情報である行動情報とを情報記憶手段から取得する状況行動情報取得手段と、前記取得された状況情報で表される状況において、前記第1ユーザの要求の少なくとも一部分を満たすために前記第1ユーザが実行できる行動の候補である行動候補を、前記取得された行動情報で表される行動例に基づいて複数生成する候補生成手段と、前記生成された行動候補のそれぞれに対し、当該行動候補の実行により前記第1ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表す心的コストを含む当該行動候補の総コストを算出するコスト算出手段と、前記算出された総コストに基づいて前記生成された複数の行動候補から選択された行動候補を、前記第1ユーザに実行を推奨する推奨行動候補として前記第1ユーザに提示する第1提示手段と、を備える、ことを特徴とする行動提示装置。
(付記9)コンピュータを、財またはサービスの提供に関する要求を表す情報である要求情報を取得する要求取得手段、前記取得された要求情報で表される要求の少なくとも一部分を満たすための手段の状況を表す情報である状況情報と、前記要求の少なくとも一部分を満たすための行動例を表す情報である行動情報とを情報記憶手段から取得する状況行動情報取得手段、前記取得された状況情報で表される状況において、前記第1ユーザの要求の少なくとも一部分を満たすために前記第1ユーザが実行できる行動の候補である行動候補を、前記取得された行動情報で表される行動例に基づいて複数生成する候補生成手段、前記生成された行動候補のそれぞれに対し、当該行動候補の実行により前記第1ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表す心的コストを含む当該行動候補の総コストを算出するコスト算出手段、前記算出された総コストに基づいて前記生成された複数の行動候補から選択された行動候補を、前記第1ユーザに実行を推奨する推奨行動候補として前記第1ユーザに提示する第1提示手段、として機能させる、ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された行動提示プログラム。
(付記10)財またはサービスの提供に関する要求を表す情報である要求情報を取得する要求取得ステップと、前記取得された要求情報で表される要求の少なくとも一部分を満たすための手段の状況を表す情報である状況情報と、前記要求の少なくとも一部分を満たすための行動例を表す情報である行動情報とを情報記憶手段から取得する状況行動情報取得ステップと、前記取得された状況情報で表される状況において、前記第1ユーザの要求の少なくとも一部分を満たすために前記第1ユーザが実行できる行動の候補である行動候補を、前記取得された行動情報で表される行動例に基づいて複数生成する候補生成ステップと、前記生成された行動候補のそれぞれに対し、当該行動候補の実行により前記第1ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表す心的コストを含む当該行動候補の総コストを算出するコスト算出ステップと、前記算出された総コストに基づいて前記生成された複数の行動候補から選択された行動候補を、前記第1ユーザに実行を推奨する推奨行動候補として前記第1ユーザに提示する第1提示ステップと、を有する、ことを特徴とする行動提示方法。
(付記11)ユーザからの材またはサービスの提供に関する要求を取得する要求取得手段と、前記ユーザの要求を満たすための手段に関する情報である状況情報と、前記ユーザの要求を満たすために前記ユーザがとり得る行動を表す情報である行動情報とを取得する状況行動情報取得手段と、前記状況情報及び前記行動情報に基づいて、前記ユーザの要求を満たすために前記ユーザが実行することが可能な行動を表す行動候補を生成する候補生成手段と、前記行動候補に対応し、前記ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表し他の負担に交換可能な値である心的コストを含み、前記行動候補の観点ごとの負担を表す負担情報を取得する負担情報取得手段と、前記負担情報取得手段が取得した負担情報に基づいて、前記候補取得手段が取得した各行動候補の総コストを計算し、前記総コストが最小である推奨行動候補を算出するコスト計算手段と、前記コスト計算手段が算出した前記推奨行動候補を前記ユーザに提示する提示手段と、を備える、ことを特徴とする行動提示装置。
(付記12)前記推奨行動候補の前提となっている行為を行うことが期待される他のユーザに対して、この推奨行動候補を行うことを承諾するか拒否するかの問い合わせを送信し、当該他のユーザから、その問い合わせに対する承諾または拒否の回答を受信する交渉手段を備え、前記提示手段は、前記交渉手段が受信した回答が承諾であった場合に、この推奨行動候補を前記ユーザに提示する、ことを特徴とする付記11に記載の行動提示装置。
(付記13)前記ユーザ及び前記他のユーザの居所を表す情報である位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、前記候補生成手段は、前記状況情報及び前記行動情報と前記位置情報取得手段が取得した位置情報とに基づいて、前記行動候補を生成する、ことを特徴とする付記12に記載の行動提示装置。
(付記14)前記交渉手段が前記他のユーザに対して前記推奨行動候補を行うことを承諾するか拒否するかの問い合わせを送信する際、前記提示手段は、同時に前記推奨行動候補を行うことで得られる利点を表す情報を前記他のユーザに提示する、ことを特徴とする付記12又は付記13に記載の行動提示装置。
