しかしながら、特許文献1に記載された荷物支持装置は、荷物をコンテナ内に収納するために専用の斜め積み用架台及び平積み用架台を設けるとともに、2つの第1下部架台をコンテナの底板に固定する構造になっている。そのため荷物支持装置及びコンテナの構造が複雑化し、また、製造コストが上昇する問題があった。また、特許文献2に記載された荷物支持装置においても、荷物を積載するために専用の荷物積載フレームを設けるとともに、4本の支柱フレームを設け、さらには、ベースフレームをコンテナの床板に沿って移動可能に構成する必要がある。そのため特許文献2に記載された荷物支持装置及びコンテナも、構造が複雑化し、また、製造コストが上昇する問題があった。
本発明の目的は、構造が簡易で製造コストの上昇を抑制することの可能な荷物支持装置及びコンテナを提供することにある。
本発明は、荷物を支持する荷物支持装置であって、第1壁部に所定間隔で設けられた複数の第1被係止部に対して取り付け及び取り外しが可能な複数の第1吊り下げ部材と、前記複数の第1吊り下げ部材にそれぞれ設けられた複数の第1支持腕と、前記第1壁部と平行な第2壁部に所定間隔で設けられた複数の第2被係止部に対して取り付け及び取り外しが可能な複数の第2吊り下げ部材と、前記複数の第2吊り下げ部材にそれぞれ設けられた複数の第2支持腕と、前記第1壁部に沿って配置され、かつ、前記複数の第1支持腕により支持される第1レール部材と、前記第2壁部に沿って配置され、かつ、前記複数の第2支持腕により支持される第2レール部材とを有し、前記第1レール部材及び前記第2レール部材は、前記荷物を支持する棚が差し渡される構成であり、前記複数の第1被係止部は、垂直に立てられた前記第1壁部に沿って水平方向に延ばされた補強部材に所定間隔で設けられ、前記複数の第2被係止部は、垂直に立てられた前記第2壁部に沿って水平方向に延ばされた補強部材に所定間隔で設けられ、前記第1壁部は、水平方向の平面内で前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成される収納室の内側と外側に向けて凹凸となる形状を有し、前記複数の第1被係止部は、前記第1壁部の内側に向く凸部同士の間に配置され、前記第2壁部は、水平方向の平面内で前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成される収納室の内側と外側に向けて凹凸となる形状を有し、前記複数の第2被係止部は、前記第2壁部の内側に向く凸部同士の間に配置されていることを特徴とする。
本発明は、前記第1吊り下げ部材に対する前記第1支持腕の高さを調整する第1調整機構と、前記第2吊り下げ部材に対する前記第2支持腕の高さを調整する第2調整機構とが設けられていることを特徴とする。
本発明は、前記第1調整機構は、前記第1支持腕を前記第1吊り下げ部材に対して高さ方向に移動可能とする第1可動機構と、前記第1支持腕を前記第1吊り下げ部材に対して高さ方向に位置決めする第1位置決め機構とを備えており、前記第2調整機構は、前記第2支持腕を前記第2吊り下げ部材に対して高さ方向に移動可能とする第2可動機構と、前記第2支持腕を前記第2吊り下げ部材に対して高さ方向に位置決めする第2位置決め機構とを備えていることを特徴とする。
本発明は、前記第1可動機構は、前記第1支持腕に設けられ、かつ、前記第1吊り下げ部材が挿入された第1軸孔を含み、前記第1位置決め機構は、前記第1吊り下げ部材に設けた第1雄ねじ部と、前記第1雄ねじ部に取り付けた第1ナットとを含み、前記第2可動機構は、前記第2支持腕に設けられ、かつ、前記第2吊り下げ部材が挿入された第2軸孔を含み、前記第2位置決め機構は、前記第2吊り下げ部材に設けた第2雄ねじ部と、前記第2雄ねじ部に取り付けた第2ナットとを含むことを特徴とする。
本発明は、前記第1レール部材及び前記第2レール部材に差し渡されて保持され、かつ、前記荷物を支持する棚を有することを特徴とする。
本発明は、前記荷物は、前輪及び後輪を備えた自動二輪車を含み、前記棚は、前記自動二輪車の前記前輪または前記後輪を収容する凹部を備えていることを特徴とする。
