JP5703838B2 - 難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Description

本発明は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の難燃性を向上させると共に、耐熱性、耐衝撃強度、弾性率等の物性をバランスよく改善し、成形品の製品適応範囲を広げる難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に関するものである。また、本発明はこの難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品に関するものである。
最近、地球温暖化の要因として、大気中における炭酸ガス濃度の上昇が指摘され、地球規模での炭酸ガス排出規制の必要性が唱えられている。炭酸ガス排出源としては、生物の呼吸、バクテリアによる腐敗・醗酵等も有るが、燃焼による部分が大きく、現状の大気中の炭酸ガス濃度上昇現象は、人間による産業革命以後の石油資源を浪費した経済活動によってもたらされたものと言って過言ではない。
ところで、近年、カーボンニュートラルとして、炭酸ガスを吸収、固定する植物資源の有効活用が注目されている。即ち、植生によって、炭酸ガスの吸収を図る一方で、将来枯渇が予想される石油資源の代替を図るというものである。
プラスチックにおいても、従来の石油を基礎原料とするものから、バイオマスを利用したプラスチックが開発され、当初、これらは生分解性樹脂として注目を集めたが、最近では植物系プラスチックとしてその意義が見直されている。
こうした生分解性樹脂の中にあって、物性と量産化の可能性からポリ乳酸樹脂(PLA)の実用化が期待されてきたが、ポリ乳酸樹脂では、既存の石油系プラスチックに比べて機械的強度、特に耐衝撃強度に劣るという欠点が有り、早くからその改良が望まれてきた。
加えてポリ乳酸樹脂は、ポリエステル系樹脂等の他の樹脂に比べて非常に良く燃えるため、難燃化が極めて困難であるという問題もあった。
一般に、プラスチックの耐衝撃強度を改良する為には、ゴム質重合体をブレンドする方法が行われており、ポリ乳酸樹脂に対しても同様の取り組みが行われてきた。
例えば、特許文献1「特開平9−316310号公報」、特許文献2「特開2001−123055号公報」には、変性オレフィン化合物を添加する方法が、特許文献3「特開平11−140292号公報」には、架橋ポリカーボネートを配合する方法が示されているが、いずれも既存の汎用プラスチックと比較すると物性改良効果は十分とは言えない。
特許文献4「特開2002−37987号公報」には、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)へのグラフト重合体(AES樹脂)の配合が示されているが、アイゾット衝撃強度で示される耐衝撃強度の改良効果は十分とは言えない。
特許文献5「特開2003−286396号公報」には、多層構造重合体として、グラフト重合体の配合効果が示されている。ここでは多層構造重合体の最外層が不飽和カルボン酸アルキルエステル系単位を含有する重合体と規定しており、具体的にはゴム質重合体にメタクリル酸メチルなどのグラフトした重合体を示唆している。この技術では、確かに改質効果は高く評価されるものの、これら改質剤はいずれも高価であるため、工業的な生産には不適当である。
一方、特許文献6「特開2006−137908号公報」、特許文献7「特開2006−161024号公報」には、ポリ乳酸樹脂にゴム含有グラフト共重合体と硬質共重合体を添加することにより、耐衝撃性、耐熱性等を改善したポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が提案されているが、物性バランスのより一層の向上が市場より期待されている。
難燃性の改善については、特許文献8「特開2007−146087号公報」に、ポリ乳酸樹脂に、難燃性を付与するためにポリカーボネート樹脂に代表されるポリエステル系樹脂と難燃剤の特定量を配合した難燃ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が提案されている。しかしながら、市場のニーズは、薄肉・高剛性の要求があり、更なる機能改良が求められている。
特許文献9「特開2009−91453号公報」には、耐衝撃性や耐熱性の向上を目的としてポリ乳酸にポリエステル系繊維等の有機繊維を配合した樹脂組成物が提案されているが、難燃性および物性バランスにはまったく触れられていない。
特開平9−316310号公報 特開2001−123055号公報 特開平11−140292号公報 特開2002−37987号公報 特開2003−286396号公報 特開2006−137908号公報 特開2006−161024号公報 特開2007−146087号公報 特開2009−91453号公報
本発明は、上述した従来技術における課題を解決し、本来、高い可燃性を持つポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の難燃性を大幅に向上させると共に、耐熱性、耐衝撃強度、弾性率等の物性をバランスよく改善し、成形品の製品適応範囲を広げる難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物と、この難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来の技術の検証・改良に鋭意努力した結果、特定組成のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に特定量の芳香族ポリカーボネート樹脂、難燃剤およびポリエチレンナフタレート繊維を添加することにより難燃性を大幅に向上させると共に、耐熱性、耐衝撃強度、弾性率等の物性をバランスよく改善することができ、また、この難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、一般射出成形においても実用上使用に耐え得る良好な成形品外観を呈することを見出した。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、本発明の要旨は、ポリ乳酸樹脂(A)10〜95重量%と、ゴム含有スチレン系樹脂(B)90〜5重量%からなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、芳香族ポリカーボネート樹脂(C)50〜200重量部、難燃剤1〜50重量部(D)およびポリエチレンナフタレート繊維(E)1〜50重量部を添加してなる難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、該ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、リン元素が担持されていないか、或いは、繊維重量に対して3.0重量%以下のリン元素が担持されており、かつ、該ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、ポリウレタン樹脂を含む表面処理剤により表面処理されたものであることを特徴とする難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物、に存する。
本発明の別の要旨は、このような本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品、に存する。
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、高度の難燃性を有すると共に、耐熱性、耐衝撃強度、弾性率等の物性バランスに優れ、成形品の製品適応範囲を大幅に広げることができる。特に、本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、その優れた難燃性と物性バランスから、最近の各種分野における製品の軽量化を目的とした薄肉・高剛性材料における高度な難燃性が要求される電気、電子、OA機器の各種筐体や構造部材としての用途に適した素材である。
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が、高度な難燃性を発現できる理由の詳細は、明確ではないが、本発明における特定配合の組成領域において、燃焼時、均一なチャー(炭化層)を形成することができ、酸素を遮断しつつ、ポリ乳酸からの可燃性ガスを封じ込めることができるためと推測している。
本発明によれば、このように実用的な難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を提供することにより、植物系樹脂であるポリ乳酸樹脂の用途を更に広げ、カーボンニュートラルの理念の実践を更に促進して、地球環境負荷低減に貢献することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本明細書において、「(共)重合」は「重合」と「共重合」との総称である。また、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸および/またはメタクリル酸」を意味する。
