JP5663387B2 - そり解析方法、そり解析装置、多色成形品の製造方法、プログラムおよび記憶媒体 - Google Patents

そり解析方法、そり解析装置、多色成形品の製造方法、プログラムおよび記憶媒体 Download PDF

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Description

本発明は、多色成形品のそり変形を解析するためのそり解析方法、そり解析装置、該そり解析方法を利用した多色成形品の製造方法、該そり解析方法を実行するためのプログラムおよび該プログラムを記録した記憶媒体に関する。
樹脂製品の成形方法のひとつとして、多色成形法がある。多色成形法は、2台以上の成形機、または、2本以上のシリンダーを有する専用の多色成形機と、金型の一部が回転もしくは拡張する特殊な金型を用いて、多色または多種類の樹脂からなる一体の樹脂成形品を作る成形方法である。該多色成形法により製造される多色成形品の主な用途としては、電卓やコンピュータのキー、スイッチ類の押しボタン、機械装置のツマミなどに、文字や数字、記号などを入れる場合などが挙げられる。近年、自動車用の窓ガラスを樹脂で成形する方法としても注目を集めている。
多色成形法に近い技術として、DRI成形法やRSI成形法といった2つ以上の成形品をそれぞれ成形して、接合部に溶融樹脂を流し込んで、一体化させる方法がある。これらの成形法については、特許文献1に示すようなそり解析方法が提案されている。これらの方法は、多色成形のうち、もっとも単純な2色成形において、2色目を成形している過程の影響を1色目の成形品が受けることを考慮するような技術ではなく、多色成形のそり解析に応用できる技術ではない。
単色(単材)のそり解析方法としては、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6などの方法や、市販されている射出成形CAEソフト、AUTODESK社のMOLDFLOW(登録商標)や東レエンジニアリング社の3D TIMON(登録商標)、サイバネットシステム社のPLANETS(登録商標)、CORETECH社のMOLDEX(登録商標)で提供されている方法などが挙げられるが、単色のそり解析方法を、多色成形に単純に適用したとしても、多色成形品のそりを予測することはできない。
また、市販されている射出成形CAEソフト、AUTODESK社のMOLDFLOW(登録商標)や東レエンジニアリング社の3D TIMON(登録商標)、サイバネットシステム社のPLANETS(登録商標)、CORETECH社のMOLDEX(登録商標)などでは、多色成形のそり変形を予測するモードが準備されているが、これらの市販ソフトに採用されている方法では、多色成形品のそりを正確に予測することは難しく、より、高精度なそり解析方法が求められていた。
特許公開2001−165823公報 特許公開平7−186228公報 特許公開平8−230008公報 特許公開2000−289076公報 特許公開2003−175538公報 特許公開2006−313556公報
本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みてなされたものであって、従来、正確に成形品のそりを解析する方法が確立されていなかった、多色成形法により製造される成形品のそりを、より正確に予測することができる、そり解析方法、該方法を用いたそり解析装置、該方法を利用した多色成形品の製造方法、該方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、および、該プログラムを記録した記憶媒体、を提供することを課題とする。
本発明者らは、従来の多色成形法のそり解析方法における問題点について鋭意研究し、以下の点を見出すに至った。
(1)多色成形においては、予め成形された成形品の熱収縮を考慮するだけでなく、さらに、予め成形された成形品に残留する成形収縮ひずみ(以下、「残留成形収縮ひずみ」という場合がある。)を考慮する必要があること。
(2)後から充填される溶融充填物が、予め成形された成形品を加熱することにより、予め成形された成形品に発生する成形収縮ひずみの分布(以下、「残留成形収縮ひずみ分布」という場合がある。)が変化すること。
(3)上記の予め成形された成形品の残留成形収縮ひずみ分布の変化として、加熱されることによって所定の残留成形収縮ひずみが緩和されるアニーリングがあること。
(4)また、上記の予め成形された成形品の残留成形収縮ひずみ分布の変化の別の形態として、加熱されることによって所定の残留成形収縮ひずみが存在する箇所が、加熱により溶融することがあること。
(5)上記のように溶融した場合は、溶融状態から収縮が起こること。
(6)上記した予め成形された成形品の残留成形収縮ひずみが、アニーリングにより緩和される領域、および/または、溶融される領域に分割して、それぞれの収縮を考慮することが好ましいこと。
以上の認識を元に、本発明者らは、以下の発明を完成させた。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
第1の本発明は、多色成形品のそり変形を解析するためのそり解析方法であって、多色成形解析用形状データ、物性データ、および、成形条件データを入力する工程(700、701、702)、該入力した各データに基づいて前記多色成形品の各部における充填工程および保圧冷却工程を解析する工程(703、709)、を備え、
