JP5691295B2 - 帯電防止フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
帯電防止フィルムは接着剤層を介して複数の樹脂フィルムを貼り合わせることによって作製される。
帯電防止フィルムを作製するために貼り合わせる樹脂フィルムは特に限定する必要がなく、帯電防止フィルムの用途によって選択される。例えば、電子部品包装用カバーテープ用途には、フィルムに強度が必要となるため、二軸延伸処理をしたPET、PP、ナイロン等が一層以上用いられる。更にはクッション性、シール性などを付与するため、無延伸の樹脂が選定される事があり、これらは、フィルムの状態で用意する必要は無く、本発明の製造方法に従って設けられた接着剤層を介する様にペレットから溶融押出しや、コートする事で積層しても良い。例えば、押出しラミネート法によるフィルムの貼り合わせ時に、本発明の接着剤組成物をアンカーコート材として使用し積層フィルムを作製する事ができ、これにより積層フィルムに安定した帯電防止性を付与することができる
本発明の製造方法で用いる接着剤組成物に含まれる帯電防止剤は、界面活性剤(a1)と炭酸アルキレン(a2)とを含むものである。
界面活性剤(a1)を用いることにより接着剤組成物および被着体の帯電防止性を向上させることができる。
界面活性剤(a1)はそれ自体が水分等を利用して、イオン電導性を発現する事で添加した素材へ帯電防止性能を付与することができるからである。
帯電防止剤(A)が炭酸アルキレン(a2)を含むことにより、界面活性剤により発現する帯電防止性を損なうことなく界面活性剤を接着剤樹脂(B)と相溶させることが可能となり、透明接着剤組成物を得ることができる。これは炭酸アルキレン自体の誘電率が高く、これまで界面活性剤の溶剤とする事で一般的に用いられてきた水分の様にイオン電導性を発現させることができるからであり、さらに界面活性剤(a1)と接着剤樹脂(B)との相溶化剤としての役割を果たすからである。
本発明に用いる接着剤樹脂(B)はフィルム等の被着体を貼り合わせることのできる接着剤であれば特に限定はしないため、多くの種類が存在する。具体的には、エステル系、エーテル系、などが挙げられるが、接着剤の透明性を維持する事を考慮すると相溶するエステル系であるウレタン-イソシアネート硬化タイプの接着剤が好ましい。2液硬化タイプの場合には主剤としてエステル系、エーテル系があるが、上記同様エステル系が好ましい。硬化剤として芳香族系、脂肪族系が挙げられ、いずれも使用は可能であるが、脂肪族系の方が硬化後の黄変も無く、使用上好ましい。
溶剤(C)についても公知の溶剤を使用することができるため特に限定はしないが、上記接着剤樹脂を溶解し、炭酸アルキレンと相溶するものの中から選定することが好ましい。環境負荷物質の使用を削減するという観点からは酢酸エチルを用いることが好ましい。
接着剤組成物は界面活性剤(a1)を炭酸アルキレン(a2)に溶解し帯電防止剤(A)を作製後、接着剤樹脂(B)に添加しても良い。なお接着剤樹脂(B)として2種以上の接着剤樹脂を混合したものを用いる場合、いずれかの接着剤樹脂にあらかじめ帯電防止剤(A)を混合しておくことにより、帯電防止剤(A)の分散性が向上する。
図1に示すとおり、接着剤層2として本発明の接着剤組成物を用いて、2以上の被着樹脂層1を接着し積層フィルムを作成することができる。より具体的な使用例としては、図2に示すような電子部品包装用カバーテープが挙げられる。電子部品包装用カバーテープ20は、図2に示すとおり、少なくとも基材層3、中間層4、ヒートシーラント層5という複数の樹脂層で構成されるものが好ましく、これらのうち少なくともいずれかの2層が本発明の接着剤組成物を介して積層されていることが好ましく、特に接着剤層挿入のし易さの観点からは図2に示すように前記基材層3とクッション層4とを接着剤層6により積層することが好ましい。
本発明の接着剤組成物を用いた積層フィルムの作製方法としては特に限定はしないが、例えば、押出しラミネート法によるフィルムの貼り合わせ時に、本発明の接着剤組成物をアンカーコート材として使用し積層フィルムを作製する事ができ、これにより積層フィルムに安定した帯電防止性を付与することができる。
