JP5686363B2 - 路面摩擦係数推定装置 - Google Patents
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Description
スリップ事故が発生する際には、タイヤと路面との摩擦係数が低下していると考えられる。
そのため、この摩擦係数(路面摩擦係数)をリアルタイムで検知することができれば、運転者への警告やアクティブ操舵、検知した情報の共有による道路情報網の整備等に利用することができ、スリップ事故の発生を抑制することが可能となる。
従来、車両旋回時における摩擦係数を推定する方法が種々提案されているが、提案されている方法の多くは、正確なシミュレーションモデルが必要であったり、大型の専用車両が必要であったりするため、簡便な装置とはなり得ない。
しかし、このような装置では、走行中に運転者の意図しない駆動が生じることにより、運転者が違和感を覚えたり危険性が増したりする虞がある。
図1は本発明に係る路面摩擦係数推定装置の構成を示すブロック図である。
本発明に係る路面摩擦係数推定装置は、自動車の左右のタイヤの回転数を測定する回転数測定手段(1)と、自動車の進行方向を測定する進行方向測定手段(2)と、タイヤの実舵角を測定する実舵角測定手段(3)と、自動車の向きを測定する方角測定手段(4)と、前記各手段(1〜4)の測定値に基づいてタイヤと路面の旋回時における摩擦係数を推定する推定手段(5)とを備えている。
ABSは、周知の如く、急ブレーキや低摩擦路面でのブレーキ操作においてタイヤがロックして滑るのを防止する装置である。ABSはタイヤの回転数をモニタしており、ブレーキを踏んだ際にタイヤがロックされたことを検知すると、制動力を弱めてロック解除し、再び制動力を強めてブレーキをかける。
本発明においては、自動車に備えられたABSが有する回転数モニタリング手段を回転数測定手段(1)として使用する。以下、本明細書において、ABSの回転数をモニタする信号をABS信号と称する。
回転数測定手段(1)により測定された旋回時の左右のタイヤの回転数の差が、後述するタイヤに加わる遠心力をタイヤにかかる横力として算出する第一の横力算出式において用いられる。
GPSは自動車の進行方向を検出することができるため、本発明においてはGPSを進行方向測定手段(2)として使用する。
進行方向測定手段(2)であるGPSにより検出された自動車の進行方向は、後述するタイヤのスリップ角の算出のために用いられる。
タイヤの車軸とタイヤの実舵角は線形の関係にあると考えられる。そこで、直動型変位センサをタイヤの車軸に取り付けて車軸の横方向の変位を計測することによりタイヤの実舵角を測定する。
実舵角測定手段(3)である直動型変位センサにより測定された実舵角は、後述するタイヤのスリップ角の算出のために用いられる。
GPSコンパスは、GPS電波を複数のアンテナで受信し、その位相差から方角を測定することができる装置である。
方角測定手段(4)であるGPSコンパスにより測定された自動車の向きは、後述するタイヤのスリップ角の算出のために用いられる。
所定の計算式は、旋回時にタイヤに加わる遠心力からタイヤにかかる横力を算出する第一の横力算出式と、旋回時のタイヤの変形からタイヤにかかる横力を求める第二の横力算出式と、旋回時にタイヤが滑りだす滑り開始位置を求める滑り開始位置算出式とを含んでいる。これらの計算式については後述する。
<旋回時に発生するスリップ角と横力>
自動車が旋回している時、タイヤの移動方向とタイヤの向いている方向には差が生じる。その角度の差をスリップ角という。
図2は自動車が旋回している時にタイヤに生じる力を示している。
図2の真上方向が進行方向とすると、進行方向への力はタイヤの回転方向とそれに垂直な力に分解される。タイヤの回転方向に垂直な力は、タイヤに働く遠心力であると考えられる。この遠心力に相当する力として旋回内向きに力が発生している。この力を横力という。
回転数測定手段(1)は、ABS信号により左右のタイヤの回転数を検出する。
旋回時は左右のタイヤで回転数に差が生じる。そのため、図3に示すように、左右のタイヤの移動距離と旋回半径が近似できると考えることにより、左右のタイヤの間隔(既知)より各タイヤの旋回半径を求めることができる。
従って、旋回時にタイヤに加わる遠心力は、タイヤにかかる横力として下式(1)(第一の横力算出式)により求めることができる。
m:タイヤにかかる重量、v:速度、R:旋回半径
β=自動車の向き+実舵角−自動車の進行方向 ・・・(4)
β:スリップ角
この滑る点(滑り開始位置)は、「タイヤの横弾性係数とその時点までのゆがみの総量の積」と「路面摩擦係数と滑る場所のタイヤにかかっている荷重の積」が釣り合う点であると考えられる。よって、下式(5)が成り立つ。
s:滑り開始位置、μ:路面摩擦係数、G:タイヤの横弾性係数
滑り開始位置以降の曲線部分を直線で近似すると、横力は下式(7)(第二の横力算出式)のように求められる。尚、lはタイヤの接地長である。
横力=l sG/2tanβ ・・・(7)
更に、本発明によれば、各タイヤでそれぞれ路面摩擦係数を推定することもできる。
複数輪の兼ね合いは、車体及び積載物の重量分布とそれらのモーメントからタイヤにかかる重量を求めることのみで行うことができる。
2 進行方向測定手段
3 実舵角測定手段
4 方角測定手段
5 推定手段
Claims (5)
- 自動車の左右のタイヤの回転数を測定する回転数測定手段と、
自動車の進行方向を測定する進行方向測定手段と、
前記タイヤの実舵角を測定する実舵角測定手段と、
自動車の向きを測定する方角測定手段と、
前記回転数測定手段、進行方向測定手段、実舵角測定手段、方角測定手段の各測定値に基づいてタイヤと路面の旋回時における摩擦係数を推定する推定手段とを備え、
前記推定手段が、下式(8)に基づいてタイヤと路面の旋回時における摩擦係数を算出し、
式(8)において、mはタイヤにかかる重量であり、lはタイヤの接地長であり、
Gはタイヤの横弾性係数であり、
vは速度であって、前記回転数測定手段により測定された左右のタイヤの回転数から求められ、
Rは旋回半径であって、前記回転数測定手段により測定された左右のタイヤの回転数の差と左右のタイヤの間隔から求められ、
βはタイヤのスリップ角であり下式(4)により求められ、
β=自動車の向き+実舵角−自動車の進行方向 ・・・(4)
ここで、前記自動車の向きは前記方角測定手段により、前記実舵角は前記実舵角測定手段により、前記自動車の進行方向は前記進行方向測定手段により求められる
ことを特徴とする路面摩擦係数推定装置。 - 前記回転数測定手段が、アンチロックブレーキシステムにおける回転数モニタリング手段であることを特徴とする請求項1記載の路面摩擦係数推定装置。
- 前記進行方向測定手段が、自動車に搭載されたGPSであることを特徴とする請求項1又は2に記載の路面摩擦係数推定装置。
- 前記実舵角測定手段が、タイヤの車軸に取り付けられた直動型変位センサであることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の路面摩擦係数推定装置。
- 前記方角測定手段が、自動車に搭載された複数のアンテナを備えたGPSコンパスであることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の路面摩擦係数推定装置。
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