本発明は、前記第1レール部材及び前記第2レール部材は、それぞれ水平部及び垂直部を有する断面L字形状に構成されており、前記第1レール部材の垂直部と前記第1壁部との間、及び前記第2レール部材の垂直部と前記第2壁部との間に、前記棚の脚部がそれぞれ配置されることを特徴とする。
本発明は、所定間隔で設けた複数の第1被係止部を有する第1壁部と、前記第1壁部と平行であり、かつ、所定間隔で設けた複数の第2被係止部を有する第2壁部と、前記第1壁部と前記第2壁部との間に形成された収納室とを備えたコンテナであって、前記収納室に、前記した荷物支持装置が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、第1壁部に元々設けられている複数の第1被係止部に、第1の吊り下げ部材をそれぞれ吊り下げ、第2壁部に元々設けられている複数の第2被係止部に、第2の吊り下げ部材をそれぞれ吊り下げることができる。また、第1支持腕により第1レール部材を支持し、第2支持腕により第2レール部材を支持し、第1レール部材及び第2レール部材の上に棚を載せることができる。一方、第1の吊り下げ部材を第1被係止部から取り外し、第2の吊り下げ部材を第2係止部から取り外すことができる。したがって、荷物支持装置の構造を簡略化でき、かつ、製造コストの上昇を抑制できる。
本発明によれば、第1支持腕の高さを調整し、かつ、第2支持腕の高さを調整することができる。したがって、棚を差し渡す第1レール部材及び第2レール部材の高さを、棚に載せる荷物の大きさ、棚の下方空間の高さ方向の隙間量等に応じて変更することができる。
本発明によれば、第1吊り下げ部材の高さ方向に第1支持腕を移動させ、第1支持腕を高さ方向で位置決めできる一方、第2吊り下げ部材の高さ方向に第2支持腕を移動させ、第2支持腕を高さ方向で位置決めできる。したがって、第1レール部材及び第2レール部材の高さを容易に変更することができる。
本発明によれば、第1ナットを回転させると、第1支持腕の高さを位置決めでき、第2ナットを回転させると、第2支持腕の高さを位置決めできる。したがって、第1レール部材の高さ及び第2レール部材の高さを変更する作業を容易に行うことができる。
本発明によれば、第1レール部材及び第2レール部材に棚を差し渡して棚を保持し、その棚に荷物を載せることができる。したがって、空中で荷物を支持することができ、棚の下方空間を有効に利用できる。
本発明によれば、棚の凹部に自動二輪車の前輪または後輪を収容することにより、自動二輪車が棚の上で移動することを抑制できる。
本発明によれば、棚の脚部が垂直部に接触することで、棚が左右方向に移動することを防止でき、棚が第1レール部材及び第2レール部材から外れることを防止できる。
本発明によれば、コンテナの第1壁部の第1被係止部に第1吊り下げ部材を取り付け、第2壁部の第2被係止部に第2吊り下げ部材を取り付けることができる。また、第1支持腕で支持した第1レール部材、及び第2支持腕で支持した第2レール部材に、棚を差し渡すことができる。ここで、第1被係止部及び第2被係止部は、コンテナに元々設けられており、第1吊り下げ部材及び第2吊り下げ部材は、取り付け及び取り外しが可能である。したがって、コンテナの構造が複雑化することを防止でき、製造コストの上昇を抑制できる。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図6に基づいて詳細に説明する。本発明の荷物支持装置10は、コンテナ11の収納室12内に設けられる。コンテナ11は、船舶、トレーラ、鉄道車両等に積載して運搬されるものであり、コンテナ11は2つの側壁13及び奥壁14を有する。2つの側壁13は相互に平行であり、垂直に立てられている。2つの側壁13の側面形状は長方形であり、2つの側壁13の下部に設けられた長辺同士は、図示しない底板により接続されている。底板は平面形状が長方形であり、底板は水平に配置されている。2つの側壁13における底板が接続されていない方の長辺同士は、図示しない天板により接続されている。天板は平面形状が長方形であり、天板は水平に配置されている。そして、奥壁14は、2つの側壁13の短辺、底板の短辺、天板の短辺に接続されている。このようにして、コンテナ11は箱形状に構成されており、コンテナ11の内部に収納室12が形成されている。なお、2つの側壁13、奥壁14、天板、床板は、全て金属材料、例えば、鋼、ステンレス、アルミニウム等により構成されている。
