JP5704706B2 - Haz靭性に優れた高強度厚鋼板 - Google Patents

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Description

本発明は、建築構造物や橋梁などの大型構造物に好適に用いられ、引張強度が570MPa以上の高強度厚鋼板(以下、「570MPa級厚鋼板」と称する場合がある。)に関するものであり、殊に溶接熱影響部(HAZ)の靭性に優れた高強度厚鋼板に関するものである。
建築、造船、橋梁等の分野で使用される厚鋼板は、溶接により部材を接合するため、溶接熱影響部(HAZ:Heat Affect Zone)の靭性を確保することが必須である。近年、溶接構造物の大型化により、引張強度:570MPaクラスの高強度厚鋼板の適用が広がっているが、強度改善を目的とした合金元素添加は、一般にHAZ靭性に却って悪影響を及ぼすとされるため、HAZ靭性と鋼板強度(母材強度)を高い水準で両立させる技術が必要である。特に、少量の添加で強度を大きく改善できるNb、V等のいわゆるマイクロアロイ元素は、費用対効果の点で優れており、これらマイクロアロイ元素を最大限に活用する方策が望まれている。
570MPa級厚鋼板において、高い強度とともにHAZ靭性を確保する技術としては、これまでにも様々提案されている。例えば、特許文献1〜3には、C含有量を極低レベルに保った上で、炭素当量Ceq等の成分パラメータを制御することによって、微細ベイナイト組織を確保し、強度およびHAZ靭性を両立させる技術が提案されている。
これらの技術では、引張強度は高くなっているものの、強度の指標の一つである0.2%耐力については十分と言えない。また上記技術のうち、特許文献1、3については、高価なMoを添加成分として含有しており、コストの面からの不利がある。また、特許文献2の技術では、Moを必須成分とはしていないものの、高い0.2%耐力を示した実施例は高価なCuを多量に含有しているか、或はHAZ靭性のレベルが低いものとなっている。即ち、強度(特に、0.2%耐力)とHAZ靭性を必ずしも両立させているとは言えないものである。
一方、特許文献4には、Mg、Ca、REMの1種または2種以上と、O、Sの一方もしくは両方を含む粒子(介在物)を分散させることで、HAZ靭性を確保する技術が提案されている。しかしながら、この技術では酸化物や硫化物の粒子を所定の形態で得るために、上記元素の添加法に特別の配慮が必要となり、製造コストの上昇を招くという問題がある。
特許文献5は、C含有量を0.04%未満に制御した上で、製造条件を適切に制御することで高強度を確保するものである。しかしながら、HAZ靭性で想定している入熱レベルが10kJ/mmと高くないものである。また、高価なMoを必須成分として含有していることから、コストの点で問題がある。
特許文献6には、圧延後の冷却時に再加熱を行うことで微細析出物を析出させ、強度改善を行う技術が提案されている。しかしながら、この技術では冷却時の途中停止や再加熱という煩雑な工程が必要となる。また、HAZ靭性の改善については言及されていない。
特許文献7では、Ti窒化物を適切に分散させることで、高いHAZ靭性を実現するものである。しかしながら、良好な母材靭性を確保するために、母材強度は引張強度にして概ね550MPa以下と低いレベルしか確保できていないことが予想される。
特許文献8には、焼戻し条件を限定することで、引張強度が60kgf/mm2級(590MPa級)で脆性亀裂伝播停止特性、低温靭性を兼備することが開示されている。しかしながら、HAZ靭性の改善については考慮されていない。
特許文献9では、島状マルテンサイトの形態を制御することで、降伏強度が650MPaで大入熱HAZ靭性を確保することが提案されている。しかしながら、所定の島状マルテンサイトの形態を得るために、冷却途中での再加熱を行っており、製造コストの増大を招くという問題がある。
特開2004−300567号公報 特開2002−47532号公報 特開2003−160833号公報 特開2003−49237号公報 特開2008−261012号公報 特開2005−133163号公報 特開2010−95781号公報 特開平7−258788号公報 特開2008−308736号公報
本発明は、引張強度が570MPa以上の高強度を確保しつつ、優れたHAZ靭性を実現できる高強度厚鋼板を提供することを目的とする。
