JP5656651B2 - 感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法 - Google Patents

感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。より詳細には、本発明は、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程に好適な組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。特には、本発明は、波長が300nm以下の遠紫外線光を光源とするArF露光装置及びArF液浸式投影露光装置ならびにEUV露光装置での露光に好適な組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
なお、ここで「活性光線」又は「放射線」とは、例えば、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外(EUV)線、X線又は電子線(EB)を意味している。また、本発明において「光」とは、活性光線又は放射線を意味している。
また、ここで「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯、遠紫外線、X線及びEUV光等による光照射のみならず、電子線及びイオンビーム等の粒子線による描画をも意味している。
KrFエキシマレーザー(248nm)用レジスト以降、光吸収による感度低下を補うべく、化学増幅を利用したパターン形成方法が用いられている。例えば、ポジ型の化学増幅法では、まず、露光部に含まれる光酸発生剤が、光照射により分解して酸を発生する。そして、露光後のベーク(PEB:Post Exposure Bake)過程等において、発生した酸の触媒作用により、感光性組成物に含まれるアルカリ不溶性の基をアルカリ可溶性の基に変化させる。その後、例えばアルカリ溶液を用いて、現像を行う。これにより、露光部を除去して、所望のパターンを得る。
上記方法において、アルカリ現像液としては、種々のものが提案されている。例えば、このアルカリ現像液として、2.38質量%TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液)の水系アルカリ現像液が汎用的に用いられている。
半導体素子の微細化のために、露光光源の短波長化及び投影レンズの高開口数(高NA)化が進み、現在では、193nmの波長を有するArFエキシマレーザーを光源とする露光機が開発されている。解像力を更に高める技術として、投影レンズと試料との間に高屈折率の液体(以下、「液浸液」ともいう)を満たす方法(即ち、液浸法)が提唱されている。また、更に短い波長(13.5nm)の紫外光で露光を行なうEUVリソグラフィも提唱されている。
しかしながら、総合的に優れた性能を有したパターンを形成するために必要なレジスト組成物、現像液及びリンス液等の適切な組み合わせを見出すことは、極めて困難であるのが実情である。特に、レジストの解像線幅が微細化するにつれて、ラインパターンのラフネス性能の改良及びパターン寸法の面内均一性の改良が求められている。
このような現状のもと、近年では、ポジ型のレジスト組成物として、種々の構成が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、アルカリ現像によるパターン形成におけるネガ型レジスト組成物の開発も行われている(例えば、特許文献5〜8参照)。これは、半導体素子等の製造にあたっては、ライン、トレンチ及びホールなどの種々の形状を有するパターン形成の要請がある一方で、現状のポジ型レジストでは形成することが難しいパターンが存在するためである。
近年では、ネガ型現像液、即ち、有機溶剤を含んだ現像液を用いたパターン形成方法も開発されつつある(例えば、特許文献9〜11参照)。例えば、特許文献11には、基板上に、活性光線又は放射線の照射により、ポジ型現像液に対する溶解度が増大し、ネガ型現像液に対する溶解度が減少する、ポジ型レジスト組成物を塗布する工程、露光工程、及びネガ型現像液を用いて現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法が開示されている。この方法によると、高精度な微細パターンを安定的に形成することが可能となる。
しかしながら、上記の組成物においては、ラフネス特性、フォーカス余裕度(DOF; Depth Of Focus)、ブリッジ欠陥性能、及び、感度の露光後加熱(PEB)温度依存性について、更なる改善が求められている。
特開2008−203639号公報 特開2007−114613号公報 特開2006−131739号公報 特開2000−122295号公報 特開2006−317803号公報 特開2006−259582号公報 特開2006−195050号公報 特開2000−206694号公報 特開2008−281974号公報 特開2008−281975号公報 特開2008−292975号公報
本発明の目的は、ラフネス特性、フォーカス余裕度、ブリッジ欠陥性能、及び、感度の露光後加熱(PEB)温度依存性に優れた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、それを用いたパターン形成方法を提供することにある。
本発明は、例えば、以下の通りである。
〔1〕酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた第1繰り返し単位を含み且つ酸の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する第1化合物と、溶剤と、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する第2化合物とを含有した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
〔2〕前記第2化合物は含窒素化合物である〔1〕に記載の組成物。
〔3〕前記第2化合物は低分子化合物である〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔4〕前記第2化合物は下記一般式(1N)により表される〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の組成物。
一般式(1N)中、
Ra、Rb、Rb及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。Rb、Rb及びRbのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。但し、Rb、Rb及びRbの全てが同時に水素原子となる場合を除く。
Rcは、単結合又は2価の連結基を示す。
Rfは、有機基を表す。
xは0又は1を、yは1又は2を、zは1又は2をそれぞれ表し、x+y+z=3である。
x=z=1のとき、RaとRcとは、互いに結合して、含窒素複素環を形成していてもよい。
z=1のとき、Rfは、フッ素原子又はケイ素原子を含んでいる。
z=2のとき、2つのRfの少なくとも一方は、フッ素原子又はケイ素原子を含んでおり、2つのRc及び2つのRfは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、2つのRcは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
〔5〕前記第2化合物はオリゴマー又は高分子化合物である〔1〕又は〔2〕に記載の組成物。
〔6〕前記第2化合物は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含んだ第2繰り返し単位と、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方を備えた第3繰り返し単位とを含んでいる〔5〕に記載の組成物。
〔7〕前記第1繰り返し単位は、下記一般式(I−1)乃至(I−10)からなる群より選択される少なくとも1つにより表される〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の組成物。
式中、
Raは、各々独立に、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。ここで、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
は、(n+1)価の有機基を表す。
は、m≧2の場合は各々独立に、単結合又は(n+1)価の有機基を表す。
OPは、各々独立に、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる前記基を表す。n≧2及び/又はm≧2の場合、2以上のOPが互いに結合して、環を形成していてもよい。
Wは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
n及びmは、1以上の整数を表す。
lは、0以上の整数を表す。
は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−O−、−Ar−、−SO−又は−SONH−により表される連結基を表す。ここで、Arは、2価の芳香環基を表す。
Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
は、水素原子又は有機基を表す。
は、(m+2)価の連結基を表す。
は、m≧2の場合は各々独立に、(n+1)価の連結基を表す。
は、p≧2の場合は各々独立に、置換基を表す。p≧2の場合、複数のRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
pは、0〜3の整数を表す。
〔8〕酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる前記基は、下記一般式(II−1)乃至(II−9)からなる群より選択される少なくとも1つにより表される〔1〕〜〔7〕の何れかに記載の組成物。
式中、
は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
は、各々独立に、1価の有機基を表す。少なくとも2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。RとRとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。少なくとも2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。但し、3つの前記Rのうち1つ又は2つが水素原子である場合は、残りの前記Rのうち少なくとも1つは、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
〔9〕前記第1繰り返し単位は、下記一般式(III)により表される〔1〕〜〔8〕の何れかに記載の組成物。
式中、
は、(n+1)価の有機基を表す。
Raは、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。ここで、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
は、n≧2の場合は各々独立に、1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。RとRとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
nは、1以上の整数を表す。
〔10〕前記Rは非芳香族性の炭化水素基を表す〔9〕に記載の組成物。
〔11〕前記Rは脂環状炭化水素基を表す〔10〕に記載の組成物。
〔12〕酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる前記基は前記一般式(II−1)により表わされ、前記Rの少なくとも一方は1価の有機基を表す〔8〕〜〔11〕の何れかに記載の組成物。
〔13〕前記第1繰り返し単位は、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる前記基を2つ以上備えている〔1〕〜〔12〕の何れかに記載の組成物。
〔14〕前記樹脂は、アルコール性ヒドロキシ基を備えた繰り返し単位を更に含んでいる〔1〕〜〔13〕の何れかに記載の組成物。
〔15〕前記樹脂は、シアノ基を備えた繰り返し単位を更に含んでいる〔1〕〜〔14〕の何れかに記載の組成物。
〔16〕前記樹脂は、酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位を更に含んでいる〔1〕〜〔15〕の何れかに記載の組成物。
〔17〕〔1〕〜〔16〕の何れかに記載の組成物を用いて形成されたレジストパターン。
〔18〕(A)〔1〕〜〔16〕の何れかに記載の組成物を用いて膜を形成することと、(B)前記膜を露光することと、(C)前記露光された膜を現像することとを含んだパターン形成方法。
〔19〕前記現像は有機溶剤を含んだ現像液を用いて行われる〔18〕に記載の方法。
〔20〕前記現像液に含まれる前記有機溶剤は、エステル系、ケトン系、アルコール系、アミド系、エーテル系、及び炭化水素系の何れかである〔19〕に記載の方法。
〔21〕前記現像により形成されるパターンはネガ型である〔19〕又は〔20〕に記載の方法。
本発明によると、ラフネス特性、フォーカス余裕度、ブリッジ欠陥性能、及び、感度の露光後加熱(PEB)温度依存性に優れた感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物、並びに、それを用いたパターン形成方法を提供することが可能となる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、ここでは、置換又は無置換を明示していない基及び原子団には、置換基を有していないものと置換基を有しているものとの双方が含まれることとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有していないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有しているアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
<感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物>
まず、本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物について説明する。この組成物は、ネガ型の現像に用いてもよく、ポジ型の現像に用いてもよい。即ち、この組成物は、有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像に用いてもよく、アルカリ現像液を用いた現像に用いてもよい。本発明に係る組成物は、典型的には、ネガ型の現像、即ち有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像に用いられる。即ち、本発明に係る組成物は、典型的には、ネガ型のレジスト組成物である。
本発明に係る組成物は、(a)酸の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂(以下、酸分解性樹脂ともいう)と、(b)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、酸発生剤ともいう)と、(c)溶剤と、(d)フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する化合物とを含んでいる。
また、この組成物は、(e)塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する、(d)以外の化合物;(f)活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物;(g)疎水性樹脂;(h)界面活性剤;及び(i)その他の添加剤の少なくとも1つを更に含んでいてもよい。以下、これら各成分について、順に説明する。
(a)酸分解性樹脂
本発明に係る組成物は、酸分解性樹脂を含んでいる。酸分解性樹脂は、酸分解性基として、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位(P)を含んでいる。
本発明者らは、酸分解性基の少なくとも一部が酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基である場合、例えば、酸分解性基が酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる基のみからなる場合と比較して、例えば、感度、限界解像力、ラフネス特性、露光ラチチュード(EL)、露光後加熱(PEB)温度依存性、及びフォーカス余裕度(DOF)が向上することを見出している。その理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。即ち、本発明者らは、酸分解性基の少なくとも一部として酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を用いると、酸分解性樹脂の反応性が向上すると共に、酸分解性基の分解による上記樹脂の極性変化が大きくなり、有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解コントラストが向上するためであると考えている。
また、本発明者らは、酸分解性基の少なくとも一部が酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基である場合、酸分解性基が酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる基のみからなる場合と比較して、例えば、露光後加熱(PEB)時の膜厚の低下を抑制できることを見出している。本発明者らは、これは、前者の場合、後者の場合と比較して、酸の作用による分解の前後での樹脂の極性の変化がより大きいためであると考えている。なお、この極性変化の大きさの差異は、酸の作用により脱離する保護基の分子量が小さい場合に特に顕著である。
なお、上記の基が酸の作用により分解して生じ得るアルコール性ヒドロキシ基のpKaは、例えば12以上であり、典型的には12以上且つ20以下である。このpKaが過度に小さいと、酸分解性樹脂を含んだ組成物の安定性が低下し、性能の経時変動が大きくなる場合がある。なお、ここで「pKa」とは、富士通株式会社製「ACD/pKa DB」を用いて、カスタマイズをしていない初期設定のもとで計算した値である。
上記の繰り返し単位(P)は、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を2つ以上備えていることが好ましい。こうすると、酸分解性樹脂を含んだ組成物の限界解像力及びラフネス特性を更に向上させることができる。
繰り返し単位(P)は、下記一般式(I−1)乃至(I−10)からなる群より選択される少なくとも1つにより表されることが好ましい。この繰り返し単位は、下記一般式(I−1)乃至(I−3)からなる群より選択される少なくとも1つにより表されることがより好ましく、下記一般式(I−1)により表されることが更に好ましい。
式中、
Raは、各々独立に、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。ここで、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
は、(n+1)価の有機基を表す。
は、m≧2の場合は各々独立に、単結合又は(n+1)価の有機基を表す。
OPは、各々独立に、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる前記基を表す。n≧2及び/又はm≧2の場合、2以上のOPが互いに結合して、環を形成していてもよい。
Wは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
n及びmは、1以上の整数を表す。なお、一般式(I−2)、(I−3)又は(I−8)においてRが単結合を表す場合、nは1である。
lは、0以上の整数を表す。
は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−O−、−Ar−、−SO−又は−SONH−により表される連結基を表す。ここで、Arは、2価の芳香環基を表す。
Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
は、水素原子又は有機基を表す。
は、(m+2)価の連結基を表す。
は、m≧2の場合は各々独立に、(n+1)価の連結基を表す。
は、p≧2の場合は各々独立に、置換基を表す。p≧2の場合、複数のRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
pは、0〜3の整数を表す。
Raは、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。Raは、水素原子又は炭素数が1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
Wは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Wは、メチレン基又は酸素原子であることが好ましい。
は、(n+1)価の有機基を表す。Rは、好ましくは、非芳香族性の炭化水素基である。この場合、Rは、鎖状炭化水素基であってもよく、脂環状炭化水素基であってもよい。Rは、より好ましくは、脂環状炭化水素基である。
は、単結合又は(n+1)価の有機基を表す。Rは、好ましくは、単結合又は非芳香族性の炭化水素基である。この場合、Rは、鎖状炭化水素基であってもよく、脂環状炭化水素基であってもよい。
及び/又はRが鎖状炭化水素基である場合、この鎖状炭化水素基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。また、この鎖状炭化水素基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。例えば、R及び/又はRがアルキレン基である場合、R及び/又はRは、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基又はsec−ブチレン基であることが好ましい。
及び/又はRが脂環状炭化水素基である場合、この脂環状炭化水素基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。この脂環状炭化水素基は、例えば、モノシクロ、ビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造を備えている。この脂環状炭化水素基の炭素数は、通常は5以上であり、6〜30であることが好ましく、7〜25であることがより好ましい。
この脂環状炭化水素基としては、例えば、以下に列挙する部分構造を備えたものが挙げられる。これら部分構造の各々は、置換基を有していてもよい。また、これら部分構造の各々において、メチレン基(−CH−)は、酸素原子(−O−)、硫黄原子(−S−)、カルボニル基〔−C(=O)−〕、スルホニル基〔−S(=O)−〕、スルフィニル基〔−S(=O)−〕、又はイミノ基〔−N(R)−〕(Rは水素原子若しくはアルキル基)によって置換されていてもよい。
例えば、R及び/又はRがシクロアルキレン基である場合、R及び/又はRは、アダマンチレン基、ノルアダマンチレン基、デカヒドロナフチレン基、トリシクロデカニレン基、テトラシクロドデカニレン基、ノルボルニレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、シクロデカニレン基、又はシクロドデカニレン基であることが好ましく、アダマンチレン基、ノルボルニレン基、シクロヘキシレン基、シクロペンチレン基、テトラシクロドデカニレン基又はトリシクロデカニレン基であることがより好ましい。
及び/又はRの非芳香族性の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、カルボキシ基、及び炭素数2〜6のアルコキシカルボニル基が挙げられる。上記のアルキル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、及びアルコキシ基が挙げられる。
は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−O−、−Ar−、−SO−又は−SONH−により表される連結基を表す。ここで、Arは、2価の芳香環基を表す。Lは、好ましくは−COO−、−CONH−又は−Ar−により表される連結基であり、より好ましくは−COO−又は−CONH−により表される連結基である。
Rは、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3である。Rは、好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
は、水素原子又は有機基を表す。有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキニル基、及びアルケニル基が挙げられる。Rは、好ましくは、水素原子又はアルキル基であり、より好ましくは、水素原子又はメチル基である。
は、(m+2)価の連結基を表す。即ち、Lは、3価以上の連結基を表す。このような連結基としては、例えば、後掲の具体例における対応した基が挙げられる。
は、(n+1)価の連結基を表す。即ち、Rは、2価以上の連結基を表す。このような連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基及び後掲の具体例における対応した基が挙げられる。Rは、互いに結合して又は下記Rと結合して、環構造を形成していてもよい。
は、置換基を表す。この置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子が挙げられる。
nは、1以上の整数である。nは、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。また、nを2以上とすると、有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解コントラストを更に向上させることが可能となる。従って、こうすると、限界解像力及びラフネス特性を更に向上させることができる。
mは、1以上の整数である。mは、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
lは、0以上の整数である。lは、0又は1であることが好ましい。
pは、0〜3の整数である。
以下に、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位の具体例を示す。なお、具体例中、Ra及びOPは、一般式(I−1)乃至(I−3)における各々と同義である。また、複数のOPが互いに結合して環を形成している場合、対応する環構造は、便宜上「O−P−O」と表記している。
酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基は、下記一般式(II−1)〜(II−4)からなる群より選択される少なくとも1つにより表されることが好ましい。
式中、
は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
は、各々独立に、1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。RとRとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。少なくとも2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。但し、3つの前記Rのうち1つ又は2つが水素原子である場合は、残りの前記Rのうち少なくとも1つは、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基は、下記一般式(II−5)〜(II−9)からなる群より選択される少なくとも1つにより表されることも好ましい。
式中、
は、一般式(II−1)〜(II−3)におけるものと同義である。
は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基は、一般式(II−1)乃至(II−3)から選択される少なくとも1つにより表されることがより好ましく、一般式(II−1)又は(II−3)により表されることが更に好ましく、一般式(II−1)により表されることが特に好ましい。
は、上述した通り、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。Rのアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。Rのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、及びn−ブチル基が挙げられる。
のシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。Rのシクロアルキル基の炭素数は、3〜10であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。Rのシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、及びアダマンチル基が挙げられる。
また、一般式(II−1)において、Rの少なくとも一方は、1価の有機基であることが好ましい。このような構成を採用すると、特に高い感度を達成することができる。
は、1価の有機基を表す。Rは、アルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましい。これらアルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
のアルキル基は、置換基を有していないか、又は、1つ以上のアリール基及び/又は1つ以上のシリル基を置換基として有していることが好ましい。無置換アルキル基の炭素数は、1〜20であることが好ましい。1つ以上のアリール基により置換されたアルキル基におけるアルキル基部分の炭素数は、1〜25であることが好ましい。1つ以上のシリル基により置換されたアルキル基におけるアルキル基部分の炭素数は、1〜30であることが好ましい。また、Rのシクロアルキル基が置換基を有していない場合、その炭素数は、3〜20であることが好ましい。
は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。但し、3つのRのうち1つ又は2つが水素原子である場合は、残りのRのうち少なくとも1つは、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Rは、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基を有していなくてもよい。アルキル基が置換基を有していない場合、その炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが好ましい。
は、上述した通り、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は置換基を有していないアルキル基であることが更に好ましい。Rは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜10であり且つ置換基を有していないアルキル基であることが更に好ましい。
なお、R、R及びRのアルキル基及びシクロアルキル基としては、例えば、先にRについて説明したのと同様のものが挙げられる。
以下に、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基の具体例を示す。
上述した通り、繰り返し単位(P)は、上記一般式(I−1)により表されることが特に好ましい。また、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基は、上記一般式(II−1)により表されることが特に好ましい。即ち、繰り返し単位(P)は、下記一般式(III)により表されることが特に好ましい。
式中、R、Ra、R、R、及びnは、一般式(I−1)及び(II−1)における各々と同義である。
繰り返し単位(P)の好ましい態様として、例えば、下記一般式(D−1)により表される部分構造を有するものも挙げられる。
式中、
D1は、単結合又は2価以上の連結基を表す。
は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。3つのRのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
D1は、単結合、又は、炭素数が1以上の連結基を表す。
D1、R及びXD1は、互いに結合して、環を形成していてもよい。また、LD1、R及びXD1の少なくとも1つは、ポリマーの主鎖を構成している炭素原子と結合して、環を形成していてもよい。
D1は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。2つのRD1は、互いに結合して、環を形成していてもよい。
D1により表される2価以上の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CONH−、−O−、−Ar−、−SO−、−SONH−、アルキレン基、シクロアルキレン基、又は、これらの2以上の組み合わせにより表される連結基が挙げられる。ここで、Arは、2価の芳香環基を表す。
D1がアルキレン基を含んでいる場合、このアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基が挙げられる。
D1がシクロアルキレン基を含んでいる場合、このシクロアルキレン基の炭素数は、3〜10であることが好ましく、5〜7であることが更に好ましい。このようなシクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、及びシクロヘキシレン基が挙げられる。
これらアルキレン基及びシクロアルキレン基の各々は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メルカプト基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;シアノ基;ニトロ基;スルホニル基;シリル基;エステル基;アシル基;ビニル基;及びアリール基が挙げられる。
D1は、−COO−を含んでいることが好ましく、−COO−とアルキレン基との組み合わせにより表される連結基であることがより好ましく、−COO−(CH−により表される連結基であることが更に好ましい。ここで、nは自然数を表し、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。
また、LD1が−COO−とアルキレン基との組み合わせにより表される連結基である場合、このアルキレン基とRとが互いに結合して環を形成する態様も好ましい。
により表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3である。
により表されるシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、及びアダマンチル基が挙げられる。
3つのRのうち少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環は、5〜7員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
D1により表される炭素数が1以上の連結基としては、例えば、アルキレン基が挙げられる。このアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましく、1であることが特に好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基が挙げられる。
D1により表されるアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6であり、より好ましくは1〜3である。
D1により表されるシクロアルキル基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。このシクロアルキル基としては、例えば、Rにより表されるシクロアルキル基として先に説明したのと同様のものが挙げられる。