また、コンテナ11における奥壁14とは反対側には、収納室12につながる開口部15が形成されており、開口部15を開閉する扉16が設けられている。図2に示された扉は、2つの側壁13の短辺に、それぞれヒンジ17を支点として開閉される2つの扉16が取り付けられている。さらに、水平方向の平面内で、2つの側壁13同士の間隔に沿った方向は、コンテナ11の幅方向である。水平方向の平面内で、コンテナ11の幅方向に対して直角な方向は、コンテナ11の長さ方向(長手方向)である。また、コンテナ11の長さ方向は、2つの側壁13の長さ方向と同じ意味であり、コンテナ11の幅方向は、奥壁14の長さ方向と同じ意味である。さらに、収納室12内における底板の上には、木材製の荷物載置板18が取り付けられている。荷物載置板18は水平に取り付けられている。
一方、2つの側壁13は、水平方向の平面内において、それぞれ波形状(コルゲート形状)を有している。すなわち、側壁13は、収納室12の内側と外側に向けて凹凸となる形状を有している。2つの側壁13の構造を具体的に説明すると、側壁13は、コンテナ11の長さ方向に沿って配置された内板13a及び外板13bを有する。一方の側壁13の内板13aは、外板13bよりも、他方の側壁13に近い箇所に位置している。内板13a及び外板13bは、コンテナ11の長さ方向に沿った線分(図示せず)と平行である。内板13aは、コンテナ11の長さ方向に一定間隔で配置されており、外板13bは、コンテナ11の長さ方向に一定間隔で配置されている。さらに、側壁13は、コンテナ11の長さ方向で、内板13aの端部と外板13bの端部とを交互に接続する接続板13cを有する。そして、水平方向の平面内で、2つの側壁13は左右対称な形状を有している。また、奥壁14は、水平方向の平面内で波形状を有している。奥壁14も、収納室12の内側と外側に向けて凹凸となる形状を有している。このように構成されたコンテナ11は、従来から知られているコンテナと同様に構成されており、コンテナ11単独での構造、形状は従来から知られているコンテナと同じである。
次に、コンテナ11の収納室12内に配置される荷物支持装置10の構成を説明する。荷物支持装置10は、左右の側壁13にそれぞれ取り付けた複数の吊り下げ部材24と、左右の側壁13にそれぞれ取り付けた複数の吊り下げ部材24に対して個々に設けた複数の支持腕25と、左右の側壁13に沿ってそれぞれ配置された複数の支持腕25によって保持される2本のレール部材20とを有している。そして、左右の側壁13に沿ってそれぞれ配置した2本のレール部材20により、棚21の左右の両端が保持される。複数の吊り下げ部材24は、コンテナ11を正面から見て右側及び左側の側壁13の両方に取り付けられている。複数の吊り下げ部材24は、右側及び左側の側壁13のそれぞれに、側壁13の長さ方向に沿って所定間隔おきに取り付けられる。2本のレール部材20のうち、1本のレール部材20は、左側の側壁13に取り付けられた複数の吊り下げ部材24に保持されており、残りの1本のレール部材20は、右側の側壁13に取り付けられた複数の吊り下げ部材24に保持されている。以下の説明では、便宜上、コンテナ11の開口部15側、つまり、コンテナ11を正面から見て左側の側壁13について、複数の吊り下げ部材24の取り付け構造、及び複数の吊り下げ部材24自体の構造を述べる。
側壁13の上部には、側壁13の長さ方向に沿って配置された補強部材22が設けられている。補強部材22は水平方向に沿って延ばされており、補強部材22の下端には、所定間隔おきにラッシングリング23が複数個固定されている。このラッシングリング23は、コンテナ11の収納室12に収納する荷物が動かないように固定及び締め付けるための緊締具、例えば、ベルト、ロープ、紐等を掛けまわすための金具である。各ラッシングリング23は、水平方向の平面内で、側壁13における接続板13c同士の間に設けられている。このラッシングリング23は、従来から知られているコンテナに元々取り付けられている要素であり、本実施形態のコンテナ11における独自の構造ではない。
