JP5609200B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
支持体と、少なくとも感光層を含み前記支持体上に形成された1つ以上の層と、を備え、
最表面層が、電荷輸送材料と、少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有すると共にガラス転移温度が130℃以上150℃以下であるポリカーボネート樹脂と、を含有し、且つ前記ガラス転移温度よりも高い温度で乾燥して形成された層であり、
前記電荷輸送材料の少なくとも1種は、1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である、電子写真感光体である。
前記電荷輸送材料として、2種類以上の電荷輸送材料を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記最表面層は、フッ素原子を含む粒子をさらに含有する、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体である。
支持体を準備する支持体準備工程と、
電荷輸送材料と前記一般式(1)で表される繰り返し単位及び前記一般式(2)で表される繰り返し単位を有すると共にガラス転移温度が130℃以上150℃以下であるポリカーボネート樹脂とを含有し、前記電荷輸送材料の少なくとも1種が1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である塗布液を、前記支持体上に塗布する塗布工程と、
前記ガラス転移温度よりも高い温度で、前記支持体上に塗布された塗布液を乾燥し、最表面層を形成する最表面層形成工程と、
を有する、電子写真感光体の製造方法である。
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触して帯電させる接触帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段からなる群より選ばれる少なくとも1つと、
を備えるプロセスカートリッジである。
前記接触帯電手段を備え、
前記接触帯電手段は、直流電圧のみを印加する方式の帯電手段である、請求項5に記載のプロセスカートリッジである。
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触して帯電させる接触帯電手段と、
前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を有する画像形成装置である。
前記接触帯電手段は、直流電圧のみを印加する方式の帯電手段である、請求項7に記載の画像形成装置である。
なお、本実施形態では、特定ポリカーボネートのガラス転移温度が130℃以上150℃以下であり、かつ、電荷輸送材料の少なくとも1種が1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である形態を適用する。
本実施形態の感光体においては、上記構成であることにより、接触帯電方式の画像形成装置に用いても、ひび割れが起こりにくい。すなわち、本実施形態の感光体と、感光体に直接接触して帯電させる帯電手段と、を少なくとも備えた画像形成装置に用いられても、本実施形態の感光体においては、ひび割れが起こりにくい。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
また、最表面層形成時における乾燥温度は、上記の通りポリカーボネート樹脂のガラス転移温度よりも高い温度である。そして、上記乾燥温度と上記ガラス転移温度との差は、0.1℃以上30℃以下の範囲が好ましく、5℃以上25℃以下の範囲がより好ましい。さらに上記乾燥温度は、良好な電子写真特性を得る観点から、150℃以下が好ましく、120℃以上150℃以下がより好ましい。
また本実施形態では、接触帯電手段の接触帯電部材に、イオン導電剤や軟化剤等の低分子成分が含まれていてもよい。すなわち、上記感光体を用いるため、接触帯電部材に低分子成分が含まれていても、感光体の上記ひび割れが抑制され、ひび割れに起因する画像不良が抑制される。上記低分子成分としては、例えば、ゴム材の低分子成分、可塑剤、加硫剤、加硫促進助剤等が挙げられる。
以下、本実施形態の感光体について、更に詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る電子写真感光体の一部の断面を概略的に示している。図1に示した電子写真感光体1は電荷発生層5と電荷輸送層6とが別個に設けられた機能分離型の感光層3を備えるもので、導電性支持体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6がこの順序で積層された構造を有している。電荷輸送層6は感光体1における最表面層(導電性支持体2から最も遠い側に配置される層)であり、詳細は後述するが、特定ポリカーボネート樹脂と、電荷輸送材料と、を含有して構成されている。
なお本明細書において、絶縁性とは、体積抵抗率で1012Ωcm以上の範囲を意味する。一方、導電性とは、体積抵抗率で1010Ωcm以下の範囲を意味する。
以下、感光体1の各要素について説明する。
導電性支持体2としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、及びアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、導電性付与剤を塗布又は含浸させた紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
支持体2の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
下引き層4は、支持体2の表面における光反射の防止、支持体2から感光層3への不要なキャリアの流入の防止などの目的で、必要に応じて設けられる。
下引き層4としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、支持体2上に塗布して形成したものが挙げられる。
下引き層4の形成の際には、上記成分を溶媒に加えた塗布液(下引き層形成用の塗布液)が使用される。溶媒としては、例えば、有機溶剤が挙げられる。
下引き層4の厚さは15μm以上が望ましく、20μm以上50μm以下がより望ましい。
