JP5691080B2 - 振動発電体およびその製造方法と発電方法 - Google Patents

振動発電体およびその製造方法と発電方法 Download PDF

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Description

本発明は、エレクトレット誘電体を用いた振動発電体等に関するものである。
従来から、道路や橋梁、建築物、産業機械などの構造体の振動や、自動車や鉄道車両、航空機などの移動体の振動、人体の運動や環境に普遍的に存在する環境振動などを電気エネルギーに変換して有効利用する試みがなされている。
このような振動エネルギーを電気に変換する発電方式としては、電磁誘導を利用する方式、圧電素子を利用する方式、静電誘導を利用する方式に大きく分けられる。電磁誘導を利用する方式は、振動によってコイルと磁石との相対的な位置を変化させ、この際にコイルに生じる電磁誘導によって発電する方式である。また、圧電素子を利用する方式は、主としてセラミックス系の圧電素子を用い、振動によって圧電素子に歪が加わる際に、圧電素子の表面に電荷が誘起される現象を利用するものである。
また、静電誘導を利用する方式には、一般的に、半永久的に電荷を保持するエレクトレット誘電体が用いられる。エレクトレット誘電体と、これと距離を置いて配置された電極との相対位置を、振動等によって変化させることで、電荷が電極に静電誘導され、発電が行われるものである。このような原理を用いた発電装置は、例えば特許文献1、特許文献2に記載されている。
特開2010−136598号公報 特開2000−50394号公報
特許文献1に記載された振動発電装置は、固定基板の上面に短冊状の複数本のベース電極が平行に配列され、各ベース電極上には、それぞれエレクトレットが形成される。また、可動基板は、固定基板のエレクトレットが配置される側の面に対向し、所定のギャップをあけて平行に配置される。さらに、可動基板の対向面には、ベース電極と対向するように短冊状の対向電極が形成される。振動が付与されると、可動基板は、固定基板との距離を保った状態で、平行に移動する。したがって、エレクトレットと対向電極との相対位置が平行な方向に変化する。この際、各電極に電荷が静電誘導されて発電することができる。
また、特許文献2には、音波を電気信号に変換するエレクトレットコンデンサマイクロホンが記載されている。エレクトレットコンデンサマイクロホンは、固定電極であるカップ状背極にエレクトレット誘電体膜が形成され、エレクトレット誘電体膜と対向する側に対向電極である振動膜が形成される。また、エレクトレット誘電体膜と振動膜とのギャップはスペーサで保持される。中心孔から音波が伝播して振動膜が振動すると、振動膜とエレクトレット誘電体膜との相対位置が変化する。この際、各電極に電荷が静電誘導される。このようにして得られた電気信号を信号増幅およびインピーダンス変換して出力することができる。
ここで、エレクトレット誘電体は、事前に帯電処理が施されて使用される。上述の発電方式においても、十分な発電力を得るためには、エレクトレット誘電体の帯電処理が重要な工程となる。しかし、一般的には、エレクトレット誘電体の外部に設けられたコロナ放電発生装置によるコロナ放電を利用してエレクトレット誘電体表面の帯電処理がなされるため、帯電処理工程が大がかりとなる。
また、前述した従来の発電装置等は、広範囲かつ様々な取り付け部位の形態に対応させることが困難である。例えば、特許文献1、2に記載された装置や、電磁誘導や圧電素子を利用する方式では、各部材が略リジッドに形成されるため、取り付け部位に応じて形状を変える等のフレキシブル性に劣る。
また、特許文献2のようなエレクトレットコンデンサマイクロホンは、入力される音波と出力される電気信号との線形性が重要であるため、得られる電気信号が小さく、かつ、発電部のインピーダンスが高い。このため、発電部で発電された電気は、半導体回路によって増幅され、インピーダンス変換される。したがって、半導体回路を駆動する外部電源が必要であり、そもそも発電した電気エネルギーを有効に利用できるものではない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、帯電処理が容易であり、様々な形態の設置場所へ適用することが可能な発電効率の高い振動発電体等を提供することを目的とする。
前述した目的を達成するために第1の発明は、一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、表面と裏面との電位差が200V〜600Vに帯電処理され、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、具備し、前記エレクトレット誘電体は内部に空孔を有する多孔質材で構成された可撓性を有するものであり、少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間には、互いに接合されない非接合部が形成され、外力が付与された際、前記非接合部の少なくとも一部において、前記エレクトレット誘電体と、少なくとも一方の前記電極との距離が変化可能であり、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となり、前記スペーサの厚さは30μm〜100μmであり、外力が付与された際、一対の前記電極の少なくとの一方と前記エレクトレット誘電体との距離が、少なくとも一部において変化可能であり、前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体である。
このような構成とすることで、設置自由度が高い振動発電体を得ることができる。特に、エレクトレット誘電体内部に空孔を有するため、エレクトレット誘電体の帯電処理時に、空孔内において容易に空気放電を生じさせることができる。したがって、エレクトレット誘電体の厚み方向に電圧を印加することによって、エレクトレット誘電体内部の空孔内における空気放電を利用してエレクトレット誘電体の帯電処理ができ、かつ帯電処理に必要な前記印加電圧は比較的低い電圧でよいため、エレクトレット誘電体の帯電処理が容易となる。すなわち、空孔を有さないエレクトレット誘電体の場合には、その厚み方向に電圧を印加することによってエレクトレット誘電体の表裏面の帯電処理を行うのに必要な印加電圧は比較的高く、一般的には外部に設けたコロナ放電発生装置によってエレクトレット誘電体表面の帯電処理を行う。この場合と比較して、空孔を有する多孔質性のエレクトレット誘電体の帯電処理は容易となる
また、スペーサの厚み分だけ、エレクトレット誘電体と電極との隙間を保持することが容易に可能となる。したがって、外力に応じて、より確実にエレクトレット誘電体と電極との距離を変化させることができる。
また、エレクトレット誘電体が可撓性を有するものであるため、得られる振動発電体を設置場所に応じて変形させることができる。この際、エレクトレット誘電体が多孔質材であるため、エレクトレット誘電体の厚み方向の変形が容易であり、エレクトレット誘電体の厚み方向の変形(エレクトレット誘電体の厚さの部分的な変化)によって各電極に電荷が静電誘導され、発電を行うことができる。また、エレクトレット誘電体を軽量化することができる。
また、振動発電体が外力を受けたとき、エレクトレット誘電体と電極との非接合部において、エレクトレット誘電体と電極との距離がそれらの厚み方向に変化し、これに応じて各電極に電荷が静電誘導され、発電を行うことができる。すなわち、内部に空孔を有する多孔質性のエレクトレット誘電体で構成された本発明の振動発電体は、エレクトレット誘電体の厚み方向の変形(エレクトレット誘電体の厚さの部分的な変化)と、非接合部におけるエレクトレット誘電体と電極との距離の変化の双方によって、各電極に電荷が静電誘導され、発電を行うことができる。
なお、外力による変形とは、機械的に他の物質が振動発電体と接触して、振動発電体を変形させる場合のみには限られない。例えば、振動発電体の取り付け部に生じる構造体自体の振動や、外部からの音波や空気圧変化、風(気流)、水流など、振動発電体に繰り返し付与され、振動発電体を変形させることが可能な外部からのエネルギー全てによる変形を指すものである。このエネルギーは微小なものであってもよい。また、振動発電体における振動とは、その振幅や周波数などが一定であるようなものに限られず、定期的または不定期に繰り返しの外力(慣性力などを含む)を付与可能であるものを指す。
一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、を具備し、前記一対の電極の一方は中心電極であり、他方は外部電極であり、前記エレクトレット誘電体は、前記中心電極の外周に設けられ、前記外部電極は、前記エレクトレット誘電体の外周に設けられ、前記外部電極の外周が被覆部で被覆され、前記エレクトレット誘電体は内部に空孔を有する多孔質材で構成された可撓性を有するものであり、外力が付与された際、一対の前記電極の少なくとの一方と前記エレクトレット誘電体との距離が、少なくとも一部において変化可能であり、前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体としてもよい。
このような構成とすることで、設置自由度が高いケーブル状の振動発電体を得ることができる。また、このようなケーブル状の振動発電体は、外力によって、少なくとも外部電極とエレクトレット誘電体の互いの界面形状の部分的な変形が可能であるため、中心電極と外部電極との相対位置の変化による発電を行うことができる。
第2の発明は、振動発電体の製造方法であって、一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、内部に空孔を有する多孔質材であるエレクトレット誘電体と、を具備し、少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間には互いに接合されない非接合部を有し、前記非接合部の少なくとも一部には空隙を有し、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的に厚さは30μm〜100μmのスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となり、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との距離は、前記電極の変形によって前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返す距離である振動発電体素材を用い、前記一対の電極の間に電圧を付与し、前記空孔の内部あるいは前記空隙の内部で放電を生じさせることで、前記エレクトレット誘電体を表面と裏面との電位差が200V〜600Vに帯電させることを特徴とする振動発電体の製造方法である。