前記多色成形品のうち、予め成形された成形品に残留する残留成形収縮ひずみ分布を算出してそり変形を解析する際に、該残留成形収縮ひずみ分布として、後から充填される溶融充填物によって加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布を算出する(714a、714b、715)、そり解析方法である。
第1の本発明において、前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみが加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し(714a)、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域とアニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する(715)ことが好ましい。
第1の本発明において、前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、加熱されることによって溶融される領域を算出し(714b)、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域と溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する(715)ことが好ましい。
第1の本発明において、前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみが加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し(714a)、さらに、加熱されることによって溶融される領域を算出し(714b)、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域、アニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域、および、溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する(715)ことが好ましい。
第2の本発明は、多色成形品のそり変形を解析するためのそり解析装置であって、多色成形解析用形状データ(606)、物性データ(607)、および、成形条件データ(608)を入力する手段(604、601、602、605)、該入力した各データに基づいて前記多色成形品の各部における充填工程および保圧冷却工程を解析する手段(610、611、612a、612b)、を備え、前記多色成形品のうち、予め成形された成形品に残留する残留成形収縮ひずみ分布を算出してそり変形を解析する際に、該残留成形収縮ひずみ分布として、後から充填される溶融充填物によって加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布を算出する(613a、613b、614)、そり解析装置である。
第2の本発明において、前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみ分布が加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し(613a)、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域とアニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する(614)ことが好ましい。
第2の本発明において、前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、加熱されることによって溶融される領域を算出し(613b)、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域と溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する(614)ことが好ましい。
第2の本発明において、前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみが加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し(613a)、さらに、加熱されることによって溶融される領域を算出し(613b)、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域、アニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域、および、溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する(614)ことが好ましい。
第3の本発明は、第1の本発明のそり解析方法を用いて多色成形品のそり変形を解析し、該解析の結果に基づいて、多色成形品形状、成形品材料、および、成形条件から選ばれる少なくとも一つを決定し(718)、該決定に基づいて多色成形品を製造する(719)、多色成形品の製造方法である。
第4の本発明は、第1の本発明のそり解析方法の各工程(700〜717)をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
第5の本発明は、第4の本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
以下、上記の本発明における用語を定義する。
第1の本発明において、「多色成形品」とは、2台以上の成形機、または2本以上のシリンダーを有する専用の多色成形機と、金型の一部が回転する特殊な金型を用いて成形される、多色または多種類の樹脂からなる一体の樹脂成形品である。
