JP5691779B2 - 排ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
排ガス浄化用装置としては、例えば、排ガス浄化用触媒として貴金属である白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の三元触媒や、非貴金属である銅(Cu)等の酸化触媒を用いたものがある。また、排ガス浄化効率を高めるために、三元触媒と酸化触媒とを組み合わせて用いたものがある(特許文献1参照)。
そのため、従来の三元触媒、酸化触媒等を単独で又は組み合わせて用いても、排ガス中のHC、CO及びNOxを効率よく浄化することができる安価な排ガス浄化装置を構築することはできなかった。
該排ガス浄化装置は、第1酸化触媒を担持してなる第1触媒担持部と、第2酸化触媒を担持してなる第2触媒担持部とを有し、
上記第1触媒担持部は、上記第1酸化触媒によってCOよりもHCを優先的に酸化させることができるよう構成されており、かつ、上記第2触媒担持部よりも上記排ガス流路の上流側に配置されており、
上記第1酸化触媒は、3d遷移金属の酸化物と5価又は6価の遷移金属の酸化物、又は3d遷移金属の酸化物の3d遷移金属の一部に5価又は6価の遷移金属が置換固溶してなる固溶体を含有し、上記3d遷移金属は、Fe及び/又はCuであり、上記5価又は6価の遷移金属は、W、Mo、Nb、及びTaから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする排ガス浄化装置にある。
該排ガス浄化装置は、第1酸化触媒及び第2酸化触媒をそれぞれ同一の触媒担体に担持してなる触媒担持体を有し、
上記第1酸化触媒は、COよりもHCを優先的に酸化させることができ、かつ、上記触媒担体上に担持された上記第2酸化触媒上に積層形成されていることを特徴とする排ガス浄化装置にある。
この場合には、第1酸化触媒によって排ガス中のHCを優先的かつ選択的に酸化(燃焼)させるという効果を十分に発揮することができる。
この場合には、上記第1酸化触媒は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx)を少なくとも含む例えば自動車の排気ガスなどの混合ガスにおいて、一酸化炭素及び窒素酸化物をほとんど酸化することなく、炭化水素を選択的に酸化するという効果をより十分に発揮することができる。なお、上記第1酸化触媒は、3d遷移金属の酸化物と5価又は6価の遷移金属の酸化物、又は上記固溶体のいずれか一方を含有してもよいが、3d遷移金属の酸化物と5価又は6価の遷移金属の酸化物、及び上記固溶体の両方を含有していてもよい。
5価又は6価の遷移金属が上記3d遷移金属に対して2.5atm未満の場合には、炭化水素に対する選択的な酸化特性が低下するおそれがある。一方、100atm%を超える場合には、炭化水素に対する酸化特性自体が低下し、より高温での酸化が必要になるおそれがある。より好ましくは50atm%以下がよい。
好ましくは、上記3d遷移金属は、Fe及び/又はCuであることがよい。
この場合には、炭化水素に対する選択的な酸化特性をより向上させることができる。より好ましくは、3d遷移金属は、Feであることがよい。
この場合には、上記第1酸化触媒の炭化水素に対する選択的な酸化特性をより向上させることができる。
この場合には、上記第1酸化触媒を担持させ易くなる。
上記3d遷移金属の酸化物、5価又は6価の遷移金属の酸化物、及び3d遷移金属の酸化物の3d遷移金属の一部に5価又は6価の遷移金属が置換固溶してなる固溶体の含有量が10質量%未満の場合には、上記第1酸化触媒がHCを十分に酸化して浄化させることが困難になるおそれがある。一方、60質量%を超える場合には、3d遷移金属の酸化物、5価又は6価の遷移金属の酸化物、及び上記固溶体が凝集し、性能が低下するおそれがある。
上記溶解工程においては、3d遷移金属の塩と、5価又は6価の遷移金属の塩とを水に溶解させて遷移金属水溶液を得る。これにより、3d遷移金属(イオン)と5価又は6価の遷移金属(イオン)が均一に混じりあって水に溶解した遷移金属水溶液を得ることができる。
