JP5670858B2 - サイトゾルのホスホリパーゼのモジュレーターとしてのグリセロホスホイノシトール誘導体 - Google Patents

サイトゾルのホスホリパーゼのモジュレーターとしてのグリセロホスホイノシトール誘導体 Download PDF

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本発明は、アラキドン酸の放出を抑制するための治療用薬剤の製造のためにグリセロホスホイノシトールを使用すること、グリセロホスホイノシトール構造を有する新規な誘導体およびその製造方法に関する。ホスホリパーゼは、膜のリン脂質の加水分解を触媒し、含まれる化学結合のタイプに従って、ホスホリパーゼA1、A2、B、C、Dに分類される酵素である。
哺乳動物においては、リン脂質のsn2エステル結合からのアラキドン酸の動態化は、サイトゾルのホスホリパーゼA2(cPLA2)の活性化、次いで多数の作用物質(ホルモン、神経伝達物質、ニューロペプチドおよび成長因子を含む)により誘発される受容体の活性化によるところが大きい。
作用物質-受容体相互作用によるPLA2の活性化のメカニズムについて考えると、G-タンパク質が、2つの別個のメカニズムによって、受容体が誘発する活性化を仲介すると提案されてきた:(i) PLA2との直接相互作用(百日咳毒素での処理はその酵素活性を低下させることがよく知られているので);または(ii) ホスホリパーゼC(PLC)活性化、リン酸化およびマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)によるPLA2の活性化によって間接的に仲介される。
ホスホリパーゼA2の2つのイソ型が哺乳動物において同定されており、それは、14kDaの分泌性形態および85kDaのサイトゾル形態(cPLA2)であり、これらは、アミノ酸配列の相同性を分かたず、触媒および調節のメカニズムが異なる。サイトゾルのホスホリパーゼA2は、休止細胞、例えば血小板および白血球のサイトゾル中にある:リポ多糖、トロンビンまたはサイトカイン(例えばインターロイキン1β)、腫瘍壊死因子α、しかしまた、ニューロペプチド、例えばタキキニン、ブラジキニンまたは、神経伝達物質、例えばプリン、特にATPおよび、セロトニン、アドレナリンおよびムスカリン作用物質は、酵素を活性化し、細胞内カルシウム濃度の増加および、タンパク質キナーゼCによる酵素の急速なリン酸化ならびに、引き続いて、それがリン脂質基質に結合する原形質膜への移動をもたらす。これらの仲介物はまた、酵素の新たな合成を引き起こす(E.アルマンディ-ブルゲルマイスター(Armandi-Burgermeister)、U.タイブズ(Tibes)、B.M.カイザー(Kaiser)、W.G.フリーベ(Friebe)、W.V.ショイアー(Sheuer)、「サイトゾルのホスホリパーゼA2の阻害剤による、サイトカイン合成の抑制、インテグリン発現およびコニック炎症(Suppression of Cytockine synthesis, integrin expression and chonic inflammation by inhibitors of cytosolic phospholipase A2)」、Europ. J. Pharmacol.、326(1997)、237-250)。
Gタンパク質、PKC、cPLA2系の緊密な相互変調および、脂質およびリゾ脂質(lysolipid)の仲介物の製造におけるcPLA2の関与(細胞内シグナリングにおけるグリセロホスホイノシトール-4-ホスフェート(Glycerophosphoinositol-4-phosphate in intracellular signaling)、C.P.ベリー(Berrie)、M.ファラスカ(Falasca)、A.カルベリ(Carvelli)、C.イウリシ(Iurisci)およびD.コルダ(Corda)、生物影響性脂質(Bioactive Lipids)、バンデルボック(Vanderbock)YY/編、プレナム パブリシングコーポレーション(Plenum Publisching Corporation)、ニューヨーク、1998年)は、PLA2を潜在的に重要な薬理学的標的にする。
本出願人はここで、アラキドン酸の放出に付随して生じる物質、すなわちL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトール(GPI)がオータコイドであり、さらには、そのカリウム塩、カルシウム塩および亜鉛塩および他の新規な誘導体ならびに化学的な半合成によって得られ、後に記載する一般式(I)を有する類似体が、PLA2のイン ビトロ(in vitro)での活性化の調節によってアラキドン酸の放出に潜在的抑制効果を及ぼし、以下に記載するPLA2の活性化によって仲介される病変の治療のために有効に使用できることを独創的に見出した。
本発明の目的は、2、3、4、5、6または1’および2’位が任意的にO-置換された、グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールの誘導体および類似体であり、以下の一般式:
Figure 0005670858
によることを特徴とし、ここで、R’1、R’2、R2、R3、R4、R5、R6は、互いに同じまたは異なり、HまたはC(O)AまたはBであることができ、ここで、A、B、X、YおよびMの意味は、以下に詳述する。
本発明はまた、L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトール(GPI)およびその塩、特に式(I)に従う新規な誘導体とのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩、特にカルシウムおよび亜鉛塩を、PLA2の活性化または過剰活性化(over activation)により仲介される病変の治療のための薬剤の製造のために使用することに関する。
本発明はさらに、PLA2の活性化または過剰刺激により仲介される病変、特に敗血症性ショックおよび、ウィルスおよび細菌性の感染、呼吸器の病変、例えば急性肺損傷(新生児の病変を含む)、慢性閉塞性気管支病(喘息を含む);皮膚科の病変、例えば乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および、より一般的には、皮膚の不反応性(dis-reactivity)(また、UV損傷後の酸化的ストレスを含む);また細菌感染による歯肉組織への損傷;腸虚血;関節の病変、例えば関節炎および関節症(慢性関節リウマチを含む);眼科の病変、頭痛、血管再造形に関連する心臓血管の病変、腎臓の病変および、特定の受容体および成長因子、例えばEGF、NGFの活性化またはタキキニン、たとえばNK受容体の活性化またはプリン(例えばATP)、例えばP2Yの活性化またはニューロペプチド、例えばボンベシンまたはPLA2を活性化するGタンパク質と結合した他の受容体の活性化によって仲介されるPLA2酵素の過剰刺激に関連する任意の病変;腫瘍の病変、例えば前立腺および腎臓の癌、またはともかくPLA2の活性化に依存する痛みおよび痛覚異常(iperalgesia)、中枢神経系および末梢神経系の病変および、スフィンゴミエリンサイクルに依存する病変(遺伝形態、例えばヘルマンスキー-パドラック症候群およびニーマン-ピック症候群を含む);血管と神経系との間の関門、例えば神経および血液脳関門の神経周膜に対する損傷に関連する病変、例えばニューロン浮腫、発作、大脳浮腫および出血、TIA(一過性脳虚血);アルツハイマー病または行動疾患、例えば精神***病;非代謝性病変、例えば糖尿病;膵臓炎、食物摂取疾患に関連する病変、例えば過食症、食欲不振、悪液質(cachessia)、肥満、うつ病の治療のための適当な賦形剤と関連して、活性成分として少なくとも1種の式(I)の誘導体を含む薬剤組成物に関する。