電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引き層4上に必要に応じて中間層(図示せず)をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。
中間層の形成は、例えば上記結着樹脂を溶媒に溶解させた塗布液を用いる。塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の公知の方法が用いられる。
中間層の厚さは例えば0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。また、この中間層を下引き層4として使用してもよい。
電荷発生層5は、電荷発生材料が結着樹脂中に分散して形成されている。
電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が使用され、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶等が使用される。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が使用される。これらの電荷発生材料は、単独又は2種以上を混合して使用される。
電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、使用する材料にもよるが例えば10:1から1:10の範囲である。
電荷発生材料を結着樹脂中に分散させるために、塗布液には分散処理が施される。分散手段としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や、液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
電荷発生層5の厚さは、望ましくは0.01μm以上5μm以下、より望ましくは0.05μm以上2.0μm以下の範囲に設定される。
電荷輸送層6は、前述の通り、少なくとも結着樹脂として、上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される繰り返し単位を有しガラス転移温度が150℃以下の特定ポリカーボネート樹脂を含み、その他に電荷輸送材料を少なくとも含む。また電荷輸送層6は、必要に応じて、フッ素粒子やその他の成分を含んでもよい。
特定ポリカーボネート樹脂は、上記の通り、上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される繰り返し単位を有し、かつ、ガラス転移温度が150℃以下である。
また特定ポリカーボネート樹脂としては、例えば、下記一般式(3)で表される4,4′−ジヒドロキシビフェニル化合物及び下記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を原料として用い、ホスゲン等の炭酸エステル形成性化合物との重縮合又はビスアリールカーボネートとのエステル交換反応等の方法によって得られる樹脂が挙げられる。
また一般式(2)中のXは、−CR5R6−、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基が好ましく、−CR5R6−がより好ましい。また前記−CR5R6−中のR5及びR6は、各々独立に、炭素数1以上6以下のアルキル基又は炭素数6以上12以下のアリール基が好ましく、その中でもメチル基又はフェニル基がより好ましい。
さらに一般式(1)及び一般式(2)中のk、l、m、及びnは、上記の通り各々独立に、0以上4以下の整数であり、その中でも0又は1が好ましい。
特定ポリカーボネート樹脂中に、上記一般式(1)で表される繰り返し単位及び上記一般式(2)で表される繰り返し単位以外の、その他の繰り返し単位が含まれる場合、特定ポリカーボネート樹脂を構成する繰り返し単位全体に対するその他の繰り返し単位の含有率は、例えば30モル%以下の範囲が挙げられる。
なお、上記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量の測定方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。具体的には、例えば、樹脂1gをメチレンクロライド100cm3に均一溶解し、25℃の測定環境下でウベローデ粘度計で、その比粘度ηspを測定し、ηsp/c=〔η〕+0.45〔η〕2cの関係式(ただしcは濃度(g/cm3)より極限粘度〔η〕(cm3/g)をもとめ、H.Schnellによって与えられている式、〔η〕=1.23×10−4Mv0.83の関係式より粘度平均分子量Mvをもとめる一点測定法が用いられる。
電荷輸送層6中に、特定ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を含有させる場合は、電荷輸送層6全体に対し、例えば30質量%以下の範囲で含有させてもよい。
電荷輸送材料としては、例えば、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。
なお、電荷輸送材料として2種類以上の化合物を用い、そのうちの少なくとも1種がブタジエン構造を含む化合物である場合、ブタジエン構造を含む化合物とその他の電荷輸送材料の重量比としては、例えば1:5から5:1の範囲が挙げられる。
上記一般式(6)中のR14、R15、R16、R17、R18、及びR19は、上記の中でも、水素原子、低級アルキル基、又はアルコキシ基が好ましく、水素原子、炭素数1以上3以下のアルキル基、又は炭素数1以上3以下のアルコキシ基が好ましい。また、上記一般式(6)中のmは1が好ましく、nは1が好ましい。
なお、上記トリブタジエン化合物は、一般式(6)で表される化合物のうち、m=1かつn=1である化合物である。
電荷輸送層6は、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用の塗布液を用いて形成される。
上記溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は、単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。混合して使用される溶剤は、混合溶剤として結着樹脂を溶解するものであれば、いかなるものでもよい。
電荷輸送層6は、上記の通りフッ素粒子を含んでもよい。