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)10〜95重量%と、ゴム含有スチレン系樹脂(B)90〜5重量%からなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、芳香族ポリカーボネート樹脂(C)50〜200重量部、難燃剤(D)1〜50重量部およびポリエチレンナフタレート繊維(E)1〜50重量部を添加してなることを特徴とする。
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分]
本発明において、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分は、ポリ乳酸樹脂(A)10〜95重量%とゴム含有スチレン系樹脂(B)90〜5重量%からなる。
<ポリ乳酸樹脂(A)>
本発明の樹脂組成物に適用されるポリ乳酸樹脂(A)は、乳酸を直接脱水縮重合する方法、或いはラクチドを開環重合する方法等といった、公知の手段で得る事ができる。
ポリ乳酸樹脂にはL体、D体、DL体の3種の光学異性体が存在し、市販されているポリ乳酸樹脂としては、L体の純度が100%に近いものがあるが、本発明で用いるポリ乳酸樹脂(A)は、特にその純度を規定するものではなく、また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分を含んだ共重合体でも構わない。
ポリ乳酸樹脂(A)に含まれる他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。このような共重合成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)中の全単量体成分中通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂(A)の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量としては、通常1万以上、好ましくは5万以上、さらに10万以上であることが望ましい。ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常40万以下である。
なお、分子量の測定はGPC(溶媒THF:テトラヒドロフラン)にて測定することができるが、ポリ乳酸がペレット状の場合、THFに溶解し難い場合があり、その場合は、クロロホルムに溶解させた後、メタノールを用いてポリマー成分を析出させ、そのポリマー成分を乾燥させたものをTHFに溶解させて可溶分の分子量を測定することができる。また、必要に応じて加温するなどして溶解させることもできる。
本発明において、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分中のポリ乳酸樹脂(A)の配合量は、10〜95重量%の範囲であるが、好ましくは30〜95重量%、より好ましくは50〜90重量%であることが、カーボンニュートラルの観点や、物性バランス改善の点において好ましい。ポリ乳酸樹脂(A)の配合量が上記下限値以上であることにより、ポリ乳酸樹脂を有効利用する本発明の目的を達成することができ、上記上限値以下であることにより物性バランスに優れた成形品が得られる。
なお、ポリ乳酸樹脂(A)は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
このようなポリ乳酸樹脂(A)の具体例としては、例えば、市販品のNature Works社製「Ingeo」、中国海生生物材料公司社製「REVODE」などが挙げられ、いずれも本発明に使用することができる。
<ゴム含有スチレン系樹脂(B)>
本発明で使用するゴム含有スチレン系樹脂(B)とは、一般にABS、ASA、AES、HIPS、MBS等で表現されるゴム質重合体に硬質(共)重合体をグラフト重合したゴム含有グラフト共重合体である。
ここで、ゴム含有グラフト共重合体とは、単量体をゴム質重合体にグラフト重合させることにより得られるものであり、このグラフト重合に際しては、中にはゴム質重合体にグラフト重合していない単量体の(共)重合物が生成する場合もあるが、本発明でいうグラフト共重合体はこれらを含めてグラフト共重合体とする。また、本発明で使用するゴム含有スチレン系樹脂(B)は、ゴム含有グラフト共重合体(b−1)と硬質(共)重合体(b−2)とを含むものであってもよい。
(ゴム含有グラフト共重合体(b−1))
ゴム含有グラフト共重合体(b−1)を形成するゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体等のブタジエン系ゴムや、スチレン/イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム;ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン共重合体等のオレフィン系ゴム;ポリオルガノシロキサン等のシリコン系ゴム等が挙げられ、これらのうち、生産コストが妥当で、ポリ乳酸への改質効果が良好であることにより、ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴムが好ましい。これらのゴム質重合体は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
なお、これらゴム質重合体は、モノマーから使用することができ、ゴム質重合体の構造がコア/シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
上記のゴム質重合体のゲル含有量は、通常50〜90重量%、好ましくは60〜85重量%で、さらに好ましくは70〜85重量%である。ゲル含有量がこの範囲内であれば、得られる難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の特性、特に、耐衝撃強度を向上させることができる。ゴム質重合体のゲル含有量が50〜90重量%であると耐衝撃強度の向上効果を十分に得ることができる理由の詳細は明らかではないが、ゲル含有量が上記下限値以上であることにより、ゴム質重合体の衝撃エネルギーの吸収が効率的に行われ、また、上記上限値以下であることにより、グラフト重合するビニル系単量体の一部がゴム質重合体の内部に含浸して、衝撃エネルギーの吸収や分散が得られるようになることによるものと推定される。従って、ゲル含有量が50〜90重量%の範囲であると、衝撃エネルギーの吸収または分散が効果的に行われ、耐衝撃性の向上に優れた効果を発現するものと考えられる。
なお、ゴム質重合体のゲル含有量を測定するには、具体的には、秤量したゴム質重合体を、適当な溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、200メッシュ金網で分取して、金網上に残った不溶分を60℃で24時間乾燥した後秤量する。分取前のゴム質重合体に対する不溶分の割合(重量%)を求め、ゴム質重合体のゲル含有量とする。ゴム質重合体の溶解に用いる溶剤としては、例えば、ポリブタジエンではトルエンを、ポリブチルアクリレートではアセトンを用いると測定が行いやすい。
また、ゴム質重合体の粒子径は、特に限定されるものではないが、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.5μmである事がより好ましい。なお、ゴム質重合体の平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
このようなゴム質重合体にグラフト重合させる硬質(共)重合体には、芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量体を用いることが好ましい。具体的な芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
また、ゴム質重合体にグラフト重合させる硬質(共)重合体には、芳香族ビニル系単量体を主成分として、その他の共重合可能な単量体を併用することができる。共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド化合物が挙げられ、シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルが挙げられる。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。特に、耐熱性や衝撃性などのバランスから、その他の共重合可能な単量体としてはアクリロニトリルを使用することが好ましい。また、場合により官能基により変性された単量体を含んでいてもよく、このような単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
なお、単量体の使用比率(重量比)としては、芳香族ビニル系単量体/その他の共重合可能な単量体として100/0〜60/40の範囲で用いることが好ましい。
グラフト重合は、公知の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合により行うことができ、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。
