JP5704892B2 - 振動型駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、振動型駆動装置に関する。特に、電気−機械エネルギー変換素子により振動子の表面の移動体との接触部分に楕円運動を形成し、該振動子と移動体とを相対移動させ、カメラ用レンズやOA機器等に用いられるいわゆる振動型駆動装置(超音波モータ)の振動子の構成に関するものである。
電界や磁界が作用したことに応じて機械的歪みを生じる歪み発生素子によって振動子を振動させ、該振動子の振動を連続的もしくは断続的な機械的運動に変換して出力する振動波アクチュエータは現在では種々の分野で使用されている。
また、該圧電素子を利用する圧電アクチュエータのうちで、超音波モータと称されるアクチュエータは連続回転式の回転駆動源を構成することができる。
このようなことから、これを従来の回転式電磁駆動モータに代わる駆動源として、既にカメラ等の光学機器に搭載されており、超音波モータの駆動制御技術も多く蓄積されている。
現在では超音波モータに関する技術は、一定の技術水準に達しているが、回転駆動する速度領域のダイナミックレンジを広くする技術には、更に改善を必要としている。
このような 超音波モータの一つとして、定在波型の振動型駆動装置が例えば特許文献1などで提案されている。
この定在波型の振動型駆動装置では、一つの電源を用いて正逆方向の駆動力を生じさせる観点から、振動子に単一振動モードによる定在波を生じさせるものが知られている。
また、他のタイプの超音波モータとして、同形の屈曲モードの振動を異なる複数の平面内に励起させるようにした進行波型の振動型駆動装置が、例えば特許文献2などで提案されている。
この進行波型の振動型駆動装置では、振動モードが同じ変形の分布を持つモードであることから、振動方向による共振周波数の変化が出にくく、2つのモードの共振周波数を一致させるためにほとんど調整を必要としないというメリットを有している。
以下にその構成の概略について説明する。
このような進行波型の振動型駆動装置は、一般に振動子は電気−機械エネルギー変換素子と、弾性部材とで構成されている。
また、振動子は電気−機械エネルギー変換素子を両側から弾性部材で挟持固定され、振動子の表面粒子(移動体と接触させる表面の一部分)に楕円運動を発生させ、この楕円運動を発生させた部分に移動体を加圧接触させて連続的に駆動するように構成されている。
圧電素子にはパターン電極が形成されており、それぞれの電極には、順に時間位相が90°ずつ異なる略サイン波形状の交流電圧が印加される。
励起する振動モードの固有振動数付近の周波数で交流電圧を印加すると、圧電素子の伸縮により振動子に加わる曲げモーメントによって振動子が共振する。
90°ずつ異なる交流電圧に対してそれぞれ励起される振動モードは同形状で、かつ位相が異なり、これらの位相が異なる振動の合成によって進行性振動(進行波波)が励起され、これにより振動子の表面に楕円運動が形成される。
特許第03124514号公報 特開平4−91671号公報
しかしながら、上記した同形の屈曲モード(振動モード)の振動を異なる複数の平面内に励起させる進行波型の振動型駆動装置では、つぎのような課題を有している。
同形の屈曲モード(振動モード)を位置的位相を90°ずらして重ね合わせて用いるものであるため、振動型駆動装置を低速で駆動するために振動子の変位量を小さく制御した際に、以下のような問題が生じる。
これを図を用いて説明する。図2は振動子101と移動体102との接触、駆動状態を模式的に示した図であり、図中101及び102の凹凸は、振動子101の振動変位と、移動体102の応答変位を示している。
図中、実線矢印は振動子101の各部分における振動振幅による送り方向を示しており、この振動振幅によって移動体102が白抜き矢印で示した方向に駆動される。
図2(a)は振動振幅が大きい高速駆動時を示しており、図2(b)は上記図2(a)の場合よりも振動振幅が小さい低速駆動時の振動状態を示している。
図2(b)のように、振動振幅を小さくすることにより各位置での送り速度を下げることによって、速度を落とすことができる(速度は白抜き矢印の長さで表している)。
移動体102は、振動子101の振動振幅の変位が大きい部分に一部が接触するようにその曲げ剛性と応答性を持たせている。