このようなエレクトレット誘電体の帯電処理方法を用いることによって、振動発電体の製造工程におけるエレクトレット誘電体の帯電処理が容易となる。すなわち、外部にコロナ放電発生装置を設ける必要がなくなり、その代替としてエレクトレット誘電体を挟む一対の電極間に電圧を印加するための高電圧電源を利用すればよく、また前述したように空孔を有する多孔質性のエレクトレット誘電体の帯電処理に必要な電圧は比較的低い電圧でよいため、帯電処理が容易となる。更には、エレクトレット誘電体の帯電処理工程を、振動発電体製造の最終工程に位置づけることができるため、振動発電体の製造が容易となる。
第3の発明は、一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、表面と裏面との電位差が200V〜600Vに帯電処理され、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、を具備する振動発電体を用い、前記エレクトレット誘電体は内部に空孔を有する多孔質材で構成された可撓性を有するものであり、少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間には、互いに接合されない非接合部が形成され、外力が付与された際、前記非接合部の少なくとも一部において、前記エレクトレット誘電体と、少なくとも一方の前記電極との距離が変化可能であり、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となり、前記スペーサの厚さは30μm〜100μmであり、外力が付与された際、一対の前記電極の少なくとの一方と前記エレクトレット誘電体との距離が、少なくとも一部において変化可能であり、前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返して発電することを特徴とする振動発電体による発電方法である。
なお、本願において「エレクトレット誘電体」という用語は、帯電処理された状態のものについてだけではなく、帯電処理前の基材についても用いることがある。
本発明によれば、エレクトレット誘電体の帯電処理が容易であり、様々な形態の設置場所へ適用することが可能な発電効率の高い振動発電体等を提供することができる。
(a)は振動発電体1を示す図、(b)は振動発電体1aを示す図。 (a)はエレクトレット誘電体3を示す図、(b)は、(a)のJ部拡大図。 電極5bとエレクトレット誘電体3の変形状態を示す概念図。 (a)は振動発電体30を示す図、(b)は振動発電体30aを示す図。 振動発電体40を示す断面図。 エレクトレット誘電体3の帯電状態を示す図。 外部電極43とエレクトレット誘電体3の変形状態を示す概念図。 エレクトレット誘電体3と外部電極43との距離変化を示す概念図。 (a)は振動発電体40aを示す断面図、(b)は振動発電体40bを示す断面図。 エレクトレット誘電体3を樹脂テープ51で形成する構成を示す図。 振動発電体の発電出力電圧の変化を示す図。 振動発電装置60を示す図。 振動発電体の発電出力電圧の比較を示す図。 振動発電体の発電出力電圧の比較を示す図。 振動発電体の発電出力電圧の比較を示す図。
<実施形態1>
以下、本発明の実施の形態にかかる振動発電体1について説明する。図1(a)に示すように、振動発電体1は、主にエレクトレット誘電体3、電極5a、5b、スペーサ7等から構成される。
エレクトレット誘電体3の両面には、エレクトレット誘電体3と対向するように、それぞれ電極5a、5bが配置される。また、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとの間にはスペーサ7が設けられる。スペーサ7は、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとの隙間を保持するためのものである。すなわち、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとは、スペーサ7を介して接合され、互いの間には、スペーサ7の厚さに応じた隙間(ギャップ)が形成される。
スペーサ7としては、例えば導電性、半導電性の材料を使用することも可能であるが、絶縁性の材料で構成されることが望ましい。また、全てのスペーサ7の内、少なくとも一部が、接着性あるいは粘着性部材で構成されることが望ましい。例えば、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとを接合して固定することができる程度に、部分的にスペーサ7を接着性部材等で構成し、他の部位には非接着性のスペーサ7を用いてもよい。なお、スペーサ7については詳細を後述する。
本発明では、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとは、いずれも可撓性を有する。例えば、電極5a、5bは、変形が容易な金属箔等、例えば、アルミニウム製や銅製などの可撓性を有する金属箔で形成できる。エレクトレット誘電体3は、例えば、絶縁性を有する多孔質材である可撓性樹脂等で構成される。したがって、振動発電体1は、全体として可撓性を有し、様々な形態の設置場所に適した変形が可能である。
図2(a)に示すように、エレクトレット誘電体3の両面は、互いに逆の極性の電荷で帯電している。また、エレクトレット誘電体3は、多孔質材(例えば発泡樹脂等)で構成される。すなわち、図2(b)に示すように、エレクトレット誘電体3の内部には微細な空孔4が形成される。
このようなエレクトレット誘電体3は、例えば、外部電荷源を用いる電子照射法や、外部コロナ発生装置を用いる直流コロナ放電法、交流コロナ放電法を利用してその表面を帯電させることができる。特に、基材表面にコロナ放電を生じさせることで容易に帯電処理を行うことができる。
ここで、エレクトレット誘電体3の表裏面(厚さ方向)に電圧を付与すると、空孔4内において容易にコロナ放電を生じさせることができる。したがって、このコロナ放電によって空孔4壁面および空孔4壁面近傍のエレクトレット誘電体3への帯電が容易となる。なお、空孔4壁面および空孔4壁面近傍のエレクトレット誘電体3への帯電では、図2(b)に示すように、電圧印加方向(この場合にはエレクトレット誘電体3の厚さ方向)に沿って正電荷と負電荷に帯電した領域が形成される。同様に、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとの非接合部に形成される空隙部においても、振動発電体1の厚さ方向に電圧を付与すると、空隙部において容易にコロナ放電を生じさせることができる。したがって、エレクトレット誘電体3の表裏面にそれぞれ正電荷と負電荷とに帯電した領域が形成される。このことから、振動発電体1の製造方法およびエレクトレット誘電体3の帯電処理方法として、前述したように、例えば、外部コロナ発生装置を用いてエレクトレット誘電体3の表面を帯電処理した後に、エレクトレット誘電体3を電極5a、5bの間に挟み、スペーサ7を介してエレクトレット誘電体3と電極5a、5bとを接着させて振動発電体1を製造する方法もあるが、エレクトレット誘電体3を帯電処理する前に、エレクトレット誘電体3を電極5a、5bの間に挟み、スペーサ7を介してエレクトレット誘電体3と電極5a、5bとを接着させておき、その状態で電極5a、5bとの間に電圧を印加してエレクトレット誘電体3の帯電処理を実施して振動発電体1を製造する方法をとることもできる。ここで、後者の振動発電体1の製造方法およびエレクトレット誘電体3の帯電処理方法の方が、外部コロナ発生装置を用いる必要がなく、また振動発電体1の製造工程の最終工程でエレクトレット誘電体3の帯電処理を行うことができるため、前者と比較して、振動発電体1の製造およびエレクトレット誘電体3の帯電処理が容易となる。
また、エレクトレット誘電体3の内部に空孔4が存在するため、エレクトレット誘電体3全体として変形が容易となる。したがって、より小さな外力でエレクトレット誘電体3自体の厚さを部分的にでも変化させることができ、それによって詳細は後述するが各電極に電荷が静電誘導されて発電を行うことができる。すなわち、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとの距離(ギャップ長)の変化による発電に加えて、エレクトレット誘電体3自体の部分的な厚さの変化による発電を行うことができるため、発電効率を向上させることができる。
以上のように、エレクトレット誘電体3として、空孔4を有する多孔質材を用いることで、エレクトレット誘電体3の帯電処理が容易となる。例えば、空孔4が形成されないものと比較して、より低い印加電圧でエレクトレット誘電体3の帯電処理を行うことができる。なお、エレクトレット誘電体3の基材に付与される電圧は、交流電圧であってもよく、直流電圧であってもよい。
ここで、エレクトレット誘電体3の帯電処理時において、多孔質材のエレクトレット誘電体3を挟む電極は、電極5a、5bを用いてもよく、別途帯電処理用の電極を用いてもよい。また、電圧印加あるいはコロナ放電によるエレクトレット誘電体の帯電処理以外の帯電処理方法としては、例えば、エレクトレット誘電体3が不織布で構成される場合には、十分な圧力による水流衝突により帯電処理を行ってもよい。または、有機溶剤もしくは水との混合液を不織布に通液後、素早く乾燥して帯電処理を行ってもよい。または、帯電列の異なる2種類の繊維を摩擦帯電させて帯電処理を行ってもよい。
なお、振動発電体1の製造工程において、エレクトレット誘電体3の帯電処理を、どのタイミングで行うかについては、特に限定されず、選択される帯電処理方法等に応じて適宜設定すればよい。例えば、事前に帯電処理を施したエレクトレット誘電体3を振動発電体として組み込んでもよい。または、振動発電体の製造工程中において、エレクトレット誘電体3となる基材を帯電処理せずに組み込んだ後、別途コロナ発生装置等を用いて帯電処理を施してもよい。または、完全に振動発電体の構成が組み込まれた後に、最終工程として帯電処理を行ってもよい。
また、空孔4は、帯電処理を容易にするためのみではなく、空孔4によって、エレクトレット誘電体3自体を容易に変形させる機能を有する。したがって、より小さな外力で、容易に振動発電体1を変形させることができる。このため、発電効率を向上させることができる。さらに、空孔4によって、エレクトレット誘電体3が軽量となる。なお、以下の説明においては、空孔4の図示を省略する。
ここで、エレクトレット誘電体3の帯電量(例えばエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差V[V])が大きく、エレクトレット誘電体3の厚みd[m]が薄く、エレクトレット誘電体3の比誘電率εが大きいほど、振動発電体1の発電力は大きくなる傾向がある。これは、真空中の誘電率をε(=8.854×10−12F/m)とし、エレクトレット誘電体3の両表面に帯電する表面電荷密度をそれぞれ+σ[C/m]、−σ[C/m]とすると、表面の電荷密度は以下の式で表わされ、表面電荷密度σが大きいほど、振動発電体1の発電力が大きくなるためである。