また、複数の吊り下げ部材24は、それそれ同一の形状及び構造を有しているため、1つの吊り下げ部材24について、形状及び構造を説明する。吊り下げ部材24は、金属材料により構成された棒状体であり、吊り下げ部材24の一端には、円弧形状に屈曲された係止部24aが設けられている。複数の吊り下げ部材24は全て同じ長さである。係止部24aがラッシングリング23に掛けられて、吊り下げ部材24は自重により収納室12内に吊り下げられている。係止部24aは、外板13b側からラッシングリング23に掛けられている。吊り下げ部材24における係止部24aとは反対側の端部、つまり、吊り下げ部材24の下端には吊り下げ部材24の長さ方向に対して直角な方向に突出された突出部24bが設けられている。突出部24bの突出方向は、係止部24aの屈曲方向とは逆になっている。このため、係止部24aがラッシングリング23に掛けられた状態では、突出部24bの先端が、側壁13の外板13bに接触する。また、係止部24aの屈曲量よりも、突出部24bの突出量の方が多いため、係止部24aがラッシングリング23に掛けられ、かつ、突出部24bの先端が側壁13の外板13bに接触した状態では、吊り下げ部材24は傾斜している。具体的には、吊り下げ部材24の上端よりも下端の方が、他方の側壁13に近くなる向きで傾斜している。
複数の吊り下げ部材24が吊り下げられた状態において、その下端部に複数の支持腕25がそれぞれ設けられている。全ての吊り下げ部材24において、全ての支持腕25は同じ高さにある。支持腕25は、突出部24bとは逆方向に突出された載せ台25aと、載せ台25aの先端から上方に向けて屈曲された壁部25bとを有している。前記のように、吊り下げ部材24が傾斜して吊り下げられた状態において、支持腕25は内板13a同士の間から、他方の側壁13に向けて突出している。そして、吊り下げ部材24と壁部25bとの間に支持溝25cが形成されている。また、壁部25bにはナット26が固定されており、ナット26にはボルト27が取り付けられている。
そして、左側の側壁13の長さ方向に沿って複数の吊り下げ部材24が取り付けられており、複数の支持腕25により、1本のレール部材20が保持されている。具体的には、複数の支持腕25の支持溝25cにより、1本のレール部材20が支持されている。また、右側の側壁13の長さ方向に沿って複数の吊り下げ部材24が取り付けられており、複数の支持腕25により、1本のレール部材20が保持されている。右側の側壁13に取り付けられた複数の吊り下げ部材24、及び左側の側壁13に取り付けられた複数の吊り下げ部材24により支持された2本のレール部材20は、荷物載置板18よりも上方において、相互に平行に、かつ、同じ高さに支持されている。レール部材20は、コンテナ11の長さ方向に沿って設けられた長尺物であり、レール部材20は金属材料により構成されている。そして、側壁13に取り付けられた複数の吊り下げ部材24の支持溝25cにより、1本のレール部材20が保持された状態において、ボルト27が締め付けられてレール部材20が固定されている。具体的には、ボルト27の軸部の先端がレール部材20に押し付けられており、ボルト27が締め付けられると、ボルト27と内板13aとの間にレール部材20が挟まれて、レール部材20が固定されている。このようにして、レール部材20は、コンテナ11の長さ方向及び幅方向の両方において位置決めされている。
また、側壁13における開口部15側の端部には、係止溝28が設けられている。この係止溝28は、コンテナ11に元々設けられている。一方、レール部材20における長さ方向の端部、具体的には、レール部材20が複数の支持腕25により支持された状態において、開口部15側における端部には、係止突起29が設けられている。そして、レール部材20が複数の支持腕25により支持された状態において、係止突起29が係止溝28に挿入されている。