その後のアラキドン酸およびその代謝産物の放出の抑制を伴う、ホスホリパーゼA2、特にそのサイトゾルのイソ型(cPLA2)の過剰刺激を負に調節することができる剤としての、式(I)に従うグリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールの誘導体および類似体の特徴および利点は、以下の部分で詳細に説明される。
本発明は、一般式(I)
Figure 0005670858
に従う化合物、その鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体、その混合物、その水和物又は溶媒和物に関し、ここで、
I) R’、R2’、R2、R3、R4、R5、R6は互いに同じかまたは異なることができ、
a) Hまたは
基C(O)A、モノカルボン酸のアシル残基またはジカルボン酸のヘミアシル残基であり、ここでAは、飽和もしくは1〜4個の二重結合を有する不飽和の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または、単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基または、アリール、アリールアルキルもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であることができ;これらの基は任意的に、ケト、ヒドロキシ、アシルアミド、ハロゲン、メルカプト、アルキルチオもしくはアルキルジチオ、-COOHの中から選択される1個以上の基で置換されていることができ、これらの-COOHは、任意的に中和されて、-COOM塩を形成する(Mはポイント(II)で記載したのと同じ意味を有する)か;または
- 基Bであり、ここでBは、飽和もしくは1〜6個の二重結合を有する不飽和の、直鎖もしくは分岐のアルキル基;または、単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基または、アリール、アルキルアリールもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であり;これらの基は任意的に、ケト、ヒドロキシ、アシルアミド、ハロゲン、メルカプト、アルキルチオもしくはアルキルジチオ、-COOHの中から選択される1個以上の基で置換されており、これらの-COOHは、任意的に中和されて、-COOM塩を形成する(Mはポイント(II)で記載したのと同じ意味を有する);
(II) Mは、薬理学的に許容できる無機元素のカチオンであるか、または価数n+を有する薬理学的に許容できる有機塩基のカチオンである(ここでnは、以下のポイント(III)で記載した意味を有する);
(III) nは、1または2または3に等しい;
(IV) XおよびYは互いに同じかまたは異なり、OまたはSであり;
ここで、YがSであるとき、式(I)の化合物はまた、それぞれの非中和化合物を包含する。
より詳細には:
Aの説明
i) Aがアルキル基であるとき、好ましくは飽和であるかまたは1不飽和であり、好ましくは1〜8個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。
ii) Aが単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基であるとき、好ましくは5〜30個の炭素原子、より好ましくは6〜24個の炭素原子を有する。
Aがアリール、アルキルアリールもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であるとき、好ましくは4〜15個の炭素原子、より好ましくは4〜8個の炭素原子を有する。ヘテロ原子は、1〜5個、好ましくは1〜3個である。ヘテロ原子は、N、OまたはSであり、好ましくはNである。これらのヘテロ原子Nは任意的に中和されて、薬理学的に許容できる有機酸もしくは無機酸との塩を形成することができる。
Bの説明
i) Bがアルキルであるとき、好ましくは飽和であるかまたは1不飽和である。好ましくは1〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有する。
ii) Bが単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基であるとき、好ましくは5〜30個の炭素原子、より好ましくは6〜24個の炭素原子を有する。
Bがアリール、アリールアルキルもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であるとき、好ましくは5〜15個の炭素原子、より好ましくは5〜8個の炭素原子を有する。ヘテロ原子は、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜3個である。ヘテロ原子は、N、OまたはSであり、好ましくはNである。これらのヘテロ原子Nは任意的に中和されて、薬理学的に許容できる有機酸もしくは無機酸との塩を形成することができる。
Mの説明
i) Mが薬理学的に許容できる無機元素のカチオンであるとき、好ましくは、ナトリウム、リチウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉄、セレン、クロム、銅の中から選択される。
ii) Mが薬理学的に許容できる有機塩基のカチオンであるとき、好ましくはモノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-アルキルアンモニウム、より好ましくはN-(2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウム、コリンもしくはアミノ酸、好ましくはリシンもしくはアルギニンのカチオンまたは、モノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-ペプチドのカチオン、好ましくはカルノシンまたは、キサンチン塩基のカチオン、好ましくはカフェインである。
アシルアミノという語は、好ましくはアセチルアミノ基を意味する。
アルコキシという語は、好ましくはメトキシ-、エトキシ-またはアリルオキシ基を意味する。
ハロゲンという語は、好ましくは塩化物、フッ化物、臭化物またはヨウ化物を意味する。
アリールアルキル基という語は、好ましくはC7〜C9-アリールアルキル基、より好ましくはベンジル基を意味する。
アリール基という語は、好ましくはC6〜C12-アリール、好ましくはフェニルを意味する。
複素環式基という語は好ましくは、5-または6員環の、飽和、不飽和もしくは芳香族の複素環式基を意味する。
シクロアルキルまたはシクロアルキレン基という語は好ましくは、好ましくは5〜30個の炭素原子、より好ましくは6〜24個の炭素原子を有する単環もしくは多環を意味する。
XおよびYは互いに同じかまたは異なり、OまたはSであり、好ましくは互いに同じであり、好ましくはOに等しい。
本発明のさらなる目的は、式(I)の化合物および関連する非塩化生成物を、cPLA2の活性化もしくは過剰刺激によって仲介される病変、特に先に挙げた病変に関しての治療のために使用することである。
本発明の化合物の製造