しかし、速度を下げるに従って、移動体102との接触領域が増加し、最終的には図2(b)に示すようにほとんど全面で接触した状態で低速駆動されることになる。
このような接触状態になると、接触面のほぼ全域に、部分的な振動子と移動体との速度差による滑り摩擦が働く(即ち送り方向に変位する部分と、送り方向とは反対の方向に変位する部分との両方に接触する)ために効率が低下する。
さらに、接触面で生じた摩耗粉が外部に排出されにくくなり、一種の砥粒として働くため、移動体および振動子の摩耗量が増加する。
一方、ある程度の振動振幅を維持しながら速度を下げる手法としては、A相振動とB相振動間の時間位相を90°から段階的または連続的に小さくする手法が知られている。
しかしながら、このような方法では、つぎのように振動子と移動体との接触面に悪影響を及ぼす。
これを、進行波型の振動型駆動装置であって、振動子に複数の曲げ変形を生ずるような振動モードを位置的位相を90°ずらして重ね合わせて用いる場合で説明する。
図3(a)は、振動子の振動を模式的に示した展開図である。A相、B相の振動振幅が同一で、圧電素子103のA相、B相にそれぞれ時間位相が90°(もしくは−90°)異なる駆動電圧を印加した場合の、振動子表面の摩擦駆動部117に進行性振動が全周当たり1波長発生する振動の様子を示している。(各相の振動成分の方向が全周360°当たり1回転している。)。
X軸は円周方向を示し、Y軸は振動子の長手方向(振動子から見た移動体の方向をプラスとしている)を示している。
振動子101の各部に示した楕円aからdは、振動子の摩擦駆動部117の各位置(aは45°位置、bは135°、cは225°、dは315°)に生じる楕円運動を示している。
時間位相が90°(もしくは−90°)の場合は、摩擦駆動部に生じる楕円形状(楕円比)が全て同じであることが分かる。
x1軸は駆動振動の送り方向(速度が遅いときは、この送り方向成分が小さくなる)を表し、y1軸は駆動振動の突き上げ方向(振動振幅の変位が小さい場合にはこの突き上げ方向の成分が小さくなる)を表している。
楕円の中に示した矢印A、Bは、各位置における、楕円運動を構成するA相、B相(実線矢印AがA相を、点線矢印BがB相を示す)の各振動成分の大きさと方向を示す。
楕円運動を構成するA相、B相の各相の振動成分の方向は、位置によって方向が異なっていて、時間と共に方向は360°回転する。
図3(a)では、振動子とロータ(移動体)が接触するのは、aの位置(45°)であり(A相とB相の振動の合成ベクトルがy1軸方向と一致する箇所で接触する。)、時間の経過と共に接触する位置は順次移動して行く。
図3(b)は、A相振動、B相振動間の時間位相を90°よりも小さくした場合の振動の様子を示している。即ち矢印Aと矢印Bとのなす角度が時間位相差を表している。このように場所によって駆動振動の送り成分と突き上げ成分が大きい所と小さい所とが分布して生じることにより、摩擦状態の不均一が生じている。
この不均一は、摩擦面の摩耗する速さに差を生じさせるため、摩擦面の劣化を生じ、性能の低下の原因になる。
本発明は、上記課題に鑑み、複数の駆動信号の印加により励起された進行性振動により駆動される振動型駆動装置を構成するに当たり、
低速で安定した駆動をすることができ、駆動速度のダイナミックレンジを大きくすると共に耐摩耗性の向上を図ることが可能となる振動型駆動装置の提供を目的とする。
本発明の振動型駆動装置は、電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が固定された弾性体とを備え、
前記電気−機械エネルギー変換素子への駆動信号の印加により、前記振動子に進行性振動(進行波または同形状のモードの組み合わせにより形成された進行性振動)を励起し、前記弾性体に形成された摩擦駆動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
前記振動子の摩擦駆動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
前記摩擦駆動部は、凸部と凹部とを有し、前記凸部と前記凹部とが連続した曲面形状をなし、前記駆動信号の振幅及び時間位相の少なくとも1つを変更可能に構成された駆動信号制御手段を有し、
