以下に本発明について詳細に説明する。
(トナー組成液温度)
本発明のトナーの製造方法は、トナー組成液調製工程と、濾過工程と、液滴形成工程と、乾燥工程とを少なくとも含む。また、必要に応じて、トナー組成液調製工程と濾過工程の間に熟成工程を含む。さらに、必要に応じて、その他の工程を有する。各工程の詳細については後述する。
離型剤に用いるワックス、結晶性ポリエステルなどの一部の特殊な樹脂、等は、有機溶剤に一部可溶解で、温度によって溶解度が異なる。一般的には図1に示すように、温度が高くなるほど、有機溶剤への溶解度は高くなる。各温度における有機溶剤に対するトナー組成物の溶解度よりも、多くの組成を含有するトナーを作製する場合には、トナー組成液中に分散体として分散させた状態にする必要がある。
本発明のおける、組成液調整工程の温度は、特に制限なく、目的に応じて選択できるが、−50℃〜70℃であることが好ましく、−20℃〜30℃が更に好ましい。
また、前記熟成工程の温度は、特に制限なく、目的に応じて選択できるが、−50℃〜70℃であることが好ましく、−10℃〜40℃が更に好ましい。また、前記熟成工程の温度は前記トナー組成液調製工程の温度よりも、少なくとも1℃以上高くすることが好ましい。熟成工程の温度がトナー組成液調製工程の温度より低い場合においても、熟成工程後に濾過工程を設けているので、吐出孔の目詰りする可能性は低い。しかし、熟成工程の温度がトナー組成液調製工程の温度より低い場合、熟成工程で多くの成分が析出して粗大粒子が生成されるため、濾過工程でのフィルターの詰りが問題となる。また、濾過工程で析出した粗大粒子が取り除かれるため、調製工程と濾過工程でトナー組成液の成分が大きく異なることとなる。このため、調製工程のトナー組成液の液温は、熟成工程の温度以下であることが好ましい。
また、前記濾過工程の温度は、特に制限なく、目的に応じて選択できるが、−50℃〜70℃であることが好ましく、−5℃〜50℃が更に好ましい。前記濾過工程の温度は前記熟成工程の温度よりも、少なくとも1℃以上高くすることが好ましい。濾過工程のトナー組成液の温度を、熟成工程のトナー組成液の温度より大きくすることによって、トナー組成液中に分散している成分が、濾過中に溶解する方向となり、トナー組成物の析出が起こりづらくなる。同様の理由により、濾過工程の温度は、トナー組成液調製工程の温度よりも、少なくとも1℃以上高くすることが好ましい。
さらに、前記液滴形成工程の温度は、特に制限なく、目的に応じて選択できるが、−50℃〜70℃であることが好ましく、0℃〜60℃が更に好ましい。液滴形成工程のトナー組成液の温度を、濾過工程のトナー組成液の温度より、少なくとも1℃以上高くすることが好ましい。トナー組成液中に飽和溶解している成分が、濾過後析出せずに、粗大粒子の発生を防止できる。トナー組成液中に分散している成分が、液滴形成工程中に溶解する方向となり、トナー組成物の析出が起こりづらくなる。
上記のように各工程における温度を調整することにより、粗大粒子の発生を防止し、後述する液滴吐手段の吐出孔が目詰りせず、安定したトナー吐出を長時間継続することが可能となる。
また、樹脂等を有機溶剤に溶解しても、時間と共に、結晶性の樹脂個体やゲル状の物質が析出することがある。特定の成分同士が結晶化して析出したり、特定の成分の相互作用により、ゲル化して析出すると考えられる。この析出物に関しても、本発明では、熟成工程で析出物を生成させて、濾過工程で取り除いている。濾過工程後における、析出物の生成を防止するために、液滴形成工程の温度を濾過工程の温度よりも高くすることは有効と考えられる。
(トナー組成液調製工程)
トナー組成液調製工程は、トナー組成物を有機溶剤に溶解及び/又は分散させることで、トナー組成液を調製する工程である。本発明におけるトナー組成物は、結着樹脂と、離型剤とを少なくとも含み、必要に応じてさらにその他の成分を含有する。トナー組成物と有機溶剤の詳細については、後述する。
前記トナー組成液の調製方法としては、前記トナー組成物を、前記有機溶剤に溶解及び/又は分散させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記トナー組成物と、前記有機溶剤とを、ホモミキサーやビーズミルなどを用いて混合する方法が、トナー組成物中の成分を、後述する吐出孔の開口径に対して充分に微細にすることが可能であり、吐出孔の詰まりを防止することができる点で好ましい。
前記トナー組成物中の、離型剤や、必要に応じて用いるその他の成分は、前記結着樹脂と共に溶融混練してもよく、有機溶剤に溶解及び/又は分散させる際に添加してもよい。
前記トナー組成液の固形分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜40質量%が好ましい。前記固形分が、5質量%未満であると、生産性が低下するだけでなく、前記離型剤や着色剤等の分散体が沈降や凝集を起こしやすくなるため、トナー粒子ごとの組成が不均一になり、トナー品質が低下することがある。また、前記固形分が40質量%を超えると、小粒径のトナーが得られないことがある。
離型剤や、結晶性ポリエステルなどの一部の特殊な樹脂、その他の成分を有するトナー組成物は、有機溶剤にすべて溶解しないものがある。有機溶剤に溶解しないものに関しては、ビーズミル等の粉砕機を用いて吐出孔の径よりも細かく粉砕して、有機溶剤またはその他の材料が入った溶解液中に分散させることが望ましい。
トナー組成液中でも、ワックス、結晶性ポリエステルなどの一部有機溶剤に可溶解な成分について、有機溶剤中に分散させる場合は、下記の通りとすることが望ましい。
特にトナー組成液調製工程の中でも、ワックス、結晶性ポリエステルなどの一部有機溶剤に可溶解な成分について、有機溶剤中に分散させる場合は、下記の通りとすることが望ましい。
a:離型剤、着色剤、樹脂などの分散液を調整する場合は、各分散液を調合する温度よりも低い温度で粉砕、分散を行って調整し、保管することが好ましい。分散液の温度が調合後トナー組成液の温度より高い場合は、調合後成分の析出が発生し、粗大粒子が生成される可能性が高い。
b:分散液を調整する場合は、分散体の固形分は、10質量%〜80質量%の範囲であることが好ましい。分散液とその他組成を調合するが、分散液の固形分が調液後のトナー組成液合後の固形分より小さい場合は、溶解液の変化により、析出物が発生する可能性がある。
(熟成工程)
熟成工程は、トナー組成液調製の後、トナー液を一定温度で保管する工程である。該熟成工程により、トナー組成液調製工程直後の不安定なトナー組成液を、安定したトナー組成液に熟成させる。
トナー組成液調整後においては、種々の材料が混ざることにより、トナー組成物の溶解度が変化する。特に、一部のトナー組成物が有機溶剤に可溶している分散体液を調整する場合は、分散液に可溶しているトナー組成物の溶解度が低下して、粒子が析出する可能性がある。また、トナー組成物同士の相互作用により、混合物質の粒子が析出してくる場合もある。
熟成時間については、特に制限がないが、30分以上30日以下であることが好ましく、さらに望ましくは2時間以上7日以内である。熟成時間が30分以下の場合、熟成効果が低くなることがある。また、熟成時間が30日以上の場合、経済的でない。
(濾過工程)
濾過工程は、熟成工程を経たトナー組成液を、フィルターに通して濾過する工程である。吐出孔の径よりも大きい径を有する粒子が、トナー組成液に含まれていた場合、吐出孔が詰り、吐出が出来なくなる問題が生じる。このため、濾過工程において前記粒子を取り除く。
濾過工程で用いるフィルターは、公知のフィルターを好適に使用することが出来、例えば、多孔膜フィルター、多孔板、不織布、不織紙、織布、焼結金網、織金網などが使用できる。フィルターの最大口径は、吐出孔の口径以下であり、好ましくは、吐出孔の口径の1/2以下であり、より好ましくは1/3以下である。
離型剤が分散されたトナー組成液では、トナー定着における定着部材との離型性能を充分に発揮させるためにはトナー中に分散しているワックス粒径はできるだけ大きいことが望ましい。このため、フィルターの目開きを必要以上に小さくすることは望ましくなく、通常、0.5μm〜5μmの範囲である。
(液滴形成工程)
液滴形成工程では、少なくとも1つの吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴化する工程である。前記液滴形成工程において、前記トナー組成液を吐出して液滴化する方法としては、粒度分布が狭い液滴が得られ、トナーの生産性を確保できる手法であれば、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができる。
液滴の粒径分布が狭く、トナーの生産性を確保する手法としては、例えば、
(1)少なくとも1つの吐出孔が形成された液柱共鳴液室内のトナー組成液に振動を付与して液柱共鳴による定在波を形成し、前記定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を吐出して液滴化する手法(以下、「液柱共鳴方式」と称することがある。)、
(2)同じ開口径を有する複数の吐出孔が形成された薄膜に振動手段により振動を付与し、前記吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴化する手法(以下、「膜振動方式」と称することがある。)、
(3)トナー組成液を貯留する貯留部を加圧して、該貯留部が有する貫通孔より前記トナー組成液を吐出させて液柱を形成し、該液柱に振動発生手段により微細な振動を与え、該液柱にレイリー***を誘起させる態様を用いることもできる。液柱にレイリー***を誘起させる手法(以下、「レイリー***方式」と称することがある。)、
などの手法を用いることができる。
〔液柱共鳴方式〕
−液柱共鳴方式を使用する場合の装置の簡単な説明−
前記液柱共鳴方式は、前記液滴形成工程において、前記吐出孔が形成された液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動発生手段により振動を付与して液柱共鳴により圧力定在波を形成し、該圧力定在波の腹となる領域に形成された前記吐出孔から前記トナー組成液を液滴状に吐出することを必須とする液滴形成方法である。
図2は、液柱共鳴方式を使用した場合におけるトナー製造装置全体を示す概略図である。トナー製造装置1は、主に、液滴形成ユニット10(液滴形成手段)及び乾燥捕集ユニット30(粒子形成手段)を有する。
液滴形成ユニット10は、トナー組成液14を収容する原料収容器13と、原料収容器13に収容されているトナー組成液14を、液供給管16を通して液滴吐出ヘッド11内の後述する液共通供給路17に供給し、さらに液戻り管22を通って原料収容器13に戻すために液供給管16内のトナー組成液14を圧送する液循環ポンプ15とを有する。
また、液滴形成ユニット10には、吐出孔によって液滴形成ユニット外部と連通する液吐出領域を有する液中共鳴液室である液滴吐出ヘッド11が複数配列されている。後述する条件下で液柱共鳴定在波を発生させることで、液滴吐出ヘッド11より、液柱共鳴液室内のトナー組成液を液滴として吐出孔から吐出する液滴化される。
図3は前記液滴吐出ヘッド11の拡大図である。各液滴吐出ヘッド11の両側には、液滴吐出ヘッド11から吐出したトナー組成液の液滴が乾燥捕集ユニット30側に流出されるように、図示していない気流発生手段によって発生する気流が通る気流通路12が設けられている。
また、液滴吐出ヘッド11は、液共通供給路17及び液柱共鳴液室18を有する。液柱共鳴液室18は、長手方向の両端の壁面のうち片側の壁面に設けられた液共通供給路17と連通されている。また、液柱共鳴液室18は、短手方向の両端の壁面のうち片側の壁面に吐出孔19を有し、該吐出孔よりトナー液滴21が吐出される。
さらに、吐出孔19と対向する壁面に液柱共鳴定在波を形成するために高周波振動を発生する振動発生手段20とを有している。なお、振動発生手段20には、図示していない高周波電源が接続されている。
また、液柱共鳴液室毎に、液供給のための流路が液共通供給路17から連通接続されており、液共通供給路17は複数の液柱共鳴液室18と連通している。
図4は、図2中の液滴形成ユニットにおける、A−A'線断面の概略図である。吐出孔19は液柱共鳴液室18内に1つであってもよいが、図4のように吐出孔19を液柱共鳴液室18内の幅方向に設けることで、吐出孔19の開口を多数設けることができ、生産効率が高くなる。吐出孔の数の詳細に関しては後述する。
図2に示す乾燥捕集ユニット30は、チャンバ31及びトナー捕集手段32を有する。チャンバ31内では、図示していない気流発生手段によって発生する気流と下降気流33が合流した大きな下降気流が形成されている。液滴形成ユニット10の液滴吐出ヘッド11から吐出されたトナー液滴21は、重力によってのみではなく、下降気流33によっても下方に向けて搬送される。このため、吐出されたトナー液滴21が空気抵抗によって減速されることを抑制できる。トナー液滴21が空気抵抗によって減速された場合、吐出されたトナー液滴21が空気抵抗によって減速し、後に吐出されたトナー液滴21に追い付かれることで、トナー液滴21同士が合着して粒径が大きくなることがある。
気流発生手段としては、鉛直方向上側に送風機を設けて加圧する方法と、トナー捕集手段32より吸引して減圧する方法のいずれを採用することもできる。
また、トナー捕集手段32には、図示していない回転気流発生装置が配置されており、該回転気流発生装置により鉛直方向を軸として回転するような回転気流を発生する。さらに、トナー捕集手段32には、チャンバ31と連通するトナー捕集チューブ34を通った乾燥及び固化されたトナーの母体粒子を貯留するトナー貯留手段35を有している。
−液柱共鳴方式による液滴化の方法−
図2に示す原料収容器13に収容されているトナー組成液14は、当該トナー組成液14を循環させるための液循環ポンプ15によって液供給管16を通って、図4に示す液共通供給路17内に流入し、図3に示す液滴吐出ヘッド11の液柱共鳴液室18に供給される。
前記液柱共鳴液室18内には、振動発生手段20によって発生する液柱共鳴定在波により圧力分布が形成される。そして、液柱共鳴定在波において振幅及び圧力変動が大きい、定在波の腹となる領域に配置されている吐出孔19からトナー液滴21が吐出される。
液共通供給路17を通過したトナー組成液14は、液戻り管22を流れて原料収容器13に戻される。トナー液滴21の吐出によって液柱共鳴液室18内のトナー組成液14の量が減少すると、液柱共鳴液室18内の液柱共鳴定在波の作用による吸引力が作用する。これにより、液共通供給路17から供給されるトナー組成液14の流量が増加し、液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充される。液柱共鳴液室18内にトナー組成液14が補充されると、液共通供給路17を通過するトナー組成液14の流量が元に戻り、液供給管16及び液戻り管22には装置内を循環するトナー組成液14の流れが再形成された状態となる。
一方、液滴吐出ユニット10の液滴吐出ヘッド11から吐出されたトナー液滴21は、重力と、図示していない気流発生手段によって発生する気流が気流通路12を通り形成される下降気流33とによって、下方に向けて搬送される。次に、トナー捕集手段32における図示していない回転気流発生装置が発生させる回転気流と、下降気流33とによって、トナー捕集手段32を形成する円錐状内壁面に沿って螺旋気流が形成され、トナー粒子は前記螺旋気流にのって層流状態で乾燥、固化される。乾燥、固化されたトナー粒子はトナー捕集チューブ34を通ってトナー貯留手段35に収納される。
前記「圧力定在波の腹となる領域」とは、液柱共鳴定在波の圧力波において振幅が大きく、かつ液滴を吐出するのに十分な大きさの圧力変動を有する領域である。前記吐出孔が、前記圧力定在波の腹となる領域に形成されていると、複数の吐出孔が開口されていても、それぞれの吐出孔からほぼ均一な液滴を形成することができる。さらに、効率的に液滴の吐出を行うことができるため、吐出孔の詰まりも生じ難くなる点でも好ましい。好ましい圧力定在波の腹となる領域としては、前記圧力定在波の振幅が極大となる位置から極小となる位置に向かって±1/3波長であり、±1/4波長がより好ましい。
前記圧力定在波の腹となる領域の1つに対して、配置する吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜20個が好ましく、4〜15個がより好ましく、4〜10個が特に好ましい。前記吐出孔の個数は多いほど生産性が高くなるが、20個を超えると吐出孔が密集しすぎるため、吐出液滴同士が合体して粗大な粒子となり、画質に悪影響を及ぼすことがある。
前記柱共鳴液室1室に対して、配置する吐出孔の個数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数個配置することが生産性の観点から好ましく、2〜100個が好ましく、4〜60個がより好ましく、4〜20個が特に好ましい。前記吐出孔の個数が100個を超えると、トナー組成液の液滴を形成させる際に、前記振動発生手段に与える電圧を高く設定する必要が生じるため、前記振動発生手段の挙動が不安定となることがある。