ゴム含有グラフト共重合体(b−1)としては、重合方法や成分組成の異なるゴム含有グラフト共重合体の2種以上を混合して用いても良い。
(硬質(共)重合体(b−2))
本発明で使用されるゴム含有スチレン系樹脂(B)は、耐熱性や流動性などの特性改良のため、上記のゴム含有グラフト共重合体(b−1)に硬質(共)重合体(b−2)を配合したものであっても良い。
この場合に用いられる硬質(共)重合体(b−2)に用いられる単量体成分としては、先のゴム含有グラフト共重合体(b−1)で紹介した芳香族ビニル系単量体を主成分とした単量体および、その他の単量体を使用することができ、その好適組成についても同様である。
硬質共重合体(b−2)の重量平均分子量は、50,000〜300,000の範囲が好ましく、さらに好ましくは100,000〜250,000の範囲である。硬質共重合体(b−2)の重量平均分子量が上記下限値以上であることにより、得られる成形品の耐衝撃性が良好となり、また、上記上限値以下であることにより、成形加工性が良好となる。
この硬質(共)重合体(b−2)についても1種を単独で用いても良く、異なる組成、分子量のものを2種以上混合して用いても良い。
(ゴム含有量・アセトン可溶分の重量平均分子量・グラフト率)
本発明のゴム含有スチレン系樹脂(B)は、上述のゴム含有グラフト共重合体(b−1)よりなる場合であっても、ゴム含有グラフト共重合体(b−1)と硬質(共)重合体(b−2)とを含む場合であっても、以下の好適なゴム含有量、アセトン可溶分の重量平均分子量およびグラフト率を満たすことが好ましい。
ゴム含有スチレン系樹脂(B)中のゴム含有量は好ましくは5〜80重量%、より好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは7〜30重量%の範囲となるように調整する。この範囲よりもゴム含有量が低い場合には、十分な耐衝撃性が得られず、また、この範囲より多くても耐衝撃強度の向上は望めず、分散性不良や、剛性などの機械的特性の低下を招くおそれがある。
なお、ゴム含有スチレン系樹脂(B)のゴム含有量は、赤外分光測定装置を使用することにより測定することができる。
また、ゴム含有スチレン系樹脂(B)のアセトン可溶分の重量平均分子量は、50,000〜600,000の範囲が好ましく、より好ましくは70,000〜400,000、さらに好ましくは100,000〜250,000の範囲である。アセトン可溶分の重量平均分子量がこの範囲より低い場合には、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性が不足し、また、この範囲を超えた場合にはポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が低下する。
また、ゴム含有スチレン系樹脂(B)のグラフト率((アセトン不溶分重量/ゴム質重合体重量−1)×100)は、15〜150重量%であることが好ましい。ゴム含有スチレン系樹脂(B)のグラフト率が15重量%より低い場合には、ゴム質重合体の分散性の低下や、衝撃強度の低下を生じる。また、グラフト率が150重量%より高い場合には、耐衝撃強度や成形性が低下する傾向にある。なお、ゴム質重合体にグラフト重合している(共)重合体は、ゴム質重合体の外部のみならず内部にオクルードした構造であっても良い。
なお、ゴム含有スチレン系樹脂(B)中のゴム含有グラフト共重合体(b−1)と硬質(共)重合体(b−2)の割合は、上記の好適なゴム含有量、アセトン可溶分の重量平均分子量及びグラフト率を満たす範囲において任意であるが、通常、ゴム含有グラフト共重合体(b−1)と硬質(共)重合体(b−2)との合計であるゴム含有スチレン系樹脂(B)中の10〜100重量%、特に15〜50重量%がゴム含有グラフト共重合体(b−1)であることが好ましい。
なお、これらゴム含有スチレン系樹脂(B)は、市場などから回収された樹脂や製造、あるいは成形工程で発生した樹脂屑などを配合してもよい。
本発明において、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分中のゴム含有スチレン系樹脂(B)の配合量は、5〜90重量%の範囲であるが、好ましくは5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%であることが、カーボンニュートラルの観点や、物性バランス改善の点において好ましい。ゴム含有スチレン系樹脂(B)の配合量が上記上限値以下であることにより、ポリ乳酸樹脂(A)の配合量を少なくすることなく、ポリ乳酸樹脂を有効利用する本発明の目的を達成し、上記下限値以上であることにより、物性バランスに優れた成形品を得ることができる。
<芳香族ポリカーボネート樹脂(C)>
本発明に使用される芳香族ポリカーボネート樹脂(C)は、好ましくは溶液粘度法による粘度平均分子量が、12,000〜30,000の分子量を示すものであり、1種以上のビスフェノール類とホスゲン又は炭酸ジエステルとの反応によって製造することができる。また、分子構造中に塩素原子および臭素原子を含有すると芳香族ポリカーボネート樹脂自体の難燃性は向上するが、他樹脂との相溶性が悪化することから、これらを含有しないことが好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂(C)が塩素原子および臭素原子を含有しないことは、蛍光X線分析装置等の分析装置により確認することができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(C)の製造に用いるビスフェノール類の具体例としては、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシフェニル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、或いはこれらのアルキル置換体、アリール置換体、ハロゲン置換体などが挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族ポリカーボネート樹脂(C)としては、ビスフェノール類として2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを用いた、いわゆるビスフェノールA系ポリカーボネート樹脂が、市場で容易に入手できる点から好ましい。このような芳香族ポリカーボネート樹脂(C)の市販品としては、例えば、帝人化成(株)製:「パンライトL−1225L」(粘度平均分子量=15,000)、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製:「ユーピロンE−2000」(粘度平均分子量=25,000)などが挙げられる。
本発明において用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(C)は、市販の音楽用CDやゲーム用CD、MD、MO、DVD等の光学ディスクから金属反射膜や、塗装膜を除去して回収された回収芳香族ポリカーボネート樹脂を使用してもよく、このような回収芳香族ポリカーボネート樹脂を用いることにより、使用済みの光学ディスクや不良品の光学ディスクをリサイクルして環境負荷のより一層の低減を図ることができるだけでなく、このような光学ディスクに利用される分子量のポリカーボネート樹脂を使用することにより、ポリ乳酸樹脂(A)とゴム含有スチレン系樹脂(B)との溶融混合性を高め、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に、優れた物性バランスおよび成形品表面外観を付与することができる。
ここで処理する光学ディスクは、基板が芳香族ポリカーボネート樹脂よりなる光学ディスクの生産から販売後迄のあらゆる経路から発生するいわゆる不良品、返却品、回収品、更には使用済の光学ディスク等の不用になった光学ディスクである。
この光学ディスクとしては、具体的には、再生専用方式のものではコンパクトディスク、ミニディスク、レーザーディスク等のROMディスクがあり、記録及び再生方式のものではCD−R、ライトワンスディスク等のDRAMディスクがあり、書き換え可能方式のものでは光磁気ディスク、相変化光ディスク等のE−DRAWの光ディスクが挙げられる。これらの光学ディスクには、片面記憶型及びDVD用の2枚貼り合せ型がある。
このような光学ディスクから芳香族ポリカーボネート樹脂を回収するには、酸またはアルカリ処理等による化学的処理方法、サンドブラスト法等の機械的処理方法等により、光学ディスクから金属反射膜や、塗装膜を除去して、常法に従って樹脂を回収すれば良い。
このようにして得られる回収芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平均分子量で、12,000〜18,000であることが望ましい。
なお、本発明において、粘度平均分子量とは、塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度[ηsp]を次式に挿入して求めた値である(但し[η]は極限粘度、Mは粘度平均分子量)。
[ηsp]/c=[η]+0.45×[η]2c
[η]=1.23×10×M0.83
c=0.7(濃度)