なお、右側の側壁13に取り付けられた吊り下げ部材24及び支持腕25は、左側の側壁13に取り付けられた吊り下げ部材24及び支持腕25と左右対称の形状及び構造を有する。また、右側の側壁13に沿って支持されているレール部材20は、左側の側壁13に沿って支持されているレール部材20と左右対称の形状及び構造を有する。ここで、左側の側壁13に沿って配置されるレール部材20の本数、及び長さは任意に変更可能である。また、右側の側壁13に沿って配置されるレール部材20の本数、及び長さも任意に変更可能である。即ち、左側の側壁13に沿って配置されるレール部材20は1本としてもよいし、複数本に分割されたレール部材20を用いてもよい。また、右側の側壁13に沿って配置されるレール部材20は1本としてもよいし、複数本に分割されたレール部材20を用いてもよい。例えば、コンテナ11の全長が40フィート(約12m)である場合、長さ6mのレール部材20を2本用意して左側の側壁13に沿って配置し、長さが6mのレール部材20を2本用意して右側の側壁13に沿って配置し、1つのコンテナ11あたり合計で4本のレール部材20を使用することができる。
上記のようにして、コンテナ11の収納室12内には、左右で2本のレール部材20が支持されており、2本のレール部材20により、棚21が保持されている。この棚21は、図2のように平面形状が四角形となっており、その棚21がコンテナ11の長さ方向に沿って複数個並べられている。本実施形態における棚21の具体例を、図5に基づいて説明する。コンテナ11の幅方向における棚21の長さは、2つの側壁13同士の間隔、具体的には、内板13a同士の間隔よりも短く設定されている。棚21は、金属材料により構成されたフレーム21aと、フレーム21aの上側に取り付けた木材製の板21bとを有する。図5においては、板21bが1枚である例が示されているが、板21bは複数枚であってもよい。フレーム21aと板21bとは、図示しない締結部材、例えば、ボルト及びナットにより固定されている。フレーム21aの左右方向の両端には、コンテナ11の長さ方向に沿って延ばされた2つの脚部21cが設けられている。
あってもよい。フレーム21aと板21bとは、図示しない締結部材、例えば、ボルト及びナットにより固定されている。フレーム21aの左右方向の両端には、コンテナ11の長さ方向に沿って延ばされた2つの脚部21cが設けられている。
ここで、複数の棚21を重ねて積み上げる段積みについて説明する。図5に示す棚21は脚部21cが1本の棒状に構成されている。このため、複数の棚21を段積みすると、上に位置する棚21の脚部21cが、下に位置する棚21の板21bに接触することとなる。
一方、図示はしていないが、脚部をコンテナの奥行き方向に沿って所定間隔で複数設けるとともに、板に、コンテナの奥行き方向に沿って所定間隔で複数の切り欠きを設けた棚を構成することもできる。ここで、コンテナの奥行き方向で、複数の脚部の配置位置と、複数の切り欠きの配置位置とは同じとする。そして、コンテナの内部にレール部材を置かずに複数の棚を積み上げると、上に位置する棚の脚部は、下に位置する棚の板の切り欠きに挿入される。つまり、下に位置する板の切り欠きに、上に位置する棚の脚部が挿入される分、複数の棚の積み上げ高さを低減することができる。したがって、複数の棚を段積みしたコンテナを返却する際に、コンテナの数を少なくすることができる。また、下に位置する板の切り欠きに、上に位置する棚の脚部が挿入されると、板と脚部との係合力により、棚同士がコンテナの奥行き方向に位置決めされる。したがって、段積みした複数の棚の姿勢が安定し、荷崩れしない効果もある。
コンテナ11の幅方向で、左側の側壁13の近くに配置された脚部21cと、右側の側壁13の近くに配置された脚部21cとの最大距離は、左側の側壁13の近くに配置されたレール部材20と、右側の壁13の近くに配置されたレール部材20との間の距離よりも長くなっている。これは、左右で2本のレール部材20の間から、左右で2個の脚部21cの少なくとも一方が脱落することを防止するためである。そして、一方の脚部21cが1本のレール部材20に載せられ、他方の脚部21cが1本のレール部材20に載せられて、棚21が左右で2本のレール部材20により支持されている。棚21は、2本のレール部材20により支持された状態で水平となる。