また、上記乾燥焼成工程においては、上記遷移金属水溶液を乾燥させ、焼成する。これにより、上記遷移金属水溶液中の3d遷移金属及び5価又は6価の遷移金属を酸化させ、3d遷移金属の酸化物と5価又は6価の遷移金属の酸化物、又は上記固溶体を少なくとも含有する第1酸化触媒を得ることができる。
具体的には、3d遷移金属の塩、5価又は6価の遷移金属の塩としては、それぞれ、塩化物塩、硝酸塩、水酸化物、及びアンモニウム塩等を用いることができる。
この場合には、炭化水素に対する選択的な酸化特性により優れると共に、より低温で炭化水素の酸化が可能な上記第1酸化触媒を製造することができる。より好ましくは上記3d遷移金属に対する上記5価又は6価の遷移金属の量は50atm%以下がよい。
これらの場合には、炭化水素に対する選択的な酸化特性をより向上させることができる。
この場合には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及び二酸化珪素から選ばれる少なくとも1種をさらに含有する上記第1酸化触媒を製造することができる。かかる第1酸化触媒は、例えばコージェライト等からなるハニカム体に担持させ易くなる。そのため、上記第1酸化触媒は、排ガス浄化装置に適用し易くなる。
上記遷移金属水溶液の乾燥は、例えば温度80〜180℃で行うことができる。この乾燥により、水分を蒸発させることができる。上記乾燥焼成工程においては、乾燥後に得られる固形物を焼成する。焼成温度は、例えば温度300〜1050℃にすることができる。この焼成により、上記第1酸化触媒を得ることができる。
即ち、3d遷移金属の酸化物と、5価又は6価の遷移金属の酸化物とを混合して混合物を得る混合工程と、上記混合物を焼成する焼成工程とを行うことによって、上記第1酸化触媒を得ることができる。上記混合工程は、例えば水等の溶媒中で行うことができる。この場合には、上記焼成工程の前に溶媒を蒸発させる乾燥工程を行うことにより、乾燥後の固形分として上記混合物を得ることができる。
即ち、3d遷移金属の酸化物と5価又は6価の遷移金属の塩、又は3d遷移金属の塩と5価又は6価の遷移金属の酸化物を水中で混合し、酸化物と塩との混合液を得る混合工程と、上記混合液を乾燥させ、焼成する乾燥焼成工程とを行うことによって、上記第1酸化触媒を得ることができる。上記混合工程後に上記混合液を乾燥させると、3d遷移金属の酸化物の表面に5価又は6価の遷移金属の塩が析出した複合体、又は5価又は6価の遷移金属の酸化物の表面に3d遷移金属の塩が析出した複合体を得ることができる。この複合体を焼成することにより、上記第1酸化触媒を得ることができる。
この場合には、第2酸化触媒によって排ガス中のCOとNOとを良好に反応させるという効果を十分に発揮することができる。
この場合には、排ガス中に含まれるHC、CO及びNOxをより一層効率よく浄化することができる。
この場合には、第1酸化触媒及び第2酸化触媒を担持させる触媒担体が別々となることから、第1酸化触媒及び第2酸化触媒を触媒担体に担持させる作業が容易となる。
この場合には、第1酸化触媒及び第2酸化触媒を担持させる触媒担体が1つとなることから、排ガス浄化装置の小型化を図ることができる。
この場合には、上記触媒担体は、熱膨張係数が低く、耐熱衝撃性に優れたものとなる。そのため、上記排ガス浄化装置は、高温下での使用においても、優れた耐久性を示すことができる。
ここで、上記ハニカム構造体とは、例えば、ハニカム(蜂の巣)状のセル壁と該セル壁に囲まれた多数のセルとを有する構造のものである。この場合には、触媒担体の表面積を増やすことが可能であり、排ガスと触媒担体に担持されている第1酸化触媒及び第2酸化触媒との接触機会を増やすことができ、排ガスを効果的に浄化することができる。
参考例にかかる排ガス浄化装置について説明する。
本例の排ガス浄化装置1は、図1〜図3に示すごとく、内燃機関から排出される排ガスGの流路となる排ガス流路11に設けられ、排ガスG中に含まれる少なくともHC、CO及びNOxを浄化するための排ガス浄化装置である。