前記吐出孔の開口径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜40μmが好ましく、2〜15μmがより好ましく、6〜12μmが特に好ましい。前記開口径が、1μm未満の場合、形成される液滴が非常に小さくなるためトナーを得ることができない場合がある。また、トナー組成液の成分に顔料などの固形微粒子が含有された場合、前記吐出孔の閉塞が頻繁に発生して生産性が低下することもある。また、40μmを超える場合、トナー液滴の直径が大きいため、乾燥固化後に有機溶剤でトナー組成を希釈する工程が必要となる場合があり、トナーを得るためには大量の乾燥エネルギーが必要となることがある。一方、前記開口径が6〜12μmであると、吐出孔が開口する部材を製造する際に、吐出孔ごとの孔径ばらつきを小さく保つことができるため、吐出孔を密集させることが可能である。そのため、生産性を高く保つことができる。
前記吐出孔19の開口径は、吐出孔19が複数である場合においても、全て同じ開口径であってもよく、また、少なくとも1つの吐出孔の開口径が異なっていてもよい。
なお、前記吐出孔19の開口径とは、真円であれば直径を意味し、楕円や、四角形、六角形、八角形等の多角形又は正多角形であれば平均径を意味する。
また、圧力定在波の腹となる領域1つに対して複数の吐出孔が形成された場合、前記吐出孔間のピッチ(隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。好ましくは20μm以上、液柱共鳴液室の長手方向の壁の長さ以下であり、20〜200μmがより好ましく、40〜135μmがさらに好ましく、40〜80μmが特に好ましい。前記吐出孔間のピッチが20μm未満の場合、隣り合う吐出孔より放出された液滴同士が衝突して大きな粒子となってしまう確率が高くなり、ト ナーの粒径分布が悪化することがある。
吐出孔間のピッチは全て等間隔であってもよく、少なくとも1つのピッチが異なっていてもよいが、等間隔であることが、均一な粒子径のトナーを得ることができる点で好ましい。
前記液柱共鳴液室の形状としては、前記圧力定常波を形成することができれば特に制限はなく、適宜選択することができ、例えば、四角柱(長方体)、円柱、円すい台などが挙げられる。
前記液柱共鳴液室の長手方向の両端の壁には、少なくとも一部に反射壁面が設けられることが好ましい。前記「反射壁面」とは、液体の音波を反射させる程度に硬質な部材、例えばアルミ、ステンレス等の金属部材、シリコーン等の部材などにより形成された壁面をいう。
また、図3に示すように、前記液柱共鳴液室の長手方向の両端の壁面間の長さLとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する液柱共鳴原理に基づいて決定されることが好ましい。
さらに、図4に示すように、前記液柱共鳴液室の幅Wとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液柱共鳴に余分な周波数を与えないように、前記液柱共鳴液室の長さLの2分の1より小さいことが好ましい。
液柱共鳴液室の液共通供給路17側の端部から、端部液共通供給路17側の端部に最も近い吐出孔19までの距離をLeとした時の、LとLeの距離比(Le/L)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.6より大きいことが好ましい。
前記液柱共鳴液室としては、前記振動の駆動周波数においてトナー組成液の共鳴周波数に影響を与えない程度の高い剛性を持つ材質により形成されたフレームがそれぞれ接合されて形成されることが好ましく、そのような材質としては、金属やセラミックス、シリコーンなどが挙げられる。
生産性を向上させるために、1つの液滴形成ユニットに対して複数の前記液柱共鳴液室を配置することが好ましい。1つの液滴形成ユニットに対して設置される液柱共鳴液室の数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。1つの液滴形成ユニットに対して設置される液柱共鳴液室の数が多くなると、生産性が高くなるが、操作性が悪くなる。操作性と生産性が両立できる液柱共鳴液室の数としては、100個〜2,000個が好ましく、100個〜1,000個がより好ましく、100個〜400個が特に好ましい。
前記振動発生手段の周波数としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、吐出孔の開口配置によって液柱共鳴周波数が変動するため、液滴の吐出を確認して適宜決定することが好ましい。一般的には、300kHz以上の高周波振動であることが好ましく、300kHz〜1,000kHzがより好ましい。
前記振動発生手段としては、前記周波数で駆動できて、液柱共鳴液室内の前記トナー組成液に振動を付与するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記圧電体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックス、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子、水晶、LiNbO3、LiTaO3、KNbO3等の単結晶などの材質から形成された圧電体などが挙げられる。
前記超音波振動発生体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、フェライト、アルフェルなどの強磁性体から成る磁歪素子や、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウムなどの強誘電体から成る電歪素子などが挙げられる。
前記振動発生手段は、弾性板に貼りあわせた形態で設置されていることが好ましく、該弾性板は、前記振動発生手段がトナー組成液と接液しないように、液柱共鳴液室の壁の一部に形成されていることが好ましい。
さらに、前記振動発生手段は、1つの液柱共鳴液室ごとに個別に制御できるように配置されることが好ましい。それぞれの液柱共鳴液室を個別制御するためには、液柱共鳴液室の配置にあわせて、弾性板を介してブロック状の振動発生手段を配置すること好ましい。
−液柱共鳴方式を使用する場合の液滴形成のメカニズム−
本実施の形態の液滴形成のメカニズムについて説明する。
まず、図3の液滴吐出ヘッド11内の液柱共鳴液室18において生じる、液柱共鳴現象の原理について説明する。液柱共鳴液室内のトナー組成液の音速をcとし、振動発生手段20から媒質であるトナー組成液に与えられた駆動周波数をfとした場合、トナー組成液の共鳴が発生する波長λは、下記の式1の関係にある。
λ=c/f ・・・(式1)
また、図3の液柱共鳴液室18において、固定端側のフレームの端部から液共通供給路17側の端部までの長さをLとし、さらに液共通供給路17側のフレームの端部の高さをh1とし、連通口の高さをh2とする。
液共通供給路17側の端部が閉じている固定端と等価であるとした両側固定端の場合には、長さLが波長λの4分の1の偶数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、次の式2で表現される。
L=(N/4)λ ・・・(式2)
(但し、Nは偶数を表す。)
なお、固定端と等価である場合とは、ある端において圧力の逃げ部がないとみなすことができる場合である。具体的には、例えば、ある端において前記反射壁面の高さが、トナー組成液供給のための連通口の高さの2倍以上である場合、及びある端において前記反射壁面の面積が、トナー組成液供給のための連通口の開口部の面積の2倍以上である場合などを指す。
また、液柱共鳴液室18の両端が完全に開いている両側自由端の場合、及び、両側自由端と等価である場合にも、上記式2が成立する。
同様にして、片方側が圧力の逃げ部がある自由端と等価で、他方側が閉じている(固定端)の場合、つまり片側固定端(=片側自由端)の場合には、上記式2において、長さLが波長λの4分の1の奇数倍に一致する場合に共鳴が最も効率的に形成される。つまり、上記式2のNが奇数で表現される。
最も効率の高い駆動周波数fは、上記式1と上記式2より、下記式3が導かれる。
f=N×c/(4L) ・・・(式3)
(f:トナー組成液に与えられた駆動周波数、L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、c:トナー組成液の音波の速度、N:整数(偶数;両側固定端および、両側自由端、奇数;片側固定端))
この際、前述の通り、Nの値は両端の開閉状態によって偶数か奇数か異なるが、本発明の実施の形態においては、N=1〜5の場合に、前記好ましい周波数を有する定在波が効率良く発生する。
例えば、液体の音速cを1,200m/sと、液柱共鳴液室の長さLを1.85mmとして、液柱共鳴液室の両端に壁面が存在して(両側固定端と完全に等価)、N=2の共鳴モードを仮定した場合、上記式3より、最も効率の高い共鳴周波数は324kHzと導かれる。
他の例では、液体の音速cが1,200m/s、液柱共鳴液室の長さLが1.85mmと上記と同じ条件を用い、液柱共鳴液室の両端に壁面が存在して(両側固定端と完全に等価)、N=4の共鳴モードを用いた場合、上記式3より、最も効率の高い共鳴周波数は648kHzと導かれる。このため、同じ構造を有する液柱共鳴液室であっても、より高次の共鳴を利用することができる。
前述の通り、本発明のトナーの製造方法において、前記トナー組成液に対して、上記式3が成立する周波数fの振動を付与することが好ましい。しかし、実際には、液体はQ値を持ち、共鳴を減衰させる粘性を有するため、実際には無限に振動が増幅されるわけではない。後述する式4、式5に示すように、式3に示す最も効率の高い駆動周波数fの近傍の周波数でも共鳴は発生する。
図5に、N=1、2、3の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示し、かつ図6にN=4、5の場合の速度及び圧力変動の定在波の形状(共鳴モード)を示す。本来、音波は疎密波(縦波)であるが、図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(c)のように横波に変換して表記することが一般的である。実線が速度定在波、点線が圧力定在波である。
理想的には、端が完全に閉口若しくは開口している場合は、波の重ね合わせによって図5(a)〜(d)及び図6(a)〜(c)のような形態の共鳴定在波を生じる。具体的には、N=1の片側固定端の場合を示す図5(a)からわかるように、固定端で速度分布の振幅がゼロとなり、開口端で速度分布の振幅が最大となる。
音響学において、開口端とは長手方向の媒質(液)の移動速度が極大となる端であり、逆に圧力はゼロとなる。固定端においては、逆に媒質の移動速度がゼロとなる端と定義される。この際、固定端は音響的に硬い壁として考え、波の反射が発生する。
しかし、実際には、吐出孔の数や、吐出孔の開口配置位置、吐出孔の断面形状によっても定在波パターンは変動するため、上記式3より求めた位置からずれた位置に共鳴周波数が現れるが、適宜駆動周波数を調整することで安定吐出条件を作り出すことができる。
具体的には、吐出孔19の開口数、開口配置位置、吐出孔の断面形状も駆動周波数を決定する因子となり、駆動周波数はこれに応じて適宜決定することができる。
例えば、吐出孔19の数を多くすると、固定端であった液柱共鳴液室18の先端の拘束が徐々に緩くなり、ほぼ開口端に近い共鳴定在波が発生し、駆動周波数は高くなる。また、吐出孔19の断面形状がラウンド形状となることや、フレームの厚さによる吐出孔の体積が変動することでも、実際上の駆動周波数が変動する。さらに、共鳴定在波が最も効率よく発生する駆動周波数の近傍の周波数でも液柱共鳴定在波は発生する。つまり、液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さL及び、液共通供給路17側の端部に最も近い吐出孔19までの距離Leを用いて、下記式4又は式5で決定される範囲の駆動周波数fを主成分とした駆動波形を用いて振動発生手段を振動させ、液柱共鳴を誘起して液滴を吐出孔から吐出することが可能である。
N×c/(4L)≦f≦N×c/(4Le) ・・・(式4)
N×c/(4L)≦f≦(N+1)×c/(4Le) ・・・(式5)
(L:液柱共鳴液室の長手方向の長さ、Le:液供給路側の端部に最も近い吐出孔までの距離、c:トナー組成液の音波の速度、N:整数)
以上説明した液柱共鳴現象の原理を用いて、図3の液柱共鳴液室18において液柱共鳴圧力定在波が形成され、液柱共鳴液室18の一部に配置された吐出孔19において連続的に液滴吐出が発生することが可能となる。なお、圧力定在波の圧力が最も大きく変動する位置(前期圧力定在波の腹となる領域)に吐出孔19を配置すると、吐出効率が高くなり、低い電圧で駆動することができる点で好ましい。
なお、図3に示す液柱共鳴液室18は、両端が固定端状態と等価であるか、吐出孔19の開口の影響で、音響的に軟らかい壁として説明できるような端部であることが周波数を高めるためには好ましいが、自由端であってもよい。前記「吐出孔19の開口の影響」とは、音響インピーダンスが小さくなり、特にコンプライアンス成分が大きくなることを意味する。図5(b)及び図6(a)のような液柱共鳴液室18の長手方向の両端に壁面を形成することは、両側固定端の共鳴モード、そして吐出孔側が開口とみなす片側自由端の全ての共鳴モードが利用できるために好ましい。
次に、液滴形成ユニットにおける液滴吐出ヘッド内の液柱共鳴液室で生じる液柱共鳴現象の様子について、当該様子を示す図7(a)〜(d)を用いて説明する。
図7では、液共通供給路側が開放されているが、液共通供給路17と液柱共鳴液室18とが連通する開口の高さ(図3に示す高さh2)に比して、固定端となるフレームの高さ(図3に示す高さh1)が前述の通り好ましくは約2倍以上であるため、ここでは液柱共鳴液室18はほぼ両側固定端であるという近似的な条件のもとでの速度分布及び圧力分布の時間的なそれぞれの変化を示している。
液柱共鳴液室内に記した実線は、液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の各測定位置における速度分布を示し、液共通供給路側から液柱共鳴液室への方向を+とし、その逆方向を−とする。
また、液柱共鳴液室内に記した点線は液柱共鳴液室内の固定端側から液共通供給路側の端部までの間の任意の各測定位置における圧力分布を示し、大気圧に対して正圧を+とし、負圧は−とする。正圧であれば図中の鉛直下方向に圧力が加わることになり、負圧であれば図中の鉛直上方向に圧力が加わることになる。
図7(a)は、液滴吐出直前の圧力波形と速度波形を示している。液柱共鳴液室18における吐出孔19が設けられている流路内での圧力は徐々に大きくなり、直前の液滴吐出時の液引き込み後において減少したメニスカス圧が、再び増加している。その後、図7(b)に示すように、吐出孔19付近の正の圧力は小さくなり、液滴21が吐出されると共に、負圧の方向へ移行する。
そして、図7(c)に示すように、吐出孔19付近の圧力は極小になる。このときから液柱共鳴液室18へのトナー組成液14の充填が始まる。その後、図7(d)に示すように、吐出孔19付近の負の圧力は小さくなり、正圧の方向へ移行する。この時点で、トナー組成液14の充填が終了する。そして、再び、図7(a)に示すように、液柱共鳴液室18の液滴吐出領域の正の圧力が極大となって、吐出孔19から液滴21が吐出される。
このように、液柱共鳴液室内には振動発生手段の高周波駆動によって液柱共鳴による定在波が発生し、また圧力が最も大きく変動する位置となる液柱共鳴による定在波の腹の領域に吐出孔19が配置されていることから、当該定在波の周期に応じてトナー液滴21が吐出孔19から連続的に吐出される。
〔膜振動方式〕
前記膜振動方式は、前記液滴形成工程において、同じ開口径を有する複数の吐出孔が形成された薄膜に振動手段により振動を付与し、前記吐出孔からトナー組成液を吐出して液滴化することを必須とする液滴形成方法である。膜振動方式における前記振動手段としては、薄膜に間接的に振動を付与する間接振動型吐出手段と、薄膜に直接振動を付与する直接振動型吐出手段とが挙げられる。
前記薄膜は、トナー組成物の溶解又は分散液を吐出させて液滴とする部材である。
前記薄膜の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm〜500μmが好ましい。
前記吐出孔の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの母体粒子を均一に振動させる点で、円形が好ましい。
前記薄膜の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、クロム、銀、銅、鉄、チタン、ステンレス合金、などの金属又は合金などが挙げられる。加工精度上好ましくは、電気鋳造できるニッケル、ニッケル合金が好ましい。また、前記薄膜は露出表面全体に後述する絶縁体の撥液膜が形成されていてもよい。
さらに、前記薄膜は、振動させられた際に前記薄膜にたわみが発生するように設計されていることが好ましい。前記薄膜にたわみを発生させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記薄膜の最外周部に設けられたフレームと接合部とを介して接合固定させる方法などが挙げられる。
前記接合部の部材の弾性率としては、特に制限はなく、目的に応じて選択することができるが、吐出孔において同心円状の均一な振動状態が得られ、液滴吐出状態が安定化し、均一な粒径分布のトナーの母体粒子を得ることができる点で、108Pa以上が好ましい。
