JP5659647B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
少なくとも、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、を備え、
前記下引層が金属酸化物粒子を含有し、
前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.3Hz以上10kHz以下の周波数の範囲内にある、直流電圧のみが印加される接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いる電子写真感光体である。
前記インピーダンスの位相差θの極大点が、0.3Hz以上2.5Hz以下の周波数の範囲内にある請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記金属酸化物粒子が、γ-アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されてなる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
請求項4に係る発明は、
前記下引層がアクセプター性化合物を含有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体である。
請求項5に係る発明は、
前記アクセプター性化合物がヒドロキシアントラキノン系化合物である請求項4に記載の電子写真感光体である。
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し直流電圧のみを印加して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置、及び前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1つと、
を備えるプロセスカートリッジである。
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し直流電圧のみを印加して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体を露光して、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
本実施形態の電子写真感光体(以下、「感光体」と称する場合がある)は、導電性基体と、金属酸化物粒子を含有する下引層と、電荷発生層と、を備える。そして、前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.3Hz以上10kHz以下の周波数の範囲内にある。この電子写真感光体は、直流電圧のみが印加される接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いられる。
従来の一般的な下引層を測定したところ、0.3Hzよりも低い周波数にインピーダンスの位相差θの極大点があることが分かり、本実施形態の感光体ではこれよりも高い周波数で極大点を有する下引層を設けることで帯電の応答性を速め、感光体の帯電状態を良好にする。なお、直流接触帯電装置は、感光体と接触する特定の領域をその接触時に帯電させる方式であるため、下引層の帯電の応答性を高めることが、ハーフトーン画像における軸方向での色筋ムラの発生を抑制するのに効果的であることが分かり、本実施形態の感光体に至った。
ここで、色筋ムラとは、長さは数mm程度、幅は数十μm程度の周期性の無い軸方向の色線として現れる画像欠陥をいう。
インピーダンスの測定には、電源、電流計としてSI 1287 electrochemical interface (東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いる。
以下、本実施形態の感光体について、更に詳細に説明する。
本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとし、重複する説明は省略する。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体7Aに基づいて、各要素について説明する。
導電性基体4としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性基体4の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
下引層1は、少なくとも金属酸化物粒子を含み、結着樹脂中に分散して形成され得る。
金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化ジルコニウム等の金属酸化物粒子が挙げられ、酸化亜鉛、酸化チタンを用いることが望ましい。金属酸化物粒子は単種の使用であっても、2種以上の併用であってもよい。
なお、一般に、金属酸化物粒子の添加量を変えずに平均粒子径を大きくすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、高周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点を鑑みて、用いる金属酸化物粒子の平均粒子径を選択することが望ましい。
アクセプター性化合物としては、上記特性が得られるものであれば限定されず、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送性物質などが望ましく、特にアントラキノン構造を有する化合物が望ましい。更にヒドロキシアントラキノン系化合物、アミノアントラキノン系化合物、アミノヒドロキシアントラキノン系化合物等、アントラキノン構造を有するアクセプター性化合物が望ましく用いられ、具体的にはアントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が挙げられる。
一般に、下引層1中の金属酸化物粒子の含有率を多くすると、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は、高周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、金属酸化物粒子の含有率を調整することが望ましい。
下引層1に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが用いられる。
下引層1の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いても、2種以上の併用であってもよい。
なお、乾燥のための加熱温度を高くしたりして硬化条件を厳しくすると、膜中における残留溶剤等を原因とする電荷トラップサイトの低減により電荷の移動がし易くなり、下引層1におけるインピーダンスの位相差θの極大点は高周波数側に移動する。よって、上記位相差θの極大点での周波数を鑑みて、乾燥条件を調節することが望ましい。
また、表面粗さの調整のために、下引層1の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等が挙げられる。
また、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引層1上に中間層をさらに設けてもよい。
なかでも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、0.1μm以上3μm以下の膜厚の範囲に設定される。
電荷発生層2は、電荷発生材料及び結着樹脂を含有する。
かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が挙げられ、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が望ましい。
電荷輸送層3は、電荷輸送材料と結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して形成される。
すなわち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体等の正孔輸送物質、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質、あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用される。
図1及び図2では図示しないが、感光体の最表面層として保護層を設けてもよい。保護層は、例えば、導電性材料と結着樹脂とを含んで構成される。また、保護層は、例えば、重合性官能基を有する電荷輸送性材料の硬化膜で構成されていてもよい。硬化膜は、必要に応じて、他の樹脂を含んでいてもよい。保護層の構成は、周知の構成が採用される。
フッ素系樹脂粒子の一次粒径は0.05μm以上1μm以下が好ましく、0.1μm以上0.5μm以下がより好ましい。一次粒径が0.05μmを下回ると分散時の凝集が進みやすくなる。一方、1μmを上回ると画質欠陥が発生し易くなる。
フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーの含有量は、フッ素系樹脂粒子の全質量に対して1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
電子写真装置中で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止するため、感光層3を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加してもよい。
例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等が挙げられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
−第1実施形態−
図3は、第1実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図3に示す画像形成装置200は、本実施形態の電子写真感光体7と、電源209に接続され、電子写真感光体7を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208と、帯電装置208により帯電された電子写真感光体7を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成装置(露光装置)210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211と、電子写真感光体7の表面に形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置212と、転写後、電子写真感光体7の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213と、電子写真感光体7の残留電位を除去する除電器214と、被転写媒体500に転写されたトナー像を被転写媒体500に定着させる定着装置215と、を備える。なお、帯電装置208は、電子写真感光体7に直接接触し、且つ直流電圧のみを印加して電子写真感光体7を帯電する帯電装置である。また、例えば、除電器214は必ずしも設けられている必要はない。
帯電部材として帯電ローラを用いる場合、感光体7に接触する圧力としては、例えば、250mgf以上600mgf以下の範囲が挙げられる。
さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料をデイッピング、スプレー、ロールコート等の手法により、積層して用いてもよい。
特に、帯電部材として帯電ローラを用いた直流接触帯電装置の場合には、一般的には軸方向での色筋ムラが発生し易いが、本実施形態の電子写真感光体を用いれば、このような形態の帯電装置であっても色筋ムラの発生が抑えられる。
図4は第2実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図4に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体7a,7b,7c,7dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。例えば、感光体1aがイエロー、感光体1bがマゼンタ、感光体1cがシアン、感光体1dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成する。
電子写真感光体7a,7b,7c,7dはそれぞれ一方向(紙面上は反時計回り)に回転し、その回転方向に沿って帯電ロール402a,402b,402c,402d、現像装置404a,404b,404c,404d、1次転写ロール410a,410b,410c,410d、クリーニングブレード415a,415b,415c,415dが配置されている。現像装置404a,404b,404c,404dはそれぞれトナーカートリッジ405a,405b,405c,405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを供給し、また、1次転写ロール410a,410b,410c,410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体7a,7b,7c,7dに接している。なお、ロール402a,402b,402c,402dは、子写真感光体7a,7b,7c,7dにそれぞれ直接接触し、且つ直流電圧のみを印加して電子写真感光体7a,7b,7c,7dを帯電する。
図5は、本実施形態の電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジの一例の基本構成を概略的に示している。このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体7と共に、電子写真感光体7を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208、露光により電子写真感光体7上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像に現像する現像装置211、転写後、電子写真感光体7の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を、取り付けレール216を用いて組み合わせて一体化したものである。
[実施例1]
−下引層の形成−