2つのRD1が互いに結合して形成し得る環は、単環式であってもよく、多環式であってもよいが、溶剤への溶解性の観点から、単環式であることがより好ましい。また、この環は、5〜7員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
上記一般式(D−1)により表される繰り返し単位(P)は、典型的には、下記一般式(D−2)により表される構成を有している。
式中、
Raは、上記一般式(I−1)におけるものと同義である。Raは、メチル基であることが特に好ましい。
D1、R、XD1及びRD1は、上記一般式(D−1)における各々と同義である。
以下に、一般式(D−1)により表される繰り返し単位(P)の具体例を挙げる。
酸分解性樹脂は、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位(P)を2種類以上含んでいてもよい。このような構成を採用すると、反応性及び/又は現像性の微調整が可能となり、諸性能の最適化が容易となる。
酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位の含有量は、酸分解性樹脂の全繰り返し単位に対して、好ましくは10mol%〜100mol%の範囲内とし、より好ましくは30mol%〜90mol%の範囲内とし、更に好ましくは50mol%〜80mol%の範囲内とする。
酸分解性樹脂は、上記の繰り返し単位(P)以外に、他の繰り返し単位を更に含んでいてもよい。他の繰り返し単位としては、例えば、以下に説明するものが挙げられる。
(A)極性基を有する繰り返し単位
酸分解性樹脂は、極性基を有する繰り返し単位(A)を更に含んでいることが好ましい。こうすると、例えば、酸分解性樹脂を含んだ組成物の感度を更に向上させることができる。
繰り返し単位(A)が含み得る「極性基」としては、例えば、以下の(1)〜(4)が挙げられる。なお、以下において、「電気陰性度」とは、Paulingによる値を意味している。
(1)酸素原子と、酸素原子との電気陰性度の差が1.1以上である原子とが、単結合により結合した構造を含む官能基
このような極性基としては、例えば、ヒドロキシ基などのO−Hにより表される構造を含んだ基が挙げられる。
(2)窒素原子と、窒素原子との電気陰性度の差が0.6以上である原子とが、単結合により結合した構造を含む官能基
このような極性基としては、例えば、アミノ基などのN−Hにより表される構造を含んだ基が挙げられる。
(3)電気陰性度が0.5以上異なる2つの原子が二重結合又は三重結合により結合した構造を含む官能基
このような極性基としては、例えば、C≡N、C=O、N=O、S=O又はC=Nにより表される構造を含んだ基が挙げられる。
(4)イオン性部位を有する官能基
このような極性基としては、例えば、N又はSにより表される部位を有する基が挙げられる。
繰り返し単位(A)が含み得る「極性基」は、例えば、(I)ヒドロキシ基、(II)シアノ基、(III)ラクトン基、(IV)カルボン酸基又はスルホン酸基、(V)アミド基、スルホンアミド基又はこれらの誘導体に対応した基、(VI)アンモニウム基又はスルホニウム基、及び、これらの2以上を組み合わせてなる基からなる群より選択される少なくとも1つである。
この極性基は、アルコール性ヒドロキシ基、シアノ基、ラクトン基、又は、シアノラクトン構造を含んだ基であることが特に好ましい。
酸分解性樹脂にアルコール性ヒドロキシ基を備えた繰り返し単位を更に含有させると、酸分解性樹脂を含んだ組成物の露光ラチチュード(EL)を更に向上させることができる。
酸分解性樹脂にシアノ基を備えた繰り返し単位を更に含有させると、酸分解性樹脂を含んだ組成物の感度を更に向上させることができる。
酸分解性樹脂にラクトン基を備えた繰り返し単位を更に含有させると、有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解コントラストを更に向上させることができる。また、こうすると、酸分解性樹脂を含んだ組成物のドライエッチング耐性、塗布性、及び基板との密着性を更に向上させることも可能となる。
酸分解性樹脂にシアノ基を有するラクトン構造を含んだ基を備えた繰り返し単位を更に含有させると、有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解コントラストを更に向上させることができる。また、こうすると、酸分解性樹脂を含んだ組成物の感度、ドライエッチング耐性、塗布性、及び基板との密着性を更に向上させることも可能となる。加えて、こうすると、シアノ基及びラクトン基のそれぞれに起因した機能を単一の繰り返し単位に担わせることが可能となり、酸分解性樹脂の設計の自由度を更に増大させることも可能となる。
以下に、「極性基」が含み得る構造の具体例を挙げる。
好ましい繰り返し単位(A)としては、例えば、上記の繰り返し単位(P)において、「酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基」を「アルコール性ヒドロキシ基」に置換したものが挙げられる。
このような繰り返し単位(A)は、上記一般式(I−1)乃至(I−10)の各々において、「OP」を「OH」に置換した構造を有していることが好ましい。即ち、この繰り返し単位は、下記一般式(I−1H)乃至(I−10H)からなる群より選択される少なくとも1つにより表されることが好ましい。特には、この繰り返し単位(A)は、下記一般式(I−1H)乃至(I−3H)からなる群より選択される少なくとも1つにより表されることがより好ましく、下記一般式(I−1H)により表されることが更に好ましい。
式中、Ra、R、R、OP、W、n、m、l、L、R、R、L、R、R及びpは、一般式(I−1)乃至(I−10)における各々と同義である。
酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位と、上記一般式(I−1H)乃至(I−10H)からなる群より選択される少なくとも1つにより表される繰り返し単位とを併用すると、例えば、アルコール性ヒドロキシ基による酸拡散の抑制と、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基による感度の増大とにより、他の性能を劣化させることなしに、露光ラチチュード(EL)を改良することが可能となる。
上記の繰り返し単位(P)において、「酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基」を「アルコール性ヒドロキシ基」に置換した繰り返し単位(A)の含有率は、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、5〜100mol%が好ましく、より好ましくは10〜90mol%、更に好ましくは20〜80mol%である。
以下に、一般式(I−1H)乃至(I−10H)の何れかにより表される繰り返し単位の具体例を示す。なお、具体例中、Raは、一般式(I−1H)乃至(I−10H)におけるものと同義である。
他の好ましい繰り返し単位(A)としては、例えば、ヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位が挙げられる。これにより基板密着性、及び現像液親和性が向上する。
ヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位は、ヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造を有する繰り返し単位であることが好ましく、酸分解性基を有さないことが好ましい。ヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造に於ける、脂環炭化水素構造としては、アダマンチル基、ジアマンチル基、ノルボルナン基が好ましい。好ましいヒドロキシ基又はシアノ基で置換された脂環炭化水素構造としては、下記一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造が好ましい。
一般式(VIIa)〜(VIIc)に於いて、
c〜Rcは、各々独立に、水素原子、ヒドロキシ基又はシアノ基を表す。ただし、Rc〜Rcの内の少なくとも1つは、ヒドロキシ基又はシアノ基を表す。好ましくは、Rc〜Rcの内の1つ又は2つが、ヒドロキシ基で、残りが水素原子である。一般式(VIIa)に於いて、更に好ましくは、Rc〜Rcの内の2つが、ヒドロキシ基で、残りが水素原子である。
一般式(VIIa)〜(VIId)で表される部分構造を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AIIa)〜(AIId)により表される繰り返し単位を挙げることができる。
一般式(AIIa)〜(AIId)に於いて、
1cは、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
2c〜R4cは、一般式(VIIa)〜(VIIc)に於ける、R2c〜R4cと同義である。
ヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位の含有率は、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、5〜70mol%が好ましく、より好ましくは5〜60mol%、更に好ましくは10〜50mol%である。
ヒドロキシ基又はシアノ基を有する繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
他の好ましい繰り返し単位(A)としては、例えば、ラクトン構造を備えた繰り返し単位が挙げられる。
ラクトン構造を備えた繰り返し単位は、5〜7員環のラクトン構造を備えていることが好ましく、5〜7員環のラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環しているものが更に好ましい。
より具体的には、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表されるラクトン構造が挙げられる。好ましいラクトン構造としては、(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)及び(LC1−17)が挙げられる。特定のラクトン構造を用いることにより、ラインエッジラフネス及び現像欠陥を更に減少させ得る。
式中、Rbは置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。nは0〜2の整数であることが好ましい。
Rbの好ましい例としては、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数4〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、及び後述する酸分解性基が挙げられる。これらのうち、炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基又は酸分解性基が特に好ましい。なお、n≧2の場合、複数のRbは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、これら複数のRbは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
ラクトン構造を備えた繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(AII’)により表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(AII’)中、
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子が挙げられる。Rb0のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子を挙げる
ことができる。好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基であり、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Vは、上記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の内のいずれかで示される構造を有する基を表す。
ラクトン構造を備えた繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
ラクトン構造を備えた繰り返し単位の好ましい例としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン基を選択することにより、例えば、パターンプロファイル及び/又は疎密依存性を最適化できる。
なお、ラクトン基を備えた繰り返し単位には、通常は光学異性体が存在するが、上述したように、何れの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度が90%ee以上であることが好ましく、95%ee以上であることがより好ましい。
ラクトン基を備えた繰り返し単位は、下記一般式(1)により表される繰り返し単位であってもよい。
一般式(1)中、
Aは、エステル結合又はアミド結合を表す。
は、n≧2の場合は各々独立に、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はそれらの組み合わせを表す。
Zは、n≧2の場合は各々独立に、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合
又はウレア結合
を表す。式中、Rは、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
は、ラクトン構造を備えた1価の有機基を表す。
は、1〜5の整数を表す。nは、1であることが好ましい。
は、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。このアルキル基は、置換基を有していてもよい。Rは、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。
は、上述した通り、アルキレン基、シクロアルキレン基、又はそれらの組み合わせを表す。
としてのアルキレン基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。アルキレン基の炭素数は、1〜6であることが好ましく、1〜3であることが更に好ましい。このようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基が挙げられる。
としてのシクロアルキレン基の炭素数は、3〜10であることが好ましく、5〜7であることが更に好ましい。このようなシクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、及びシクロヘキシレン基が挙げられる。
これらアルキレン基及びシクロアルキレン基の各々は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子等のハロゲン原子;メルカプト基;ヒドロキシ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基及びベンジルオキシ基のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基等のシクロアルキル基;シアノ基;ニトロ基;スルホニル基;シリル基;エステル基;アシル基;ビニル基;及びアリール基が挙げられる。
Zは、上述した通り、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレタン結合又はウレア結合を表す。Zは、好ましくはエーテル結合又はエステル結合であり、特に好ましくはエステル結合を表す。
は、上述した通り、ラクトン構造を備えた1価の有機基を表す。この有機基は、例えば、上記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表されるラクトン構造を備えている。これらのうち、一般式(LC1−4)、(LC1−5)又は(LC1−17)により表される構造がより好ましく、一般式(LC1−4)により表される構造が特に好ましい。
は、無置換のラクトン構造を備えているか、又は、メチル基、シアノ基若しくはアルコキシカルボニル基を置換基として有するラクトン構造を備えていることが好ましい。特には、R8は、シアノ基を置換基として有するラクトン構造(即ち、シアノラクトン構造)を備えた1価の有機基であることが好ましい。
以下に、一般式(1)により表される繰り返し単位の具体例を示す。下記具体例中、Rは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。このアルキル基は、置換基を有していてもよい。Rは、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。
一般式(1)により表される繰り返し単位は、好ましくは、下記一般式(2)により表される繰り返し単位である。
一般式(2)中、
、A、R、Z及びnは、一般式(1)における各々と同義である。
Rbは、m≧2の場合には各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を表す。なお、m≧2の場合、2つ以上のRbが互いに結合し、環を形成していてもよい。
Xは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
mは、0〜5の整数を表す。mは、0又は1であることが好ましい。
Rbのアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル基が挙げられる。アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、及びt−ブトキシカルボニル基が挙げられる。アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基及びt−ブトキシ基が挙げられる。Rbのアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシカルボニル基及びアルコキシ基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、メトキシ基及びエトキシ基などのアルコキシ基;シアノ基;並びにフッ素原子などのハロゲン原子が挙げられる。Rbは、メチル基、シアノ基又はアルコキシカルボニル基であることがより好ましく、シアノ基であることが更に好ましい。
m≧1である場合、少なくとも1つのRbは、ラクトンのカルボニル基のα位又はβ位に置換していることが好ましい。特には、Rbは、ラクトンのカルボニル基のα位に置換していることが好ましい。
Xのアルキレン基としては、例えば、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。Xは、酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
以下に、一般式(2)により表される繰り返し単位の具体例を示す。下記具体例中、Rは、水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表す。このアルキル基は、置換基を有していてもよい。Rは、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を表す。
本発明の効果を高めるために、一般式(1)から選ばれる2種以上のラクトン繰り返し単位を併用することも可能である。併用する場合には一般式(1)の内、nが1である繰り返し単位から2種以上を選択し併用することが好ましい。
ラクトン構造を備えた繰り返し単位の含有量は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、10〜80mol%であることが好ましく、15〜70mol%であることがより好ましく、20〜60mol%であることが更に好ましい。
他の好ましい繰り返し単位(A)としては、例えば、カルボキシ基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、ビススルホニルイミド基、又はα位が電子求引性基で置換された脂肪族アルコール基(例えばヘキサフルオロイソプロパノール基)を備えたものが挙げられる。この繰り返し単位(A)は、カルボキシ基を備えていることがより好ましい。
上記基を有する繰り返し単位を含有することにより、コンタクトホール用途での解像性が増す。このような繰り返し単位(A)としては、アクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位のような樹脂の主鎖に直接上記基が結合している繰り返し単位、あるいは連結基を介して樹脂の主鎖に上記基が結合している繰り返し単位、さらには上記基を有する重合開始剤や連鎖移動剤を重合時に用いてポリマー鎖の末端に導入、のいずれも好ましく、連結基は単環又は多環の環状炭化水素構造を有していてもよい。特に好ましくはアクリル酸、メタクリル酸による繰り返し単位である。
上記基を有する繰り返し単位(A)の含有率は、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、0〜20mol%が好ましく、より好ましくは3〜15mol%、更に好ましくは5〜10mol%である。
上記基を有する繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rxは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
(B)酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基以外の極性基を生じる基を備えた繰り返し単位
酸分解性樹脂は、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基以外の極性基を生じる基を備えた繰り返し単位(B)を更に含んでいることが好ましい。特には、酸分解性樹脂は、酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。この場合、酸分解性樹脂を含んだ組成物のフォーカス余裕度(DOF)を更に向上させることができる。
繰り返し単位(B)は、極性基が酸の作用により分解し脱離する基で保護された構造を有することが好ましい。この極性基としては、例えば、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基等が挙げられる。好ましい極性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基が挙げられる。
酸分解性基として好ましい基は、これらの極性基の水素原子を酸で脱離する基で置換した基である。
酸で脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(R36)(R37)(OR39)、−C(R01)(R02)(OR39)等を挙げることができる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
酸分解性基としては、好ましくは、クミルエステル基、エノールエステル基、アセタールエステル基、第3級のアルキルエステル基等である。更に好ましくは、第3級アルキルエステル基である。
酸分解性樹脂が含有し得る、酸分解性基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(AI)により表される繰り返し単位が好ましい。
一般式(AI)に於いて、
Xa1は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH2−R9で表される基を表す。R9は、ヒドロキシ基又は1価の有機基を表し、例えば、炭素数5以下のアルキル基、アシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。Xa1は好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、アルキル基(直鎖若しくは分岐)又はシクロアルキル基(単環若しくは多環)を表す。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して、シクロアルキル基(単環若しくは多環)を形成してもよい。
Tの2価の連結基としては、アルキレン基、−COO−Rt−基、−O−Rt−基等が挙げられる。式中、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−COO−Rt−基が好ましい。Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基、−(CH23−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
Rx1〜Rx3のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが結合して形成されるシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが結合して上述のシクロアル
キル基を形成している態様が好ましい。
上記各基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えば、アルキル基(炭素数1〜4)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基(炭素数1〜4)、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基(炭素数2〜6)などが挙げられ、炭素数8以下が好ましい。
酸分解性樹脂は、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(I)により表される繰り返し単位及び/又は一般式(II)により表される繰り返し単位を有することがより好ましい。
式(I)及び(II)中、
1、R3は、各々独立して、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH2−R9で表される基を表す。R9は1価の有機基を表す。
2、R4、R5、R6は、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rは、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。
1は、好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
2におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有していてもよい。
2におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有していてもよい。
2は好ましくはアルキル基であり、より好ましくは炭素数1〜10、更に好ましくは炭素数1〜5のものであり、例えばメチル基、エチル基が挙げられる。
Rは、炭素原子とともに脂環構造を形成するのに必要な原子団を表す。Rが形成する脂環構造としては、好ましくは、単環の脂環構造であり、その炭素数は好ましくは3〜7、より好ましくは5又は6である。
3は好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
4、R5、R6におけるアルキル基は、直鎖型でも分岐型でもよく、置換基を有してい
てもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの炭素数1〜4のものが好ましい。
4、R5、R6におけるシクロアルキル基は、単環でも多環でもよく、置換基を有して
いてもよい。シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。
一般式(I)により表される繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(1−a)により表される繰り返し単位が挙げられる。
式中、R1及びR2は、一般式(I)における各々と同義である。
一般式(II)により表される繰り返し単位は、以下の一般式(II−1)により表される繰り返し単位であることがより好ましい。
式(II−1)中、
〜Rは、一般式(II)におけるものと同義である。
10は極性基を含む置換基を表す。R10が複数存在する場合、互いに同じでも異なっていてもよい。極性基を含む置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基、アルキルアミド基又はスルホンアミド基を有する、直鎖又は分岐のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシ基を有するアルキル基である。分岐状アルキル基としてはイソプロピル基が特に好ましい。
pは0〜15の整数を表す。pは好ましくは0〜2、より好ましくは0又は1である。
酸分解性樹脂は、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(I)により表される繰り返し単位及び一般式(II)により表される繰り返し単位の少なくとも一方を含んだ樹脂であることがより好ましい。また、他の形態において、一般式(AI)により表される繰り返し単位として、一般式(I)により表される繰り返し単位の少なくとも2種を含んだ樹脂であることがより好ましい。
本発明の樹脂が、繰り返し単位(B)を有する場合、その合計としての含有率は、樹脂中の全繰り返し単位に対し、3〜50mol%が好ましく、5〜40mol%がより好ましく、7〜30mol%が更に好ましい。
また、この場合、繰り返し単位(B)と繰り返し単位(P)とのモル比は、5:95〜70:30であることが好ましく、7:93〜50:50であることがより好ましく、10:90〜30:70であることが特に好ましい。
好ましい繰り返し単位(B)の具体例を以下に示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
具体例中、Rx、Xa1は、水素原子、CH、CF、又はCHOHを表す。Rxa、Rxbはそれぞれ炭素数1〜4のアルキル基を表す。Zは、極性基を含む置換基を表し、複数存在する場合は各々独立である。pは0又は正の整数を表す。
酸分解性樹脂が複数の繰り返し単位(B)を含んでいる場合、好ましい組み合わせとしては、以下のものが挙げられる。下式において、Rは、各々独立に、水素原子又はメチル基を表す。
(C)極性基を備えていない脂環炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位
酸分解性樹脂は、極性基を持たない脂環炭化水素構造を有し且つ酸分解性を示さない繰り返し単位(C)を更に含んでいてもよい。繰り返し単位(C)としては、例えば、一般式(IV)により表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(IV)中、Rは少なくとも一つの環状構造を有し、水酸基及びシアノ基のいずれも有さない炭化水素基を表す。
Raは水素原子、アルキル基又は−CH2−O−Ra2基を表す。式中、Ra2は、水素
原子、アルキル基又はアシル基を表す。Raは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
が有する環状構造には、単環式炭化水素基及び多環式炭化水素基が含まれる。単環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基、シクロオクチル基などの炭素数3から12のシクロアルキル基、シクロへキセニル基など炭素数3から12のシクロアルケニル基が挙げられる。好ましい単環式炭化水素基としては、炭素数3から7の単環式炭化水素基であり、より好ましくは、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
多環式炭化水素基には環集合炭化水素基、架橋環式炭化水素基が含まれ、環集合炭化水素基の例としては、ビシクロヘキシル基、パーヒドロナフタレニル基などが含まれる。架橋環式炭化水素環として、例えば、ピナン、ボルナン、ノルピナン、ノルボルナン、ビシクロオクタン環(ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環等)などの2環式炭化水素環及び、ホモブレダン、アダマンタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン環などの3環式炭化水素環、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、パーヒドロ−1,4−メタノ−5,8−メタノナフタレン環などの4環式炭化水素環などが挙げられる。また、架橋環式炭化水素環には、縮合環式炭化水素環、例えば、パーヒドロナフタレン(デカリン)、パーヒドロアントラセン、パーヒドロフェナントレン、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロフルオレン、パーヒドロインデン、パーヒドロフェナレン環などの5〜8員シクロアルカン環が複数個縮合した縮合環も含まれる。
好ましい架橋環式炭化水素環として、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビシクロオクタニル基、トリシクロ[5、2、1、02,6]デカニル基、などが挙げられる。より好ましい架橋環式炭化水素環としてノルボニル基、アダマンチル基が挙げられる。
これらの脂環式炭化水素基は置換基を有していても良く、好ましい置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基などが挙げられる。好ましいハロゲン原子としては臭素、塩素、フッ素原子、好ましいアルキル基としてはメチル、エチル、ブチル、t−ブチル基が挙げられる。上記のアルキル基はさらに置換基を有していても良く、更に有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、保護基で保護されたヒドロキシル基、保護基で保護されたアミノ基を挙げることができる。
保護基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、置換メチル基、置換エチル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4のアルキル基、好ましい置換メチル基としてはメトキシメチル、メトキシチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル基、好ましい置換エチル基としては、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、好ましいアシル基としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル基などの炭素数1〜6の脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基としては炭素数1〜4のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。
繰り返し単位(C)の含有率は、酸分解性樹脂中の全繰り返し単位に対し、0〜40mol%が好ましく、より好ましくは1〜20mol%である。
繰り返し単位(C)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。式中、Raは、H、CH、CHOH、又はCFを表す。
(D)その他の繰り返し単位
酸分解性樹脂は、上記の繰り返し構造単位以外に、ドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、パターンプロファイル、さらに感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の一般的な必要な特性である解像力、耐熱性、感度等を調節する目的で様々な繰り返し構造単位を有することができる。
このような繰り返し構造単位としては、下記の単量体に相当する繰り返し構造単位を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
これにより、本発明の組成物に用いられる樹脂に要求される性能、特に、
(1)塗布溶剤に対する溶解性、(2)製膜性(ガラス転移点)、(3)有機溶剤に対する現像性、(4)膜べり(親疎水性、極性基選択)、(5)未露光部の基板への密着性、(6)ドライエッチング耐性、等の微調整が可能となる。