本発明の化合物の製造は、好ましくは(これに限定されることはないが)、L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトール(GPI)から出発して行われる;硫黄原子を含むGPIの同族体、グリセロホスホチオイノシトールは、以下の実施例に記載された方法に従って、市販の入手可能な中間体から出発して製造されるか、または文献に報告された簡単な方法に従って製造される。GPIは、カリウム塩の形態で市販の製品として入手可能な公知の物質である。室温で水性溶液のGPIは、中性付近のpH値でのみ安定である。異なるpH値では、分子は加水分解反応に供され、分解する。本明細書に記載された、GPIの新規な塩の以下の製造方法は、GPIの構造の安定性を維持するのに有効であると示された。
本明細書に記載された以下の新規なGPIの塩は、主としてカリウム塩から出発して製造されたが、それにもかかわらず、本明細書に記載された以下の方法は、工業的な機会に必要とされる場合にはいつでも異なる塩から出発する任意の新規な誘導体の製造のために適当である。
新規なL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトール塩(GPI)の一般的製造方法
方法I
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトール(GPI)の無機塩および有機塩の一般的製造方法は、米国特許第5,306,840号に従い、簡単には以下のとおりである:水または、水と有機溶媒との混合物中に出発塩を可溶化させること、次いで、4℃の温度でH+形態として生じるカチオン交換樹脂のカラムに施用すること。溶出するGPI酸形態の溶液を集め、0〜4℃に保持した後、生物学的に許容できる有機もしくは無機のカチオンの塩基でモル対モル中和して、関連する塩を与える。この溶液は、次の処方の操作のためのものとして使用することができるかまたは、凍結乾燥もしくはスプレードライヤーにより減圧下で乾燥して、純粋で乾燥したGPIの塩を固体として得ることができる。
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトール(GPI)の-OH基のアルキルもしくはアシル誘導体の一般的製造方法は、一般に米国特許第5,306,840号に従い製造されたGPI塩、一般にカリウム塩もしくは4級アンモニウム、好ましくはtert-ブチルアンモニウムとの塩から出発して、純有機溶媒または有機溶媒の混合物または有機溶媒と水との混合物中で、10〜500mg/ml、好ましくは50〜200mg/mlの濃度にて行われる。有機溶媒の中で、以下のものが好ましい:アセトン、2-ブタノン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセチルアミド、n-メチル-2-ピロリドン、ピリジン、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、酢酸エチル、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール。反応は、-30℃〜+120℃、好ましくは+5〜+40℃の温度で、15分間〜48時間、好ましくは1時間〜15時間かけて行われる。
詳細な説明のポイントIで定義した、-C(O)A基、モノカルボン酸のアシル基またはジカルボン酸のヘミアシル基を挿入するために、PGIは、上記酸の活性化した誘導体、好ましくは塩化物、臭化物、混合無水物、環状無水物、活性化したエステル、例えばp-ニトロフェニルエステル、スクシンイミジルエステル、アシルイミダゾール、O-アシルイソ尿素と、好ましくは(限定されないが)有機もしくは無機塩基の存在下で反応する。これらの塩基は好ましくは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウムの炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物およびアルコラート、またはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジンまたはピコリンである。
詳細な説明のポイントIで定義したB基を挿入するために、GPIは、式Z-B[ここで、Zはハロゲン(好ましくは塩化物、臭化物もしくはヨウ化物である)またはアルキルスルホネート基、好ましくはメタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p-トルエンスルホネートまたはトリフルオロメタンスルホネートである]の活性化された誘導体と反応する。GPIとZ-Bとの反応は、好ましくは(限定されないが)無機もしくは有機塩基の存在下で行われる。これらの塩基は好ましくは、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カリウムの炭酸塩、重炭酸塩、酸化物、水酸化物、ヨウ化物およびアルコラート、またはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、ピリジンまたはピコリンである。
同様のやり方で、S原子を含むGPIの同族体:グリセロホスホチオイノシトールのアルキルまたはアシル誘導体が製造される。
実施例1
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのマグネシウム塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃で集め、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃に冷却し、窒素流を流し、0.292gの水酸化マグネシウムで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は98%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのマグネシウム塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 白色粉末
分子式 : (C9H18O11P)2Mg
分子量 : 690.71
元素分析 : C=31.3%;H=5.25%;O=50.96%;P=8.97%、Mg=3.52%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのガラスに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例2
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカルシウム塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、0.370gの水酸化カルシウムで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は98%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのマグネシウム塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 白色粉末
分子式 : (C9H18O11P)2Ca
分子量 : 706.48
元素分析 : C=30.6%;H=5.14%;O=49.82%;P=8.77%、Ca=5.67%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのガラスに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例3
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールの亜鉛塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、0.54gの炭酸亜鉛塩基で中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は99%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールの亜鉛塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 白色粉末