「多色成形解析用形状データ」とは、コンピュータを使用して有限要素法、境界要素法、有限体積法、有限差分法、FAN法などの解析に使用される節点(座標データ)、要素(細分化されたメッシュ)、要素プロパティ(要素の名前、グループ、要素タイプ、肉厚など)、材料プロパティ(密度、熱伝導率、比熱など)などで記述されているデータをいう。
「物性データ」としては、成形品材料の物性データおよび金型の物性データが挙げられ、成形品材料の粘度、PVT特性データ、弾性率、ポアソン比、線膨張係数、熱伝導率、金型の弾性率、ポアソン比、線膨張係数、熱伝導率などの物理的な特性を示すデータをいう。
「成形品材料」とは、射出成形に用いる高分子材料や金属材料のことを言い、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテルケトン(m−PPE)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、熱可塑性ポリイミド(PI)、アクリルニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリルニトリルスチレン(AS)、マグネシウム合金(Mg合金)などが挙げられる。
「成形条件データ」とは、射出成形の工程における設定温度、設定圧力、設定時間など、成形の設定条件をいう。
データを「入力する」とは、オペレーターがキーボード(601)やマウス(602)などによりデータをコンピュータの所定のメモリーにロードすること、またはファイル等のデータを補助記憶装置(604)から読み出したりしてコンピュータ(600)の所定のメモリーにロードすることをいう。
「充填工程」を解析するとは、成形品材料の充填解析(704、710)、配向解析(706、712)のことをいう。
「保圧冷却工程」を解析するとは、保圧冷却解析(705、711)、型開き時の予め成形された成形品の温度分布・物性分布算出(707)、型開き中の予め成形された成形品の冷却解析(708)、多色成形品における各成形品の圧力・温度・残留成形収縮ひずみ分布算出(713)のことをいう。
「残留成形収縮ひずみ」とは、射出成形後の成形品に加熱による溶融やアニーリングを行わない場合に、離型後に除荷した状態で所定時間放置した後に発生するひずみをいう。なお、「初期の残留成形収縮ひずみ」とは、溶融充填物が充填される直前における予め成形された成形品に残留する残留成形収縮ひずみのことをいう。また、予め成形された成形品が加熱されれば、アニーリングによって該残留成形収縮ひずみがある程度緩和される。
「残留成形収縮ひずみ分布」とは、上記残留成形収縮ひずみが、成形品におけるどの位置にどの程度存在するかについての三次元的な分布を示したデータである。
「溶融充填物」とは、予め成形された成形品が1色目成形品だとすると、2色目となる溶融した成形品材料のことをいう。
本発明において「アニーリング」とは、射出成形中に溶融した成形品材料が温調された金型によって冷却され、成形品内部に発生した残留成形収縮ひずみが加熱によって緩和することをいう。
「溶融」とは、流動停止温度、結晶性樹脂であれば溶解温度以上の温度となり、成形品材料が溶融状態となることをいい、「溶融状態から収縮する」とは、成形品材料が溶融した状態から、新たな成形収縮が起こることをいう。
第3の本発明において、「多色成形品形状」、「成形品材料」、「成形条件」とは、多色成形品を製造する際の製造条件であり、これらのうち少なくとも1つを、本発明のそり解析方法により得られた解析結果に基づいて決定する(718)ことにより、そり変形が低減された多色成形品を製造することができる。「多色成形品形状」を決定するとは、そり解析の結果に基づいて多色成形品の形状を決定して多色成形機の金型のキャビティを切削加工することをいう。また、「成形品材料」を決定するとは、多色成形機のホッパーに導入する材料を、そり解析の結果に基づいて調整することをいう。また、「成形条件」を決定するとは、そり解析の結果に基づいて多色成形機に成形条件を入力することをいう。
第1および第2の本発明のそり解析方法およびそり解析装置によれば、後から充填される溶融充填物によって加熱されることにより変化した成形収縮ひずみ分布を考慮して、そりを解析する方法であるので、多色成形品の実際の成形挙動により近いデータに基づく解析方法であり、多色成形品のそり変形を精度良く求めることができる。
第3の本発明によれば、最適な形状や材料、成形加工条件を設定することにより製品開発期間短縮、コスト削減、形状精度を向上(そり変形を低減)させて多色成形品を製造することができる。
多色成形のうち、もっとも単純な二色成形の工程について、説明するための図である。 (A)は、本発明の実施例で用いた1色目の射出圧縮成形品形状をソリッド要素として射出圧縮成形解析用形状データにメッシュ分割した図である(ゲートランナー部はビーム要素にて作成)。(B)は、本発明の実施例で用いた2色目の射出成形解析を行う際に用いる2色成形品形状をソリッド要素として射出成形解析用形状データにメッシュ分割した図である(ゲートランナー部はビーム要素にて作成)。 1色目の型開き時の成形品中心温度を求めるために用いた、射出圧縮成形の解析に用いた1色目の射出圧縮成形品形状をシェル要素として射出圧縮成形解析用形状データにメッシュ分割した図である(ゲートランナー部はビーム要素にて作成)。 (A)は、連続2色成形品の写真であり、(B)はインサート2色成形品の写真である。 (A)および(B)は、図4に示した2色成形品のそり高さを評価する方法を示した図である。 本発明のそり解析装置の一実施形態を示すブロック図である。 本発明のそり解析方法の一実施形態を示すフロー図である。 本発明の比較例1におけるそり解析方法を示すフロー図である。 本発明の比較例2におけるそり解析方法を示すフロー図である。