これらの芳香族ポリカーボネート樹脂(C)は、1種を単独で用いてもよく、反応原料や分子量等の異なるものを2種以上併用してもよい。また、新品の樹脂と回収樹脂とを混合して用いてもよい。
本発明において、芳香族ポリカーボネート樹脂(C)の配合量は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に対し50〜200重量部であり、好ましくは80〜150重量部、より好ましくは90〜120重量部である。芳香族ポリカーボネート樹脂(C)の配合量が上記下限値以上であることにより、これを配合したことによる難燃性、耐衝撃性、耐熱性等の物性バランス向上効果を十分に得ることができるが、上記上限値を超えると燃焼性、耐衝撃性、耐熱性等の物性バランスが著しく悪化する。
<難燃剤(D)>
本発明で使用される難燃剤(D)は、樹脂に難燃性を付与する目的で添加される物質であれば特に限定されるものではなく、具体的には、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤、およびその他の無機系難燃剤などが挙げられ、これらの1種以上を選択して用いることができる。
本発明で用いられる臭素系難燃剤の具体例としては、デカブロモジフェニルオキサイド、オクタブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモジフェニルオキサイド、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモシクロドデカン、ビス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ヘキサブロモベンゼン、1,1−スルホニル[3,5−ジブロモ−4−(2,3−ジブロモプロポキシ)]ベンゼン、ポリジブロモフェニレンオキサイド、テトラブロムビスフェノール−S、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、トリブロモフェノール、トリブロモフェニルアリルエーテル、トリブロモネオペンチルアルコール、ブロム化ポリスチレン、ブロム化ポリエチレン、テトラブロムビスフェノール−A、テトラブロムビスフェノール−A誘導体、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマーまたはポリマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマーまたはポリマー、ブロム化フェノールノボラックエポキシなどのブロム化エポキシ樹脂、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(2−ヒドロキシジエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロムビスフェノール−A−ビス(アリルエーテル)、テトラブロモシクロオクタン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ポリ(ペンタブロモベンジルポリアクリレート)、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ジブロモネオペンチルグリコール、ペンタブロモベンジルポリアクリレート、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、N,N’−エチレン−ビス−テトラブロモフタルイミドなどが挙げられる。なかでも、テトラブロムビスフェノール−A−エポキシオリゴマー、テトラブロムビスフェノール−A−カーボネートオリゴマー、ブロム化エポキシ樹脂が好ましい。
本発明で用いられるリン系難燃剤は特に限定されることはなく、通常一般に用いられるリン系難燃剤を用いることができ、代表的にはリン酸エステル、ポリリン酸塩などの有機リン系化合物や赤リンが挙げられる。
上記の有機リン系化合物におけるリン酸エステルの具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物などの縮合リン酸エステルを挙げることができる。市販の縮合リン酸エステル難燃剤としては、例えば大八化学社製PX−200、PX−201、PX−202、CR−733S、CR−741、CR747などを挙げることができる。
また、有機リン系化合物としては、リン酸、ポリリン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンとの塩からなるリン酸塩、ポリリン酸塩を挙げることもできる。ポリリン酸塩の代表的な塩として、金属塩としてリチウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、鉄(II)塩、鉄(III)塩、アルミニウム塩など、脂肪族アミン塩としてメチルアミン塩、エチルアミン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、ピペラジン塩などが挙げられる。
また、上記の他、トリスクロロエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)などの含ハロゲンリン酸エステル、また、リン原子と窒素原子が二重結合で結ばれた構造を有するホスファゼン化合物、リン酸エステルアミドを挙げることができる。
また、赤リンとしては、未処理の赤リンのみでなく、熱硬化性樹脂被膜、金属水酸化物被膜、金属メッキ被膜から成る群より選ばれる1種以上の化合物被膜により処理された赤リンを好ましく使用することができる。熱硬化性樹脂被膜の熱硬化性樹脂としては、赤リンを被膜できる樹脂であれば特に制限はなく、例えば、フェノール−ホルマリン系樹脂、尿素−ホルマリン系樹脂、メラミン−ホルマリン系樹脂、アルキッド系樹脂などが挙げられる。金属水酸化物被膜の金属水酸化物としては、赤リンを被膜できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンなどを挙げることができる。金属メッキ被膜の金属としては、赤リンを被膜できるものであれば特に制限はなく、Fe、Ni、Co、Cu、Zn、Mn、Ti、Zr、Alまたはこれらの合金などが挙げられる。さらに、これらの被膜は2種以上組み合わせて、あるいは2種以上に積層されていてもよい。
本発明で用いられる窒素化合物系難燃剤としては、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、含窒素複素環化合物、シアン化合物、脂肪族アミド、芳香族アミド、尿素、チオ尿素などを挙げることができる。なお、上記リン系難燃剤で例示したようなポリリン酸アンモニウムなど含窒素リン系難燃剤はここでいう窒素化合物系難燃剤には含まない。脂肪族アミン化合物としては、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、ブチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロオクタンなどを挙げることができる。芳香族アミン化合物としては、アニリン、フェニレンジアミンなどを挙げることができる。含窒素複素環化合物としては、尿酸、アデニン、グアニン、2,6−ジアミノプリン、2,4,6−トリアミノピリジン、トリアジン化合物などを挙げることができる。シアン化合物としては、ジシアンジアミドなどを挙げることができる。脂肪族アミドとしては、N,N−ジメチルアセトアミドなどを挙げることができる。芳香族アミドとしては、N,N−ジフェニルアセトアミドなどを挙げることができる。
上記において例示したトリアジン化合物は、トリアジン骨格を有する含窒素複素環化合物であり、トリアジン、メラミン、ベンゾグアナミン、メチルグアナミン、シアヌル酸、メラミンシアヌレート、メラミンイソシアヌレート、トリメチルトリアジン、トリフェニルトリアジン、アメリン、アメリド、チオシアヌル酸、ジアミノメルカプトトリアジン、ジアミノメチルトリアジン、ジアミノフェニルトリアジン、ジアミノイソプロポキシトリアジンなどを挙げることができる。
メラミンシアヌレートまたはメラミンイソシアヌレートとしては、シアヌール酸またはイソシアヌール酸とトリアジン化合物との付加物が好ましく、通常は1対1(モル比)、場合により1対2(モル比)の組成を有する付加物を挙げることができる。このものは、公知の方法で製造されるが、例えば、メラミンとシアヌール酸またはイソシアヌール酸の混合物を水スラリーとし、良く混合して両者の塩を微粒子状に形成させた後、このスラリーを濾過、乾燥後に一般には粉末状で得られる。また、上記の塩は完全に純粋である必要は無く、多少未反応のメラミンないしシアヌール酸、イソシアヌール酸が残存していても良い。また、樹脂に配合される前の平均粒径は、成形品の難燃性、機械的強度、表面性の点から100〜0.01μmが好ましく、更に好ましくは80〜1μmである。
窒素化合物系難燃剤の中では、含窒素複素環化合物が好ましく、中でもトリアジン化合物が好ましく、さらにメラミンシアヌレートが好ましい。また、上記窒素化合物系難燃剤の分散性が悪い場合には、トリス(β−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートなどの分散剤やポリビニルアルコール、金属酸化物などの公知の表面処理剤などを併用してもよい。