このような単量体として、例えばアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物等を挙げることができる。
その他にも、上記種々の繰り返し構造単位に相当する単量体と共重合可能である付加重合性の不飽和化合物であれば、共重合されていてもよい。
なお、酸分解性樹脂において、各繰り返し構造単位の含有モル比は、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物のドライエッチング耐性や標準現像液適性、基板密着性、パターンプロファイル、さらには、上記組成物の一般的な必要性能である解像力、耐熱性、感度等を調節するために適宜設定される。
本発明に係る組成物をArF露光用に用いる場合、ArF光への透明性の点から、酸分解性樹脂は芳香族基を有さないことが好ましい。特には、酸分解性樹脂は、単環又は多環の脂環炭化水素構造を有することが好ましい。
また、酸分解性樹脂は、後述する化合物(d)及び疎水性樹脂(g)との相溶性の観点から、フッ素原子及びケイ素原子を含有しないことが好ましい。
酸分解性樹脂として好ましくは、繰り返し単位のすべてが(メタ)アクリレート系繰り返し単位で構成されたものである。この場合、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがアクリレート系繰り返し単位であるもの、繰り返し単位のすべてがメタクリレート系繰り返し単位とアクリレート系繰り返し単位とによるもののいずれのものでも用いることができるが、アクリレート系繰り返し単位が全繰り返し単位の50mol%以下であることが好ましい。
本発明に係る組成物にKrFエキシマレーザー光、電子線、X線、波長50nm以下の高エネルギー光線(EUVなど)を照射する場合には、酸分解性樹脂は、更に、ヒドロキシスチレン系繰り返し単位を有することが好ましい。更に好ましくはヒドロキシスチレン系繰り返し単位と、酸分解性基で保護されたヒドロキシスチレン系繰り返し単位、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル等の酸分解性繰り返し単位を有することが好ましい。
ヒドロキシスチレン系の好ましい酸分解性基を有する繰り返し単位としては、例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、1−アルコキシエトキシスチレン、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルによる繰り返し単位等を挙げることができ、2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート及びジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレートによる繰り返し単位がより好ましい。
本発明の酸分解性樹脂は、常法に従って(例えばラジカル重合)合成することができる。例えば、一般的合成方法としては、モノマー種及び開始剤を溶剤に溶解させ、加熱することにより重合を行う一括重合法、加熱溶剤にモノマー種と開始剤の溶液を1〜10時間かけて滴下して加える滴下重合法などが挙げられ、滴下重合法が好ましい。反応溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類や、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステル溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド溶剤、さらには後述のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノンのような本発明の組成物を溶解する溶媒が挙げられる。より好ましくは本発明の組成物に用いられる溶剤と同一の溶剤を用いて重合することが好ましい。これにより保存時のパーティクルの発生が抑制できる。
重合反応は窒素やアルゴンなど不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。重合開始剤としては市販のラジカル開始剤(アゾ系開始剤、パーオキサイドなど)を用いて重合を開始させる。ラジカル開始剤としてはアゾ系開始剤が好ましく、エステル基、シアノ基、カルボキシ基を有するアゾ系開始剤が好ましい。好ましい開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ジメチル2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが挙げられる。所望により開始剤を追加、あるいは分割で添加し、反応終了後、溶剤に投入して粉体あるいは固形回収等の方法で所望のポリマーを回収する。反応の濃度は5〜50質量%であり、好ましくは10〜30質量%である。反応温度は、通常10℃〜150℃であり、好ましくは30℃〜120℃、さらに好ましくは60〜100℃である。
本発明の酸分解性樹脂の重量平均分子量は、GPC法によりポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜200,000であり、より好ましくは2,000〜20,000、更により好ましくは3,000〜15,000、特に好ましくは3,000〜10,000である。重量平均分子量を、1,000〜200,000とすることにより、耐熱性やドライエッチング耐性の劣化を防ぐことができ、且つ現像性が劣化したり、粘度が高くなって製膜性が劣化することを防ぐことができる。
分散度(分子量分布)は、通常1〜3であり、好ましくは1〜2.6、更に好ましくは1〜2、特に好ましくは1.4〜2.0の範囲のものが使用される。分子量分布の小さいものほど、解像度、パターン形状が優れ、且つパターンの側壁がスムーズであり、ラフネス性に優れる。
本発明において酸分解性樹脂の組成物全体中の配合率は、全固形分中30〜99質量%が好ましく、より好ましくは60〜95質量%である。
また、本発明の樹脂は、1種で使用してもよいし、複数併用してもよい。なお、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した酸分解性樹脂以外の他の樹脂を併用してもよい。
以下に、酸分解性樹脂の具体例を示す。また、下記表1に、これら樹脂の重量平均分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)、及び、各繰り返し単位の組成比(左から順に対応)を示す。
(b)酸発生剤
本発明に係る組成物は、酸発生剤を含んでいる。酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
酸発生剤としては、例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、米国特許第3,849,137号明細書、独国特許第3914407号明細書、特開昭63−26653号公報、特開昭55−164824号公報、特開昭62−69263号公報、特開昭63−146038号公報、特開昭63−163452号公報、特開昭62−153853号公報、特開昭63−146029号公報等に記載の化合物を用いることができる。
さらに米国特許第3,779,778号明細書、欧州特許第126,712号明細書等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
酸発生剤の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)又は(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
上記一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表す。
-としての非求核性アニオンとしては、例えば、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチアニオン等を挙げることができる。
非求核性アニオンとは、求核反応を起こす能力が著しく低いアニオンであり、分子内求核反応による経時分解を抑制することができるアニオンである。これによりレジストの経時安定性が向上する。
スルホン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族スルホン酸アニオン、芳香族スルホン酸アニオン、カンファースルホン酸アニオンなどが挙げられる。
カルボン酸アニオンとしては、例えば、脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン、アラルキルカルボン酸アニオンなどが挙げられる。
脂肪族スルホン酸アニオンにおける脂肪族部位は、アルキル基であってもシクロアルキル基であってもよく、好ましくは炭素数1〜30のアルキル基及び炭素数3〜30のシクロアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基等を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンにおける芳香族基としては、好ましくは炭素数6〜14のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等を挙げることができる。
脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。脂肪族スルホン酸アニオン及び芳香族スルホン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の置換基としては、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子)、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アミノ基、シアノ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜15)、アリール基(好まし
くは炭素数6〜14)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜7)、アシル基(好ましくは炭素数2〜12)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜7)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜15)、アルキルイミノスルホニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数6〜20)、アルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数7〜20)、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基(好ましくは炭素数10〜20)、アルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数5〜20)、シクロアルキルアルキルオキシアルキルオキシ基(好ましくは炭素数8〜20)等を挙げることができる。各基が有するアリール基及び環構造については、置換基としてさらにアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
芳香族スルホン酸アニオンとしては、下記式(BI)により表されるスルホン酸に対応したアリールスルホン酸アニオンも好ましい。
式(BI)中、
Arは、芳香族環を表し、A基以外に更に置換基を有してもよい。
pは、0以上の整数を表す。
Aは、炭素数3以上の炭化水素基を有する基を表す。
pが2以上のとき、複数のA基は同一でも異なっていてもよい。
一般式(BI)について更に詳細に説明する。
Arにより表される芳香族環としては、炭素数6〜30の芳香族環が好ましい。
具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、ペンタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、インデン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環、フェナジン環等が挙げられ、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
上記芳香族環がA基以外に有し得る置換基としては、炭素原子数が1以上の炭化水素基を有する基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、水酸基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基等を挙げることができる。炭素原子数が1以上の炭化水素基を有する基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基及び分岐アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロピニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンゾイル基、アセチル基、トリル基等のアシル基等が挙げられる。また、2以上の置換基を有する場合、少なくとも二つの置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
Aにより表される、炭素原子数が3以上の炭化水素基を有する基における炭化水素基としては、非環式炭化水素基、又は環状脂肪族基が挙げられる。
A基としては、Arに隣接する炭素原子が3級若しくは4級の炭素原子であることが好ましい。
A基としての非環式炭化水素基としては、イソプロピル基、t―ブチル基、t―ペンチル基、ネオペンチル基、s−ブチル基、イソブチル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルペンチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。非環式炭化水素基の有する炭素数の上限としては、好ましくは12以下、更に好ましくは10以下である。
A基としての環状脂肪族基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等のシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基、ピネニル基等が挙げられ、置換基を有していてもよい。環状脂肪族基の有する炭素数の上限としては、好ましくは15以下、更に好ましくは12以下である。
上記非環式炭化水素基又は環状脂肪族基が置換基を有している場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、p−トリルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、tert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基、フェニルチオキシ基、p−トリルチオキシ基等のアリールチオオキシ基、メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、アセトキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基、2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基、及び分岐アルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ビニル基、プロペニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、アセチレン基、プロピニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホン酸基、カルボニル基、シアノ基等が挙げられる。
Aとしての環状脂肪族基又は非環式炭化水素基の具体例としては以下のものが挙げられる。

酸拡散抑制の観点から、上記の中でも下記構造がより好ましい。
pは0以上の整数を表し、その上限は化学的に可能な数であれば特に限定されない。酸の拡散抑制の観点から、pは通常0〜5、好ましくは1〜4、更に好ましくは2〜3、最も好ましくは3を表す。
A基は、酸拡散抑制の観点から、スルホン酸基の少なくとも1つのオルト位(o位)を置換している事が好ましく、2つのオルト位(o位)を置換している構造であることがより好ましい。
酸発生剤は、一態様において、下記一般式(BII)で表される酸を発生する化合物である。
式中、Aは一般式(BI)におけるAと同様であり、2つのAは同一でも異なってもよい。R〜Rは、各々独立に、水素原子、炭素原子数が1以上の炭化水素基を有する基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基又はニトロ基を表す。炭素原子数が1以上の炭化水素基の具体例としては、上記に例示した基と同様の基が挙げられる。
また、好ましいスルホン酸アニオンとして、下記一般式(I−A)で表される酸を生じるアニオンも挙げることができる。
式中、Xfは、それぞれ独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Lは、単結合又は2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。Aは、環状構造を有する基を表す。xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
一般式(I−A)について、更に詳細に説明する。
Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜4である。また、Xfのフッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfとして好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的にはフッ素原子、CFが好ましい。
、Rのアルキル基、並びに、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基におけるアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。更に好ましくは炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、CFが好ましい。
yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。xは1〜8が好ましく、中でも1〜4が好ましい。zは0〜8が好ましく、中でも0〜4が好ましい。Lの2価の連結基としては特に限定されず、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―、―SO−、アルキレン基、シクロアルキレン基、アルケニレン基などがあげられる。このなかでも―COO−、−OCO−、−CO−、−O―、―SO−が好ましく、―COO−、−OCO−、―SO−がより好ましい。
Aの環状構造を有する基としては、環状構造を有するものであれば特に限定されず、脂環基、アリール基、複素環構造を有する基(芳香属性を有するものだけでなく、芳香属性を有さないものも含む)等が挙げられる。
脂環基としては、単環でも多環でもよく、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。中でも、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基の炭素数7以上のかさ高い構造を有する脂環基が、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性を抑制でき、MEEF(マスクエラーエンハンスメントファクター)向上の観点から好ましい。
アリール基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環が挙げられる。中でも193nmにおける光吸光度の観点から低吸光度のナフタレンが好ましい。
複素環構造を有する基としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環が挙げられる。中でもフラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環が好ましい。また、複素環構造としては、ラクトン構造を有する環構造であってもよい。
上記環状構造を有する基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、アルキル基(直鎖、分岐、環状のいずれであっても良く、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、水酸基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基等が挙げられる。
脂肪族カルボン酸アニオンにおける脂肪族部位としては、脂肪族スルホン酸アニオンおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
芳香族カルボン酸アニオンにおける芳香族基としては、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のアリール基を挙げることができる。
アラルキルカルボン酸アニオンにおけるアラルキル基としては、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、置換基を有していてもよい。脂肪族カルボン酸アニオン、芳香族カルボン酸アニオン及びアラルキルカルボン酸アニオンにおけるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の置換基としては、例えば、芳香族スルホン酸アニオンにおけると同様のハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基等を挙げることができる。
スルホニルイミドアニオンとしては、例えば、サッカリンアニオンを挙げることができる。
ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンにおけるアルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基等を挙げることができる。これらのアルキル基の置換基としてはハロゲン原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、シクロアルキルアリールオキシスルホニル基等を挙げることができ、フッ素原子で置換されたアルキル基が好ましい。
その他の非求核性アニオンとしては、例えば、弗素化燐、弗素化硼素、弗素化アンチモン等を挙げることができる。
上記一般式(ZI)におけるR201、R202及びR203の有機基としては、例えば、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)又は(ZI−4)における対応する基を挙げることができる。
尚、酸発生剤は、一般式(ZI)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくとも一つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)及び(ZI−4)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニウム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201
〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基又はシクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。アリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。該複素環構造としては、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等を挙げることができる。アリールスルホニウム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基又はシクロアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖又は分岐アルキル基及び炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を有さない有機基を表す化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖又は分岐の2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖又は分岐2−オキソアルキル基である。
201〜R203のアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペ
ンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。アルキル基として、より好ましくは2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基を挙げることができる。シクロアルキル基として、より好ましくは、2−オキソシクロアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
2−オキソシクロアルキル基は、好ましくは、上記のシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子又はフェニルチオ基を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアリール基を表す。
x及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、2−オキソアルキル基、2−オキソシクロアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アリル基又はビニル基を表す。
1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R5c中のいずれか2つ以上、R6cとR7c、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
Zc-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖又は分岐のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができ、シクロアルキル基としては、例えば炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくは、R1c〜R5cの内のいずれかが直鎖又は分岐アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐もしくは環状アルコキシ基であり、更に好ましくは、R1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
6c及びR7cとしてのアリール基としては、好ましくは炭素数5〜15であり、例えば、フェニル基、ナフチル基を挙げることができる。
6cとR7cとが結合して環を形成する場合に、R6cとR7cとが結合して形成する基としては、炭素数2〜10のアルキレン基が好ましく、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などを挙げることができる。また、R6cとR7cとが結合して形成する環は、環内に酸素原子等のヘテロ原子を有していてもよい。
x及びRyとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、R1c〜R7cおけると同様のアルキル基及びシクロアルキル基を挙げることができる。
2−オキソアルキル基及び2−オキソシクロアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基及びシクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルアルキル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cおけると同様のアルコキシ基を挙げることができ、アルキル基については、例えば、炭素数1〜12のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖(例えば、メチル基、エチル基を挙げることができる。
アリル基としては、特に制限は無いが、無置換若しくは単環又は多環のシクロアルキル基で置換されたアリル基であることが好ましい。
ビニル基としては特に制限は無いが、無置換若しくは単環又は多環のシクロアルキル基で置換されたビニル基であることが好ましい。
x及びRyが互いに結合して形成してもよい環構造としては、2価のRx及びRy(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等)が一般式(ZI−3)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられる。
x及びRyは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基又はシクロアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基又はシクロアルキル基である。
化合物(ZI−3)のカチオン部分の具体例を以下に挙げる。
化合物(ZI−4)は、下記一般式(ZI−4)により表される化合物である。
一般式(ZI−4)中、
13は水素原子、フッ素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、又は単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
14は複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基、シクロアルキルスルホニル基、又は単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基を表す。これらの基は置換基を有してもよい。
15は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はナフチル基を表す。2個のR15が互いに結合して環を形成してもよい。これらの基は置換基を有してもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-と同様の非求核性アニオンを挙げることができる。
一般式(ZI−4)において、R13、R14及びR15のアルキル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基、t−ブチル基等が好ましい。
13、R14及びR15のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロオクタジエニル、ノルボルニル、トリシクロデカニル、テトラシクロデカニル、アダマンチル等があげられ、特にシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルが好ましい。
13及びR14のアルコキシ基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基等を挙げることができる。これらのアルコキシ基のうち、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
13及びR14のアルコキシカルボニル基としては、直鎖状若しくは分岐状であり、炭素原子数2〜11のものが好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。これらのアルコキシカルボニル基のうち、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基等が好ましい。
13及びR14の単環もしくは多環のシクロアルキル骨格を有する基としては、例えば、単環もしくは多環のシクロアルキルオキシ基、及び、単環もしくは多環のシクロアルキル基を有するアルコキシ基が挙げられる。これら基は、置換基を更に有していてもよい。
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキルオキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル骨格を有することが好ましい。総炭素数7以上の単環のシクロアルキルオキシ基とは、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロプチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、シクロドデカニルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基に、任意にメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ドデシル基、2−エチルヘキシル基、イソプロピル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、iso−アミル基等のアルキル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ニトロ基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基、メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、アセトキシ基、ブチリルオキシ基等のアシロキシ基、カルボキシ基等の置換基を有する単環のシクロアルキルオキシ基であって、該シクロアルキル基上の任意の置換基と合わせた総炭素数が7以上のものを表す。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキルオキシ基としては、ノルボルニルオキシ基、トリシクロデカニルオキシ基、テトラシクロデカニルオキシ基、アダマンタンチルオキシ基等が挙げられる。
13及びR14の単環若しくは多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基としては、総炭素数が7以上であることが好ましく、総炭素数が7以上15以下であることがより好ましく、また、単環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基であることが好ましい。総炭素数7以上の、単環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプトキシ、オクチルオキシ、ドデシルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、iso−アミルオキシ等のアルコキシ基に上述の置換基を有していてもよい単環シクロアルキル基が置換したものであり、置換基も含めた総炭素数が7以上のものを表す。例えば、シクロヘキシルメトキシ基、シクロペンチルエトキシ基、シクロヘキシルエトキシ基等が挙げられ、シクロヘキシルメトキシ基が好ましい。
また、総炭素数が7以上の多環のシクロアルキル骨格を有するアルコキシ基としては、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基、トリシクロデカニルメトキシ基、トリシクロデカニルエトキシ基、テトラシクロデカニルメトキシ基、テトラシクロデカニルエトキシ基、アダマンタンチルメトキシ基、アダマンタンチルエトキシ基等が挙げられ、ノルボルニルメトキシ基、ノルボルニルエトキシ基等が好ましい。
14のアルキルカルボニル基のアルキル基としては、上述したR13〜R15としてのアルキル基と同様の具体例が挙げられる。
14のアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基としては、直鎖状、分岐状、環状であり、炭素原子数1〜10のものが好ましく、例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、tert−ブタンスルホニル基、n−ペンタンスルホニル基、ネオペンタンスルホニル基、n−ヘキサンスルホニル基、n−ヘプタンスルホニル基、n−オクタンスルホニル基、2−エチルヘキサンスルホニル基n−ノナンスルホニル基、n−デカンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等を挙げることができる。これらのアルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基のうちメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基、シクロヘキサンスルホニル基等が好ましい。
上記各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子)、ヒドロキシル基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
前記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
2個のR15が互いに結合して形成してもよい環構造としては、2個の2価のR15が一般式(ZI−4)中の硫黄原子と共に形成する5員又は6員の環、特に好ましくは5員の環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)が挙げられ、アリール基又はシクロアルキル基と縮環していてもよい。この2価のR15は置換基を有してもよく、置換基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキアルキル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。一般式(ZI−4)におけるR15としては、メチル基、エチル基、ナフチル基、2個のR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環構造を形成する2価の基等が好ましい。
13及びR14が有し得る置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、又はアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子(特に、フッ素原子)が好ましい。
lとしては、0又は1が好ましく、1がより好ましい。
rとしては、0〜2が好ましい。
以下に、化合物(ZI−4)のカチオン部分の具体例を挙げる。
次に、上記一般式(ZII)及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。R204〜R207のアリール基は、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等を有する複素環構造を有するアリール基であってもよい。複素環構造を有するアリール基としては、例えば、ピロール残基(ピロールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、フラン残基(フランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、チオフェン残基(チオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)、インドール残基(インドールから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾフラン残基(ベンゾフランから水素原子が1個失われることによって形成される基)、ベンゾチオフェン残基(ベンゾチオフェンから水素原子が1個失われることによって形成される基)等を挙げることができる。
204〜R207におけるアルキル基及びシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。R204〜R207のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、フェニルチオ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるZ-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
酸発生剤として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、アリール基を表す。
208、R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。
酸発生剤の内でより好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物である。
また、酸発生剤として、スルホン酸基又はイミド基を1つ有する酸を発生する化合物が好ましく、さらに好ましくは1価のパーフルオロアルカンスルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換された芳香族スルホン酸を発生する化合物、又は1価のフッ素原子又はフッ素原子を含有する基で置換されたイミド酸を発生する化合物であり、更により好ましくは、フッ化置換アルカンスルホン酸、フッ素置換ベンゼンスルホン酸、フッ素置換イミド酸又はフッ素置換メチド酸のスルホニウム塩である。使用可能な酸発生剤は、発生した酸のpKaがpKa=−1以下のフッ化置換アルカンスルホン酸、フッ化置換ベンゼンスルホン酸、フッ化置換イミド酸であることが特に好ましく、感度が向上する。
酸発生剤としては、カルボン酸オニウム塩を用いてもよい。カルボン酸オニウム塩を含有させると、波長が220nm以下の光に対する透明性が確保され、感度及び解像力が更に向上し、疎密依存性及び露光マージンが更に改良される。
カルボン酸オニウム塩としては、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩が好ましい。そのアニオンとしては、例えば、炭素数1〜30の直鎖若しくは分岐鎖アルキル又は単環式若しくは多環式シクロアルキルカルボン酸アニオンを用いることが好ましい。特には、これらアルキル基又はシクロアルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたカルボン酸アニオン(以下、フッ素置換カルボン酸アニオンともいう)が好ましい。なお、アルキル又はシクロアルキル鎖中に、酸素原子を含んでいてもよい。
フッ素置換カルボン酸アニオンとしては、例えば、フルオロ酢酸、ジフルオロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ヘプタフルオロ酪酸、ノナフルオロペンタン酸、パーフルオロドデカン酸、パーフルオロトリデカン酸、パーフルオロシクロヘキサンカルボン酸、及び2,2−ビストリフルオロメチルプロピオン酸のアニオンが挙げられる。
本発明に係る組成物がカルボン酸オニウム塩を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、一般的には0.1〜20質量%であり、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜7質量%である。
本発明に係る組成物が酸発生剤を含有している場合、この酸発生剤が発生し得る酸は、フッ素原子を有していてもよく、フッ素原子を有していなくてもよい。例えば、酸発生剤がアニオンを備えている場合、このアニオンは、フッ素原子を有していてもよく、フッ素原子を有していなくてもよい。
本発明に係る組成物は、上述した通り、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位を含んだ樹脂を含有している。このような樹脂は、酸分解性基を備えた繰り返し単位として、酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位のみを含んだ樹脂と比較して、樹脂と酸との反応の活性化エネルギーがより小さい。そのため、比較的酸強度の低い酸、例えば、フッ素原子を有していない酸を発生する酸発生剤を用いた場合であっても、本発明の効果は十分に得られる。
酸発生剤の中で、特に好ましい例を以下に挙げる。
酸発生剤は、1種類単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。
酸発生剤の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜17.5質量%、更に好ましくは1〜15質量%である。
(c)溶剤
本発明に係る組成物は、溶剤を含んでいる。この溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、乳酸アルキルエステル、アルコキシプロピオン酸アルキル、環状ラクトン(好ましくは炭素数4〜10)、環を含んでいてもよいモノケトン化合物(好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート、アルコキシ酢酸アルキル、及びピルビン酸アルキル等の有機溶剤が挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、及びエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
乳酸アルキルエステルとしては、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチルが挙げられる。
アルコキシプロピオン酸アルキルとしては、例えば、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸メチル及び3−メトキシプロピオン酸エチルが挙げられる。
環状ラクトンとしては、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−オクタノイックラクトン及びα−ヒドロキシ−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
環を含んでいてもよいモノケトン化合物としては、例えば、2−ブタノン、3−メチルブタノン、ピナコロン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチル−3−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、5−メチル−3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、、4−デカノン、5−ヘキセン−2−オン、3−ペンテン−2−オン、シクロペンタノン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2,6−トリメチルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2−メチルシクロヘプタノン及び3−メチルシクロヘプタノンが挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、エチレンカーボネート、及びブチレンカーボネートが挙げられる。
アルコキシ酢酸アルキルとしては、例えば、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル、酢酸−3−メトキシ−3−メチルブチル、及び酢酸−1−メトキシ−2−プロピルが挙げられる。
ピルビン酸アルキルとしては、例えば、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル及びピルビン酸プロピルが挙げられる。
溶剤としては、常温常圧下における沸点が130℃以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、例えば、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸−2−エトキシエチル、酢酸−2−(2−エトキシエトキシ)エチル及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。後者の場合、ヒドロキシ基を含んだ溶剤とヒドロキシ基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用することが好ましい。
ヒドロキシ基を含んだ溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及び乳酸アルキルが挙げられる。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテル又は乳酸エチルがより好ましい。
ヒドロキシ基を含んでいない溶剤としては、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、アルキルアルコキシプロピオネート、環を含有していてもよいモノケトン化合物、環状ラクトン及び酢酸アルキルが好ましい。これらのうち、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート、2−ヘプタノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン又は酢酸ブチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルエトキシプロピオネート又は2−ヘプタノンが特に好ましい。
ヒドロキシ基を含んだ溶剤とヒドロキシ基を含んでいない溶剤との混合溶剤を使用する場合、これらの質量比は、好ましくは1/99〜99/1とし、より好ましくは10/90〜90/10とし、更に好ましくは20/80〜60/40とする。
なお、ヒドロキシ基を含んでいない溶剤を50質量%以上含んだ混合溶剤を用いると、特に優れた塗布均一性を達成し得る。また、溶剤は、PGMEAと他の1種以上の溶剤との混合溶剤であることが特に好ましい。
溶剤は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートと他の少なくとも1種類の溶剤との混合溶剤であることが好ましい。
(d)フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する化合物
一般に、酸発生剤を含んだ組成物を用いて形成された組成物膜に露光を行うと、膜の表層部は、その内部と比較して、露光される度合いが高く、発生された酸の濃度が高くなり、反応がより進行し易い。そして、このような露光膜に対して現像(特には、ネガ型の現像)を行うと、得られるパターンの断面がT−top形状となったり、ブリッジ欠陥が発生したりするという不具合が生じやすい。
しかしながら、本発明に係る組成物は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する化合物(以下、化合物(d)ともいう)を含有している。
化合物(d)は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有していることにより、これらの原子を有さない場合と比較して、表面自由エネルギーが低く、組成物膜の表層部に偏在しやすい。
よって、このような化合物(d)を含んだ組成物膜を露光すると、膜の表層部において、塩基性を有する化合物、又は、酸の作用により塩基性が増大した化合物が、高濃度で存在するため、露光部の表層において発生した過剰の酸を捕捉することができる。すなわち、組成物膜の露光部の厚み方向における酸濃度分布を均一にすることができる。これにより、酸を触媒とした組成物膜の反応、例えば、有機溶剤を含んだ現像液に対する不溶化又は難溶化反応を、膜の厚み方向に関して、より均一に行うことができる。それゆえ、上記したようなT−top形状やブリッジ欠陥という不具合を抑制することができる。
また、本発明者らは、このような化合物(d)を、上述した繰り返し単位(P)を含んだ酸分解性樹脂と併用することにより、ラフネス特性、フォーカス余裕度、ブリッジ欠陥性能、及び、感度の露光後加熱(PEB)温度依存性を更に向上させ得ることを見出している。その理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。即ち、上述した繰り返し単位(P)を含んだ酸分解性樹脂は、酸分解による極性の変化が大きく、有機溶剤を含んだ現像液に不溶となるために必要な脱保護量が比較的少ない。このような系では、組成物膜のうち上記現像液に不溶となる部分の分布が不均一となりやすい。しかしながら、化合物(d)を適用すると、膜の内部における塩基量を膜表層に比べて少なくできるため、潜在パターン内部の樹脂の脱保護が促進され、脱保護反応を均一に進行させることができる。そのため、ラフネス特性、フォーカス余裕度、ブリッジ欠陥性能、及び、感度の露光後加熱(PEB)温度依存性を更に向上させることができる。
化合物(d)を、「フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有する化合物(d−1)」と、「フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、酸の作用により塩基性が増大する化合物(d−2)」とに分けて考えると、化合物(d−2)を用いた場合は、露光部において発生した酸の濃度の高い領域ほど、より多くの塩基性物質が発生するため、酸−塩基の中和反応がより促進される。よって、化合物(d−2)を用いた場合の方が、化合物(d−1)を用いた場合より、組成物膜の露光部の厚み方向における酸濃度分布を更に均一にすることができるため、この観点においては、化合物(d)は化合物(d−2)であることがより好ましい。
化合物(d)は、含窒素化合物であることが好ましい。
ここで、化合物(d)が、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有する化合物である場合、化合物(d)が充分な塩基性を有するためには、窒素原子に対して電子吸引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子)など)が直結していないことが好ましく、窒素原子に隣接する原子の全てが水素原子又は炭素原子であることがより好ましい。
また、化合物(d)が、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、酸の作用により塩基性が増大する化合物である場合、酸の作用により塩基性が増大した化合物が充分な塩基性を有するためには、酸の作用により塩基性が増大した化合物の窒素原子に対して電子吸引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子(特にフッ素原子)など)が直結していないことが好ましく、窒素原子に隣接する原子の全てが水素原子又は炭素原子であることがより好ましい。
なお、化合物(d)は、上記作用を確実に発現するためには、活性光線又は放射線の照射により、化学構造の意図しない変化を伴わないことが好ましい。換言すれば、化合物(d)は、感光性を有さないこと(非感光性であること)が好ましい。
以下、化合物(d)を、「フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有する化合物(d−1)」と、「フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、酸の作用により塩基性が増大する化合物(d−2)」とに分けて説明する。
[1]フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有する化合物(d−1)
化合物(d−1)は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有し、かつ、下記一般式(A)〜(E)で示される構造のいずれかを有する塩基性化合物を挙げることができる。
一般式(A)中、R201及びR202は、各々独立に、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜20)又はヘテロアリール基を表す。
一般式(E)中、R203、R204、R205及びR206は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。
一般式(A)で表される構造においては、R201とR202は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(B)〜(D)で表される構造においては、炭素原子からの結合手、及び窒素原子からの結合手の内の2つ以上が、互いに結合して、環を形成してもよい。
一般式(E)で表される構造においては、R203、R204、R205、R206、炭素原子からの結合手、及び窒素原子からの結合手の内の2つ以上が、互いに結合して、環を形成してもよい。
一般式(A)に於ける、R201及びR202のアルキル基は、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ドデシル基等を挙げることができる。
201及びR202のシクロアルキル基は、炭素数3〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201及びR202のアルキル基、シクロアルキル基の中では、炭素数1〜10の直鎖状アルキル基及び炭素数4〜8のシクロアルキル基が好ましい。
201及びR202のアリール基は、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トルイル基、ベンジル基、メチルベンジル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、アントリル基等が挙げられる。
201及びR202のヘテロアリール基は、上記のようなアリール基中に硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を1個以上含む基であり、例えば、ピリジル基、イミダゾリル基、モルホリニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基等が挙げられる。
201及びR202のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基は、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アリールカルボニル基、アルコキシアルキル基、アリールオシキアルキル基、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜12個の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10個のシクロアルキル基を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜15のアリール基を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基、t−ブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の炭素原子数1〜20の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等の炭素数6〜10個のアリールオキシ基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、i−ブタノイル基、n−ヘプタノイル基、2−メチルブタノイル基、1−メチルブタノイル基、t−ヘプタノイル基等の炭素原子数2〜12の直鎖状若しくは分岐状のアシル基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリールカルボニル基としては、例えば、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等の炭素数6〜10個のアリールカルボニル基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、2−エトキシエチル基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシアルキル基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリールオキシアルキル基としては、例えば、フェニルオキシメチル基、フェニルオキシエチル基、ナフチルオキシメチル基、ナフチルオキシエチル基等の炭素数7〜12個のアリールオキシアルキル基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアルキルカルボニルオキシ基としては、例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、i−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、2−メチルプロピルカルボニルオキシ基、1−メチルプロピルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキルカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリールカルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルカルボニルオキシ基、ナフチルカルボニルオキシ基等の炭素数7〜11個のアリールカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等の炭素数7〜11個のアリールオキシカルボニル基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ等の炭素原子数2〜21の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
201及びR202が更に有していてもよい置換基としてのアリールオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、フェニルオキシカルボニルオキシ基、ナフチルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数7〜11個のアリールオキシカルボニルオキシ基等を挙げることができる。
一般式(A)で示される構造を有する化合物(d−1)としては、
(A1)一般式(A)で示される構造(ただし、R201及びR202はフッ素原子及びケイ素原子のいずれをも含まない)と、一般式(A)で示される構造外に位置する“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基”とを有する化合物;
(A2)一般式(A)で示される構造(ただし、R201及びR202の少なくとも1つは、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基における1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基である)を有する化合物;及び
(A3)一般式(A)で示される構造(ただし、R201及びR202の少なくとも1つは、置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基における1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基である)と、一般式(A)で示される構造外に位置する“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基”とを有する化合物;
を挙げることができる。
上記(A1),(A3)において、一般式(A)で示される構造外に位置する“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基”としては、R201及びR202が更に有していてもよい置換基として挙げた上記具体例(ただし、ハロゲン原子、水酸基は除く)において、1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基を好適に挙げることができる。
ここで、上記ケイ素原子を有する基としては、少なくとも1つ以上のケイ素原子を含む基であれば特に限定されないが、シリル基、シリルオキシ基、シロキサン結合を有する基等を挙げることができる。また、上記ケイ素原子を有する基は、後述する樹脂(G)が有していても良いアルキルシリル構造又は環状シロキサン構造(例えば、後述の一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基)であっても良い。これらの基は、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基の具体例は、R201及びR202が更に有していてもよい置換基の上記具体例と同様である。
ケイ素原子を有する基の具体例としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等を挙げることができる。
一般式(B)〜(D)で示される構造を有する化合物(d−1)としては、一般式(B)〜(D)で示される構造と、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基(例えば、R201及びR202が更に有していてもよい置換基として挙げた上記具体例(ただし、ハロゲン原子、水酸基は除く)において、1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基)とを有する化合物を挙げることができる。
ここで、ケイ素原子を有する基の具体例は、前記したものと同様である。
一般式(E)中、R203、R204、R205及びR206のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例は、それぞれ、R201及びR202のアルキル基及びシクロアルキル基の具体例と同様である。
203、R204、R205及びR206のアルキル基及びシクロアルキル基は、更に置換基を有していても良く、そのような置換基の具体例は、R201及びR202が更に有していてもよい置換基の上記具体例と同様である。
一般式(E)で示される構造を有する化合物(d−1)としては、
(E1)一般式(E)で示される構造(ただし、R203、R204、R205及びR206はフッ素原子及びケイ素原子のいずれをもを含まない)と、一般式(E)で示される構造外に位置する“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基”とを有する化合物;
(E2)一般式(E)で示される構造(ただし、R203、R204、R205及びR206の少なくとも1つは、置換基を有していてもよいアルキル基又はシクロアルキル基における1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基である)を有する化合物;
(E3)一般式(E)で示される構造(ただし、R203、R204、R205及びR206の少なくとも1つは、置換基を有していてもよいアルキル基又はシクロアルキル基における1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基である)と、一般式(E)で示される構造外に位置する“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基”とを有する化合物;
を挙げることができる。
上記(E1),(E3)において、一般式(E)で示される構造外に位置する“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基”としては、R201及びR202が更に有していてもよい置換基として挙げた上記具体例(ただし、ハロゲン原子、水酸基は除く)において、1つ以上の水素原子が、フッ素原子、又は、ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基を好適に挙げることができる。
ここで、ケイ素原子を有する基の具体例は、前記したものと同様である。
一般式(A)〜(E)で表される構造において、炭素原子及び/又は窒素原子からの結合手は、化合物(d−1)を構成する別の原子に接続している。
また、上記したように、一般式(A)で表される構造においては、R201とR202は互いに結合して環を形成してもよく、一般式(B)〜(D)で表される構造においては、炭素原子からの結合手、及び窒素原子からの結合手の内の2つ以上が、互いに結合して、環を形成してもよく、一般式(E)で表される構造においては、R203、R204、R205、R206、炭素原子からの結合手、及び窒素原子からの結合手の内の2つ以上が、互いに結合して、環を形成してもよい。
上記環としては、芳香族若しくは非芳香族の含窒素複素環を挙げることができる。このような含窒素複素環としては、3〜10員環を挙げることができ、4〜8員環であることが好ましく、5又は6員環であることがより好ましい。このような環は、更に置換基を有していてもよく、その具体例としては、R201及びR202が更に有していてもよい置換基として挙げた上記具体例と同様である。
換言すれば、化合物(d−1)としては、含窒素複素環を有し、かつ、この複素環が、フッ素原子、又は、フッ素原子若しくはケイ素原子を含む基で置換された化合物も好適に挙げることができる。フッ素原子若しくはケイ素原子を含む基としては、R201及びR202が更に有していてもよい置換基として挙げた上記具体例(ただし、ハロゲン原子、水酸基は除く)において、1つ以上の水素原子が、フッ素原子又は上記ケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基を挙げることができる。
上記含窒素複素環としては、ピロール環、ピリジン環、ピリミジン環等を好適に挙げることができる。
化合物(d−1)が、低分子化合物(後に詳述する)である場合、一般式(A)〜(E)で表される構造において、炭素原子及び/又は窒素原子からの結合手は、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基に結合するのが好ましく、これらの基の具体例は、R201及びR202で説明したものと同様である。
[2]フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、酸の作用により塩基性が増大する化合物(d−2)
化合物(d−2)は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、酸の作用により塩基性が増大する化合物であれば特に限定されないが、例えば、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方と、保護基を有するカルバメート基とを有する化合物を挙げることができる。
このような、カルバメート基を構成する保護基としては、下記一般式(P)で表される基であることが好ましい(一般式(P)で表される基は、記号*で表される結合部位にて、窒素原子に結合している)。
一般式(P)において、
Rb、Rb及びRbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。Rb〜Rbの内の2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。但し、Rb〜Rbの全てが同時に水素原子となることはない。
Rb、Rb及びRbのアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の具体例は、上記一般式(A)で表される基におけるR201及びR202のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基の上記具体例と同様である。
Rb、Rb及びRbのアラルキル基の具体例は、好ましくは炭素数6〜12のアラルキル基、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルブチル基等を挙げることができる。
Rb、Rb及びRbとして好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基である。より好ましくは、直鎖状、又は分岐状のアルキル基、シクロアルキル基である。
Rb〜Rbの内の2つが結合して形成される環としては、シクロアルキル基(単環若しくは多環)が好ましく、より具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
Rb、Rb及びRbは、更に置換基を有してもよく、そのような置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子など)、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜10)、ケイ素原子を有する基(具体例は、化合物(d−1)で説明したものと同様)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。