前記接合部の部材には弾性率が高い材料を用いることで、前記薄膜の最外周部と薄膜をしっかりと固定することができる点で有利である。これにより、前記薄膜に振動が効率よく伝播される。特に、前記薄膜が、円形膜である場合に振動が効率よく伝播される点で好ましい。
前記弾性率は、公知の方法、例えば、超音波法等により測定することができる。
前記薄膜と前記フレーム、及び/又は、前記薄膜と前記振動発手段とは、前記絶縁体の撥液膜又は前記絶縁体の接合部剤により電気的に絶縁されていることが好ましい。前記撥液膜又は前記接合部剤に用いる材料としては、絶縁体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のエポキシ樹脂;SiO2などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。また、特開2010−107904号公報に記載の、SiO2膜上にパーフルオロアルキル基を有し、かつ末端にシロキサン結合アルキル基を有する化合物からなる撥液膜も好適に用いることができる。
膜振動方式において、複数の吐出孔は、開口径が±5%の範囲内であるものを使用することが好ましい。開口径が±5%の範囲内の吐出孔を使用することで、均一な粒径のトナーを得られる点で有利である。
なお、前記吐出孔の開口径とは、真円であれば直径を意味し、楕円や、四角形、六角形、八角形等の多角形又は正多角形であれば平均径を意味する。
前記薄膜における吐出孔の開口数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜3,000個が好ましい。
複数の吐出孔における、吐出孔間のピッチ(隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm以上、液柱共鳴液室の長さ以下であることが好ましく、20μm〜200μmがより好ましく、40μm〜135μmがさらに好ましく、40μm〜80μmが特に好ましい。前記吐出孔間のピッチが20μm未満の場合、隣接する吐出孔から放出された液滴同士が衝突して大きな粒子となってしまう確率が高くなり、トナーの粒径分布が悪化することがある。
吐出孔間のピッチは、複数の吐出孔間において、全て等間隔であってもよく、少なくとも1つのピッチが異なっていてもよいが、等間隔であることが、均一な粒子径のトナーを得ることができる点で好ましい。
吐出孔の開口部の断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記液柱共鳴で記載した吐出孔の形状と同様の形状などが挙げられる。
−間接振動型吐出手段による液滴形成−
前記間接振動型吐出手段は、前記同じ開口径を有する複数の吐出孔を有する薄膜に対して、間接的に縦振動を付与する手段である。
前記間接振動型吐出手段としては、薄膜に確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記液柱共鳴方式の振動発生手段と同様の、圧電体、超音波振動発生体などが挙げられる。
これらの中でも、前記間接振動型吐出手段は、前記薄膜にバイモルフ型のたわみ振動を励起する圧電体が好ましい。前記圧電体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記液柱共鳴方式の振動発生手段と同様のものなどが挙げられる。
前記圧電体は、電気的エネルギーを機械的振動に変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、たわみ振動が励起され、薄膜を振動させることが可能となる。
図8に、本発明のトナーの製造方法における、膜振動方式での液滴形成を実施するための液滴吐出手段の液滴吐出原理を示すグラフを示しており、横軸は膜の径方向の座標を示しており、縦軸はある座標における膜の振動変位を示している。たわみ振動は、薄膜の中心で変位ΔLが最大(ΔLmax)となり、ノズル配置領域の中で最も外側の吐出孔で振動変位ΔLが最小(ΔLmin)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。膜が周期的に上下振動することで吐出孔から液滴を周期的に吐出することとなる。
前記間接振動型吐出手段の配置としては、薄膜に対して垂直方向の振動を与えることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、振動面と薄膜とが平行に配置されることが好ましい。これにより、前記薄膜は、前記間接振動型吐出手段により効率よく縦振動が付与される。
−間接振動型吐出手段による液滴形成−
前記直接振動型吐出手段は、前記同じ開口径を有する複数の吐出孔を有する薄膜に対して、直接的に縦振動を付与する手段である。
前記直接振動型吐出手段の配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複数の薄膜の周囲に設けられることが好ましく、円環状に設けられることがより好ましい。
前記直接振動型吐出手段としては、薄膜に一定の周波数で振動を与えることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記間接振動型吐出手段と同様の、圧電体、超音波振動発生体などが挙げられる。
これらの中でも、前記間接振動型吐出手段は、前記薄膜にバイモルフ型のたわみ振動を励起する圧電体が好ましい。前記圧電体の材料としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記間接振動型吐出手段と同様のものなどが挙げられる。
たわみ振動は、間接振動型吐出手段と同様に、図8に示すように、薄膜の中心で変位ΔLが最大(ΔLmax)となり、最も外側の吐出孔で振動変位ΔLが最小(ΔLmin)となる断面形状となり、振動方向に周期的にたわみ振動する。膜が周期的にたわみ振動することで吐出孔から液滴が周期的に吐出することとなる。
−膜振動方式を使用する場合の装置の簡単な説明−
図9は、膜振動方式によるトナーの製造方法を実施するためのトナー製造装置の全体を示す断面図の一例である。本発明のトナーの製造方法において、膜振動方式で吐出された液滴による粒子の形成について説明するが、本発明の粒子形成はこれに限られるものではない。
図9に示すトナー製造装置210において、トナー組成液14は、原料収容器201に収容され、液供給管202によって液滴形成ユニット104に接続されている。送液の駆動力については送液手段203を用いてもよいし、重力を利用したり、液滴形成ユニット自体による液体の吸引力を用いたりしてもよい。しかし、液滴形成ユニット104へのトナー組成液14の送液は、脈動があると吐出に悪影響が出るため、送液手段203としては、重力又は、吐出ユニットの吸引力による脈動のないものが好ましい。他にも、送液手段203としては各種ポンプを用いることができ、前述のように脈動を生じないものとして、例えば、ギヤポンプの使用が望ましい。
図9では、液滴形成ユニット104に供給されたトナー組成液14は、循環されて原料収容器201に戻るように示されているが、必ずしも循環させる必要はなく、液滴形成ユニット104が吐出するトナー組成液が供給されるだけであってもよい。
トナー組成液14を循環する場合は、液供給管202の途中に設けたバルブ204によって液量を制御することができる。バルブの種類としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。
また、チャンバ206の、図面に向かって右側に示される液滴形成ユニット104にのみトナー組成液14の送液経路が記載されているが、左側に示される液滴形成ユニット104でも全く同じ送液経路を有しており、ここでは記載を省略している。
液滴形成ユニット104への送液圧力及び、チャンバ206内の圧力は、それぞれ圧力計P1及びP2によって管理される。このとき、P1>P2の関係であると、トナー組成液14が吐出孔から染み出す恐れがあり、P1<P2の場合には吐出手段に気体が入り、吐出が停止する恐れがあるため、P1≒P2があることが望ましい。
液滴形成ユニット104に送液されたトナー組成液14は、以下の後述する間接振動手段又は直線振動手段により吐出される。
また、トナー製造装置210は、乾燥捕集ユニット220、トナーが吐出される空間であるチャンバ206を有し、チャンバ206の側壁に、後述する液滴形成ユニット104が組み込まれている。液滴形成ユニット104の詳細は図10において後述するため図9中では割愛しているが、液滴吐出手段と1次搬送気流207を発生させるシュラウドを装備している。
チャンバ206には、上方の2次搬送気流導入口209から2次搬送気流208が流れるようになっているおり、2次搬送気流208はチャンバ206と連通する誘導管212へと流れる。
チャンバ206の側壁には液滴形成ユニット104内の1次搬送気流207が、2次搬送気流208に対して図中では垂直に流れるような角度を持って液滴形成ユニット104が取り付けられている。吐出ユニットの取り付けはチャンバ206内に複数個あっても構わないが、図9では吐出ユニットが2つ配置された様子を示している。
液滴形成ユニット104から1次搬送気流207の方向に吐出された図示しないトナー液滴は、その後、2次搬送気流208によってその方向を強制的に曲げられることで、符号500で示すような軌跡を描き、液滴同士の合着を防ぐことができる。これにより、粒径分布の狭い乾燥粒子がチャンバ206内の搬送中に生成する。
図示しない乾燥粒子は、2次搬送気流208によって誘導管212を通過し、トナー捕集手段213にて捕集され、トナー貯留手段214に納められる。トナー捕集手段213としては一般的な装置を用いることができ、サイクロン捕集機が好適に用いられる。
図11は、チャンバ206に取り付けられた液滴形成ユニット104の配置を上から見た概略図である。ここで、吐出ユニットへのトナー組成液供給装置は説明の簡略化のため図示していない。
チャンバ206内に配置する吐出ユニットの数は、ここでは4つの例を示しているが、特に制限はなく、生産量に合わせて増やすことができる。また鉛直方向に複数配列しても構わない。
図11(a)では、液滴形成ユニット104がチャンバ206内に4つ配置され、全てチャンバ206の中心に向かって吐出し、吐出したトナー液滴の軌跡500がすべてチャンバ206の中心部に向かっていることが示され、中心に向かう間に図示されない2次搬送気流と重力によって、液滴が鉛直方向下向きに搬送される。
図11(b)では液滴形成ユニット104がチャンバ206内に4つ配置されているが、チャンバ断面の中心に対して角度を持って配置されている。チャンバ断面の中心に対して角度をつけることによって、対抗する吐出ユニットから吐出した液滴との合着を考慮しなくて済み、チャンバ206の容積を効率よく用いることができるため、複数の吐出ユニットを配置する場合に好適である。このような液滴形成ユニット104の中心に対する角度は任意に調整することができる。
−膜振動方式による液滴吐出手段の構造(間接振動型)−
図12は、膜振動方式において、間接振動型の吐出手段の構造の一例を示す概略図である。また、図13は、間接振動型の吐出手段を下から見た構造の一例を示す概略図である。
間接振動型吐出手段300は、同じ開口径を有する複数の吐出孔314が形成された薄膜310と、薄膜310に対して、電気的エネルギーを機械的振動に変換して振動を付与する振動手段(機械的振動手段)305と、薄膜310と振動手段305との間にトナー組成液14を供給する液流路311を形成するフレーム308とを備えている。トナー組成液14はトナー組成液供給口309から供給され、液流路311を通り、トナー組成液排出口315から排出される。
前記複数の吐出孔314を有する薄膜310は、振動手段305の振動面313に対して平行に設置されている。薄膜310は一部がフレーム308に接合固定されているため、薄膜310の、振動手段305の振動方向に対する位置関係は実質的に垂直となる。即ち、薄膜310は、振動手段305により縦振動が付与される。
前記振動手段305の振動発生手段303の上下面に電圧信号が付与されるように、回路306が設けられており、駆動信号発生源307からの信号を機械的振動に変換することができる。
電気信号を与える回路としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、振動手段305は後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅が大きい素子を用いることが、効率的かつ安定なトナー生産には好適である。
振動手段305は、振動を発生する振動発生手段303と、該振動発生手段303で発生した振動を増幅する振動増幅手段304とを有する。駆動信号発生源307から発生した所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が、振動発生手段303の電極302間に印加されることによって、振動発生手段303に振動が励起される。この振動が振動増幅手段304で増幅され、薄膜310と平行に配置される振動面313が周期的に振動し、この振動面313の振動による周期的な圧力によって薄膜310が所要周波数で振動する。
振動発生手段303は前記圧電体301と、電極302から成る。
図12で示した例では、振動手段305としてホーン型振動子を用いており、このホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段303の振幅を振動増幅手段304で増幅することができる。そのため、振動発生手段303が発生させる機械的振動は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減することができるため、装置としての長寿命化につながる点で好ましい。
ホーン型振動子の形状としては、特に制限はなく、公知の代表的なホーン形状の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
また、振動発生手段303としては、前記ホーン型振動子に限られず、高強度を有するボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。
このボルト締めランジュバン型振動子は、圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない点で好ましい。
機械的振動を発生する振動手段305の大きさは、発振する周波数が小さくなるに伴い、大きくなることが一般的であり、必要な周波数に応じて、適宜振動手段に直接穴あけ加工を施し貯留部を設けることができる。また、貯留部全体を効率的に振動させることも可能である。
−膜振動方式による液滴吐出手段の構造(直接振動型)−
図14は、膜振動方式において、直接振動型の液滴吐出手段の構造の一例を示す概略図である。また、図15は、直接振動型の吐出手段を下から見た構造の一例を示す概略図である。
直接振動型吐出手段400は、少なくともトナー液滴21を吐出させるための開口径を有する吐出孔314を備えた薄膜310と、薄膜310を振動させるための円環状振動発生手段403と、トナー組成液14を供給する液流路311を設けたフレーム308を備えている。トナー組成液14はトナー組成液供給口309から供給され、液流路311を通り、トナー組成液排出口315から排出される。
薄膜310は、外周部をフレーム308に接合固定している。円環状振動発生手段403は、この薄膜310の吐出孔314を設けた領域の周囲に配置されている。
該円環状振動発生手段403は、円環状圧電体401と電極402とを有し、電極402に回路306を通じて駆動信号発生源307から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えば、たわみ振動を発生する。
吐出孔314の断面形状は、図12や図14においては吐出孔314の開口部と接液面とで大きさが変わらない形状として記載されているが、適宜断面形状を変更することができる。
−膜振動方式による液滴吐出ユニットの構造(直接振動型及び、間接振動型)−
図10は、本発明のトナーの製造方法において、膜振動方式で液滴を吐出する液滴吐出ユニットの構造の一例を示す概略図である。
前記液滴形成工程により、原料収容器201に貯留されたトナー組成液14は、原料収容器201から液供給管202によって液滴形成ユニット104に搬送される。液滴形成ユニット104には液滴吐出ヘッド312に設けられた吐出孔314があり、この吐出孔314からトナー液滴21が吐出される。
前記液滴形成工程で吐出孔314から吐出されたトナー液滴21は、重力によってのみではなく、吐出方向と同方向に流れる1次搬送気流207に沿って搬送されるため、吐出されたトナー液滴21が空気抵抗によって減速されることを抑制できる。これにより、トナー液滴21を連続的に吐出した場合においても、後に吐出されたトナー液滴21が前に吐出されたトナー液滴21と合着して、トナー液滴21の粒径が大きくなることを防止できる。
1次搬送気流207として用いられる気体の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素等の不燃性気体などが挙げられる。
1次搬送気流207には、トナー組成液14に用いられる溶剤と同じ又は類似物質の蒸気を含ませてもよい。これにより、液滴形成ユニット104に配置された吐出孔314及びその周辺でトナー組成液14が乾き、吐出孔314が閉塞することによる液滴吐出停止を防止することが可能となる。
1次搬送気流207の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生産時において変動がないことが望ましい。