下記原料を表1に示す配合に従い、界面活性剤を炭酸プロピレンに添加・溶解した後、更に溶剤およびポリウレタン組成物を加えてプロペラ式攪拌機を用いて混合した。その後フィルム貼り合わせ前にイソシアネート組成物をプロペラ式攪拌機混合して接着剤組成物とした。
なおポリウレタン組成物とイソシアネート組成物とは重量比率でポリウレタン組成物/イソシアネート組成物が6/1となるように配合しており、ポリウレタン組成物とイソシアネート組成物の合計成分を接着剤樹脂(B)とする。表1および2の接着剤樹脂Bはポリウレタン組成物とイソシアネート組成物の樹脂分を合わせた量を記載した。
界面活性剤:日油株式会社製 カチオン系界面活性剤 エレガン 264−WAX
ポリウレタン組成物 :三井化学社製 タケラック A‐520
イソシアネート組成物:三井化学社製 タケネート A−10
溶剤 :酢酸エチル
基材層として膜厚25μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(フタムラ化学株式会社製 PET 品番:FE2021)を使用し、上記により得られた各接着剤組成物を接着剤層(膜厚1μm)として、前記基材層上に中間層(住友化学化学株式会社製 低密度ポリエチレン 品番:スミカセンL705)を押出しラミネート法(乾燥炉温度80℃:ライン速度150m/min)により膜厚25μmで製膜することにより帯電防止フィルムを作製した。
フィルムに塗布して、偏光顕微鏡で観察を行い、成分偏在の有無を確認し、偏在の無いものを合格とした。
上記により作製された各帯電防止フィルムを5.5mm幅にスリット後、8mm幅のポリスチレン製キャリアテープ(素材:カーボン練りこみポリスチレン)に電子部品(サイズ:2mm×2mm×1mm、カバーテープ側の面の面積4mm2)を収納した。上記により得られた各積層フィルムは、そのままの状態ではヒートシールができない為、擬似的にテーピング状態となるように両端を粘着テープで貼り付け、電子部品包装体を得た。
上記により作製された各積層フィルムの表面抵抗値をSIMCO社製の表面抵抗測定器を用いて、ドライラミネート用接着剤の塗布・乾燥後の表面抵抗測定を実施した(測定条件23℃−20%RH)。1×1010Ω/□以下を合格とした。
上記により作製された各積層フィルムを5kvに帯電させた時にフィルムの帯電圧が1%に減少する時の減衰時間をETS株式会社製の静電気減衰測定器を用いて測定した。10秒以下を合格とした。
2・・・接着剤層
3・・・基材層
4・・・中間層
5・・・シーラント層
6・・・接着剤層
7・・・接着剤中の成分の偏在箇所
10・・帯電防止フィルム
20・・電子部品包装用カバーテープ
Claims (6)
- 接着剤層を介して複数の樹脂層を貼り合わせてなる帯電防止フィルムの製造方法であって、
前記接着剤層が界面活性剤(a1)と炭酸アルキレン(a2)とを含む帯電防止剤(A) 、
接着剤樹脂(B)および溶剤(C)を含む接着剤組成物であって、
前記接着剤樹脂(B)がポリウレタン組成物を含む熱硬化型接着剤樹脂であり、
接着剤樹脂(B)100部に対し、炭酸アルキレン(a2)が2.5質量部以上93.4質量部未満である、
帯電防止フィルムの製造方法。 - 前記界面活性剤(a1)がイオン系界面活性剤である請求項1記載の帯電防止フィルム
の製造方法。 - 前記帯電防止剤(A)中の界面活性剤(a1)と炭酸アルキレン(a2)との重量比(a
1/a2)がa1/a2=90/10〜60/40である請求項1または2記載の帯電防
止フィルムの製造方法。 - 前記接着剤層中の帯電防止剤(A)と接着剤樹脂(B)との重量比(A/B)がA/B
=10/90〜70/30である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の帯電防止フィル
ムの製造方法。 - 前記イオン系界面活性剤がカチオン系界面活性剤である請求項2項に記載の帯電防止フ
ィルムの製造方法。 - 前記カチオン系界面活性剤がアルキル4級アンモニウムエトサルフェートである請求項
5記載の帯電防止フィルムの製造方法。
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