上記課題を解決した本発明の高張力鋼板は、C:0.01〜0.10%(質量%の意味。以下、化学成分組成について同じ。)、Si:0.50%以下(0%を含まない)、Mn:1.0〜2.0%、P:0.030%以下(0%を含まない)、S:0.015%以下(0%を含まない)、Al:0.005〜0.070%、Nb:0.003〜0.030%、Ti:0.005〜0.05%、N:0.0020〜0.010%、B:0.0006〜0.0050%、Ca:0.0005〜0.008%、を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、下記式(1)で求められるKVが0.060以下であるとともに、鋼組織の90面積%以上がベイナイトであり、且つ、距離1.7nm以内に他のNb原子またはC原子を有するNb原子またはC原子が、当該他のNb原子またはC原子と共に形成する合計5原子以上の集合体を、三次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡により測定したときに、前記集合体が1.0×1022個/m3以上の個数密度で存在することを特徴とする。
KV=[V]+[Nb] ・・・(1)
(但し、[V]および[Nb]は、夫々VおよびNbの含有量(質量%)を表す。)
本発明の高張力鋼板は、必要に応じて、更に(a)Ni:2.0%以下(0%を含まない)、Cu:1.80%以下(0%を含まない)、Cr:2.0%以下(0%を含まない)およびMo:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上、(b)V:0.040%以下(0%を含まない)、(c)Zr:0.020%以下(0%を含まない)および/またはREM:0.020%以下(0%を含まない)、等を含有することも有用であり、含有される成分の種類に応じて厚鋼材の特性が更に改善される。
本発明によれば、化学成分と共に組織を適切に制御し、三次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡により測定された所定の原子の集合体における平均密度を規定することで、HAZ靭性に優れた高強度厚鋼板が実現でき、こうした厚鋼板は、建築構造物や橋梁などの大型構造物の素材として極めて有用である。
Nbクラスターの個数密度を測定する手順を示す第1の概念図である。 Nbクラスターの個数密度を測定する手順を示す第2の概念図である。 Nbクラスターの個数密度を測定する手順を示す第3の概念図である。 Nbクラスターの個数密度を測定する手順を示す第4の概念図である。
本発明者らは、マイクロアロイ元素であるNb添加による強度向上作用、およびHAZ靭性への悪影響をメカニズムの観点から調査した。その結果、マイクロアロイ元素は、HAZにおいては、大部分が固溶状態で存在し、HAZで生成するベイナイト組織を粗大化させることで靭性を低下させるのに対し、母材においては、固溶状態で存在し焼入れ性を向上させることでフェライト生成を抑制する作用と、C原子とともに極めて微細な原子の集合体を形成することで、転位移動に対し障害となる作用の両方が働くことで、強度向上をもたらすことが明らかとなった。
本発明者らは、上記の知見に基づき、マイクロアロイ元素の総量を規制することで、HAZ靭性を確保するとともに、母材強度確保に有効な微細クラスターの形態を三次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡で検討することで、HAZ靭性と母材強度を両立させ得ることを見出し、本発明を完成した。
上記三次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡(3D Atom Probe Field Ion Microscope、以下単に「3DAP」と略称することがある)は、電界イオン顕微鏡(FIM)に飛行時間型質量分析器を取り付けたものである。このような構成によって、電界イオン顕微鏡で金属表面の個々の原子を観察し、飛行時間質量分析によって、これらの原子を同定することができる局所分析装置である。また、3DAPは、試料から放出される原子の種類と位置とを同時に分析可能であるため、原子の集合体の構造解析上、非常に有効な手段となる。このため、磁気記録膜や電子デバイス若しくは鋼材の組織分析等に適用されている。例えば、特開2008−240151号公報には、Nbおよび/またはTiの炭窒化物の形態を3DAPで調査した事例が報告されている。
3DAPでは、電界蒸発と呼ばれる高電界下における試料原子そのもののイオン化現象を利用するものである。試料原子が電界蒸発するために必要な高電圧を試料に印加すると、試料表面から原子がイオン化され、これがプローブホールを通り抜けて検出器に到達する。この検出器は、位置敏感型検出器であり、個々のイオンの検出器に至るまでの飛行時間を測定することによって、個々のイオンの質量分析(原子種である元素の同定)と共に、その検出された位置(原子構造位置)を同時に決定できるようにしたものである。従って、3DAPは、試料先端の原子の位置および原子種を同時に測定できるため、試料先端の原子構造を、三次元的に再構成、観察できる特徴を有している。また、電界蒸発は、試料の先端面から順次起っているため、試料先端からの原子の深さ方向分布を原子レベルの分解能で調べることができる。