排ガス浄化装置1は、第1酸化触媒21を担持してなる第1触媒担持部41と、第2酸化触媒22を担持してなる第2触媒担持部42とを有する。第1触媒担持部41は、第1酸化触媒21によってCOよりもHCを優先的に酸化させることができるよう構成されており、かつ、第2触媒担持部42よりも排ガス流路11の上流側に配置されている。
以下、これを詳説する。
排ガス浄化装置1は、第1酸化触媒21(図2(b))を触媒担体31に担持してなる第1触媒担持部41と、第2酸化触媒22(図3(b))を触媒担体32に担持してなる第2触媒担持部42とを有する。そして、第1触媒担持部41は、第2触媒担持部42よりも排ガス流路11の上流側に配置されている。
図3(a)、(b)に示すごとく、第2触媒担持部42は、第2酸化触媒22を第1酸化触媒21とは別の触媒担体32に担持してなる触媒担持体により構成されている。
すなわち、第1触媒担持部41及び第2触媒担持部42は、第1酸化触媒21及び第2酸化触媒22をそれぞれ別々の触媒担体31、32に担持してなる。
第1酸化触媒21としては、COよりもHCを優先的に酸化させる性質を有する酸化触媒を用いる。本例では、第1酸化触媒21として、Feを主成分とする酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)を用いた。
第2酸化触媒22としては、従来から公知の酸化触媒を用いることができる。本例では、第2酸化触媒22として、Cuを主成分とする酸化銅(CuO)を用いた。
まず、排ガス浄化装置1における第1触媒担持部41(図2)及び第2触媒担持部42(図3)を作製する。
これにより、第1酸化触媒21を触媒担体31に担持してなる触媒担持体である第1触媒担持部41(図2)を得る。
これにより、第2酸化触媒22を触媒担体32に担持してなる触媒担持体である第2触媒担持部42(図3)を得る。
これにより、本例の排ガス浄化装置1(図1)を構築する。
本例の排ガス浄化装置1は、第1酸化触媒21を担持してなる第1触媒担持部41と、第2酸化触媒22を担持してなる第2触媒担持部42とを有する。そして、第1触媒担持部41は、第1酸化触媒21によってCOよりもHCを優先的に酸化させることができるよう構成されており、かつ、第2触媒担持部42よりも排ガス流路11の上流側に配置されている。このような構成とすることにより、排ガスG中の有害成分であるHC、CO及びNOxを効率よく浄化することができる。
本例は、図4、図5に示すごとく、参考例1の排ガス浄化装置1の構成を変更した例である。
本例の排ガス浄化装置1は、図4に示すごとく、第1酸化触媒21(図5(b))を触媒担体33に担持してなる第1触媒担持部41と、第2酸化触媒22(図5(c))を触媒担体33に担持してなる第2触媒担持部42とを有する触媒担持体4を備えている。
図5(a)、(c)に示すごとく、第2触媒担持部42は、触媒担持体4において、第2酸化触媒22を触媒担体33の下流側に担持して形成されている。
すなわち、第1触媒担持部41及び第2触媒担持部42は、第1酸化触媒21及び第2酸化触媒22をそれぞれ同一の触媒担体33の上流側及び下流側に担持してなる。
なお、第1酸化触媒21及び第2酸化触媒22としては、参考例1と同様のものを用いた。
その他は、参考例1と同様の構成である。
排ガス浄化装置1を製造するに当たっては、まず、触媒担持体4(図5)を作製する。
触媒担持体4を作製するに当たっては、第1酸化触媒21の成分である酸化鉄を溶媒である水に分散させ、第1酸化触媒スラリーを作製する。また、第2酸化触媒22の成分である酸化銅を溶媒である水に分散させ、第2酸化触媒スラリーを作製する。
次いで、第2酸化触媒スラリー中に触媒担体33の下流側となる部分を浸漬し、引き上げる。そして、触媒担体33に塗布された第2触媒スラリーを乾燥させる。
これにより、触媒担体33の上流側に第1酸化触媒21が担持され、下流側に第2酸化触媒22が担持された触媒担持体4(図5)を得る。
これにより、本例の排ガス浄化装置1(図4)を構築する。
その他、参考例1と同様の作用効果を有する。