フッ素粒子としては、例えばフッ素樹脂の粒子が挙げられ、フッ素樹脂としては、例えば、4フッ化エチレン樹脂、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体等が挙げられる。これらの中でも特に、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
電荷輸送層6中におけるフッ素粒子の含有量としては、例えば2質量%以上15質量%以下の範囲が挙げられる。
上記フッ素系界面活性剤やフッ素系グラフトポリマーの添加量としては、例えば、フッ素粒子の質量に対して1%以上5%以下の質量が挙げられる。
電荷輸送層6の形成方法としては、例えば、下引き層4及び電荷発生層5が形成された導電性基体2の電荷発生層5上に、上記電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、塗布液に含まれる特定ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で乾燥することにより、電荷発生層6を形成する方法が挙げられる。
そして上記塗布液を電荷発生層5上に塗布した後、加熱乾燥工程により塗布液中の溶剤を除去する。電荷輸送層6の膜厚としては、例えば5μm以上50μm以下の範囲が挙げられ、10μm以上40μm以下の範囲であってもよい。
さらに、本実施形態の感光体1は、電荷輸送層6が最表面層であるが、電荷輸送層上にさらに保護層が形成された構成であってもよく、その場合は保護層が上記最表面層となる。
−第1実施形態−
図2は、第1実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図2に示す画像形成装置200は、本実施形態の電子写真感光体1と、電源209に接続され、電子写真感光体1を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208と、帯電装置208により帯電された電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成装置(露光装置)210と、露光装置210により形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211と、電子写真感光体1の表面に形成されたトナー像を被転写媒体500に転写する転写装置212と、転写後、電子写真感光体1の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213と、電子写真感光体1の残留電位を除去する除電器214と、被転写媒体500に転写されたトナー像を被転写媒体500に定着させる定着装置215と、を備える。なお、例えば、除電器214は必ずしも設けられている必要はない。
帯電部材として帯電ローラを用いる場合、感光体1に接触する圧力としては、例えば、250mgf以上600mgf以下の範囲が挙げられる。
さらにナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、シリコーン等の樹脂を塗料化し、そこに導電性カーボン、金属酸化物、イオン導電剤等の導電性付与剤を適量配合し、得られた塗料をデイッピング、スプレー、ロールコート等の手法により、積層して用いてもよい。
図3は第2実施形態の画像形成装置の基本構成を概略的に示している。図3に示す画像形成装置220は中間転写方式の画像形成装置であり、ハウジング400内において4つの電子写真感光体1a,1b,1c,1dが中間転写ベルト409に沿って相互に並列に配置されている。例えば、感光体1aがイエロー、感光体1bがマゼンタ、感光体1cがシアン、感光体1dがブラックの色からなる画像をそれぞれ形成する。
電子写真感光体1a,1b,1c,1dはそれぞれ一方向(紙面上は反時計回り)に回転し、その回転方向に沿って帯電ロール402a,402b,402c,402d、現像装置404a,404b,404c,404d、1次転写ロール410a,410b,410c,410d、クリーニングブレード415a,415b,415c,415dが配置されている。現像装置404a,404b,404c,404dはそれぞれトナーカートリッジ405a,405b,405c,405dに収容されたブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色のトナーを供給し、また、1次転写ロール410a,410b,410c,410dはそれぞれ中間転写ベルト409を介して電子写真感光体1a,1b,1c,1dに接している。
図4は、本実施形態の電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジの一例の基本構成を概略的に示している。このプロセスカートリッジ300は、電子写真感光体1と共に、電子写真感光体1を帯電させる接触帯電方式の帯電装置208、露光により電子写真感光体1上に形成された静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像装置211、転写後、電子写真感光体1の表面に残留するトナーを除去するトナー除去装置213、露光のための開口部218、及び、除電露光のための開口部217を、取り付けレール216を用いて組み合わせて一体化したものである。
なお、下記実施例1、実施例2、実施例3、実施例7、実施例8、実施例9及び実施例10は参考例である。
<実施例1>
−下引き層の形成−
酸化亜鉛粒子(テイカ社製、平均粒子径:70nm、比表面積値:15m2/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて除去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤で表面処理した酸化亜鉛粒子を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層用の塗布液を得た。この電荷発生層形成用の塗布液を前記下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を得た。
次に、4フッ化エチレン樹脂粒子(平均粒径:0.2μm)0.6質量部及びフッ化アルキル基含有メタクリルコポリマー(重量平均分子量:30000)0.015質量部を、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部とともに20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。