本発明では、上記のような3DAPを利用し、この3DAPにより測定される原子の集合体として、距離1.7nm以内に他のNb原子またはC原子を有するNb原子またはC原子が、当該他のNb原子またはC原子と共に形成する合計5原子以上の集合体(以下、このような集合体を、「Nbクラスター」と呼ぶことがある)の個数が、1.0×1022個/m3以上の個数密度で存在させれば、転位移動の障害となることで強度向上に寄与できることが判明したのである。上記Nbクラスターの平均密度は、好ましくは3.0×1022個/m3以上であり、より好ましくは5.0×1022個/m3以上である。Nbクラスターの平均密度が、1.0×1022個/m3未満となると、強度(引張強度および/または0.2%耐力)のレベルが低下する。尚、クラスターの平均密度を上記のように確保するためには、溶製および圧延工程において、固溶状態で存在するNbを確保すると共に、焼戻し条件を適切に制御すれば良い(後述する)。
次に、本発明の高強度厚鋼板の組織について以下に説明する。本発明の高強度厚鋼板の組織は、90面積%以上がベイナイトである。ベイナイト分率を90面積%以上とすることによって、母材の引張強度を確保することが可能となる。ベイナイト分率は好ましくは95面積%以上であり、より好ましくは97面積%以上であり、特に100面積%であることが好ましい。ベイナイト組織以外の組織として、一部にマルテンサイトとオーステナイトよりなる混合組織(MA組織)、フェライト、擬ポリゴナルフェライト等を含んでいても良い。
上記のような本発明の高強度厚鋼板を得るためには、化学成分組成を適切に調整した鋼(後述する)を、溶製時において、MnやSi等を用いた脱酸により、溶存酸素量を0.01%以下とした後、Al、TiをAl→Tiの順に添加し、更に鋳造時の1500〜1450℃の冷却時間を60秒以上とする必要がある。
溶製工程から圧延工程において、固溶状態で存在するNbを確保するためには、これらの工程で生成する比較的大きいサイズのNb炭窒化物(炭化物、窒化物および炭窒化物)を低減する必要がある。Nb炭窒化物の生成抑制に対しては、鋳造後に生成するTi炭窒化物によりCやNを固定する方策が有効である。Al添加前の溶存酸素量が0.01%を超えると、Ti酸化物が生成するようになり、十分なTi炭窒化物が確保できなくなる。また、Alに先立ちTiを添加すると、同様にTi酸化物が生成し、Ti炭窒化物が確保できない。鋳造時の冷却時間(1500〜1450℃での冷却時間)が60秒を下回ると、冷却過程で生成するTi炭窒化物が減少する。尚、鋳造時の冷却時間(1500〜1450℃での冷却時間)が長くなると、鋳造過程で粗大な二次介在物が生成し、靭性に対し悪影響をおよぼすようになるため、鋳造時の冷却時間は300秒以下とすることが好ましい。
次いで、圧延に先立つ加熱温度を1200℃以下とし、加熱時間を2時間以上に制御し、仕上げ圧延温度(FRT)を710℃以上とする共に、圧延後の冷却を冷却速度:0.5℃/秒以上で行う必要がある。
また、Ti炭窒化物は加熱段階でも生成するため、加熱条件を適切に設定することで、Ti炭窒化物として固定されるCやNが増加し、固溶Nbが確保されやすくなる。加熱温度が1200℃を上回ると、加熱段階で生成するTi炭窒化物量が減少する。また、加熱時間が2時間を下回ると、Ti炭窒化物が生成する時間が不足することになる。
固溶Nbが確保された上で、本発明で規定するベイナイトの形態、およびNbクラスターの形態を実現するためには、仕上げ圧延温度(FRT)、およびその後の冷却条件を適切に制御する必要がある。FRTが710℃を下回ると、フェライト生成が促進され、ベイナイト量が不足する。圧延後の冷却速度が0.5℃/秒を下回ると、同様にフェライト生成が促進される他、冷却中にNb炭化物が生成し、Nbクラスターの生成に寄与する固溶Nb量が減少して、所定のNbクラスターの形態が得られなくなる。尚、圧延後の冷却速度の上限は特に限定されないが、冷却速度が大きくなり過ぎると、鋼板の反りが増加し、著しく製造が困難となるため、50℃/秒以下に制御することが望ましい。