分子式 : (C9H18O11P)2Zn
分子量 : 731.78
元素分析 : C=29.54%;H=4.96%;O=48.1%;P=8.47%、Zn=8.93%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例4
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのナトリウム塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、0.53gの炭酸ナトリウム塩基で中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は98%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのナトリウム塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 白色粉末
分子式 : C9H18O11PNa
分子量 : 356.2
元素分析 : C=30.35%;H=5.09%;O=49.41%;P=8.70%、Na=6.45%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例5
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのコリン塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、2.69gのコリンのメタノール溶液45%で中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は98%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのコリン塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 粉末
式 : C9H18O11P・C5H14NO
分子式 : C14H32NO12P
分子量 : 437.37
元素分析 : C=38.45%;H=7.38%;N=3.20%;O=43.90%;P=7.08%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例6
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのリシン塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、1.46gのリシンで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は99%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのリシン塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 粉末
式 : C9H19O11P・C6H14N2O2
分子式 : C15H33N2O13P
分子量 : 480.40
元素分析 : C=37.50%;H=6.92%;N=5.83%;O=43.30%;P=6.45%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例7
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのアルギニン塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、1.74gのアルギニンで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は98%である。
生成物であるL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのアルギニン塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 粉末
式 : C9H19O11P・C6H14N4O2
分子式 : C15H33N4O13P
分子量 : 508.42
元素分析 : C=35.44%;H=6.54%;N=11.02%;O=40.91%;P=6.09%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例8
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのテトラブチルアンモニウム塩の製造
3.7gのGPIカリウム塩(10ミリモル)を35mlの蒸留水に溶かす。溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを15mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの1M水性溶液10mlで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、凍結乾燥する。
反応収率は97%である。
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのテトラブチルアンモニウム塩は以下の特性を示す:
概観 : 粉末
式 : C9H18O11P・C16H36N
分子式 : C25H54NO11P
分子量 : 575.69
元素分析 : C=52.16%;H=9.46%;N=2.43%;O=30.57%;P=5.38%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶、DMFに≧10mg/ml
水への溶解性 : >10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- GPI標準に従って、分解生成物は観察されない。
実施例9
過アセチル化されたL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩の製造
5.76gのGPIテトラブチルアンモニウム塩(10ミリモル)を35mlの無水DMFに溶かす。混合物を攪拌下で4℃に冷却する。15mlの無水ピリジンおよび10mlの無水酢酸を、攪拌下で30分間かけてゆっくりと滴下して加える。混合物を室温にし、攪拌下で48時間無水条件に保持する。次に、混合物を真空下で乾燥する。残渣を10mlのエタノールおよび100mgのKClに懸濁させた後、30mlのジエチルエーテルを添加することによって沈殿させる。得られた残渣を30mlの水および20gの氷に懸濁させ、30mlのテトラヒドロフランで3回抽出する。上層を集め、乾燥する。得られた残渣を30mlのエタノールに溶かし、K+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂15mlを含むカラムで溶出させる。溶出物を真空下で蒸発させた後、高真空下で乾燥する。
反応収率90%。
生成物である過アセチル化されたL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 粉末
分子式 : C23H32O18PK
分子量 : 666.58
元素分析 : C=41.44%;H=4.84%; O=43.21%;P=4.65%;K=5.87%
有機溶媒への溶解性 : DMFおよびエタノールに≧10mg/ml