<多色成形法>
まず、本発明のそり解析方法を適用する多色形成法について、最も単純な2色成形を例に、図1を用いて説明する。図1に示すように、以下の手順で2色成形が行われる。
(1)2つのシリンダーの内、第1シリンダー102より1色目の成形品材料101を充填する。
(2)1色目の成形品103の保圧冷却を行う。この時に射出圧縮成形法による圧縮、冷却を行っても良い。
(3)一度型開きするが、1色目の成形品103は可動側金型104に装着したままになる。
(4)金型回転盤を180°回転させて型を閉じる。
(5)第2シリンダー105より2色目の成形品材料106を充填、保圧して2色成形品107を完成させる。この時に射出圧縮成形法による圧縮を行っても良い。
(6)型を閉めたまま、第1シリンダー102より1色目の成形品材料101の充填と保圧を行う。この時に射出圧縮成形法による圧縮を行っても良い。
(7)2色成形品107を冷却し1色目の成形品103を冷却する。
(8)2色成形品107と1色目の成形品103ができた時点で、2色成形品107を金型104から離型し、1色目の成形品103を可動側金型104に装着したままにする。
(4)から(8)のプロセスを繰り返す。この2色成形法にシリンダーの数を増やせば2色以上の多色成形を行うことができる。
上記で説明した、最も単純な多色成形である2色成形について、本発明者らは成形実験を行い、二色成形のそり変形現象について検討した。
成形にはENGEL社製の型締め力700tonの多色反転方式の成形機を用いた。本成形機のNo.1射出ユニット(主シリンダー)のスクリュー径は90mm、射出容量は2480cm、最大射出圧は218MPa、No.2射出ユニット(傾斜シリンダー)のスクリュー径は70mm、射出容量は1038cm、最大射出圧は173.5MPa、No.3射出ユニット(副シリンダー)のスクリュー径は70mm、射出容量は1500cm、最大射出圧は230MPaである。
図2(A)に、1色目の成形品のキャビティ形状とランナーレイアウトを示した。図2(B)に、2色成形品のキャビティ形状とランナーレイアウトを示した。
図3は、図2(A)と同一の1色目のキャビティ形状をもとに作成したシェル要素の解析形状モデル(肉厚5mm均一)である。射出成形CAEソフトを用いて、射出圧縮成形した1色目の型開き時の成形品中心温度を求めた。溶融樹脂温度は295℃、金型温度90℃、充填時間9.5秒、型開き量2mm、型閉めは充填完了時に開始し、型閉め速度は11.5mm/secで上限型締め力は700ton、再型締め力は冷却時間中も負荷されるため、再型締め時間は合計135秒、再型締め中の保圧圧力は20MPa、保圧時間は1秒、保圧後冷却時間は134秒とした。型開き時の1色目の成形品中心温度は90.4℃となり、1色目の成形品の中心温度はほぼ金型温度まで低下する。
この1色目の成形品に2色目を充填する場合(連続2色成形品)において、2色目の溶融樹脂を充填してから該樹脂が冷却するまでに1色目の成形品が受ける熱履歴と、1色目を成形して約15時間放置してから、約4時間掛けて金型温度と同じ温度になるように1色目の成形品を余熱したインサート品に2色目を充填する場合(インサート2色成形品)において、2色目の溶融樹脂を充填してから該樹脂が冷却するまでに1色目の成形品が受ける熱履歴とは、ほぼ同じであると考えられる。よって、これら連続2色成形品とインサート2色成形品とで、同等のそり変形の成形品になるか実験により確認を行った。
1色目の成形には成形機のNo.1射出ユニットを用い、2色目の成形にはNo.3射出ユニットを用いた。1色目の材料は三菱エンジニアリングプラスチック製のポリカーボネートS3000、2色目の材料は三菱エンジニアリングプラスチック製のガラス20%含有のポリカーボネートGS2020を用いた。連続2色成形品とインサート2色成形品とでは、インサート2色成形品が1色目の成形後、約15時間放置してから、約4時間掛けて金型温度と同じ温度になるように1色目の成形品を余熱した以外は、すべて同一の成形条件としている。それぞれ、1色目は射出圧縮成形を行っており、溶融樹脂温度は295℃、金型温度90℃、充填時間9.5秒、型開き量2mm、型閉めは充填完了時に開始し、型閉め速度は11.5mm/secで上限型締め力は700ton、再型締め力は冷却時間中も負荷されるため、再型締め時間は合計135秒、再型締め中の保圧圧力は20MPa、保圧時間は1秒、保圧後冷却時間は134秒、型開き時間は45秒である。2色目の成形条件は、射出圧縮ではなく射出保圧制御、溶融樹脂温度は280℃、金型温度は90℃、充填時間は4.2秒、保圧は35MPa、保圧時間は5秒である。
図4(A)は、連続2色成形品のそり変形状態を撮影したものであり、図4(B)は、インサート2色成形品(1色目の成形後、約15時間放置してから、約4時間掛けて金型温度と同じ温度になるように1色目の成形品を余熱)のそり変形状態を撮影したものである。図4(A)に示した連続2色成形品では、1色目に対して凹な成形品になるにも関わらず、図4(B)に示したインサート2色成形品では、ほぼ平らな成形品になっている。つまり、1色目の温度状態が同じで、2色目が受ける温度履歴が同じと考えられる2つの成形品のそり量が大きく異なる結果となった。