Figure 0005691080
エレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vは、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とのギャップ長(またはスペーサ7の厚み)に依存する。すなわち、電位差Vは、当該ギャップでの空気放電による電位差低下が少なくなるように設定されることが望ましい。
一般的に、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とのギャップ(隙間)における空気放電の発生は、ギャップ長とギャップ間の電位差で決まり、パッシェンの法則におよそ従う。したがって、外力が付与されない時、および外力が付与された時の電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とのギャップ長の変化範囲に対して、空気放電が発生しないギャップ間の電位差となるようにエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vを設定することが望ましい。例えば、外力を付与しない時のギャップ長(またはスペーサ7の厚み)が100μmであるとすると、外力を付与した時のギャップ長の変化範囲は0〜100μmとなる。そのギャップ長の変化範囲に対しては、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vを600V程度以上に設定すると空気放電が発生する。一方、空気放電が発生した場合、放電発生後のエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vは略200〜600V程度となる。したがって、本発明において、ギャップ長が100μmの場合には、Vが200〜600V程度となるように帯電処理を行うことが望ましい。
なお、ギャップを介した電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との間の空気放電の発生は、振動発電体1の製造方法やエレクトレット誘電体3の帯電処理方法にも依存する。例えば、事前に帯電処理を施したエレクトレット誘電体3を振動発電体1として電極等とともに組み込んだ場合と、製造(組み込み)途中で帯電処理を行った場合と、製造(組み込み)後に帯電処理を行った場合とで異なる。
エレクトレット誘電体3は、絶縁性の多孔質プラスチックシートまたは多孔質プラスチックフィルム、あるいは絶縁性の多孔質ゴムシートまたは多孔質ゴムフィルム、または絶縁性材料の繊維からなるシート状繊維体を使用することができる。前記プラスチックとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニルなどの樹脂を用いることができる。また、使用条件に応じて、例えば高温特性に優れるポリイミド系の樹脂やフッ素系の樹脂(例えばフルオロエチレンプロピレンやポリテトラフルオロエチレン)を用いることができる。また、前記ゴムとしては、例えばニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴムなどを用いることができる。
また、絶縁性のシート状繊維体としては、織布の他、不織布やフェルトを用いることができる。中でも、不織布は、空気清浄機やマスク等に用いられるエレクトレットフィルターに利用されており、良好なエレクトレットの特性を有している。このような不織布の材質としては、前述したプラスチックの材質と同様のものを用いることができる。
図1(a)に示すように、スペーサ7以外の部位において、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bとの間には非接合部9が形成される。すなわち、非接合部9においては、エレクトレット誘電体3と電極5a、5bの少なくとも一方が変形することで、互いの距離が容易に変化する。例えば、電極5a、5bの変形によって、電極5a、5bを、エレクトレット誘電体3の表面と接触させることもできる。
<振動発電体1の発電機構について>
次に、振動発電体1の発電機構について説明する。図3は図1のA部拡大図である。図3(a)に示すように、例えば定常状態(外力が付与されていない状態。以下同様。)では、電極5bとエレクトレット誘電体3との間には、非接合部9においてスペーサ7の厚みに応じたギャップ長Bが形成される。この状態から、図3(b)に示すように、外力Cが振動発電体1の厚さ方向に付与されると、電極5b(およびエレクトレット誘電体3)が変形する。この際、ギャップ長Bの変化が付与されると、電極5bとエレクトレット誘電体3とが接触部11で接触する。
この際、接触部11に対応する位置においては、電極5bとエレクトレット誘電体3の厚さ方向の距離(ギャップ長B)が0になるまで変化できる。更に、接触部11では、電極5bとエレクトレット誘電体3の接触後に外力Cによってエレクトレット誘電体3の厚さの変化が生じる。したがって、電極5bとエレクトレット誘電体3の厚さ方向の距離(ギャップ長B)の変化に応じて、電極5a、電極5bのそれぞれに逆極性の電荷が静電誘導されて発電するものと考えられる。また、エレクトレット誘電体3の表裏面および内部(空孔4の近傍)において、極性を異にして帯電する電荷によって形成される双極子の双極子モーメントが、エレクトレット誘電体3の変形(厚さの変化)に伴い変化する。その際、エレクトレット誘電体3の厚さの変化に応じて、エレクトレット誘電体3を挟む電極5a、電極5bのそれぞれに逆極性の電荷が静電誘導されて発電するものと考えられる。なお、図3(b)の状態から図3(a)の状態に戻る際にも、同様に電極5bとエレクトレット誘電体3の厚さ方向の距離(ギャップ長B)の変化とエレクトレット誘電体3の厚さの変化に応じた静電誘導による発電が行われる。ここで、電極5a、5bにそれぞれ誘起される電荷の極性は、電極5bとエレクトレット誘電体3との距離が近づく方向に変化し、エレクトレット誘電体3の厚さが小さくなる方向に変化していく場合と、電極5bとエレクトレット誘電体3との距離が離れる方向に変化し、エレクトレット誘電体3の厚さが大きくなる方向に変化していく場合とで逆極性となる。したがって、繰り返しの外力変化(振動含む)を与えた際の振動発電体1から得られる出力電圧は交流電圧となる。なお、詳細は後述するが、電極5bとエレクトレット誘電体3との距離変化およびエレクトレット誘電体3の厚さの変化に伴う発電出力電圧は、電極5bとエレクトレット誘電体3とが変形によって接触する直前および剥離した直後が最も高くなる。
このように、本発明では、電極5a、5bをエレクトレット誘電体3に対して厚さ方向に変形させて、そのギャップ長Bを変化させることと、エレクトレット誘電体3自体の厚さを変化させることによって発電させることができる。なお、振動発電体1の全体で効率良く発電を行うためには、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向(減少する方向あるいは増加する方向)およびエレクトレット誘電体3の厚さ変化の方向(減少する方向あるいは増加する方向)とそれらのタイミング(位相)を振動発電体1の各部で一致させることが望ましい。例えば、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返す場合には、この接触および剥離のタイミングを振動発電体1の各部で一致させることが望ましい。
ここで、スペーサ7が配置される部位は、その材質にも依存するが、外力の付与に対する非接合部9のギャップ長の変化と比較してスペーサ7の厚さは変化しにくい。すなわち、スペーサ7が配置される部位は、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との距離変化がしにくい。このため、スペーサ7が配置される部位はほとんど発電には寄与しない。したがって、スペーサ7は、できるだけ小さくし、かつ振動発電体1に占めるスペーサ7の総面積をできるだけ小さくすることが望ましい。また、非接合部9に対してギャップ長Bを保持することができる程度に互いに所定の距離をあけて配置することが望ましい。また、前述のように、エレクトレット誘電体3の表裏で電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向とタイミングを一致させるために、エレクトレット誘電体3の表裏におけるスペーサ7の平面配置を一致させることが望ましい。
なお、スペーサ7は、エレクトレット誘電体3の表面において、例えば、ドット状、ストライプ状、格子状などの形状(形態)にて、所定の間隔をあけて配置される。スペーサ7がドット状の場合には、スペーサ7の平面視における形状は、円形、楕円形、正方形、長方形など任意の形状で形成すればよい。この際、各スペーサの振動発電体1に占める面積をできるだけ小さくし、非接合部9を広くすることが望ましい。
なお、振動発電体1が外力により変形を繰り返す場合、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とが接触および剥離を繰り返すが、その際に、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との間の空隙部で空気放電が生じることが考えられる。このような空気放電が生じると、エレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差が低下する恐れがある。したがって、振動発電体1を使用するにつれて発電が行われなくなる恐れがある。しかし、発明者らは、このような電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とが互いに接触と剥離とを繰り返しても、振動発電体1の発電出力が直ちに低下して発電が行われなくなるようなことはないことを見出した。電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との間の空隙部における空気放電の発生は、前述した通り、パッシェンの法則におよそ従うと考えられる。したがって、空隙部における電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との間の距離と、エレクトレット誘電体3の帯電電位(エレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差)とを、パッシェンの法則において空気放電が発生しない範囲に設定することが望ましい。