Rb、Rb及びRbの内の2つが共に水素原子である場合、残りの1つはアリール基であることが好ましく、このアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などを挙げることができる。
化合物(d−2)は、前記化合物(d−1)の窒素原子に接続する少なくとも1個の基を、上記一般式(P)で表される基で置き換えることにより、構成することも出来る。
化合物(d−2)としては特に限定されないが、特に好ましい形態としては、上記一般式(P)で表される基を有する、下記一般式(1N)で表される化合物が挙げられる。下記一般式(1N)で表される化合物は、一般式(P)で表される基(カルバメート基を構成する保護基)以外の部分に、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有しているため、一般式(1N)で表される化合物に酸が作用することにより得られる化合物(塩基性が増大した化合物)は、引き続き、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有することになる。これにより、後述する露光後加熱(PEB)工程においても、上記塩基性が増大した化合物は組成物膜の内部方向に拡散することなく、所望の位置に存在するため、上記した「露光部の表層において発生した過剰の酸の捕捉」をより確実に行うことができ、組成物膜の露光部の厚み方向における酸濃度分布をより確実に均一にすることができる。
一般式(1N)中、
Ra、Rb、Rb及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。Rb、Rb及びRbのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。但し、Rb、Rb及びRbの全てが同時に水素原子となる場合を除く。
Rcは、単結合又は2価の連結基を示す。
Rfは、有機基を表す。
xは0又は1を、yは1又は2を、zは1又は2をそれぞれ表し、x+y+z=3である。
x=z=1のとき、RaとRcとは、互いに結合して、含窒素複素環を形成していてもよい。
z=1のとき、Rfは、フッ素原子又はケイ素原子を含んでいる。
z=2のとき、2つのRfの少なくとも一方は、フッ素原子又はケイ素原子を含んでおり、2つのRc及び2つのRfは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、2つのRcは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
Ra、Rb、Rb及びRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基の具体例は、一般式(P)のRb、Rb及びRbとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基の具体例と同様である。
Rcとしては、好ましくは炭素数2〜12(より好ましくは炭素数2〜6、更に好ましくは炭素数2〜4)の2価の連結基であり、例えば、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、エステル基、アミド基、及び、これらの2種以上が組み合わされてなる基を挙げることができる。
Rfとしての有機基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であることが好ましい。
Rfとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基の具体例は、上記一般式(A)のR201及びR202としてのシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基の具体例と同様である。
Ra、Rb、Rb、Rb、Rc及びRfは、それぞれ、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基の具体例は、上記一般式(P)のRb、Rb及びRbが更に有していてもよい置換基の具体例と同様である。
Rfとしての有機基がフッ素原子又はケイ素原子を含む場合、Rfは、有機基における1つ以上の水素原子が、フッ素原子又はケイ素原子を有する基で置き換えられてなる基であることが好ましい。ここで、ケイ素原子を有する基の具体例は、化合物(d−1)で説明したケイ素原子を有する基の具体例と同様である。
Rfとしての有機基がフッ素原子又はケイ素原子を含む場合のRfとしては、例えば、特に水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基が好ましく、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのパーフルオロアルキル基を挙げることができる。
また、前記RaとRcもしくはRc同士が相互に結合して形成する含窒素複素環としては、芳香族若しくは非芳香族の含窒素複素環(好ましくは炭素数3〜20)を挙げることができる。このような含窒素複素環としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に対応する環を挙げることができる。これらの環は、更に置換基を1種以上或いは1個以上で有していてもよく、そのような置換基の具体例としては、上記一般式(P)のRb、Rb及びRbが更に有していてもよい置換基の具体例と同様である。
Rb〜Rbの内の2つが結合して形成される環としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの単環のシクロアルキル基、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基、アダマンチル基などの多環のシクロアルキル基が好ましい。炭素数5〜6の単環のシクロアルキル基が特に好ましい。
化合物(d)は、低分子化合物であってもよく、オリゴマー又は高分子化合物であってもよい。
オリゴマー又は高分子化合物と比較して、低分子化合物は、露光後加熱(PEB)工程において、ある程度、拡散するため、酸の捕捉がより均一に行われるものと考えられる。そのせいか、化合物(d)として低分子化合物を使用することによって、LWRをより確実に低減できる。
一方、低分子化合物と比較して、オリゴマー又は高分子化合物は、露光後加熱(PEB)工程においても、組成物膜の内部方向に拡散しにくいため、酸が過剰量で発生しやすい露光部の表層において、酸を確実に捕捉することができるものと考えられる。そのせいか、化合物(d)としてオリゴマー又は高分子化合物を使用することによって、ブリッジ欠陥をより確実に低減できる。
化合物(d)が低分子化合物である場合、その分子量は、通常は1000以下であり、150〜500であることが好ましく、250〜500であることがより好ましい。
また、化合物(d−2)は、例えば、アミンから、Protective Groups in Organic Synthesis 第四版等に記載の方法で合成することができる。例えば、上記一般式(1)で表される化合物は、下記スキームのように、アミンに対して二炭酸エステル又はハロギ酸エステルを作用させることによって得る方法が好ましい。式中、Xはハロゲン原子を表す。Ra、Rb、Rb、Rb、Rc、Rfは、それぞれ、一般式(1)におけるRa、Rb、Rb、Rb、Rc、Rfと同義である。
以下、低分子化合物である化合物(d−1)及び(d−2)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
化合物(d)がオリゴマー又は高分子化合物である場合(以下、この化合物を樹脂(G)ともいう)、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
樹脂(G)は、後述の疎水性樹脂と同様の機能を有するため、現像欠陥の低減に効果的である。
樹脂(G)がフッ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、フッ素原子を含んだ部分構造として、フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、又はフッ素原子を含んだアリール基を備えていることが好ましい。
フッ素原子を含んだアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基である。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。このフッ素原子を含んだアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環式又は多環式のシクロアルキル基である。このフッ素原子を含んだシクロアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアリール基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。このアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。このフッ素原子を含んだアリール基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、及びフッ素原子を含んだアリール基の好ましい例として、下記一般式(F2)〜(F4)により表される基が挙げられる。
一般式(F2)〜(F4)中、R57〜R68は、各々独立に、水素原子、フッ素原子又はアルキル基を表す。但し、R57〜R61のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R62〜R64のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。R65〜R68のうち少なくとも1つは、フッ素原子又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。これらアルキル基は、炭素数が1〜4であることが好ましい。
57〜R61及びR65〜R67は、全てがフッ素原子であることが好ましい。
62、R63及びR68は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基であることが更に好ましい。なお、R62とR63とは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
一般式(F2)により表される基としては、例えば、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、及び3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル基が挙げられる。
一般式(F3)により表される基としては、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロプロピル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロブチル基、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、ノナフルオロブチル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロヘキシル基、ノナフルオロ−t−ブチル基、パーフルオロイソペンチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロ(トリメチル)ヘキシル基、2,2,3,3−テトラフルオロシクロブチル基、及びパーフルオロシクロヘキシル基が挙げられる。これらのうち、ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基、ヘキサフルオロ(2−メチル)イソプロピル基、オクタフルオロイソブチル基、ノナフルオロ−t−ブチル基又はパーフルオロイソペンチル基がより好ましく、ヘキサフルオロイソプロピル基又はヘプタフルオロイソプロピル基が更に好ましい。
一般式(F4)により表される基としては、例えば、−C(CFOH、−C(COH、−C(CF)(CH)OH、及び−CH(CF)OHが挙げられる。これらのうち、−C(CFOHが特に好ましい。
以下に、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の具体例を示す。
具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。Xは、−F又は−CFを表す。
樹脂(G)がケイ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、ケイ素原子を含んだ部分構造として、アルキルシリル構造又は環状シロキサン構造を備えていることが好ましい。このアリキルシリル構造は、好ましくは、トリアルキルシリル基を含んだ構造である。
アルキルシリル構造及び環状シロキサン構造の好ましい例として、下記一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基が挙げられる。
一般式(CS−1)〜(CS−3)中、R12〜R26は、各々独立に、直鎖若しくは分岐鎖アルキル基、又はシクロアルキル基を表す。このアルキル基は、炭素数が1〜20であることが好ましい。このシクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
〜Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、フェニレン基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレア基、又はこれらの組合せが挙げられる。
nは、1〜5の整数を表す。nは、好ましくは、2〜4の整数である。
以下に、一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基を有する繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Xは、水素原子、−CH、−F又は−CFを表す。
樹脂(G)としては、
フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する繰り返し単位と、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方を有する繰り返し単位とを含んだ樹脂(G−a);及び
フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方と、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方とを有する繰り返し単位を含んだ樹脂(G−b)
を好適に挙げることができる。
樹脂(G−a)では、典型的には、塩基性部位の近傍に電子吸引性のフッ素原子や嵩高いケイ素原子が存在しない。そのため、塩基性の低下や立体障害が小さく、発生酸のクエンチが十分に進行する。それゆえ、樹脂(G−a)を用いると、特に優れたラフネス特性を達成し得る。また、表層偏在性と塩基性とを別々に変化させられるため、化合物設計がしやすい。
他方、樹脂(G−b)では、フッ素原子やケイ素原子の含率を高くすることができる。そのため、この樹脂(G−b)は、表層偏在能が特に良好である。それゆえ、樹脂(G−b)を用いると、パターンがT−top形状となることを抑制し易い。
樹脂(G−a)において、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する繰り返し単位の具体例としては、前掲のものが挙げられる。
樹脂(G−a)において、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方を有する繰り返し単位としては、下記一般式(B−I)で表される繰り返し単位であることが好ましい。
一般式(B−I)において、Xaは、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基又は−CH−Rで表わされる基を表す。Rは、水酸基又は1価の有機基を表し、1価の有機基としては、例えば、炭素数5以下のアルキル基、炭素数5以下のアシル基が挙げられ、好ましくは炭素数3以下のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基である。Xaは好ましくは水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基、より好ましくは水素原子、メチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Abは、塩基性基を有する基、又は、酸の作用により塩基性が増大する基を有する基を表す。
Abにおいて、塩基性を有する基、及び、酸の作用により塩基性が増大する基は、いずれも窒素原子を含むことが好ましい。
Abとしての塩基性基を有する基は、上記一般式(A)〜(E)で示される構造のいずれかを有する基であることが好ましく、具体的には、上記した一般式(A)〜(E)で示される構造のいずれかを有する塩基性化合物(低分子化合物)(この場合、塩基性化合物は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有していても、有さなくてもよい)から任意の1個の水素を除してなる1価の基を挙げることができる。
Abとしての塩基性基を有する基は、下記式(B−I’)で表される基であることがより好ましい。
式(B−I’)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Acは上記一般式(A)で示される構造を表す(上記一般式(A)の窒素原子からの結合手はLに結合する)。
Lとしての2価の連結基としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、エーテル基、フェニレン基、及び、これらの2種以上が組み合わされてなる基を挙げることができ、より好ましくはアルキレン基及びシクロアルキレン基、更に好ましくはアルキレン基である。Lとしての2価の連結基の総炭素数は、0〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましく、2又は3であることが更に好ましい。
Abとしての酸の作用により塩基性が増大する基を有する基における“酸の作用により塩基性が増大する基”としては、上記化合物(d−2)において説明した“保護基を有するカルバメート基”を好ましく挙げることができる。
Abとしての酸の作用により塩基性が増大する基を有する基は、下記式(B−II)で表される基であることがより好ましい。
一般式(B−II)において、
Ra、Rb、Rb及びRbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。Rb〜Rbの内の2つは、互いに結合して、環を形成してもよい。但し、Rb〜Rbの全てが同時に水素原子となることはない。
Rcは、単結合又は2価の連結基を示す。
xは0又は1を、yは1又は2をそれぞれ表し、x+y=2である。
x=1のとき、RaとRcとは、互いに結合して、含窒素複素環を形成していてもよい。
一般式(B−II)中、Ra、Rb、Rb、Rb、Rcにおける各基、Rb〜Rbの内の2つが互いに結合して形成してよい環、及び、RaとRcとが相互に結合して形成してもよい含窒素複素環の具体例は、それぞれ、上記一般式(1)で説明したものと同様である。
樹脂(G−b)において、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方と、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方とを有する繰り返し単位は、上記一般式(B−1)で表される繰り返し単位であって、
(i)Xaが、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有するメチル基(例えば、トリフルオロメチル基)である、
(ii)Abが塩基性基又は酸の作用により塩基性が増大する基を有し、更に、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基である、及び
(iii)上記(i)と(ii)とに該当する、
のいずれかを満たす繰り返し単位を挙げることができる。
上記(ii)に関し、塩基性基を有し、更に、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基Abとしては、例えば、上記した一般式(A)〜(E)で示される構造のいずれかを有する塩基性化合物(低分子化合物)(ただし、塩基性化合物は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する)から任意の1個の水素を除してなる1価の基を挙げることができる。
また、上記(ii)に関し、酸の作用により塩基性が増大する基を有し、更に、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する基Abとしては、例えば、上記した一般式(1)で表される化合物のRa、Rc、Rfのいずれかから任意の1個の水素を除してなる1価の基を挙げることができる。
以下、樹脂(G)における塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方を有する繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明は、これに限定されるものではない。具体例中、Xは、水素原子、−CH、−CHOH、−F又は−CFを表す。
樹脂(G)は、下記一般式(III’)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
Rc31は、水素原子、アルキル基(フッ素原子等で置換されていても良い)、シアノ基又は−CH−O−Rac基を表す。式中、Racは、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
Rc31は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、水素原子、メチル基が特に好ましい。
Rc32は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、又はアリール基を有する基を表す。これら基はケイ素原子を含む基、フッ素原子等で置換されていてもよい。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。
c32のアルキル基は、炭素数3〜20の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基であることが好ましい。
シクロアルキル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
アルケニル基は、炭素数が3〜20であることが好ましい。
シクロアルケニル基は、炭素数が3〜20であるシクロアルケニル基が好ましい。
c32は、無置換のアルキル基又は少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基であることが好ましい。
c3は、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基としては、例えば、エステル基、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜5)、オキシ基、フェニレン基、エステル結合(−COO−により表される基)、又はこれらの2種以上が組み合わされてなる基が挙げられ、総炭素数が1〜12の連結基が好ましい。
樹脂(G)は、下記一般式(CII−AB)により表される繰り返し単位を更に含んでいてもよい。
式(CII−AB)中、
c11’及びRc12’は、各々独立に、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を表す。Zc’は、Rc11’及びRc12’が結合している2つの炭素原子(C−C)と共に脂環式構造を形成するために必要な原子団を表す。
c32は、上記脂環式構造に対する置換基であり、その定義は一般式(III’)におけるRc32と同様である。
pは、0〜3の整数を表し、0又は1が好ましい。
以下に、一般式(III’)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位の具体例を挙げる。具体例中、Raは、H、CH、CHOH、CF又はCNを表す。
以下、樹脂(G)の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
樹脂(G)がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子の含有量は、樹脂(G)の分子量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、樹脂(G)の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
樹脂(G)がケイ素原子を含んでいる場合、ケイ素原子の含有量は、樹脂(G)の分子量を基準として、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、ケイ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、樹脂(G)の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
樹脂(G−a)における“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を有する繰り返し単位”の含有量は、樹脂(G)を構成する全繰り返し単位に対して、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは25〜70モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。
樹脂(G−a)における“塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方を有する繰り返し単位”の含有量は、樹脂(G)を構成する全繰り返し単位に対して、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは25〜70モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。
樹脂(G−b)における“フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方と、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方とを有する繰り返し単位”の含有量は、樹脂(G)を構成する全繰り返し単位に対して、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは25〜70モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。
樹脂(G)における一般式(III’)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位の含有量は、樹脂(G)を構成する全繰り返し単位に対して、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは25〜70モル%、特に好ましくは30〜60モル%である。
樹脂(G)の重量平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算値として、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜15,000である。
樹脂(G)の分散度は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが更に好ましい。こうすると、より優れた解像度、パターン形状及びラフネス特性を達成することが可能となる。
化合物(d)(樹脂(G)も含む)は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
化合物(d)(樹脂(G)も含む)の含有量は、組成物中の全固形分を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましい。
化合物(d)(樹脂(G)も含む)としては、市販品を使用してもよく、常法に従って合成したものを使用してもよい。樹脂(G)の一般的な合成方法としては、例えば、先に酸分解性樹脂について説明したのと同様の方法が挙げられる。
樹脂(G)は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
(e)塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する、(d)以外の化合物
本発明に係る組成物は、露光から加熱までの経時による性能変化を低減するために、上記化合物(d)以外の(フッ素原子及び珪素原子のいずれをも有さない)、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する化合物(以下、化合物(e)ともいう)を含有していてもよい。
塩基性を有する化合物(塩基性化合物)の具体例としては、下記一般式(A)〜(E)で示される構造を有する塩基性化合物を挙げることができる。
一般式(A)及び(E)中、
250、R251及びR252は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基である。
253、R254、R255及びR256は、各々独立に、アルキル基又はシクロアルキル基を示す。
一般式(A)で表される構造においては、R251及びR252は互いに結合して環を形成してもよい。
一般式(B)〜(D)で表される構造においては、炭素原子からの結合手、及び窒素原子からの結合手の内の2つ以上が、互いに結合して、環を形成してもよい。
一般式(E)で表される構造においては、R253、R254、R255、R256、素原子からの結合手、及び窒素原子からの結合手の内の2つ以上が、互いに結合して、環を形成してもよい。
一般式(A)中、R251及びR252の具体例は、上記化合物(d−1)で説明した一般式(A)で表される構造におけるR201及びR202の定義及び具体例と同様である。
一般式(E)中、R253、R254、R255及びR256の具体例は、上記化合物(d−1)で説明した一般式(A)で表される構造におけるR203、R204、R205及びR206の具体例と同様である。
一般式(A)〜(E)で表される構造において、各基及び各結合手の2つ以上が形成してもよい環の具体例は、上記化合物(d−1)で説明したものと同様である。
また、一般式(A)〜(E)で表される構造おける各基、並びに、各基及び各結合手の2つ以上が互いに結合して形成してもよい環は、更に置換基を有していてもよく、そのような置換基の具体例は、上記化合物(d−1)の一般式(A)で表される構造において説明した、R201及びR202が更に有していてもよい置換基の具体例と同様である。
250〜R256としての置換基を有するアルキル基及び置換基を有するシクロアルキル基としては、炭素数1〜20のアミノアルキル基又は炭素数3〜20のアミノシクロアルキル基、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基又は炭素数3〜20のヒドロキシシクロアルキル基が好ましい。
また、これらはアルキル鎖中に酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含んでも良い。
好ましい塩基性化合物としては、グアニジン、アミノピロリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピペラジン、アミノモルホリン、アミノアルキルモルフォリン、ピペリジンを挙げることができ、置換基を有していてもよい。更に好ましい化合物として、イミダゾール構造、ジアザビシクロ構造、オニウムヒドロキシド構造(特に好ましくは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド)、オニウムカルボキシレート構造、トリアルキルアミン構造、アニリン構造又はピリジン構造を有する化合物、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアルキルアミン誘導体、水酸基及び/又はエーテル結合を有するアニリン誘導体等を挙げることができる。
更に、フェノキシ基を有するアミン化合物、フェノキシ基を有するアンモニウム塩化合物、スルホン酸エステル基を有するアミン化合物及びスルホン酸エステル基を有するアンモニウム塩化合物から選ばれる少なくとも1種類の含窒素化合物を挙げることができる。これらの化合物としては、例えば、米国特許出願公開第2007/0224539号明細書の〔0066〕に例示されている化合物(C1−1)〜(C3−3)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
酸の作用により塩基性が増大する化合物としては、例えば、下記一般式(F)で表される化合物を挙げることができる。なお、下記一般式(F)で表される化合物は、酸の作用により脱離する基が脱離することによって、系中での実効的な塩基性を発現する。
一般式(F)において、Raは、独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。また、n=2のとき、2つのRaは同じでも異なっていてもよく、2つのRaは相互に結合して、2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数20以下)若しくはその誘導体を形成していてもよい。
Rbは、独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を示す。
少なくとも2つのRbは結合して脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環式炭化水素基若しくはその誘導体を形成していてもよい。
nは0〜2の整数を表し、mは1〜3の整数をそれぞれ表し、n+m=3である。
一般式(F)において、Ra及びRbが示すアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子を除く)で置換されていてもよい。
前記Rのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基(これらのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、上記官能基、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子を除く)で置換されていてもよい)としては、
例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、これらのアルカンに由来する基を、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、ノルボルナン、アダマンタン、ノラダマンタン等のシクロアルカンに由来する基、これらのシクロアルカンに由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ベンゼン、ナフタレン、アントラセン等の芳香族化合物に由来する基、これらの芳香族化合物に由来する基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の直鎖状、分岐状のアルキル基の1種以上或いは1個以上で置換した基、
ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、インドール、インドリン、キノリン、パーヒドロキノリン、インダゾール、ベンズイミダゾール等の複素環化合物に由来する基、これらの複素環化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルキル基或いは芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基、直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基・シクロアルカンに由来する基をフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の芳香族化合物に由来する基の1種以上或いは1個以上で置換した基等或いは前記の置換基が水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基で置換された基等が挙げられる。