図5に2色成形品のそり量の測定方法について説明する図面を示した。この測定方法では、図5(A)に示す、2色成形品501における1色目側の左対角部502と右対角部503の断面形状について、図5(B)に示すように、弧になる部分と弦になる部分の最大距離をそれぞれ求めて平均した大きさをそり高さとした。この方法によって求められたそり高さは、連続2色成形品が−21.2mm、インサート2色成形品(1色目の成形後、約15時間放置してから、約4時間掛けて金型温度と同じ温度になるように1色目の成形品を余熱)が3.2mmとなった。
以上、連続2色成形品およびインサート2色成形品の二種類の2色成形品のそり解析の結果より、連続2色成形品とインサート2色成形品とでは、そり収縮変形は異なることがわかった。これより、連続2色成形品における1色目の成形品では、インサート2色成形品における1色目の成形品と同様の熱収縮(熱膨張係数×(型開き時の温度−室温))を考慮するだけでは不十分であり、残留成形収縮ひずみについても考慮する必要があることが分かった。
本発明者らは、さらに、1色目の成形品は2色目の成形品材料(溶融充填物)の充填時に加熱されて熱履歴を受けるため、上記の1色目の残留成形収縮ひずみ分布が変化することがあると考えた。さらに、残留成形収縮ひずみ分布の変化には、1色目の成形品が加熱されることにより初期の残留成形収縮ひずみが緩和されるアニーリングと、加熱されることにより初期の残留成形収縮ひずみが存在する箇所が溶融する場合、があり、これらをも考慮して2色成形品のそり解析をすることにより、より正確な解析ができると考えた。以下、上記1色目の残留成形収縮ひずみ分布の変化をも考慮した、本発明のそり解析方法およびそり解析装置について説明する。
<そり解析方法、そり解析装置>
以下、本発明による多色成形品のそり解析方法およびそり解析装置の一実施形態である、2色成形品のそり解析方法、そり解析装置の好ましい形態について、図面を参照しながら説明する。
図6に本発明のそり解析装置の一実施形態として、2色成形品のそり解析装置のブロック図を示した。図6において、そり解析装置は、コンピュータやワークステーションなどの計算機600、キーボード601、マウス602、ディスプレイ603、補助記憶装置604を備えている。補助記憶装置604としては、ハードディスクの他、テープ、FD(フレキシブルディスク)、MO(光磁気ディスク)、PD(相変化光ディスク)、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)、BD(ブルーレイディスク)、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリー、メモリーカードなどのリムーバブルメディアも利用可能である。
補助記憶装置604には、2色成形の成形工程を解析するためのプログラム605、2色成形解析用形状データ606もしくは2色成形解析用形状データを作成するためのプログラム605;粘度、PVT特性、弾性率、ポアソン比、線膨張係数、比熱、熱伝導率、密度などの成形品材料の物性データ607;設定温度、設定圧力、設定速度、設定時間などの成形条件データ608が保存されている。
計算機600は、データ読出手段609、1色目の充填工程解析手段610、1色目の成形品の保圧冷却工程解析手段611、2色目の充填工程解析手段612a、2色目の成形品の保圧冷却工程解析手段612b、1色目の成形品のアニーリング領域算出手段613a、1色目の成形品の溶融領域算出手段613b、1色目の成形品の残留成形収縮ひずみ再設定手段614、および、2色成形品そり解析手段615を備えている。
図7に本発明のそり解析方法の一実施形態として、上記した2色成形品のそり解析装置に対応する2色成形品のそり解析方法のフロー図を示した。
計算機600は、データ読み出し手段609で、プログラム605、2色成形解析用形状データ606、物性データ607、成形条件データ608の読み込みを行う(図7のステップ700、ステップ701、ステップ702)。2色成形解析用形状データ606、物性データ607、成形条件データ608が、記憶装置604に保存されていない場合は、キーボード601、マウス602などの入力装置やプログラム605を用いて、入力や編集を行う。なお、2色成形解析用形状データ606はMSC社製のNASTRAN(登録商標)のバルクデータなどの汎用のプリプロセッサーにより作成できるものであり、1次元ビーム要素、2次元シェル要素、3次元ソリッド要素などで表現される。もちろん、節点、要素、要素プロパティ、材料プロパティなどで記述されるデータであれば、2色成形解析用形状データ606の形式は限定されない。
入力したデータやプログラムを用いて、1色目の充填工程解析手段610によって1色目の充填工程の解析(ステップ703)を実行する。1色目の充填工程の解析(ステップ703)は、充填解析(ステップ704)、配向解析(ステップ706)、を含んでなる。ただし、配向解析(ステップ706)は、使用する樹脂にガラス繊維や針状の強化充填材などが含まれる場合にのみ実行され、算出される物性、例えば、弾性率やポアソン比、線膨張係数にはガラス繊維や針状の強化充填材などの配向が考慮される。
そして、1色目の成形品の保圧冷却工程解析手段611によって1色目の成形品の保圧冷却工程の解析(ステップ703)を実行する。1色目の成形品の保圧冷却工程の解析(ステップ703)は、保圧冷却解析(ステップ705)、型開き時の1色目成形品の温度分布・物性分布算出(ステップ707)、型開き中の1色目成形品の冷却解析(ステップ708)を含んでなる。冷却解析(ステップ708)では、1色目成形品の型開き時の温度分布・物性分布算出(ステップ707)で求められた型開き時の温度分布を初期値として、型開き中の1色目成形品の温度変化を計算する。ここで、1色目の充填工程および保圧冷却工程の解析(ステップ703)に使用される解析用形状データは、2色成形解析用形状データ606のうち、1色目の成形品部分を取り出した解析用形状データである。