(付記15)ユーザからの材またはサービスの提供に関する要求を取得する要求取得ステップと、前記ユーザの要求を満たすための手段に関する情報である状況情報と、前記ユーザの要求を満たすために前記ユーザがとり得る行動を表す情報である行動情報とを取得する状況行動情報取得ステップと、前記状況情報及び前記行動情報に基づいて、前記ユーザの要求を満たすために前記ユーザが実行することが可能な行動を表す行動候補を生成する候補生成ステップと、前記行動候補に対応し、前記ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表し他の負担に交換可能な値である心的コストを含み、前記行動候補の観点ごとの負担を表す負担情報を取得する負担情報取得ステップと、前記負担情報取得ステップが取得した負担情報に基づいて、前記候補取得ステップが取得した各行動候補の総コストを計算し、前記総コストが最小である推奨行動候補を算出するコスト計算ステップと、前記コスト計算ステップが算出した前記推奨行動候補を前記ユーザに提示する提示ステップと、を備える、ことを特徴とする行動提示方法。
(付記16)前記推奨行動候補の前提となっている行為を行うことが期待される他のユーザに対して、この推奨行動候補を行うことを承諾するか拒否するかの問い合わせを送信し、当該他のユーザから、その問い合わせに対する承諾または拒否の回答を受信する交渉ステップを備え、前記提示ステップは、前記交渉ステップが受信した回答が承諾であった場合に、この推奨行動候補を前記ユーザに提示する、ことを特徴とする付記15に記載の行動提示方法。
(付記17)前記ユーザ及び前記他のユーザの居所を表す情報である位置情報を取得する位置情報取得ステップを備え、前記候補生成ステップでは、前記状況情報及び前記行動情報と前記位置情報取得ステップで取得した位置情報とに基づいて、前記行動候補を生成する、ことを特徴とする付記16に記載の行動提示方法。
(付記18)前記交渉ステップが前記他のユーザに対して前記推奨行動候補を行うことを承諾するか拒否するかの問い合わせを送信する際、前記提示ステップは、同時に前記推奨行動候補を行うことで得られる利点を表す情報を前記他のユーザに提示する、ことを特徴とする付記17に記載の行動提示方法。
(付記19)コンピュータに、ユーザからの材またはサービスの提供に関する要求を取得する要求取得ステップと、前記ユーザの要求を満たすための手段に関する情報である状況情報と、前記ユーザの要求を満たすために前記ユーザがとり得る行動を表す情報である行動情報とを取得する状況行動情報取得ステップと、前記状況情報及び前記行動情報に基づいて、前記ユーザの要求を満たすために前記ユーザが実行することが可能な行動を表す行動候補を生成する候補生成ステップと、前記行動候補に対応し、前記ユーザが感じる心理的負荷の大きさを表し他の負担に交換可能な値である心的コストを含み、前記行動候補の観点ごとの負担を表す負担情報を取得する負担情報取得ステップと、前記負担情報取得ステップが取得した負担情報に基づいて、前記候補取得ステップが取得した各行動候補の総コストを計算し、前記総コストが最小である推奨行動候補を算出するコスト計算ステップと、前記コスト計算ステップが算出した前記推奨行動候補を前記ユーザに提示する提示ステップと、を実行させる、ことを特徴とする行動提示プログラム。
その他、上記のハードウェア構成やフローチャートは一例であり、任意に変更及び修正が可能である。また、実施の形態1、実施の形態2、実施の形態2の変形例、及び実施の形態3は、互いに組み合せてもよい。
要求取得部11、候補生成部12、コスト算出部13及び表示生成部14などから構成される行動提示処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。たとえば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体(フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行する行動提示システム101、102及び103を構成しても良い。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することで行動提示システム101、102及び103を構成しても良い。
また、行動提示システム101、102及び103の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記憶媒体や記憶装置に格納しても良い。
また、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)に前記コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介して前記コンピュータプログラムを配信しても良い。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成しても良い。
また、本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施形態ではなく、請求の範囲によって示される。そして、請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
本出願は、2009年12月21日に出願された日本国特許出願2009−289792号に基づく。本明細書中に日本国特許出願2009−289792号の明細書、特許請求の範囲、図面全体を参照として取り込むものとする。