圧延まま材を、t/2位置(t:板厚)での昇温速度:0.02〜1.2℃/秒で昇温し、450〜670℃で10〜20分の焼戻し処理を施すのが良い。固溶Nbを確保した上で、Nbクラスターの形態を実現するためには、焼戻し条件を適切に制御する必要がある。Nbクラスターは、焼戻しの昇温過程で核生成し、焼戻し温度での保持中に成長する。昇温速度が所定の値を上回ると、核生成する時間が不足し、Nbクラスターの個数密度(平均密度)が確保できなくなる。また、(a)昇温速度が所定の値を下回る、(b)焼戻し温度が670℃を超える、(c)焼戻し時間が20分を超えると、Nbクラスターの成長が過剰に進行し、Nbクラスターの密度が確保できなくなる。焼戻し温度が450℃を下回ったり、焼戻し時間が10分を下回ると、Nbクラスターの成長が十分進行せず、やはりクラスターの密度が確保できなくなる。尚、好ましい昇温速度は0.05℃/秒以上、0.5℃/秒以下である。
次に、本発明の高強度厚鋼板の化学成分組成について説明する。本発明では、その化学成分組成(C,Si,Mn,P,S,Al,Nb,Ti,N,BおよびCa)を適切に調整することも重要な要件である。これらの成分による作用および範囲設定理由は下記の通りである。
[C:0.01〜0.10%]
Cは、母材強度を確保する上で重要な元素である。こうした効果を発揮させるためには
C含有量は0.01%以上とする必要がある。しかしながら、C含有量が過剰になって0.10%を超えると、HAZにおける硬質MA組織の生成を促進し、靭性に悪影響を及ぼすことになる。C含有量は好ましい下限は0.03%以上であり、好ましい上限は0.08%以下(より好ましくは0.05%以下)である。
[Si:0.50%以下(0%を含まない)]
Siは、脱酸剤として有用な元素である。しかしながら、Si含有量が過剰になって0.50%を超えると、HAZにおける硬質MA組織の生成を促進し、靭性に悪影響を及ぼすことになる。Si含有量の好ましい上限は0.35%以下(より好ましくは0.20%以下)である。
[Mn:1.0〜2.0%]
Mnは、焼入れ性を改善しフェライト生成を抑制し、強度を確保する上で必要な元素である。Mn含有量が1.0%未満であると、強度が不足することになる。一方、Mn含有量が2.0%を超えて過剰になると、HAZの強度上昇による靭性低下を招くことになる。Mn含有量の好ましい下限は1.1%以上(より好ましくは1.2%以上)であり、好ましい上限は1.8%以下(より好ましくは1.6%以下)である。
[P:0.030%以下(0%を含まない)、S:0.015%以下(0%を含まない)]
PおよびSは、粒界破壊の原因となる不純物元素であり、これらの元素が過剰になるとHAZ靭性が劣化するため、P含有量は0.030%以下、S含有量は0.015%以下に抑制する必要がある。P含有量は、好ましくは0.02%以下(より好ましくは0.01%以下)であり、S含有量は、好ましくは0.01%以下(より好ましくは0.008%以下)である。
[Al:0.005〜0.070%]
Alは脱酸元素として有用な元素である。Al含有量が、0.005%未満となると、Ti酸化物が生成するようになり、Ti炭窒化物の減少による固溶NbおよびNbクラスターが不足する原因となって、強度が確保できなくなる。またAl含有量が0.070%を超えて過剰になると、母材靭性が低下する。Al含有量の好ましい下限は0.008%以上(より好ましくは0.01%以上)であり、好ましい上限は0.05%以下(より好ましくは0.04%以下)である。
[Nb:0.003〜0.030%]
Nbは固溶状態で焼入れ性を確保するとともに、Nbクラスターを形成して強度を向上させるのに有効な元素である。こうした効果を発揮させるためには、Nb含有量は0.003%以上とする必要がある。しかしながら、Nb含有量が過剰になると、HAZ組織の粗大化を招き、HAZ靭性の低下につながるので、0.030%以下とする必要がある。Nb含有量の好ましい下限は0.005%以上(より好ましくは0.01%以上)であり、好ましい上限は0.025%以下(より好ましくは0.022%以下)である。
[Ti:0.005〜0.05%]
Tiは、炭窒化物としてC、Nを消費することで、圧延後冷却に先立つ固溶Nbを増加させるのに有効な元素である。また、Nと窒化物を形成して溶接時におけるHAZのオーステナイト粒粗大化を抑制し、HAZ靭性を改善する効果をも発揮する。こうした効果を有効に発揮させるためには、Ti含有量は0.005%以上とする必要がある。しかしながら、Ti含有量が過剰になると、粗大な窒化物を形成しHAZ靭性の低下をもたらすので、0.05%以下とする必要がある。Ti含有量の好ましい下限は0.008%以上(より好ましくは0.01%以上)であり、好ましい上限は0.04%以下(より好ましくは0.03%以下)である。
[N:0.0020〜0.010%]
Nは、Ti窒化物を形成してHAZ靭性改善に寄与する元素である。このような作用を有効に発揮させるため、N含有量は0.0020%以上とする必要がある。しかしながら、N含有量が過剰になって0.010%を超えると、固溶Nが多く残って歪時効を招き、靭性低下をもたらすことになる。N含有量の好ましい下限は0.003%以上(より好ましくは0.0035%以上)であり、好ましい上限は0.008%以下(より好ましくは0.007%以下)である。