酸化亜鉛粒子(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m2/g)60質量部と、硬化剤としてブロック化イソシアネート(スミジュール3173、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)15質量部とを、メチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部と、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン社製)4.0質量部とを添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬塗布法にて直径30mmのアルミニウム基材上に塗布し、170℃、24分の乾燥硬化を行い、厚さ15μmの下引層を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用の塗布液を得た。この塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子8質量部(平均粒径:0.2μm)と、フッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量30000)0.01質量部とを、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液Aを得た。
実施例1の下引層形成用塗布液において、更に、アリザリン0.6質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、実施例2の感光体を作製した。
実施例1の下引層形成用塗布液において、更に、アリザリン1質量部を添加した以外は実施例1と同様にして、実施例3の感光体を作製した。
実施例1の下引層の作製において、乾燥硬化条件を190℃、40分とした以外は実施例1と同様の方法で、実施例4の感光体を作製した。
下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−2に代えたこと以外は、実施例2と同様にして実施例5の感光体を作製した。
酸化亜鉛100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−2を得た。
下引層形成用塗布液に用いた酸化亜鉛粒子を、シランカップリング剤表面処理を施した下記酸化亜鉛粒子−4に代えたこと以外は、実施例2と同様にして比較例1の感光体を作製した。特開2005−10662号公報の実施例1に相当する下引層である。
酸化亜鉛100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM−603(信越化学工業社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子−4を得た。
実施例1の下引層形成用塗布液で用いた酸化亜鉛粒子を、平均粒子径100nmの酸化亜鉛粒子に代えたこと以外は実施例1と同様にして比較例2の感光体を作製した。
実施例1の下引層を、特開2003−186219号公報の実施例1の下引層に代えた以外は実施例1と同様にして比較例3の感光体を作製した。なお、特開2003−186219号公報の実施例1の下引層では、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理した酸化亜鉛粒子を用いている。
実施例1の下引層の乾燥硬化条件を150℃、60分とした以外は実施例1と同様にして比較例4の感光体を作製した。特開2006−30699号公報の実施例1に相当する下引層である。
−測定試料の作製−
上記実施例及び比較例の感光体を作製する際に用いた下引層用塗布液をそれぞれアルミパイプに浸漬塗布し、上記感光体の下引層を作製したときと同じ条件により乾燥を行い(例えば、実施例1では170℃24分で乾燥硬化)、膜厚15μmの下引層単層膜を形成した。この下引層単層膜について、対向電極として100nmの金電極を真空蒸着法により装着し、インピーダンス測定用試料とした。
インピーダンスの測定には電源としてSI 1287 electrochemical interface (東陽テクニカ製)、電流計としてSI 1260 inpedance/gain phase analyzer(東陽テクニカ製)、電流アンプとして1296 dielectric interface(東陽テクニカ製)を用いた。
色線数は、DocuCentre 505aの改造機に、上記作製の感光体を組みこんで、高温高湿の条件下にて画像密度30%のA4ハーフトーン画像を出力し、プリントサンプル左上から縦94mm、横200mmのエリアに発生した色線の発生数を、下記評価基準により評価した。ここで高温高湿とは、28℃85RH%の周辺環境である。
なお、DocuCentre 505aの改造機に搭載される帯電装置は、直流電圧のみが印加される接触帯電方式の帯電装置であり、印加電圧−1300Vで感光体を帯電させる。
色筋ムラの評価結果を表1に示す。
G1 : 未発生
G2 : 3箇所以下の微小色線発生
G3 : 3箇所を超えて10箇所以下の微小色線発生
G4 : 10箇所超の微小色線発生
これに対して、0.3Hz以上10kHz以下の周波数の範囲外に極大点を有する比較例1から4の感光体は、いずれも直流電圧のみが印加される接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いたときに、微小色筋の欠陥が発生した。
Claims (7)
- 少なくとも、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、を備え、
前記下引層が金属酸化物粒子を含有し、
前記下引層のインピーダンスを1MHzから1mHzまでの範囲の交流電圧で測定したとき、インピーダンスの位相差θの極大点が0.3Hz以上10kHz以下の周波数の範囲内にある、直流電圧のみが印加される接触帯電方式の帯電装置を有する画像形成装置に用いる電子写真感光体。 - 前記インピーダンスの位相差θの極大点が、0.3Hz以上2.5Hz以下の周波数の範囲内にある請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、γ-アミノプロピルトリメトキシシランで表面処理されてなる請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 前記下引層がアクセプター性化合物を含有する請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体。
- 前記アクセプター性化合物がヒドロキシアントラキノン系化合物である請求項4に記載の電子写真感光体。
- 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し直流電圧のみを印加して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置、前記電子写真感光体上に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置、及び前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去装置からなる群より選ばれる少なくとも1つと、
を備えるプロセスカートリッジ。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触し直流電圧のみを印加して前記電子写真感光体を帯電する帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体を露光して、該電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
前記静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像装置と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。
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