また、脚部21cにはナット30が固定され、そのナット30にはボルト31が取り付けられている。このボルト31を締め付けると、ボルト31の軸部の先端が側壁13に押し付けられることで、棚21がコンテナ11の長さ方向に位置決め固定される。また、2個の脚部21cに設けたボルト31同士の締め付け量を調整することで、棚21をコンテナ11の幅方向に位置決め固定することができる。上記のように構成された棚21の板21b上に荷物32が載せられる。荷物32が載せられる板21bの上面は平坦である。
図6に示す棚21は、他の具体例であり、図6に示す棚21は、自動二輪車33を載せることができる。この図6に示す棚21は、板21bの上に複数のパレット34を載せたものである。複数のパレット34は、コンテナ11の幅方向に並べられており、パレット34は、コンテナ11の長さ方向に並べた複数本の脚部34aと、複数本の脚部34aの上に固定した台34bとを有している。複数本の脚部34aは木材製であり、脚部34aのそれぞれはコンテナ11の幅方向に長尺となっている。台34bは木材製であり、複数本の脚部34aと台34bとは、図示しない締結部材により固定されている。締結部材は、ボルト及びナット、または釘である。また、パレット34は、台34bの一部を切り欠いた凹部34cを有している。さらに、各パレット34は、板21bまたはフレーム21aのいずれにも固定されていない。
図6の棚21は、1つのパレット34毎に1台の自動二輪車33が載せられる。このとき、自動二輪車33のスタンド33aが立てられ、スタンド33aの先端は台34bに接触する。また、前輪33bは凹部34cに入れられて、後輪33cは宙に浮く。なお、棚21に載せられた自動二輪車33が動いたり転倒したりしないように、ベルト、紐、ロープ等の緊締具で棚21に固定されるが、この緊締具は図示されていない。
自動二輪車33をコンテナ11に収納するには、パレット34に自動二輪車33を固定する。その後、自動二輪車33を載せたパレット34を、フォークリフトにより板21bに載せ、その棚21をフォークリフトにより支持してコンテナ11の収納室12に入れる。さらに、棚21をコンテナ11内の奥に向けて、フォークリフトで所定の位置まで運ぶ。図2においては、自動二輪車33を載せた棚21を2本のレール部材20に載せた後、荷物32を載せた棚21を2本のレール部材20に載せた状態が示されている。なお、図6に示すパレット34は、1台の自動二輪車33を載せるように構成されているが、パレット34の幅を広くし、1つのパレット34に凹部34cを2つ形成し、1つのパレット34に2台の自動二輪車33を載せることもできる。1つのパレット34に2台の自動二輪車33を載せることができれば、コンテナ11に自動二輪車33を積む際の作業効率が向上する。
本実施形態の荷物支持装置10によれば、既存のコンテナ11を利用して、具体的には、コンテナ11の側壁13に元々設けられているラッシングリング23を利用して、左右の側壁13に複数の吊り下げ部材24を吊り下げ、複数の支持腕25により2本のレール部材20を平行に支持し、その2本のレール部材20で棚21を支持することができる。また、棚21は、2本のレール部材20に対して、取り付け及び取り外しが可能であり、複数の吊り下げ部材24も、左右の側壁13に対して取り付け及び取り外しが可能である。したがって、荷物支持装置10及びコンテナ11の構造を簡易とすることができ、また、製造コストの上昇を抑制できる。また、コンテナ11に元々取り付けられている荷物載置板18の上方空間に、棚21を取り付けて荷物32及び自動二輪車33を収納することができる。すなわち、収納室12内に荷物を上下2段に収納することができる。したがって、コンテナ11の収納室12を効率的に利用することができる。
さらに、図4に示すように、吊り下げ部材24が吊り下げられた状態で、吊り下げ部材24の下端となる箇所には突出部24bが設けられている。そして、吊り下げ部材24をラッシングリング23に吊り下げると、突出部24bの先端が、側壁13の外板13bに接触して、吊り下げ部材24が傾斜した状態となる。吊り下げ部材24は、支持腕25が内板13aよりも、反対側の側壁13に近い位置となる向きで傾斜する。このため、支持溝25cにレール部材20を入れるときに、吊り下げ部材24を手で掴むことなく、複数個所の支持溝25cに対して、1本のレール部材20を1度の作業で入れることができる。また、レール部材20が支持腕25により支持された状態で、係止突起29は係止溝28に差し込まれている。したがって、棚21をコンテナ11の長さ方向にレール部材20上で滑らせて移動させるとき、レール部材20がコンテナ11の長さ方向に移動することを防止できる。さらにまた、吊り下げ部材24は、側壁13の接続板13c同士の間に配置されているため、収納室12のうち荷物32及び自動二輪車33が収納される空間を狭めることを回避できる。