[B:0.0006〜0.0050%]
Bは、焼入れ性改善に有効な元素であり、低冷却速度でベイナイトを生成しやすくする作用を発揮する。B含有量が0.0006%未満では、圧延後の冷却時にフェライトが生成し強度を確保できなくなる。しかしながら、B含有量が過剰になると、HAZ組織の粗大化を招き、HAZ靭性低下につながるので、0.0050%以下とする必要がある。B含有量の好ましい下限は0.001%以上(より好ましくは0.0012%以上)であり、好ましい上限は0.004%以下(より好ましくは0.003%以下)である。
[Ca:0.0005〜0.008%]
Caは、脱酸元素であり、介在物を微細化してHAZ靭性を向上させるのに有効に作用する。このような効果を有効に発揮させるため、Ca含有量は0.0005%以上とする必要がある。しかしながら、Ca含有量が過剰になると、粗大酸化物を形成してHAZ靭性の低下をもたらすので、0.008%以下とする必要がある。Ca含有量は、好ましい下限は0.0008%以上(より好ましくは0.001%以上)であり、好ましい上限は0.004%以下(より好ましくは0.003%以下)である。
本発明で規定する含有元素は上記の通りであって、残部は鉄および不可避不純物であり、該不可避不純物として、原料、資材、製造設備等の状況によって持ち込まれる元素の混入が許容され得る。また、本発明の厚鋼板は、必要に応じて以下の元素を含有していても良く、含有される元素の種類に応じて厚鋼板の特性が更に改善される。
[Ni:2.0%以下(0%を含まない)、Cu:1.80%以下(0%を含まない)、Cr:2.0%以下(0%を含まない)およびMo:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上]
Ni、Cu、CrおよびMoは、いずれも鋼材の高強度化に有効な元素である。しかしながら、過剰に含有されると、強度の過大な上昇を招き、HAZ靭性に悪影響を及ぼすことになる。また、コストの観点からも、必要最小限で含有させることが好ましい。こうした観点から、Niで2.0%以下、Cuで1.80%以下、Crで2.0%以下およびMoで1.5%以下であることが好ましい。より好ましくは、Niで1.8%以下、Cuで1.5%以下、Crで1.5%以下およびMoで1.3%以下である。尚、上記の効果を有効に発揮させるための好ましい下限は、Niで0.05%以上(より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.2%以上)、Cuで0.05以上(より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.2%以上)、Crで0.05%以上(より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.4%以上)およびMoで0.05%以上(より好ましくは0.1%以上、更に好ましくは0.13%以上)である。
[V:0.040%以下(0%を含まない)]
Vは、炭窒化物として析出し、強度向上に寄与する元素である。しかしながら、V含有量が過剰になると、HAZ組織の粗大化を招き、HAZ靭性が低下する。そこでV含有量は、0.040%以下とすることが好ましい。上記の効果を有効に発揮させるためのV含有量の好ましい下限は0.002%以上であり、より好ましくは0.01%以上であり、更に好ましくは0.02%以上である。V含有量のより好ましい上限は0.035%以下であり、更に好ましくは0.03%以下である。
[Zr:0.020%以下(0%を含まない)および/またはREM:0.020%以下(0%を含まない)]
ZrおよびREM(希土類元素)は、いずれも脱酸元素であり、介在物を微細化してHAZ靭性を向上させるのに有効に作用する。しかしながら、これらの含有量が過剰になると、粗大酸化物を形成しHAZ靭性の低下をもたらす。そこでZrおよびREMの含有量は、いずれも0.020%以下とすることが好ましく、より好ましくはいずれも0.015%以下である。上記の効果を有効に発揮させるための好ましい下限は、いずれも0.0003%以上(より好ましくは0.001%以上)である。尚、本発明においてREMは、周期律表3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)およびランタノイド系列希土類元素(原子番号57〜71)の元素のいずれをも用いることができる。特に、La、Ceを用いることが好ましい。