本発明で用いられるシリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂、シリコーンオイルを挙げることができる。
前記シリコーン樹脂は、SiO、RSiO3/2、RSiO、RSiO1/2の構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有する樹脂などを挙げることができる。ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、または、フェニル基、ベンジル基等の芳香族基、または上記置換基にビニル基を含有した置換基を示す。
前記シリコーンオイルは、ポリジメチルシロキサン、およびポリジメチルシロキサンの側鎖あるいは末端の少なくとも1つのメチル基が、水素原子、アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、アミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、クロロアルキル基、アルキル高級アルコールエステル基、アルコール基、アラルキル基、ビニル基、およびトリフロロメチル基から選ばれる少なくとも1つの基により変性された変性ポリシロキサン、またはこれらの混合物を挙げることができる。さらには、芳香族ポリカーボネート樹脂にシリコーン系樹脂やポリジメチルシロキサンなどのシリコーン化合物を共重合させた樹脂を用いても良い。
本発明で用いられるその他の無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、メタスズ酸、酸化スズ、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化第一錫、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム、ホウ酸アンモニウム、オクタモリブデン酸アンモニウム、タングステン酸の金属塩、タングステンとメタロイドとの複合酸化物、スルファミン酸アンモニウム、黒鉛、膨潤性黒鉛などを挙げることができる。中でも、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、膨潤性黒鉛が好ましい。
前記、難燃剤(D)の中では、ハロゲンを全く含有しないリン系難燃剤、窒素化合物系難燃剤、シリコーン系難燃剤およびその他の無機系難燃剤から選択される少なくとも1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
難燃剤を2種以上併用する場合、リン系難燃剤と他の難燃剤を併用することが好ましい。リン系難燃剤と併用する窒素化合物系難燃剤としては、含窒素複素環化合物が好ましく、中でもトリアジン化合物が好ましく、さらにメラミンシアヌレートが好ましい。また、リン系難燃剤と併用するシリコーン系難燃剤としては、シリコーン樹脂やポリジメチルシロキサンなどのシリコーン化合物を共重合した芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。また、リン系難燃剤と併用するその他の無機系難燃剤としては、水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛および膨潤性黒鉛が好ましい。また、リン系難燃剤と他の難燃剤を併用する場合、リン系難燃剤と他の難燃剤との配合比率は任意であるが、特に難燃剤(D)100重量%中のリン系難燃剤の量は5重量%以上であることが好ましく、5〜95重量%であることがより好ましい。
難燃剤(D)の配合量は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に対し1〜50重量部であり、好ましくは3〜40重量部である。難燃剤(D)の配合量が上記下限値以上であることにより、難燃性を与える効果が十分となり、上記上限値以下であることにより、物性バランスと成形品外観を維持することができる。
<ポリエチレンナフタレート繊維(E)>
本発明においては、難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の結晶化速度の向上、剛性等の物性向上、および難燃性の向上を目的として、ポリエチレンナフタレート繊維(E)を配合する。ここで、汎用のポリエステル繊維であるポリエチレンテレフタレート繊維ではなく、ポリエチレンナフタレート繊維を用いることは本発明の効果を得る上で重要であり、高強力・高モジュラスで、耐熱性や寸法安定性に優れたポリエチレンナフタレート繊維をポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分に配合することにより、良好な配合効果を得ることができる。
本発明で使用するポリエチレンナフタレート繊維(E)は、繊維長が0.5〜10mm、好ましくは1.0〜8mmで、繊維径が10〜50μm、好ましくは15〜30μmのものであり、本発明では、このような特定の繊維長及び繊維径のポリエチレンナフタレート繊維(E)を用いることにより、結晶化速度の向上により成形サイクルが短縮すると共に、樹脂組成物中の繊維の分散が均一になり、良好な耐熱性と耐衝撃強度、弾性率等の物性バランスの改善効果を得ることができる。
ポリエチレンナフタレート繊維の繊維長が上記下限未満では、耐衝撃性、剛性が低下する傾向にあり、上記上限を超えると樹脂組成物中の繊維の分散が不均一になり、耐衝撃性、剛性が低下する傾向にあり、また、成形品外観も劣る傾向にある。また、ポリエチレンナフタレート繊維の繊維径が上記下限未満では、成形品外観は良好であるものの、耐熱性、耐衝撃性、剛性等の物性が全体的に低下する傾向にあり、上記上限を超えると結晶化速度が遅く、成形サイクルが長くなり、耐衝撃性、成形品外観も悪化する。
なお、本発明において、ポリエチレンナフタレート繊維(E)の繊維長、繊維径とは、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分と混合する前のポリエチレンナフタレート繊維の50〜100本について顕微鏡観察により測定した繊維長、繊維径の平均値であるが、市販のポリエチレンナフタレート繊維を用いる場合は、そのカタログ値を採用することができる。また、本発明の成形品中に存在するポリエチレンナフタレート繊維も上記同様の条件が適応される。
ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、従来のナフサ等の化石由来資源より合成されたものでも良く、また、地球上に存在する植物性原料を由来として合成されたバイオ繊維でも良い。バイオ繊維系であれば、更に二酸化炭素削減と共に循環型資源活用による地球環境負荷低減につながる。
上記条件を満たすポリエチレンナフタレート繊維(E)の市販品としては、例えば帝人ファイバー(株)より「テオネックス」の商品名にて提供されるポリエチレンナフタレート繊維が挙げられるが、特定の商品に限定するものでは無い。
本発明で用いるポリエチレンナフタレート繊維(E)は、リン元素が担持されていることが好ましい。ポリエチレンナフタレート繊維(E)にリン元素が担持されていることにより、ポリエチレンナフタレート繊維(E)を配合することによる難燃性の向上効果がより一層高められる。
ポリエチレンナフタレート繊維(E)のリン元素の担持量は過度に少ないとリン元素を担持したことによる難燃性の向上効果を十分に得ることができないが、過度に多いとポリエチレンナフタレート繊維(E)と樹脂成分との親和性、接着性を阻害し、難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の機械物性を低下させる原因となることから、リン元素の担持量はポリエチレンナフタレート繊維(E)の繊維重量に対して3.0重量%以下、好ましくは1.0〜2.0重量%とする。
リン元素は、特に、ポリエチレンナフタレート繊維を、前述のリン系難燃剤、なかでもリン酸エステル化合物で処理することにより、ポリエチレンナフタレート繊維にリン酸エステル化合物を付着させて担持させることが好ましく、このリン酸エステル化合物としては、下記一般式(I)で表されるものが好適に用いられる。
Figure 0005703838
(但し、R〜Rは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、トリル基、フェノオキシエチル基、エポキシ基、メチルアミノ基、アミノ基またはアルアルキル基を表す。)
このようなリン酸エステル化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジブチルメチルホスフォネート、エチルジグリコールホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフォネート、ビス[トリス(2−ヒドロキシプロポキシ)プロピル]ペンタエリスリトールジホスフェート、ジアルキルジエタノールアミノアルキルホスフォネート等が挙げられるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。これらのリン酸エステル化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリエチレンナフタレート繊維(E)をリン酸エステル化合物で処理してリン元素を担持させるには、リン酸エステル化合物を含む溶液中にポリエチレンナフタレート繊維(E)の繊維束を浸漬させるなどしてリン酸エステル化合物を含浸付着させ、その後加熱乾燥する方法が挙げられる。ここで、用いるリン酸エステル化合物溶液中のリン酸エステル化合物濃度を適宜調整することによりポリエチレンナフタレート繊維(E)のリン元素担持量を制御することができる。ここで、乾燥温度は80〜200℃、乾燥時間は30〜300秒程度であることが、繊維の強度保持の面から最適である。また、用いる乾燥機は繊維の表面状態を維持する目的から、非接触型であることが好ましい。