また、本発明では、図1(b)に示すように、一方の電極5bの間のみにスペーサ7が設けられた振動発電体1aを用いることもできる。振動発電体1aは、振動発電体1と略同様の構成であるが、電極5aはスペーサ7を介さずに直接エレクトレット誘電体3に全面にわたって接合される。この場合は、一方の電極5bとエレクトレット誘電体3との間にスペーサ7によって隙間が形成される。したがって、振動発電体1と同様の機構によって発電を行うことができる。なお、この場合にも、前述した理由によりエレクトレット誘電体3の表面と裏面との電位差Vは、200〜600V程度とすることが望ましい。
なお、電極5aとエレクトレット誘電体3とは、例えば熱融着により融着してもよい。または、両者を接着剤や粘着剤により接着してもよい。または両者を粘着テープで接合してもよい。接着剤、粘着剤、粘着テープは、導電材や半導電材も使用可能であるが、絶縁性の高い(電気抵抗率が高い)部材であることが望ましい。但し、接着剤や粘着剤を用いる場合には、接着層をできるだけ薄くすることが望ましい。例えば、電極5a、5b間の距離やエレクトレット誘電体3の厚さに対し、十分薄くすることが望ましい。
振動発電体1aは、電極5aがエレクトレット誘電体3と全面にわたって接合されているため、一方の電極5bとエレクトレット誘電体3との距離変化とエレクトレット誘電体3の厚さ変化で発電が行われる。しかし、電極5a、5bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化とエレクトレット誘電体3の厚さ変化で発電を行う振動発電体1においては、例えば、電極5a、5bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化の方向とタイミング(位相)が一致しないと、電極5a、5b間に生じる発電出力電圧が互いに打ち消しあってしまう恐れがある。したがって、電極5a、5bそれぞれとエレクトレット誘電体3との距離変化の方向とタイミング(位相)を一致させる必要がある。
これに対し、振動発電体1aでは、一方の電極5bとエレクトレット誘電体3との距離変化とエレクトレット誘電体3の厚さ変化によって発電されるため、例えば、振動発電体1のように電極5a、5bのそれぞれとエレクトレット誘電体3との双方の距離変化の方向とタイミング(位相)を一致させる必要がない。また、図1(a)の振動発電体1と比較して、振動発電体1aはスペーサ7の厚み分だけ、全厚を薄くすることができる。このように、構造を簡易にできることによるコスト減や、薄肉化が可能である点などを考慮すれば、振動発電体1aを用いることもできる。
以上、本実施の形態の振動発電体は、エレクトレット誘電体3が、内部に空孔4を有する多孔質材で構成されるため、その帯電処理が容易である。また、空孔4によって、部材が柔軟となるため、容易に変形させることができる。したがって、小さな外力でも、エレクトレット誘電体3を容易に変形させることができるため、発電効率が良い。また、振動発電体1を、設置部の形態に応じて、自由に折り曲げて設置することができる。また、空孔4によって、振動発電体1を軽量とすることができる。
また、スペーサ7によって、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との間に、所定のギャップ長を保持することができる。このため、外力による電極5a、5bの変形代(エレクトレット誘電体3との距離が変化するような厚み方向の変形)を確保することができる。また、スペーサ7の厚みを適正化することで、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との接触および剥離を繰り返させることもできる。このため、高い発電力を得ることができる。なお、ギャップ長を保持するスペーサ7の厚みを30μm〜100μmとすることで、効率よく発電を行うことができる。
<実施形態2>
次に、他の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、振動発電体1と同様の機能を奏する構成については図1等と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図4(a)に示す振動発電体30は、振動発電体1と略同様の構成であるが、電極5a、5bに代えて、電極31a、31bが用いられる点で異なる。電極31a、31bは、導電層33と樹脂層35が積層して構成され、それぞれの導電層33がエレクトレット誘電体3と対向するように配置される。
このような電極31a、31bは、樹脂シートと金属箔とを接着剤や熱溶着等によって接合したものであってもよく、樹脂シートの表面に金属蒸着や金属めっきを施したものであってもよい。いずれにせよ、シート(フィルム)状の樹脂上に導体層を形成できればよい。なお、導体としては、アルミニウム、錫、銅あるいはこれらの合金など適宜選択することができる。
なお、このような樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂を用いることができる。また、使用条件に応じて、例えば高温特性に優れるポリイミド系の樹脂やフッ素系の樹脂(例えばフルオロエチレンプロピレンやポリテトラフルオロエチレン)を用いることができる。また、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フッ素系ゴムなどのゴム材料を用いることもできる。
二層構造の電極31a、31bを用いることで、外力等に対する電極の追従性を向上させることができる。例えば、薄い導体のみでは、外力によって変形した後、元の形状への復元力が小さくなる。しかし、導体のみで剛性を高めようとすると、導体部の厚みを厚くする必要があるため重量増の問題がある。また、これにより、電極の動きが鈍くなる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、樹脂層35を設けることで、重量増による問題を抑制するとともに、外力に対する電極31a、31bの追従性、すなわち剛性を高めることができる。また、電極31a、31bと外部環境との電気的絶縁を図ることができる。なお、本実施形態でも、図4(b)に示す振動発電体30aのように、一方の電極31aを、スペーサ7を用いずに直接エレクトレット誘電体3に全面にわたって接合してもよい。
<実施形態3>
次に、さらに他の実施の形態にかかる振動発電体40について説明する。図5に示すように、ケーブル状である振動発電体40は、主に、中心電極41、エレクトレット誘電体3、外部電極43、被覆部45等から構成される。
振動発電体40の中心には、中心電極41が設けられる。中心電極41の外周にはエレクトレット誘電体3が設けられる。また、エレクトレット誘電体3の外周には、外部電極43が設けられる。すなわち、エレクトレット誘電体3は、中心電極41と外部電極43とで挟まれる。また、外部電極43の外周には、被覆部45が設けられる。このように、振動発電体40は、中心電極41、エレクトレット誘電体3、外部電極43、被覆部45が同軸状に配置され、構成されたケーブルである。
外力を付与した際、少なくとも外部電極43とエレクトレット誘電体3の互いの界面形状は、振動発電体40の長さ方向と直交する断面において、その部分的な変形が可能である。また、中心電極41、エレクトレット誘電体3、外部電極43は、それぞれ可撓性を有し、振動発電体40を任意の形態に曲げて変形させることが可能である。
中心電極41、外部電極43としては、導電性が高い材料が望ましいが、半導電性の材料でも良い。導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、錫、鉄あるいはこれらの合金等の金属を用いることができる。また、これらの金属の表面に、錫、銀、亜鉛、ニッケル等のめっき処理を施しても良い。
なお、中心電極41は、例えば、単心の導体素線や、複数の導体素線を撚り合わせて形成すれば良い。また、外部電極43は、例えば、金属製の編組線や、金属テープ巻き、導体素線の螺旋巻きなどで形成することができるが、外力による柔軟性や耐久性を考慮すると、金属製の編組線であることが望ましい。
図6(a)に示すように、エレクトレット誘電体3は、内面側である中心電極41側が正に帯電し、外面側である外部電極43側が負に帯電している。すなわち、エレクトレット誘電体3の両面は、互いに逆極性の電荷で半永久的に帯電している。このようなエレクトレット誘電体3は、所定の帯電処理を施すことで形成することができる。なお、図6(b)に示すように、エレクトレット誘電体3は、内面側である中心電極41側を負に帯電させ、外面側である外部電極43側を正に帯電させてもよい。ここで、エレクトレット誘電体3の内部には、前述の通り内部に空孔4(図2(b))が形成されている。
<振動発電体40の発電機構について>
次に、振動発電体40の発電機構について説明する。図7(a)に示すように、例えば定常状態(外力が付与されていない状態。以下同様。)では、中心電極41と外部電極43との間には、エレクトレット誘電体3の厚み分の距離が保たれている。
これに対し、図7(b)に示すように、例えば外方から圧縮力(図中矢印G方向の力)が付与されると、外部電極43およびエレクトレット誘電体3の互いの界面形状が部分的に変形する。したがって、エレクトレット誘電体3の厚さと中心電極41と外部電極43との距離の双方が変化する。この際、エレクトレット誘電体3の変形(厚さの変化)と、中心電極41と外部電極43との相対位置変化とに応じて、それぞれの電極に互いに極性を異にする電荷が誘起され、発電する。
このように、中心電極41と外部電極43とに電荷が誘起されるメカニズムとしては、以下のように考えられる。エレクトレット誘電体3の両面において、極性を異にして帯電する電荷によって形成される双極子の双極子モーメントが、エレクトレット誘電体3の変形に伴い変化する。この際、エレクトレット誘電体3の内面側と外面側に配置される中心電極41と外部電極43とに逆極性の電荷がそれぞれ誘起されて発電するものと考えられる。
また、中心電極41と外部電極43との相対的な位置が部分的に変化するため、中心電極41と外部電極43との間の静電容量が変化する。したがって、エレクトレット誘電体3の存在によって、各電極に誘起される電荷量に変化が生じ、発電するものと考えられる。
なお、実際には、エレクトレット誘電体3の内面側と外面側とで帯電する電荷量が異なる点や、各構成部材が同軸状に配置されている点などから、中心電極41と外部電極43とに電荷が誘起されるメカニズムは複雑である。しかし、いずれのメカニズムを想定しても、中心電極41および外部電極43にそれぞれ誘起される電荷の極性は、エレクトレット誘電体3の厚さが小さくなり、中心電極41と外部電極43との距離が近づく方向に変形していく場合と、エレクトレット誘電体3の厚さが大きくなり、中心電極41と外部電極43との距離が離れる方向に変形していく場合とで逆極性となる。