本発明の厚鋼板においては、下記式(1)で求められるKVが、0.060以下を満足する必要がある。
KV=[V]+[Nb] ・・・(1)
(但し、[V]および[Nb]は、夫々VおよびNbの含有量(質量%)を表す。)
本発明において、上記したVとNbは、個々の含有量を制御するのみならず、これら元素の含有量によって定まるKV(HAZ靭性を確保するためのパラメータ)の値を制御することも重要である。これらの元素が過剰になりすぎると、HAZ靭性を低下させるためである。そこでKVは0.060以下と定めた。KVは好ましくは0.055以下であり、より好ましくは0.040以下である。尚、上記式(1)では、必要によって含有されるVも式中に含まれるものであるが、Vを含有しないときは、[V]は0として計算すれば良い。
尚、本発明の厚鋼板では、その板厚は、少なくとも6mm以上(好ましくは15mm以上、より好ましくは20mm以上)、100mm以下程度を想定したものである。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1、2に示す化学成分組成の鋼材を、真空溶解炉(150kgVIF)を用いて溶製し、鋳造してスラブとした後(製造条件は、後記表3、4参照)、熱間圧延して各種高強度厚鋼板を製造した。表1、2におけるREMは、Laを25%程度、Ceを50%程度含むミッシュメタルを用いた。尚、圧延後冷却時に水冷を行った場合の冷却停止温度は、室温〜200℃とした。
得られた各鋼板について、以下の要領に従って、組織、Nbクラスターの個数密度(平均密度)、母材強度、およびHAZ靭性等を評価した。
[組織(組織中に占めるベイナイト面積分率)]
各鋼板のt/4位置(t:板厚)の圧延方向に平行な断面を鏡面研磨した試験片を、2%ナイタール液でエッチングを行い、観察視野:200μm×150μmの範囲を、光学顕微鏡を用いて400倍で10視野写真撮影をした。これら10視野について、Media Cybernetics社製「Image−Pro Plus」を用いて画像解析を行い、ベイナイト面積分率(B分率)を測定した。この際、フェライト、擬ポリゴナルフェライト、およびMA以外のラス状組織はベイナイトとみなした。
[Nbクラスターの個数密度の測定]
各鋼板について、板厚中央部から、板厚方向に平行に0.5mm×0.5mm×25mmの角柱試験片を採取し、電解研磨により針状の先端を有する3DAP測定用試験片とした。この際、3DAP測定部位がt/2位置(t:板厚)となるようにした。3DAP測定は、Imago Scientific Instruments(現Cameca Instruments Inc.)社製の「LEAP3000HR」を用い、測定温度:20K、パルスフラクション:30%の条件にて実施した。得られたデータより、解析ソフト「IVAS」を用い、「Maximun Separation Method」により、Nbおよび/またはCの原子を含む原子の集合体(クラスター)の解析を行った。この方法は、指定した溶質原子間の最大間隔dmax(nm)と、クラスターに含まれるNbとCの最低合計原子数Nmin(個)をパラメータとして与える手法である。
本発明では、最大間隔dmax(nm)=1.7nm、最低合計原子数Nmin(個)=5個としてNbクラスターを定義し、個数密度(個/m3)を求めた。尚、本発明で規定するNbクラスターは、Nb原子およびC原子以外の原子も含む場合があるが、Nb原子およびC原子の規定さえ満足すれば、他にどのような原子を含んでも良い。
上記の測定手順(Nbクラスターの個数密度の測定手順)について、図面を用いて説明する。まず、図1(第1の概念図)に示すように、3DAP測定により得られた試料内原子配置から、Nb原子およびC原子を選ぶことになる。次に、図2(第2の概念図)に示すように、全てのNb原子とC原子について、各原子を中心とする半径1.7nmの球(図2中、破線で平面的に示す)を設定し、夫々の球の中に他の原子(中心となる原子以外の原子でNb原子またはC原子)が存在していれば、1個として計算する(2つ以上の球が相互に重なった状態は2個以上として計算する)。
また図3(第3の概念図)に示すように、半径1.7nmの球内に他のNb原子またはC原子が存在しないNb原子、C原子(即ち、距離1.7nm以内に他のNb原子またはC原子を有さない原子)は除外される。そして、こうした球を5個以上含む原子の集合体をNbクラスターとして、その個数を計算する。このとき、図4(第4の概念図)に示すように、Nb原子、C原子(即ち、球の数)が5個未満の集合体はクラスターとは見なさない。