入力したデータやプログラム及び1色目の充填工程解析手段610と1色目成形品の保圧冷却工程解析手段611によって得られた結果を用いて、2色目の充填工程解析手段612aによって2色目の充填工程の解析(ステップ709)を実行する。2色目の充填工程の解析(ステップ709)は、充填解析(1色目成形品との温度連成解析)(ステップ710)、配向解析(ステップ712)を含んでなる。ただし、配向解析(ステップ712)は使用する樹脂にガラス繊維や針状の強化充填材などが含まれる場合にのみ使用する。
そして、2色目成形品の保圧冷却工程解析手段612bによって2色目の保圧冷却工程の解析(ステップ709)を実行する。2色目の保圧冷却工程の解析(ステップ709)は、保圧冷却解析(1色目成形品との温度連成解析)(ステップ711)、1色目と2色目の成形品の圧力・温度・残留成形収縮ひずみ分布算出(ステップ713)を含んでなる。なお、2色目の充填工程および保圧冷却工程の解析(ステップ709)に使用される解析用形状データは、2色成形品の解析用形状データであって、1色目の成形品に当たる部分に上記解析(ステップ703)で得られた解析結果をマッピングしたものである。また、1色目の成形品部分を取り出した解析用形状データと上記解析(ステップ703)で得られた解析結果を基にして2色成形品の解析用形状データを作成して使用することもできる。
ここで、充填解析(1色目成形品との温度連成解析)(ステップ710)、保圧冷却解析(1色目成形品との温度連成解析)(ステップ711)では、2色目の充填工程および保圧工程で1色目の成形品と2色目成形品の界面で放出される熱が、1色目の成形品と2色目成形品の界面を通じて1色目の成形品に伝わることで1色目成形品の界面温度が変化し、この変化した界面温度が2色目の充填解析および保圧冷却解析の境界温度となる。
1色目と2色目の成形品の温度分布算出(ステップ713)は、入力した出力時刻データに従って、充填開始から保圧完了までの時系列データとして出力される。1色目と2色目の成形品の成形収縮ひずみ分布算出(ステップ713)では、1色目の成形品に残留する成形収縮ひずみ分布と2色目の成形品に残留する成形収縮ひずみ分布がそれぞれ出力される。ただし、この時点で1色目の成形品に残留する成形収縮ひずみ分布が2色目の成形によって受ける熱履歴の影響は、考慮されていない。
2色目の充填工程および保圧冷却工程の解析(ステップ709)の結果を用いて、1色目の成形品のアニーリング領域算出手段613aおよび1色目成形品の溶融領域算出手段613bによって、1色目の成形品のアニーリング領域の算出(ステップ714a)および1色目成形品の溶融領域の算出(ステップ714b)を実行する。解析精度を高めるために、2色目の充填工程および保圧冷却工程(ステップ709)の解析結果は、短い時間間隔で出力することが好ましい。
ここで、1色目の成形品の溶融領域は流動停止温度以上になる領域としても良い。そして、成形収縮ひずみを計算するのに用いられる1色目の溶融した計算点での圧力は流動解析によって求めることが望ましいが、簡易的に、最近接の2色目の計算点の圧力と同じになると仮定しても良い。アニーリング領域の算出は非常に簡易的な方法として、2色目の充填開始直前の1色目の計算点の温度よりも、2色目の充填開始から保圧冷却完了までの間の温度の方が高くなっている1色目の計算点をアニーリング領域としても良い。ただし、型開き中に1色目の成形品の温度が金型温度より下がる場合があることから、再型閉め後、1色目の成形品が金型温度まで上昇してもアニーリングされないと仮定すると、2色目の充填開始直前の1色目の計算点の温度が金型温度より下がっている計算点では、2色目の充填開始から保圧冷却完了までの間の温度の方が金型温度より高くなっている計算点をアニーリング領域としても良い。
入力したデータやプログラム、1色目の成形品のアニーリング領域算出手段613aおよび溶融領域算出手段613bによって得られた、1色目の成形品のアニーリング領域と溶融領域、1色目と2色目の成形品の圧力・温度・残留成形収縮ひずみ分布算出(ステップ713)から得られる1色目の成形品の残留成形収縮ひずみ分布を用いて、1色目の成形品の残留成形収縮ひずみ再設定手段614によって、1色目の成形品の残留成形収縮ひずみ再設定(ステップ715)を実行する。
1色目の成形品の溶融領域になる計算点では、従来技術にある単色の成形収縮ひずみを求める方法で、1色目の成形材料の残留成形収縮ひずみを求める。1色目の成形品のアニーリング領域になる計算点では、1色目の成形品材料の線膨張係数に各計算点の離型時の温度から室温を引いた温度を掛けた値を成形収縮ひずみとして設定する。アニーリング領域以外の計算点では、1色目と2色目の成形品の圧力・温度・残留成形収縮ひずみ分布算出(ステップ713)から得られる1色目の成形品の残留成形収縮ひずみを設定する。
入力したデータやプログラム、1色目と2色目の成形品の圧力・温度・残留成形収縮ひずみ分布算出(ステップ713)から得られる2色目の成形品の成形収縮ひずみ分布を用いて、2色成形品そり解析手段615によって、1色目と2色目の成形品の界面が結合した状態で2色成形品そり解析(ステップ716)を実行する。
<多色成形品の製造方法>