一方、振動発電体40に外力が加わっていても、振動発電体40の形状に変化がない状態(変形が止まっている状態)では、中心電極41と外部電極43とに誘起される電荷量には変化が生じない。このため、中心電極41と外部電極43とに電気的に接続された外部回路には電荷が流れず、したがって、中心電極41と外部電極43との電位差はゼロの状態を維持するため、振動発電体40は発電しない。以上のことから、繰り返しの外力変化(振動含む)を与えた際の振動発電体40から得られる出力電圧は交流電圧となる。
また、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43の少なくとも一方との間には非接合部が形成されることが望ましい。すなわち、エレクトレット誘電体3は、中心電極41、外部電極43に対して、容易に剥離可能であることが望ましい。また、図8(a)に示すように、エレクトレット誘電体3は、中心電極41あるいは外部電極43と、完全に接触していなくてもよく、部分的に隙間が形成されていても良い。図示した例では、図8(a)のI部が、外部電極43とエレクトレット誘電体3とが剥離してその間に空隙が生じている状態を示す。
この状態から、例えば振動発電体40の径方向(図中矢印H方向)の外力変化が生じて外部電極43とエレクトレット誘電体3の互いの界面形状が部分的に変形すると、図8(b)に示すように、外部電極43とエレクトレット誘電体3との非接合部における接触状態が変化する。例えば、図8(b)のI部では、図8(a)のI部で示す外部電極43とエレクトレット誘電体3とが剥離している剥離状態から接触する状態へと変化した状態を示している。この時、エレクトレット誘電体3自体も外力によって変形しやすいため、エレクトレット誘電体3自体の厚さも変化する。すなわち、外部電極43とエレクトレット誘電体3との互いの距離が部分的に変化し、外部電極43とエレクトレット誘電体3とが接触した部分ではエレクトレット誘電体3の厚さが変化するため、中心電極41と外部電極43との互いの距離が部分的に変化する。
このようにすることで、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との非接合部における界面において、振動発電体40の変形時に、互いに接触及び剥離または摩擦が生じる領域を形成することができ、かつエレクトレット誘電体3自体の厚さを部分的に変化させることができる。この際、中心電極41および外部電極43に電荷が誘起され、発電を行うことができる。
このように、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との非接合部における接触状態が変化することで、各電極に電荷が誘起されるメカニズムとしては、以下のように考えられる。
第1は、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との非接合部において、互いに接触及び剥離を繰り返すことで、エレクトレット誘電体3表面と中心電極41あるいは外部電極43のそれぞれの表面との相対的な位置が変化する。また、剥離と接触とを繰り返すことで、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との間において、空気層の形成及び消失が繰り返される。それらの際に、静電誘導によって、各電極に極性を異にする電荷が誘起されるものと考えられる。また、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43とが接触及び剥離を繰り返す領域では、エレクトレット誘電体3にも外力が作用するため、エレクトレット誘電体3の厚さも変化する。特に、内部に空孔4を有する多孔質性のエレクトレット誘電体3では、空孔4を有さない場合と比較して外力によって容易に厚さが変化する。この際、エレクトレット誘電体3の厚さの変化によって、エレクトレット誘電体3の双極子モーメントが変化するため、静電誘導によって、各電極に極性を異にする電荷が誘起されるものと考えられる。
第2は、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との非接合部において、互いに接触及び剥離または摩擦が生じする際に、帯電する現象(剥離帯電、接触帯電、摩擦帯電など)が発生し、中心電極41および外部電極43にそれぞれ電荷が誘起されて発電するものである。異種物質同士が接触、剥離、摩擦をする際の帯電現象は、その時の状態や条件によって、帯電量や極性が異なり、複雑な現象である。したがって、本発明においては、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との接触状態の変化に伴い、各電極に電荷が誘起されるメカニズムは、前者が支配的であると考えられる。
なお、発明者らは、エレクトレット誘電体3と中心電極41および外部電極43とを完全に接合したものよりも、非接合状態として、エレクトレット誘電体3と各電極とが互いに接触および剥離が可能な状態とした場合の方が、発電出力電圧が大きいことを見出した。したがって、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との間に非接合部を設けた振動発電体40では、前述したエレクトレット誘電体3の変形に伴う双極子モーメントの変化に起因した発電よりも、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との非接合部における接触状態の変化に伴う発電の方が支配的であると考えられる。
なお、図1、図4に示した振動発電体1、1a、30、30aは、スペーサ7により空間が保持され、外力を付与することで、スペーサ7以外の非接触部において、各電極とエレクトレット誘電体3との距離を変化させることができる。しかし、スペーサ7を用いたとしても、非接合部9のギャップ長を一定に保つことができない場合もある。したがって、非接合部9において、外力が付与されない状態でも電極5a、5bとエレクトレット誘電体3とが部分的に接触する場合がある。しかし、前述の通り、外力によって、電極5a、5bとエレクトレット誘電体3との厚み方向の距離が部分的にでも変化可能であれば(図8)、電極5a、5bに電荷を誘起することができる。したがって、振動発電体1、1a、30、30aにおいて、部分的に非接合部を形成すれば、必ずしもスペーサ7は必要ではない。
<実施形態4>
前述のように、本発明の振動発電体40は、外力による変形に応じて発電を行うことができる。したがって、振動発電体40は、容易に変形するものであることが望ましい。このため、図9(a)に示すように、中空の中心電極41を有する振動発電体40aを用いても良い。振動発電体40aでは、中心電極41の内部に空間47が形成されているため、外力による振動発電体40aの断面の変形が容易である。
また、図9(b)に示すように、中空の中心電極41の内部に弾性体49を配置した振動発電体40bを用いても良い。弾性体としては、容易に変形が可能であり、形状の復元力が高いものが望ましく、例えば、ゴム製の紐部材または線部材を用いることができる。この場合、弾性体49の外表面に、金属蒸着、金属メッキ等を施して中心電極41を形成しても良い。また、弾性体49の外周に、金属テープや金属素線を巻きつけて、中心電極41を形成しても良い。また、弾性体49の外周に、例えば管状に銅編組線を被せて中心電極41を形成しても良い。なお、中心電極41の断面形状は、真円でなくてもよく、楕円その他の形状であっても良い。
<振動発電体40の製造方法について>
次に、振動発電体40の製造方法について説明する。エレクトレット誘電体3は、中心電極41の外周に絶縁性の発泡プラスチックまたは発泡ゴムを押し出し被覆して形成することができる。絶縁性の発泡プラスチックまたは発泡ゴムであるエレクトレット誘電体3の基材を押し出し被覆後、さらに外周に外部電極43を形成し、前記外部電極43の外周に被覆部45を押し出し被覆すればよい。その後、中心電極41と外部電極43との間に直流電圧を付与し、エレクトレット誘電体3の帯電処理を行えばよい。
また、本発明のように、エレクトレット誘電体3の内部に空孔4が分散して存在する場合や、エレクトレット誘電体3と中心電極41あるいは外部電極43との間に空隙部が存在する場合には、前述のように中心電極41と外部電極43との間に直流電圧を付与してもよいが、交流電圧を付与することでもエレクトレット誘電体3の帯電処理を行うことができる。この際、交流電圧を印加する場合の方が、直流電圧を印加する場合と比較して、より低い印加電圧で空隙部や空孔部において空気放電を発生させることができるため、エレクトレット誘電体3内に帯電領域を形成しやすい。したがって、エレクトレット誘電体3の帯電処理が容易となる。
また、エレクトレット誘電体3は、他の方法で形成しても良い。例えば、樹脂テープ51を中心電極41の周囲に1層または複数層となるように巻き付けることで形成しても良い。
この場合、図10(a)に示すように、樹脂テープ51が、互いの端部同士がラップするように螺旋状に巻きつけられてもよい(ラップ巻き)。また、図10(b)に示すように、樹脂テープ51同士が、互いの端部間にギャップが形成されるように空隙6を空けて螺旋状に巻きつけられても良い(ギャップ巻き)。
樹脂テープ51をラップ巻きする場合や、ギャップ巻きする場合には、複数層に巻きつけられる樹脂テープ51の層間に螺旋状の空隙6が形成される。空隙6は本発明の空孔4として機能する。すなわち、樹脂テープ51として空孔のない材質のものを用いても、樹脂テープ51を巻いて形成したエレクトレット誘電体3は、前述した、多孔質な材料で形成されたエレクトレット誘電体3と同様の働きをする。すなわち空隙6は、本発明の空孔4として機能する。
なお、樹脂テープ51の材質には、前述したエレクトレット誘電体3と同様のものを用いることもできる。すなわち、樹脂テープ51として、絶縁性の多孔質プラスチックテープ、多孔質ゴムテープ、繊維体テープ等を用いることができる。
多孔質な材質からなる樹脂テープ51を用いる場合は、図10(c)に示すように、樹脂テープ51が互いの端部にラップ部やギャップ部が形成されないように隙間なく突き合わされて螺旋状に巻きつけられても良い(突き合わせ巻き)。また、中心導体に樹脂テープを縦添えして1層または複数層巻いてもよい。
また、中心電極41の外周に、絶縁性の発泡プラスチックまたは発泡ゴムであるエレクトレット誘電体3の基材を押し出し被覆後、外部電極43の形成前に、帯電処理を施すこともできる。すなわち、例えば、エレクトレット誘電体3の基材を中心電極41の外周に押し出し被覆後、外部コロナ放電発生装置を用いてエレクトレット誘電体3の表面を帯電処理し、その後に外部電極43、被覆部45を順次形成して振動発電体40を製造する方法をとることができる。また、樹脂テープ51を用いる場合には、樹脂テープ51を巻きつけた後に帯電処理を行ってもよく、予め帯電処理を施した樹脂テープ51を巻き付けてもよい。