また、前記Raが相互に結合して、形成する2価の複素環式炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20)若しくはその誘導体としては、例えば、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ホモピペラジン、4−アザベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、5−アザベンゾトリアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、1,4,7−トリアザシクロノナン、テトラゾール、7−アザインドール、インダゾール、ベンズイミダゾール、イミダゾ[1,2−a]ピリジン、(1S,4S)−(+)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デック−5−エン、インドール、インドリン、1,2,3,4−テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノリン、1,5,9−トリアザシクロドデカン等の複素環式化合物に由来する基、これらの複素環式化合物に由来する基を直鎖状、分岐状のアルカンに由来する基、シクロアルカンに由来する基、芳香族化合物に由来する基、複素環化合物に由来する基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ピロリジノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、オキソ基等の官能基の1種以上或いは1個以上で置換した基等が挙げられる。
本発明における特に好ましい例を具体的に示すと、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−オクチルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−ノニルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジ−n−デシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−2−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、(S)−(−)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、(R)−(+)−1−(t−ブトキシカルボニル)−2−ピロリジンメタノール、N−t−ブトキシカルボニル−4−ヒドロキシピペリジン、N−t−ブトキシカルボニルピロリジン、N−t−ブトキシカルボニルモルホリン、N−t−ブトキシカルボニルピペラジン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−1−アダマンチルアミン、N,N−ジ−t−ブトキシカルボニル−N−メチル−1−アダマンチルアミン、N−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’N’−テトラ−t−ブトキシカルボニルヘキサメチレンジアミン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,7−ジアミノヘプタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,8−ジアミノオクタン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,9−ジアミノノナン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,10−ジアミノデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−1,12−ジアミノドデカン、N,N’−ジ−t−ブトキシカルボニル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−メチルベンズイミダゾール、N−t−ブトキシカルボニル−2−フェニルベンズイミダゾール等が挙げられる。
上記一般式(F)で表される化合物は、市販のものを用いても、市販のアミンから、Protective Groups in Organic Synthesis 第四版等に記載の方法で合成してもよい。もっとも一般的な方法としては市販のアミンに対して二炭酸エステル又はハロギ酸エステルを作用させることによって得る方法がある。式中、Xはハロゲン原子を表す。R、Rは一般式(F)と同義である。
上記化合物(d)以外の、塩基性を有する又は酸の作用により塩基性が増大する化合物(e)の分子量は、250〜2000であることが好ましく、更に好ましくは400〜1000である。
これらの化合物(e)は、単独であるいは2種以上で用いられる。
化合物(e)を含有する場合、その含有量は、組成物の全固形分に対して、0.05〜8.0質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜5.0質量%、特に好ましくは0.05〜4.0質量%である。
(f)活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物
本発明に係る組成物は、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する、塩基性化合物又はアンモニウム塩化合物(以下、「化合物(PA)」ともいう)を含有しても良い。すなわち、化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により化学構造の変化を伴うものであり、感光性を有するものである。
化合物(PA)は、塩基性官能基又はアンモニウム基と、活性光線又は放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する化合物(PA’)であることが好ましい。すなわち、化合物(PA)は、塩基性官能基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有する塩基性化合物、又は、アンモニウム基と活性光線若しくは放射線の照射により酸性官能基を発生する基とを有するアンモニウム塩化合物であることが好ましい。
化合物(PA)又は(PA’)が、活性光線又は放射線の照射により分解して発生する、塩基性が低下した化合物として、下記一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を挙げることができ、LWR及びDOFに関して優れた効果を高次元で両立できるという観点から、特に、一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物が好ましい。
まず、下記一般式(PA−I)で表される化合物について説明する。
一般式(PA−I)中、
は、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、−SOH、又は−COHを表す。Qは、活性光線又は放射線の照射により発生される酸性官能基に相当する。
Xは、−SO−又は−CO−を表す。
nは、0又は1を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Rx)−を表す。Rxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Rは、塩基性官能基を有する1価の有機基又はアンモニウム基を有する1価の有機基を表す。
における2価の連結基としては、好ましくは炭素数2〜12の2価の連結基であり、例えば、アルキレン基、フェニレン基等が挙げられる。より好ましくは少なくとも1つのフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましくは炭素数2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、特に水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、Q部位と結合した炭素原子がフッ素原子を有することがより好ましい。更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、パーフルオロエチレン基、パーフルオロプロピレン基、パーフルオロブチレン基がより好ましい。
Rxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数4〜30であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
Rxにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜20の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に、酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子を有していてもよい。
なお、置換基を有するアルキル基として、特に直鎖又は分岐アルキル基にシクロアルキル基が置換した基(例えば、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、シクロヘキシルエチル基、カンファー残基など)を挙げることができる。
Rxにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子を有していてもよい。
Rxにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
Rxにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
Rxにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、例えば、Rxとして挙げたアルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
塩基性官能基の好ましい部分構造として、例えば、クラウンエーテル、1〜3級アミン、含窒素複素環(ピリジン、イミダゾール、ピラジンなど)の構造が挙げられる。
アンモニウム基の好ましい部分構造として、例えば、1〜3級アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリニウム、ピラジニウム構造などを挙げることが出来る。
なお、塩基性官能基としては、窒素原子を有する官能基が好ましく、1〜3級アミノ基を有する構造、又は含窒素複素環構造がより好ましい。これら構造においては、構造中に含まれる窒素原子に隣接する原子の全てが、炭素原子又は水素原子であることが、塩基性向上の観点から好ましい。また、塩基性向上の観点では、窒素原子に対して、電子吸引性の官能基(カルボニル基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子など)が直結していないことが好ましい。
このような構造を含む一価の有機基(基R)における一価の有機基としては、好ましい炭素数は4〜30であり、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができ、各基は置換基を有していても良い。
Rにおける塩基性官能基又はアンモニウム基を含むアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基に於けるアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は、それぞれ、Rxとして挙げたアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基と同様のものである。
上記各基が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜10)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが挙げられる。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として更に1又は2のアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜10)を挙げることができる。置換基を有するアルキル基として、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基などのパーフルオロアルキル基を挙げることができる。
Bが−N(Rx)−の時、RとRxが結合して環を形成していることが好ましい。環構造を形成することによって、安定性が向上し、これを用いた組成物の保存安定性が向上する。環を形成する炭素数は4〜20が好ましく、単環式でも多環式でもよく、環内に酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子を含んでいてもよい。
単環式構造としては、窒素原子を含む4〜8員環等を挙げることができる。多環式構造としては、2又は3以上の単環式構造の組み合わせから成る構造を挙げることができる。単環式構造、多環式構造は、置換基を有していてもよく、例えば、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、カルボニル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜10)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜10)、アシル基(好ましくは炭素数2〜15)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜15)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜15)、アミノアシル基(好ましくは炭素数2〜20)などが好ましい。アリール基、シクロアルキル基などにおける環状構造については、置換基としては更にアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。アミノアシル基については、置換基として、1又は2のアルキル基(好ましくは炭素数1〜15)を挙げることができる。
一般式(PA−I)で表される化合物の内、Q部位がスルホン酸(−SOH)である化合物は、一般的なスルホンアミド化反応を用いることで合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的にアミン化合物と反応させて、スルホンアミド結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物をアミン化合物と反応させ開環させる方法により得ることができる。
次に、一般式(PA−II)で表される化合物について説明する。
一般式(PA−II)中、
及びQは、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q及びQのいずれか一方は、塩基性官能基を有する。QとQは、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有してもよい。
及びXは、各々独立に、−CO−又は−SO−を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生された酸性官能基に相当する。
一般式(PA−II)に於ける、Q、Qとしての1価の有機基は、好ましくは炭素数1〜40であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。
、Qにおけるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数1〜30の直鎖及び分岐アルキル基であり、アルキル鎖中に、酸素原子、硫黄原子及び/又は窒素原子を有していてもよい。
、Qにおけるシクロアルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数3〜20のシクロアルキル基であり、環内に酸素原子及び/又は窒素原子を有していてもよい。
、Qにおけるアリール基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数6〜14のアリール基である。
、Qにおけるアラルキル基としては、置換基を有していてもよく、好ましくは炭素数7〜20のアラルキル基が挙げられる。
、Qにおけるアルケニル基としては、置換基を有していてもよく、上記アルキル基の任意の位置に2重結合を有する基が挙げられる。
上記各基が有してもよい置換基としては、上記式(PA−1)における各基が有していてもよい置換基として先に例示したものと同様の基を挙げることができる。
、Qの少なくともいずれかが有する塩基性官能基の好ましい部分構造としては、一般式(PA−I)のRが有する塩基性官能基として説明したものと同様のものが挙げられる。
とQとが、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有する構造としては、例えば、QとQの有機基が更にアルキレン基、オキシ基、イミノ基等で結合された構造を挙げることができる。
一般式(PA−II)に於いて、X及びXの少なくとも一方が、−SO−であることが好ましい。
次に、一般式(PA−III)で表される化合物を説明する。
一般式(PA−III)中、
及びQは、各々独立に、1価の有機基を表す。但し、Q及びQのいずれか一方は、塩基性官能基を有する。QとQは、結合して環を形成し、形成された環が塩基性官能基を有していてもよい。
、X及びXは、各々独立に、−CO−又は−SO−を表す。
は、2価の連結基を表す。
Bは、単結合、酸素原子又は−N(Qx)−を表す。Qxは、水素原子又は1価の有機基を表す。
Bが、−N(Qx)−の時、QとQxとが結合して環を形成していてもよい。
mは、0又は1を表す。
なお、−NH−は、活性光線又は放射線の照射により発生された酸性官能基に相当する。
は、一般式(PA−II)に於けるQと同義である。
の有機基としては、一般式(PA−II)に於けるQ、Qの有機基と同様のものを挙げることができる。
における2価の連結基としては、好ましくは、炭素数1〜8のフッ素原子を有する2価の連結基であり、例えば、炭素数1〜8のフッ素原子を有するアルキレン基、フッ素原子を有するフェニレン基等が挙げられる。より好ましくはフッ素原子を有するアルキレン基であり、好ましい炭素数は2〜6、より好ましい炭素数は2〜4である。アルキレン鎖中に酸素原子、硫黄原子などの連結基を有していてもよい。アルキレン基は、水素原子数の30〜100%がフッ素原子で置換されたアルキレン基が好ましく、更にはパーフルオロアルキレン基が好ましく、炭素数2〜4のパーフルオロアルキレン基が特に好ましい。
Qxにおける1価の有機基としては、好ましくは炭素数4〜30の有機基であり、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基などを挙げることができる。アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基は上記式(PA−I)におけるRxと同様のものを挙げることができる。
一般式(PA−III)に於いて、X、X、Xは、−SO−であることが好ましい。
化合物(PA)としては、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物のスルホニウム塩化合物、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物のヨードニウム塩化合物が好ましく、更に好ましくは下記一般式(PA1)又は(PA2)で表される化合物である。
一般式(PA1)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表し、具体的には、上記酸発生剤における式ZIのR201、R202及びR203と同様である。
は、一般式(PA−I)で示される化合物の−SOH部位若しくは−COOH部位の水素原子が脱離したスルホン酸アニオン若しくはカルボン酸アニオン、又は一般式(PA−II)若しくは(PA−III)で表される化合物の−NH−部位から水素原子が脱離したアニオンを表す。
前記一般式(PA2)中、
204及びR205は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表し、具体的には、上記酸発生剤における式ZIIのR204及びR205と同様である。
は、一般式(PA−I)で示される化合物の−SOH部位若しくは−COOH部位の水素原子が脱離したスルホン酸アニオン若しくはカルボン酸アニオン、又は一般式(PA−II)若しくは(PA−III)で表される化合物の−NH−部位から水素原子が脱離したアニオンを表す。
化合物(PA)は、活性光線又は放射線の照射により分解し、例えば、一般式(PA−I)、(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を発生する。
一般式(PA−I)で表される化合物は、塩基性官能基又はアンモニウム基とともにスルホン酸基又はカルボン酸基を有することにより、化合物(PA)に比べて塩基性が低下、消失、又は塩基性から酸性に変化した化合物である。
一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物は、塩基性官能基とともに有機スルホニルイミノ基若しくは有機カルボニルイミノ基を有することにより、化合物
(PA)に比べて塩基性が低下、消失、又は塩基性から酸性に変化した化合物である。
本発明に於いて、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下することは、活性光線又は放射線の照射により化合物(PA)のプロトン(活性光線又は放射線の照射により発生された酸)に対するアクセプター性が低下することを意味する。アクセプター性が低下するとは、塩基性官能基を有する化合物とプロトンとからプロトン付加体である非共有結合錯体が生成する平衡反応が起こる時、あるいは、アンモニウム基を有する化合物の対カチオンがプロトンに交換される平衡反応が起こる時、その化学平衡に於ける平衡定数が減少することを意味する。
このように、活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する化合物(PA)が組成物膜に含有されていることにより、未露光部においては、化合物(PA)のアクセプター性が十分に発現されて、露光部等から拡散した酸と酸分解性樹脂との意図しない反応を抑制することができる。また、露光部においては、化合物(PA)のアクセプター性が低下するので、酸と酸分解性樹脂との意図する反応がより確実に起こる。このような作用機構の寄与により、ラフネス特性、フォーカス余裕度(DOF)及びパターン形状に優れたパターンが得られるものと推測される。
なお、塩基性は、pH測定を行うことによって確認することができるし、市販のソフトウェアによって計算値を算出することによって確認することも可能である。
活性光線又は放射線の照射により塩基性が低下する化合物(PA)の具体例としては、例えば特開2006−208781号公報、特開2006−330098号公報に記載のものを挙げることができる。
以下、活性光線又は放射線の照射により一般式(PA−I)で表される化合物を発生する化合物(PA)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
これらの化合物の合成は、一般式(PA−I)で表される化合物又はそのリチウム、ナトリウム、カリウム塩と、ヨードニウム又はスルホニウムの水酸化物、臭化物、塩化物等から、特表平11−501909号公報又は特開2003−246786号公報に記載されている塩交換法を用いて容易に合成できる。また、特開平7−333851号公報に記載の合成方法に準ずることもできる。
以下、活性光線又は放射線の照射により一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される化合物を発生する化合物(PA)の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
これらの化合物は、一般的なスルホン酸エステル化反応あるいはスルホンアミド化反応を用いることで容易に合成できる。例えば、ビススルホニルハライド化合物の一方のスルホニルハライド部を選択的に一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される部分構造を含むアミン、アルコールなどと反応させて、スルホンアミド結合、スルホン酸エステル結合を形成した後、もう一方のスルホニルハライド部分を加水分解する方法、あるいは環状スルホン酸無水物を一般式(PA−II)で表される部分構造を含むアミン、アルコールにより開環させる方法により得ることができる。一般式(PA−II)又は(PA−III)で表される部分構造を含むアミン、アルコールは、アミン、アルコールを塩基性下にて(R’OC)Oや(R’SOO等の無水物、R’OCClやR’SOCl等の酸クロリド化合物と反応させることにより合成できる(R’は、メチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基等)。特に、特開2006−330098号公報の合成例などに準ずることができる。
化合物(PA)の分子量は、500〜1000であることが好ましい。
化合物(PA)は、単独であるいは2種以上で用いられる。また、化合物(PA)は、上述した化合物(e)と併用してもよい。
本発明に係る組成物中の化合物(PA)の含量は、組成物の固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
(g)疎水性樹脂
本発明に係る組成物は、特に液浸露光に適用する際、フッ素原子及び珪素原子の少なくともいずれかを有する疎水性樹脂(上記樹脂(G)を除く)を含有してもよい。これにより、膜表層に疎水性樹脂が偏在化し、液浸媒体が水の場合、水に対するレジスト膜表面の静的/動的な接触角を向上させ、液浸水追随性を向上させることができる。
疎水性樹脂は前述のように界面に偏在するものであるが、界面活性剤とは異なり、必ずしも分子内に親水基を有する必要はなく、極性/非極性物質を均一に混合することに寄与しなくても良い。
疎水性樹脂は、典型的には、フッ素原子及び/又はケイ素原子を含んでいる。これらフッ素原子及び/又はケイ素原子は、樹脂の主鎖中に含まれていてもよく、側鎖中に含まれていてもよい。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、フッ素原子を含んだ部分構造として、フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、又はフッ素原子を含んだアリール基を備えていることが好ましい。
フッ素原子を含んだアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基である。このアルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜4であることがより好ましい。このフッ素原子を含んだアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだシクロアルキル基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された単環式又は多環式のシクロアルキル基である。このフッ素原子を含んだシクロアルキル基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアリール基は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換されたアリール基である。このアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。このフッ素原子を含んだアリール基は、フッ素原子以外の置換基を更に有していてもよい。
フッ素原子を含んだアルキル基、フッ素原子を含んだシクロアルキル基、及びフッ素原子を含んだアリール基の好ましい例として、上記樹脂(G)において説明した一般式(F2)〜(F4)により表される基が挙げられる。
フッ素原子を含んだ繰り返し単位の具体例は、上記樹脂(G)において例示したものと同様である。
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、この樹脂は、ケイ素原子を含んだ部分構造として、アルキルシリル構造又は環状シロキサン構造を備えていることが好ましい。このアリキルシリル構造は、好ましくは、トリアルキルシリル基を含んだ構造である。
アルキルシリル構造及び環状シロキサン構造の好ましい例としては、上記樹脂(G)において説明した一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基が挙げられる。
一般式(CS−1)〜(CS−3)により表される基を有する繰り返し単位の具体例は、上記樹脂(G)において例示したものと同様である。
疎水性樹脂は、下記(x)〜(z)からなる群より選択される少なくとも1つの基を更に含んでいてもよい。
(x)酸基;
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基;
(z)酸分解性基
(x)酸基としては、例えば、フェノール性水酸基、カルボン酸基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)
(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、及びトリス(アルキルスルホニル)メチレン基が挙げられる。好ましい酸基としては、フッ素化アルコール基、スルホンイミド基及びビス
(カルボニル)メチレン基が挙げられる。好ましいフッ素化アルコール基としては、ヘキサフルオロイソプロパノール基が挙げられる。
酸基を有する繰り返し単位は、例えば、アクリル酸及びメタクリル酸による繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接酸基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、酸基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、酸基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
酸基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜50モル%であることが好ましく、3〜35モル%であることがより好ましく、5〜20モル%であることが更に好ましい。
以下に、酸基を有する繰り返し単位の具体例を示す。式中、Rxは水素原子、CH、CF、又は、CHOHを表す。
(y)ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基としては、ラクトン構造を有する基が特に好ましい。
これらの基を含んだ繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に直接この基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、この基が連結基を介して樹脂の主鎖に結合している繰り返し単位であってもよい。或いは、この繰り返し単位は、この基を有する重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
ラクトン構造を有する基を有する繰り返し単位としては、例えば、先に、酸分解性樹脂の項で説明したラクトン構造を有する繰り返し単位と同様のものが挙げられる。
該ラクトン構造を有する基としてより好ましくは、下記一般式(KA−1)により表される部分構造を有するものである。この構造を有することにより、液浸液の後退接触角の向上などが期待される。
一般式(KA−1)中、
ka1は、nkaが2以上の場合には各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシ基、アミド基、アリール基、ラクトン環基、又は電子求引性基を表す。nkaが2以上の場合、複数のZka1が互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、例えば、シクロアルキル環、並びに、環状エーテル環及びラクトン環等のヘテロ環が挙げられる。
nkaは0〜10の整数を表す。nkaは、好ましくは0〜8であり、より好ましくは0〜5であり、更に好ましくは1〜4であり、特に好ましくは1〜3である。
なお、一般式(KA−1)により表される構造は、樹脂の主鎖、側鎖、末端などに存在する部分構造であり、この構造中に含まれる少なくとも1つの水素原子を除いてなる1価以上の置換基として存在する。
ka1は、好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、エーテル基、ヒドロキシ基又は電子求引性基であり、より好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基又は電子求引性基である。なお、エーテル基としては、アルキルエーテル基又はシクロアルキルエーテル基が好ましい。
ka1のアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。
ka1のアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基及びt−ブチル基等の炭素数が1〜4のものであることが好ましい。
ka1のシクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。後者の場合、シクロアルキル基は、有橋式であってもよい。即ち、この場合、シクロアルキル基は、橋かけ構造を有していてもよい。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
単環型のシクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基が挙げられる。
多環型のシクロアルキル基としては、例えば、炭素数が5以上のビシクロ、トリシクロ又はテトラシクロ構造を有する基が挙げられる。この多環型のシクロアルキル基は、炭素数が6〜20であることが好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。
これら構造は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。
置換基としてのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基及びブチル基等の低級アルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基であることが更に好ましい。
置換基としてのアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基及びブトキシ基等の炭素数が1〜4のものが挙げられる。
これら置換基としてのアルキル基及びアルコキシ基は、更なる置換基を有していてもよい。この更なる置換基としては、例えば、水酸基、ハロゲン原子及びアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4)が挙げられる。
ka1のアリール基としては、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。
ka1のアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基が更に有し得る置換基としては、例えば、水酸基;ハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;上記のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基及びt−ブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ベンジル基、フェネチル基及びクミル基等のアラルキル基;アラルキルオキシ基;ホルミル基、アセチル基、ブチリル基、ベンゾイル基、シアナミル基及びバレリル基等のアシル基;ブチリルオキシ基等のアシロキシ基;アルケニル基;ビニルオキシ基、プロペニルオキシ基、アリルオキシ基及びブテニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;上記のアリール基;フェノキシ基等のアリールオキシ基;並びに、ベンゾイルオキシ基等のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。