前記凸部、前記駆動信号の印加により発生する、前記弾性体の駆動振動の、前記被駆動体の相対移動方向における極大部に設けられ前記凸部は、記相対移動方向に前記進行性振動の1波長当たり1つまたは2つ設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、複数の駆動信号の印加により励起された進行性振動により駆動される振動型駆動装置を構成するに当たり、
低速で安定した駆動をすることができ、駆動速度のダイナミックレンジを大きくすると共に耐摩耗性の向上を図ることが可能となる振動型駆動装置を実現することができる。
本発明の実施例1における進行波型の振動型駆動装置における振動子の振動を説明する模式的展開図。 従来例の進行波型の振動型駆動装置における振動子と移動体の接触状態および駆動状態を示す図。 従来例の進行波型の振動型駆動装置における振動子の振動を説明する模式図であり、(a)は振動子の振動を示した模式的展開図、(b)はA相振動、B相振動間の時間位相を90°より小さくした場合の振動の様子を示した模式的展開図。 本発明の各実施例における進行波型の振動型駆動装置の制御装置の構成を示すブロック図。 本発明の実施例1における進行波型の振動型駆動装置の構成を示す断面図。 本発明の実施例1における振動型駆動装置に用いられる振動子の斜視図。 本発明の実施例1における振動型駆動装置の振動子の振動を説明する模式的展開図。 本発明の実施例2における進行波型の振動型駆動装置の構成を示す断面図。 本発明の実施例2の進行波型の振動型駆動装置における振動子の振動を説明する模式図である。(a)は摩擦駆動部の曲面形状と振動子の摩擦駆動部の各部の振動形態をA相、B相の成分に分けて示した模式的展開図。(b)は摩擦駆動部に全周あたり3箇所に凸部を形成したは場合の振動の様子を示した模式的展開図。
本発明を実施するための形態を、以下の実施例により説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明の構成を適用した進行波型の振動型駆動装置の構成例について説明する。
本実施例の振動型駆動装置は、電気−機械エネルギー変換素子と、電気−機械エネルギー変換素子が接合された弾性体とを有し、弾性体に形成された摩擦駆動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子を備える。
この楕円運動は、上記電気−機械エネルギー変換素子への複数の駆動信号の印加により励起された進行性振動によって生成される。
そして、被駆動体(移動体)を振動子の摩擦駆動部と摩擦接触させ、楕円運動によって振動子に対して相対移動するように構成されている。
図4は本実施例の振動型駆動装置における制御装置(駆動信号制御手段)の構成を示すブロック図であり、図5は進行波型の振動型駆動装置の構成を示す断面図である。
まず、振動型モータの構成の一例を、図5を参照して説明する。
図5において、100は振動型駆動装置(振動型モータ)である。
また、101は振動子であり、金属等の振動減衰損失の小さい材料で構成された第1の弾性体101Aと、電気−機械エネルギー変換素子である圧電素子103で構成されている。
104は不図示の電源より圧電素子103に交番信号を印加するためのフレキシブル基板、101Bは第2の弾性体、105Aはシャフト106の下端に形成されたネジ部と嵌合する第1の締付け部材である。
第1の弾性体101A、圧電素子103、フレキシブル基板104、および、第2の弾性体101Bの中心部に設けられた貫通孔にシャフト106を挿入する。
シャフト106の途中には段差が設けられており、この段差が第1の弾性体101Aの内壁に設けられた段差に突き当たる。
シャフト106の先端(下端)部にはネジが形成され、このネジに締結部材である第1の締め付け部材105Aを嵌合させて締め付ける。
これにより、第2の弾性体101B、フレキシブル基板104、圧電素子103、および第1の弾性体101Aを固定することができる。
第1の弾性体101Aの圧電素子103と接触していない側の表面には、移動体であるロータ107に固定された接触バネ108が加圧接触する。
この接触バネ108は弾性を有しており、ロータ107に固定されて一体となって回転する。