次に、吊り下げ部材24の他の具体例を、図7に基づいて説明する。図7に示された吊り下げ部材24の下端側の外周面に雄ねじ部24dが形成されている。また、支持腕25と一体にホルダ35が設けられており、ホルダ35には軸孔35aが形成されている。その軸孔35aに吊り下げ部材24が、長さ方向に移動可能に挿入されている。支持腕25及びホルダ35は金属材料により一体成形されている。
また、雄ねじ部24dにおけるホルダ35の上下にはナット36が取り付けられている。このため、ナット36を回転させて移動させると、支持腕25を吊り下げ部材24の長さ方向、つまり高さ方向に移動することが可能である。図7に示す吊り下げ部材24及び支持腕25の他の構成は、図4に示す吊り下げ部材24及び支持腕25の構成と同じである。この図7においては、2個のナット36を回転させて、支持腕25を吊り下げ部材24に沿って移動させると、棚21の高さを調整、具体的には無段階に調整することができる。したがって、棚21に載せる荷物32及び自動二輪車33の大きさ(高さ)、棚21の下方空間の高さ方向の隙間量に応じて、棚21の高さを変更でき、収納室12を効率的に利用できる。なお、図7の具体例の他の効果は、図4の具体例の効果と同じである。さらに、ナット36とホルダ35との間に円筒形状のカラー(図示せず)を配置することもできる。このカラーは雄ねじ部24dに装着され、かつ、雄ねじ部24dの長さ方向に沿って移動可能である。また、カラーとして、異なる長さのものを複数用意しておき、必要に応じてカラーの長さを変更することで、レール部材20の高さを任意に調整できる。さらに、カラーを用いると、ナット36を締め付ける量が少なくなり、レール部材20の高さ調整に必要な時間を短縮することができる。
さらに、荷物支持装置10の他の具体例を、図8に基づいて説明する。図8に示された荷物支持装置10も、左側の側壁13に取り付け及び取り外しが可能である。なお、右側の側壁13にも、図8に示された荷物支持装置10を取り付け及び取り外しが可能である。図8において、図4と同じ構成部分については、図4と同じ符号を付してある。図8においては、レール部材20の形状が、図4のレール部材20と相違している。図8に示されたレール部材20は、幅方向の断面形状がL字形となっている。すなわち、レール部材20は、水平部20aと、水平部20aに対して直角に延ばされた垂直部20bとを有している。水平部20aは、載せ台25aに接触している。そして、垂直部20bと内板13aとの間に、棚21の脚部21cが配置されている。すなわち、棚21の左右に設けられた脚部21cの下端が、左右に設けられたレール部材20の水平部20aにより別個に指示されて、棚21は左右で2本のレール部材20により保持されている。
また、図8の荷物支持装置10において、ボルト27を締め付けてレール部材20を位置決め固定することができる点は、図4の荷物支持装置10と同じである。図8に示された荷物支持装置10は、図4の荷物支持装置10と同じ構成部分については、図4の荷物支持装置10と同じ作用効果を得られる。さらに、図8の荷物支持装置10においては、レール部材20が垂直部20bを有しているため、脚部21cが垂直部20bに接触することで、棚21がコンテナ11の左右方向に移動することを防止できる。より具体的には、脚部21cがレール部材20から外れることを防止できる。なお、図示は省略するが、図8に示されたレール部材20を、図7の荷物支持装置10に用いることもできる。