1次搬送気流の気流速度Hとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、液滴吐出速度に対して1.0倍〜1.5倍の範囲であることが好ましい。
1次搬送気流207は、シュラウド気流出口103より気体が供給されることでシュラウド気流105が作られ、シュラウドカバー108によって気流の方向が液滴吐出方向と同一となるように設計されている。
液滴形成ユニット104の液滴吐出ヘッド312を通過した箇所での気流速度、即ち、1次搬送気流速度を決定するために、シュラウド気流105の流速は調整される。液滴吐出ヘッド312付近の気流速度が均一でない場合、トナー液滴21の合着が生じる可能性があるため、シュラウド出口への気体の供給は精密に行う必要がある。
シュラウドカバー108の形状としては、気流の方向が液滴吐出方向と同一となる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、図10に示されるように液滴形成ユニット104の液滴吐出ヘッド312付近で開口部を絞ることによって流速を制御してもよく、絞りを持たせなくてもよい。
液滴形成ユニット104は、トナー液滴21の自由落下速度より速く、かつ、トナー液滴21の吐出方向に対して平行でない方向にトナー液滴21を搬送する、2次搬送気流208を有している。
1次搬送気流207により搬送されたトナー液滴21は、2次搬送気流208に乗せられることで2次搬送気流208の流れる方向に曲げられ、図10に示すように同じ吐出孔314から吐出する粒子同士の合着確率は極端に低下する。
図10において、2次搬送気流208は1次搬送気流207に対して90°の角度を有するように図示されているが、90°に限定されるわけではなく、45°以上100°未満がより好ましく、60°以上90°以下が特に好ましい。前記角度が、120°以上の場合、2次搬送気流208によって、吐出された液滴21が図中の水平方向に対して吐出ユニット側に戻ることになるため、液滴吐出ヘッド312にトナー液滴21が付着しやすくなる。付着した液滴は吐出孔314を閉塞するため、吐出が停止することがある。また、45°未満の場合、トナー液滴21の吐出方向が曲げられることによって生じる合着確立を低減する効果が小さい。
また、図16及び図17に、本発明のトナーの製造方法における、搬送気流がある方法で形成された液滴の落下状況の一例を示す概略図を示す。液滴吐出ヘッドが液滴を吐出する方向としては、当業者が適宜選択できるものであり、図16に一例を示すように鉛直下向き方向に吐出しても良く、図17に他の例を示すように鉛直方向に対して90°の角度を有するように吐出しても良い。液滴を吐出方向を如何様に選択した場合においても、図のように2次搬送気流208によってトナー液滴21の吐出方向が曲げられるため、合着確立を低下させることが可能となる。
2次搬送気流208の気流速度Vとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1次搬送気流207の気流速度Hに対する、2次搬送気流208の気流速度Vの比(V/H)が、トナー液滴21の合着を防止する点で、0.5〜3.0であることが好ましく、0.75〜2.0がより好ましく、1.0〜1.5がさらに好ましい。V/Hが0.5未満であると、2次搬送気流導入口209による吐出方向を強制的に曲げる効果が弱く合着を防ぐ効果が小さいことがあり、3.0を超えると、図10において水平方向に吐出されたトナー液滴21の吐出軌跡が2次搬送気流の流れる方向に過剰に曲げられるため、合着の防止効率が低下することがある。
2次搬送気流208として用いられる気体の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、窒素等の不燃性気体などが挙げられる。
また、前記液滴21が乾燥することで、合着を防止することができるため、2次搬送気流208は液滴の乾燥を促進できる条件を有することが好ましい。つまり、トナー組成液に含まれる溶剤の蒸気を含まないことが望ましい。乾燥が進んだ液滴は、飛散している状態で粒子が接触したとしても既に表面の固化が進行しているため、合着を抑制できる点で有利である。
2次搬送気流208の温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、適宜調整可能であり、生産時において変動がないことが望ましい。
前記液滴吐出ユニットの構造により、吐出されたトナー液滴21は、合着する確立を低く保ったまま乾燥され、乾燥粒子22となる。生成した乾燥粒子22は図示しない捕集機によって捕集され、図示しないトナー貯留部に送られる。
図18に本発明のトナーの製造方法で製造されたトナー粒子の粒径分布を示すグラフの一例を示す。前記液滴吐出ユニットの構造によりトナー液滴21が合着しないため、粒度分布が狭い単一粒径のトナー粒子を得ることが可能となる。
図19に、従来のトナーの製造方法であって、搬送気流がない場合のトナー液滴の落下状況を示す。図19は、1次搬送気流207及び2次搬送気流208を用いていないこと以外は、図10と同じである。
液滴形成ユニット104から吐出したトナー液滴21は、空気抵抗を受けて吐出速度が急速に低下し、且つ自然落下を始める。吐出速度が低下すると液滴間距離が短くなるため、液滴間の合着が生じる可能性が高い。また、合着した粒子は空気抵抗が増し、乾燥も遅れるため、さらに別の液滴と合着を引き起こす可能性が高くなる。(23は合着していない液滴のイメージ図であり、24は合着した液滴のイメージ図である。)
従来のトナーの製造方法であって、搬送気流がない場合に得られたトナーの粒径分布の一例を図20に示す。
図20中の基本粒子と示したピークを形成するトナー粒子は、合着しなかった液滴21がそのまま乾燥固化したものである。2倍と記載されたピークを形成する乾燥粒子は、液滴21が吐出後に少なくとも1回以上合着した後に乾燥固化して得られたトナー粒子である。同様に3倍、4倍と記載されたピークは、少なくとも2回以上の合着が進行していることが推測することができる。
−膜振動方式を使用する場合の液滴形成のメカニズム−
膜振動方式による液滴形成のメカニズムについて説明する。
図12、図14に示すように、膜振動方式による液滴吐出手段は、液流路311に臨む複数の吐出孔314を有する薄膜310に、振動発生手段によって発生した振動を伝播させて、薄膜310を周期的に振動させ、吐出孔314より周期的かつ安定して液滴を形成する手法である。
前記薄膜の振動により、薄膜各所に設けられたノズル近傍のトナー組成液には、薄膜の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、トナー組成液の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、放射インピーダンスと薄膜の振動速度Vmの積で下記式6の方程式を用いて表される。
Pac(r,t)=Zr・Vm(r,t) ・・・式(6)
薄膜の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間(t)の関数であり、例えば、サイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。
また、図8に示すように、薄膜の各所で振動方向の振動変位は異なっているため、Vmは、膜上の位置座標の関数でもある。しかし本発明で用いられる薄膜の振動形態は、軸対象であるため、実質的には径方向座標(r)の関数となる。
つまり、分布を持った薄膜の振動速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応してトナー組成液が、吐出孔の外部(気相)へ吐出される。
吐出孔の外部へ周期的に排出されたトナー組成液は、吐出孔の内部(液相)と吐出孔の外部(気相)との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
薄膜の振動速度Vmは膜上の位置座標の関数であるため、吐出可能な面積範囲も膜状の位置座標によって決められる。そのため、決められた範囲領域に吐出孔を形成することが望ましい。吐出孔314は、図13、14に示されるように薄膜310の中心部に配置されていることが好ましい。
なお、図13、14において、複数の吐出孔は、同心正六角形状に配置されているが、この配置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
また、図13、14において、薄膜310は円形薄膜として示されているが、薄膜310の形状としても特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
液滴化を可能とする膜の振動周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20kHz〜2.0MHzが好ましく、50kHz〜500kHzがより好ましい。20kHz以上の振動周期であることが、液体の励振によって、トナー組成液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進されるため好ましい。
さらには、前記音圧の変位量が、10kPa以上であることが、上述の微粒子の分散がより好適に促進するため好ましい。
(乾燥工程)
前記乾燥工程は、前記液滴形成工程で液滴化したトナー組成液中の前記有機溶剤を乾燥及び/又は固化させて、トナーの母体粒子を形成する工程である。
前記液滴を固化する方法としては、液滴を固化させて粒子化できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、例えば、液滴に含まれる有機溶剤を乾燥気体へ蒸発させ、乾燥による収縮固化を行う方法などが挙げられる。
(その他の工程)
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、必要に応じて、乾燥工程で乾燥捕集ユニットによって乾燥されたトナーの母体粒子を、さらに流動床乾燥や真空乾燥といった二次乾燥させる工程を有することが好ましい。
有機溶剤がトナー中に残留した場合、耐熱保存性や定着性、帯電特性等のトナー特性が経時変動するだけでなく、加熱による定着時において有機溶剤が揮発するため、使用者及び周辺機器へ悪影響を及ぼす可能性が高まるため、充分な乾燥を実施することが好ましい。
(トナーの材料)
本発明のトナーは、本発明の前記トナーの製造方法により製造される。以下、本発明のトナーの材料についても詳細に説明する。
前記トナー組成物は、結着樹脂と、離型剤と、を少なくとも含有し、必要に応じて、さらにその他の成分を含有する。
−離型剤−
トナー中に離型剤を含有させることにより、トナーを定着する際にオイルを大量に塗布しない定着機により定着することが出来る。
電子写真を用いた画像形成方法では、加熱したローラーやベルトを、紙等の基材に付着したトナーに押し当てることで、トナーを融着させて定着させる。離型剤を含まないトナーの場合は、ローラーやベルトにオイルを塗布することで離型性を持たせている。しかしオイルを塗布する手法では、紙などの基材に対してオイルが染込むなどの問題が発生することが多い。また、オイル塗布機構が必要ろなるため、小型化や、低コスト化の面で不利となる。
トナー中に離型剤を含有させることにより、ローラーやベルトからトナーが離型しやすくなるため、定着ローラーやベルトへのオイル塗布機構を省略あるいは、簡素にすることができる。
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ワックス類が好ましい。
前記ワックス類としては、特に制限はなく、公知のものを適宜選択して使用することができ、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合体;キャンデリラワックス、カルナバワックス、木ろう、ホホバろう等の植物系ワックス;みつろう、ラノリン、鯨ろう等の動物系ワックス;オゾケライト、セレシン、ペテロラタム等の鉱物系ワックス;モンタン酸エステルワックス、カスターワックスの等の脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの等の脂肪酸エステルを一部又は全部を脱酸化したものなどが挙げられる。
前記ワックス類の例としては、さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは、直鎖のアルキル基を有する直鎖アルキルカルボン酸類等の飽和直鎖脂肪酸;プランジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸等の不飽和脂肪酸;ステアリルアルコール、エイコシルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウピルアルコール、セリルアルコール、メシリルアルコール、あるいは長鎖アルキルアルコール等の飽和アルコール;ソルビトール等の多価アルコール;リノール酸アミド、オレフィン酸アミド、ラウリン酸アミド等の脂肪酸アミド;メチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド等の飽和脂肪酸ビスアミド;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N´−ジオレイルセパシン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N−ジステアリルイソフタル酸アミド等の芳香族系ビスアミド;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩;脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸等のビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス;ベヘニン酸モノグリセリド等の脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化合物;植物性油脂を水素添加することによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
前記ワックス類のより好ましい例としては、オレフィンを高圧下でラジカル重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィン重合時に得られる低分子量副生成物を精製したポリオレフィン、低圧下でチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を用いて重合したポリオレフィン、放射線、電磁波又は光を利用して重合したポリオレフィン、高分子量ポリオレフィンを熱分解して得られる低分子量ポリオレフィン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジントール法、ヒドロコール法、アーゲ法等により合成される合成炭化水素ワックス、炭素数1個の化合物をモノマーとする合成ワックス、水酸基又はカルボキシル基等の官能基を有する炭化水素系ワックス、炭化水素系ワックスと官能基を有する炭化水素系ワックスとの混合物、これらのワックスを母体としてスチレン、マレイン酸エステル、アクリレート、メタクリレート、無水マレイン酸等のビニルモノマーでグラフト変性したワックスが挙げられる。
また、前記ワックス類を、プレス発汗法、溶剤法、再結晶法、真空蒸留法、超臨界ガス抽出法又は溶液晶析法を用いて分子量分布をシャープにしたものなども挙げられる。また前記ワックス類から、低分子量固形脂肪酸、低分子量固形アルコール、低分子量固形化合物、その他の不純物を除去したものも好ましく用いられる。
これらの離型剤は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用して使用してもよい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、耐ブロッキング性と耐オフセット性のバランスを取る点で、50℃〜140℃が好ましく、60℃〜120℃がより好ましい。前記離型剤の融点が、50℃未満であると、耐ブロッキング性が低下することがあり、140℃を超えると、耐オフセット効果が発現しにくくなることがある。
前記離型剤のトナーに対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、後述する粒子形成工程において固化されたトナー中に、3〜20質量%含有することが好ましく、4質量%〜15質量%含有することがより好ましい。前記離型剤の含有量が、3質量%未満の場合、定着時に、定着ローラーもしくは定着ベルトに対するトナーの離型性が悪くなり、オフセットが発生しやすくなることがある。離型剤のトナーに対する含有量が20質量%を超えると、トナーの強度が弱くなり、現像機内でのトナーの耐久性が低くなることがある。
−結着樹脂−
トナーの結着樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができる。例えば、スチレン系単量体、アクリル系単量体、メタクリル系単量体等のビニル重合体、これらの単量体又は2種類以上からなる共重合体、ポリエステル系重合体、ポリオール樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。これらは、1種類単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フエニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類などが挙げられる。
メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類などが挙げられる。
前記結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分中のテトラヒドロフラン(THF)に可溶成分における、GPCによる個数平均分子量分布が3,000〜50,000(個数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在する。また、GPCによる個数平均分子量分布が100,000以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。
また、THF可溶分としては、個数平均分子量分布が100,000以下の成分が50%〜90%となるような樹脂が好ましく、個数平均分子量が5,000〜30,000の領域にメインピークを有する樹脂がより好ましく、5,000〜20,000の領域にメインピークを有する樹脂が特に好ましい。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)などが挙げられる。
(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステル等の不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸等の不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸等のα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステル等のカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの等のヒドロキシル基を有するモノマー。
前記ビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの等のアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類;ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたものなど、エーテル結合を含有するアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類などが挙げられる。
その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類としては、例えば、商品名MANDA(日本化薬株式会社製、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート)などが挙げられる。
多官能基を有する架橋剤としては、特に制限はなく、公知のものを目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、又は以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートなどが挙げられる。
その他の結着樹脂としては、定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類を用いて架橋することが好ましく、さらに、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが特に好ましい。
これらの架橋剤は、他のモノマー成分100質量部に対して、0.01質量部〜10質量部用いることが好ましく、0.03質量部〜5質量部用いることがより好ましい。
前記ビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート、1,1´−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2´,4´−ジメチル−4´−メトキシバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレートなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ポリエステル系重合体は、例えば、アルコール成分と、酸成分とを重合させることで合成できる。前記ポリエステル系重合体を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、以下のものなどが挙げられる。
前記ポリエステル系重合体を合成するための、2価のアルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルを重合させて得られるジオールなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記ポリエステル系重合体を合成するための、3価以上の多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼンなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ポリエステル系重合体を合成するための、酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物;マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物などがあげられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
また、前記ポリエステル系重合体を架橋させるために、3価以上の酸を併用することが好ましい。
前記ポリエステル系重合体を架橋させるための、3価以上の多価カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
結着樹脂が前記ポリエステル系重合体の場合、ポリエステル系重合体の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナーの定着性や耐オフセット性の観点から、個数平均分子量で、3,000〜50,000の領域に少なくとも1つのピークが存在する結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。結晶性ポリエステル樹脂についての詳細は後述する。
結晶性ポリエステル樹脂成分中のTHF可溶成分における、GPCによる個数平均分子量が100,000以下の成分が、60%〜100%となるような結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、個数平均分子量が5,000〜20,000の領域に少なくとも1つのピークが存在するポリエステル系樹脂がより好ましい。
結着樹脂がポリエステル系重合体の場合、その酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜100mgKOH/gが好ましく、0.1〜70mgKOH/gがより好ましく、0.1〜50mgKOH/gが特に好ましい。
また、前記ポリエステル系重合体、前記ビニル重合体と、その他の結着樹脂とを併用する場合、全体の結着樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
前記酸価は、例えば、JIS K−0070に準ずる公知の方法で、測定することができる。
前記その他の結着樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー保存性の観点から、35〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。前記その他の結着樹脂のTgが、35℃未満の場合、高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、その他の結着樹脂のTgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
前記Tgは、例えば、示差走査熱量測定(DSC)装置により測定することができる。
−−結晶性ポリエステル樹脂−−
結晶性ポリエステル樹脂は、結晶性を有するため、吸熱ピーク温度付近において、急激な粘度低下(シャープメルト性)を示す。つまり、溶融開始温度直前の温度領域では耐熱保存性が良く、溶融開始温度では急激な粘度低下により定着媒体に定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性を兼ね備えたトナーを設計することが出来る。
具体的には、結晶性ポリエステルの吸熱ピークを好ましくは60〜80℃、さらに好ましくは65〜75℃にすることで、トナーの低温定着性と耐熱保存性を同時に満たすトナーと得ることが可能となる。
前記結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分として炭素数2〜12の飽和脂肪族ジオール化合物、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1、−8オクタンジオール、1,10―デカンジオール、1,12ドデカンジオール及びこれらの誘導体と、酸性分として二重結合(C=C結合)を有する炭素数2〜12のジカルボン酸、もしくは、炭素数2〜12の飽和ジカルボン酸、特にフマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1、−8オクタン二酸、1,10―デカン二酸、1,12ドデカン二酸及びこれらの誘導体を合成させることで得られる結晶性ポリエステルが好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の中でも、特に1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1、−8オクタンジオール、1,10―デカンジオール、1,12ドデカンジオールのいずれか一種類のアルコール成分と、フマル酸、1,4−ブタン二酸、1,6−ヘキサン二酸、1、−8オクタン二酸、1,10―デカン二酸、1,12―ドデカン二酸のいずれか一種類のジカルボン酸成分で合成された結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、X線回折、GC/MS、LC/MS、IR測定などにより確認することができるが、簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm−1もしくは990±10cm−1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを例としてあげることができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子量については、上記の分子量分布がシャープで分子量が低い成分が多いと低温定着性に優れるが、分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が悪化する。結晶性ポリエステル樹脂成分中のo−ジクロロベンゼンに可溶な成分を、GPCを用いて個数平均分子量の分布を求めた際に、横軸log(M)、縦軸を重量%で表した分子量分布図のピーク位置が3.5〜4.0の範囲にあり、ピークの半値幅が1.5以下であり、重量平均分子量(Mw)で3,000〜30,000、数平均分子量(Mn)で1,000〜10,000、Mw/Mnが1〜10であることが好ましい。さらには、重量平均分子量(Mw)が5,000〜15,000、数平均分子量(Mn)が2,000〜10,000、Mw/Mnが1〜5であることが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、紙と樹脂との親和性の観点から、5〜45mgKOH/g、好ましくは10〜45mgKOH/gであることが好ましい。酸価が5mgKOH/g以下の場合、目的とする低温定着性が達成できないことがある。一方、酸価が45mgKOH/g以上の場合、ホットオフセット性が悪化することがある。さらに、結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価については、0〜50mgKOH/g、より好ましくは5〜50mgKOH/gであることが低温定着性と帯電特性の両立の観点から好ましい。
−その他の成分−
前記トナー組成物中のその他の成分としては、特に制限はなく、従来の電子写真用トナー組成物と同じものなど、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、分散剤、帯電制御剤、などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
−−着色剤−−
前記着色剤は、一般的にはトナーに添加し、紙や画像保持体上で発色させるために用いられる。但し、画像の光沢付与、画像保護の目的で、クリアートナーのように着色剤を入れないトナーも存在する。本発明においては、着色剤を添加してもよく、添加しなくてもよく、クリアートナーにも一般的な着色トナーにも適応できる。
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記粒子形成工程において固化されたトナー中に、1〜15質量%となるように含有することが好ましく、3質量%〜10質量%となるように含有することがより好ましい。
本発明で用いられる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチと共に混練される結着樹脂としては、前記結着樹脂と同様のものを用いることができ、その他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、着色剤とマスターバッチ用の結着樹脂とに高せん断力をかけて混合、混練して得ることができる。この際、着色剤と結着樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる、着色剤の水を含んだ水性ペーストを、結着樹脂と有機溶剤と共に混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も使用できる。この方法は、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
前記着色剤を分散させる際の、前記マスターバッチ用の結着樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以下がより好ましい。前記酸価が、30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下することや、顔料の分散性が不十分となることがある。
前記着色剤を分散させる際の、前記マスターバッチ用の結着樹脂のアミン価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜100が好ましく、10〜50がより好ましい。前記アミン価が、1未満又は、100を超える場合、顔料の分散性が不十分となることがある。
前記アミン価は、例えば、JIS K7237に準ずる公知の方法で測定することができる。
−−分散剤−−
本発明で使用できる分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができるが、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高い分散剤を使用することが好ましい。
前記分散剤の具体例としては、商品名で、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(以上、味の素ファインテクノ株式会社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー株式会社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記分散剤の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPCによるスチレン換算重量での、メインピークの極大値の分子量が500〜100,000であることが好ましく、3,000〜100,000がより好ましく、5,000〜50,000がより好ましく、5,000〜30,000が特に好ましい。重量平均分子量が、500未満の場合、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。一方、重量平均分子量が100,000を超える場合、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記着色剤100質量部に対して、1〜200質量部が好ましく、5質量部〜80質量部がより好ましい。前記分散剤の使用量が、1質量部未満であると、分散能が低くなることがあり、200質量部を超えると、帯電性が低下することがある。
−−帯電制御剤−−