109は出力手段であるギアであり、ロータ107の回転軸方向の移動を許容し、ロータ107の回転運動の移動に追従するようにロータと嵌合している。110はコイルバネ等の加圧手段であり、ロータ107のバネ受け部とギア109との間に配置され、ロータ107を第1の弾性体101Aの方向に押し下げるように加圧している。
ギア109はシャフト106と結合した固定部材111に軸支持されており、その軸方向における位置は固定部材111によって規制されている。
シャフト106の第1の締め付け部材105Aと嵌合しない側の先端(上端)部にもネジが形成されており、このネジに第2の締め付け部材105Bを嵌合させて、固定部材111にシャフト106を固定している。
固定部材111にはネジ穴が設けてあり、この固定部材111を所望の個所にネジを用いて固定することで、振動型モータを所望の個所に取り付けることができる。
圧電素子103は例えば、1つの圧電体の両面に電極膜が形成されており、片面の電極膜を4つの電極膜に分割し、A(+)、A(−)、B(+)、B(−)相を構成している。
電極膜が形成された4つの領域には、A(+)とA(−)及びB(+)とB(−)は互いに逆向きとなるように圧電素子103の厚み方向に分極が施され、A相、B相と2つのグループから構成されている。
この一方のグループ電極に駆動信号を印加すると、圧電素子103の一方の領域は厚み方向に膨張し、他方の領域は厚み方向に収縮する。
また、もう一方のグループの圧電体に時間的に90度位相のずれた駆動信号を印加する。
すると、振動子には第1の弾性体101Aを左右に振るような2つの曲げ振動(1つは振幅方向がシャフト106の軸方向と垂直な方向、もう1つはもう一方の方向と90度位相がずれた方向)が発生する。
これらの振動が合成されると、第1の弾性体101Aの表面の摩擦駆動部には、進行性振動が励起される。
この進行性振動が励起された第1の弾性体101Aの表面の摩擦駆動部に接触バネ108を加圧接触させれば、接触バネ108およびロータ107(移動体)がこの進行性振動に押し出されるようにして移動する。
振動型モータの構成は上記の構成に限定されるものではない。例えば、圧電素子等の電気−機械エネルギー変換素子、振動子、移動体等から構成されており、電気−機械エネルギー変換素子に2相以上の交流電圧を印加することにより振動子に進行性の振動を発生させる。
そして、この振動エネルギーが振動子に加圧接触されたロータ等の移動体に伝達されるように構成されたモータであってもよい。
図4に戻り説明すると、この制御装置は、振動型駆動装置100(図5に示した振動型駆動装置)の速度制御を行うものであり、つぎのように構成されている。
振動型駆動装置100に備え付けたエンコーダなどの速度検出器112からの速度情報および圧電素子103に設けられているセンサー相などの振動検出器123からの振動量等を含む振動振幅情報と、
外部(例えば、振動型駆動装置100を駆動源とする作動装置の主制御回路)から与えられた速度指令値113と、
から、それらの検出値による偏差に応じて周波数制御回路114によって駆動信号の周波数を決定する。
さらに同様に、速度偏差に応じて位相制御回路115で位相決定し、振幅制御回路116A、116Bで振幅を決定する。
各パラメータとしては、予め速度に対して最適な値が不図示のメモリに記憶されており、速度検出器112および振動検出器123によって検出された速度と振動振幅に応じたパラメータが該メモリから読み出され、決定される。
位相制御回路115の位相により周波数制御回路114からの出力の一方に位相差を与え、位相差を与えた信号ともう一方の信号をそれぞれA相、B相の駆動波形とする。
A相、B相に対して独立に設けられた振幅制御回路116A、116Bには、2相の振幅値がそれぞれ設定され、各振幅制御回路116A、116Bから増幅回路124を介して振動型駆動装置100のA相、B相の圧電素子に駆動信号がそれぞれ印加される。
つぎに、本実施例における振動子の構成と振動型駆動装置の駆動方法について説明する。
まず、本発明の弾性体に形成された摩擦駆動部について説明する。本発明の摩擦駆動部は、複数の駆動信号の印加により発生する、被駆動体の相対移動方向における弾性体の駆動振動の極大部に設けられる。そして摩擦駆動部は凸部と凹部とを有し、当該凸部と凹部とが連続した曲面形状をなす。摩擦駆動部の該凸部は、進行性振動の1波長当たり1つまたは2つ形成される。