実施例10
グリセロチオ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩[-S-P-]
K.クビアク(Kubiak)らの「ACS シンポジウムシリーズ(ACS SYMPOSIUM SERIES)」718、ページ180により記載されたようにして得られるジアシルグリセロチオホスホリル-イノシトールから出発して化合物を製造する。
1.0gのジアシルグリセロチオホスホリル-イノシトールを、窒素雰囲気下で10mlの無水メタノールに懸濁させる。50mgのカリウムtert-ブトキシドを添加し、混合物を撹拌下で20℃に3時間維持する。26.7mgの酢酸を添加し、混合物を乾燥する。残渣を10mlの冷水に溶かし、10mlのジエチルエーテルで抽出する。次に有機相を捨てる。
溶液を4℃に冷却し、サーモスタットで4℃に調温した、H+形態で生じるカチオン交換スルホン樹脂5mlを含むカラムに施用する。次に、カラムを5mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、pH7.0まで0.1MのKOHで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は95%である。
生成物であるグリセロチオ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 粉末
分子式 : C9H18O10PSK
分子量 : 388.38
元素分析 : C=27.84%;H=4.67%; S=8.25%;O=41.20%;P=7.98%;K=10.07%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : ≧10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- Rf=0.38。
実施例11
グリセロチオ-ホスホチオ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩[-P=S]
T.G.メイヤー(Mayer)ら、Eur. J. Org. Chem. (1998)、ページ291-298により記載された2,3,4,5,6-ペンタ-O-メトキシメチル-D-ミオ-イノシトールから出発して合成を行う。
400mgの2,3,4,5,6-ペンタ-O-メトキシメチル-D-ミオ-イノシトール(1ミリモル)を50mlのテトラヒドロフラン/ジクロロメタン1:4に溶かし、混合物を-15℃に冷却する。
70mgのイミダゾールおよび220mgのトリエチルアミンを添加した後、無水ジクロロメタン5ml中150mgの三塩化リンの溶液をゆっくりと滴下して添加する。
得られた混合物を撹拌下に2時間維持した後、室温に加熱し、10mlの重炭酸トリエチルアンモニウムを添加し、1時間撹拌する。相分離後、下層を集め、5mlの冷水で2回洗浄し、蒸発させ、高真空下で乾燥する。
残渣を20mlの無水ピリジンに懸濁させた後、200mgの5,5-ジメチル-2-オキソ-2-クロロ-1,2,3-ジオキソホスホリナンおよび132.2mgのD-α,β-イソプロピリデングリセロールを添加し、次いで混合物を、不活性雰囲気下で室温にて30分間撹拌する。混合物を蒸発乾固させる。残渣を50mlの四塩化炭素に懸濁させ、100mgの硫黄を添加し、室温にて30分間撹拌した後、高真空下で乾燥する。残渣を20mlの無水メタノールに可溶化し、100mgのp-トルエンスルホン酸を添加する。混合物を40℃に2時間加熱した後、室温に冷却し、2mlの水を30分間撹拌下で添加する。混合物を重炭酸アンモニウムで中和し、乾燥する。残渣を、展開溶媒としてクロロホルム/メタノール/水35:25:7の混合物を用いて、シリカゲルのカラムでの分離用クロマトグラフィーによって精製する。生成物を含む画分を集め、真空下で乾燥する。
残渣を5mlの水に溶かし;溶液を4℃に冷却し、4℃にてH+形態で生じるカチオン交換の5mlのスルホン樹脂のカラムを通して溶出する。カラムを、5mlの蒸留水で溶出し、溶出物を4℃で集め、窒素流を流し、pH7.0までKOH0.1Mで中和する。得られた溶液をろ過し、凍結させ、真空乾燥する。
反応収率は65%である。
生成物であるグリセロチオ-ホスホチオ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩の化学的-物理的特性は:
概観 : 粉末
分子式 : C9H18O10PSK
分子量 : 388.38
元素分析 : C=27.84%;H=4.67%; S=8.25%;O=41.20%;P=7.98%;K=10.07%
有機溶媒への溶解性 : 有機溶媒にわずかに可溶
水への溶解性 : ≧10mg/ml
TLC : 100mcgをシリカゲルのプレートに施用した;
展開溶媒Aクロロホルム/メタノール/水 3:3:1
展開溶媒Bアセトニトリル/水 3:1、塩基性KMnO4を噴霧
- Rf=0.35。
生物活性
実施例に従い化合物をコード化し、以下のように番号付けした。
化学名
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカルシウム塩
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールの亜鉛塩
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのナトリウム塩
4° L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのカリウム塩
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのコリン塩
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールのリシン塩
化合物を、細胞系でイン ビトロ(in vitro)試験し、マウスにおいて物質PおよびそのペプチドP6-11を用いて誘発した炎症モデルでイン ビボ(in vivo)試験した。
略語、試薬および物質
ホルモン: ギブコ(Gibco)(グランド アイランド(Grand Island)、NY)(6H-サイロトロピン、インスリン、トランスフェリン、コルチソル、ソマトスタチン、グリシル-L-イスチジル-L-リシン アセテート)
ペニシリン: ギブコ(Gibco)(グランド アイランド(Grand Island)、NY)
クーンズ(Coon’s)F-12 ハム(Ham)に従って変性された培地: ギブコ(Gibco)(グランド アイランド(Grand Island)、NY)
ストレプトマイシン: ギブコ(Gibco)(グランド アイランド(Grand Island)、NY)
NaF、AlCl 3 : フルカ ケム(Fluka Chem)AG(CH)
5,6,8,11,12,14,15-3H(N)アラキドン酸: デュ ポン(Du Pont)-NEN(ボストン(Boston)、MA)
BSA ウシ血清アルブミン: シグマ(Sigma)A-3311
エバンスブルー(Evan’s Blue): シグマ(Sigma)E-2129
ホルムアミド: シグマ(Sigma)F-7503
エチルエーテル: フルカ ケム(Fluka Chem)AG(CH)
PTFE 0.45μmフィルター: コスター(Costar)130662
サブスタンスP、SP: クリナルファ(Clinalfa)(IT)
SP カルボキシ末端ペプチド SP6-11: シグマ(Sigma)S-0772
プロテインキナーゼC、PKC
ホスホリパーゼA2、PLA2
ホスホリパーゼC、PLC
マイトジェン活性化PK、MAPK