ここで、本実施形態において説明された構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、荷物32及び自動二輪車33が、本発明の荷物に相当し、コンテナ11に向かって左側の側壁13が、本発明の第1壁部に相当し、コンテナ11に向かって右側の側壁13が、本発明の第2壁部に相当し、左側の側壁13に設けられたラッシングリング23が、本発明の第1被係止部に相当し、右側の側壁13に設けられたラッシングリング23が、本発明の第2被係止部に相当する。また、左側の側壁13のラッシングリング23に掛けられる吊り下げ部材24が、本発明の第1吊り下げ部材に相当し、右側の側壁13のラッシングリング23に掛けられる吊り下げ部材24が、本発明の第2吊り下げ部材に相当する。さらに、左側の吊り下げ部材24に設けた支持腕25が、本発明の第1支持腕に相当し、右側の吊り下げ部材24に設けた支持腕25が、本発明の第2支持腕に相当する。
さらに、左側の側壁13に沿って配置されるレール部材20が、本発明の第1レール部材に相当し、右側の側壁13に沿って配置されるレール部材20が、本発明の第2レール部材に相当する。また、左側の吊り下げ部材24に取り付けたホルダ35、軸孔35aが、本発明の第1可動機構に相当し、左側の吊り下げ部材24に設けた雄ねじ部24d、ナット36が、本発明の第1位置決め機構に相当する。さらに、右側の吊り下げ部材24に取り付けたホルダ35、軸孔35aが、本発明の第2可動機構に相当し、右側の吊り下げ部材24に設けた雄ねじ部24d、ナット36が、本発明の第2位置決め機構に相当する。さらに、左側の吊り下げ部材24に設けた雄ねじ部24dが、本発明の第1雄ねじ部に相当し、左側の吊り下げ部材24に取り付けたナット36が、本発明の第1ナットに相当する。さらに、右側の吊り下げ部材24に設けた雄ねじ部24dが、本発明の第2雄ねじ部に相当し、右側の吊り下げ部材24に取り付けたナット36が、本発明の第2ナットに相当する。さらに、2本のレール部材20が相互に平行であり、かつ、2本のレール部材20が水平であることが、本発明の「棚が差し渡される構成」に相当する。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、吊り下げ部材の個数、コンテナの長手方向における吊り下げ部材の取り付け位置、コンテナの長手方向におけるレール部材の長さ及び本数は、任意に変更可能である。また、コンテナは、全体として立方体形状であってもよい。また、荷物支持装置は、相互に平行に配置された2つの側壁であれば、使用可能であり、奥壁、床板、天板の少なくとも1つが無い状態での使用も可能である。さらに、吊り下げ部材に対する支持腕の高さを調整する調整機構は、吊り下げ部材を半径方向に貫通する孔、この孔に挿入されるピンであってもよい。そして、吊り下げ部材の高さ方向に沿って孔を複数個設けておき、孔にピンを抜き差しすることで、支持腕の高さを段階的に調整することができる。さらに、図6に示す棚21では、自動二輪車33の前輪33bを凹部34cに入れて、自動二輪車33を棚に積んでいるが、自動二輪車33の後輪33cを凹部34cに入れて、自動二輪車33を棚21に積むこともできる。
さらに、自動二輪車33を載せる棚としては、図5に示された板21bの一部を切り欠いて、凹部を形成してもよい。このようにすれば、図6のように、板21bの上に更にパレット34を載せる構成の棚21に比べて、部品点数が少ない。したがって、棚の製造コストを低減することができ、コンテナにより輸送する資材を減らすこともできる。また、棚全体の高さをなるべく低くすることができ、大型の自動二輪車を搭載することもできる。また、2つの側壁にコンテナの長さ方向に沿って、長さが異なる吊り下げ部材をそれぞれ複数個取り付けると、異なる高さに左右で2本づつのレール部材を2組以上取り付けることができる。そして、2組以上のレール部材により棚を支持すれば、2段以上の棚をコンテナの収納室内に設けることもできる。さらに単一のコンテナの長さ方向にレール部材を複数本配置し、各レール部材の高さを異ならせることもできる。
また、棚に載せる荷物には、箱に入れたもの、網状物に入れられたもの等も含まれる。さらに、図1〜図8に示す実施形態において、荷物32、自動二輪車33を支持する棚21、レール部材20、吊り下げ部材24、支持腕25等の要素は、荷物32、自動二輪車33の荷重、コンテナ11の輸送時の振動に耐えられるような材料、寸法、形状等であることは言うまでもない。