参考例にかかる排ガス浄化装置について、図を用いて説明する。
本例の排ガス浄化装置1は、図6、図7に示すごとく、内燃機関から排出される排ガスGの流路となる排ガス流路11に設けられ、排ガスG中に含まれる少なくともHC、CO及びNOxを浄化するための排ガス浄化装置である。
排ガス浄化装置1は、第1酸化触媒21及び第2酸化触媒22をそれぞれ同一の触媒担体34に担持してなる触媒担持体5を有する。第1酸化触媒21は、COよりもHCを優先的に酸化させることができ、かつ、触媒担体34上に担持された第2酸化触媒22上に積層形成されている。
以下、これを詳説する。
排ガス浄化装置1は、第1酸化触媒21(図7(b))及び第2酸化触媒22(図7(b))を触媒担体34に担持してなる触媒担持体5を備えている。
第2酸化触媒22としては、従来から公知の酸化触媒を用いることができる。本例では、第2酸化触媒22として、Cuを主成分とする酸化銅(CuO)を用いた。
まず、排ガス浄化装置1における触媒担持体5(図7)を作製する。
触媒担持体5を作製するに当たっては、第1酸化触媒21の成分である酸化鉄を溶媒である水に分散させ、第1酸化触媒スラリーを作製する。また、第2酸化触媒22の成分である酸化銅を溶媒である水に分散させ、第2酸化触媒スラリーを作製する。
次いで、第1酸化触媒スラリー中に触媒担体34全体を浸漬し、引き上げる。そして、触媒担体34に塗布された第1触媒スラリーを乾燥させる。
これにより、触媒担体34上に第1酸化触媒21及び第2酸化触媒22が積層状態で担持された触媒担持体5(図7)を得る。
これにより、本例の排ガス浄化装置1(図6)を構築する。
本例の排ガス浄化装置1は、第1酸化触媒21及び第2酸化触媒22をそれぞれ同一の触媒担体34に担持してなる触媒担持体5を有する。そして、第1酸化触媒21は、COよりもHCを優先的に酸化させることができ、かつ、触媒担体34上に担持された第2酸化触媒22上に積層形成されている。このような構成とすることにより、排ガスG中の有害成分であるHC、CO及びNOxを効率よく浄化することができる。
本例は、排ガス浄化装置の効果を示す実験例である。
本例では、参考発明の排ガス浄化装置(E1)と、比較としての従来の排ガス浄化装置(C1)を準備し、それぞれに対して排ガス浄化性能を評価した。
まず、準備した排ガス浄化装置E1、C1に対して、排気管内に排ガスを20L/分の流量で流通させる。排ガス中の三元ガス濃度は、CO:4600ppm、HC:1700ppm、NO:2500ppmとした。
図9に示すごとく、従来の排ガス浄化装置C1は、酸素濃度が0.1%となった時点の温度が約439℃であり、NOの浄化率が10%となった時点の温度T10もほぼ同様の温度である。
このことから、排ガス浄化装置E1は、上流側の第1酸化触媒によって排ガス中のHCを優先的かつ選択的に酸化(燃焼)させ、より低い温度で酸素濃度が低い状態を作り出していることがわかる。そして、下流側の第2酸化触媒によって排ガス中のCOとNOとを良好に反応させ、これらを効率よく浄化していることがわかる。特に、排ガス中のNOをより低い温度で効率よく浄化することができ、NOの浄化性能が高いことがわかる。
本例は、参考例1の排ガス浄化装置における第1酸化触媒を変更した例である。
図11(a)及び(b)に示すごとく、本例の第1酸化触媒21は、3d遷移金属の酸化物211と5価又は6価の遷移金属の酸化物212、又は3d遷移金属の酸化物の3d遷移金属の一部に5価又は6価の遷移金属が置換固溶してなる固溶体213を少なくとも含有する。本例においては、3d遷移金属がFe、5価又は6価の遷移金属がWである第1酸化触媒21を用いる。
また、本例の第1酸化触媒21は、酸化アルミニウム210をさらに含有する。
本例の溶解工程においては、3d遷移金属の塩と、5価又は6価の遷移金属の塩とを水に溶解させて遷移金属水溶液を得る。
また、乾燥焼成工程においては、遷移金属水溶液を乾燥させ、焼成する。
まず、Feに対するWの量が50atm%となる配合割合で、硝酸鉄とタングステン酸アンモニウムパラ5水和物とを水に溶解させた。得られた水溶液に、水に酸化アルミニウムを分散させたアルミナ分散液を添加した。ここで添加する酸化アルミニウム量は、焼成後に得られる酸化鉄と酸化アルミニウムとの重量比が1:3となるような配合割合に調整した。