L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールオータコイドの効果の評価は、種々の細胞系においてcPLA2により誘発されるアラキドン酸の放出について、実施例3、実施例4および実施例4aをコード化した。
実験モデル
細胞培養
FRTL5、培養で増殖させたラット甲状腺からの上皮細胞の細胞系。簡単には、細胞は、ハム(Ham)に従って変性され、5%ウシ血清、20mMのグルタミンおよび6種のホルモンの混合物(6H-サイロトロピン、インスリン、トランスフェリン、コルチソル、ソマトスタチン、グリシル-L-イスチジル-L-リシン アセテート)を補ったたクーンズ(Coon’s)F-12培地で、37℃にて、3〜4日毎に交換された5%CO2、95%空気媒体の加湿大気中で培養された。
スイス(Swiss)3T3繊維芽細胞
培養物は、種々の刺激を用いて刺激されてアラキドン酸を放出する:
cPLA2-依存性メカニズム、例えばATP、マストパラン(mastoparan)、ボンベシン;
cPLA2-非依存性メカニズム、例えばCa2+イオン透過担体、イオノマイシン(ionomicin)。
試験
アラキドン酸の放出
細胞は最初に、種々の濃度の化合物と共に、60分間の試験下でインキュベートされるか、または所定濃度100μMで種々の時間間隔で(15〜180分間)インキュベートされ、遊離の脂肪酸の不在下、pH7.4で、10mMのHepesおよび0.2%のBSAを添加されたHBSS(ハンクスの均衡塩類溶液、Ca2+およびMg2+イオンの存在下)で2回洗浄され、記載された緩衝液中の100μMのATPで37℃にて10分間刺激される。上清を、測定のためにシンチレーションキュベットに集めた。結果は、[3H]-アラキドン酸の全放出量の百分率として表される。
結果
実施例4aとしてコード化された評価下の化合物は、時間および濃度依存性の方法で、試験を行ったすべての細胞系において、cPLA2の活性化によって誘発されたアラキドン酸の放出を減らすことが示された(表1、2、3、4、5)。
実施例3および実施例4としてコード化された化合物は、より効力の高い効果を示す(表6)。
それに対して、化合物実施例4aは、cPLA2に関係のない刺激、例えばカルシウムイオン透過担体によって誘発されるアラキドン酸の放出の減少を引き起こさない(表7)。
報告したデータはみな、実施例4aの化合物ならびに実施例3および実施例4の化合物が、サイトゾルのcPLA2の活性化の経路、言い換えればアラキドン酸の動態化に関連する主な経路の負の調節によって特異的に仲介されるメカニズムに従ってアラキドン酸の放出を制限することができることを示す。
表1: ATPで刺激されたFRTL5細胞における実施例4aの化合物の存在下でのアラキドン酸の放出の抑制の時間-経過
Figure 0005670858
プレロードした(preloaded)細胞を、異なる時間間隔で実施例4aの化合物100μMと共にインキュベートした後、ATP(100μM)で10分間刺激する。結果は、3つの別々の実験における2点の平均±SEとして表される。対照細胞の刺激は一般に、対応する時間間隔における基本値の4〜5倍であった。
表2: 実施例4aの化合物は、ATPで刺激したFRTL5細胞からアラキドン酸の放出の抑制を誘発する
Figure 0005670858
プレロードした細胞を、種々の濃度の実施例4aと共に60分間プレインキュベートした後、100μMのATPで10分間刺激した。結果は、3つの別々の実験における2点の平均±SEとして表される。
表3: 実施例4aの化合物は、ATPで刺激したスイス(Swiss)3T3繊維芽細胞から[ 3 H]-アラキドン酸の放出を抑制する
Figure 0005670858
プレロードした細胞を、種々の濃度の実施例4aと共に60分間プレインキュベートした後、100μMのATPで10分間刺激した。結果は、3つの別々の実験における2点の平均±SEとして表される。
表4: 実施例4aの化合物は、スイス(Swiss)3T3繊維芽細胞において、マストパラン-依存性の[ 3 H]-アラキドン酸放出を減らす
Figure 0005670858
プレロードした放射能活性に標識した細胞を、種々の濃度の実施例4aと共に60分間プレインキュベートした後、100μMのマストパランで10分間刺激した。結果は、3つの別々の実験における2点の平均±SEとして表される。
表5: 実施例4aの化合物は、スイス(Swiss)3T3繊維芽細胞において、ボンベシン-依存性の[ 3 H]-アラキドン酸放出を減らす
Figure 0005670858
プレロードした細胞を、種々の濃度の実施例4aと共に60分間プレインキュベートした後、ボンベシンで10分間刺激した。結果は、3つの別々の実験における2点の平均±SEとして表される。
表6: 実施例4aの化合物は、FRTL5細胞においてイオノマイシンによって誘発される[ 3 H]-アラキドン酸の放出を抑制しない
Figure 0005670858
プレロードした細胞を、種々の濃度の実施例4aと共に60分間プレインキュベートした後、10μMのイオノマイシンで30分間刺激した。結果は、3つの別々の実験における2点の平均±SEとして表される。
サブスタンスPに対してサブスタンスPのペプチドP6-11により誘発される局所的炎症への保護活性の評価
実験モデル
明/暗サイクルで、制約なしに給餌して標準条件で飼育した約20〜22gのメスのBalb/cマウスを、エチルエーテル飽和雰囲気に暴露することによって麻酔する。次に動物を各10匹の4群に分ける。
サブスタンスP(1ピコモル/3μl)またはそのペプチド断片P6-11(1ピコモル/3μl)の左耳の耳介への皮下注射によって、毛細血管透過を引き起こし;対照は、塩類溶液の注射を受ける(マッツァリ(Mazzari)ら、Eur. J. Pharm. 1996)。
マウスの耳介での血漿の管外遊出。
マウスは、サブスタンスPまたはP6-11ペプチドの後直ちにエバンスブルー(Evan’s Blue)(100mg/kg)の静脈内注射を受け、2時間後に殺された。次に、2mlのホルムアミド中での注射した耳介の均質化(ポリトロン(Polytron)ホモジナイザー)により染料を抽出した。次に、均質化した組織を50℃で2時間インキュベートした。サリア(Saria)とランベルグ(Lunberg)の方法(1983)に従って、620nm(A620)でのエバンスブルーの光学密度として、血漿の管外遊出を測定した。
化合物の可溶化および投与
実施例に記載された化合物を0.9%塩類溶液に可溶化し、毛細血管透過の30分前に0.5〜5mg/kgの範囲の投与量で、静脈内注射により投与した。
結果
サブスタンスPにより誘発された管外遊出は、肥満細胞および脈管内皮細胞の両方の二重の活性化メカニズムによるものであり、一方、サブスタンスP断片-ペプチドP6-11は、NKI受容体との相互作用による内皮細胞への効果のみによる管外遊出を引き起こす(「サブスタンスP、ブラジキニンおよび関連ペプチドのヒスタミン放出活性におけるN-末端アルギニンの役割(Role of the N-terminal arginine in the histamine releasing activity of substance P, bradikinin and related peptides)」;デビラー(Deviller)P.、ドラピュー(Drapeau)G.、レノウックス(Renoux)M.、レゴリ(Regoli)D.、Europ. J. Pharmacol. 168(1989):53-60)。
試験した化合物はすべて、ペプチドP6-11により誘発される毛細血管透過性を有意に減らすが、SPにより誘発される透過性に有意に影響を与えない(表9)。
特に、実施例5aのGPIのカリウム塩は、サブスタンスP断片P6-11により誘発される管外遊出を制限する。