<振動発電体40の変形と発電出力電圧との関係について>
図11は、振動発電体40の変形と発電出力電圧との関係を評価した結果を示す図であり、横軸が時間、縦軸が発電出力電圧である。なお、振動発電体40としては、中心電極41に直径1mmの銅線を用い、エレクトレット誘電体3は、厚さ約1mmの発泡ポリプロピレンを中心電極上に押し出し被覆して設けた。外部電極43には、錫メッキ銅編組線を用い、被覆部45としては厚さ約0.5mmのポリ塩化ビニルを用いた。なお、エレクトレット誘電体3には、発泡ポリプロピレンの他に、発泡ポリエチレン、発泡ポリ塩化ビニル、発泡シリコーンゴム、発泡エチレンプロピレンゴムを厚さ約1mmで中心電極41上に押し出して、同一構成とした振動発電体40についても同様に評価した。
得られた振動発電体40には、常温にて中心電極41と外部電極43との間に、直流電圧4kVを1時間印加して、エレクトレット誘電体3の分極帯電処理を施した。なお、直流電圧の極性に関しては、中心電極41側を負極、外部電極43側を正極とした場合と、その逆とした場合の両方について評価した。また、いずれの振動発電体40においても、エレクトレット誘電体3と中心電極41および外部電極43とは非接合状態であり、振動発電体40の変形によって、互いに接触及び剥離あるいは摩擦が生じることが可能である。ここでは、簡単のため、外部電極43とエレクトレット誘電体3との互いの界面形状および接触状態の変化に着目して、図11の振動発電体40の変形と発電出力電圧の関係を説明する。
図11は、一例として振動発電体40に対し、押圧力を付与し、一定時間保持後にその押圧を取り除いた際の発電出力波形をオシロスコープにて観測した例である。ここで、オシロスコープの入力インピーダンスはDC1MΩとした。また、エレクトレット誘電体3の負電荷が帯電する表面側に対向する電極の電位を基準電位とした。
まず、定常状態において、外部電極43とエレクトレット誘電体3との互いの界面形状および接触状態が変化していない場合には、発電が行われない。この状態から、振動発電体40を押圧して変形させていくと、押圧を受けた領域の外部電極43とエレクトレット誘電体3との界面形状が変化する。例えば、図8(a)のI部に示すように空隙が形成されていた部分では、図8(b)のI部に示すように外部電極43とエレクトレット誘電体3との間の距離が小さくなり、いずれは接触するように変化する。外部電極43とエレクトレット誘電体3とが接触する領域では、エレクトレット誘電体3に外力(押圧)が作用するため、エレクトレット誘電体3も変形を受け、エレクトレット誘電体3の厚さが小さくなる方向に変化する。また、同時に、押圧を受けた領域では、外部電極43と中心電極41との間の距離も小さくなる方向に変化していく。この際、振動発電体40では、正極性の電圧が発生する(図11中I)。
その後、振動発電体40に押圧が付与された状態で、振動発電体40の形状変化が止まり、したがって、外部電極43とエレクトレット誘電体3との互いの界面形状および接触状態の変化、およびエレクトレット誘電体3の厚さの変化が止まり、その界面形状および接触状態、エレクトレット誘電体3の厚さが保持されると、振動発電体40の発電出力電圧は0となる(図11中II)。この状態から、押圧を開放すると、押圧を受けた領域の振動発電体40の形状はもとの定常状態における形状に戻る方向に変形する。このため、外部電極43とエレクトレット誘電体3との互いの界面形状および接触状態、およびエレクトレット誘電体3の厚さも、定常状態における界面形状および接触状態、およびエレクトレット誘電体3の厚さに戻る方向に変形していく。すなわち、外部電極43とエレクトレット誘電体3は剥離する方向(双方の距離が離れる方向)に変形していき、エレクトレット誘電体3の厚さは大きくなる方向に変化していく。また、同時に、押圧が開放された領域では、外部電極43と中心電極41との間の距離も大きくなる方向に変化していく。この際には前述とは逆極性である負電圧が振動発電体40で発生する(図11中III)。続いて、押圧を開放してから振動発電体40の形状変化が止まり、したがって、外部電極43とエレクトレット誘電体3との互いの界面形状および接触状態の変化、およびエレクトレット誘電体3の厚さの変化が止まると、振動発電体40の発電出力電圧は0となる。
このように、本発明では、振動発電体40におけるエレクトレット誘電体3と外部電極43あるいは中心電極41との互いの界面形状および接触状態の変化(接触と剥離)によって、高い効率で発電を行うことができる。なお、このような傾向は、エレクトレット誘電体3の材質を変えても同様であった。また、エレクトレット誘電体3の帯電の極性を逆にしても、同様の傾向であった。
なお、振動発電体1、1a、30、30a、40a、40bにおいても、図11に示すように同様な振動発電体の変形と発電出力電圧の関係があることが確認された。特に、電極とエレクトレット誘電体3との間にスペーサ7を設け、隙間を形成することで、より高い発電力が得られた。具体的には、押圧を加えて変形させていく過程では、電極がエレクトレット誘電体3と接触する直前に最も大きな発電出力電圧を示し、押圧を開放してもとの定常状態に戻る過程では、電極がエレクトレット誘電体3から剥離した直後が最も大きな発電出力電圧となった。したがって、振動発電体を変形させた際に、電極とエレクトレット誘電体3とが接触と剥離とを繰り返すように構成することが望ましい。
また、本発明にかかる振動発電体1、1a、30、30a、40、40a、40bは、直列または並列に複数接続して用いることもできる。このようにすることで、より大きな発電出力電圧を得ることができる。この場合、例えば、正電荷が誘起される電極同士および負電荷が誘起される電極同士を並列に接続してもよく、異なる極性の電荷が誘起される電極同士を直列に接続してもよい。また、振動発電体1、1a、30、30a、40を複数層に積層してもよく、平面上に複数併設して配置しても良く、または、これらを組み合わせて配置しても良い。
また、本発明にかかる振動発電体1、1a、30、30a、40、40a、40bは可撓性を有するため、前記振動発電体を曲げて用いることもできる。例えば、振動発電体1、1a、30、30aを折り畳んだ状態で使用しても良く、この場合には、複数の振動発電体を積層してそれぞれの電極同士を極性を合わせて並列に接続した場合と同様の効果が得られる。また、振動発電体40、40a、40bを渦状に曲げた状態で用いることもできる。
<実施形態5>
次に、本発明にかかる振動発電体1、1a、30、30a、40、40a、40bで発電した発電出力を蓄電する方法について説明する。図12に示すように、振動発電装置60は、振動発電体1、整流回路67、蓄電回路69等から構成される。なお、図12では、振動発電体1を用いる例について説明するが、振動発電体1a、30、30a、40、40a、40bに対しても同様に適用することができる。
整流回路67には、4つのダイオード61を組み合わせた全波整流回路が用いられる。整流回路67は、振動発電体1からの出力電圧を整流する。また、蓄電回路69は、コンデンサや充電可能なバッテリーなどの蓄電部63とスイッチ65から構成される。なお、ダイオード61は、順方向の抵抗が小さく、逆方向の抵抗が大きく、かつ、時間応答速度が速く、ロスの少ないものが望ましい。また、コンデンサあるいはバッテリーは、充電状態での漏れ電流が小さく、充電ロスの小さなものが望ましい。
前述の通り、繰り返しの外力が付与された際の振動発電体1の出力電圧は交流となる。したがって、振動発電体1の出力電圧を整流回路67で整流し、整流回路67の出力を蓄電回路69に蓄電することが望ましい。
また、複数の振動発電体1を用いる場合には、全ての振動発電体1の電極5a、5b同士を並列に接続した後に整流回路67に接続してもよいが、個々の振動発電体1に対して整流回路67を設けることが望ましい。すなわち、個々の振動発電体1に対して整流回路67を設けて接続し、各整流回路67からの出力を、極性を合わせて並列に蓄電回路69に接続することが望ましい。これは、各振動発電体1における発電のタイミングや発電出力電圧の極性が一致しない場合に、互いの発電出力の打ち消しあいによる発電出力の低下を防止するためである。また、互いの発電出力の打ち消しあいがない場合でも、発電しない振動発電体1が含まれる場合には、発電しない振動発電体1が他の発電している振動発電体1に対して外部負荷として機能してしまうことによる発電出力の低下を防止するためである。
以下に示す種々の振動発電体を用いて、発電出力電圧を評価した。
(実施例1)
実施例1は、振動発電体30(図4(a))に示す構造とした。振動発電体のサイズは、約100mm×約100mm×約0.5mmとした。また、電極は、導体層として厚さ12μmのアルミニウム箔を用い、樹脂層として厚さ100μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを用い、それら熱溶着によって接合したものを用いた。エレクトレット誘電体としては、厚さ100μmの発泡ポリプロピレンフィルムを用い、発泡ポリプロピレンフィルム全体に対してコロナ放電によって均一に帯電処理を行った。なお、エレクトレット誘電体の両表面間の電位差は約200Vであった。
なお、スペーサとしては、絶縁性の接着剤を用いた。両電極のアルミニウム箔面とエレクトレット誘電体とはマスクパターンを用いて平面方向に2次元的に等間隔となるようにドット状に絶縁性接着剤を塗布して接着した。接着後の接着パターンとしては、直径約1mmの円形であり、厚さ100μmとし、互いのスペーサ間隔を等間隔で配置した。すなわち、エレクトレット誘電体と電極とのギャップ長は100μmとした。なお、スペーサの中心間距離は10mmとし、エレクトレット誘電体の両面に設けたスペーサの配置関係は、平面視において同一の位置となるように配置した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1と略同様であるが、振動発電体30a(図4(b))に示す構造とした。振動発電体のサイズは、約100mm×約100mm×約0.4mmとした。また、電極およびエレクトレット誘電体は実施例1と同様である。なお、一方の電極のアルミニウム箔面は、エレクトレット誘電体と加熱融着によって全面接着されている。他方の電極とエレクトレット誘電体とは、実施例1と同様にして、ドット状に接着剤を塗布してスペーサを形成した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1と略同様であるが、エレクトレット誘電体として多孔質材ではない厚さ100μmのポリプロピレンフィルムを用いた。
(比較例2)