X線回折(XRD)による分析結果から、本例の第1酸化触媒1(試料e1)は、酸化鉄(3d遷移金属の酸化物211)と酸化タングステン(5価又は6価の遷移金属の酸化物212)とを含有すると共に、酸化鉄の一部は、その鉄の一部にタングステンが固溶した固溶体213を形成していると考えられる(図1(a)及び(b))。
第1触媒担持部41は、本例で作製した第1酸化触媒21を用いた点を除いては、参考例1と同様にして作製することができる。
即ち、図2(a)及び(b)に示すごとく、第1触媒担持部41は、第1酸化触媒21を触媒担体31に担持してなる触媒担持体により構成されている。そして、触媒担体31は、コージェライトセラミックスからなる円筒形状のハニカム構造体により構成されている。触媒担体31は、四角形格子状に配された多孔質のセル壁311と、このセル壁311に囲まれた四角形状の多数のセル312とを有する。
各三元ガスの浄化率は、第1触媒担持部41を通過する前の排ガスG(G0)中における各三元ガスの濃度と第1触媒担持部41を通過した後の排ガスG(G1)中における各三元ガスの濃度との差を求めると共に、この差を、第1触媒担持部41を通過する前の排ガスG(G0)中における各三元ガスの濃度で除し、100分率で表すことにより算出することができる。その結果を図13に示す。図13において、横軸は排ガスの温度(℃)を示し、縦軸は浄化率(%)を示す。なお、排ガスG中に含まれる各三元ガスの濃度は、HORIBA製のMEXA1500Dにより測定した。
かかる酸化触媒は、酸化鉄と酸化アルミニウムとを重量比が1:3となるような配合割合で水中に混合し、乾燥し温度600℃で加熱して得られたものである。これを試料c1とする。
試料c1についても、試料e1と同様にしてこれをハニカム構造体からなる触媒担体に担持し、排ガス(三元ガス)に対する浄化性能を評価した。その結果を図14に示す。図14において、横軸は排ガスの温度(℃)を示し、縦軸は浄化率(%)を示す。
試料c1においては、比較的低温領域において、HCを選択的に酸化し、浄化できるものの、温度450℃を超えたあたりからCOも浄化され、さらに温度550℃を超えたあたりからNOも浄化されている(図14参照)。これに対し、図13に示すごとく、試料e1においては、広い温度領域においてHCを酸化して浄化する一方、CO及びNOについてはほとんど浄化していない。
したがって、試料e1の第1酸化触媒は、炭化水素(HC)をより選択的に酸化して浄化できることがわかる。
本例の排ガス浄化装置は、上流側に第1酸化触媒(試料e1)を触媒担体に担持した触媒担持体(第1触媒担持部)を配置し、下流側に第2酸化触媒としての酸化銅を触媒担体に担持した触媒担持体(第2触媒担持部)を配置したものである(図1〜図3参照)。触媒担体としては、多孔質のコージェライトセラミックスよりなるハニカム構造体を用いた。ハニカム構造体は、外径30mm、長さ50mmの大きさのものを用いた。また、ハニカム構造体に対する触媒の担持量は、100g/Lとした。
具体的には、まず、排ガス浄化装置に対して、排気管内に排ガスを20L/分の流量で流通させる。排ガス中の三元ガス濃度は、CO:4600ppm、HC:1700ppm、NO:2500ppmとした。次いで、排ガス浄化装置に流入させる排ガスの温度を昇温速度20℃/分の条件で室温から徐々に温度を上げていく。そして、排ガス浄化装置を通過した後の排ガス中に含まれる三元ガス(CO、HC、NO)の浄化率を測定すると共に、排ガス浄化装置を通過した後の排ガスの酸素濃度を測定した。その測定結果を図15に示す。同図は、排ガス浄化装置に流入させる排ガスの温度(℃)と、排ガス浄化装置通過した後の排ガスの三元ガスの浄化率(%)及び酸素濃度(%)との関係を示したものである。
実施例1においては、3d遷移金属がFeで、5価又は6価の遷移金属がWである第1酸化触媒を製造したが、本例においては、3d遷移金属がFeで、5価又は6価の遷移金属がMo、Nb、又はTaである3種類の第1酸化触媒(試料e2〜e4)をそれぞれ作製する。