表7:実施例4aおよび6とコード化された化合物は、P6-11により誘発される管外遊出を制限する
Figure 0005670858
スチューデント-ニューマン-ケウルス試験(Student -Newman- Keuls Test) *p<0.05対群1;・p<0.05対群2;p<0.05対群6。
表8:P6-11により誘発される管外遊出への、実施例4aとコード化された化合物の投与量依存性効果
Figure 0005670858
スチューデント-ニューマン-ケウルス試験(Student -Newman- Keuls Test) *p<0.05
表9:サブスタンスPにより誘発される管外遊出に対する、L-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールカリウム塩(実施例4a)およびL-α-グリセロ-ホスホ-D-ミオ-イノシトールカルシウム塩(実施例2)
Figure 0005670858
報告した証拠は、本発明の化合物が、サブスタンスPの末端ペプチド、P6-11によって誘発される血漿タンパク質管外遊出を制限することを示す。ペプチドP6-11は、NK1と称されるニューロキン(neurokin)受容体によって仲介される特定のメカニズムに従って、上皮を通してタンパク質管外遊出を誘発する。NK1、NK2およびNK3受容体はそれぞれ、内因性リガンドSP、NKAおよびNKBのシグナルを仲介し、そのすべてが、ペプチドP6-11に存在するSPの末端部分を認識することを思い出さねばならない。
終わりに、試験した本発明の化合物は、cPLA2を負に調節することができ、よってアラキドン酸代謝に関連する事象のカスケードを制限することができる。本発明の化合物はさらに、種々の刺激、例えばATPによって誘発される、cPLA2の活性化ならびに、変えられた関門透過性の状況で、例えば末梢神経系の脈管-神経周膜および中枢神経系の血液脳関門で存在するアラキドン酸濃度の増加を制限することができる。
本発明の化合物はまた、ボンベシン受容体により仲介されるcPLA2の活性化を調節し、これは、食物摂取の不調節に関連し、かくして、そのような悪液質メカニズムにより仲介される病変、例えば過食症、食欲不振、肥満および悪液質の治療のために有用に使用することができる。
本発明の化合物はさらに、イン ビボ(in vivo)モデルのNK-1受容体の刺激を調節することができる。
かくして本発明の化合物は、先に挙げたようなcPLA2の活性化または過剰刺激によって仲介される病変の治療のための有効な治療手段であり得る。
投与の量、タイミングおよび方法は、病変もしくは変調のタイプ、段階、重症さおよび概観の明確さまたは、ヒトもしくは獣医師の健康管理における来たるべき適用のタイプ、段階、重症さおよび概観の明確さに従って選択され、各治療サイクルについて0.1〜100mg/kgで3〜90日間に含まれる。挙げられたすべての病変について、全身、非経口、経口および直腸の投与が示されるが、また局所、経皮および、活性物質の最高の利用可能性を達成するような任意の場合が示される。経口のためには、処方物は錠剤、糖衣錠およびカプセルとして投与することができるが、また粉末および溶液/懸濁液(噴霧を含む)として投与することができる。
局所治療のためには、結膜嚢への投与のための目薬と共に、皮膚および粘膜使用(歯肉粘膜を含む)に親和性であるゲル、クリームおよび溶液が好ましい。
注射可能な形態は、製薬上の使用のために、かつ静脈内、筋肉内および皮下投与のために適合性の溶媒と共に処方される。
人間および獣医学における非反応状態に関連する変調の予防またはコアジュバント(coadiuvant)治療のための経口摂取のための補給剤と同じ活性化合物を、適当な濃度で処方することができる。
以下は、医薬および化粧品用調製物の例であり、これは説明する目的のみを有し、限定する目的を有していない。
例A - 錠剤
活性主剤 実施例6 100mg
賦形剤
微晶質セルロース 160mg
デンプン 28mg
ラクトース 100mg
ステアリン酸 6.0mg
例B - 注射用処方物
バイアル1
活性主剤 凍結乾燥した実施例4 50mg
バイアル2
賦形剤
2塩基性リン酸ナトリウム12H2O 12mg
1塩基性リン酸ナトリウム2 H2O 1mg
塩化ナトリウム 32mg
注射用の水で 4mlにする。
例C - 局所施用のためのW/Oクリーム
%mg
活性主剤 実施例7 2
賦形剤
Twin 60 0.5
Polwax 2.5
セチルステアリルアルコール 2
カルボマー 0.5
TEA 0.5
グリセリン 3
防腐剤 1
水で 100mgにする。
[1]一般式(I):
Figure 0005670858
の化合物、その鏡像体、ジアステレオマー、ラセミ体、その混合物、その水和物又は溶媒和物:
式中、
I) R’、R2’、R2、R3、R4、R5、R6は互いに同じかまたは異なることができ、
a) Hまたは
基C(O)A、モノカルボン酸のアシル残基またはジカルボン酸のヘミアシル残基であり、ここでAは、飽和もしくは1〜4個の二重結合を有する不飽和の、直鎖もしくは分岐のアルキル基または、単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基または、アリール、アリールアルキルもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であることができ;これらの基は任意的に、ケト、ヒドロキシ、アシルアミド、ハロゲン、メルカプト、アルキルチオもしくはアルキルジチオ、-COOHの中から選択される1個以上の基で置換されており、これらの-COOHは、任意的に塩化されて、-COOM塩を形成する(Mはポイント(II)で記載したのと同じ意味を有する)か;または
- 基Bであり、ここでBは、飽和もしくは1〜6個の二重結合を有する不飽和の、直鎖もしくは分岐のアルキル基;または、単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基または、アリール、アルキルアリールもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であり;これらの基は任意的に、ケト、ヒドロキシ、アシルアミド、ハロゲン、メルカプト、アルキルチオもしくはアルキルジチオ、-COOHの中から選択される1個以上の基で置換されており、これらの-COOHは、任意的に中和されて、-COOM塩を形成する(Mはポイント(II)で記載したのと同じ意味を有する):
(II) Mは、薬理学的に許容できる無機元素のカチオンであるか、または価数n+を有する薬理学的に許容できる有機塩基のカチオンである(ここでnは、以下のポイント(III)で記載したのと同じ意味を有する);
(III) nは、1または2または3である;
(IV) XおよびYは互いに同じかまたは異なり、OまたはSであり;
ここで、YがSであるとき、式(I)の化合物はまた、それぞれの非中和化合物を包含する。
[2]式中、Mが、
a) 生物学的に許容できる無機カチオンまたは
b) 価数n+を有する生物学的に許容できる有機カチオンであり、ここでnは1または2または3を意味する、
[1]に記載の化合物。
[3]
a) Aが、好ましくは飽和もしくは1不飽和のアルキル基であるとき、1〜8個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有する;
b) Aが単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基であるとき、5〜30個の炭素原子、好ましくは6〜24個の炭素原子を有する;