比較例2は、実施例2と略同様であるが、エレクトレット誘電体として多孔質材ではない厚さ100μmのポリプロピレンフィルムを用いた。
(比較例3)
比較例3は、実施例2と略同様であるが、両面の電極をエレクトレット誘電体の全面に接着した。すなわち、両側のいずれの電極に対しても非接合部を形成せずに電極とエレクトレット誘電体の全面を接着した。
(比較例4)
比較例4は、実施例2と略同様であるが、エレクトレット誘電体として多孔質材ではない厚さ100μmのポリプロピレンフィルムを用いるとともに、両面の電極をエレクトレット誘電体の全面に接着した。すなわち、両側のいずれの電極に対しても非接合部を形成せずに電極とエレクトレット誘電体の全面を接着した。
図13は、実施例1〜実施例2および比較例1〜比較例4の各振動発電体について、同一の振動(振動周波数は1Hz)を与えた場合の発電出力電圧の評価結果を示す。なお、発電出力電圧としては、実施例1の振動発電体の発電出力電圧を1として、規格化した相対的な発電出力電圧を示す。
図13より、エレクトレット誘電体の材質として多孔質材を適用した実施例1、2は、多孔質材ではない比較例1、2に対して、相対的に高い発電出力電圧を示した。このことは、比較例3と比較例4とを比較しても同様である。すなわち、多孔質材であるエレクトレット誘電体を用いることで、エレクトレット誘電体が変形しやすくなり、これにより、発電出力電圧が向上する結果となった。
また、比較例3は多孔質材を用いてはいるものの、電極とエレクトレット誘電体とが全面で接着されているため、実施例1、2よりも発電出力電圧は劣った。しかし、エレクトレット誘電体層に空孔がない比較例4と比較すると、発電出力電圧が格段に大きく、エレクトレット誘電体層を多孔質にすることで、発電出力電圧は向上する。また、電極とエレクトレット誘電体との間に非接合部を設けることで、ギャップを形成すると、発電出力電圧はさらに向上する。
また、ギャップをエレクトレット誘電体の両側に形成した実施例1と、ギャップを片面のみに形成した実施例2の比較からも明らかなように、ギャップは両側に形成した方が発電出力電圧は高い傾向はあるものの、その差は小さい。このことは、比較例1と比較例2とを比較しても同様である。すなわち、振動発電体の製造性や使用環境、取り扱い性などを考慮して、ギャップを両面に形成するか、片面とするかは適宜設定すればよい。
以上のように、エレクトレット誘電体として多孔質材を用い、少なくとも一方の電極とエレクトレット誘電体との間にギャップ(非接合部)を形成することで、より高い発電出力電圧を得ることができるという結果となった。
なお、図示は省略するが、実施例2において、ギャップ長(接着剤厚みあるいはスペーサ厚み)を変えた振動発電体1aをいくつか製作し、電極5bとエレクトレット誘電体3とが接触と剥離を繰り返すような繰り返し外力(振動)を付与した場合には、ギャップ長が大きくなるにつれて発電出力電圧は増加した。すなわち、電極5bとエレクトレット誘電体3とが接触と剥離とを繰り返す場合において、電極5bとエレクトレット誘電体3との距離の変化量が大きくなるほど、発電出力電圧は大きくなる。
しかし、ギャップ長が100μmを超えると、それ以上ギャップ長の増加量に対する発電出力電圧の増加量は小さくなる。また、ギャップ長が大きくなると、電極1bとエレクトレット誘電体3とを接触させるために必要な外力あるいは振動も大きくなる。また、ギャップ長を大きくすることで、振動発電体の全厚が厚くなる。したがって、ギャップ長(スペーサの厚み)は100μm以下であることが望ましい。
(実施例3)
次に、振動発電体40(図5)に示す振動発電体について評価した。実施例3は、中心電極に、直径1mmの銅線を用い、エレクトレット誘電体としては、厚さ約1mmの発泡ポリプロピレンを中心電極上に押し出し被覆して設けた。外部電極には、錫メッキ銅編組線を用い、被覆部としては厚さ約0.5mmのポリ塩化ビニルを用いた。
得られた振動発電体には、常温にて中心電極と外部電極との間に、直流電圧4kVを1時間印加して、エレクトレット誘電体の帯電処理を施した。なお、直流電圧の極性に関しては、中心電極側を負極、外部電極側を正極とした場合について評価したが、その逆とした場合も同様の結果であった。
(実施例4)
実施例4は、実施例3と略同様であるが、エレクトレット誘電体を押出成形せずに、発泡ポリプロピレン製の絶縁テープ(厚さ約100μm、幅約5mm)を多層に螺旋状にラップ巻きして、厚さ約1mmとした。その他の構成および帯電処理の方法は、実施例3と同様である。
(比較例5)
比較例5は、実施例3と略同様であるが、中心電極上に、多孔質材ではないポリプロピレンを押し出し被覆してエレクトレット誘電体を設けた。その他の構成は、実施例3と同様である。
(比較例6)
比較例6は、実施例4と略同様であるが、エレクトレット誘電体として、多孔質材ではないポリプロピレン製の絶縁テープ(厚さ約100μm、幅約5mm)を多層に螺旋状にラップ巻きして、厚さ約1mmとした。その他の構成および帯電処理の方法は、実施例4と同様である。
図14は、実施例3〜実施例4および比較例5〜比較例6の各振動発電体について、2枚の剛性の高い板間に各振動発電体を挟み込み、2枚の板の外側から同一の振動(振動周波数は1Hz)を与えた場合の発電出力電圧の評価結果を示す。なお、発電出力電圧としては、実施例3の振動発電体の発電出力電圧を1として、規格化した相対的な発電出力電圧を示す。
図14より、エレクトレット誘電体の材質として多孔質材を用いた実施例3、4は、多孔質材を用いていない比較例5、6に対して、相対的に高い発電出力電圧を示した。すなわち、エレクトレット誘電体を変形しやすくすることで、発電出力電圧は向上する。
ここで、比較例5、6の発電出力電圧が極めて小さい理由として、実施例3、4と比較してエレクトレット誘電体が変形しにくいことのほかに、エレクトレット誘電体の帯電量が極めて小さいことが考えられる。すなわち、振動発電体の中心電極と外部電極との間に直流電圧4kVを印加することで、帯電処理を行っているが、比較例5、6では、この印加した直流電圧がエレクトレット誘電体を帯電処理するのに十分ではないと思われる。
すなわち、多孔質材によりエレクトレット誘電体を構成すると、直流電圧4kV程度の印加電圧でも、空孔内で空気放電を生させるのに十分な印加電圧であるため、エレクトレット誘電体を十分に帯電させることが可能である。一方、内部に空孔を有さないエレクトレット誘電体に対しては、直流電圧4kVでは、十分に帯電させることが困難であったものと推定される。すなわち、エレクトレット誘電体に多孔質材を用いることで、帯電処理の電圧を低くすることが可能となる。また、比較例6では、エレクトレット誘電体として多孔質材ではない絶縁テープを用いているものの、絶縁テープを多層にラップ巻きしてエレクトレット誘電体を形成しているため、図10(a)に示すような空隙がエレクトレット誘電体内部に存在する。しかし、実施例3と実施例4との比較から分かるように、エレクトレット誘電体内部に図10(a)に示すような空隙が存在する実施例4の方が、そのような空隙が存在しない実施例3と比較して発電出力電圧がやや高くなってはいるが、比較例5、6と比較して実施例3、4の発電出力電圧が飛躍的に高くなっている理由は、多孔質なエレクトレット誘電体を用いているためであると考えられる。したがって、比較例5と比較すると、図10(a)に示すような空隙がエレクトレット誘電体内部に存在する比較例6の方が発電出力電圧はやや高くなるが、実施例3、4と比較すると前述したようにエレクトレット誘電体の帯電が十分ではない理由により、発電出力電圧がかなり低くなったものと考えられる。
(実施例5)
次に、振動発電体40(図5)に示す振動発電体について、他のエレクトレット誘電体の帯電処理方法および振動発電体の製造方法を施した振動発電体について評価した。実施例5の振動発電体の構成、構造は、実施例3と略同様である。実施例5は、中心電極にエレクトレット誘電体として発泡ポリプロピレンを押出成形した後、前記発泡ポリプロピレンの外周に隙間をあけて配置されたコロナ放電装置によって、前記発泡ポリプロピレンの表面電位を−4kV(中心電極の電位を基準)までおおよそ均一に帯電させてエレクトレット誘電体を形成した。その後、外部電極である錫メッキ銅編組線、被覆部であるポリ塩化ビニルを順次被覆して振動発電体を完成させた。
(実施例6)
実施例6は、実施例5と略同様であるが、エレクトレット誘電体を押出成形せずに、発泡ポリプロピレン製の絶縁テープ(厚さ約100μm、幅約5mm)を多層に螺旋状にラップ巻きして、厚さ約1mmのエレクトレット誘電体を形成した。その他の構成、エレクトレット誘電体の帯電処理方法および振動発電体の製造方法は、実施例5と同様である。
(比較例7)
比較例7は、実施例5と略同様であるが、エレクトレット誘電体として、多孔質材ではないポリプロピレンを、中心電極上に押し出し被覆して設けた。その他の構成、エレクトレット誘電体の帯電処理方法および振動発電体の製造方法は、実施例5と同様である。
(比較例8)
比較例8は、実施例6と略同様であるが、エレクトレット誘電体として、多孔質材ではないポリプロピレン製の絶縁テープ(厚さ約100μm、幅約5mm)を多層に螺旋状にラップ巻きして、厚さ約1mmとした。その他の構成、エレクトレット誘電体の帯電処理方法および振動発電体の製造方法は、実施例6と同様である。
図15は、実施例5〜実施例6および比較例7〜比較例8の各振動発電体について、2枚の剛性の高い板間に各振動発電体を挟み込み、2枚の板の外側から同一の振動(振動周波数は1Hz)を与えた場合の発電出力電圧の評価結果を示す。なお、発電出力電圧としては、実施例5の振動発電体の発電出力電圧を1として、規格化した相対的な発電出力電圧を示す。
前述の通り、実施例5、6および比較例7、8でのエレクトレット誘電体は、全て同じ表面電位となるように帯電処理が施されているが、エレクトレット誘電体の材質として多孔質材を用いた実施例5、6は、多孔質材を用いていない比較例7、8に対して、相対的に高い発電出力電圧を示した。すなわち、エレクトレット誘電体を変形しやすくすることで、発電出力電圧は向上する。
なお、前述の通り、エレクトレット誘電体を押出成形した実施例5と、絶縁テープによって形成した実施例6との比較からも明らかなように、絶縁テープによってエレクトレット誘電体を形成する方が発電出力電圧は高い傾向はあるものの、その差は小さい。すなわち、振動発電体の製造性などを考慮して、いずれの構成とするかは適宜設定すればよい。