この塗布液を電荷発生層上に塗布して135℃で30分間乾燥し、膜厚が25μmの電荷輸送層を形成し、実施例1の電子写真感光体を得た。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質である上記化合物(A)を、上記一般式(5)で表される化合物の具体例で示した例示化合物1−17に代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例2の電子写真感光体を得た。
実施例2の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質である上記化合物(A)を2.5質量部、例示化合物1−17を2.5質量部、結着樹脂を5質量部、に代えた以外は、実施例2と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例2と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例3の電子写真感光体を得た。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質である上記化合物(A)を、上記一般式(6)で表される化合物の具体例で示した例示化合物2-11に代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例4の電子写真感光体を得た。
実施例4の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質である上記化合物(A)を2.5質量部、例示化合物2−11を2.5質量部、結着樹脂を5質量部、に代えた以外は、実施例4と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例4と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例5の電子写真感光体を得た。
実施例4の電荷輸送層形成用塗布液において、結着樹脂を、下記構造式(9)で表される繰り返し単位、下記構造式(10)で表される繰り返し単位、及び下記構造式(11)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート重合体(ガラス転移温度145℃、粘度平均分子量50,000)に代え、塗布後の乾燥温度を150℃に代えた以外は、実施例4と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例4と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例6の電子写真感光体を得た。なお、上記ポリカーボネート重合体を構成する繰り返し単位全体に対し、下記構造式(9)で表される繰り返し単位の含有量は20モル%であり、下記構造式(10)で表される繰り返し単位の含有量は40モル%であり、下記構造式(11)で表される繰り返し単位の含有量は40モル%であった。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質として化合物(A)4質量部のみを用いた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例7の電子写真感光体を得た。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質として化合物(B)4質量部のみを用いた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例8の電子写真感光体を得た。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、電荷輸送物質として上記例示化合物1−17を4質量部のみ用いた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例9の電子写真感光体を得た。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、結着樹脂をビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(ガラス転移温度175℃、粘度平均分子量50,000)に代えた以外は実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、比較例1の電子写真感光体を得た。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、結着樹脂を、下記構造式(12)で表される繰り返し単位、及び下記構造式(13)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート重合体(ガラス転移温度171℃、粘度平均分子量60,000)に代えた以外は実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、比較例2の電子写真感光体を得た。なお、上記ポリカーボネート重合体を構成する繰り返し単位全体に対し、下記構造式(12)で表される繰り返し単位の含有量は30モル%であり、下記構造式(13)で表される繰り返し単位の含有量は70モル%であった。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、結着樹脂を下記構造式(14)で表される繰り返し単位、及び下記構造式(15)で表される繰り返し単位からなるポリカーボネート重合体(ガラス転移温度150℃、粘度平均分子量55,000)に代え、塗布後の乾燥温度を150℃に代えた以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、比較例3の電子写真感光体を得た。なお、上記ポリカーボネート重合体を構成する繰り返し単位全体に対し、下記構造式(14)で表される繰り返し単位の含有量は50モル%であり、下記構造式(15)で表される繰り返し単位の含有量は50モル%であった。
実施例1の電荷輸送層形成用塗布液において、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を用いないこと以外は、実施例1と同様にして電荷輸送層形成用塗布液を調製し、これを用いて実施例1と同様にして電荷発生層上に厚さ25μmの電荷輸送層を形成し、実施例10の電子写真感光体を得た。