本例において、試料e2が5価又は6価の遷移金属としてMoを用いた第1酸化触媒であり、試料e3が5価又は6価の遷移金属としてNbを用いた第1酸化触媒であり、試料e4が5価又は6価の遷移金属としてTaを用いた第1酸化触媒である。
XRDによる分析結果から、各第1酸化触媒(試料e2〜試料e4)は、酸化鉄と、それぞれ酸化モリブデン、酸化ニオブ、又は酸化タンタルとを含有すると共に、酸化鉄の一部は、その鉄の一部にそれぞれモリブデン、ニオブ、又はタンタルが固溶した固溶体を形成していると考えられる。
そして、本例の第1酸化触媒(試料e2〜試料e4)を用いて、参考例1〜3に示す各排ガス浄化装置を構築することにより、排ガスG中に含まれるHC、CO及びNOxを効率よく浄化することができる安価な排ガス浄化装置を提供することができる。
実施例1においては、3d遷移金属としてFeを用いて第1酸化触媒を製造したが、本例は、3d遷移金属としてCuを用いて第1酸化触媒(試料e5)を製造する例である。
XRDによる分析結果から、本例の第1酸化触媒(試料e5)は、酸化銅と、それぞれ酸化タングステンとを含有すると共に、酸化銅の一部は、その銅原子の一部にタングステンが固溶した固溶体を形成していると考えられる。
かかる酸化触媒は、酸化銅と酸化アルミニウムとを重量比が1:3となるような配合割合で水中に混合し、乾燥し温度600℃で加熱して得られたものである。これを試料c2とする。
試料c2についても、触媒担体に担持し、排ガス(三元ガス)に対する浄化性能を評価した。その結果を図20に示す。図20において、横軸は排ガスの温度(℃)を示し、縦軸は浄化率(%)を示す。
そして、本例の第1酸化触媒(試料e5)を用いて、参考例1〜3に示す各排ガス浄化装置を構築することにより、排ガスG中に含まれるHC、CO及びNOxを効率よく浄化することができる安価な排ガス浄化装置を提供することができる。
本例は、実施例1の試料e1とは、5価又は6価の遷移金属(W)の量の異なる複数の第1酸化触媒を作製し、そのHCに対する選択的な浄化性能を評価する例である。
具体的には、まず、Feに対するWの量を変えて異なる配合割合で硝酸鉄と塩化タングステンとを水に溶解させた。次いで、実施例1と同様に、水溶液にアルミナ分散液を添加し、乾燥後焼成してW量が異なる複数の第1酸化触媒を作製した。
選択性(%)は、次のようにして算出した。
具体的には、まず、実施例1の浄化性能の評価と同様に、本例の各第1酸化触媒をそれぞれ担持した各第1触媒担持部をそれぞれ排気管内に配置し、排気管内に流量20L/分で排ガスを流通させた。排ガス中の三元ガス(CO、HC、NO)の濃度は、CO:4600ppm、HC:1700ppm、NO:2500ppmとした。次いで、第1触媒担持部に流入させる排ガスの温度を600℃まで上昇させた。そして、温度600℃の条件下において、第1触媒担持部に担持された各第1酸化触媒による酸化によって浄化されたCO及びHCの浄化濃度を求めた。
CO及びHCの各浄化濃度は、第1触媒担持部を通過する前の排ガス中のCO及びHCの濃度と第1触媒担持部を通過した後の排ガス中のCO及びHCの濃度との差から求めることができる。
そして、COの浄化濃度をCCO(ppm)、HCの浄化濃度をCHC(ppm)とすると、選択性S(%)は、S=CHC/(CCO+CHC)×100という式から算出することができる。
その結果を図22に示す。同図において、横軸は各第1酸化触媒におけるFeに対するWの添加量(atm%)を示し、縦軸はHCの選択性(%)を示す。
本例は、実施例1の試料e1とは、5価又は6価の遷移金属(W)の量の異なる複数の第1酸化触媒を作製し、Feの2P3/2の結合エネルギーとHCに対する浄化の選択性との関係を調べる例である。
具体的には、まず、Feに対するWの量を変えて異なる配合割合で硝酸鉄と塩化タングステンとを水に溶解させた。次いで、実施例1と同様に、水溶液にアルミナ分散液を添加し、乾燥後焼成してW量が異なる複数の第1酸化触媒を作製した。