なお、ポリエチレンナフタレート繊維(E)に後述の表面処理を施す場合には、表面処理液中に、リン酸エステル化合物を上述のような濃度で溶解させて、表面処理と同時にリン元素の担持を行うことができる。
本発明で用いるポリエチレンナフタレート繊維(E)は、表面処理剤により表面処理されたものであ、表面処理されたポリエチレンナフタレート繊維(E)であれば、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分との相溶性(密着性)が向上し、良好な難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
ポリエチレンナフタレート繊維(E)の表面処理剤としては、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、澱粉、植物抽、およびこれらの1種または2種以上とエポキシ化合物との混合物などが挙げられるが、表面処理剤は、特にポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分との相溶性(密着性)の点でポリウレタン樹脂を含む。
表面処理剤としてのポリウレタン樹脂は、分子内に2個水酸基を有する化合物(以下、これをジオール成分と記す)と、分子内に2個イソシアネート基を有する化合物(以下、これをジイソシアネート成分と記す)とを、水を含まず、活性水素を有さない有機溶媒中で付加重合させることにより得ることができる。また、溶媒がない状態で原料を直接反応させることによっても目的物のポリウレタン樹脂を得ることができる。上記ジオール成分として、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカ−ボネートジオール、ポリエーテルエステルジオール、ポリチオエーテルジオール、ポリアセタ−ル、ポリシロキサン等のポリオール化合物、並びにエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール等の低分子量のグリコール類が挙げられる。表面処理剤として用いるポリウレタン樹脂は、低分子量グリコール成分を多く含むことが好ましい。
表面処理剤としてのポリウレタン樹脂は、マルチフィラメントであるポリエチレンナフタレート繊維の各単糸表面に均一に付着して、単糸を収束させていることが好ましいが、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分との混練工程では低いシェアで単糸を解離し、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分中に分散させるものであることが好ましい。そのためには、ポリウレタン樹脂の乾燥皮膜の引張強度が低い必要があり、ポリウレタン樹脂の乾燥皮膜の引張強度は、好ましくは5〜60MPa、より好ましくは10〜50MPaである。該樹脂の乾燥皮膜の引張強度が上記下限値以上であることにより、該樹脂の皮膜が破壊しにくく、表面処理繊維に収束性を付与できる。該樹脂の乾燥皮膜の引張強度が上記上限値以下であることにより、混練工程で単糸が解離しやすく、表面処理繊維の分散斑の発生を防止することができる。
また、表面処理剤としてのポリウレタン樹脂の乾燥皮膜の伸度100%時モジュラスは、好ましくは0.1〜30MPa、より好ましくは1〜20MPaである。該樹脂の乾燥皮膜の伸度100%時のモジュラスが上記下限値以上であることにより、該樹脂の皮膜が破壊しにくく、表面処理繊維に収束性を付与できる。該樹脂の乾燥皮膜の伸度100%時モジュラスが上記上限値以下であることにより、混練工程で単糸が解離しやすく、表面処理繊維の分散斑の発生を防止することができる。
また、表面処理剤としてのポリウレタン樹脂の乾燥皮膜の伸度は、好ましくは100〜700%、より好ましくは130〜500%である。該樹脂の乾燥皮膜の伸度が上記下限値以上であることにより、樹脂皮膜が硬く脆くになりすぎず、成形品に衝撃が加わったときに容易にポリウレタン樹脂が破壊することなく、繊維で樹脂成分を補強する効果を十分に得ることができる。また、該樹脂の乾燥皮膜の伸度が上記上限値以下であることにより、混練工程で単糸が解離しやすく、表面処理繊維の分散斑の発生を防止することができる。
ここで、引張強度、伸度100%時のモジュラスや伸度の測定に用いられるポリウレタン樹脂の乾燥被膜の製造方法は下記の通りである。
ポリウレタン樹脂の水溶液からガラスシャーレーやテフロンシャーレーなどを用いて、キャスト法によって揮発分である水を除去する。この際の処理温度は室温〜120℃程度で、試料に合わせて適宜処理時間を設定することにより乾燥皮膜を得ることができる。乾燥皮膜の膜厚は、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.5〜1.0mmである。この乾燥皮膜を測定項目に合わせて加工する。例えば、引張強度や伸度を測定する際にはダンベル状に試験片を打ち抜き、引張試験の試験片とする。
表面処理剤としてのポリウレタン樹脂としては、上述のように、乾燥皮膜の引張強度や伸度100%時のモジュラスが低く、また伸度は700%以下であることが好ましい。このような場合には、表面処理繊維を樹脂成分に混合するまでの工程中では表面処理繊維に収束性を付与し、表面処理繊維束へ樹脂成分を含浸させる工程では工程中でのシェアにより、マルチフィラメントを容易に単糸に解離することができ、より高性能の樹脂組成物となる。また、ポリウレタン樹脂としては、乾燥皮膜の伸度が100%以上の柔軟なものであることが好ましく、このような場合には、繊維で樹脂成分を補強する効果が高くなり、高性能の樹脂組成物となる。
ポリエチレンナフタレート繊維(E)の表面処理は、上述の表面処理剤を含んだ処理液をポリエチレンナフタレート繊維(E)の繊維束に含浸させ、熱により乾燥させることにより行うことができる。ここで、乾燥温度は80〜200℃、乾燥時間は30〜300秒程度であることが、繊維の強度保持と表面処理剤の接着の面から最適である。また、用いる乾燥機は繊維の表面状態を維持する目的から、非接触型であることが好ましい。
このようにして表面処理剤でポリエチレンナフタレート繊維を表面処理する場合、表面処理後のポリエチレンナフタレート繊維への表面処理剤の固形分の付着量は、3〜20重量%、特には5〜17重量%であることが好ましい。表面処理剤の付着量が上記下限値以上であることにより、収束性が向上し、繊維同士の絡まりが減少するとともに、樹脂と十分に混合されるようになり、結果として、表面処理による効果を十分に得ることができる。逆に、上記上限値以下であることにより、樹脂と混ぜるときに繊維が均一に分散するだけの十分な収束性を得ながら、繊維の表面処理工程でのスカムの発生などが少なく、生産性が向上したものとなる。
ポリエチレンナフタレート繊維(E)は1種のみを用いてもよく、繊維長や繊維径、リン元素の担持の有無や担持量の異なるものや、リン元素担持のためのリン酸エステル化合物の異なるもの、上記の表面処理の有無、用いた表面処理剤が異なるものなどの2種以上を併用してもよい。
本発明において、ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、上記のポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に1〜50重量部添加される。ポリエチレンナフタレート繊維(E)の添加量が上記下限値以上であることにより、良好な結晶化速度向上効果を得ることができ、成形サイクルを短くし、また、剛性および難燃性の向上効果を有効に得ることができる。また、ポリエチレンナフタレート繊維(E)の添加量が上記上限値以下であることにより、成形品外観が良好となり、また、ポリエチレンナフタレート繊維(E)を配合することによる衝撃強度の低下を防止することができる。
なお、このポリエチレンナフタレート繊維(E)の添加量は、ポリエチレンナフタレート繊維(E)に担持されたリン元素(即ち、前述のリン酸エステル化合物等)を含まず、また、このポリエチレンナフタレート繊維(E)が後述の表面処理剤による表面処理が施されたものである場合、この表面処理によりポリエチレンナフタレート繊維(E)に付着した表面処理剤の重量を、含まない値である。
[その他の成分]
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物には、上記ポリ乳酸樹脂(A)、ゴム含有スチレン系樹脂(B)、芳香族ポリカーボネート樹脂(C)、難燃剤(D)およびポリエチレンナフタレート繊維(E)の他に、更に各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維やガラス繊維、タルクやウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコ−ンオイル、カップリング剤などの1種又は2種以上が挙げられる。