−帯電ロールの作製−
下記組成の混合物をオープンロールで混練りし、SUS303からなる直径8mmの導電性支持体表面に接着層を介してプレス成形機を用いて直径15mmのロールを形成、その後研磨により直径14mmの導電性弾性ロールを得た。
・導電剤(カーボンブラック アサヒサーマル:旭カーボン社製):15質量部
・導電剤(ケッチェンブラックEC:ライオン社製):5質量部
・イオン導電剤(過塩素酸リチウム):1質量部
・加硫剤(硫黄 200メッシュ:鶴見化学工業社製):1質量部
・加硫促進剤(ノクセラーDM:大内新興化学工業社製):2.0質量部
・加硫促進剤(ノクセラーTT:大内新興化学工業社製):0.5質量部
・加硫促進助剤(酸化亜鉛 酸化亜鉛1種:正同化学工業社製):3質量部
・ステアリン酸:1.5質量部
・硬化剤(アミノ樹脂溶液 スーパーベッカミンG−821−60:大日本インキ化学工業社製):26.3質量部
・導電剤(カーボンブラック MONARCH1000:キャボット社製、比表面積:343m 2 /g、DBP吸油量:105ml/100g、pH:2.5):10質量部
実施例及び比較例の電子写真感光体と、前記評価用帯電ロールをDocuCentre 505a(富士ゼロックス社製)のドラムカートリッジに装着し、45℃、90%RHで7日間保管した後、DocuCentre 505aの改造機に組込み、帯電手段に400Vの直流電圧を印加して50%ハーフトーン画像を印刷したときの画像ディフェクトより以下の基準で判定した。結果を表3に示す。
B:許容範囲の薄い帯状の画像ディフェクトが、帯電ロールの回転ピッチ毎に発生。
C:帯状の画像ディフェクトが、帯電ロールの回転ピッチ毎に発生。
実施例及び比較例の電子写真感光体をDocuCentre 505aの改造機に装着し、低温低湿(10℃、20%RH)の環境下にて1万枚の画像形成テストを行い、次に、高温高湿(28℃、75%RH)の環境下で1万枚の画像形成テストを行った。その後、50%ハーフトーン(黒)の画像形成を行い、得られた画像を下記指標で評価した。結果を表3に示す。
B:わずかに画像濃度低下
C:スジ状の画像欠陥が画像として問題ない程度発生
D:スジ状の画像欠陥が著しく発生
上記の長期使用耐久性評価を行った後に、再び上記「保管安定性評価(初期)」と同様の評価を実施した。評価基準も上記と同様である。結果を表3に示す。
Claims (8)
- 支持体と、少なくとも感光層を含み前記支持体上に形成された1つ以上の層と、を備え、
最表面層が、電荷輸送材料と、少なくとも下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有すると共にガラス転移温度が130℃以上150℃以下であるポリカーボネート樹脂と、を含有し、且つ前記ガラス転移温度よりも高い温度で乾燥して形成された層であり、
前記電荷輸送材料の少なくとも1種は、1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である、電子写真感光体。
〔上記一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示し、Xは、−CR5R6−(ただし、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−を示し、k、l、m、及びnは、各々独立に、0以上4以下の整数を示す。〕 - 前記電荷輸送材料として、2種類以上の電荷輸送材料を含有する、請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記最表面層は、フッ素原子を含む粒子をさらに含有する、請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
- 支持体を準備する支持体準備工程と、
電荷輸送材料と下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び下記一般式(2)で表される繰り返し単位を有すると共にガラス転移温度が130℃以上150℃以下であるポリカーボネート樹脂とを含有し、前記電荷輸送材料の少なくとも1種が1分子中にブタジエン構造を3つ有する化合物である塗布液を、前記支持体上に塗布する塗布工程と、
前記ガラス転移温度よりも高い温度で、前記支持体上に塗布された塗布液を乾燥し、最表面層を形成する最表面層形成工程と、
を有する、電子写真感光体の製造方法。
〔上記一般式(1)及び一般式(2)中、R1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、炭素数5以上7以下のシクロアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示し、Xは、−CR5R6−(ただし、R5及びR6は、各々独立に、水素原子、トリフルオロメチル基、炭素数1以上6以下のアルキル基、又は炭素数6以上12以下のアリール基を示す。)、炭素数5以上11以下の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2以上10以下のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、又は−SO2−を示し、k、l、m、及びnは、各々独立に、0以上4以下の整数を示す。〕 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触して帯電させる接触帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するトナー除去手段からなる群より選ばれる少なくとも1つと、
を備えるプロセスカートリッジ。 - 前記接触帯電手段を備え、
前記接触帯電手段は、直流電圧のみを印加する方式の帯電手段である、請求項5に記載のプロセスカートリッジ。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体に直接接触して帯電させる接触帯電手段と、
前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記トナー像を被転写媒体に転写する転写手段と、
を有する画像形成装置。 - 前記接触帯電手段は、直流電圧のみを印加する方式の帯電手段である、請求項7に記載の画像形成装置。
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