ka1の電子求引性基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、オキシ基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、ニトリル基、ニトロ基、スルホニル基、スルフィニル基、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基、ハロアリール基、及びこれらの組み合わせが挙げられる。なお、「ハロ(シクロ)アルキル基」とは、少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換された(シクロ)アルキル基を意味している。
ka1のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、フッ素原子が特に好ましい。
−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基において、Rf1は、ハロゲン原子、パーハロアルキル基、パーハロシクロアルキル基、又はパーハロアリール基を表す。このRf1は、フッ素原子、パーフルオロアルキル基又はパーフルオロシクロアルキル基であることがより好ましく、フッ素原子又はトリフルオロメチル基であることが更に好ましい。
−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基において、Rf2及びRf3は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子又は有機基を表す。この有機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基及びアルコキシ基が挙げられる。これら基は、ハロゲン原子等の置換基を更に有していてもよい。
f1〜Rf3のうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、例えば、シクロアルキル環、ハロシクロアルキル環、アリール環、及びハロアリール環が挙げられる。
f1〜Rf3のアルキル基及びハロアルキル基としては、例えば、先にZka1について説明したアルキル基、及び、これらアルキル基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子により置換された基が挙げられる。
上記のハロシクロアルキル基及びハロアリール基としては、例えば、先にZka1について説明したシクロアルキル基及びアリール基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子により置換された基が挙げられる。このハロシクロアルキル基及びハロアリール基としては、より好ましくは、−C(n)(2n−2)Hにより表されるフルオロシクロアルキル基、及びパーフルオロアリール基などが挙げられる。ここで、炭素数nの範囲に特に制限はないが、nは5〜13の整数であることが好ましく、nは6であることが特に好ましい。
f2は、Rf1と同一の基であるか、又は、Rf3と結合して環を形成していることがより好ましい。
上記の電子求引性基は、ハロゲン原子、ハロ(シクロ)アルキル基又はハロアリール基であることが特に好ましい。
上記の電子求引性基は、フッ素原子の一部がフッ素原子以外の電子求引性基で置換されていてもよい。
なお、電子求引性基が2価以上の基である場合、残りの結合手は、任意の原子又は置換基との結合に供される。この場合、上記の部分構造は、更なる置換基を介して疎水性樹脂の主鎖に結合していてもよい。
上記一般式(KA−1)で表されるもののうち、更に、以下の一般式(KY−1)で表されるものが好ましい。
式(KY−1)中、
ky6〜Rky10は、各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、カルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、エーテル基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミド基、又はアリール基を表す。Rky6〜Rky10のうち少なくとも2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。
ky5は、電子求引性基を表す。電子求引性基としては、上記一般式(KA−1)におけるZka1と同様のものが挙げられる。この電子求引性基は、好ましくは、ハロゲン原子、−C(Rf1)(Rf2)−Rf3により表されるハロ(シクロ)アルキル基、又はハロアリール基である。
nkbは、0又は1を表す。
kb1、Rkb2は、各々独立して、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は電子求引性基を表す。これら原子団として具体的には、上記一般式(KA−1)におけるZka1と同様のものが挙げられる。
一般式(KY−1)により表される構造は、下記一般式(KY−1−1)により表される構造であることがより好ましい。
式(KY−1−1)中、Zka1及びnkaの各々は、上記一般式(KA−1)におけるものと同義である。Rky、Rkb1、Rkb2及びnkbの各々は、上記一般式(KY−1)におけるものと同義である。
kyは、アルキレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。Lkyのアルキレン基としては、例えば、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。Lkyは、酸素原子又はメチレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
Rsは、各々独立に、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。nsが2以上の場合、複数のRsは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lsは、単結合、エーテル結合、エステル結合、アミド結合、ウレイレン結合又はウレア結合を表し、複数ある場合は、同じでも異なっていてもよい。
nsは、−(Rs−Ls)−により表される連結基の繰り返し数であり、0〜5の整数を表す。
一般式(KA−1)で表される構造を有する繰り返し単位の好ましい具体例を以下に示すが、これに限定されない。Raは水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。
ラクトン構造を有する基、酸無水物基、又は酸イミド基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜40モル%であることが好ましく、3〜30モル%であることがより好ましく、5〜15モル%であることが更に好ましい。
(z)酸分解性基としては、例えば、先に(a)酸分解性樹脂の項で説明したのと同様のものが挙げられる。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂中の全繰り返し単位を基準として、1〜80モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、20〜60モル%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂は、上記樹脂(G)において説明した一般式(III’)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位を含んでいてもよい。
一般式(III’)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位の具体例は、上記樹脂(G)において例示したものと同様である。
疎水性樹脂(G)が一般式(III’)又は(CII−AB)により表される繰り返し単位を含む場合、その繰り返し単位の量は、疎水性樹脂(G)を構成する全繰り返し単位に対して、1〜100モル%であるのが好ましく、5〜95モル%であるのがより好ましく、20〜80モル%であるのが更に好ましい。
以下に、疎水性樹脂の具体例を挙げる。また、下記表2に、各樹脂における繰り返し単位のモル比(各繰り返し単位と左から順に対応)、重量平均分子量、及び分散度(Mw/Mn)を示す。
疎水性樹脂がフッ素原子を含んでいる場合、フッ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量を基準として、5〜80質量%であることが好ましく、10〜80質量%であることがより好ましい。また、フッ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、30〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂がケイ素原子を含んでいる場合、ケイ素原子の含有量は、疎水性樹脂の分子量を基準として、2〜50質量%であることが好ましく、2〜30質量%であることがより好ましい。また、ケイ素原子を含んだ繰り返し単位の含有量は、疎水性樹脂の全繰り返し単位を基準として、10〜100質量%であることが好ましく、20〜100質量%であることがより好ましい。
疎水性樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000であり、より好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜15,000である。
疎水性樹脂の分散度は、1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが更に好ましい。こうすると、より優れた解像度、パターン形状及びラフネス特性を達成することが可能となる。
疎水性樹脂は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
疎水性樹脂の含有量は、組成物中の全固形分を基準として、0.01〜10質量%であることが好ましく、0.05〜8質量%であることがより好ましく、0.1〜5質量%であることが更に好ましい。
疎水性樹脂としては、市販品を使用してもよく、常法に従って合成したものを使用してもよい。この樹脂の一般的な合成方法としては、例えば、先に酸分解性樹脂について説明したのと同様の方法が挙げられる。
疎水性樹脂は、金属等の不純物が少ないのは当然のことながら、単量体及びオリゴマー成分の残存量が0〜10質量%であることが好ましく、0〜5質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることが更に好ましい。これにより、液中異物の量を減少させ、感度等の経時変化を低減することが可能となる。
本発明に係る組成物から形成された膜について、活性光線又は放射線の照射時に、膜とレンズの間に空気よりも屈折率の高い液体(液浸媒体)を満たして露光(液浸露光)を行ってもよい。これにより解像性を高めることができる。用いる液浸媒体としては空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが好ましくは純水である。
液浸露光する際に使用する液浸液について、以下に説明する。
液浸液は、露光波長に対して透明であり、かつ組成物膜上に投影される光学像の歪みを最小限に留めるよう、屈折率の温度係数ができる限り小さい液体が好ましいが、特に露光光源がArFエキシマレーザー(波長;193nm)である場合には、上述の観点に加えて、入手の容易さ、取り扱いのし易さといった点から水を用いるのが好ましい。
また、さらに屈折率が向上できるという点で屈折率1.5以上の媒体を用いることもできる。この媒体は、水溶液でもよく有機溶剤でもよい。
液浸液として水を用いる場合、水の表面張力を減少させるとともに、界面活性力を増大させるために、ウェハ上の組成物膜を溶解させず、且つレンズ素子の下面の光学コートに対する影響が無視できる添加剤(液体)を僅かな割合で添加しても良い。その添加剤としては水とほぼ等しい屈折率を有する脂肪族系のアルコールが好ましく、具体的にはメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。水とほぼ等しい屈折率を有するアルコールを添加することにより、水中のアルコール成分が蒸発して含有濃度が変化しても、液体全体としての屈折率変化を極めて小さくできるといった利点が得られる。一方で、193nm光に対して不透明な物質や屈折率が水と大きく異なる不純物が混入した場合、組成物膜上に投影される光学像の歪みを招くため、使用する水としては、蒸留水が好ましい。更にイオン交換フィルター等を通して濾過を行った純水を用いてもよい。
水の電気抵抗は、18.3MQcm以上であることが望ましく、TOC(有機物濃度)は20ppb以下であることが望ましく、脱気処理をしていることが望ましい。
また、液浸液の屈折率を高めることにより、リソグラフィー性能を高めることが可能である。このような観点から、屈折率を高めるような添加剤を水に加えたり、水の代わりに重水(D2O)を用いてもよい。
本発明の組成物による膜と液浸液との間には、膜を直接、液浸液に接触させないために、液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。トップコートに必要な機能としては、組成物膜上層部への塗布適正、放射線、特に193nmに対する透明性、液浸液難溶性である。トップコートは、組成物と混合せず、さらに組成物膜上層に均一に塗布できることが好ましい。
トップコートは、193nm透明性という観点からは、芳香族を豊富に含有しないポリマーが好ましく、具体的には、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、フッ素含有ポリマーなどが挙げられる。前述の疎水性樹脂(G)はトップコートとしても好適なものである。トップコートから液浸液へ不純物が溶出すると光学レンズを汚染するという観点からは、トップコートに含まれるポリマーの残留モノマー成分は少ない方が好ましい。
トップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程が膜の現像処理工程と同時にできるという点では、有機溶媒を含んだ現像液で剥離できることが好ましい。
トップコートと液浸液との間には屈折率の差がない方が、解像力が向上する。ArFエキシマレーザー(波長:193nm)において、液浸液として水を用いる場合には、ArF液浸露光用トップコートは、液浸液の屈折率に近いことが好ましい。屈折率を液浸液に近くするという観点からは、トップコート中にフッ素原子を有することが好ましい。また、透明性・屈折率の観点から薄膜の方が好ましい。
トップコートは、膜と混合せず、さらに液浸液とも混合しないことが好ましい。この観点から、液浸液が水の場合には、トップコートに使用される溶剤は、本発明の組成物に使用される溶媒に難溶で、かつ非水溶性の媒体であることが好ましい。さらに、液浸液が有機溶剤である場合には、トップコートは水溶性であっても非水溶性であってもよい。
(h)界面活性剤
本発明に係る組成物は、界面活性剤を更に含んでいてもよい。界面活性剤を含有することにより、波長が250nm以下、特には220nm以下の露光光源を使用した場合に、良好な感度及び解像度で、密着性及び現像欠陥のより少ないパターンを形成することが可能となる。
界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤としては、例えば、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0276]に記載の界面活性剤が挙げられる。また、エフトップEF301若しくはEF303(新秋田化成(株)製);フロラードFC430、431若しくは4430(住友スリーエム(株)製);メガファックF171、F173、F176、F189、F113、F110、F177、F120若しくはR08(大日本インキ化学工業(株)製);サーフロンS−382、SC101、102、103、104、105若しくは106(旭硝子(株)製);トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製);GF−300若しくはGF−150(東亜合成化学(株)製)、サーフロンS−393(セイミケミカル(株)製);エフトップEF121、EF122A、EF122B、RF122C、EF125M、EF135M、EF351、EF352、EF801、EF802若しくはEF601((株)ジェムコ製);PF636、PF656、PF6320若しくはPF6520(OMNOVA社製);又は、FTX−204G、208G、218G、230G、204D、208D、212D、218D若しくは222D((株)ネオス製)を用いてもよい。なお、ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)も、シリコン系界面活性剤として用いることができる。
また、界面活性剤は、上記に示すような公知のものの他に、テロメリゼーション法(テロマー法ともいわれる)又はオリゴメリゼーション法(オリゴマー法ともいわれる)により製造されたフルオロ脂肪族化合物を用いて合成してもよい。具体的には、このフルオロ脂肪族化合物から導かれたフルオロ脂肪族基を備えた重合体を、界面活性剤として用いてもよい。このフルオロ脂肪族化合物は、例えば、特開2002−90991号公報に記載された方法によって合成することができる。
フルオロ脂肪族基を有する重合体としては、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート及び/又は(ポリ(オキシアルキレン))メタクリレートとの共重合体が好ましく、不規則に分布していても、ブロック共重合していてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)基としては、例えば、ポリ(オキシエチレン)基、ポリ(オキシプロピレン)基及びポリ(オキシブチレン)基が挙げられる。また、ポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとオキシエチレンとのブロック連結体)及びポリ(オキシエチレンとオキシプロピレンとのブロック連結体)等の、同じ鎖内に異なる鎖長のアルキレンを有するユニットであってもよい。
さらに、フルオロ脂肪族基を有するモノマーと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体は、異なる2種以上のフルオロ脂肪族基を有するモノマー及び異なる2種以上の(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレート等を同時に共重合してなる3元系以上の共重合体であってもよい。
例えば、市販の界面活性剤として、メガファックF178、F−470、F−473、F−475、F−476及びF−472(大日本インキ化学工業(株)製)が挙げられる。さらに、C613基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C613基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、C817基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシアルキレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体、及び、C817基を有するアクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシエチレン))アクリレート若しくはメタクリレートと(ポリ(オキシプロピレン))アクリレート若しくはメタクリレートとの共重合体等が挙げられる。
また、米国特許出願公開第2008/0248425号明細書の[0280]に記載されているフッ素系及び/又はシリコン系以外の界面活性剤を使用してもよい。
これら界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係る組成物が界面活性剤を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0〜2質量%、より好ましくは0.0001〜2質量%、更に好ましくは0.0005〜1質量%である。
(i)その他の添加剤
本発明に係る組成物は、溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び/又は現像液に対する溶解性を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又はカルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物)を更に含んでいてもよい。
本発明に係る組成物は、溶解阻止化合物を更に含んでいてもよい。ここで「溶解阻止化合物」とは、酸の作用により分解して有機溶剤を含んだ現像液中での溶解度が減少する、分子量3000以下の化合物である。
この溶解阻止化合物としては、波長が220nm以下の光に対する透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724, 355 (1996) に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体等の、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。この酸分解性基及び脂環構造としては、例えば、先に説明したのと同様のものが挙げられる。
なお、本発明に係るレジスト組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか又は電子線で照射する場合には、溶解阻止化合物としては、フェノール化合物のフェノール性ヒドロキシ基を酸分解基で置換した構造を含んだ化合物が好ましい。フェノール化合物としては、フェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、2〜6個含有するものが更に好ましい。
本発明に係る組成物が溶解阻止化合物を含んでいる場合、その含有量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に、溶解阻止化合物の具体例を挙げる。
分子量1000以下のフェノール化合物は、例えば、特開平4−122938号、特開平2−28531号、米国特許第4,916,210号、及び欧州特許第219294号等に記載の方法を参考にして、容易に合成することができる。
カルボキシ基を含んだ脂環族若しくは脂肪族化合物としては、例えば、コール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸等のステロイド構造を含んだカルボン酸誘導体、アダマンタンカルボン酸誘導体、アダマンタンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、並びにシクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。
<パターン形成方法>
本発明に係るパターン形成方法は、(A)上で説明したレジスト組成物を用いて膜を形成することと、(B)この膜を露光することと、(C)露光された膜を現像することとを含んでいる。(C)の現像工程は、典型的には、有機溶剤を含んだ現像液を用いて行う。また、上記の有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像により形成されるパターンは、典型的には、ネガ型である。なお、この方法は、(D)リンス液を用いて現像された膜をリンスすることを更に含んでいてもよい。
製膜後、露光工程の前に、前加熱(PB;Prebake)工程を含むことも好ましい。また、露光工程の後かつ現像工程の前に、露光後加熱(PEB;Post Exposure Bake)工程を含むことも好ましい。
加熱温度は、PB工程及びPEB工程共に、40〜130℃で行うことが好ましく、50〜120℃で行うことがより好ましく、60〜110℃で行うことが更に好ましい。特に、PEB工程を60〜90℃の低温で行った場合、露光ラチチュード(EL)及び解像力を顕著に向上させることができる。
また、加熱時間は、30〜300秒が好ましく、30〜180秒がより好ましく、30〜90秒が更に好ましい。
本発明に係るパターン形成方法において、組成物による膜を基板上に形成する工程、膜を露光する工程、加熱工程、及び現像工程は、一般的に知られている方法により行うことができる。
上記の露光に用いられる光源の波長に制限は無いが、例えば、KrFエキシマレーザー波長(248nm)、ArFエキシマレーザー波長(193nm)、及び、Fエキシマレーザー波長(157nm)が挙げられる。
本発明に係る組成物を用いて形成した膜に対しては、液浸露光を行ってもよい。これにより解像性を更に向上させることができる。用いる液浸媒体としては、空気よりも屈折率の高い液体であればいずれのものでも用いることができるが、好ましくは純水である。
この場合、上述した疎水性樹脂を組成物に予め添加しておいてもよく、膜を形成した後、その上に液浸液難溶性膜(以下、「トップコート」ともいう)を設けてもよい。なお、トップコートに求められる性能及びその使用法などについては、シーエムシー出版「液浸リソグラフィのプロセスと材料」の第7章に解説されている。
トップコートは、波長193nmのレーザーに対する透明性という観点からは、芳香族を豊富に含有しないポリマーが好ましく、例えば、炭化水素ポリマー、アクリル酸エステルポリマー、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、ポリビニルエーテル、シリコン含有ポリマー、及びフッ素含有ポリマーが挙げられる。上述した疎水性樹脂は、トップコートとしても好適なものである。また、市販のトップコート材料も適宜使用可能である。
露光後にトップコートを剥離する際は、現像液を使用してもよいし、別途剥離剤を使用してもよい。剥離剤としては、膜への浸透が小さい溶剤が好ましい。剥離工程が膜の現像処理工程と同時にできるという点では、現像液により剥離できることが好ましい。
本発明において膜を形成する基板には、特に制限はない。この基板としては、IC等の半導体製造工程、液晶及びサーマルヘッド等の回路基板の製造工程、並びにその他のフォトファブリケーションのリソグラフィー工程で一般的に用いられる基板を用いることができる。このような基板としては、例えば、シリコン、SiN及びSiO等の無機基板、並びに、SOG等の塗布系無機基板が挙げられる。更に、必要に応じて、膜と基板との間に、有機反射防止膜を形成させてもよい。
有機溶剤を含んだ現像液としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤等の極性溶剤、並びに、炭化水素系溶剤を含んだ現像液が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えば、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、アセトン、4−ヘプタノン、1−ヘキサノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセチルアセトン、アセトニルアセトン、イオノン、ジアセトニルアルコール、アセチルカービノール、アセトフェノン、メチルナフチルケトン、イソホロン、及びプロピレンカーボネートが挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸n−ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチルー3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、乳酸プロピル、プロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸メチル(MMP)、プロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル(EEP)、及び、プロピオン酸プロピルが挙げられる。特には、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び酢酸アミル等の酢酸アルキルエステル又はプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、及びプロピオン酸プロピルなどのプロピオン酸アルキルエステルが好ましい。
アルコール系溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール及びn−デカノール等のアルコール;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のグリコール;並びに、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシメチルブタノール等のグリコールエーテルが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えば、上記のグリコールエーテルの他、ジオキサン及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
アミド系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。
炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン及びアニソール等の芳香族炭化水素系溶剤、並びに、ペンタン、ヘキサン、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
上記の溶剤は、2種類以上を混合して用いてもよい。また、十分な性能を発揮できる範囲内で、上記以外の溶剤及び/又は水と混合して用いてもよい。但し、現像液全体としての含水率が10質量%未満であることが好ましく、現像液が実質的に水分を含有しないことがより好ましい。即ち、この現像液は、実質的に有機溶剤のみからなる現像液であることが好ましい。なお、この場合であっても、現像液は、後述する界面活性剤を含み得る。また、この場合、現像液は、雰囲気由来の不可避的不純物を含んでいてもよい。
現像液に対する有機溶剤の使用量は、現像液の全量に対して、80質量%以上100質量%以下であることが好ましく、90質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、95質量%以上100質量%以下であることが更に好ましい。
特に、現像液が含んでいる有機溶剤は、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
有機溶剤を含んだ現像液の蒸気圧は、20℃に於いて、5kPa以下であることが好ましく、3kPa以下であることが更に好ましく、2kPa以下であることが特に好ましい。現像液の蒸気圧を5kPa以下にすることにより、基板上又は現像カップ内での現像液の蒸発が抑制され、ウェハ面内の温度均一性が向上し、結果として、ウェハ面内の寸法均一性が向上する。
5kPa以下の蒸気圧を有する現像液の具体例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸ブチル、蟻酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル及び乳酸プロピル等のエステル系溶剤;n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール、及びn−デカノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;並びに、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
2kPa以下の蒸気圧を有する現像液の具体例としては、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン及びフェニルアセトン等のケトン系溶剤;酢酸ブチル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチル及び乳酸プロピル等のエステル系溶剤;n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、4−メチルー2−ペンタノール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコール及びn−デカノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール等のグリコール系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル及びメトキシメチルブタノール等のグリコールエーテル系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドのアミド系溶剤;キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;並びに、オクタン及びデカン等の脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。
現像液には、必要に応じて、界面活性剤を適当量添加することができる。
この界面活性剤に特に制限はないが、例えば、イオン性又は非イオン性のフッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤を用いることができる。これらのフッ素及び/又はシリコン系界面活性剤として、例えば、特開昭62−36663号公報、特開昭61−226746号公報、特開昭61−226745号公報、特開昭62−170950号公報、特開昭63−34540号公報、特開平7−230165号公報、特開平8−62834号公報、特開平9−54432号公報、特開平9−5988号公報、米国特許第5405720号明細書、同5360692号明細書、同5529881号明細書、同5296330号明細書、同5436098号明細書、同5576143号明細書、同5294511号明細書、同5824451号明細書記載の界面活性剤を挙げることができる。この界面活性剤は、非イオン性であることが好ましい。非イオン性の界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤を用いることが更に好ましい。
なお、界面活性剤の使用量は、現像液の全量に対して、通常は0.001〜5質量%であり、好ましくは0.005〜2質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
現像方法としては、例えば、現像液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、基板表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止することで現像する方法(パドル法)、基板表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、及び、一定速度で回転している基板上に一定速度で現像液吐出ノズルをスキャンしながら現像液を吐出しつづける方法(ダイナミックディスペンス法)が挙げられる。
上記各種の現像方法が、現像装置の現像ノズルから現像液をレジスト膜に向けて吐出する工程を含む場合、吐出される現像液の吐出圧(吐出される現像液の単位面積あたりの流速)は、好ましくは2mL/sec/mm以下であり、より好ましくは1.5mL/sec/mm以下であり、さらに好ましくは1mL/sec/mm以下である。流速の下限は特に無いが、スループットを考慮すると、0.2mL/sec/mm以上であることが好ましい。
吐出される現像液の吐出圧を上記の範囲とすることにより、現像後のレジスト残渣に由来するパターンの欠陥を著しく低減することができる。
このメカニズムの詳細は定かではないが、恐らくは、吐出圧を上記範囲とすることで、現像液がレジスト膜に与える圧力が小さくなり、レジスト膜及び/又はレジストパターンが不用意に削られたり崩れたりすることが抑制されるためと考えられる。
なお、現像液の吐出圧(mL/sec/mm)は、現像装置中の現像ノズル出口における値である。