本発明で使用できる帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の具体例としては、商品名で、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カ一リット株式会社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の使用量としては、特に制限はなく、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法などに応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記帯電制御剤の使用量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎて画像濃度の低下を招くことがある。
−−有機溶剤−−
前記トナー組成物を分散させるための有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂を溶解することができ、有機溶剤中に分散された分散体が安定に存在することができ、また、トナー母体粒子形成後に有機溶剤を容易に揮発除去できるものが好ましく選択される。
このような有機溶剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メトキシエタノール、ジメトキシエタン、ジオキサン、ジオキソラン、アニソール等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、トルエン等の炭化水素類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、ブタノール等のアルコール類などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の中でも、テトラヒドロフラン(THF)、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、トルエンなどが、ポリエステル等の樹脂の溶解度が高い点で 特に好ましい。
−−その他の成分−−
本発明のトナーは、本発明のトナーの製造方法により製造されるトナーであり、結着樹脂を含有し、必要に応じて更にその他の成分を含有する。
前記結着樹脂としては、前記トナー組成物中の結着樹脂成分と同様である。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、流動性向上剤、クリーニング性向上剤などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
−−−流動性向上剤−−−
前記流動性向上剤は、トナー母体粒子の表面に添加することにより、トナーの流動性を改善できる点で好ましい。
前記流動性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末等のフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカ等の微粉末シリカ;微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナなどが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記流動性向上剤の中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカがさらに好ましい。
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体の市販品の具体例としては、例えば、商品名で、AEROSIL−130、AEROSIL−300、AEROSIL−380、AEROSIL−TT600、AEROSIL−MOX170、AEROSIL−MOX80、AEROSIL−COK84(以上、日本アエロジル株式会社製);Ca−O−SiL−M−5、Ca−O−SiL−MS−7、Ca−O−SiL−MS−75、Ca−O−SiL−HS−5、Ca−O−SiL−EH−5(以上、CABOT社製);Wacker HDK−N20 V15、Wacker HDK−N20E、Wacker HDK−T30、Wacker HDK−T40(以上、WACKER−CHEMIE社製);D−CFineSi1ica(ダウコーニング社製);Franso1(Fransi1社製)などが挙げられる。
さらに、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。前記処理シリカ微粉体における、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30%〜80%の値のものが特に好ましい。前記疎水化処理した処理シリカ微粉体は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で、化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法である。
有機ケイ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び1分子当り2個〜12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0個〜1個含有するジメチルポリシロキサンなどが挙げられる。さらに、ジメチルシリコーンオイル等のシリコーンオイルなども挙げられる。これらは1種類を単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
前記流動性向上剤の粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均一次粒径として、0.001〜2μmであることが好ましく、0.002μm〜0.2μmであることがより好ましい。
前記粒径は、例えば、SEMもしくはTEMなどにより測定することができる。
また、前記流動性向上剤の個数平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜100nmが好ましく、5〜50nmであることがより好ましい。
公知のBET法で測定した、窒素吸着による前記流動性向上剤の比表面積としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30m2/g以上が好ましく、60m2/g〜400m2/gがより好ましい。また、表面処理された微粉体としては、20m2/g以上が好ましく、40m2/g〜300m2/gがより好ましい。
これらの微粉体の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー粒子100質量部に対して、0.03〜8質量部であることが好ましい。
−−−クリーニング性向上剤−−−
本発明のトナーに前記クリーニング性向上剤を使用することにより、記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナーの除去性を向上させることができる点で好ましい。
前記クリーニング性向上剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩;ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ポリマー微粒子の重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、比較的粒度分布が狭いものが好ましく0.01〜1μmであることがより好ましい。
前記流動性向上剤やクリーニング性向上剤等の前記その他の成分は、トナーの母体粒子の表面に付着及び/又は固定化させて用いられるため、外添剤とも呼ばれている。
トナーの母体粒子に外添する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種の粉体混合機などを用いる方法が挙げられる。
前記粉体混合機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサーなどが挙げられ、固定化も行う場合に用いる粉体混合機としては、ハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサーなどが挙げられる。
(トナーの重量平均粒径)
前記トナーの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm〜10μmが好ましく、3μm〜6μmがより好ましい。前記トナーの重量平均粒径が、1μm未満の場合、トナーの凝集力や帯電力が高くなりすぎることや、十分なトナーを紙又は画像保持体上に写すことが困難になることや、画像濃度が薄くなることがある。一方、前記トナーの重量平均粒径が10μmを超える場合、トナーが大きすぎるため、高精細な画像を作ることができないことがある。
(トナーの粒度分布)
前記トナーの粒度分布としては体積平均粒子径(Dv)の個数平均粒子径(Dn)に対する比の値(Dv/Dn)で評価することができる。
粉砕法で得られる一般的なトナーは、Dv/Dn=1.15〜1.25程度である、重合法で得られる一般的なトナーは、Dv/Dn=1.10〜1.15程度である。電子写真システムにおいては粒径分布が狭いことが現像工程、転写工程、定着工程に求められるため、前記粒径分布の広がりは望ましくない。
なお、Dv/Dnが1の場合、すべての粒径が同一であることを示し、Dv/Dnが大きいほど粒径分布が広いことを示す。
前記粒径分布は、フロー式粒子像解析装置(シスメックス社 FPIA−2000)を用いて解析を行うことができる。
(現像剤)
本発明のトナーは二成分現像剤に用いることができ、該現像剤は少なくともトナーと、キャリアとを含有し、必要に応じて、さらにその他の成分を含有する。二成分現像剤は、情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命を向上できるなどの点で有利である。
−キャリア−
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができるが、キャリアコア粒子と、該キャリアコア粒子を被覆材でコートした、被覆層を有する樹脂コートキャリアが好ましい。
−−キャリアコア粒子−−
前記キャリアコア粒子の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの合金等の磁性材料などが挙げられる。
前記磁性材料に含まれる元素としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムなどが挙げられる。これらの中でも、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト;マンガン、マグネシウム、及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが特に好ましい。
−−被覆層−−
前記被覆層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂;アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂;シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂などが好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂なども挙げられる。これらは、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記樹脂の中において、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂が好適に使用され、特にシリコーン樹脂が好ましい。
前記含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体との混合物などが挙げられる。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものを適宜選択することができ、例えば、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂などが挙げられる。また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
前記樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂を溶剤中に溶解又は懸濁させて塗布したキャリアコアに付着させる方法、あるいは、単に粉体状態で混合する方法などが挙げられる。
前記樹脂コートキャリアに対する前記被覆材の使用割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂コートキャリア100質量部に対して、0.01〜5質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
2種類以上の混合物で作製された被覆材を用いて、キャリアコア粒子を被覆する使用例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジ、メチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対して、ジメチルジクロロシランとジメチルシリコーンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものなどが挙げられる。
前記キャリアの体積抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、106〜1010Ω・cmであることが好ましい。前記体積抵抗値に調整する方法としては、例えば、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整する方法などが挙げられる。
前記キャリアの粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、4μm〜200μmが好ましく、10μm〜150μmがより好ましく、20μm〜100μmがさらに好ましい。これらの中でも、前記キャリアは、50%粒径が20μm〜70μmであることが特に好ましい。
前記トナーと、前記キャリアとの混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャリア100質量部に対して、前記トナーが1〜200質量部であることが好ましく、前記キャリア100質量部に対して、前記トナーが2〜50質量部であることがより好ましい。
本発明のトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できる。例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1:ポリエステル樹脂Aの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、アルコール成分として、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物0.5モル及び、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物0.5モルを、カルボン酸成分として、テレフタル酸0.9モルを、エステル化触媒としてオクチル酸スズを入れ、窒素雰囲気下、180℃で4時間縮重合反応させた。その後、トリメリット酸0.07モルを追加して、210℃に昇温して1時間反応させ、さらに8KPaにて1時間反応させることにより、ポリエステル樹脂Aを合成した。なお、ポリエステル樹脂Aの合成に使用した化合物について、表1にまとめて示す。
(合成例2:結晶ポリエステル樹脂Bの合成)
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱電対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、アルコール成分として、1,6−ヘキサンジオール1.0モル、カルボン酸成分として、フマル酸1モル、エステル化触媒としてオクチル酸スズを入れ、窒素雰囲気下、170℃で4時間縮重合反応させた。その後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8KPaにて1時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂Aを合成した。なお、結晶性ポリエステル樹脂Aの合成に使用した化合物について、下記表1にまとめて示す。
(ポリエステル樹脂の物性の確認)
合成例1〜2で合成したポリエステル樹脂A、結晶性ポリエステル樹脂Bの個数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、フローテスターT1/2、及びガラス転移点(Tg)を、以下の方法で測定した。
−個数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定−
トリフルオロ酢酸ナトリウム(CF3COONa)を添加したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)[CF3COONaのHFIPに対する濃度、0.005M(mol/L)]に、合成例1及び2で合成した各樹脂を、濃度0.06%(wt/vol)で溶解させた後、0.45μm−Millex−LH(ミリポア製)フィルターによりろ過して、GPC用サンプルを調製した。調製したサンプルは、GPCを用いて、下記条件にて測定した。測定結果は表2に示す。