本発明の多色成形品の製造方法においては、上記したそり解析方法を用いて得られた解析結果に基づいて、多色成形品形状、成形品材料、および、成形条件から選ばれる少なくとも一つを決定し(ステップ718)、該決定に基づいて多色成形品を製造する(ステップ719)。つまり、多色成形品の製造条件である2色成形解析用形状データ606、物性データ607、成形条件データ608の少なくとも一つを調整して、該調整後の条件に基づいて多色成形品を製造する。これにより、そり変形が低減された多色成形品を得ることができる。
(実施例1)
図2(A)に、1色目の成形品形状をメッシュ分割した射出成形解析用形状データを示した。図2(B)に、2色成形品形状をメッシュ分割した射出成形解析用形状データを示した。
本発明の実施形態に示したように、図6のブロック図および図7のフロー図に従って、図2(A)の1色目成形品の射出成形解析用形状データに対して三菱エンジニアリングプラスチック製のポリカーボネート樹脂S3000の物性データを用い、型開き量2mm、樹脂温度295℃、金型温度90℃、樹脂充填時間を9.5秒、型閉め開始は充填完了時刻、型閉め速度11.5mm/sec、最大型締め力700ton、再型締め力は冷却時間中も負荷されるため、再型締め時間は合計135秒、再型締め中の保圧圧力20MPa、再型締め中の保圧時間1秒、保圧後冷却時間134秒の成形条件の下、1色目の充填工程解析および保圧冷却工程解析を実施した。また、保圧冷却工程解析において、型開き時間を45秒として、型開き中の1色目の成形品の冷却解析を実施した。
そして、図2(B)の2色成形品の射出成形解析用形状データのうち、1色目の成形品に当たる部分に上記の解析で得られた解析結果をマッピングし、2色目の成形品に当たる部分に対して三菱エンジニアリングプラスチック製のガラス20%含有ポリカーボネート樹脂GS2020の物性データを用い、樹脂温度280℃、金型温度90℃、樹脂充填時間を4.2秒、保圧圧力35MPa、保圧時間5秒、冷却時間40秒の成形条件の下、2色目の充填工程解析、保圧冷却工程解析を実施した。
次に、1色目の成形品のアニーリング領域および溶融領域を算出して、1色目の成形品の成形収縮ひずみ分布を再設定した。1色目の成形品の成形収縮ひずみ分布と2色目の成形品の成形収縮ひずみ分布と1色目および2色目それぞれの成形品に用いられた樹脂の弾性率・ポアソン比とを考慮し、図2(B)における、201、202、203、204に示す基準点で支持して自重を考慮して構造解析を実行することで2色成形品のそり変形を解析し、図5に示すそり高さの評価を行ったところ、−18.0mmであった。
(比較例1)
比較例1においては、図8にフロー図を示したように、実施例1における、1色目と2色目の成形品の圧力・温度・残留成形収縮ひずみ分布算出(ステップ713)のうち、1色目の残留成形収縮ひずみ分布算出を行わないで、2色成形品のそり解析を実行した。1色目の成形品に残留する成形収縮ひずみ分布を考慮しないため、1色目の成形品のアニーリング領域の算出および溶融領域の算出(ステップ714a、714b)および1色目の成形品の成形収縮ひずみ再設定(ステップ715)は実行しないことになる。
実施例で作成した2色成形用形状データ(図2(A)および図2(B))を利用し、実施例1と同様の条件を用いて図8のフロー図に従って解析を実行することで2色成形品のそり変形を解析し、図5に示すそり高さの評価を行ったところ、+5.9mmとなった。
なお、比較例1では、1色目の成形品の残留成形収縮ひずみ分布を算出せずに、1色目の熱収縮(線膨張係数×(型開き時の温度−室温))による成形収縮ひずみ分布を算出している(ステップ914)。
(比較例2)
比較例2では、図9にフロー図を示したように、1色目の成形品アニーリング領域の算出および溶融領域の算出(ステップ714a、714b)と1色目の成形品の成形収縮ひずみ再設定(ステップ715)は実行しないで、溶融した2色目の樹脂の充填によって、1色目の成形品に残留する成形収縮ひずみが変化しないとして、そりの解析を行った。
実施例で作成した2色成形用形状データ(図2(A)および図2(B))を利用し、実施例1と同様の条件を用いて図9のフロー図に従って解析を実行することで2色成形品のそり変形を解析し、図5に示すそり高さの評価を行ったところ、−34.2mmとなった。
(まとめ)
先に示した保圧+冷却時間が135秒の連続成形品のそり高さの実測値が−21.2mmであるのに対して、実施例1の予測値は−18.0mmであり、ある程度実測値を予測できていた。一方、比較例1のそり高さの予測値は+5.9mmであり、1色目の成形品に残留する成形収縮ひずみを考慮していないために、連続成形する場合の2色成形品のそり高さより、1色目の成形品がインサート品の場合の実測そり高さである+3.2mmに近い値となった。
次に、比較例2は予測値が−34.2mmであり、そり変形が過剰に大きくなる結果となった。1色目の残留した成形収縮ひずみを考慮することで、比較例1に比べてそり量が実測に近づくが、実施例1のように、1色目の成形品のアニーリング領域の算出および再溶融領域の算出(ステップ714a、714b)を行い、1色目の成形品の成形収縮ひずみ再設定(ステップ715)を行うことで、さらにそり変形量の予測精度が向上した。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うそり解析方法、そり解析装置、成形品の製造方法、プログラム、記憶媒体もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明のそり解析方法、および、そり解析装置は、多色成形品のそり変形を解析するために使用される。多色成形法により製造される多色成形品の主な用途としては、電卓やコンピュータのキー、スイッチ類の押しボタン、機械装置のツマミなどに、文字や数字、記号などを入れる場合などが挙げられる。近年、窓ガラスを成形する方法としても注目を集めている。自動車用窓ガラス、特にサンルーフやパノラマルーフ等のサイズの大きな多色成形品においては、厳密にそり変形を防止する必要があるため、正確にそり変形を解析できる本発明のそり解析方法およびそり解析装置が有用となる。