図6は振動子の斜視図であり、図1は振動型駆動装置における振動子の振動を説明する模式的展開図である。
図1では、振動子の摩擦駆動部117の曲面形状、移動体102との接触状態および振動子の摩擦駆動部117の各部の振動をA相、B相の成分に分けて示されている。
ここで、A(+)、B(+)、A(−)、B(−)の圧電素子103に駆動信号を印加する4相駆動の場合は、A(+)とA(−)およびB(+)とB(−)は逆相になるため、省略してA相およびB相として示している(以下、他の実施形態でも同様である)。
図6には、振動子における摩擦駆動部117の構成が示されており、摩擦駆動部117は、凸部と凹部を有する連続する曲面形状で構成されている。
この曲面形状における凸部の構成の仕方の一例として、図6では、弾性体101Aにスリット118等により剛性差を設け、締め付け時の変形により、曲面形状を構成している。
曲面形状の形成方法は、この方法に限定されるものではなく、連続的な曲面形状を生成できる手法であれば、どのような方法でもあっても良い。
また、図1に示すように凸部は、B(−)圧電素子とA(+)圧電素子、B(+)圧電素子とA(−)圧電素子の各々の境界領域に設けられ、移動体の移動方向に全周当たり2つ設けられるように構成されている。
つぎに、本実施例における振動型駆動装置の駆動方法を説明する。
通常の振動型駆動装置の駆動方法では、位置的位相をπ/2として配置されたA相振動およびB相振動は、振幅を等しくし、時間的位相を互いにπ/2として振動を励起する。
そうすると、図3(a)に示したように、振動子の各位置に同じ形状の楕円運動を生じさせることができ、速度ムラのない移動体の移動を行うことができる。
図3(b)は、A相、B相間の位相差を90°から小さくした場合(|A相位相―B相位相|<90°)の摩擦駆動部117の振動の様子を示している。
場所によって駆動振動の送り成分と突き上げ成分が大きい所と小さい所とが分布して生じている。
従来の振動型駆動装置の構成では、この振動子に移動体を加圧接触させた場合には、摩擦駆動部117の全面が移動体と接触することになるため、接触位置により摩擦状態の不均一を生じる。
この不均一は、摩擦面の摩耗する速さに差を生じさせるため、摩擦面の劣化を生じ、性能の低下の原因になる。
これに対して、本実施例の振動子では、図1に示すように、摩擦駆動部117には、全周当たり2箇所に凸部が形成されている。
また、摩擦駆動部には、振動振幅が大きい箇所(即ち、弾性体の駆動振動の極大部)が移動体の移動方向に全周当たり2箇所(a、c)に形成されている。
そして、振動振幅の大きい箇所は、常に同じ位置に存在し、この2箇所(a、c)の楕円形状つまり楕円比は同じである。
これら2箇所の凸部の位置と2箇所の振動振幅の大きい位置は一致しているため、この2箇所に移動体を加圧接触させた場合には、摩擦面の不均一が生じない。そのため、簡単な駆動回路構成で、速度ムラのない移動体の移動を行うことができ、安定した低速駆動を実現することができる。
図7に、本実施例における振動型駆動装置の振動子の振動を説明する模式的展開図を記す。この図7には時間位相を変更する時の振動の大小関係が示されている。
摩擦駆動部に進行性振動によって生じる駆動振動の極大値が最も小さい領域(135°及び315°部分)の振動振幅値H2が、摩擦駆動部の最大高低差の値H1より、常時小さくなるように構成されている時は、
所定の速度に対して、駆動信号の時間位相を|A相位相―B相位相|<90°の範囲内で変更することで速度制御を行う。
この場合、振動子と移動体が接触する箇所は、2箇所であり、|A相位相−B相位相|を0°に近づけることによって、その2箇所での駆動振動の送り方向成分を極めて小さくできるので、安定した低速駆動を実現することが可能である。
また、摩擦駆動部に進行性振動によって生じる駆動振動の極大値が最も小さい領域(135°及び315°部分)の振動振幅値H2が、摩擦駆動部の最大高低差の値H1より、大きくなるように構成されている時、
つまり、高速で駆動する場合は、所定の速度に対して、A相、B相間の位相差を90°(もしくは−90°)に設定し、駆動信号の周波数を変更することで速度制御を行う。
振動振幅値H2が大きくなるに連れて、摩擦駆動部の各箇所の楕円形状をほぼ同じにすることが出来るため、移動体を滑らかに駆動することが出来る。