本例においては、Feに対するWの添加量が0atm%、1.25atm%、2.5atm%、12.5atm%、25atm%の第1酸化触媒を作製した。これらをそれぞれ試料x1〜試料x5とする。
このFeの価数を調べるために、X線光電子分光分析装置(XPS)により、試料x1〜x5におけるFeの2P3/2の結合エネルギーを求めた。
そして、各第1酸化触媒(試料x1〜x5)におけるFeの2P3/2の結合エネルギーと、HCに対する浄化の選択性との関係を図23に示す。同図において、横軸はFeの2P3/2の結合エネルギー(eV)を示し、縦軸はHCの選択性(選択率)(%)を示す。
したがって、Fe等の3d遷移金属に対するW等の5価又は6価の遷移金属の固溶量が増大することにより、HCに対する浄化の選択性をより向上できることがわかる。
11 排ガス流路
41 第1触媒担持部
42 第2触媒担持部
G 排ガス
Claims (9)
- 内燃機関から排出される排ガスの流路となる排ガス流路に設けられ、上記排ガス中に含まれる少なくともHC、CO及びNOxを浄化するための排ガス浄化装置であって、
該排ガス浄化装置は、第1酸化触媒を担持してなる第1触媒担持部と、第2酸化触媒を担持してなる第2触媒担持部とを有し、
上記第1触媒担持部は、上記第1酸化触媒によってCOよりもHCを優先的に酸化させることができるよう構成されており、かつ、上記第2触媒担持部よりも上記排ガス流路の上流側に配置されており、
上記第1酸化触媒は、3d遷移金属の酸化物と5価又は6価の遷移金属の酸化物、又は3d遷移金属の酸化物の3d遷移金属の一部に5価又は6価の遷移金属が置換固溶してなる固溶体を含有し、上記3d遷移金属は、Fe及び/又はCuであり、上記5価又は6価の遷移金属は、W、Mo、Nb、及びTaから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする排ガス浄化装置。 - 請求項1に記載の排ガス浄化装置において、上記第1酸化触媒は、上記5価又は6価の遷移金属を、上記3d遷移金属に対して2.5atm〜100atm%含有することを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項1又は2に記載の排ガス浄化装置において、上記第1酸化触媒は、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及び二酸化珪素から選ばれる少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記第1酸化触媒中に含まれる上記3d遷移金属の酸化物、5価又は6価の遷移金属の酸化物、及び3d遷移金属の酸化物の3d遷移金属の一部に5価又は6価の遷移金属が置換固溶してなる固溶体の含有量は、10〜60質量%であることを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載の排ガス浄化装置において、上記第2酸化触媒は、Cuを主成分とすることを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置において、上記第1触媒担持部及び上記第2触媒担持部は、上記第1酸化触媒及び上記第2酸化触媒をそれぞれ別々の触媒担体に担持してなることを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置において、上記第1触媒担持部及び上記第2触媒担持部は、上記第1酸化触媒及び上記第2酸化触媒をそれぞれ同一の触媒担体に担持してなることを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項6又は7に記載の排ガス浄化装置において、上記触媒担体は、多孔質のコージェライトセラミックスよりなることを特徴とする排ガス浄化装置。
- 請求項6〜8のいずれか1項に記載の排ガス浄化装置において、上記触媒担体は、ハニカム構造体よりなることを特徴とする排ガス浄化装置。
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