604 補助記憶装置
600 計算機
703 1色目の充填工程および保圧冷却工程の解析
709 2色目の充填工程および保圧冷却工程の解析

Claims (11)

  1. 多色成形品のそり変形を解析するためのそり解析方法であって、
    多色成形解析用形状データ、物性データ、および、成形条件データを入力する工程、該入力した各データに基づいて前記多色成形品の各部における充填工程および保圧冷却工程を解析する工程、を備え、
    前記多色成形品のうち、予め成形された成形品に残留する残留成形収縮ひずみ分布を算出してそり変形を解析する際に、該残留成形収縮ひずみ分布として、後から充填される溶融充填物によって加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布を算出する、そり解析方法。
  2. 前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみが加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域とアニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する、請求項1に記載のそり解析方法。
  3. 前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、加熱されることによって溶融される領域を算出し、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域と溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する、請求項1に記載のそり解析方法。
  4. 前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみが加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し、さらに、加熱されることによって溶融される領域を算出し、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域、アニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域、および、溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する、請求項1に記載のそり解析方法。
  5. 多色成形品のそり変形を解析するためのそり解析装置であって、
    多色成形解析用形状データ、物性データ、および、成形条件データを入力する手段、該入力した各データに基づいて前記多色成形品の各部における充填工程および保圧冷却工程を解析する手段、を備え、
    前記多色成形品のうち、予め成形された成形品に残留する残留成形収縮ひずみ分布を算出してそり変形を解析する際に、該残留成形収縮ひずみ分布として、後から充填される溶融充填物によって加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布を算出する、そり解析装置。
  6. 前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみ分布が加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域とアニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する、請求項5に記載のそり解析装置。
  7. 前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、加熱されることによって溶融される領域を算出し、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域と溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する、請求項5に記載のそり解析装置。
  8. 前記加熱されることによって変化した残留成形収縮ひずみ分布として、残留成形収縮ひずみが加熱されることによって緩和されるアニーリング領域を算出し、さらに、加熱されることによって溶融される領域を算出し、初期の残留成形収縮ひずみで収縮する領域、アニーリングによって緩和された残留成形収縮ひずみで収縮する領域、および、溶融状態から収縮する領域に分割して残留成形収縮ひずみ分布を算出する、請求項5に記載のそり解析装置。
  9. 請求項1〜4のいずれかに記載のそり解析方法を用いて多色成形品のそり変形を解析し、該解析の結果に基づいて、多色成形品形状、成形品材料、および、成形条件から選ばれる少なくとも一つを決定し、該決定に基づいて多色成形品を製造する、多色成形品の製造方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載のそり解析方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  11. 請求項10に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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