摩擦駆動部の最大高低差の値H1は、振動子の周波数、振動子と接触する移動体接触部の剛性、移動体を振動子に押し付ける加圧力、使用速度領域等に依存している。用途に応じてそれらのパラメータは変わるため、用途に応じて、H1を設定することが必要である。本実施例では、H1は2μmに設定した。H1の範囲は、前記したように用途に応じて適宜設計可能であるが、好ましい範囲としては0.5μmから100μmである。
摩擦駆動部が連続的な曲面形状で構成されているため、低速から高速まで連続的に速度を変更することが可能である。また、従来の不連続な凹凸形状に比べて、連続した凹凸形状では、高速駆動時にロータと接触することができるステータ部の面積が大きくなり、摩擦駆動力をロータに効率よく伝えることができるため、効率の向上を図ることが出来る。低速駆動をするために波長に合わせた凹凸形状を設けると、低速駆動はできるが高速駆動時に効率が悪くなるという課題を解決できるのである。
そして、低速時と高速時で、摩擦駆動部と移動体の接触領域を可変とすることで、摩擦面の摩耗の均一化を図ることが出来、耐摩耗性の向上を図ることが出来る。
摩擦駆動部の楕円比が同じである2箇所の振動振幅の大きい箇所は、A相、B相間の時間位相または振動振幅比、もしくは両者を同時に変更することで、任意の位置に設定することが可能である。
そのため、振動型モータの構成は、上記の構成に限定されるものではない。
[実施例2]
実施例2として、本発明を適用した円環型の振動型モータの構成例について、図8を用いて説明する。
図8(a)は振動子を説明のために、一部切り欠いた移動体(ロータ)の斜視図であり、図8(b)は振動型駆動装置の回転軸方向における断面図である。
図8において、101Aは金属からなる円環状の弾性体であり、底面には圧電素子103が固定されている。
弾性体101Aと圧電素子103が固定されているのと反対側の面には、振動変位を拡大するための溝が形成されている。
この溝によって形成された突起部の先端には摩擦部材119が設けられ、この摩擦部材119にロータ107が加圧接触している。弾性体101A、圧電素子103、摩擦部材119によって振動子が構成されている。
弾性体101Aの内径部には他よりも厚さを薄くしたフランジ部が円環の中心に向かって延びて形成されており、このフランジ部が振動型駆動装置のベース部材120に固定されている。
弾性体101Aとベース部材120との固定個所との間にバネ性を有したフランジ部を設けることにより、振動を防げることなく振動子を支持することができる。
ロータ107には、ロータ107を振動子方向に加圧する皿バネ110が固定され、この皿バネ110が回転軸121に固定されているため、ロータ107と回転軸121は一体に回転を行う。
ベース部材には回転軸121を軸支するベアリング122が設けられている。
このベアリング122を軸方向に複数配置することで回転軸121の揺動を防止している。
圧電素子103には、互いに1/4波長だけずれた2つの定在波を発生させることが可能な電極パターンが形成されており、この2つの定在波を時間的に90°位相をずらして励起すると、弾性体101Aの表面には進行性振動が発生する。この進行性振動によって押し出されるようにしてロータ107が回転移動を行う。
図9(a)は、振動型駆動装置の展開図であり、本実施形態の振動子の摩擦駆動部117の曲面形状と振動子の摩擦駆動部117の各部の振動形態をA相、B相の成分に分けて示した模式図である。
A相、B相間の位相差を90°から小さくした場合(|A相位相―B相位相|<90°)の振動の様子を示している。そして、摩擦駆動部に、進行性振動が全周あたり3波長発生する場合の様子を示している。
本実施例の振動子は、図9(a)に示すように、摩擦駆動部117は、それぞれ6つの凸部と凹部を有する連続する曲面で構成されている。
なお、この明細中での連続する曲面とは、振動変位を拡大するための溝部などの形状は含めないものを意味している。即ち、円環型の振動型モータの場合において、本発明の連続する曲面とは、溝部が設けられていないと仮定した場合の円環の摩擦駆動部の表面形状を意味する。
また、摩擦駆動部には、振動振幅の大きい個所が移動体の移動方向に全周あたり6個所(a、c、e、g、i、k)に形成されている。