また、実施例3と実施例5、実施例4と実施例6、比較例5と比較例7、比較例6と比較例8は、それぞれ振動発電体の構成、構造が同じであるが、エレクトレット誘電体の帯電処理方法および振動発電体の製造方法が異なる。ここで、図14と図15における各振動発電体の発電出力電圧を比較すると、振動発電体の構成、構造が同じであるにも関わらず、実施例3、実施例4に対する比較例5、比較例6の発電出力電圧の比は、実施例5、実施例6に対する比較例7、比較例8の発電出力電圧の比と比べるとかなり小さい。これは、前述したように比較例5、比較例6におけるエレクトレット誘電体の帯電が十分でないことが理由の一つである。このようなエレクトレット誘電体の不十分な帯電が生じた理由としては、エレクトレット誘電体の帯電処理方法と振動発電体の製造方法の差に起因しているものと考えられる。すなわち、振動発電体の最終工程としてエレクトレット誘電体を挟む一対の電極間に電圧を印加してエレクトレットを帯電処理する場合には(実施例3、4、比較例5、6)、多孔質なエレクトレット誘電体に対しては比較的低い電圧(直流電圧あるいは交流電圧)で帯電処理が可能である。これに対し、多孔質でないエレクトレット誘電体に対しては比較的高い電圧で帯電処理を行う必要がある。このため、双方のエレクトレット誘電体を同一電圧値で帯電処理した場合には、多孔質でないエレクトレット誘電体での帯電不足が生じる可能性がある。一方、振動発電体の製造工程の中間工程として、エレクトレット誘電体を帯電処理する場合には(実施例5、6、比較例7、8)、外部に設けたコロナ放電発生装置によって、強制的にエレクトレット誘電体の表面電位を調整できるため、エレクトレットの帯電不足は生じない。両者のエレクトレットの帯電方法および振動発電体の製造方法には一長一短はあるものの、振動発電体の製造工程の最終工程で振動発電体の電極間に電圧を印加することによりエレクトレットの帯電処理を行う方法は、外部に大掛かりなコロナ放電発生装置を設ける必要がない点や、振動発電体の製造工程の品質管理の点で利便性が高い。そして、多孔質なエレクトレット誘電体を振動発電体に用いることで、そのような振動発電体の製造方法を採用することが容易となる。
以上のように、多孔質材であるエレクトレット誘電体を用いることで、高い発電出力電圧を得ることができる。
以上、本発明によれば、帯電処理が容易であり、フレキシブル性や自在加工性に優れ、大面積化も容易な振動発電体を得ることができる。本発明の振動発電体としては、例えば、道路下や橋梁、高速道路等に設置される防音壁、鉄道のレールや枕木などの車両等が通行することで振動する対象物等へ設置することができる。この際、得られた電力によって、振動対象物の周囲の状態(温度、湿度、明るさ、振動加速度、歪、変位、風速、車両の通行速度や重量など)を感知し、計測するセンサを駆動させることができる。また、センサで得られた情報を有線または無線によって送信する情報収集システムや監視システムの電源として使用することができる。
また、得られる電力が大きい場合には、道路等の照明や信号機の補助電源や、スマートグリッド構想での分散電源の一つとして使用することもできる。また、道路等において、車両や人が通行した際の振動によって発電させ、これによって車両や人が通過したという情報と周囲の明るさを感知させてもよい。この場合、周囲が暗い場合にのみ、貯蔵していた電力を利用して車両や人の前方の照明や、案内板、誘導灯等を点灯させることもできる。
また、本発明の振動発電体は、それ自体が振動等の外力変化を検知するセンサとして用いることもできる。例えば、敷地や通路などに振動発電体を設置し、不審人物が侵入した際の振動で発電させ、不審人物侵入情報を送信するセキュリティシステムに使用することもできる。
また、本発明は、車両や航空機、人、動物などのそれ自体が振動する移動体に適用することもできる。例えば、自動車の車体やサスペンション、タイヤ(タイヤのゴム内部あるいはゴム内面、ホイール部など)などに振動発電体や振動発電体ケーブルを設置し、発電した電力で、各種センサを駆動させることもできる。また、得られる電力が大きい場合には、自動車の二次電池への補助充電用の電源としても使用できる。同様に、鉄道車両の車体、車両内部、車輪、ダンパー部、サスペンションなどに適用し、各種センサを駆動させて車両各部の健全性を監視するシステム用の電源、車内照明、非常灯、広告用表示パネル等の(補助)電源として使用することもできる。
また、車両等の座席に振動発電体を設置し、人が着座した際または着座中の振動によって発電させ、人の着座を検知し、運転席や操縦席に情報を知らせるシステムのセンサおよび電源として使用することもできる。
また、ビルや工場、住宅等の建築構造物あるいは建築構造物に内包される構造物に振動発電体や振動発電ケーブルを適用することもできる。例えば、上述の建築構造物は、地面の振動、風の影響、内部の人の移動、内部に設置された機械装置(例えば、モータなどの回転機や工場内の生産設備、エレベータやエスカレータなどの昇降機、空調ファンなど)が作動する際の振動等を受けて、それ自体が振動する。したがって、このような振動を受けやすい部位に振動発電体を設置して発電させ、非常用電源や各種センサや通信用電源等の駆動電源として使用することもできる。
また、本発明の振動発電体を、パソコンや携帯電話、リモコンなどの携帯用電子機器や、タッチパネルやキーボード、プッシュボタンなどの入力装置にも適用することができる。例えば、パソコンや携帯電話などの携帯用電子機器の筐体に振動発電体を設置し、それらの機器の運搬時や使用時の振動によって発電させ、二次電池への補助充電用電源等に用いることもできる。また、入力装置の振動によって発電させ、入力情報を親局等に送信するシステムの電源としても使用することができる。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1、1a、30、40………振動発電体
3………エレクトレット誘電体
4………空孔
5a、5b、31a、31b………電極
6………空隙
7………スペーサ
9………非接合部
33………導体層
35………樹脂層
41………中心電極
43………外部電極
45………被覆部
47………空間
49………弾性体
51………樹脂テープ
60………振動発電装置
61………ダイオード
63………蓄電部
65………スイッチ
67………整流回路
69………蓄電回路

Claims (4)

  1. 一対の電極と、
    前記一対の電極の間に設けられ、表面と裏面との電位差が200V〜600Vに帯電処理され、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、
    を具備し、
    前記エレクトレット誘電体は内部に空孔を有する多孔質材で構成された可撓性を有するものであり、
    少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間には、互いに接合されない非接合部が形成され、
    外力が付与された際、前記非接合部の少なくとも一部において、前記エレクトレット誘電体と、少なくとも一方の前記電極との距離が変化可能であり、
    前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となり、
    前記スペーサの厚さは30μm〜100μmであり、
    外力が付与された際、一対の前記電極の少なくとの一方と前記エレクトレット誘電体との距離が、少なくとも一部において変化可能であり、
    前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体。
  2. 一対の電極と、
    前記一対の電極の間に設けられ、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、
    を具備し、
    前記一対の電極の一方は中心電極であり、他方は外部電極であり、
    前記エレクトレット誘電体は、前記中心電極の外周に設けられ、前記外部電極は、前記エレクトレット誘電体の外周に設けられ、
    前記外部電極の外周が被覆部で被覆され、
    前記エレクトレット誘電体は内部に空孔を有する多孔質材で構成された可撓性を有するものであり、
    外力が付与された際、一対の前記電極の少なくとの一方と前記エレクトレット誘電体との距離が、少なくとも一部において変化可能であり、
    前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返すことを特徴とする振動発電体。
  3. 振動発電体の製造方法であって、
    一対の電極と、前記一対の電極の間に設けられ、内部に空孔を有する多孔質材であるエレクトレット誘電体と、を具備し、少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間には互いに接合されない非接合部を有し、前記非接合部の少なくとも一部には空隙を有し、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的に厚さは30μm〜100μmのスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となり、前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との距離は、前記電極の変形によって前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返す距離である振動発電体素材を用い、
    前記一対の電極の間に電圧を付与し、前記空孔の内部あるいは前記空隙の内部で放電を生じさせることで、前記エレクトレット誘電体を表面と裏面との電位差が200V〜600Vに帯電させることを特徴とする振動発電体の製造方法。
  4. 一対の電極と、
    前記一対の電極の間に設けられ、表面と裏面との電位差が200V〜600Vに帯電処理され、電荷を保持したエレクトレット誘電体と、
    を具備する振動発電体を用い、
    前記エレクトレット誘電体は内部に空孔を有する多孔質材で構成された可撓性を有するものであり、
    少なくとも一方の前記電極と前記エレクトレット誘電体との間には、互いに接合されない非接合部が形成され、
    外力が付与された際、前記非接合部の少なくとも一部において、前記エレクトレット誘電体と、少なくとも一方の前記電極との距離が変化可能であり、
    前記エレクトレット誘電体と少なくとも一方の前記電極との間には、部分的にスペーサが設けられ、少なくとも一部の前記スペーサを介して、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接合され、前記スペーサ以外の部位が、前記非接合部となり、
    前記スペーサの厚さは30μm〜100μmであり、
    外力が付与された際、一対の前記電極の少なくとの一方と前記エレクトレット誘電体との距離が、少なくとも一部において変化可能であり、
    前記電極の変形によって、前記エレクトレット誘電体と前記電極とが接触と剥離とを繰り返して発電することを特徴とする振動発電体による発電方法。
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