[GPC測定条件]
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC−7(Waters社製)
カラム:ShodexHFIP−806M(内径8.0mm/長さ30cm)×2本(昭和電工株式会社製)
流速 :0.5mL/分間
温度 :23℃
注入量 :300μL
検出器 :示差屈折率検出器R−401(Waters社製)
分子量校正 :単分散ポリメチルメタクリレート(PMMA)標準試料(昭和電工株式会社製)
−フローテスターT1/2の測定−
フローテスターT1/2とは、1/2法における溶融温度のことである。
合成例1及び2で合成した各樹脂をそれぞれ1.0g用いて加圧成形し、ペレット状のサンプルを作製し、フローテスター(高架式フローテスター CFT500型、株式会社島津製作所製)を用いて、軟化点(Tf1/2)、流出開始温度(Tfb)と流出終了温度(Tend)との差(Tend−Tfb)を下記条件にて測定した。結果を下記表2に示す。
[フローテスター測定条件]
荷重: 30kg/cm2
昇温速度: 3.0℃/分間
ダイ口径: 0.50mm、
ダイ長さ: 1.0mm
Tf1/2算出法: 1/2法
−ガラス転移点(Tg)の測定−
合成例1及び2で合成した各樹脂をそれぞれ10mg用い、アルミニウム製セルにパッキングして、示差走査熱量計(DSC)(自動示差走査熱量計 DSC−60A、株式会社島津製作所製)を用いて下記の条件で測定した。なお、Tgは、2度目の昇温時のDSC曲線の吸熱ピーク若しくは吸熱ショルダーの吸熱開始温度(吸熱開始前の接線と吸熱後の接線との交点の温度)とした。結果を下記表2に示す。
[示差走査熱量計測定条件]
測定温度 :0℃〜200℃
昇温速度 :10℃/分
(分散例1:着色剤分散液の調製)
酢酸エチル78質量部に対し、カーボンブラック(Regal400、Cabot社製)20質量部及び顔料分散剤(アジスパーPB821、味の素ファインテクノ株式会社製)2質量部を、攪拌羽を有するミキサーを使用して一次分散させた。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散させることで凝集体を完全に除去し、二次分散液を調製した。さらに、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE社製)を通過させ、サブミクロン領域まで分散させたカーボンブラック分散液を調製した。このカーボンブラック分散液は10℃の恒温槽で保管した。
(分散例2:エステルワックス分散液(離型剤)の調製)
エステルワックスとして、ニッサンエレクトールWEP−3(日本油脂社製、融点73℃)を使用した。撹拌羽と温度計をセットした容器に、前記エステルワックス30質量部及び、酢酸エチル70質量部を仕込み、85℃で20分間撹拌することでエステルワックスを溶解させた。その後、急冷してエステルワックスの微粒子を析出させた。得られた分散液を、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(LMZ06、アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力により細かく粉砕/分散をおこなった。粉砕/分散直後のエステルワックス分散液の温度は5℃であった。粉砕/分散後のエステルワックス分散液の固形分を測定し、固形分が20重量%になるように、5℃の酢酸エチルで希釈してエステルワックス分散液を得た。このエステルワックス分散液は、10℃の恒温槽で保管した。また、エステルワックス分散液の重量平均粒径は、0.56μmであった。
なお、各種ワックス分散液の重量平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置LA−950(堀場製作所製)を用いて測定した。
(分散例3:カルナバワックス分散液(離型剤)の調製)
カルナバワックスとして、WA−03(東亜化成社製、融点81℃)を使用した。撹拌羽と温度計をセットした容器に、カルナバワックス30質量部及び、酢酸エチル70質量部を仕込み、85℃で20分間撹拌することでカルナバワックスを溶解させた。その後、急冷してカルナバワックスの微粒子を析出させた。得られた分散液を、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(LMZ06、アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力により細かく粉砕/分散をおこなった。粉砕/分散直後のカルナバワックス分散液の温度は5℃であった。粉砕/分散後のカルナバワックス分散液の固形分を測定し、固形分が20重量%になるように、5℃の酢酸エチルで希釈し、カルナバワックス分散液を得た。カルナバワックス分散液は、10℃の恒温槽で保管した。また、カルナバワックス分散液の重量平均粒径は、0.62μmであった。
(分散例4:マイクロクリスタリンワックス分散液(離型剤)の調製)
マイクロクリスタリンワックスとして、Hi−Mic−1090R(日本精蝋社製、融点87℃)を使用した。撹拌羽と温度計をセットした容器に、マイクロクリスタリンワックス30質量部及び、酢酸エチル70質量部を仕込み、85℃で20分間撹拌することでマイクロクリスタリンワックスを溶解させた。その後、急冷してマイクロクリスタリンワックスの微粒子を析出させた。得られた分散液を、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(LMZ06、アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力によりさらに細かく粉砕/分散をおこなった。粉砕/分散直後のマイクロクリスタリンワックス分散液の温度は5℃であった。粉砕/分散後のマイクロクリスタリンワックス分散液の固形分を測定し、固形分が20重量%になるように、5℃の酢酸エチルで希釈し、マイクロクリスタリンワックス分散液を得た。得られたカマイクロクリスタリンワックス分散液は、10℃の恒温槽で保管した。また、ワックス分散液の重量平均粒径は、0.70μmであった。
(分散例5:結晶性ポリエステル樹脂Bの分散液の調製)
撹拌羽と温度計をセットした容器に、結晶性ポリエステル樹脂B30質量部及び酢酸エチル70質量部を仕込み、85℃で20分間撹拌して結晶性ポリエステル樹脂Bを溶解させた。その後、急冷して結晶性ポリエステル樹脂Bの微粒子を析出させた。この分散液を、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填したビーズミル(LMZ06アシザワファインテック株式会社製)を用いて強力なせん断力により細かく粉砕/分散をおこなった。粉砕/分散直後の結晶性ポリエステル樹脂Bの分散液の温度は5℃であった。粉砕/分散後の結晶性ポリエステル樹脂Bの分散液の固形分を測定し、固形分が20重量%になるように、5℃の酢酸エチルで希釈し、結晶性ポリエステル樹脂Bの分散液を得た。得られた結晶性ポリエステル樹脂Bの分散液は、10℃の恒温槽で保管した。また、分散例1〜4と同様の方法で、結晶性ポリエステル樹脂Bの重量平均径を測定した。重量平均粒径は、0.70μmであった。
(溶解例1:ポリエステル樹脂Aの溶解液の調製)
合成例1で合成したポリエステル樹脂A10質量部を酢酸エチル90質量部に加え、30℃でポリエステル樹脂Aを完全に溶解した。得られたポリエステル樹脂Aの溶解液は10℃の恒温槽で保管した。
(トナー組成液1の調製)
エステルワックス分散液50重量部に、ポリエステル樹脂Aの溶解液1000重量部を加え、攪拌した。得られた混合分散溶解液に、着色剤分散液25重量部を加え、攪拌した。さらに、得られた混合分散溶解液に酢酸エチル80重量部を加え、攪拌し、トナー組成液1を得た。なお、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃のまま使用し、室温10℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも10℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液1Aの調製)
トナー組成液1と同様の組成の各種溶液を使用して、さらに手順も同様にしてトナー組成液1Aを得た。但し、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃から25℃に調温し、室温25℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも25℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液1Bの調製)
トナー組成液1と同様の組成の各種溶液を使用して、さらに手順も同様にしてトナー組成液1Bを得た。但し、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃から20℃に調温し、室温20℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも20℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液2の調製)
前記カルナバワックス分散液50重量部に、ポリエステル樹脂Aの溶解液1000重量部を加え、攪拌した。得られた混合分散溶解液に、着色剤分散液25重量部を加え、攪拌した。さらに、得られた混合分散溶解液に酢酸エチル80重量部を加え、攪拌し、トナー組成液1を得た。なお、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃のまま使用し、室温10℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも10℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液2Bの調製)
トナー組成液2と同様の組成の各種溶液を使用して、さらに手順も同様にしてトナー組成液2Bを得た。但し、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃から20℃に調温し、室温20℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも20℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液3の調製)
マイクロクリスタリンワックス分散液50重量部に、ポリエステル樹脂Aの溶解液1000重量部を加え、攪拌した。得られた混合分散溶解液に、着色剤分散液25重量部を攪拌した。さらに、得られた混合分散溶解液に酢酸エチル80重量部を加え、攪拌し、トナー組成液3を得た。なお、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃のまま使用し、室温10℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも10℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液3Bの調製)
トナー組成液3と同様の組成の各種溶液を使用して、さらに手順も同様にしてトナー組成液3Bを得た。但し、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃から20℃に調温し、室温20℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも20℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液4の調製)
エステルワックス分散液50重量部に、結晶性ポリエステル樹脂Bの分散液100重量部を加え、攪拌した。得られた混合分散液にポリエステル樹脂Aの溶解液800重量部を加え、攪拌した。その後、得られた混合分散溶解液に、着色剤分散液25重量部を加え、攪拌した。さらに、得られた混合分散溶解液に酢酸エチル180重量部を加え、攪拌し、トナー組成液1を得た。なお、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃のまま使用し、室温10℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも10℃に調温したものを使用した。
(トナー組成液4Bの調製)
トナー組成液4と同様の組成の各種溶液を使用して、さらに手順も同様にしてトナー組成液4Bを得た。但し、混合に使用した各分散溶液、溶解液は、保存温度10℃から20℃に調温し、室温20℃の部屋で混合した。なお、酢酸エチルも20℃に調温したものを使用した。
各種トナー組成液の組成を表3に示す。
(実施例1−1)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−1−1の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、25℃になったところで、図2〜図4に示す液柱共鳴方式のトナー製造装置を用いて、下記に示す条件で液滴を吐出させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
液滴を乾燥固化させながらサイクロン捕集した後、さらに35℃にて48時間2次乾燥させることにより、トナー母体粒子1−1−1を作製した。
[液柱共鳴条件]
共鳴モード :N=2
液柱共鳴液室の長手方向の両端間の長さ :L=2.0mm
液柱共鳴液室の液共通供給路側のフレームの端部の高さ :h1=80μm
液柱共鳴液室の連通口の高さ :h2=40μm
[トナー母体粒子作製条件]
分散液比重 :ρ=1.1g/cm3
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :8.5μm
吐出孔の開口数 :400個(液柱共鳴液室1つ当たり4個×100ch)
隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔 :130μm(全て等間隔)
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :12.0V
駆動周波数 :380kHz
(実施例1−2)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−1−2の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、25℃になったところで、図9、図14、及び図15に示す膜振動方式のトナー製造装置を用いて下記に示す条件で液滴を吐出させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
[トナー母体粒子作製条件]
分散液比重 :ρ=1.1g/cm3
吐出孔の形状 :真円
吐出孔直径 :9.5μm
吐出孔の開口数 :469個
隣接する吐出孔の中心部間の最短間隔 :70μm(全て等間隔)
乾燥エアー温度 :40℃
印加電圧 :45.0V
駆動周波数 :80kHz
(実施例2−1)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を10℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−2−1の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、22℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、22℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は22℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を22℃にした。
(実施例2−2)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を10℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−2−2の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、22℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、22℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は22℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を22℃にした。
(実施例3−1)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を18℃に調温して1時間保持した。その後、トナー組成液1を18℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−3−1の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、22℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、22℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は22℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を22℃にした。