そして、振動振幅の大きい箇所は、等間隔で常に同じ位置に存在し、この6箇所の楕円形状(a、c、e、g、i、k)は同じである。
これら6箇所の凸部の位置と6箇所の振動振幅の大きい位置は一致しているため、この6箇所に移動体を加圧接触させた場合には、摩擦面の摩耗の不均一が生じない。
このため、実施例1と同様の図4に示す簡単な駆動回路構成で、速度ムラのない移動体の移動を行うことができ、安定した低速駆動を実現することができる。
図9(b)は、他の振動型駆動装置の展開図であり、摩擦駆動部117に全周あたり3箇所に凸部を形成した場合を示している。本実施例においては凸部の高さを2μmとした。
摩擦駆動部117には、振動振幅の大きい個所が移動体の移動方向に全周あたり6個所(a、c、e、g、i、k)に存在する。
3箇所の凸部と一致するa、e、iの3箇所に移動体を加圧接触させた場合には、摩擦面の摩耗の不均一が生じないため、安定した低速駆動を実現することができる。
なお、以上の説明では、バー型および円環型の振動型駆動装置について説明したが、本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
例えば、振動子に同形状(もしくは同種類)で時間的位相の異なる複数の振動を励起し、その合成により進行性振動を励起するタイプの振動型駆動装置であれば、いずれの形態のものにも適用することができる。
さらに、以上に説明した本実施例での構成は一例であり、本発明は上記実施例に様々な変更や改良が加えられて実施することが可能である。
そして、以上の構成によれば、進行波または同形状のモードの組合せにより形成された進行性振動による振動型駆動装置において、A相振動とB相振動の時間位相を0°に近づけることによって、駆動振動の送り方向成分を小さくすることができる。
これにより、低速での安定した駆動と回転数のダイナミックレンジを大きくすることができ、さらに駆動信号付与手段を切り替えて駆動することで耐摩耗性の向上を図ることができる。
101:振動子
102:移動体(被駆動体)
103:圧電素子
117:摩擦駆動部

Claims (4)

  1. 電気−機械エネルギー変換素子と、前記電気−機械エネルギー変換素子が固定された弾性体とを備え、
    前記電気−機械エネルギー変換素子への駆動信号の印加により、進行性振動(進行波または同形状のモードの組み合わせにより形成された進行性振動)を励起し、前記弾性体に形成された摩擦駆動部に楕円運動が生成可能に構成された振動子と、
    前記振動子の摩擦駆動部と摩擦接触し、前記楕円運動によって該振動子に対して相対移動する被駆動体と、を有する振動型駆動装置であって、
    前記摩擦駆動部は、凸部と凹部とを有し、
    前記凸部と前記凹部とが連続した曲面形状をなし、
    前記駆動信号の振幅及び時間位相の少なくとも1つを変更可能に構成された駆動信号制御手段を有し、
    前記凸部、前記駆動信号の印加により発生する前記弾性体の駆動振動の、前記被駆動体の相対移動方向における極大部に設けられ
    前記凸部は、記相対移動方向において、前記進行性振動の1波長当たり1つまたは2つ設けられていることを特徴とする振動型駆動装置。
  2. 前記駆動信号制御手段は、前記振動子の駆動振動を検出する振動検出手段を含み構成され、前記振動検出手段によって検出された振動量の検出値に基づいて前記駆動信号を制御することを特徴とする請求項に記載の振動型駆動装置。
  3. 前記摩擦駆動部に進行性振動によって生じる駆動振動の極大値が最も小さい領域の値が、前記摩擦駆動部の最大高低差の値より常時小さくなるよう駆動が行われる際
    前記駆動信号制御手段は、所定の速度に対して前記駆動信号の振幅と時間位相の少なくとも1つを変更して速度制御をすることを特徴とする請求項1または2に記載の振動型駆動装置。
  4. 前記摩擦駆動部に進行性振動によって生じる駆動振動の極大値が最も小さい領域の値が、前記摩擦駆動部の最大高低差の値より大きくなるよう駆動が行われる際、
    前記駆動信号制御手段は、前記駆動信号の時間位相を固定し、周波数を変更して速度制御をおこなうことを特徴とする請求項1または2に記載の振動型駆動装置。
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