また、1つのクラスターを構成する原子は、Nb原子またはC原子のどちらかだけで構成されていても良い(図4)。これは、3DAPは試料中の原子を100%検出するのではなく、ランダムに選ばれる約半分の原子は検出からとりこぼされるため、3DAP測定ではNb原子だけ(またはC原子だけ)クラスターであっても、本来はNb原子とC原子の両方が含まれていたと予想できるからである。尚、図1〜4では、Nbクラスターが3個存在していることを示している。また、本発明では1試料につき1回の測定で個数密度を求めた(測定領域は少なくとも1.0×10-233)。
[鋼板強度(母材強度)の測定]
得られた各鋼板のt/2位置(t:板厚)から、圧延方向に直角にJIS Z22014号試験片を採取し、JIS Z2241に従って引張試験を行い(各1回)、0.2%耐力および引張強度TSを測定した。0.2%耐力>520MPa、TS>590MPa(製造段階でのバラツキを考慮し、+20MPa)のものを、母材強度に優れると評価した。
[HAZ靭性(シャルピー衝撃吸収エネルギー)の測定]
得られた各鋼板のt/4位置(t:板厚)から、13mm×32mm×55mmの熱サイクル試験片を採取し、1400℃×5秒、800〜500℃の冷却時間Tc=120秒の再現HAZ熱サイクル(入熱量:15kJ/mmで溶接を行った場合のHAZの熱履歴に相当)を施した。これらの試験片から、シャルピー衝撃試験片(JIS Z2201の4号試験片)を3本採取し、−5℃でのシャルピー衝撃吸収エネルギー(vE-5)を測定し、その平均値が80Jを超えるものを、HAZ靭性に優れると評価した。
上記の測定結果を、製造条件と共に、下記表3、4に示す。尚、表3、4において、[O]は溶製時の溶存酸素量、「添加順」はAlとTiの添加順(Al→Ti:○、Ti→Al:×)、t1は1500〜1450℃での冷却時間(秒)、T2は圧延前加熱温度(℃)、t2は圧延前加熱時間(時)、FRTは圧延終了温度(℃)、R3は圧延後の冷却速度(℃/秒)、R4は圧延まま材の昇温速度(℃/秒)、T4は焼戻し温度(℃)、t4は焼戻し時間(分)、を夫々示している。
試験No.1〜31は、化学成分組成および製造条件ともに本発明の要件を満たしているため、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)と共にHAZ靭性に優れた厚鋼板が得られている。
一方、試験No.32〜56は、化学成分組成および製造条件の少なくともいずれかが本発明の要件を満たさなかった例である。
試験No.32は、S含有量が多く、また溶製時の溶存酸素量[O]が多いので、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.33は、P含有量が多く、AlとTiの添加順が適切でないので、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.34は、Al含有量が多く、また1500〜1450℃での冷却時間t1が不足し、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。
試験No.35は、B含有量が多く、また圧延前加熱温度T2が高いので、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.36は、Si含有量が多く、また圧延前加熱時間t2が不足しているので、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.37は、B含有量が少なく、また圧延終了温度FRTが低くなっているので、ベイナイト分率を確保することができず、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下している。
試験No.38は、Ca含有量が多く、また圧延後の冷却速度R3(℃/秒)が小さくなっているので、ベイナイト分率およびNbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.39は、Ti含有量が少ないと共にREM含有量が多く、また圧延まま材の昇温速度R4が小さいので、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。
試験No.40は、N含有量が少なく、また圧延まま材の昇温速度R4が大きいので、Nbクラスターの個数密度が低くなっており、母材強度(0.2%耐力)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.41は、Zr含有量が多いと共にCa含有量が少なく、また焼戻し温度T4が低くなっているので、Nbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。