また、その他の樹脂としては、芳香族ポリカーボネート樹脂以外の化石由来資源または植物由来資源により合成されたポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合してもよい。
ただし、本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物において、上述のその他の樹脂の配合量は、前述の難燃ポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に対して50重量部以下、特に30重量部以下であることが、ポリ乳酸樹脂の有効利用の面で好ましい。
[難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の製造および成形]
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物をペレット化する方法としては、特に制限はなく、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール等を用いることができるが、中でも二軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、サイドフィードなどにより樹脂や繊維、その他の添加剤を配合することもできる。
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形などの通常の成形方法によって、各種成形品に成形することができるが、その成形法としては、工業的見地より特に射出成形が好適である。
得られる成形品の用途としては特に制限はないが、家電、OA分野では、白物家電部品、太陽電池関連部品、二次電池部品、パソコン筺体と部品、コピー機筺体と部品、携帯電話筺体と充電台、自動車関連では、内装ピラー、フロントパネル、サイドパネル、トランク内の敷板、タイヤカバー、フロアボックスなどの各種内外装部品、特に内装部品に好適に用いることができる。
なお、本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の各成分を調製する際、或いはこれらの成分を混合、混練、成形する際などに発生する樹脂屑等は、そのままの状態もしくは、場合によって破砕して溶融再生処理に供することができる。この場合、成形中に回収することも可能であるが、別途、市場回収しておいて、上述のペレットの製造工程において、原料として混合使用することも可能である。
以下に、合成例、実施例、および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「重量部」を、「L」は「繊維長」を、「R」は「繊維径」をそれぞれ意味するものとする。
重量平均分子量は、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した。
ゴム質重合体の平均粒子径は、日機装(株)製:Microtrac Model:9230UPAを用いて動的光散乱法により求めた。
単量体の重量組成比率は、(株)堀場製作所製:FT−IRを使用して求めた。
[ポリ乳酸樹脂(A)]
ポリ乳酸樹脂(a−1):Nature Works社製「Ingeo 3001D」
(L体=98重量%、重量平均分子量=82,000、融点
(Tm)=170℃)
[ゴム含有スチレン系樹脂(B)]
<合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(b−1)の製造>
以下の配合にて、乳化重合法によりゴム含有グラフト共重合体を合成した。
〔配合〕
スチレン(ST) 25部
アクリロニトリル(AN) 10部
ポリブタジエンラテックス 65部(固形分として)
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.04部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウムおよびポリブタジエンラテックス(ゲル含有量80重量%、平均粒子径0.3μm)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DMおよびクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体(b−1)を得た。
<合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(b−2)の製造>
合成例1の原料配合において、ゴム質重合体としてポリブチルアクリレート(ゲル含有量65重量%、平均粒子径0.34μm)60部(固形分として)を用い、単量体としてアクリロニトリル(AN)12部、スチレン(ST)14部、およびメチルメタクリレート(MMA)14部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてグラフト重合を行い、ASAグラフト共重合体(b−2)を得た。
合成例1,2で製造したゴム含有グラフト共重合体のゴム含有量、単量体の重量組成比率、グラフト率、およびアセトン可溶分の重量平均分子量を測定したところ、以下の通りであった。
ゴム含有グラフト共重合体(b−1):ゴム含有量=66.2重量%
AN/ST=28/72
グラフト率=40%
重量平均分子量(Mw)=154,000
ゴム含有グラフト共重合体(b−2):ゴム含有量=60重量%
AN/ST/MMA=30/35/35
グラフト率=51重量%
重量平均分子量(Mw)=138,000
[硬質共重合体(C)]
<合成例3:硬質共重合体(b−3)の製造>
以下のように、懸濁重合法により硬質共重合体を合成した。
窒素置換した反応器に水120部、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.002部、ポリビニルアルコール0.5部、アゾイソブチルニトリル0.3部、t−DM0.5部と、アクリロニトリル(AN)30部およびスチレン(ST)70部からなるモノマー混合物を使用し、スチレンの一部を逐次添加しながら開始温度60℃から5時間昇温加熱後、120℃に到達させた。更に、120℃で4時間反応した後、重合物を取り出し、ビニル系共重合体(b−3)を得た。
<合成例4:硬質共重合体(b−4)の製造>
モノマー混合物として、アクリロニトリル(AN)25部、スチレン(ST)20部、α−メチルスチレン(AMST)35部およびN−フェニルマレイミド(NPMI)20部からなるモノマー混合物を使用し、スチレン、α−メチルスチレン、N−フェニルマレイミドの一部を逐次添加したこと以外は合成例3と同様にして重合を行って、ビニル系共重合体(b−4)を得た。
合成例3および4で製造した硬質共重合体の単量体の重量組成比率、および重量平均分子量(Mw)を測定したところ、以下の通りであった。
硬質共重合体(b−3):AN/ST=29/71
重量平均分子量(Mw)=123,000
硬質共重合体(b−4):AN/(ST+AMST)/NPMI=24/57/19
重量平均分子量(Mw)=150,000
ゴム含有スチレン系樹脂(B)は、上記ゴム含有グラフト共重合体(b−1)、(b−2)および硬質共重合体(b−3)、(b−4)を適宜配合してなり、表1に示す配合におけるゴム含有スチレン系樹脂(B)のゴム含有量およびアセトン可溶分の重量平均分子量、グラフト率は、表1に示す通りである。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(C)]
帝人化成(株)製:「パンライトL−1225L」(粘度平均分子量=15,000、塩素原子および臭素原子を含有せず)
[難燃剤(D)]
大八化学工業(株)製:「PX−200(芳香族縮合リン酸エステル系難燃剤)」
[ポリエチレンナフタレート繊維(E)]
<調製例1:表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−1)>
以下のように、表面処理ポリエチレンナフタレート繊維を調製した。
ポリエチレンナフタレート長繊維(R=25μm)を、ポリウレタン樹脂処理液を用いてディップ処理した。
このポリウレタン樹脂処理液より揮発分である水を蒸発させて得た乾燥皮膜の物性は、引張強度が15MPa、伸度が150%、伸度100%時のモジュラスが15MPaであった。ディップ処理にあたり、処理液は、ポリウレタン樹脂濃度は10重量%とし、ポリエチレンナフタレート長繊維に付与した後、非接触ヒータにて180℃で60秒の熱処理を施し、ポリウレタン樹脂表面処理ポリエチレンナフタレート長繊維を得た。ポリエチレンナフタレート長繊維に対するポリウレタン樹脂固形分の付着量は7重量%であった。この繊維を3mm長さにカットし、表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−1)を得た。
<調製例2:リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−2)>
以下のように、リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維を調製した。