c) Aがアリール、アリールアルキルもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であるとき、4〜15個の炭素原子、好ましくは4〜8個の炭素原子を有し、かつN、OおよびSの中から選択され、好ましくはNである1〜5個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を有する;
d) Bがアルキルであるとき、1〜8個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、飽和であるかまたは1不飽和である;
e) Bが単環もしくは多環のアルキルもしくはアルケニル基であるとき、5〜30個の炭素原子、好ましくは6〜24個の炭素原子を有する;
f) Bがアリール、アリールアルキルもしくは1個以上のヘテロ原子を有する複素環式基であるとき、5〜15個の炭素原子、好ましくは5〜8個の炭素原子を有し、かつN、OおよびSの中から選択され、好ましくはNである1〜5個のヘテロ原子、好ましくは1〜3個のヘテロ原子を有する、
[1]に記載の化合物。
[4]式中、Mが、
a) クロム、セレン、銅、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属、ZnおよびFeの中から選択される生物学的に許容できる無機カチオン;
b) 好ましくは、モノ-、ジ-、トリ-もしくはテトラ-アルキルアンモニウム、好ましくはN-(2-ヒドロキシエチル)-ジメチルアンモニウム、コリンカチオンもしくはアミノ酸カチオン、好ましくはリシンもしくはアルギニンまたは、モノ-、ジ-、トリ-およびテトラ-ペプチドまたは、キサンチン塩基のカチオン、好ましくはカフェインの中から選択される、生物学的に許容できる有機塩基のカチオンである、[2]に記載の化合物。
[5]cPLA2の活性化もしくは過剰刺激によって仲介される病変の治療のための、[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物。
[6][1]〜[4]のいずれかに記載の化合物又はその塩化されていない誘導体の、cPLA2の活性化もしくは過剰刺激によって仲介される病変の治療のための薬剤組成物の製造のための使用。
[7]成長因子EGFもしくはNGFおよび/またはNK-1受容体および/または、cPLA2を活性化するGタンパク質と結合される受容体、例えばATP受容体および/またはボンベシン受容体の過剰刺激に関連する病変の治療のための、[6]に記載の使用。
[8]心臓性および敗血症性のショックならびに、ウィルスもしくは細菌の感染の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[9]呼吸器の病変、例えば急性肺損傷(新生児病変を含む)、慢性閉塞性気管支病(喘息を含む)の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[10]皮膚科の病変、例えば乾癬、脂漏性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および、より一般的には、皮膚の不反応性(また、UV損傷後の酸化的ストレスを含む)ならびに、眼の病変、例えば緑内障および結膜炎の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[11]腫瘍の病変、例えば前立腺および腎臓の癌の治療または、cPLA2の活性化に依存する病変の治療および、腎臓の病変の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[12]細菌感染による歯肉組織の変調および、腸の虚血における粘膜損傷の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[13]関節の病変、例えば慢性関節リュウマチを含む関節炎および関節症の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[14]偏頭痛および頭痛、痛みおよび痛覚過敏の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[15]心臓疾患および、血管再造形に関連する心臓血管の疾病の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[16]炎症に関連する末梢神経系の病変の治療、毒素の非代謝による神経障害の治療ならびに、中枢神経系、例えばアルツハイマー病、行動変調、例えば精神***病うつ病、医原性損傷により引き起こされる病変または毒性剤、例えばコカインにより引き起こされる病変および皮膚の疾患またはスフィンゴミエリンサイクルに関連する変調(遺伝的形態、例えばヘルマンスキー-パドラック症候群およびニーマン-ピック症候群を含む)の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[17]血管と神経系との間の関門、例えば神経の神経周膜に対する損傷に関連する病変および、血液脳関門の損傷に関連する病変、例えばニューロン浮腫、発作、大脳浮腫および出血、TIA(一過性脳虚血)の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[18]食物摂取疾患に関連する病変、例えば過食症、食欲不振、悪液質、肥満の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[19]非代謝的病変、例えば糖尿病および膵臓炎の治療のための、[6]又は[7]に記載の使用。
[20]製薬上許容できる賦形剤とともに、活性主剤として少なくとも1種の[1]〜[4]のいずれかに記載の誘導体を含む組成物。
[21]経口投与、非経口投与、直腸投与、舌下、静脈内、筋肉内、皮下、局所、皮内、経皮の投与に適する、[20]に記載の組成物。
[22]局所経路が皮膚または眼内である、[21]に記載の組成物。
[23]投与の経口形態が、粉末、錠剤、丸薬、カプセル、玉、液体懸濁物または、凍結乾燥出発物質に基づく処方物、例えば乾燥シロップである、[21]に記載の組成物。
[24]非経口投与の形態が、凍結乾燥化合物から出発する即座注射用処方物である、[21]に記載の組成物。
[25]局所投与の形態が、クリーム、軟膏、ゲル、凍結乾燥粉末、溶液または噴霧形態である、[21]に記載の組成物。
[26]薬剤が獣医用途である、[6]〜[20]のいずれかに記載の使用。
[27]前記治療が、病変もしくは変調のタイプ、段階、重症さおよび発現の区切に依存して、かつヒトまたは獣医用途に依存して、治療の各サイクルにつき0.1〜100mg/kgで3〜90日間を包含する活性主剤の投与量を含む、[6]〜[20]または[26]のいずれかに記載の使用。

Claims (2)

  1. アルツハイマー病を除くcPLA2の活性化又は過剰刺激によって仲介される炎症の治療用の、皮膚、眼内、結膜嚢又は粘膜を介して投与される医薬組成物の製造における、L−α−グリセロ−ホスホ−D−ミオ−イノシトールのM塩{式中、該Mは、薬理学的に許容される無機元素のカチオンであるか、又は価n(ここで、nは1、2又は3である。)をもつ薬理学的に許容される有機塩基のカチオンである。}の使用。
  2. 製薬上許容できる賦形剤とともに、活性成分として、L−α−グリセロ−ホスホ−D−ミオ−イノシトールのM塩{式中、該Mは、薬理学的に許容される無機元素のカチオンであるか、又は価n(ここで、nは1、2又は3である。)をもつ薬理学的に許容される有機塩基のカチオンである。}を含む、アルツハイマー病を除くcPLA2の活性化又は過剰刺激によって仲介される炎症の治療用の、皮膚、眼内、結膜嚢又は粘膜を介して投与される医薬組成物。
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