試験No.42は、Al含有量が少なく、また焼戻し温度T4が高くなっているので、Nbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力)が低下している。試験No.43は、KV値が大きく、また焼戻し時間t4が不足しているので、Nbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力)が低下すると共にHAZ靭性が劣化している。試験No.44は、焼戻し時間t4が長くなっているので、Nbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力)が低下している。
試験No.45は、C含有量が少ないので、ベイナイト分率およびNbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下している。試験No.46は、C含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。試験No.47は、Mn含有量が少ないので、ベイナイト分率を確保することができず、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下している。試験No.48は、Mn含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。
試験No.49は、Nb含有量が少ないので、Nbクラスターの個数密度を確保することができず、母材強度(0.2%耐力および引張強度TS)が低下している。試験No.50は、Nb含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。
試験No.51は、Ti含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。試験No.52は、NおよびNi含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。試験No.53は、Cu含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。
試験No.54は、Cr含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。試験No.55は、Mo含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。試験No.56は、V含有量が多いので、HAZ靭性が劣化している。

Claims (4)

  1. C :0.01〜0.10%(質量%の意味。以下、化学成分組成について同じ。)、
    Si:0.50%以下(0%を含まない)、
    Mn:1.0〜2.0%、
    P :0.030%以下(0%を含まない)、
    S :0.015%以下(0%を含まない)、
    Al:0.005〜0.070%、
    Nb:0.003〜0.030%、
    Ti:0.005〜0.05%、
    N :0.0020〜0.010%、
    B :0.0006〜0.0050%、
    Ca:0.0005〜0.008%、
    を夫々含有し、残部が鉄および不可避不純物であり、
    下記式(1)で求められるKVが0.060以下であるとともに、鋼組織の90面積%以上がベイナイトであり、
    且つ、距離1.7nm以内に他のNb原子またはC原子を有するNb原子またはC原子が、当該他のNb原子またはC原子と共に形成する合計5原子以上の集合体を、三次元アトムプローブ電界イオン顕微鏡により測定したときに、前記集合体が1.0×1022個/m3以上、3852×10 20 個/m 3 以下の個数密度で存在することを特徴とするHAZ靭性に優れた高強度厚鋼板。
    KV=[V]+[Nb] ・・・(1)
    (但し、[V]および[Nb]は、夫々VおよびNbの含有量(質量%)を表す。)
  2. 更に、Ni:2.0%以下(0%を含まない)、Cu:1.80%以下(0%を含まない)、Cr:2.0%以下(0%を含まない)およびMo:1.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される1種以上を含有する請求項1に記載の高強度厚鋼板。
  3. 更に、V:0.040%以下(0%を含まない)を含有する請求項1または2に記載の高強度厚鋼板。
  4. 更に、Zr:0.020%以下(0%を含まない)および/またはREM:0.020%以下(0%を含まない)を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の高強度厚鋼板。
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