ポリエチレンナフタレート長繊維(R=25μm)を、以下の処理液を用いてディップ処理した。
処理液は、ポリウレタン樹脂濃度が10重量%で、トリフェニルホスフェートを濃度15重量%で含むものとした。ここで使用するポリウレタン樹脂は、上記表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−1)の調製に使用したポリウレタン樹脂と同様であった。ディップ処理にあたり、処理液をポリエチレンナフタレート長繊維に付与した後、非接触ヒータにて180℃で60秒の熱処理を施し、ポリエチレンナフタレート長繊維に対するポリウレタン樹脂固形分の付着量が7重量%の、リン元素担持ポリウレタン樹脂表面処理ポリエチレンナフタレート長繊維を得た。この繊維を3mm長さにカットし、リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−2)を得た。
この繊維について有機溶剤により表面処理剤を抽出し、元素分析により予め作製した検量線からリン元素の含有量を算出したところ、ポリエチレンナフタレート長繊維に対するリン元素の含有量は1.0重量%あった。
<調製例3:リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−3)>
以下のように、リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維を調製した。
ポリエチレンナフタレート長繊維(R=25μm)を、以下の処理液を用いてディップ処理した。
処理液は、ポリウレタン樹脂濃度が10重量%で、トリフェニルホスフェートを濃度30重量%で含むものとした。ここで使用するポリウレタン樹脂は、上記表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−1)の調製に使用したポリウレタン樹脂と同様であった。ディップ処理にあたり、処理液をポリエチレンナフタレート長繊維に付与した後、非接触ヒータにて180℃で60秒の熱処理を施し、リン元素担持ポリウレタン樹脂表面処理ポリエチレンナフタレート長繊維を得た。この繊維を3mm長さにカットし、ポリエチレンナフタレート長繊維に対するポリウレタン樹脂固形分の付着量が7重量%の、リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−3)を得た。
この繊維について有機溶剤により表面処理剤を抽出し、元素分析により予め作製した検量線からリン元素の含有量を算出したところ、ポリエチレンナフタレート長繊維に対するリン元素の含有量は2.0重量%あった。
<調製例4:リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−4)>
以下のように、リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維を調製した。
ポリエチレンナフタレート長繊維(R=25μm)を、以下の処理液を用いてディップ処理した。
処理液は、ポリウレタン樹脂濃度が10重量%で、トリフェニルホスフェートを濃度75重量%で含むものとした。ここで使用するポリウレタン樹脂は、上記表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−1)の調製に使用したポリウレタン樹脂と同様であった。ディップ処理にあたり、処理液をポリエチレンナフタレート長繊維に付与した後、非接触ヒータにて180℃で60秒の熱処理を施し、ポリエチレンナフタレート長繊維に対するポリウレタン樹脂固形分の付着量が7重量%の、リン元素担持ポリウレタン樹脂表面処理ポリエチレンナフタレート長繊維を得た。この繊維を3mm長さにカットし、リン元素担持表面処理ポリエチレンナフタレート繊維(e−4)を得た。
この繊維について有機溶剤により表面処理剤を抽出し、元素分析により予め作製した検量線からリン元素の含有量を算出したところ、ポリエチレンナフタレート長繊維に対するリン元素の含有量は5.0重量%あった。
[難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造および評価]
上記の各成分を表1,2に示す配合割合で混合し、更に、安定剤として、日清紡(株)社製「カルボジライト HMV−8CA」0.3部と共に混合した後、200〜240℃で2軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」)にて溶融混合し、ペレット化することにより、熱可塑性樹脂組成物のペレットを作成した。
これらの樹脂ペレットを2オンス射出成形機(東芝(株)製)で220〜250℃、金型温度:85℃にて成形し、耐熱性(荷重たわみ温度)、耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)、剛性(曲げ弾性率)、および難燃性を下記方法で評価した。
荷重たわみ温度(℃):ISO 75(測定荷重0.45MPa)に準拠して測定
シャルピー衝撃強さ(KJ/m):ISO 179(常温)に準拠して測定
曲げ弾性率(MPa):ISO 178(常温)に準拠して測定
燃焼性:UL94 V試験方法に準拠して測定
(テストピース肉厚:1.5mm、1.0mm、0.70mmにて各々評価)
[実施例および比較例]
表1,2に、実施例1〜7および比較例1〜4の結果を示した。
Figure 0005703838
Figure 0005703838
[考察]
表1,2から明らかなように、本発明の請求項の要件を満たす実施例1〜7の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性、耐熱性、剛性の物性バランスに優れ、加えて難燃性が良好である。
これに対して、ポリエチレンナフタレート繊維のリン元素の担持量が多過ぎる比較例1の組成物は、物性バランスが悪く、比較例2のポリエチレンナフタレート繊維を含まない組成物では、物性バランスおよび難燃性に劣る。ポリエチレンナフタレート繊維が本発明の範囲より多い比較例3では、衝撃強度、難燃性が得られない。また、本発明の必須成分である芳香族ポリカーボネート樹脂を添加しない比較例4の場合、同様に目標とする物性、燃焼性が得られない。
本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、射出成形において得られる成形品が優れた物性バランスと難燃性を示す。
このため、本発明の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品は、例えば、OA,家電関連では、複写機部品、パソコン部品、TV部品、携帯電話部品などに主に用いることができる。その工業的有用性は非常に高い上に、環境負荷の低減にも有効である。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)10〜95重量%と、ゴム含有スチレン系樹脂(B)90〜5重量%からなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成分100重量部に対し、
    芳香族ポリカーボネート樹脂(C)50〜200重量部、難燃剤1〜50重量部(D)およびポリエチレンナフタレート繊維(E)1〜50重量部を添加してなる難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物であって、
    該ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、リン元素が担持されていないか、或いは、繊維重量に対して3.0重量%以下のリン元素が担持されており、かつ、該ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、ポリウレタン樹脂を含む表面処理剤により表面処理されたものであることを特徴とする難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記ゴム含有スチレン系樹脂(B)中のゴム質重合体が、ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、およびオレフィン系ゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記芳香族ポリカーボネート樹脂(C)が、分子構造中に塩素原子および臭素原子を含有しないことを特徴とする請求項1または2に記載の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記難燃剤(D)が、リン酸エステル系難燃剤を含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記ポリエチレンナフタレート繊維(E)は、リン酸エステル化合物で処理されることにより、前記リン元素が担持されたものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の難燃複合ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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