現像液の吐出圧を調整する方法としては、例えば、ポンプなどで吐出圧を調整する方法、及び、加圧タンクからの供給で圧力を調整することでを変える方法が挙げられる。
また、現像を行う工程の後に、他の溶媒に置換しながら、現像を停止する工程を実施してもよい。
本発明に係るパターン形成方法は、上記の現像工程の後に、リンス工程(有機溶剤を含んだリンス液を用いて膜を洗浄する工程)を含んでいることが好ましい。
リンス工程に用いるリンス液としては、現像後のパターンを溶解しないものであれば特に制限はなく、一般的な有機溶剤を含んだ溶液を使用することができる。
リンス液としては、例えば、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤及びエーテル系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含んだものが挙げられる。このリンス液は、より好ましくは、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤及びアミド系溶剤から選択される少なくとも1種類の有機溶剤を含んだものであり、更に好ましくは、アルコール系溶剤又はエステル系溶剤を含んだものである。
このリンス液は、1価アルコールを含んでいることがより好ましく、炭素数5以上の1価アルコールを含んでいることが更に好ましい。
これら1価アルコールは、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよく、環状であってもよい。これら1価アルコールとしては、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、1−ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−ヘキサノール、シクロペンタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、及び4−オクタノールが挙げられる。炭素数5以上の1価アルコールとしては、例えば、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、4−メチルー2−ペンタノール、1−ペンタノール、及び3−メチル−1−ブタノールが挙げられる。
上記の各成分は、2種類以上を混合して使用してもよく、上記以外の有機溶剤と混合して使用してもよい。
リンス液の含水率は、10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることが好ましく、3質量%未満であることが更に好ましい。即ち、リンス液に対する有機溶剤の使用量は、リンス液の全量に対して、90質量%以上100質量%以下であることが好ましく、95質量%以上100質量%以下であることがより好ましく、97質量%以上100質量%以下であることが特に好ましい。リンス液の含水率を10質量%未満にすることにより、更に良好な現像特性を達成し得る。
リンス液の蒸気圧は、20℃に於いて、0.05kPa以上且つ5kPa以下であることが好ましく、0.1kPa以上且つ5kPa以下であることがより好ましく、0.12kPa以上且つ3kPa以下であることが更に好ましい。リンス液の蒸気圧を0.05kPa以上且つ5kPa以下にすることにより、ウェハ面内の温度均一性が向上すると共に、リンス液の浸透に起因した膨潤が抑制され、ウェハ面内の寸法均一性が良化する。
なお、リンス液には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
リンス工程においては、現像を行ったウェハを、上記のリンス液を用いて洗浄する。洗浄処理の方法は特に限定されないが、例えば、一定速度で回転している基板上にリンス液を吐出しつづける方法(回転塗布法)、リンス液が満たされた槽中に基板を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、及び、基板表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)が挙げられる。この中でも、回転塗布法で洗浄処理を行った後、基板を2000rpm〜4000rpmの回転数で回転させ、リンス液を基板上から除去することが好ましい。
本発明に係るパターン形成方法は、有機溶剤を含んだ現像液による現像工程に加えて、アルカリ現像液を用いた現像工程(ポジ型パターンの形成工程)を含んでいてもよい。アルカリ現像液を用いた現像工程と、有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像工程との順序に特に制限はないが、アルカリ現像液を用いた現像を有機溶剤を含んだ現像液を用いた現像の前に行うことがより好ましい。また、各現像工程の前に、加熱工程を伴うことが好ましい。
アルカリ現像液の種類は特に限定されないが、通常は、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液が用いられる。アルカリ現像液には、アルコール類及び/又は界面活性剤を適当量添加してもよい。
アルカリ現像液のアルカリ濃度は、通常0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常10.0〜15.0である。アルカリ現像液としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液を用いることが特に好ましい。
アルカリ現像液を用いた現像の後にリンス処理を行う場合、リンス液としては、典型的には純水を使用する。このリンス液には、界面活性剤を適当量添加してもよい。
<酸分解性樹脂及び疎水性樹脂>
〔合成例1:樹脂(P−1)の合成〕
窒素気流下、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルの6/4(質量比)の混合溶剤40gを3つ口フラスコに入れ、これを80℃に加熱した(溶剤1)。下記繰り返し単位に対応するモノマーをそれぞれモル比40/60の割合でプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルの6/4(質量比)の混合溶剤に溶解し、22質量%のモノマー溶液(400g)を調製した。更に、重合開始剤V−601(和光純薬工業製)をモノマーに対し8mol%を加え、溶解させた溶液を、上記溶剤1に対して6時間かけて滴下した。滴下終了後、更に80℃で2時間反応させた。反応液を放冷後ヘキサン3600ml/酢酸エチル400mlに注ぎ、析出した粉体をろ取、乾燥すると、樹脂(P−1)が74g得られた。得られた樹脂(P−1)の重量平均分子量は11000であり、分散度(Mw/Mn)は1.6であった。
〔合成例2:疎水性樹脂(6b)の合成〕
まず、以下のスキームに従って、化合物(4)を合成した。
上記化合物(1)を、国際公開第07/037213号パンフレットに記載の方法で合成した。
化合物(1)35.00gに水150.00gを加え、更に水酸化ナトリウム27.30gを加えた。加熱、還流条件で、9時間攪拌した。塩酸を加え、酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、濃縮することにより化合物(2)36.90gを得た(収率93%)。
H−NMR(400MHz/(CDCO):δ(ppm)=1.56−1.59(1H),1.68−1.72(1H),2.13−2.15(1H),2.13−2.47(2H),3.49−3.51(1H),3.68(1H),4.45−4.46(1H)。
化合物(2)20.00gにCHCl200mlを加え、更に、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアルコール50.90g、4−ジメチルアミノピリジン30.00gを加え攪拌した。該溶液中に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩22.00gを加え、3時間攪拌した。500mlの1N HCl中に反応溶液を加え、反応を停止した。有機層を更に1N HClで洗浄し、次に水で洗浄し、有機層を濃縮することにより化合物(3)30.00gを得た(収率85%)。
H−NMR(400MHz/(CDCO):δ(ppm)=1.62(1H),1.91−1.95(1H),2.21−2.24(1H),2.45−2.53(2H),3.61−3.63(1H),3.76(1H),4.32−4.58(1H),6.46−6.53(1H)
化合物(3)15.00gにトルエン300.00gを加え、更にメタクリル酸3.70g、p−トルエンスルホン酸・1水和物4.20gを加え、生成する水を共沸により取り除きながら、15時間還流した。反応液を濃縮し、濃縮物をカラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(4)11.70gを得た(収率65%)。
H−NMR(400MHz/(CDCO):δ(ppm)=1.76−1.79(1H),1.93(3H),2.16−2.22(2H),2.57−2.61(1H),2.76−2.81(1H),3.73−3.74(1H),4.73(1H),4.84−4.86(1H),5.69−5.70(1H),6.12(1H),6.50−6.56(1H)。
次に、下記樹脂(6b)の各繰り返し単位に対応するモノマーを各々90/10の割合(モル比)で仕込み、PGMEAに溶解し、固形分濃度15質量%の溶液450gを調製した。この溶液に和光純薬製重合開始剤V−601を1mol%加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて、100℃に加熱したPGMEA50gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール5Lに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である樹脂(6b)を回収した。
NMRから求めたポリマー組成比は90/10であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は12000であり、分散度は1.5であった。
各繰り返し単位に対応するモノマーを、所望の組成比(モル比)となるように使用した以外は、上記合成例1と同様にして、樹脂(P−2)〜(P−14)及び疎水性樹脂(1b)〜(5b)を合成した。
以下に、樹脂(P−1)〜(P−14)及び疎水性樹脂(1b)〜(6b)の構造を示す。また、これら樹脂の組成比(モル比)、重量平均分子量、分散度を、表3に示す。
<酸発生剤>
酸発生剤として、下記化合物(PAG−1)〜(PAG−12)を準備した。
<化合物(d)、(e)及び(PA)>
化合物(d)として、下記化合物(B−7)〜(B−18)を準備した。これらのうち、化合物(B−12)〜(B−18)は、上記樹脂(G)に該当する。
化合物(e)として、下記化合物(B−1)〜(B−6)を準備した。
化合物(PA)として、下記化合物(B−19)を準備した。
〔合成例3:化合物(B−10)の合成〕
1−(tert−ブトキシカルボニル)イソニペコチン酸2.3gにテトラヒドロフラン(THF)50mlを加え、更に、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアルコール3.4g、4−ジメチルアミノピリジン1.7gを加え攪拌した。該溶液中に、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.5gを加え、3時間攪拌した。30mlの1N HCl中に反応溶液を加え、反応を停止した。有機層を更に1N HClで洗浄し、次に水で洗浄し、有機層を濃縮することにより化合物(B−10)3.2gを得た(収率83%)。
H−NMR(400 MHz/(CDCO):δ(ppm)=1.45(9H),1.6−1.75(2H),1.90−2.00(2H),2.70(1H),2.85−3.00(2H),3.95−4.10(2H),5.75(1H)。
〔合成例4:化合物(B−12)の合成〕
上記繰り返し単位に対応するモノマーを各々39/49/10/2の割合(モル比)で仕込み、PGMEAに溶解し、固形分濃度15質量%の溶液450gを調製した。この溶液に和光純薬製重合開始剤V−601を1mol%加え、これを窒素雰囲気下、6時間かけて、100℃に加熱したPGMEA50gに滴下した。滴下終了後、反応液を2時間撹拌した。反応終了後、反応液を室温まで冷却し、メタノール5Lに晶析、析出した白色粉体を濾取し、目的物である化合物(B−12)を回収した。
NMRから求めたポリマー組成比は39/49/10/2であった。また、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量は4300であり、分散度は1.5であった。
他の化合物(B−1)〜(B−9)、(B−11)及び(B−13)〜(B−19)についても、合成例3及び4で説明したのと同様にして、合成した。
下記表4に、化合物(B−12)〜(B−18)の組成比(モル比)、重量平均分子量、分散度を、示す。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、以下のものを用いた。
W−1: メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素系)
W−2: メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製)(フッ素及びシリコン系)
W−3: ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)(シリコン系)。
W−4: PF−6320(OMNOVA社製)(フッ素系)。
<溶剤>
溶剤としては、以下のものを用いた。
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
A2:γ−ブチロラクトン
A3:シクロヘキサノン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)
B2:乳酸エチル
B3:2−ヘプタノン
B4:プロピレンカーボネート
C1:ジイソペンチルエーテル。
<レジスト及びトップコート組成物の調製>
下記表5に示す成分を同表に示す溶剤に溶解させて、全固形分濃度3.5質量%とし、それぞれを0.03μmのポアサイズを有するポリエチレンフィルターでろ過して、レジスト組成物Ar−1〜Ar−28及びトップコート組成物t−1を調製した。
調製したレジスト組成物を用いて、下記の方法でレジストパターンを形成した。
<実施例1(露光→ベーク→現像→リンス:略号E-B-D-R)>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上に、レジスト組成物Ar−1を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を使用して、パターン露光を行った。その後、100℃で60秒間加熱した後、下記表6に記載の現像液を30秒間パドルして現像し、同表に記載のリンス液で30秒間パドルしてリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間ベークを行なうことにより、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例2、3、515、19〜23、及び26、参考例10、11、14及び18
表5及び表6に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、実施例1の方法と同様にして、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
参考例6(液浸露光→ベーク→現像→リンス:略号iE-B-D-R)>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。その上に、レジスト組成物Ar−6を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対して、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、パターン露光を行った。この際、液浸液としては超純水を用いた。その後、100℃で60秒間加熱した後、下記表6に記載の現像液を30秒間パドルして現像し、同表に記載のリンス液で30秒間パドルしてリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間ベークを行なうことにより、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例8、9、12び25、参考例7及び24
表5及び表6に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、参考例6の方法と同様にして、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例13(露光→ベーク→現像:略号E-B-D)>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−13を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を使用して、パターン露光を行った。その後、100℃で60秒間加熱した後、下記表6に記載の現像液を30秒間パドルして現像し、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間ベークを行なうことにより、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例16(露光→ベーク→現像→回転リンス:略号E-B-D-R2)>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−16を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を使用して、パターン露光を行った。その後100℃で60秒間加熱した後、下記表6に記載の現像液を30秒間パドルして現像し、500rpmの回転数でウエハを回転させながら同表に記載のリンス液をウエハ上に流して30秒間リンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間ベークを行なうことにより、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例17(露光→ベーク→回転現像→リンス:略号E-B-D2-R)>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29A(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚86nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−17を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザースキャナー(ASML社製 PAS5500/1100、NA0.75、Dipole、アウターシグマ0.89、インナーシグマ0.65)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を使用して、パターン露光を行った。その後100℃で60秒間加熱した後、500rpmの回転数でウエハを回転させながら下記表6に記載の現像液をウエハ上に流して30秒間現像し、同表に記載のリンス液で30秒間パドルしてリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間ベークを行なうことにより、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例4(液浸露光→ベーク→現像→リンス:略号tiE-B-D-R)>
シリコンウエハ上に有機反射防止膜ARC29SR(日産化学社製)を塗布し、205℃で60秒間ベークを行い、膜厚95nmの反射防止膜を形成した。その上にレジスト組成物Ar−4を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。更にその上にトップコート組成物t−1を塗布し、100℃で60秒間ベークを行い、膜厚100nmのトップコート膜を形成した。
得られたウエハに対し、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i、NA1.20、C−Quad、アウターシグマ0.981、インナーシグマ0.895、XY偏向)を用い、露光マスク(ライン/スペース=1/1)を介して、パターン露光を行った。この際、液浸液としては超純水を用いた。その後、100℃で60秒間加熱した後、下記表6に記載の現像液を30秒間パドルして現像し、同表に記載のリンス液で30秒間パドルしてリンスした後、4000rpmの回転数で30秒間ウエハを回転させ、90℃で60秒間ベークを行なうことにより、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<実施例27(無機反射防止膜基板→露光→ベーク→現像→リンス:略号I-E-B-D-R)>
無機反射防止膜を有する基板としてSiON基板を使用した以外は、実施例2の方法と同様にして、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
表6中、「PB」は露光前の加熱を表し、「PEB」は露光後の加熱を表している。また、「PB」、「トップコートベーク」及び「PEB」の各列において、「XCYs」は、X℃でY秒間に亘って加熱を行ったことを意味している。なお、「現像液」及び「リンス液」の各列におけるA1及びB1は、上述した溶剤を表している。
<評価方法>
〔感度(Eopt)〕
得られたレジストパターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を使用して観察し、スペースパターンの長手方向2μmの範囲を等間隔で50点線幅を測定し、その平均値を測定して求めたパターンの線幅が所望の線幅(100nm(1:1)のラインアンドスペース)となる露光量をレジストの感度とした。
〔ラインウィズスラフネス(LWR)〕
100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を使用して観察し、スペースパターンの長手方向2μmの範囲を等間隔で50点線幅を測定し、その標準偏差から3σ(nm)を算出することで測定した。値が小さいほど良好な性能であることを示す。
〔デフォーカス余裕度(DOF)〕
100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを形成する露光量及びフォーカスをそれぞれ最適露光量及び最適フォーカスとし、露光量を最適露光量としたまま、フォーカスを変化(デフォーカス)させた際に、パターンサイズが100nm±10%を許容するフォーカスの幅を求めた。値が大きいほどフォーカス変化による性能変化が小さく、デフォーカス余裕度(DOF)が良好である。
〔ブリッジ欠陥(パターン形状)〕
最適露光量及び最適フォーカスにおける100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを、測長走査型電子顕微鏡(SEM(株)日立製作所S−9380II)を用いて観察した。ブリッジ欠陥が見られなかった水準を○(Good)、ブリッジ欠陥は見られないがややT−top形状となった水準を△(Fair)、ブリッジ欠陥が見られた水準を×(Insufficient)とした。
下記表7に、各実施例についての評価結果を纏める。
表7に示す結果から、実施例に係る組成物は、ラフネス特性、フォーカス余裕度、及び、ブリッジ欠陥性能に優れていることが分かった。
<実施例28及び29>
下記表8に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、実施例1の方法と同様にして、100nm(1:1)のラインアンドスペースのレジストパターンを得た。
<評価方法>
〔感度のPEB温度依存性〕
実施例28及び29について、先に述べたのと同様にして、感度Eoptを測定した。その結果を、下記表9に示す。
表9に示す結果から、実施例に係る組成物は、感度のPEB温度依存性が小さいことが分かった。
<酸分解性樹脂>
先に樹脂(P−1)について説明したのと同様にして、下記の樹脂(P−15)〜(P−24)を合成した。
下記表10に、これら樹脂(P−15)〜(P−24)の組成比(モル比)、重量平均分子量、及び分散度を纏める。
<レジスト組成物の調製>
これら樹脂を用いて、先に説明したのと同様にして、下記表11に示すレジスト組成物を調製した。
これらレジスト組成物を用いて、下記表12に示す条件でレジストパターンを形成した。表12において、「プロセス略号」等の項目は、先に表6について説明したのと同義である。
これら実施例に対応した評価結果を、下記表13に纏める。評価方法等は、先に説明し
たのと同様である。
表13に示す結果から、実施例に係る組成物は、ラフネス特性、フォーカス余裕度、及び、ブリッジ欠陥性能に優れていることが分かった。
下記表14に記載のレジスト及び条件を採用した以外は、先に説明したのと同様にして、PEB温度依存性を評価した。その結果を、下記表15に示す。
表15に示す結果から、実施例に係る組成物は、感度のPEB温度依存性が小さいことが分かった。

Claims (22)

  1. の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸の作用により分解し、アルコール性ヒドロキシ基を該樹脂中に生じる基を備えた第1繰り返し単位を含む樹脂と、
    活性光線又は放射線の照射により酸を発生する第1化合物と、
    溶剤と、
    フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する第2化合物と
    を含有した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物であり、第1化合物として少なくとも下記一般式(ZI)又は(ZII)により表される化合物を含有する感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
    一般式(ZI)中、
    201 、R 202 及びR 203 は、各々独立に、有機基を表す。R 201 〜R 203 のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合又はカルボニル基を含んでいてもよい。
    - は、下記一般式(I−A)で表される酸を生じるスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンから選択される非求核性アニオンを表す。
    一般式(ZII)中、
    204 及びR 205 は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
    - は、下記一般式(I−A)で表される酸を生じるスルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンから選択される非求核性アニオンを表す。
    式中、
    Xfは、それぞれフッ素原子を表す。
    及びR は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子及びアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR 、R は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    Lは、―COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S―、−SO―又は―SO −を表し、複数存在する場合のLは同一でも異なっていてもよい。
    Aは、環状構造を有する基を表す。
    xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
  2. 酸の作用により有機溶剤を含んだ現像液に対する溶解度が減少する樹脂であって、酸の作用により分解し、アルコール性ヒドロキシ基を該樹脂中に生じる基を備えた第1繰り返し単位を含む樹脂と、
    活性光線又は放射線の照射により酸を発生する第1化合物と、
    溶剤と、
    フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含み、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する第2化合物と、
    フッ素原子及びケイ素原子のいずれも含有せず、且つ、塩基性を有するか又は酸の作用により塩基性が増大する化合物であって、イミダゾール構造、オニウムヒドロキシド構造及びアニリン構造のいずれかの構造を有する第3化合物
    を含有した感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物。
  3. 前記第2化合物は含窒素化合物である請求項1又は2に記載の組成物。
  4. 前記第2化合物は低分子化合物である請求項1乃至3の何れか1項に記載の組成物。
  5. 前記第2化合物は下記一般式(1N)により表される請求項1乃至の何れか1項に記載の組成物。
    一般式(1N)中、
    Ra、Rb、Rb及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。Rb、Rb及びRbのうち少なくとも2つは、互いに結合して、環を形成していてもよい。但し、Rb、Rb及びRbの全てが同時に水素原子となる場合を除く。
    Rcは、単結合又は2価の連結基を示す。
    Rfは、有機基を表す。
    xは0又は1を、yは1又は2を、zは1又は2をそれぞれ表し、x+y+z=3である。
    x=z=1のとき、RaとRcとは、互いに結合して、含窒素複素環を形成していてもよい。
    z=1のとき、Rfは、フッ素原子又はケイ素原子を含んでいる。
    z=2のとき、2つのRfの少なくとも一方は、フッ素原子又はケイ素原子を含んでおり、2つのRc及び2つのRfは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、2つのRcは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
  6. 前記第2化合物はオリゴマー又は高分子化合物である請求項1乃至3の何れか1項に記載の組成物。
  7. 前記第2化合物は、フッ素原子及びケイ素原子の少なくとも一方を含んだ第2繰り返し単位と、塩基性基及び酸の作用により塩基性が増大する基の少なくとも一方を備えた第3繰り返し単位とを含んでいる請求項に記載の組成物。
  8. 前記第1繰り返し単位は、下記一般式(I−1)乃至(I−10)からなる群より選択される少なくとも1つにより表される請求項1乃至の何れか1項に記載の組成物。
    式中、
    Raは、各々独立に、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。ここで、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
    は、(n+1)価の有機基を表す。
    は、m≧2の場合は各々独立に、単結合又は(n+1)価の有機基を表す。
    OPは、各々独立に、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を前記樹脂中に生じる前記基を表す。n≧2及び/又はm≧2の場合、2以上のOPが互いに結合して、環を形成していてもよい。
    Wは、メチレン基、酸素原子又は硫黄原子を表す。
    n及びmは、1以上の整数を表す。
    lは、0以上の整数を表す。
    は、−COO−、−OCO−、−CONH−、−O−、−Ar−、−SO−又は−SONH−により表される連結基を表す。ここで、Arは、2価の芳香環基を表す。
    Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
    は、水素原子又は有機基を表す。
    は、(m+2)価の連結基を表す。
    は、m≧2の場合は各々独立に、(n+1)価の連結基を表す。
    は、p≧2の場合は各々独立に、置換基を表す。p≧2の場合、複数のRは、互いに結合して環を形成していてもよい。
    pは、0〜3の整数を表す。
  9. 酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を前記樹脂中に生じる前記基は、下記一般式(II−1)乃至(II−9)からなる群より選択される少なくとも1つにより表される請求項1乃至の何れか1項に記載の組成物。
    式中、
    は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
    は、各々独立に、1価の有機基を表す。少なくとも2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。RとRとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
    は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。少なくとも2つのRは、互いに結合して、環を形成していてもよい。但し、3つの前記Rのうち1つ又は2つが水素原子である場合は、残りの前記Rのうち少なくとも1つは、アリール基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。
    は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
  10. 前記第1繰り返し単位は、下記一般式(III)により表される請求項1乃至の何れか1項に記載の組成物。
    式中、
    は、(n+1)価の有機基を表す。
    Raは、水素原子、アルキル基又は−CH−O−Ra2により表される基を表す。ここで、Ra2は、水素原子、アルキル基又はアシル基を表す。
    は、各々独立に、水素原子又は1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
    は、n≧2の場合は各々独立に、1価の有機基を表す。Rは、互いに結合して、環を形成していてもよい。RとRとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
    nは、1以上の整数を表す。
  11. 前記Rは非芳香族性の炭化水素基を表す請求項10に記載の組成物。
  12. 前記Rは脂環状炭化水素基を表す請求項11に記載の組成物。
  13. 酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を前記樹脂中に生じる前記基は前記一般式(II−1)により表わされ、前記Rの少なくとも一方は1価の有機基を表す請求項9乃至12の何れか1項に記載の組成物。
  14. 前記第1繰り返し単位は、酸の作用により分解してアルコール性ヒドロキシ基を前記樹脂中生じる前記基を2つ以上備えている請求項1乃至13の何れか1項に記載の組成物。
  15. 前記樹脂は、アルコール性ヒドロキシ基を備えた繰り返し単位を更に含んでいる請求項1乃至14の何れか1項に記載の組成物。
  16. 前記樹脂は、シアノ基を備えた繰り返し単位を更に含んでいる請求項1乃至15の何れか1項に記載の組成物。
  17. 前記樹脂は、酸の作用により分解してカルボキシ基を生じる基を備えた繰り返し単位を更に含んでいる請求項1乃至16の何れか1項に記載の組成物。
  18. 請求項1乃至17の何れか1項に記載の組成物を用いて形成されたレジストパターン。
  19. (A)請求項1乃至17の何れか1項に記載の組成物を用いて膜を形成することと、
    (B)前記膜を露光することと、
    (C)前記露光された膜を現像することと
    を含んだパターン形成方法。
  20. 前記現像は有機溶剤を含んだ現像液を用いて行われる請求項19に記載の方法。
  21. 前記現像液に含まれる前記有機溶剤は、エステル系、ケトン系、アルコール系、アミド系、エーテル系、及び炭化水素系の何れかである請求項20に記載の方法。
  22. 前記現像により形成されるパターンはネガ型である請求項20又は21に記載の方法。
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