(実施例3−2)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を18℃に調温して1時間保持した。その後、トナー組成液1を18℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
<トナー母体粒子1−3−2の作製>
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、22℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、22℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は22℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を22℃にした。
(実施例4−1)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を20℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を20℃に維持したまま濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−4−1の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、22℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、22℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は22℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を22℃にした。
(実施例4−2)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を20℃に調温して1時間保持した。その後、トナー組成液1を20℃に維持したまま濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
<トナー母体粒子1−4−2の作製>
濾過したトナー組成液1を20℃から加温し、22℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、22℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は22℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を22℃にした。
(実施例5−1)
トナー組成液1Aの調製直後、トナー組成液1Aを15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1Aを15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−5−1の作製−
濾過したトナー組成液1Aを20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例5−2)
トナー組成液1Aの調製直後、トナー組成液1Aを15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1Aを15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−5−2の作製−
濾過したトナー組成液1Aを20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例6−1)
トナー組成液1Aの調製直後、トナー組成液1Aを25℃に維持したまま24時間保持した。その後、トナー組成液1Aを20℃に調温して、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−6−1の作製−
濾過したトナー組成液1Aを20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例6−2)
トナー組成液1Aの調製直後、トナー組成液1Aを25℃に維持したまま24時間保持した。その後、トナー組成液1Aを20℃に調温して、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−6−2の作製−
濾過したトナー組成液1Aを20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例7−1)
トナー組成液1Aの調製直後、トナー組成液1Aを20℃に調温して、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−7−1の作製−
濾過したトナー組成液1Aを20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例7−2)
トナー組成液1Aの調製直後、トナー組成液1Aを20℃に調温して、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−7−2の作製−
濾過したトナー組成液1Aを20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例8−1)
トナー組成液2の調製直後、トナー組成液2を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液2を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子2−1−1の作製−
濾過したトナー組成液2を20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例8−2)
トナー組成液2の調製直後、トナー組成液2を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液2を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子2−1−2の作製−
濾過したトナー組成液2を20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例9−1)
トナー組成液3の調製直後、トナー組成液3を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液3を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子3−1−1の作製−
濾過したトナー組成液3を20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例9−2)
トナー組成液3の調製直後、トナー組成液3を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液3を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子3−1−2の作製−
濾過したトナー組成液3を20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例10−1)
トナー組成液4の調製直後、トナー組成液4を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液4を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子4−1−1の作製−
濾過したトナー組成液4を20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(実施例10−2)
トナー組成液4の調製直後、トナー組成液4を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液4を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子4−1−2の作製−
濾過したトナー組成液4を20℃から加温し、25℃になったところで、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、25℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は25℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を25℃にした。
(比較例1−1)
トナー組成液1Bの調製直後、トナー組成液1Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−8−1の作製−
濾過したトナー組成液1Bを20℃に維持したまま、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例1−2)
トナー組成液1Bの調製直後、トナー組成液1Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−8−2の作製−
濾過したトナー組成液1Bを20℃に維持したまま、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例2−1)
−トナー母体粒子1−9−1の作製−
トナー組成液1の調製直後、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例2−2)
−トナー母体粒子1−9−2の作製−
トナー組成液1の調製直後、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例3−1)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−10−1の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃に維持したまま、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例3−2)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−10−2の作製−
濾過したトナー組成液1を20℃に維持したまま、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例4−1)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−11−1の作製−
濾過したトナー組成液1を18℃に調温して、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、18℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は18℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を18℃にした。
(比較例4−2)
トナー組成液1の調製直後、トナー組成液1を15℃に調温して24時間保持した。その後、トナー組成液1を15℃から加温し、20℃になったところで、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−11−2の作製−
濾過したトナー組成液1を18℃に調温して、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、18℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は18℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を18℃にした。
(比較例5−1)
トナー組成液1Bの調製直後、トナー組成液1Bを20℃に維持したまま濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−12−1の作製−
濾過したトナー組成液1Bを18℃に調温して、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、18℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は18℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を18℃にした。
(比較例5−2)
トナー組成液1Bの調製直後、トナー組成液1Bを20℃に維持したまま濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子1−12−2の作製−
濾過したトナー組成液1Bを18℃に調温して、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、18℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は18℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を18℃にした。
(比較例6−1)
トナー組成液2Bの調製直後、トナー組成液2Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子2−8−1の作製−
濾過したトナー組成液2Bを20℃に維持したまま、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例6−2)
トナー組成液2Bの調製直後、トナー組成液2Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子2−8−1の作製−
濾過したトナー組成液2Bを20℃に維持したまま、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例7−1)
トナー組成液3Bの調製直後、トナー組成液3Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子3−8−1の作製−
濾過したトナー組成液3Bを20℃に維持したまま、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例7−2)
トナー組成液3Bの調製直後、トナー組成液3Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子3−8−2の作製−
濾過したトナー組成液3Bを20℃に維持したまま、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例8−1)
トナー組成液4Bの調製直後、トナー組成液4Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子4−8−1の作製−
濾過したトナー組成液3Bを20℃に維持したまま、実施例1−1と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
(比較例8−2)
トナー組成液4Bの調製直後、トナー組成液4Bを20℃に維持したまま、濾過を行った。濾過は、ロキテクノ社のフィルターカートリッジSBP−020を使用して濾過を行った。なお、濾過で使用したフィルターカートリッジ、濾過機、容器は予め20℃に設定した部屋で十分おいたものを使用した。
−トナー母体粒子4−8−2の作製−
濾過したトナー組成液4Bを20℃に維持したまま、実施例1−2と同様にして、トナー組成液を液滴化させ、乾燥させた。
なお、トナー製造装置は、20℃の温度に調製した工場内で稼動させた。また、トナー組成液の液滴吐出作業以降を除いて、トナー組成液の温度は20℃となるように調製した。つまり、トナー組成液タンクから液滴吐出ヘッドまでの温度を20℃にした。
各実施例および比較例の工程ごとの実施条件を表4に示す。
(トナーの作製)
各実施例および比較例で得られたトナー母体粒子100質量部に対して疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン株式会社製)1.0質量部、酸化チタン(SMT−150AI、テイカ株式会社製)1.0質量部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)を用いて外添処理することで、トナーを得た。
(評価項目)
−トナー組成液が正常に吐出されている吐出孔数−
各実施例および比較例において、液滴可視化装置Sizing Master System(LA Vision社製)を使用して、液滴が吐出されている吐出孔の数を観察した。観察は吐出直後、1時間後、12時間後に行った。
判定結果は表5にまとめて示す。
〔判定基準〕
◎:12時間後の正常な吐出孔の数の割合が80%以上。
○:12時間後の正常な吐出孔の数の割合が70%以上80%未満。
△:12時間後の正常な吐出孔の数の割合が60%以上70%未満。
×:12時間後の正常な吐出孔の数の割合が60%未満。